会社を経営するに当たって、最も注意しなければならないことの1つが手形や小切手の不渡りです。

手形や小切手を降り出した企業は不渡りによって倒産してしまうこともありますし、受取企業も手形や小切手の不渡りが起きてしまうと、自社は順調に売上を確保できているにも関わらず資金ショートして倒産してしまうこともあります。

バブル崩壊期には頻繁に起こった連鎖倒産の原因の大きな1つが不渡りで、不渡りは企業にとって絶対に避けるべきものです。

不渡りとはどのような状況で起こるのか、不渡りによる振出人と受取人への影響と対処法について詳しく解説していきます。

不渡りとは?

不渡りとは、振出した手形や小切手を決済することができない状況を示します。

つまり、手形の支払日や小切手の呈示時に当座預金残高が足りずに支払いができない状況です。

不渡りや手形・小切手についてまずは詳しく理解しておきましょう。

手形・小切手が決済できないこと

不渡りとは振出した手形や小切手が支払期日に決済できないことです。

小切手は振出した後にいつでも払い出すことが可能ですし、手形は支払期日に払い出すことが可能なものです。

小切手や手形は当座預金から引き落とされますが、小切手の受取人が小切手の取り立てを行なった時に当座預金残高が足りずに決済できないと不渡りになってしまいます。

振出人にとっては自社が振出した手形や小切手が決済できないと最悪の場合倒産になる可能性があります。

また、手形の受取企業は入金になる予定のお金が入ってこないため資金ショートしてしまうことがあるのが最大のリスクです。

手形とは

手形は、記入された期日以降でなければ現金化することができない有価証券です。

振出企業にとってみれば、手形の支払期日までお金を用意する必要がないため、資金繰りに余裕が生まれることになります。

例えば3ヶ月先の期日の手形であれば、お金を用意するのは3ヶ月後でよいため、手元に資金がなくても支払いをすることが可能です。

支払期日までに当座預金に手形金額を入金しておくことで手形が決済されます。

小切手とは

小切手は「現金の代わり」という意味合いの有価証券です。

発行された小切手はいつでも現金化することができ、受取人が銀行へ取り立てにいくと振出人の当座預金口座から支払いが行われます。

そのため、当座預金の残高を超える小切手を切ってしまうと小切手の不渡りが発生することになります。

決済日に当座預金に代金がなくても即不渡りにはならない

小切手や手形の取り立てがあったのにも関わらず当座預金の残高が不足していた場合には、いきなり不渡りになるわけではありません。

ほとんどの銀行で、「残高が足りていない」という連絡をしてくれます。

この連絡後に15時までに不足分を当座預金口座へ入金することによって不渡りを防ぐことが可能です。

それでも入金ができない場合に不渡り発生となってしまいますので、銀行から連絡が来たら可及的速やかにお金を用意する必要があります。

不渡りには3種類ある!不渡り扱いになるのはどれ?

小切手や手形には以下の3つの種類の不渡りがあります。

  • 0号不渡り
  • 1号不渡り
  • 2号不渡り

それぞれ不渡りが起きた原因によって、不渡り扱いになる場合とならない場合があり3種類の不渡りの違いについて詳しく解説していきましょう。

「0号不渡り」は不渡りにならない

0号不渡りは呈示期間を過ぎてしまっているものや、記載ミスのような形式上の不備や破産等があって不渡りが発生したものです。

当座預金の残高が不足したような、振出人の信用に問題があって起きた不渡りではないので不渡り扱いにはなりませんし、銀行取引停止処分にもなりません。

また、不渡りが起きた時に金融機関が手形交換所へ提出する不渡報告も作成されません。

「1号不渡り」は不渡りになる

1号不渡りとは、「資金不足」または「取引なし」を原因として起きた不渡りのことです。

振出人の信用上の問題から生じる不渡りであるため、金融機関は「第1号不渡届」を作成し、手形交換所へ提出し、銀行取引停止処分等のペナルティが課されることになります。

なお、取引なしとは手形が呈示されたときにおいて当座勘定取引のない場合を指しますが、現実的には取引き停止処分済や虚無人名義の手形の場合などの2号不渡りと競合することが多くなっています。

「2号不渡り」とは?

2号不渡りとは、0号不渡りにも1号不渡りにも該当しない不渡り事由です。

具体的には以下のような理由を不渡り事由としてあげることができます。

契約不履行、詐欺、紛失、印鑑(署名鑑)相違、偽造、変造、取締役会承認等不存在、金額欄記載方法相違(金額欄にアラビア数字をチェック・ライター以外のもので記入した場合等)、約定用紙相違

参考:東京手形交換所

これらの0号にも1号にも該当しない不渡り事由を2号不渡りと言います。

不渡りを出すと振出人はどうなる?

不渡りを出すと最悪のケースとして銀行取引が停止され実質的な倒産になってしまう可能性があります。

不渡りを出した場合には、以下の流れで銀行取引停止処分まで行われます。

  • 不渡届が出され不渡報告に掲載される
  • 一度目の不渡りで受ける処分で融資取引は難しくなる
  • ニ度目の不渡は銀行取引停止処分になり実質倒産

銀行取引停止処分に至るまでの流れを詳しく理解しておきましょう。

不渡届が出され不渡報告に掲載される

不渡りが起きると金融機関は手形交換所に「不渡届」という書類を提出します。

手形交換所は不渡届を受け取ると、不渡の内容を「不渡報告」として掲載し、加盟銀行に通知します。

不渡りを出した人(企業)に対して融資取引等で注意を促すのが目的で、不渡報告を見た金融機関は当該事業者との融資取引に対して非常に慎重に対応することになります。

一度目の不渡りで受ける処分で融資取引は難しくなる

一度目の不渡りで振出人が受ける処分は「不渡り処分」という処分だけです。

不渡り処分とは、不渡り報告に掲載されるだけの処分ですが、一般的には、この報告を見た金融機関は、当該事業者に対する期限の利益を喪失させ、信用保証協会や保証会社へ代位弁済請求をかけます。

つまり、この時点で銀行と融資取引を継続していくことは困難になり、実質的には倒産に近いような状態となってしまいます。

不渡報告を出されるだけで当該事業者の信用は著しく下落するため、実際には一度目の不渡りでも「銀行との融資取引が不可能になる」という非常に大きなデメリットがあります。

ニ度目の不渡は銀行取引停止処分になり実質倒産

半年以内に二度目の不渡りになると、実質的に倒産してしまうほどの大きなペナルティになります。

半年以内に2度目の不渡りは銀行取引停止処分となり、融資取引はもちろん銀行との当座勘定取引も停止されます。

銀行取引停止処分は取引停止日から2年間継続されてしまいます。

企業にとって銀行口座を2年間も停止されてしまったら商売することは困難になるので、銀行取引停止処分になると、倒産に追い込まれてしまう中小企業が大多数です。

不渡りが起きた場合の受取人の対策

不渡りが起きてしまったら、手形や小切手の受取人は本来入金になるはずの売上を手にすることができなくなってしまいます。

不渡りが起きてしまったら以下のような方法で外部から資金調達しない資金ショートしてしまうリスクがあるので注意しましょう。

  • 銀行借入を行う
  • ビジネスローンで資金調達する
  • ファクタリングで資金調達する

基本的にはどこかから資金調達を行わなければなりません。

それぞれの資金調達方法の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

銀行借入を行う

不渡りが起きてしまったらまず最初に相談する所は銀行です。

銀行はメインで取引している企業の資金繰りを救済する公共的使命を負っているため、急な不渡りになった時に融資によって資金繰りに応じてくれる可能性があります。

また、銀行融資は金利が低いので資金調達コストが非常に低いのも大きな特徴です。

不渡りが起きたときにはまずはメイン銀行へ相談するのがよいでしょう。

なお、銀行融資は申込から入金までに2週間程度の時間がかかるので急な資金繰りに対応することができないことに注意しなければなりません。

ビジネスローンで資金調達する

不渡りが起きたときにはビジネスローンで資金調達するという方法もあります。

銀行融資には以下の2つの問題がありますがビジネスローンは銀行融資の問題点を補うことができます。

  • 不渡りを受けた企業に対して厳しい目線で審査する
  • 融資までに時間がかかる

高額な不渡りを抱えて資金繰りが悪化した企業に対して銀行は非常に厳しい目線で審査を行います。

そのため、「融資しても返済が難しい」と判断した場合には審査に通過することができない場合もあります。

また、銀行融資は申込から融資まで2週間程度の時間がかかります。

手形の入金をあてにして支払計画を立てていた場合に不渡りが発生すると、銀行融資を待っていたら時間的に資金繰りが間に合わない可能性があります。

ビジネスローンはこれらの銀行融資のデメリットを補うことができます。

最短即日融資でお金を借りることができるので急な資金繰りにも対応可能です。

また銀行融資よりも審査が甘いので不渡りによって銀行から融資を断られた企業でも資金調達することができる可能性があります。

ビジネスローンは不渡りが起きた時に銀行融資の代わりになるものですが、金利が15%程度と高いので資金調達のコストは膨大になってしまうというデメリットをしっかりと理解しておきましょう。

ファクタリングで資金調達する

不渡りによって急に資金繰りが苦しくなった場合にはファクタリングで資金調達するという方法もあります。

ファクタリングとは売掛債権の売却で、請求済の未入金の売掛金を持っていればファクタリング会社に買い取ってもらい資金化することができます。

ファクタリングには以下の3つの特徴があるので不渡りで資金繰りが苦しくなった時に最適です。

  • 最短即日入金
  • 売掛先の信用で資金調達可能
  • 売掛先に秘密で資金調達できる

ファクタリングは最短即日で資金調達することができるので急ぎの資金繰りにも最適です。

また、ファクタリングではファクタリング会社に期日に代金を支払うのは自社ではなく売掛先企業ですので、売掛先企業の信用で審査を受けることができます。

不渡りによって業況が悪化しビジネスローンの審査にすら通過できない場合も、ファクタリングであれば有力な売掛先企業の売掛債権さえ保有していれば審査に通過できる可能性があります。

さらに、2社間ファクタリングは自社とファクタリング会社だけの契約です。売掛先企業にファクタリングをしたことがバレる心配はないので、ファクタリングをしたことによって「経営が苦しい企業」などとネガティブな評価をされることはありません。

ただし2社間ファクタリングは手数料が10%〜20%と高いので、不渡りによる業況悪化によってビジネスローン審査にすら通過できなくなった場合に利用しましょう。

不渡りが発生しそうになった時の対処法

手形や小切手の振出人の企業が「このままだと不渡りになってしまう」という時には外部から資金調達することができます。

不渡りが発生する前であれば、以下のいずれかの方法で資金調達することができる可能性があります。

  • 銀行融資
  • ビジネスローン
  • ファクタリング

どの方法を検討すべきかは、「期日までにどの程度あるのか」という視点で決定するのがよいでしょう。

不渡りが発生しそうになった時の資金調達方法について詳しく解説していきます。

時間があるなら銀行融資で対応する

手形の支払日までに2週間以上空いているのであれば銀行融資を利用するのがよいでしょう。

銀行融資は金利が2%前後と低いので、最も低い資金調達コストで手形代金を調達することができます。

ただし、銀行融資は申し込みから融資実行まで2週間程度の時間がかかってしまうので、手形の支払期日までに2週間以上の時間がある時でないと銀行融資を活用できません。

早めに「手形を決済するお金がない」と気づいた時には銀行融資を利用するとよいでしょう。

時間がないならビジネスローンかファクタリング

手形の期日までに時間がない時や小切手の不渡りが発生しそうな時にはビジネスローンかファクタリングを利用しましょう。

ビジネスローンとファクタリングは最短即日で資金調達することができるので、「今日入金しないと不渡りになってしまう」というタイミングでも資金調達が間に合う可能性があります。

即日融資に対応したビジネスローンに関しては以下の記事に詳しく紹介しています。

また、即日資金調達することができる2社間ファクタリングについては以下の記事で詳しく解説していますので、急いで資金調達したいという人はぜひご覧ください。

不渡りに関してよくある質問

不渡手形はファクタリングできませんか?
不渡手形はファクタリングすることはできません。
ファクタリングによって資金化することができるのは、あくまでも期日前の正常な売掛債権だけです。
不渡りや不良債権が心配であれば、不渡りが発生する前にファクタリングによって売却するようにしてください。
不渡りが起きそうな取引先と取引する際の注意点を教えてください
取引しないという選択肢も1つですが、それでも取引をする場合には売掛債権による取引ではなく現金決済を利用するようにしましょう。
現金決済に応じない場合には、売掛債権に保証をつけることができる保証ファクタリングの利用を検討してみるのもよいでしょう。
手形取引と売掛金のどちらがよいのでしょうか?
一般的に手形の方が支払いまでの期日は長くなる傾向があり、売掛金は1ヶ月〜2ヶ月先が期日となります。
入金サイトをできる限り早めたいのであれば売掛金の方がよいでしょう。
また、手形は裏書譲渡や手形割引などによって支払手段として利用することができるのがメリットですが、今は売掛債権のファクタリングやABLで資金調達可能ですし、でんさいであれば支払手段としても活用可能です。
手形取引は年々減少しており、管理コストも発行コストもかかるので特段こだわりがないのであれば、売掛金での決済で十分でしょう。

まとめ

不渡りを出すと最悪のケースとして銀行取引停止処分によって倒産に至ってしまうことがあります。

当座預金口座の中には十分な残高を確保し、絶対に手形や小切手の不渡りを出さないよう徹底してください。

また、不渡り手形や小切手を抱えてしまった場合には緊急で資金調達が必要です。

銀行融資・ビジネスローン・ファクタリングなどの方法がありますが、それぞれの資金調達手段は一長一短です。

メリット・デメリットを十二分に理解して、適切な方法で資金調達してください。