ファクタリングで資金調達を検討されている経営者の方は、「ファクタリングでオフバランス化ができる」という話も聞いたことがあるのではないかと思います。

オフバランスとは、貸借対照表(バランスシート)の資産や負債を減らす(オフ)することを指します。

貸借対照表の資産や負債を減らしてバランスを取ることは、企業価値を高める要因となります。

では、どのような仕組みの上で「ファクタリングでオフバランス化ができる」のでしょうか?

今回は貸借対照表を用いて、また借入との比較も織り交ぜながら、ファクタリングのオフバランス化について解説します。

オフバランスとは

オフバランス化とは?

オフバランスとは、貸借対照表(バランスシート)の資産や負債を減らす(オフ)することを指します。

ファクタリングの場合は資産である売掛債権を売却するため、資産のオフバランス化につながります。

この説明だけでは、資産の部にある売掛債権を、同じく資産の部にある現金に交換しただけであって、資産は減少していないように思えます。

しかし、オフバランスのもっとも重要なポイントは、「企業が如何に総資産を効率的に活用して利益に結びつけているか」を示すことです。

企業の当期純利益を総資産で割った数値をROA(総資産利益率=当期純利益/総資産)と言い、この数値を向上させることがオフバランス化の目的の1つであり、引いては企業価値を向上させることにつながります。

ファクタリングで売掛債権を現金化すれば、事業用に使えるキャッシュ(現金)が増え、より効率的に利益を上げることができる。これがファクタリングによるオフバランス化です。

ファクタリングがオフバランス化につながる仕組み

オフバランス化とは、賃借対照表(バランス)の資産・負債を減らす(オフ)ことと解説しました。

なぜファクタリングを利用することがオフバランス化につながるのか、その効果は、同じく企業の資金調達方法のひとつである融資と比較することで、より理解が深まります。

ここでは、以下のモデルケースが融資をした場合とファクタリングをした場合とで比較して、オフバランス化の効果を見ていきましょう。

A社の貸借対照表

借方 貸方
現金 500万円 借入金 100万円
資本金 500万円
(うち利益 100万円)
売掛金 100万円
合計 600万円 合計 600万円

ファクタリングで資金調達した場合

A社が100万円の売掛債権を手数料5%のファクタリングで資金化した場合の貸借対照表は、以下のとおりです。

売掛金を売却せずに期日を待てば、100万円の利益となりますが、ファクタリングを利用することで10万円のファクタリング手数料(勘定科目:売上債権売却損)が発生するため、借方の「現金」と貸方の「利益」からそれぞれ10万円を差し引きます。

借方 貸方
現金 590万円 借入金 100万円
資本金 490万円
(うち利益 90万円)
合計 590万円 合計 590万円

ファクタリングで資金調達したことにより、A社の当期純利益は90万円、総資産額は590万円となります。

このときのROAは、

当期純利益90万円 / 総資産590万円 * 100% = 【15.25%です。

借入で資金調達した場合

A社が取引銀行から100万円を借り入れた場合の貸借対照表は、以下のとおりです。

借方の「現金」、貸方の「借入金」がそれぞれ100万円増加します。

借方 貸方
現金 600万円 借入金 200万円
資本金 500万円
(うち利益 100万円)
売掛金 100万円
合計 700万円 合計 700万円

借入で資金調達したことにより、A社の当期純利益は100万円のまま、総資産額は700万円となります。

このときのROAは、

当期純利益100万円 / 総資産700万円 * 100% = 【14.28%

です。

同じ100万円の資金調達ですが、ファクタリングと銀行融資をROAで比較すると、前者のほうが上昇していることがわかります。

ファクタリングによるオフバランス化のメリット

ファクタリングによるオフバランス化のメリット

ファクタリングによって売掛債権を資金化すること=オフバランス化することによって、以下のようなメリットが得られます。

  • 事業に使えるキャッシュが増える
  • 企業価値が向上して資金調達が有利になる

キャッシュが増える

売掛債権は、なるべく早くキャッシュに換えるに越したことはありません。

いつまでも資金化できない売掛債権は支払いなどに使えず、キャッシュフローが悪化します。

また、保有期間が長くなるほど回収不能リスクが高くなります。

ファクタリングによって未回収の売掛債権を資金化すれば、事業用に使えるキャッシュが増え、資金繰りが改善します。

企業価値が向上して資金調達が有利になる

ファクタリングによってオフバランス化を図ると、ROAが向上するということは解説したとおりです。

ROAの向上はすなわち、金融機関から「総資産を効率的に活用して利益に結びつける経営をしている」と評価されることにつながります。

したがって、金融機関からの評価がアップ=企業価値の向上、引いては融資や投資などの資金調達でも有利になります。

ファクタリングによるオフバランス化のデメリット

ファクタリングによるオフバランス化でROAが向上すると、銀行融資やビジネスローンなどの審査で有利になります。

将来的に、融資を受けての事業拡大や設備投資を想定するのであれば、オフバランス化で企業評価を高めるに越したことはありません。

一方で、ファクタリングを利用することにより、手数料分の利益が減少するという点に注意が必要です。

とくに2社間ファクタリングは手数料相場が10~20%と高めで、企業収益を大きく圧迫します。

金融機関による企業評価は、ROAのみならず、継続して一定の利益を生み出せる基礎体力があることも重視されるため、手数料負担の大きいファクタリングは、かえって企業評価を下げる可能性もあります。

オフバランス化に関するQ&A

ファクタリングのオフバランス化に関して、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。

Q.長期保有している売掛債権をファクタリングで資金化するメリットを教えて下さい。
A.ファクタリングによって、今すぐ事業に使える現金(キャッシュ)に変えられるほか、長期保有の債権のリスクである回収不能リスクをファクタリング会社に移行します。万が一、売掛先が倒産しても自社の連鎖倒産や黒字倒産を回避できます。
Q.企業の「継続して一定の利益を生み出せる基礎体力」とは、具体的にどのような数値で表されますか?
A.企業の基礎体力を表す数値に、経常利益率(経常利益÷売上高×100)があります。経常利益とは「本業を含めた継続的な活動によって得られる利益」を指し、あくまで1つの指標ですが、経常利益率が高ければ高いほど、金融機関から「基礎体力の高い企業」と評価されます。
Q.資金調達ではなく、オフバランス化を目的としてファクタリングを利用できますか?
A.利用できます。ファクタリングで調達した資金は、事業用であれば資金使途は問われません。当然ながら、オフバランス化を目的として手元に残すだけでも、ファクタリングを利用することは可能です。

ファクタリングは手数料負担を抑えることがマスト

ファクタリングによるオフバランス化が、企業価値の向上に寄与する仕組みがご理解いただけたでしょうか?

多くの企業はファクタリングを資金調達手段の1つと捉えていますが、実は企業価値を高め、融資や投資でも有利になるのです。

一方で、ファクタリングを利用する際は、手数料負担も考慮する必要があります。

ファクタリングの手数料負担が大きいと、かえって資金繰りが悪化し、結果的に企業価値を下げてしまうことにもつながります。

ファクタリングを利用する際は、でき得る限り手数料の低い業者を選びましょう。