IT導入補助金は多くの事業者が利用していますが、近年では詐欺・不正受給の件数も増加しています。IT導入補助金の利用を検討している事業者の中には、詐欺・不正受給に巻き込まれないか不安な方も多いでしょう。

IT導入補助金で詐欺・不正受給となるケースは、ベンダーから協賛金・紹介料をキックバックされるなどさまざまなパターンがあります。詐欺・不正受給に巻き込まれないためには、事前に手口を把握して必要な対策を講じなければなりません。

今回は、IT導入補助金における詐欺・不正受給の手口について巻き込まれた場合の対処法とともに紹介します。本記事を読めば、IT導入補助金の詐欺・不正受給の手口を把握して未然に被害を防げます。IT導入補助金の詐欺・不正受給による被害を未然に防ぎ、加算金などの損失を回避しましょう。

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補助金は専門家に相談しましょう|ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、などすべてご相談できます。

IT導入補助金とは

IT導入補助金は中小企業・小規模事業者の労働生産性向上を目的とし、業務効率化・DX推進のためのITツール導入を支援する制度です。具体的には、対象となるITツールを導入する際にかかる費用を一部補助してくれます。

申請者は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と連携して申請手続きを行う必要があります。また、IT導入補助金の補助対象となるITツールはIT導入支援事業者から導入したもののみです。補助金額・補助率は導入するITツールの種類・申請枠によって異なり、以下の表でまとめています。

申請類型 補助率 補助上限額
通常枠 1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3) 5万円~450万円
インボイス枠 1/2〜3/4 最大350万円
セキュリティ対策推進枠 1/2(小規模事業者は2/3) 5万円〜150万円
複数社連携IT導入枠
  • インボイス対象経費:1/2〜3/4
    消費動向等分析費・事務費・専門家経費:2/3
最大3,200万円

参考:中小企業対策関連予算|中小企業庁

IT導入補助金の採択結果・採択率

2024年度のIT導入補助金は、申請枠ごとに採択率が異なります。以下の表では、2024年10月3日に交付が決定された分の採択結果・採択率をまとめました。

申請枠 公募回 申請数 採択数 採択率
通常枠 7次締切分 5,881 4,648 79.0%
インボイス枠(インボイス対応類型) 12次締切分 10,043 9,036 89.9%
インボイス枠(電子取引類型) 7次締切分 0 0 -
セキュリティ対策推進枠 7次締切分 46 44 95.6%
複数社連携IT導入枠 4次締切分 3 2 66.6%
全体 15,973 13,730 85.9%

引用:交付決定事業者一覧 | IT導入補助金2024

最も申請者が多かったインボイス枠(インボイス対応類型)では、89.9%と非常に高い採択率です。また、次に申請者の多い通常枠も79.0%と約8割の申請者が受給できています。全申請枠を合計しても85.9%と非常に高い採択率を誇っており、IT導入補助金は非常に受給しやすい補助金制度となっています。

ただし、公募回によっても採択率が変わり、特に各年度の最終公募回は予算残額の関係もあって採択数が例年低くなる傾向です。予算の残額・申請数の増減が採択率に影響を及ぼすため、早めの申請が有利と考えられます。

なお、近年はIT導入補助金の非常に高い採択率を悪用して詐欺・不正受給が行われるケースが増えており、注意が必要です。次の章では、IT導入補助金で実際に発生している詐欺・不正受給のケースについて詳しく紹介します。

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IT導入補助金で詐欺・不正受給となるケース

IT導入補助金で実際に発生している詐欺・不正受給のケースは、以下があげられます。

  • ベンダーから協賛金・紹介料をキックバック
  • システム費用の水増し申請
  • ITツールの導入・運用に関する虚偽申請
  • 実在しない従業員・水増しした売上高で申請
  • ツール・サービスの取引が存在しない
  • ITツールを導入後すぐに解約

上記の事例を参考に、IT導入補助金の詐欺・不正受給に巻き込まれないよう対策を講じましょう。

ベンダーから協賛金・紹介料をキックバック

IT導入補助金の詐欺・不正受給に関わる事例としては、ベンダーが協賛金・紹介料をキックバックする事案が報告されています。

具体的には、まずITベンダーが「実質無料でITツールを導入できる」などの誘い文句で企業にIT導入補助金の利用を勧誘します。そして、システム導入後に協賛金・紹介料の名目でITベンダーが導入企業に対して資金をキックバックする流れです。

会計検査院の調査によれば、調査対象の35%にあたる154件でシステムを納入した事業者から資金がキックバックされている事実が判明しています。同調査では受給者のうち、4分の1余りが補助金の不正受給に該当すると認定されました。

参考:IT導入補助金で不正受給横行 “実質無料”営業で資金環流|NHK

システム費用の水増し申請

ITツールの実際の導入費用を過大に申請し、補助金を多く受け取る手口も確認されています。例えば、通常150万円程度のシステムを400万円と水増し申請し、差額をキックバックとして受け取るケースが報告されています。システム費用の水増し申請も含めて、多くのIT導入補助金関連の詐欺・不正受給は組織的に行われており、事態は深刻です。

ITツールの導入・運用に関する虚偽申請

実際にはITツールを導入・運用していないにもかかわらず、導入済みとして虚偽の申請を行う事例もあります。具体的には、ソフトウェアの管理画面などの偽の画面・偽造した預金通帳の写しをIT導入補助金の申請時に提出します。

そして、実際にはITツールの導入が完了していないのに、導入済みと虚偽報告して補助金を受け取る流れです。会計検査員の調査では8つの事業主体による11事業において、補助金換算で約2,843万円の不正受給が行われたと報告しています。

参考:実質的還元による不正が行われたことなどにより、サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金が過大に交付されていたもの|独立行政法人中小企業基盤整備機構

実在しない従業員・水増しした売上高で申請

補助金の申請要件を満たすために、実在しない従業員名・水増しした売上高を申請書に記載するケースも報告されています。具体的には、福岡市の美容関連企業が実際には存在しない従業員名を使って補助金を申請し、受給していた事例があります。

上記の企業は3社のITベンダーからECサイトなどのITツールを導入しており、合計で922万円の補助金を受給しました。しかし、実際には581万円分の経費を負担しておらず、利益として178万円を不当に受け取っていたと報じられています。

参考:IT導入補助金で不正受給横行 “実質無料”営業で資金環流|NHK

ツール・サービスの取引が存在しない

実際にはツール・サービスの取引が存在しないにもかかわらず、架空の取引を装って補助金を申請する手口も確認されています。例えば、ITベンダーと結託し、実施していないIT導入補助金ツールの導入にかかる取引を虚偽申告するケースです。架空の取引でIT導入補助金を申請した場合も当然不正受給に該当し、補助金の全額返還などのペナルティが科される可能性があります。

ITツールを導入後すぐに解約

補助金を受給した後、短期間でITツールを解約して実質的にツールを利用しないケースも不正受給とみなされる可能性があります。IT導入補助金の目的は中小企業の生産性向上であり、短期間での解約は制度の趣旨に反する行為です。

会計検査院の調査では3年連続で同じソフトを購入するなど不自然なケースも見つかっており、不正の疑いが強いとされています。なお、同調査では短期解約による不正受給に該当する事案が3事業で見つかっており、被害総額は約1,094万円となっています。

参考:実質的還元による不正が行われたことなどにより、サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金が過大に交付されていたもの|独立行政法人中小企業基盤整備機構

IT導入補助金の詐欺・不正受給が発覚する経緯

IT導入補助金の詐欺・不正受給が発覚する主な経緯として、以下の3つがあげられます。

  • 会計検査院の調査
  • 事務局による調査
  • 関係者からの情報提供

IT導入支援事業者から詐欺・不正受給が疑われる提案をされた場合は、すぐに会計検査院・事務局へ報告しましょう。

会計検査院の調査

会計検査院は国の予算執行の適正性を確保するため、各種補助金の使用状況を精査しています。実際、2024年10月にIT導入補助金の不正受給に関する調査結果が会計検査院から公表されました。

上記の調査では補助金を受給した企業の中に、ITツールを導入していないにもかかわらず虚偽の申請を行っていた事例が確認されました。具体的には架空の取引を装い、補助金を不正に受給したケースなどが報告されています。会計検査院の指摘を受け、関係機関は是正措置を講じるとともに再発防止策の強化を図っています。

事務局による調査

IT導入補助金の事務局は補助金の適正な運用を確保するため、受給者・IT導入支援事業者に対する定期的な監査・調査を実施している状況です。具体的には、申請があったIT導入支援事業者・補助対象事業者に対して立ち入り調査を実施し、不正事案の把握に努めています。

立ち入り調査に応じない場合、IT導入支援事業者の登録取り消し・補助事業者の交付決定の取り消しなどの措置が行われる流れです。また、IT導入補助金の申請・受給において不正が確認された場合、補助金の返還請求・法的措置を含む厳正な処分が下されます。

参考:10月31日更新 ※重要※ IT導入補助金は不正を絶対に許しません| IT導入補助金2024

関係者からの情報提供

不正受給の発覚には、内部告発・関係者からの情報提供も大きな役割を果たしています。IT導入補助金の事務局は2024年10月に不正に関する情報提供の専用WEB窓口を開設し、広く情報を収集しています。

具体的には、IT導入補助金の公式サイトで公開される不正に関する情報提供用のGoogleフォームにアクセスして回答する形です。情報提供者のプライバシーは厳重に保護され、報復措置などの心配なく情報を提供できる体制が整えられています。

参考:10月31日更新 不正に関する情報提供の専用WEB窓口を開設しました|IT導入補助金2024

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IT導入補助金の詐欺・不正受給で科されるペナルティ

IT導入補助金の詐欺・不正受給が発覚した場合、以下のような厳しいペナルティが科されます。

  • 交付決定が取り消しされ補助金の返還を求められる
  • 事業者名が公表される
  • 詐欺罪として立件される
  • 5年間の補助金申請資格停止になる

社会的信用・経済的にも大きな損失となるため、IT導入補助金の詐欺・不正受給に巻き込まれないよう十分注意しましょう。

交付決定が取り消しされ補助金の返還を求められる

不正受給が判明した場合、事務局から補助金の交付決定が取り消されて受給額の全額返還が求められます。さらに、元本に対して補助金受領の日から納付の日までの日数に応じ、年10.95%の延滞金が加算されます。

また、返還金と加算金を期日までに納付できなかった場合、未納付額に対して年10.95%の延滞金を支払わなければなりません。IT導入補助金の詐欺・不正受給が発覚すれば、上記のように経済的に大きな損失となります。

事業者名が公表される

不正受給が発覚すると事業者名が公表される可能性があります。IT導入補助金の公募要領では、以下のように「なりすまし行為」があった場合は事業者名を公表すると明言しているためです。

本事業において申請者自身が行うべき行為(申請マイページの開設及びその後の交付申請における手続き等)を当該申請者が行っていない(なりすまし行為)と事務局が判断した場合は、補助金の交付(申請含む)を取り消し、また、当該申請者の支援を行ったIT導入支援事業者についてもIT導入支援事業者としての採択取り消し及びITツール登録の解除を行う場合がある。また、申請者とその支援を行ったIT導入支援事業者の名称を公表する場合がある。

 

引用:公募要領(通常枠)|IT導入補助金2024 

公表場所自体は明示されていませんが、実際にIT導入補助金の公式ホームページでは不正受給で登録取り消しとなったIT導入支援事業者のリストが公開されています。また、独立行政法人中小企業基盤整備機構でもIT導入補助金の不正受給事例を紹介する形で事業者名を公開しています。

参考:IT導入支援事業者の登録取消について|IT導入補助金2024

参考:実質的還元による不正が行われたことなどにより、サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金が過大に交付されていたもの|独立行政法人中小企業基盤整備機構

詐欺罪として立件される

補助金の不正受給は国・地方公共団体を欺く行為であり、刑法上の詐欺罪に該当します。悪質な場合は刑事訴追を受け、10年以下の懲役が科される可能性があります。

第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

 

引用:刑法|e-Gov 法令検索

また、詐欺罪で有罪判決を受けると企業の社会的信用が大きく損なわれ、事業継続が困難になりかねません。

5年間の補助金申請資格停止になる

不正受給が発覚した事業者は5年間にわたり、すべての補助金の申請資格が停止されます。なお、資格停止期間は3年間でしたが、2019年4月からは5年間に延長され、より厳格化されている状況です。

さらに、不正に関与した役員が別の会社でも同役職を務める場合、当該企業も同様に5年間の申請資格停止となります。IT導入補助金以外の全補助金・助成金制度を申請できなくなるため、資金調達​面で大きなデメリットとなります。

IT導入補助金の詐欺・不正受給は意図的でなくても認定される可能性がある

IT導入補助金の不正受給は、意図的でなくても認定される可能性があります。例えば、IT導入支援事業者から「実質無料でITツールを導入できる」などの提案を受け、詳細を確認せずに契約を結ぶケースです。上記のケースで不正が発覚した場合はITツール導入側も加担したとみなされ、補助金返還などのペナルティを受ける可能性があります。

また、申請書類の不備・誤った情報の記載も場合によっては架空取引での申請として不正受給と判断されるケースがあります。企業は、補助金申請の際に制度の要件・ルールを十分に理解して不正受給を疑われないよう適切に手続きを行いましょう。特に、自己負担額の減額・無償化を提案する事業者には注意が必要で、疑わしい場合は弁護士などの専門家・事務局に相談してください。

補助金は専門家に相談しましょう|ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、などすべてご相談できます。

IT導入補助金の実績報告後調査前に準備すべき事

IT導入補助金の実績報告後調査前に準備すべき事として、以下の項目があげられます。

  • 領収書など提出した書類を整理しておく
  • ITツールの利用実態を証明できる資料を準備する
  • IT導入支援事業者との取引記録を用意する
  • 実績報告時の生産性関連数値は正確に記入する

IT導入補助金を適切な形で受給できるよう、実績報告後の調査前には上記項目を準備しておきましょう。

領収書など提出した書類を整理しておく

実績報告後に事務局からの調査が行われるケースがあるため、領収書などを整理してすぐに提出できる状態にしておきましょう。領収書には購入日・金額・購入先の情報などが明記されている必要があるので、紙の場合は印字が消えないよう大切に保管してください。また、契約書・請求書など申請時に提出した資料はすべて見せられるよう準備しておく必要があります。

申請時に提出した書類をデジタル化して保存しておけば、検索性が向上して必要なときにすぐ取り出しやすくなります。書類の不足・紛失は不正の疑いを招く可能性があるため、日頃から書類管理を徹底しましょう。

ITツールの利用実態を証明できる資料を準備する

IT導入補助金で導入したITツールが、適切に利用されている実態を示す資料も調査時に必要です。例えば、以下のような資料が利用実態を示すものとしてあげられます。

  • ITツールの操作ログ
  • 導入後の成果レポート
  • 従業員が実際に使用している様子を記録した写真・動画

また、定期的に行っているメンテナンス記録・トラブルシューティングの履歴なども有効な証拠です。

IT導入支援事業者との取引記録を用意する

IT導入支援事業者との契約内容・取引履歴は、調査時に重要な確認資料となります。具体的には以下のような資料を用意しておくのがおすすめです。

  • 事業者とのメール・チャットでのやり取り
  • 契約書・見積書・納品書など

また、導入後のサポート履歴も残しておくと、実際にIT導入支援事業者とやり取りしている証拠として提出できます。

実績報告時の生産性関連数値は正確に記入する

実績報告時に記入する生産性向上に関する数値は、正確かつ裏付けのあるものでなければなりません。例えば、売上高・従業員数・業務効率化に関するデータは財務諸表・人事記録などの他の社内資料と一致している必要があります。

実績報告時に求められる生産性関連数値に誤り・誇張があれば、後の調査で不正とみなされるリスクがあります。事務局から追加資料の提出を求められる場合もあるため、事前に正確なデータを確認して関連する書類を一括で管理しておきましょう。

IT導入補助金の詐欺・不正受給に巻き込まれた場合の対処法

IT導入補助金の詐欺・不正受給に巻き込まれた場合の対処法として、以下の3つがあげられます。

  • 事務局に連絡して補助金を自主返納する
  • 警察へ自首する
  • IT導入支援事業者への責任追及を行う

対応が遅れれば加算金の請求額が大きくなるなど損失も甚大になるため、早急に対処しましょう。

事務局に連絡して補助金を自主返納する

不正受給が発覚する前に自社で事実に気づいた場合、事務局に連絡して補助金を自主的に返納するのが最善策です。自主返納は不正行為を認めて反省している姿勢を示す手段であり、後のペナルティ軽減にもつながる可能性があります。

事務局への返納手続きの際、不正を意図してなかった場合はその旨を説明したうえで指示に従いましょう。特に、IT導入支援事業者から指示を受けた結果の不正である場合は、経緯を詳細に記録して事務局に提出しましょう。

警察へ自首する

不正が重大で刑法上の詐欺罪に該当する可能性がある場合、警察への自首も検討すべきです。自首は自ら不正を認め、罪を償おうとする意思を示す行為であり、場合によっては刑事罰の軽減・執行猶予が認められる可能性があります。

警察に自首する際には不正行為の経緯・関係者の情報・関連する証拠書類を持参し、正確に事態を説明しましょう。また、警察との話し合いは法的な内容も含まれるため、弁護士に相談してアドバイスを受けたうえで行動するのがおすすめです。

IT導入支援事業者への責任追及を行う

不正がIT導入支援事業者の指示・関与によるものである場合、責任追及も必要です。ITツール導入に関する契約内容・業務の履行状況を精査し、不正行為に該当する行為の証拠を集めましょう。

事務局・弁護士と相談しながら、損害賠償請求・契約解除を含む適切な対応を検討します。また、事業者による他の不正行為が疑われる場合は事務局・警察に情報提供を行えば、さらなる被害を防げます。なお、責任追及を進める際には感情的にならず、法的手続きに従った冷静な対応を心がけましょう。

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IT導入補助金の詐欺・不正受給に関するよくある質問

IT導入補助金の詐欺・不正受給に関するよくある質問として、以下の2つがあげられます。

  • IT導入補助金の不正受給に関する問い合わせ先は?
  • IT導入補助金の取り下げは途中でできる?

IT導入補助金の詐欺・不正受給に関して疑問点がある場合、上記質問への回答を参考にしてください。

IT導入補助金の不正受給に関する問い合わせ先は?

IT導入補助金の不正受給に関する問い合わせは、交付申請の時期によって異なります。2023年7月31日以前に交付申請した方は、以下の連絡先が問い合わせ窓口です。

  • 電話番号:03-5249-3533
  • 受付時間:9時30分〜17時30分(土・日・祝日を除く)

参考:IT導入補助金の不正受給等に関する調査を実施しています|中小企業庁

一方で、2023年8月以降に交付申請した方は、以下の連絡先が問い合わせ窓口です。

  • 電話番号:0570-666-376
  • IP電話等からの場合:050-3133-3272
  • 受付時間:9時30分〜17時30分(土・日・祝日を除く)

参考:IT導入補助金の不正受給等に関する調査を実施しています|中小企業庁

なお、2023年8月以降に交付申請した方については、Googleフォームによる情報提供も対応しています。

IT導入補助金の取り下げは途中でできる?

IT導入補助金の申請は、採択前後を問わず取り下げが可能です。なお、採択前は「補助金申請の取り下げ」、採択後は「補助金交付の取り下げ」と呼ばれる扱いとなります。取り下げ手続きに際してペナルティはなく、具体的な手続きの流れは以下の通りです。

IT導入補助金の取り下げ手続きの手順 概要
①IT導入支援事業者への連絡 まず、補助事業者からIT導入支援事業者へ辞退の旨を連絡する
②辞退届の作成 補助対象事業者は申請マイページにログインし、辞退届を作成する
③IT導入支援事業者の確認 IT導入支援事業者が辞退届の内容を確認し、承認する
④事務局への提出 最終的に、申請者から事務局に辞退届を提出する

詳細な手続き方法については、IT導入補助金の公式サイトを参照してください。

IT導入補助金の詐欺・不正受給による被害を防いで損失を回避しよう

IT導入補助金は中小企業の生産性向上を支援する制度ですが、近年は不正受給が問題視されている状況です。不正受給には費用の水増し・虚偽申請・ITツールの短期解約などがあり、意図的でなくても認定される場合があります。また、不正が発覚すると補助金の返還・事業者名の公表、さらには刑事罰の対象となるケースもあります。

IT導入補助金の不正受給を疑われないためには、実績報告後の調査で必要な資料を提出してITツールの利用実態を証明するのが重要です。万が一、IT導入補助金の不正受給に巻き込まれた場合は、事務局に連絡し自主返納するなど迅速に対応しましょう。IT導入補助金の詐欺・不正受給による被害を防ぎ、加算金などの損失を未然に防いでください。

この記事を書いた専門家

藤田 春樹

藤田 春樹