「会社が借金地獄になって倒産」バブル崩壊期は非常によく耳にした言葉でした。

会社経営には確かにリスクがあり、失敗すると多額の借金を背負わなければならないことはよくあります。

しかし、借金地獄に陥る原因や、陥ってしまった場合の対処法を理解しておくことで、借金地獄を避けることや抜け出すことは可能です。

借金が膨らんでしまう原因やその対処法について詳しく解説していきます。

会社経営では外部からの資金調達は必須です。

借金との付き合い方を正しく理解して借入金を活用できるようになりましょう。

法人・個人事業主が借金地獄になるリスク

法人や個人事業主などの事業者が借金地獄に陥ってしまうと、個人がカードローンやキャッシングやリボ払いなどで多額の借金を抱えるよりも大きなリスクを背負ってしまう可能性がます。

  • おまとめローンが少ない
  • 連帯保証人に督促が行われる
  • 取引先への支払いが厳しくなる
  • 従業員へ給料を払えなくなる

事業者が借金地獄に陥ると、上記の理由によって多大な迷惑を周囲に対してかけてしまうことになります。

法人はおまとめローンが少ない

法人はおまとめローンの取り扱いが少ないため、借金地獄になった時に返済額軽減を図る手段がないという点が1つ目のデメリットです。

個人の借金であれば消費者金融であればどこも「貸金業法に基づくおまとめローン」という商品を用意しています。

また、銀行も複数の借入金を1本化することができる「おまとめローン」を用意していますが、法人の場合にはこのような商品の数が多くありません。

そのため、「複数の借金を抱えたまとめたい」と考えた時でも、おまとめのために借入することができる商品がそもそも存在しない可能性があります。

法人の場合、一度借金地獄になってしまうとおまとめローンで簡単に抜け出すことができるわけではないという点に注意しましょう。

連帯保証人の存在

法人が事業資金を借りる場合には代表者やその他の役員が連帯保証人になるのが一般的です。

そして、もしも法人が返済不能になってしまった場合は連帯保証人に返済義務が生じてしまいます。

事業の失敗によって連帯保証人である個人の生活も破綻してしまうリスクがあるのも法人が借金地獄に陥るデメリットだと言えるでしょう。

個人での借金では無関係な人を連帯保証人にすることはあり得ないため、この点は法人独特のリスクだと言えます。

取引先の存在

借金地獄になり資金繰りが厳しくなると、取引先に対して支払いができなくなってしまいます。

商売を継続していくにあたって非常に大切な存在である取引先に対しても多大な迷惑をかけてしまうことになり、場合によっては今後の取引継続が難しくなってしまうかもしれません。

個人であればお金がなくて迷惑がかかるのは銀行やカード会社などの個人的な付き合いのない会社だけです。

しかし、事業者が借金地獄になると取引先に迷惑がかかり、もしも借金地獄から回復したとしても信頼関係の再構築は不可能になってしまう可能性があります。

従業員への給料

借金地獄になると従業員への給料支払いも困難になる可能性があります。

会社を経営するということは従業員の生活も背負っており、さらに従業員の後ろにはその家族も存在しているかもしれません。

借金地獄に陥り給料の支払いができないと、従業員とその家族が露頭に迷ってしまう可能性があります。

個人の借金であれば困るのは自分とその家族くらいですが、事業者が借金地獄になってしまうと従業員等に大きな悪影響があるというのもデメリットです。

法人・個人事業主が借金地獄になる原因

法人や個人事業主が借金地獄になる原因として主に以下の3点をあげることができます。

  • 借入の本数が多すぎる
  • 赤字と債務超過
  • 投資の失敗

基本的には身の丈にあった堅実経営を行なっており、少なくとも確実に利益を出していれば借金地獄になってしまう可能性はありません。

借金地獄3つの原因について詳しく解説していきます。

借入の本数が多すぎる

借入の本数が多すぎると借金地獄に陥ってしまいます。

むしろ借入の本数が多くなりすぎて、自社のキャッシュフローから返済しきれない状態を借金地獄と言います。

借入金というのは、たとえ金額が少なくても本数の分だけ返済金額が多くなってしまうものです。

毎月の返済額がどのくらいになるのかを考えず、銀行の営業担当者などに乗せられて言われるがままに借入をしていくと返済しきれないほどの借金を抱え、借金地獄になってしまうリスクがあります。

本業では利益が出ていても、借入本数が多いと借金地獄になってしまう可能性があります。

赤字と債務超過

赤字と債務超過も借金地獄な大きな原因です。

自己資本では補填することができないほどの赤字を背負い、その赤字分を借金で補填すると債務超過になります。

翌年も翌々年もこのような借入を繰り返すことによって借入本数が増えて借金地獄になってしまう可能性は非常に高いでしょう。

一過性の赤字であれば問題ないですが、継続的な赤字を生み出し債務超過になり、不足分を借金で埋めるということとを繰り返すのは借金地獄の典型的なパターンです。

投資の失敗

投資に失敗することで結果的に借金地獄になるのも借金地獄の典型パターンです。

多角化、事業拡大、設備投資など利益を見込んで投資した事業が失敗し、その投資に伴う借金だけが残ってしまうと借金地獄になります。

例えば月収200万円の収益を見込んで1億円の借金をして投資した事業が失敗した場合、1億円の借金だけが残ってしまいます。

バブル期などは建設会社が何もノウハウがないリゾート経営に乗り出して倒産という事例が相次ぎました。投資に失敗するのも借金地獄の典型的なパターンです。

法人・個人事業主の借金地獄を防ぐ方法

法人や個人事業主の借金地獄を防ぐ方法として挙げられるのが以下の3点です。

  • 借金の返済は借金でしない
  • 赤字になったら経営改善を行う
  • 投資の計画は慎重に

借金地獄を回避するための3つの方法を詳しく解説していきます。

借金の返済は借金でしない

借金の返済をするために新たに借金をしないようにしましょう。

借金の返済を借金から行うと返済額は大きくなり、借金もどんどん膨らんでしまいます。

例えば毎月5万円返済の借金返済のために、ローンを50万円借りた場合、10ヶ月だけは借入金から返済を行うことができます。

しかし10ヶ月経過後に融資金が枯渇した後には2本分の返済金だけが残ってしまい、結果的に毎月の返済金は高額化し借金地獄の始まりです。

どんなに返済が苦しくてもおまとめローン以外の方法で借金の返済を借金から行わないようにしましょう。

赤字になったら経営改善を行う

赤字になった時、安易に借金に頼るのではなく赤字の原因を分析し、経営改善を行うようにして下さい。

リーマンショックやコロナ禍のような社会的な大不況であれば、短期的に借金に頼ることはやむを得ません。

しかし、自社の構造的な問題であるのであれば、赤字の原因を分析して、経営改善を行うことで借金に頼らなくても赤字を乗り越えることが可能です。

経営改善を行うことなく、借金を繰り返すことによって借金が増えて借金地獄になってしまいます。

経営状態が悪いのであればまずはしっかりと原因を分析して経営改善に努めてください。

投資の計画は慎重に

設備投資、事業拡大、多角化などへ投資を行うときには慎重に計画を立てるようにして下さい。

せっかく本業が順調でも投資に失敗したことによって借金地獄に陥ってしまう会社はいくつも存在します。

成功した場合のシミュレーションだけでなく、失敗した時の最悪の事態も想定して慎重な投資計画を立てるようにしましょう。

借金地獄からの脱出法

借金地獄からの脱出方法として考えられる方法が以下の4つです。

  • 債務整理・任意整理
  • リスケジュール
  • ビジネスローンでのおまとめ
  • ファクタリングの活用

法的手段や外部からの資金調達によって借金地獄から抜け出すことは可能です。

弁護士事務所や司法書士へ債務整理・任意整理を依頼する

1つ目の方法が弁護士事務所や司法書士事務所へ債務整理や任意整理を依頼する方法です。

債務整理とは破産も含めた借金整理の方法で、任意整理とは債権者と個別に減額や返済条件の緩和などについて話し合いを行う方法です。

債務整理や任意整理は自分で行うこともできますが、弁護士や司法書士へ相談した方が成功する可能性は高くなります。

特に任意整理は債権者との交渉ですので、交渉の専門家である弁護士に依頼した方が格段に成功確率が高くなりますし、債務者自ら交渉しても大抵の場合は相手にしてもらえません。

また、民事再生という国が認めた借金減額方法で無担保ローンを減額させることも可能です。

借金地獄になってしまい、どうしても返済が難しいのであれば専門家へ債務整理の交渉をするのがよいでしょう。

銀行へリスケジュールを依頼する

銀行融資の返済が難しいときにまず最初に行うことなリスケジュールの相談です。

リスケジュールとは返済条件の変更で、具体的には以下の2つの方法があります。

  • 元金返済据置
  • 返済期限の延長

それぞれのリスケジュールの方法について、具体的に解説します。

利息のみの支払い:元金返済の据え置き

元金返済の据置とは、一定期間の間、元金の返済を行わずに利息の支払いだけをしていく方法です。

例えば1年間なら1年間、元金の返済を据え置くことで、その1年間の間に経営の立て直しを図ることができます。

リーマンショックやコロナ禍など、社会的な不況を要因として、経営が一時的に傾いたときに活用できる方法です。

毎月返済額を軽減:期限の延長

期限の延長とは、最終返済日を延長することによって毎月返済額を軽減する方法です。

例えば借入残高1200万円を10年返済した場合の毎月返済額は利息を考えなければ10万円です。

これを5年延長し、15年返済とした場合は約66,000円ですので、毎月の支払いは3万円以上楽になります。

どんなに経営改善を図っても、現在の支払いを継続していくことが難しい場合に活用できる方法です。

ビジネスローンでまとめる

事業資金はおまとめローンが少ないですが、使い道自由なビジネスローンを利用することによって複数の事業資金融資をまとめることができます。

複数本の借入金は1本にまとめることによって、毎月返済額が大幅に軽減されることがあります。

借金地獄の状況からおまとめをすることによって返済が可能になったという事例はよくありますので、複数のローンはビジネスローンでまとめるとよいでしょう。

なお、信用保証協会の保証付借入金は信用保証協会の借換保証制度によって低金利で借り換えることが可能です。

信用保証協会の保証付借入金の本数が多いという人は利用してみましょう。

ファクタリングで資金繰りする

資金繰りに困ったときにわざわざ銀行やノンバンクからお金を借りるのではなく、ファクタリングを利用することで資金繰りを楽にすることも可能です。

ファクタリングとは、自社が保有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社へ売却して資金調達する方法になります。

最短即日で資金調達することができ、自社に信用がなくても売掛先企業に信用があれば審査に通過することが可能です。

借入金ではないので、借入金の本数が多い企業でも優良な売掛債権さえ持っていれば資金調達することができるでしょう。

短期的な資金繰りであれば、わざわざ借入金に申し込まなくてもファクタリングで事足りる場面は多数あります。

借入金に加えてファクタリングも上手に活用することで、借金だけに依存した経営体質から脱却することができるでしょう。

借金地獄に関してよくある質問

銀行が条件変更に応じてくれる可能性はどの程度でしょうか?
条件変更をすることによって「経営再建可能」と銀行が判断すれば条件変更に応じてもらうことができます。
ただし、これは建前で、コロナ禍の影響や金融庁の方針などの影響によって、今は条件変更に申し込めば非常に高い確率で対応してもらうことができます。
「返済が苦しい」という時には、まずは銀行へ条件変更の相談をしてみるとよいでしょう。
経営改善計画の策定は誰に相談すればいいですか?
基本的には自社で策定するのが原則です。
しかし、自社を担当する銀行員が条件変更などを受けやすいように、理にかなかった経営再建計画を立ててくれることはよくありますし、顧問税理士などに相談することも可能です。
また、金融機関や税理士事務所などの国が指定した認定支援機関へ相談することで、経営再建計画の策定をしてもらうことも可能です。
まずは、銀行か顧問税理士へ相談するのがよいでしょう。
借金地獄の会社の連帯保証をやめることはできるでしょうか?
連帯保証人であることをやめるためには債権者の同意が必要です。
しかし、連帯保証人が債務者である企業の代表者だった場合には連帯保証人をやめることに同意を得ることはほぼ不可能でしょう。
経営者ではない第3者が連帯保証人だった場合には債権者へ相談することによって連帯保証人をやめることができる可能性があります。

まとめ

借金地獄に陥る原因は様々ですが、基本的には経営悪化、無計画な借入、投資計画の失敗などによって起こります。

借金地獄になってしまったら以下の方法で改善を図りましょう。

  • 債務整理・任意整理
  • リスケジュール
  • ビジネスローンでのおまとめ
  • ファクタリングの活用

会社が借金地獄になることは債権者や経営者の生活だけでなく、従業員や取引先にまで影響を及ぼすことを十分に理解し、責任を持って経営をしていくようにして下さい。