ファクタリングは売掛債権を期日前に売却する方法ですが、支払いサイクルについて理解をしておくことが非常に重要です。

ファクタリング後の支払いサイクルを理解しておかないとファクタリング会社に対する返済を怠ってしまう可能性があります。

また、ファクタリングする売掛債権の支払いサイクルによって審査難易度や手数料が変わるので、自社に有利なファクタリングの方法などについても理解しておくことが重要です。

ファクタリングの支払いサイクルは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングによって異なります。

2社間ファクタリング・3社間ファクタリングそれぞれの支払いサイクルについて詳しく解説していきます。

 

ファクタリングの支払いサイクルは2社間と3社間で異なる

ファクタリングには、自社とファクタリング会社だけの契約である2社間ファクタリングと、自社と売掛先企業とファクタリング会社の3社で契約する3社間ファクタリングがありますが、支払いサイクルは2社間と3社間で異なります。

まずは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いについて詳しく解説していきます。

2社間ファクタリングは自社で返済が必要

2社間ファクタリングとは、自社とファクタリング会社だけで契約するファクタリングです。

売掛先企業は契約には加わらないので、売掛先企業にファクタリングを行なったことが知られることはありません。

そのため、売掛先企業は売掛債権の期日になると、通常通りに自社に代金を振り込むので、その代金を自社がファクタリング会社へ返済しなければなりません。

3社間ファクタリングは自社の返済は不要

一方、3社間ファクタリングでは自社・売掛先企業・ファクタリング会社の3社で契約するファクタリングです。

契約時から売掛先企業の同意を得た上で実行するファクタリングですので、売掛先企業は売掛債権期日にファクタリング会社に対して支払いを行います。

そのため、自社は売掛債権の期日に何もする必要はありません。

3社間ファクタリングでは自社が返済の手続きをする必要はありませんが、売掛先企業がファクタリングに同意しない限りは手続きを取ることができないと理解しておきましょう。

2社間ファクタリングの支払いサイクル

2社間ファクタリングの支払いサイクルは契約〜入金〜返済までざっくりと以下のようになります。

  1. 自社とファクタリング会社が契約締結
  2. ファクタリング会社から自社へ入金
  3. 売掛先企業から自社へ入金
  4. 自社がファクタリング会社へ返済

それぞれの工程の内容について、詳しく解説していきます。

自社とファクタリング会社が契約締結

まずは、自社とファクタリング会社の2社でファクタリングに契約を締結します。

2社間ファクタリングでは売掛先の同意不要で、売掛先に秘密でファクタリングを行うことができます。

自社が任意で取引するファクタリング会社を選択し、申し込みを行い、審査に通過することができれば、自社とファクタリング会社の2社だけで契約することができます。

店舗型のファクタリング会社であれば基本的に対面での契約手続が必要になります。

一方、クラウド型のファクタリングであれば、契約手続はWEB上にて非対面で完結させることが可能です。

ファクタリング会社から自社へ入金

契約手続を終えると、ファクタリング会社が自社の口座へ「売掛債権金額−手数料」で算出された金額を振り込みます。

2社間ファクタリングの場合、審査に通過して契約手続さえ終えれば審査に通過することができるので、早い場合には申込日当日に振込を受けることが可能です。

売掛先企業から自社へ入金

売掛債権期日になると、売掛先企業は通常通りに自社の口座へ売掛債権金額の入金を行います。

2社間ファクタリングにおいては、売掛先企業はファクタリングを行なった事実を知らないので、いつも通りに自社の口座へ入金を行います。

自社にとっては、この売掛債権はすでにファクタリング会社へ売却したもので、自社のものではありません。

入金になった代金は絶対に使わないようにしてください。

自社がファクタリング会社へ返済

売掛先企業から入金があったら、原則として当日中に自社がファクタリング会社へ入金があった金額全額をファクタリング会社へ返済します。

2社間ファクタリングにおいては、資金が自社を経由してファクタリング会社へ返済するという流れです。

この際に自社がファクタリング会社へ返済せずに、資金流用してしまうリスクがあるので、2社間ファクタリングの手数料は一般的に3社間ファクタリングよりも高くなります。

3社間ファクタリングの支払サイクル

契約に売掛先が関与する3社間ファクタリングでは契約から返済まで凡そ以下のような流れで行われます。

  1. 自社と売掛先企業とファクタリング会社が契約締結
  2. ファクタリング会社から自社へ入金
  3. 売掛先企業がファクタリング会社へ返済

3社間ファクタリングの支払いサイクルについて詳しく見ていきましょう。

自社と売掛先企業とファクタリング会社が契約締結

3社間ファクタリングでは、自社と売掛先企業とファクタリング会社の3社で契約を締結します。

最初から売掛先企業の同意を得て、売掛先企業とファクタリング会社が支払いに関するスケジュールなどを合意した上でファクタリング契約を行います。

自社と売掛先企業だけで契約できるわけではないので、契約手続には1週間くらいの時間が必要になると考えた方がよいでしょう。

また、3社間ファクタリングでは売掛先企業の同意を得ることができない限りは契約することはできません。

ファクタリング会社から自社へ入金

契約手続が完了すると、ファクタリング会社へ債権譲渡を行い、ファクタリングから売却した代金が入金になります。

「売掛債権金額−手数料」の金額が自社の口座へ振り込まれ、契約完了後すぐに入金を受けることが可能です。

したがって3社間ファクタリングにおいては、売掛先がファクタリングに対して協力的であればあるほど入金までに時間がかかりません。

売掛先企業がファクタリング会社へ返済

3社間ファクタリングでは事前に売掛先の同意を得てファクタリングを行います。

そのため、売掛債権の期日には売掛先企業がファクタリング会社に対して直接代金を支払います。

3社間ファクタリングでは、売掛先企業とファクタリング会社が直接やり取りを行うので、ファクタリング代金を受け取った後、自社は何もする必要はありません。

3社間ファクタリングの支払いサイクルでは、ファクタリング会社が売掛先企業から直接代金を受け取るので、自社が資金を流用するなどのリスクはありません。

そのため、2社間ファクタリングよりも手数料がかなり低くなることが一般的です。

支払いサイクルが長い売掛債権をファクタリングする際の注意点

ファクタリングから返済までのサイクルが長くなる期日の長い売掛債権をファクタリングする場合には以下の2つの点に注意しなければなりません。

  • 審査が厳しくなる
  • 手数料が高くなる

簡単に言えば、期日の長い売掛債権はファクタリング会社にとってもリスクがあるので、厳しい審査が行われ、手数料も高くなる傾向があります。

支払いサイクルが長い売掛債権をファクタリングする際の2つの注意点について詳しく理解しておきましょう。

審査が厳しくなる

支払いサイクルが長い売掛債権をファクタリングした方が、ファクタリングの審査は厳しくなります。

入金の期日までの時間が長い方が、ファクタリング会社にとってはリスクが高いためです。

例えば、期日まで数週間程度の売掛債権であれば「業況が大きく変化することもなく、期日通りに入金することができるだろう」と、一般的に判断されます。

しかし、数ヶ月先まで期日にならないような売掛債権をファクタリングする場合には「もしかしたら業況が悪化して売掛債権がデフォルトするかもしれない」と判断される可能性があります。

また、そもそもそれだけの長い期間の期日を設定していること自体「資金繰りが厳しい」と、ネガティブに判断されてしまうでしょう。

このように、支払いサイクルが長い売掛債権は、ファクタリング会社にとってリスクが高いので、厳しい審査が行われ、場合によっては審査に落とされてしまう可能性もあります。

手数料が高くなる

支払いサイクルが長い売掛債権のファクタリングは手数料が高くなる傾向にあります。

前述したように、支払いサイクルが長い売掛債権はファクタリング会社にとってリスクが高くなるので、このリスクを補填するために高い手数料を設定します。

そもそも、支払いサイクルが長い売掛債権をファクタリングするということは、ファクタリング会社が代金を立て替える期間が長いということですので、立て替え期間分に相当する手数料が要求され、手数料は高くなる傾向があります。

支払いサイクルが長い売掛債権をファクタリングするということは、審査に通ったとしても手数料は高額になる可能性が高いということも理解しておきましょう。

ファクタリングの支払いサイクルに関してよくある質問

支払いサイクルの長い売掛債権と短い売掛債権のどちらをファクタリングすべきでしょうか?
資金繰りを円滑にしたいのであれば、支払いサイクルの長い売掛債権を先にファクタリングすべきでしょう。
支払いサイクルの長い売掛債権をファクタリングした方が手元に資金が残る期間が長くなり、資金繰りは順調になるためです。
ただし、支払いサイクルが長い売掛債権の方が審査は厳しく手数料は高くなってしまいます。
そのため、単に「すぐに現金が必要」という場合には手数料が低く、審査にも通りやすい支払いサイクルが短い売掛債権をファクタリングした方がよいでしょう。
目的に合わせてどの売掛債権をファクタリングするか決定しましょう。
ファクタリング業者への分割払いは可能ですか?
ファクタリング会社へ分割払いすることは原則的に不可能です。
ファクタリング会社への支払いは一括回収しか原則的に認められていないので、一括で支払われない場合には財産の差し押さえなどの法的措置が取られるリスクも覚悟しておかなければなりません。
大手ファクタリング会社の中には、どうしても支払いが難しいのであれば、支払いの遅延や分割に応じてくれる場合もあるので、相談してみる価値はあるでしょう。
支払いに遅れる場合には必ず事前に連絡し、くれぐれも黙って遅れるということがないようにしてください。
ファクタリング会社へ返済する前に売掛先企業が倒産したらどうなりますか?
通常、ファクタリングは償還請求権なしで行われるので、ファクタリング後に売掛先企業が倒産したとしても自社に責任は及びません。
もしもファクタリング会社が倒産しても、その損失はファクタリング会社が負うことになります。
ただし、ファクタリングの中には償還請求権ありで行われるケースもあります。
この場合には、デフォルトした売掛債権の損失を自社が負わなければなりません。
償還請求権ありにも関わらず高額な手数料を設定する業者とは取引せず、必ず契約前には償還請求権なしであることを確認するようにしてください。
定期的に利用するのであれば2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらがよいでしょう?
3社間ファクタリングは、売掛先企業とファクタリング会社が直接やりとりをするので、自社に回収の手間などはありません。
自社の回収業務を効率化することになりますし、2社間ファクタリングよりも手数料が低いのでメリットがあります。
3社間ファクタリングに同意してくれる取引先があるのであれば、取引先の同意を得た上で当該取引先については恒常的に3社間ファクタリングをするようにしましょう。

まとめ

ファクタリングの支払いサイクルは2社間と3社間で異なり、2社間ファクタリングの方が入金速度は早いものの、売掛債権期日には自社が返済する手間がかかります。

一方、3社間ファクタリングは契約時に手間と時間がかかりますが、返済時には何もする必要はありません。

それぞれの入金から返済までのサイクルを理解して、自社に最適なファクタリングの形態を選択するようにしましょう。

なお、支払いサイクルの長さによって審査難易度も手数料も異なるので、ファクタリングを行う売掛債権については慎重に検討すべきでしょう。