ビジネスローンファクタリングも、銀行融資や日本政策金融公庫の融資制度などと比べると資金調達コストは高めですが、緊急性の高い資金ニーズに向いた資金調達方法です。

銀行融資が受けられそうにないときでも、ビジネスローンやファクタリングを利用すれば、まとまった資金を調達できる可能性があります。

しかし、ビジネスローンは金融機関から融資を受ける「融資契約」であるのに対して、ファクタリングは手元にある売掛債権(=資産)を売買する「債権売買契約」です。「お金を借りること」と「資産を売ること」という全く違う方法で資金調達を行っていることになります。

この2つの資金調達方法には、それぞれメリット・デメリットがあり、自社の経営状況や資金ニーズに合った方法を選ぶことが大切です。

今回はビジネスローンと2社間ファクタリングを比較しながら、自社に合った資金調達方法を選択するポイントを解説します。

ビジネスローンと2社間ファクタリングの比較

ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類がありますが、緊急性の高い資金ニーズに即しているのは2社間ファクタリングのほうです。

まずは、ビジネスローンと2社間ファクタリングを、審査基準や金利・手数料などのさまざまな項目で比較してみましょう。

比較項目 ビジネスローン 2社間ファクタリング
審査基準 申込者の信用状況
(他社借入、返済能力等)
売掛先の信用力
売掛先との取引実績
売掛債権の支払サイト
担保・保証人 原則として不要
(審査結果によっては求められる)
不要
資金調達可能額 10万円~1,000万円 売掛債権の額面の範囲内
金利・手数料 金利負担
(年利10%~18%)
手数料負担
(買取債権額の2%~20%)
入金スピード 最短即日 最短即日
返済期間 最長10年 30日~60日
(支払いサイトによる)
分割返済 契約によっては可 不可
信用情報機関への影響 ある ない
将来の融資利用への影響 ある ない

ビジネスローンがファクタリングよりも優れている点

ビジネスローンがファクタリングよりも優れている点をご紹介します。

月商を超える金額の借入も可能

ビジネスローンの審査では、申込者の信用状況や借入時状況が調査され、その結果により融資額や金利が決定します。

申込者が希望する借入額の貸し倒れリスクが低く、期限内に滞納なく返済できると金融機関側が判断すれば、融資で月商の1ヶ月分以上〜6ヶ月分の範囲内の借入が可能です。

たとえば、月商100万円の小規模事業者でも、過去に優良な返済実績があったり、事業が成長中であったりすると、100万円超~600万円までの融資を受けられる可能性があります。

一方のファクタリングは、ファクタリング会社に売却する売掛債権の額面に所定の手数料を掛けた額が調達額の上限となります。100万円の売掛債権を10%の手数料で売却した場合、調達できる額は90万円です。

自社の信用状況や借入状況に問題がなく、運転資金や設備資金として比較的大きな額を調達したい場合は、ビジネスローンを選択すると良いでしょう。

分割して返済ができる

ビジネスローンの返済方法は、1年以内に借入額の全部を一括返済する「期日一括返済」か、もしくは毎月の約定返済日に決められた額を数回にわたって返済する方法の2種類があります。

後者は返済額の計算方法の違いによって「元利均等返済」や「元金均等返済」となりますが、基本的には借入額を12回~120回に分けて返済することになるため、月々の返済にかかる負担を抑えることができます。

一方の2社間ファクタリングは、売却した売掛債権の支払期日が到来したら、すぐに全額を弁済しなければなりません。支払期日に資金繰りが苦しい状況であっても、分割での弁済は一切できないことに注意が必要です。

限度額の範囲内で繰り返し借入・返済ができる

ビジネスローンには、初回に融資額を一括で借りて後は返済するだけの「一括借入型」と、決まった限度額の範囲内で繰り返し借入・返済ができる「カードローン型」があります。

カードローン型のビジネスローンは限度額の範囲内であれば、銀行ATMやコンビニATMから24時間365日、必要なときに必要なだけの金額を借りることができます。

カードの発行や維持に費用はかからないため、カードだけ作っておいて、いざというときに必要な分だけを一時的に借り入れ、すぐに完済するといった使い方も可能です。

金利負担が比較的低い

ビジネスローンは銀行融資よりも金利が高めではあるものの、それでも年率5.0%~18.0%が相場です。

一方の2社間ファクタリングは、金利ではなく買取手数料がかかり、買取額面に対して2.0%~20.0%が相場となります。

ビジネスローンとファクタリングの金利負担(手数料負担)を、以下のケースで比較してみましょう。

ビジネスローンとファクタリングで100万円を調達する例

【ビジネスローン】100万円を年率10%の12回払い(返済期間1年)で借りる

毎月の返済額は87,915円(最終回87,921円)で、返済総額は1,05万4,986円、利息総額54,986円
100万円の調達コストとして54,986円かかる

ファクタリング】100万円の売掛債権を10%の手数料(買取率90%)で現金化する

100万円×90%=90万円
100万円の調達コストとして10万円かかる

ファクタリングの手数料は売掛債権の支払期日までの1ヶ月~2ヶ月間にかかるコストですので、金利換算すると利息制限法を遥かに超える金利(年利110%)となります。

あくまでもファクタリングは融資ではなく債権売買契約であるため、利息制限法は適用されませんが、金利負担という観点で見ると、ビジネスローンのほうが低コストで資金調達できると言えます。

ファクタリングがビジネスローンよりも優れている点

ファクタリングがビジネスローンよりも優れている点をご紹介します。

赤字・債務超過・税金滞納でも利用できる

ファクタリングは銀行融資やビジネスローンと審査方法が違うため、赤字・債務超過・税金滞納といった融資の審査では不利に働く条件であっても利用できます。

なぜなら、ファクタリングの審査は申込者の経営状況や信用状況よりも、売掛先の信用力、売掛先との取引履歴、売掛債権の支払いサイトなどが重視されるからです。

ファクタリング会社は、売掛先が期日どおりに売掛金を支払えなければ、利用者に先払いした代金を回収できません。

つまり、「この売掛先は期日通りに売掛金を支払える」と判断できるだけの信用力があること、経営状況であることが重要なのです。

売掛先の倒産等のリスクが低く、資金回収の確実性が高いと判断されれば、たとえ申込者が赤字・債務超過・税金滞納であっても、ファクタリングで資金調達ができます。

ただし、ファクタリングの審査の結果次第では、「買取可能ではあるが手数料が高くなる」、「3社間ファクタリングであれば利用可」といった条件が付くこともあります。

担保・保証人が一切不要

ビジネスローン、ファクタリングともに担保・保証人が不要な資金調達方法です。

ただし、ビジネスローンは担保・保証人を原則不要としながらも、法人の場合は代表者保証、審査結果によっては第三者保証や担保が求められることがあります。

ファクタリングは審査結果にかかわらず、利用に際して担保・保証人を求められることがありません。

担保や保証人を持たない事業者の方でも利用できる点は、融資にはないファクタリングの強みと言えるでしょう。

信用情報機関に登録されない(将来の融資に影響がない)

ビジネスローンでお金を借りると、信用情報機関に契約状況や返済・支払状況などが登録されます。

すでに他社からの借入がある状況で新たに融資の審査に申し込むと、「返済能力を超える可能性がある」として、希望した金額の満額が借りられない場合があります。

一方のファクタリングは「債権売買契約」であり、融資契約ではありません。

借入という扱いにならないため、信用情報機関に登録されずに資金調達ができます。

さらに、信用情報に影響がないということは、将来の銀行融資に影響が出ることもありません。

将来的に銀行から融資を受ける予定のある方は、それまでのつなぎ資金として、信用情報に影響のないファクタリングの利用をおすすめします。

ビジネスローンとファクタリングの使い分けのポイント

ここまで見てきたように、ビジネスローンとファクタリングには一長一短あり、どちらのほうがより優れた資金調達方法であるかは一概に言えません。自社の資金ニーズや経営状況に応じて、より適したほうを選ぶことが肝心です。

ここでは、ビジネスローンを利用すべきか、ファクタリングを利用すべきか、使い分けのポイントをご紹介します。

売却できる売掛債権があるか|使わけのポイント1

入金前の売掛債権がなければファクタリングは利用できません。

売掛債権がない場合はビジネスローンしか選択できませんが、売掛債権がある場合はビジネスローンとファクタリングの両方を検討できます。

現状で融資の審査に通過できるか|使わけのポイント2

ビジネスローンとファクタリングを「調達コスト」の観点で比較した場合、年率5%~18%のビジネスローンのほうが、ファクタリングよりも低コストで資金調達できます。

融資の審査に通過できるのであれば、コストの低いビジネスローンの利用がおすすめです。

ただし、現状で他社からの借入があったり、赤字・債務超過・税金滞納などがあったりすると、ビジネスローンの審査に通過することは極めて難しくなります。

まずは自社の現状で融資の審査に通過できるかを考え、仮に通過することが難しい、融資を申し込んだが断られたという場合には、ファクタリングを利用しましょう。

短期完済が可能か|使わけのポイント3

ビジネスローンは銀行融資に比べて金利負担が大きいため、長期の借入には向いていません。

返済が長期にわたると金利負担が大きく、また決算までに完済できないと、今後の銀行融資にマイナスの影響を及ぼします。

したがって、銀行融資の審査結果を待っているときや、1ヶ月~2ヶ月以内に売上入金が予定されているときなど、なるべく短期完済の目処が立っているタイミングで利用すべきです。

ファクタリングは手数料こそ発生しますが、自社の信用情報や将来の銀行融資に一切影響を及ぼすものではないため、短期完済が難しい場合はこちらを検討しましょう。

ビジネスローンとファクタリングに関するQ&A

ビジネスローンとファクタリングについて、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。

Q.ビジネスローンの返済中や銀行リスケ中でも、ファクタリングは利用できますか?
A.ファクタリングは申込者の借入状況や返済能力にかかわらず、信用力の高い売掛先の売掛債権があれば利用できます。
Q.ビジネスローンの「一括借入型」と「カードローン型」は、どのように使い分けたら良いですか?
A.「一括借入型」はまとまった資金を一括で借入れできるため、仕事の着手金や設備の購入資金など、まとまったお金が必要なときに向いたローン商品です。一方の「カードローン型」は一括借入型よりも金利がやや高めであるため、短期間で完済の目処が立っているときのつなぎ資金に向いています。また借入枠を作っておけばいつでも借入ができるため、いざというときの備えとして枠を作っておくのもひとつの手です。
Q.個人事業主も2社間ファクタリングが利用できますか?
A.利用できる場合とできない場合があります。2社間ファクタリングでは、原則として「債権譲渡登記」という手続きが必要となります。債権譲渡登記とは、売掛先の同意を得ない代わりに、ファクタリング会社が債権の二重譲渡防止や対抗要件を具備するためのもので、法人のみが手続きができます。したがって、債権譲渡登記ができない個人事業主は、原則として2社間ファクタリングが利用できません(3社間は可)。ただし、個人事業主に対しては、手数料を引き上げる代わりに、債権譲渡登記を留保して、2社間の利用を可とするファクタリング会社もあります。

資金繰りや資金ニーズに合わせて最適な資金調達方法を選ぼう

ビジネスローンとファクタリングの2つの資金調達方法について、メリット・デメリットと、それぞれの優れた点を解説しました。

業績が好調な会社でも、常に潤沢な資金が手元にあるとは限りません。万が一の資金不足に備え、銀行融資や公的融資制度以外に、さまざまな資金調達先を持っておくことが重要です。

ビジネスローンとファクタリングは、創業間もないときや、経営状況・信用状況に不安があるときでも、資金調達の可能性があります。

ただし、売掛債権がなければファクタリングは利用できず、また短期完済の目処が立っていないのに高金利のビジネスローンを借りることは、より資金繰りを悪化させる原因となります。

資金調達方法を検討する際は、自社の資金繰りや資金ニーズ、将来の入金の可能性などを見据え、現状で最適なものを選ぶようにしましょう。