個人が給料日前に給料を受け取ることができる給料前払いサービスというサービスが存在します。

給料前払いサービスは会社と業者が提携して、従業員の福利厚生や雇用確保のインセンティブとして行われているものですが、給料前払いサービスと給料ファクタリングを同一視している人が多いようです。

給料前払いサービスと給料ファクタリングは「給料日前にお金を受け取ることができる」という点は同じでも、中身は全く異なるものです。

給料前払いサービスは安全に利用することができますが、給料ファクタリングを利用することは危険が伴います。

給料前払いサービスと給料ファクタリングの違いについて解説していきます。

個人向けの給料前払いサービスとは?

給料の前払いを受けることができる給料前払いサービスは、導入している会社に勤務することによって誰でも安全に利用することができます。

給料前払いサービスとは、勤務する会社が提携している事業者から給料の前払いを受けることができるシステムです。

主に決済代行業者が給料前払いサービスを取り扱っており、以下のようなサービスが有名です。

  • CRIA(クリア)
  • GMO給与前払い
  • Payme(ペイミー)
  • 楽天早トク給与
  • キュリカ
  • Advanced pay SAISON

GMOや楽天やセゾンなどの大手企業も参入しており、このような業者から給料の前払いを受け、後日会社と業者が精算するような仕組みになっています。

給料前払いサービスには以下の4つの特徴があります。

  • 勤怠実績と連動している
  • 上司に相談せずに前払いできる
  • 従業員負担はほとんどない
  • 残金は給料日に精算される

まずは給料前払いサービスの特徴を詳しく解説していきます。

勤怠実績と連動している

給料前払いサービスは、会社の勤怠実績と連動しています。

「何時間働いたのか」という勤怠実績と前払いサービスのシステムを連動させて「すでに働いた未払い分の給料はいくらなのか」ということをすぐに知ることが可能です。

従業員は、「自分が受け取ることができる金額」の範囲内で前払いを受けたい金額を申請し、最短即日(業者によって異なる)で給料の前払いを受けることができます。

上司に相談せずに前払いできる

給料前払いサービスは、上司などに「前払いを受けたいのですが」と相談する必要はありません。

どうしても緊急時に、すでに働いた分の給料の前払いを求めるのは従業員の権利で、会社には応じる義務があります。

しかし、どうしても上司や経営者に「前払いをして欲しい」などと申し出ることには抵抗があると感じる人が大半です。

給料前払いサービスであれば、PCやアプリから、金額を入力して申請するだけですので、わざわざ上司に「前払いしたい」と言う必要もありませんし、給料担当の部署でない限りは「前払い申請をした」ということを知られる心配すらないでしょう。

システムを導入していない企業であれば、非常に言い出しにくい給料の前払いを気軽に申請することができるのは従業員にとって大きなメリットです。

従業員負担はほとんどない

給料前払いサービスは企業が従業員を確保するためのインセンティブとして導入するシステムです。

そのため、給料の前払いを受けるための従業員負担はほぼありません

導入コストと運営コストを負担するのは企業で、従業員が負担するコストは振込手数料程度です。

「給料日前だから短期間だけお金を借りる」とカードローンなどを利用する人も少なくありませんが、給料前払いサービスを導入している企業で働くことによって、資金調達コストほぼなしで給料の前払いを受けることができます。

残金は給料日に精算される

給料前払いサービスで利用した分は給料日に精算されます。

例えば、給料が20万円、前払いした給料が9万円だった場合、給料日に振り込まれてくる給料は11万円です。

前払いした金額を返済する手間などは一切かかりません。

また、「前払いした金額はいくら」「残高はいくら」ということは勤怠実績と連動したシステムによって一目で分かるようになっているので、生活設計を立てやすいというメリットがあります。

給料前払いサービスと給料ファクタリングの5つの違い

給料前払いサービスと似たものとして給料ファクタリングという資金調達方法が存在します。

給料ファクタリングは似ているようで全く異なるものです。

給料前払いサービスは合法ですが、給料ファクタリングは違法の可能性が極めて高い行為です。

両者には以下の5つの違いがあります。

  • 違法性の有無
  • 手数料
  • 審査の有無
  • 勤務先との関係性の有無
  • 運営会社の性質

給料前払いサービスと給料ファクタリングの違いについても詳細に理解しておきましょう。

違法性の有無

前述したように、給料債権は譲渡することが法的に不可能ですので、給料ファクタリングには何も法的根拠がありません。

むしろ労働基準法・貸金業法に違反した違法行為だと言えるでしょう。

一方、給料前払いサービスは労働基準法第25条の条文に則った合法的な行為です。

労働基準法第25条には給料の前払いに関して以下のように明記されています。

使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

参考:労働基準法第25条

緊急時に給料の前払いを受けることは労働者の権利で、さらに法律は給料の前払いを禁じてはいないので、給料前払いサービスには違法性は何もありません

手数料

給料前払いサービスと給料ファクタリングでは手数料も全く異なります。

  • 給料前払いサービス:振込手数料のみ
  • 給料ファクタリング:20%前後

すでに働いた分の給料の前払いを受けるのであれば、給料前払いサービスの方が圧倒的にメリットがあります。

給料ファクタリングはたった数日の利用でも給料のうちの20%程度を手数料として取られてしまうので、利用してはいけません。

審査の有無

給料前払いサービスと給料ファクタリングは審査の有無も異なります。

  • 給料前払いサービス:審査なし
  • 給料ファクタリング:審査あり

給料前払いサービスは、すでに働いて未払いになっている分の給料を会社と連携して支払うだけですので審査はありません。

一方、実質的な貸付である給料ファクタリングは「申込者の審査はない」と言いながら、「給料日にしっかりと支払うことができる人かどうか」を審査しています。

過去に給料ファクタリング会社への支払い遅れがあった人などは審査に通過することができないこともあります。

勤務先との関係性の有無

給料前払いサービスは、勤務先と決済業者などが連携して、「会社の給料支払システムの1つ」として導入されたサービスです。

一方、給料ファクタリングは申込者と給料ファクタリング会社の2者だけで契約するものですので、勤務先は間に入らず、勤務先の知らないところで給料債権が売却されることになります。

勤務先と連携している給料前払いサービスは安心して利用できますが、どんな業者か分からない給料ファクタリングは安心して利用することはできません

運営会社の性質

給料前払いサービスを提供しているのは主に決済代行会社で、その中にはGMOや楽天やセゾンなどの大手企業も存在します。

運営会社が合法かつ安心な業者なのが給料前払いサービスです。

一方、給料ファクタリング会社は、実質的な貸付行為を無登録で行っている違法業者です。

給料ファクタリングを行う業者はいわゆる闇金であると考えて差し支えありません。

給料前払いサービスは安心できる業者で、給料ファクタリングは違法業者という非常に大きな違いがあります。

この点でも給料前払いサービスは利用すべきではありません。

給料前払いサービスについてよくある質問

給料前払いサービスのある会社に勤務したいのですが
給料前払いサービスを導入しているかどうかを一覧で掲載しているサイトも存在します。
「給料前払い 企業」などと検索すると調べることができますのでまずは調べてみるとよいでしょう。
ただし、このようなサービスを導入している企業は日々増えているので、働こうとしている会社のホームページなどから「給料前払いを導入しているか」ということを確認してから応募するのが確実です。
給料前払いサービスを導入していない会社に勤務しているのですが前払いは受けられませんか?
緊急で従業員がお金を必要としているのであえば、会社は従業員の前払い要請に応じる必要があります。
そのため、給料前払いサービスを導入していない会社でも、上司や給与担当部署や経営者などに前払いを交渉することは可能です。
ただし、実際に前払いの要請に応じるかどうかは会社によって対応が異なるのが現実ですので、必ず前払いを受けることができるとは限りません。
個人の副業の売掛債権をファクタリングすることはできないのでしょうか?
副業がバイトの給与所得ではなく、ネット通販やライターやプログラミングなどの事業収入であればその売掛債権をファクタリングによって早期資金化することは可能です。
通常のファクタリングは給料ファクタリングとは異なり合法です。
給料はファクタリングできませんが、事業の売上の売掛債権をファクタリングすることは合法ですので自分のニーズに見合ったファクタリング会社へ相談してみましょう。

給料前払いを検討されている方へ

個人の給料を給料日前に資金化する方法として給料前払いサービスと給料ファクタリングがあります。

給料前払いサービスは大手決済業者などが提供している完全に合法なサービスですが、給料ファクタリングは違法行為です。

両者には以下のような違いがあります。

  • 違法性の有無
  • 手数料
  • 審査の有無
  • 勤務先との関係性の有無
  • 運営会社の性質

給料ファクタリングを利用するということは、いわゆる闇金からお金を借りていることと同じだと考えて、どんなにお金に困っていても絶対に利用してはなりません。

「毎月、給料日前になるとお金がない」「カードローンをよく利用している」という人は、給料前払いサービスを導入している会社で勤務するとよいでしょう。