IT導入補助金は、幅広いITツールの導入費用を補助してくれる制度です。中でも、人気のあるクラウド型システム「freee」をIT導入補助金で導入したい企業も多いでしょう。
freee会計・freee人事労務などのfreee製品は、IT導入補助金の補助対象です。IT導入補助金を利用すれば、freee製品の初期コストを抑えて導入できます。また、IT導入支援事業者のサポートも受けられるため、導入後の運用もスムーズです。
今回はIT導入補助金を活用したfreee製品の導入について、必要書類・2024年のスケジュールも紹介します。本記事を読めば、IT導入補助金の申請をスムーズに完了させて希望のfreee製品を滞りなく導入が可能です。IT導入補助金でfreee製品を低コストで導入し、バックオフィス業務の効率化を図りましょう。
そもそもfreeeとは?
freeeは、特に中小企業・個人事業主向けに提供されているバックオフィス業務を効率化するクラウド型ITツールです。特に、会計業務の効率化を図る「freee会計」・勤怠管理・給与計算などができる「freee人事労務」は多くの企業で活用されています。
大きな特徴は、使いやすさ・手軽さを追求したインターフェースです。会計・労務などバックオフィス業務に必要な知識が少ない方でも直感的に操作できます。
具体的には「freee会計」の場合、領収書・請求書の入力がスマートフォン・パソコンから簡単にできます。また、データの自動連携により記帳・仕訳作業が大幅に効率化できる点も魅力です。銀行口座・クレジットカードと連携して取引情報を自動で取り込み、会計処理をスムーズに進められるのもポイントです。
freee製品の多くはIT導入補助金の対象にもなっており、導入費用の一部を補助金でまかなえます。IT導入補助金を活用できるため、コストを抑えながら業務効率を向上させられます。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは企業の業務効率化・生産性向上を支援するため、経済産業省が提供している補助金制度です。IT導入補助金では、会計ソフト・顧客管理システム・POSレジといったITツールの導入費用の一部が補助されます。
対象となるITツールは、IT導入補助金事務局で事前に登録されたものに限られます。利用する企業は、指定されたツールを選んで補助金の申請が可能です。また、IT導入補助金は利用目的に応じて以下の申請枠にわかれています。
申請枠 | 概要 |
通常枠 | 自社の課題にあったITツールを導入し、業務効率化・売上アップをサポートする申請枠 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト、PC・ハードウェア等を導入し労働生産性の向上をサポートする申請枠 |
インボイス枠(電子取引類型) | 発注者がインボイス制度対応の受発注ソフトを導入し、受注者に対して無償でアカウントを利用させる場合に導入費用の一部を支援 |
セキュリティ対策推進枠 | セキュリティ対策を目的に、セキュリティサービスを利用する際の費用を補助 |
複数社連携IT導入枠 | 複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツール・ハードウェアを導入し、地域DXの実現・生産性の向上を図る取り組みを支援 |
IT導入にかかるコストを軽減できれば業務効率化に踏み切りやすくなるため、デジタル化が遅れている企業にとって有用です。また、導入するITツールの種類・企業の状況に応じて、最大で導入費用の半分以上が補助されます。経費を抑えながら成長を目指す企業にとって、強力な支援策です。
IT導入補助金でfreee製品は導入できる
IT導入補助金を利用すれば、会計ソフト・人事労務ソフトなどを提供する「freee」の製品も導入が可能です。freeeはバックオフィスの業務効率化を実現できるクラウドツールとして、多くの中小企業・個人事業主に支持されています。
IT導入補助金を活用すれば導入費用の一部が補助されるため、コストを抑えながら業務のIT化を進められる点がメリットです。特に、業務負担の大きい会計・労務分野のツールであれば、日常的な業務負担を軽減して作業の精度・効率を向上させられます。
IT導入補助金の対象となるITツール
IT導入補助金の対象となるITツールは、業務効率化・生産性向上に貢献する製品が中心です。主に、事務作業の自動化・管理業務のデジタル化を支援するITツールが選定されています。申請枠によっても異なりますが、通常枠では以下のようなITツールが対象です。
- 会計・経理ソフト
- 人事労務システム
- 給与計算システム
- 顧客管理ツール(CRM)
- 販売管理システム
- 在庫管理システム
事前にIT導入補助金事務局から認定を受けているITツールが対象で、導入企業は認定リストからツールを選択する形です。認定されているITツールの一覧は公式ホームページの「ITツール・IT導入支援事業者検索」から検索できます。
対象ツールは中小企業・小規模事業者が業務負担を軽減し、デジタル化によって競争力を高めるためのものに特化しています。初めてのITツール導入でも、効果を実感しやすいものが揃っている点が特徴です。
IT導入補助金で補助対象となるfreee製品一覧
IT導入補助金を活用すると、freeeの製品ラインナップの中でも業務効率化に貢献するツールの導入費用を軽減できます。以下では、補助対象となるfreeeの各製品について特長と導入のメリットを詳しく紹介します。
freee会計
freee会計は、中小企業・個人事業主向けに開発されたクラウド会計ソフトです。経理・会計業務を自動化し、効率を大幅に向上させられます。
領収書・請求書をスマートフォンからスキャンして、簡単にデータ化できる点が特徴です。スキャンした会計データを自動で仕訳してくれるため、記帳作業の負担を減らせます。
また、銀行口座・クレジットカードと連携して取引情報がリアルタイムで反映されるため、キャッシュフローの把握も簡単に行えます。集計したデータをもとにワンクリックで決算書を作成でき、財務書類の準備にかかる手間を削減できる点も魅力です。
freee人事労務
freee人事労務は、給与計算・勤怠管理・社会保険の手続きなどを一元管理できるクラウド型の人事・労務管理ツールです。従業員が入力した勤怠情報がそのままシステムに反映されるため、転記作業がなくなり人為的ミスを減らせる点が魅力です。勤怠管理から給与計算・給与明細の発行まですべてをシステム内で完結させられ、ペーパーレス化も図れます。
また、入社・退社に伴う社会保険の手続きもオンラインで完了でき、労務管理の負担が大幅に軽減されます。アラート機能を搭載しており、社会保険の月額変更届など期日が決まっている作業も抜け漏れを防ぎやすい点がメリットです。
freee販売
freee販売は、見積書・請求書の発行から受発注・入金管理までを一元化した販売管理ソフトです。案件・プロジェクトごとの人件費・経費を自動で集約できる機能があり、コスト管理を効率化できます。
また、属人的になりがちな見積もり・受注情報を一元管理できるため、請求漏れがないかも一目で確認できる点が魅力です。freee販売内で請求書発行から送付までを完結でき、営業から経理への連携もスムーズにいきます。
売上・仕入れ情報を登録すれば、案件ごとに売上・粗利をレポート化して表示させられる点も特徴です。期間ごとの売上・粗利の見込みも簡単に把握できるため、会議等での報告資料作成の手間も省けます。
freee工数管理
freee工数管理は、プロジェクトごとの作業時間を可視化して工数を効率的に管理するためのツールです。工数入力がカレンダー上から入力できる仕様となっており、ITツールになれていない方でも問題なく利用できます。
従業員が入力した工数情報は自動集計されるため、管理者が分析する手間を省いて簡単にプロジェクトの進捗状況を把握できます。工数入力の抜け漏れがあれば自動でリマインドしてくれる機能もあり、より正確な工数管理が可能です。
Googleカレンダー・Outlookと連携でき、最短3クリックで1日の工数を入力できる点も魅力です。従業員が工数情報を入力する手間を大きく削減し、効率的な工数管理ができます。
その他のfreee製品
上記の他にもfreeeは様々な業務効率化ツールを提供しており、以下の製品はIT導入補助金の対象となります。
製品名 | 概要 |
社会福祉法人 with freee | 社会福祉法人会計基準にのっとった財務管理ができるITツール |
freee勤怠管理plus | 「freee人事労務」よりも勤怠管理に特化したITツール |
freee for Salesforce | Salesforceと連携して見積もり・受発注・請求管理ができるITツール |
freeeエクセルアドイン | freee会計内にある「総勘定元帳一覧」の情報をエクセルに出力できる拡張機能 |
freee支出管理 | 経費精算・請求処理・カード支払いなど会社で支払うお金をまとめて管理できるITツール |
BUNDLE by freee | SaaSのアカウント発行・棚卸し作業を自動化できるITツール |
なお、通常枠・インボイス対応類型では、ITツールの導入費用だけでなく拡張機能などのオプションも補助対象です。上記のITツール・拡張機能は特定の業務に特化して設計されており、業務負担の軽減・情報の一元化を実現できます。
上記のfreee製品はすべてIT導入補助金の対象であるため、企業の状況に合わせて柔軟に選択が可能です。業務全体の効率化・生産性向上を目指す企業にとって、IT導入補助金の活用は大きなメリットとなります。
IT導入補助金を利用した場合としない場合のfreee製品料金比較
IT導入補助金を利用した場合としない場合で、freee製品の料金を比較してみましょう。ちなみに、IT導入補助金ではクラウドサービスの場合、2年間までの利用料が補助対象となります。例えば、中小企業が「freee会計」を2年間導入した場合、通常は以下の費用がかかります。
内容 | 金額(税抜) | 備考 |
freee会計スタンダードプラン | 47,520円 | クラウド利用料2年分(1年あたり23,760円) |
合計 | 47,520円 |
一方で、IT導入補助金を利用して「freee会計」を2年間導入した場合の費用は、以下の通りです。
内容 | 金額(税抜) | 備考 |
freee会計スタンダードプラン | 47,520円 | クラウド利用料2年分(1年あたり23,760円) |
補助額 | 35,460円 | 中小企業は補助率3/4 |
合計 | 12,060円 |
上記を比較すると、IT導入補助金を利用した方が35,460円安く「freee会計」を2年間利用できます。ただし、IT導入補助金を利用する場合はIT導入支援事業者を通してITツールを導入しなければなりません。事業者によってはサポート費用などがかかるケースもあるため、正確な金額を知りたい場合は見積もりをとりましょう。
freee製品の導入は通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)のいずれか
事業者が単体でfreee製品を導入する場合、「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応類型)」のいずれかを選べます。通常枠は幅広いITツールの導入に適用され、ほぼすべてのfreee製品が対象です。
一方、インボイス枠(インボイス対応類型)はインボイス制度対応のITツール導入が対象ですが、補助率が高く設定されています。事業のニーズ・インボイス制度への対応状況に応じて、適切な申請枠を選んで効果的に補助金を活用しましょう。
補助率が高いインボイス枠(インボイス対応類型)がおすすめ
インボイス枠(インボイス対応類型)は補助率が通常枠よりも高いため、導入するfreee製品が対象であればおすすめです。インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応できる会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトが対象となります。具体的にインボイス枠(インボイス対応類型)で対象となるfreee製品は、以下の通りです。
- freee会計
- freee for Salesforce
- freee 販売
- freee債権
- freee支出管理
- 社会福祉法人 with freee
特に、インボイス制度対応が急務な企業には、freee製品で消費税管理・適格請求書の発行がスムーズになります。インボイス枠では対象となるITツールの導入費用が通常枠以上に補助されるため、実質的な負担をさらに減らしながら導入できる点が魅力です。
通常枠の補助率・補助額
通常枠の補助率・補助金額は、以下の通りです。
補助率 | 1/2以内 |
補助額 | 1プロセス以上:5万円以上150万円未満
4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
補助率は1/2以内となっており、補助額は最大450万円までです。なお、上記のプロセスとは導入するITツールが対応する業務内容です。公募要領では、具体的に以下の業務プロセスを設定しています。
種別 | プロセス名 | |
業務プロセス | 共通プロセス | 顧客対応・販売支援 |
決済・債権債務・資金回収 | ||
供給・在庫・物流 | ||
会計・財務・経営 | ||
総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス | ||
業種特化型プロセス | 業種固有プロセス | |
汎用プロセス | 汎用・自動化・分析ツール
(業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア) |
ITツールが上記のプロセスを満たす数によって、補助金額の上限が変わる仕組みです。なお、通常枠は幅広い企業業務に対応するITツールが対象であるため、freee製品全般が対象となります。インボイス枠(インボイス対応類型)では対象とならない「freee人事労務」などの製品を導入する場合は、通常枠を選択しましょう。
インボイス枠(インボイス対応類型)の補助率・補助額
インボイス枠(インボイス対応類型)の補助率・補助額は、以下の通りです。
【インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト】
機能要件 | 補助率 | 補助額 |
会計・受発注・決済のうち1機能以上を有する | 3/4〜4/5 | 50万円以下 |
会計・受発注・決済のうち2機能以上を有する | 2/3 | 50万円超〜350万円以下 |
【PC・ハードウェア等の場合】
補助対象 | 補助率 | 補助額 |
PC・タブレット等 | 1/2 | 10万円以下 |
レジ・券売機等 | 20万円以下 |
引用:インボイス枠(インボイス対応類型)|IT導入補助金2024
通常枠よりも補助率が高く、最大で4/5まで補助されるケースもあります。補助金の上限は最大350万円までです。また、インボイス枠(インボイス対応類型)では、ソフトウェアとともにPC・タブレットなどのハードウェアも補助対象です。
インボイス制度対応に向けて「freee会計」「freee販売」などを導入する際に、インボイス枠(インボイス対応類型)を利用できます。対象となるfreee製品を導入する際は、インボイス枠(インボイス対応類型)を利用しましょう。
通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)の申請スケジュール
IT導入補助金の通常枠・インボイス枠の申請スケジュールは年度ごとに数回に分けて募集が行われ、応募締切が設けられています。直近の公募回における通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)の申請スケジュールは、以下の通りです。
申請枠 | 公募回 | 締切日 | 交付決定日 | 事業実施期間 | 事業実績報告期限 |
通常枠 | 7次締切分 | 2024年10月15日(火)17:00 | 2024年11月22日(金)(予定) | 交付決定~2025年1月16日(木)17:00(予定) | 2025年1月16日(木)17:00(予定) |
インボイス枠(インボイス対応類型) | 12次締切分 | 2024年10月15日(火)17:00 | 2024年11月22日(金)(予定) | 交付決定~2025年1月16日(木)17:00(予定) | 2025年1月16日(木)17:00(予定) |
なお、2024年度は通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)ともに、上記の公募回が最終となっています。今後IT導入補助金を検討している方は、来年度以降のスケジュールを公式ホームページで随時確認しておきましょう。
通常、春から秋にかけて複数の公募が実施され、各公募回ごとに締切が設定されています。事前準備として導入予定のfreee製品が対象ツールとして認定されているか確認し、必要な書類を揃えておきましょう。
通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)も同様に複数の公募回があります。そのため、自社の業務スケジュール・導入計画に合わせて申請のタイミングを調整し、計画的に補助金を活用しましょう。
IT導入補助金の申請で提出する必要書類
IT導入補助金を申請する際には、公募要領で指定された書類を準備する必要があります。通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)の申請に必要書類は、以下の通りです。
【法人の場合】
- 履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 税務署で発行された直近分の法人税納税証明書(「その1」もしくは「その2」)
【個人事業主の場合】
- 運転免許証・運転経歴証明書もしくは住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
- 税務署で発行された直近分の所得税納税証明書(「その1」もしくは「その2」)
- 税務署が受領した直近分の確定申告書控え
引用:公募要領 インボイス枠(インボイス対応類型)|IT導入補助金2024
上記の書類を事前に揃えておけば、申請時に慌てずスムーズな手続きが可能になります。書類不備・漏れがあると手続きが遅れる原因にもなるため、提出前のチェックが重要です。
IT導入補助金の申請手順・ステップ
IT導入補助金の申請は、以下の手順で進めます。
- 公募要領の確認
- gBizIDプライムアカウントの取得・「SECURITY ACTION」宣言の実施
- 「みらデジ経営チェック」の実施
- 希望のfreee製品を扱うIT導入支援事業者を選定
- 交付申請〜交付決定
- freee製品の発注・契約・支払いを実施
- 事業実績報告の提出後に補助金交付
- 定められた期間内に事業実施効果報告を実施
IT導入補助金の申請手順をあらかじめ把握し、スムーズに受給できるように準備しましょう。
1.公募要領の確認
IT導入補助金を申請する前に、まず最新の公募要領を確認しましょう。公募要領には補助金の対象となるITツールの条件・補助金額・必要書類など、申請に関わる重要な情報が網羅されています。
また、対象事業者の要件も記載されているため、自社が補助金の対象となるかどうかも確認できます。公募要領を確認する段階で不明点があれば、IT導入支援事業者や窓口に問い合わせましょう。
2.gBizIDプライムアカウントの取得・「SECURITY ACTION」宣言の実施
IT導入補助金を申請するなら、まずgBizIDプライムアカウントを取得しましょう。gBizIDとは各種行政サービスにアクセスできるアカウントで、gBizIDプライムは法人代表・個人事業主が対象です。gBizIDプライムアカウントは、gBizIDの公式ホームページから申請が可能です。
gBizIDプライムアカウントは、書類郵送・オンラインの2種類から申請方法を選べます。書類郵送は1週間程度時間がかかるため、急ぎの場合は最短即日でアカウント作成できるオンラインで申請しましょう。
また、IT導入補助金の申請にはサイバーセキュリティの取り組みを表明する「SECURITY ACTION」宣言も求められます。情報セキュリティの強化を目的としたもので、企業の安全性をアピールする宣言です。
具体的には、「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかを宣言する必要があります。申請後に入手できる自己宣言IDは発行までに手続きから1週間程度かかるため、余裕をもって進めておきましょう。「SECURITY ACTION」宣言は独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)のホームページから申請が可能です。
3.「みらデジ経営チェック」の実施
IT導入補助金の通常枠を申請する際は、「みらデジ経営チェック」の実施も必要です。「みらデジ経営チェック」とは自社のデジタル化レベルを把握できる診断ツールで、経営上の改善点を見つけるのに役立ちます。実施方法は、以下の手順で行います。
- 公式ホームページにアクセスし、新規事業者登録を行う
- 事業者マイページより、「みらデジ経営チェック」を実施
新規事業者登録の際に、先程紹介したgBizIDプライムアカウントを連携させる必要があります。なお、インボイス枠(インボイス対応類型)の場合は必須要件ではありませんが、実施していると審査で加点評価を得られます。5分程度で完了できるため、インボイス枠(インボイス対応類型)を申請する際も「みらデジ経営チェック」を実施しましょう。
4.希望のfreee製品を扱うIT導入支援事業者を選定
みらデジ経営チェックを終えたら、希望のfreee製品を扱うIT導入支援事業者を選定しましょう。IT導入補助金を申請するには、補助対象となるfreee製品をIT導入支援事業者から導入しなければなりません。freee製品を扱うIT導入支援事業者は、「ITツール・IT導入支援事業者検索」から検索が可能です。
IT導入支援事業者は補助金申請のサポート・製品導入のコンサルティングを行い、導入後のフォローまでサポートしてくれます。適切な事業者を選べば、申請手続き・freee製品の導入をスムーズに進められます。なお、IT導入支援事業者を選ぶ際は補助金申請・freee製品導入に関する実績があるか確認しておきましょう。
5.交付申請〜交付決定
IT導入支援事業者と相談しながら、必要な書類を整えて交付申請を行います。交付申請は、IT導入支援事業者から招待される「申請マイページ」から行う流れです。
申請内容には、事業計画・導入するITツールなど指定された情報を明確に記載する必要があります。情報入力を終えて必要書類を添付したら、IT導入支援事業者のチェックを経て事務局へ提出する流れです。
申請後に審査を経て交付が決定されると交付決定通知が発行され、freee製品を発注・導入できるようになります。正式な交付決定前にfreee製品を導入してしまうと補助対象外となってしまうため、注意しましょう。
6.freee製品の発注・契約・支払いを実施
交付が決定したら、選定したfreee製品の発注・契約・支払いを行います。事前に申請した内容通りに、IT導入支援事業者を通して希望のfreee製品を導入します。
支払い後には請求書・領収書などをしっかりと保管し、事後報告の際に提出できるよう準備をしておきましょう。なお、各公募回で定められた事業実施期間内にfreee製品の導入を完了させる必要があります。
7.事業実績報告の提出後に補助金交付
freee製品の導入完了後、補助金を受け取るには事業実績報告を提出する必要があります。請求書・freee製品を利用していると分かるキャプチャ画面など、必要書類をすべて添付して実績報告する流れです。
事業実績報告を提出した後に確定検査が行われ、問題がなければ補助金の支給が確定して指定口座に振り込まれます。報告内容に不備があると補助金支給が遅れる可能性があるため、支援事業者と連携して正確な報告書を作成しましょう。
8.定められた期間内に事業実施効果報告を実施
補助金を受け取った後も、事業実施効果報告を行う義務があります。営業利益・人件費など、生産性向上にかかる数値目標に関する指定された情報を記載します。
事業実施効果報告は、指定された期間内に実施しなければなりません。公募回ごとに期日が決められていますが、通常枠の7次締切分では以下の期限が定められています。
年度 | 事業実施効果報告対象期間 | 事業実施効果報告期間 |
1年度目 | 2025年4月1日〜2026年3月31日 | 2026年4月〜2026年7月 |
2年度目 | 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 2027年4月〜2027年7月 |
3年度目 | 2027年4月1日〜2028年3月31日 | 2028年4月〜2028年7月 |
1年ごとに1回の報告期間があり、合計3年間は事業実施効果報告が必要です。各報告期間は3ヶ月と短いため、抜け漏れがないようスケジュール管理を実施しましょう。
freee製品を導入するなら支援事業者には「フリー株式会社」
freee製品の導入を検討する際、IT導入支援事業者はフリー株式会社を選びましょう。フリー株式会社は、freee会計・freee人事労務などfreee製品の開発元です。自社製品であるため、他の事業者よりもスムーズに導入を進められます。
また、freee製品の導入実績も豊富に蓄積しており、運用方法に関する的確なアドバイスを受けられる点も魅力です。IT導入補助金を活用したfreee製品の導入は、フリー株式会社の公式ホームページから受け付けています。気になる方は、一度問い合わせてみましょう。
freee製品をIT導入補助金で導入した事例
freee製品をIT導入補助金で導入した事例として、以下の2社を紹介します。
- 株式会社タウン管理サービス|freee会計
- 株式会社ポケットマルシェ|freee会計
IT導入補助金でfreee製品を導入する際は、上記の事例を参考にしましょう。
株式会社タウン管理サービス|freee会計
株式会社タウン管理サービスは、アパート・マンションなど不動産物件の管理を行う会社です。会計情報の管理に課題を感じていたところ、freee会計の導入を進める中でIT導入補助金の存在を知ったのがきっかけでした。
既に導入しているSalesforceと連携させ、情報管理をより効率化させています。Salesforceと連携させ、家賃管理業務など定型業務の自動化を図って業務負担の削減を進めています。
参考:株式会社タウン管理サービス ITツール活用事例|IT導入補助金2024
株式会社ポケットマルシェ|freee会計
株式会社ポケットマルシェは、野菜・果物などの食材を産地直送で宅配するECサイト「ポケットマルシェ」を運営する会社です。既存の会計ソフトでは複数人で作業できなかったため、クラウド型で同時作業ができるfreee会計の導入にいたりました。
以前から存在は知っていたIT導入補助金を活用し、freee会計を導入しています。最大の効果は経理業務の効率化で、オンラインバンキングとの連携で入出金履歴を自動で取り込めるようになりました。取引履歴の入力作業を大幅に軽減でき、従来の作業時間と比較して3割程度削減できています。
IT導入補助金でよくある質問
IT導入補助金でよくある質問として、以下が挙げられます。
- IT導入補助金は何回まで申請できる
- 個人事業主でもIT導入補助金で会計ソフト・パソコンを導入できる?
- IT導入補助金でネットショップの開設費用は対象?
- IT導入補助金は開業したばかりでも申請可能?
IT導入補助金を申請する際は、上記質問への回答を参考にしましょう。
IT導入補助金は何回まで申請できる
IT導入補助金は、原則として申請回数に制限はありません。同一年度で、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)の同時申請も可能です。ただし、直近でIT導入補助金を受給している場合は、審査で減点対象となる点に留意しておきましょう。
個人事業主でもIT導入補助金で会計ソフト・パソコンを導入できる?
個人事業主でも、IT導入補助金を利用して会計ソフト・パソコンの導入が可能です。IT導入補助金は、法人だけでなく個人事業主も対象事業者とされています。
なお、会計ソフトは通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)ともに対象です。しかし、パソコンなどのハードウェアはインボイス枠(インボイス対応類型)でのみ対象となります。
IT導入補助金でネットショップの開設費用は対象?
2024年度のIT導入補助金では、ネットショップの開設費用は補助対象外となっています。2023年度まではデジタル化基盤導入枠にてネットショップの開設費用は補助対象でしたが、2024年度からは廃止されました。ネットショップの開設費用ではIT導入補助金を申請できないため、注意しましょう。
IT導入補助金は開業したばかりでも申請可能?
IT導入補助金は、開業したばかりの事業者でも申請が可能です。開業したタイミングで必要なITツールを導入できれば、業務をスムーズに運営する基盤を早期に整えられます。
ただし、申請には法人税納税証明書・確定申告書などの書類が必要です。そのため、最低でも申請する年の前年に事業を行っていた実績が必要となります。
IT導入補助金でfreee製品を導入して生産性向上を図ろう
IT導入補助金は、中小企業や個人事業主がデジタル化を進めるための支援制度です。freee会計・freee人事労務など幅広いfreee製品の導入費用が補助対象となり、初期投資の負担を軽減できます。
freee製品の開発元であるフリー株式会社から導入すれば、スムーズに申請手続きができる上、充実したサポートを受けられます。また、開業したばかりの事業者でも申請が可能で、事業の効率化を図る絶好のチャンスです。IT導入補助金でreee製品を導入し、バックオフィス業務の効率化を図って生産性を向上させましょう。
この記事を書いた専門家
藤田 春樹