中小企業・小規模事業者にとって、IT導入による生産性の向上や業務の効率化は喫緊の課題です。IT導入補助金を上手に活用すれば、自社の課題解決に適したITツールを導入し、業務効率の改善や生産性の向上を実現できます。

今回の記事では、IT導入補助金2024の概要・申請方法・採択のポイントまで幅広い情報をまとめました。さらに、各業界での活用事例についても取り上げ、補助金の活用イメージを具体的に理解できる内容となっています

本記事を読めば、IT導入補助金2024を活用するメリットを理解し、自社に合った申請の進め方を把握できます。IT導入補助金を有効活用し、自社の業務効率化・生産性向上・業績アップを実現しましょう。

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IT導入補助金とは?わかりやすく解説

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が課題解決のためにITツールを導入する費用を国が一部補助する制度です。正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業補助金」といい、経済産業省が所管しています。

補助金を受けるには審査を通過する必要があり、導入後は実績や効果の報告も求められます。申請時はIT導入支援事業者と契約し、ITツールの選定・導入・申請手続きまでサポートを受けるのが一般的です。

IT導入補助金の概要と目的

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)化と業務効率化を推進するための国の支援制度です。DXとはデジタル技術を活用して企業の業務プロセス・製品・サービス・ビジネスモデルを変革し、競争力を向上させる概念です。

ITツールの導入費用の一部を補助し、企業の労働生産性の向上を図るのを目的としています。補助金の対象となるITツールは多種多様で、以下の表はその一例です。

ソフトウェア・システム 簡単な特徴
CRM(顧客関係管理) 顧客情報の管理と分析を行い、営業活動を効率化するシステム
MA(マーケティングオートメーション) マーケティング活動を自動化し、顧客との接点を強化するツール
会計ソフトウェア 財務データの管理と分析を行い、会計業務を効率化するソフトウェア
経費精算システム 経費申請と承認プロセスを自動化し、経費管理を簡便にするシステム
在庫管理システム 商品の在庫をリアルタイムで管理し、補充や発注を効率化するツール
物流管理システム 物流の流れを最適化し、配送管理やトラッキングを行うシステム
勤怠管理システム 従業員の勤務状況を記録・管理し、労働時間を正確に把握するツール
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション) 定型業務を自動化し、業務効率を向上させるソフトウェア

ただし、申請する枠によっては導入できるITツールが限定されている点には注意が必要です。たとえば、インボイス枠では、インボイス制度に対応した会計ソフトウェア・受発注システム・決済ツールの導入が条件となります。

補助金の申請にはITツールを提供し、導入や申請をサポートするIT導入支援事業者との提携が必須です。また、審査に通った後も、導入の実績や効果について報告が求められます。

2024年度IT導入補助金の特徴

2024年度のIT導入補助金の特徴は、以下のとおりです。

  • 補助金額の増額(最大450万円)
  • インボイス対応を支援する枠の新設
  • セキュリティ対策推進枠が新設

2023年度から変更されたポイントを理解し、どのような内容で申請するのか検討しましょう。

補助金額の増額(最大450万円)

IT導入補助金2024では、通常枠の補助上限額が最大450万円にまで引き上げられました。従来のA類型とB類型という区分はなくなり、補助額が150万円未満かどうかで2つに分けられています。

具体的には、150万円以下の枠だったA類型が、上限450万円の通常枠へと拡大されました。つまり、より大規模なITツール導入プロジェクトにも補助金が活用しやすくなりました。

また、インボイス対応類型においても、補助率の引き上げが行われました。50万円以下の枠で、中小企業は従来通り3/4ですが、小規模事業者に限っては補助率が4/5にアップしています。

自社の規模や予算に合わせて、補助金を最大限に活用できる申請枠を選びましょう。

インボイス対応を支援する枠の新設

2024年度のIT導入補助金では、新たに「インボイス枠」が設けられました。インボイス枠は、インボイス制度に対応した会計ソフトウェア・受発注システム・決済ツールなどの導入を後押しする枠です。

インボイス枠には、「インボイス対応類型」と「電子取引類型」の2つの類型が設定されています。インボイス枠は、前年度のデジタル化基盤導入枠にあった各類型を引き継ぐ形となっています。

とくにインボイス対応類型は、2023年度のデジタル化基盤導入類型の内容をほぼ踏襲。補助対象となるITツールの機能要件などに大きな変更はありません。ただし、対象ツールの機能から「EC」に関する記述がなくなっている点には注意が必要です。

インボイス枠の補助対象は、インボイス制度に対応したITツールのみです。自社の事業にとって必要なツールを見極め、インボイス制度への対応を進めつつ業務のデジタル化を図っていきましょう。

インボイス枠の補助内容を整理した表は、以下のとおりです。

補助対象 補助率 補助額
インボイス対応の会計・受発注・決済ソフトウェア 中小企業:3/4
小規模事業者:4/5
50万円以下
インボイス対応の会計・受発注・決済ソフトウェア 2/3 50万円超~350万円
パソコン・タブレット 1/2以内 10万円以下
レジ・券売機など 1/2以内 20万円以下

セキュリティ対策推進枠が新設

近年、サイバー攻撃の脅威が高まる中、中小企業・小規模事業者もサイバーセキュリティ対策の強化が急務となっています。こうした状況を受け、2024年度のIT導入補助金では「セキュリティ対策推進枠」が新設されました

セキュリティ対策推進枠は、サイバーインシデントのリスクを低減するためのセキュリティ対策を支援するものです。サイバー攻撃による被害は、事業継続を脅かすだけでなく、供給制約や価格高騰を招くリスクもあります。生産性向上の取り組みを阻害する可能性も懸念されます。

セキュリティ対策推進枠では、以下の条件を満たすサービスについて、利用料の最大2年分を補助します。

  • IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービス
  • IT導入支援事業者が提供しており、事務局に登録したサービス
補助率 補助額
1/2以内 5万円~10万円

サイバー脅威から自社を守り、安全安心なIT化を進めるためにも、セキュリティ対策推進枠の利用を積極的に検討しましょう。

参考:IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス ユーザー向けサイト

IT導入補助金の公募要領のポイント

IT導入補助金の公募要領について、以下のポイントを押さえておきましょう

  • 前提の要件
  • 資本金・従業員数の規模
  • 決算と納税

ポイントを押さえて申請を行い、採択される可能性をあげて自社のDXを実現してください。

前提の要件

まず、IT導入補助金2024に申請するための前提条件として、以下の2点が定められています

  • 日本国内で法人登記され、かつ国税庁の法人番号公表サイトで公表されている法人または個人事業主である
  • 申請の直近月の事業場内最低賃金が、地域別最低賃金以上である

上記の要件を満たしていない場合、申請の対象外となりますので注意が必要です。

資本金・従業員数の規模

IT導入補助金2024では、事業者の規模に関する要件が設けられています。業種ごとに資本金と従業員数の基準が定められており、どちらか一方を満たせば中小企業・小規模事業者として申請が可能です。

たとえば、製造業の場合は資本金が3億円以下、または従業員数が300人以下であれば対象となります。個人事業主の場合は資本金の基準がないため、従業員数のみで判断されます。

ただし、インボイス枠(電子取引類型)については、中小企業・小規模事業者との取引を行う大企業も申請可能な点が特徴です。

自社がどの業種に該当し、基準を満たしているかを見極めるのが申請の第一歩となります。資本金・従業員数の規模について、以下の表にまとめました

業種分類 資本金 従業員数
①製造業、建設業、運輸業 3億円以下 300人以下
②卸売業 1億円以下 100人以下
③サービス業(ソフトウェア業または情報処理サービス業、旅館業を除く) 5,000万円以下 100人以下
④小売業 5,000万円以下 50人以下
⑤ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く) 3億円以下 900人以下
⑥ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
⑦旅館業 5,000万円以下 200人以下
⑧その他業種(上記以外) 3億円以下 300人以下
⑨医療法人、社会福祉法人 - 300人以下
⑩学校法人 - 300人以下
⑪商工会・都道府県連合会および商工会議所 - 100人以下
⑫中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下 -
⑬特別の法律によって設立された組合またはその連合会 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下 -
⑭財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下 -
⑮特定非営利活動法人 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下 -

参考:IT導入補助金公式サイト「通常枠公募要領

決算と納税

IT導入補助金2024の申請には、直近の決算数値の入力と納税証明書などの提出が求められます

法人の場合は1期以上の決算を終えている必要があり、個人事業主なら1回以上の確定申告が必要です。創業間もない事業者は、決算・確定申告が完了しているかどうかに注意しましょう。

また、直近3年分の課税所得の年平均が15億円を超える場合は申請の対象外となります。

決算と納税に関する要件をクリアしていると、書類で証明できるよう準備しておくのが重要です。不明な点があれば、早めに税理士や会計士に相談しましょう。

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IT導入補助金2024の申請枠と条件

IT導入補助金2024の申請枠は、以下の5つです。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

それぞれの申請条件や補助率・補助額を理解し、適切な枠でIT導入補助金の申請を行いましょう。

参考: IT導入補助金公式サイト「トップページ | IT導入補助金2024

通常枠

通常枠は、自社の課題解決に適したITツールを導入するときの経費を一部補助します。

IT導入補助金2024における通常枠の特徴は、以下のとおりです。

  • 対象となるITツールは、「共通業務プロセス」のうち1プロセス以上を含む必要がある
  • 補助額は5万円以上150万円未満で、補助率は1/2以内
  • 小規模事業者などには、賃金引き上げや給与支給総額の増加などの加点要件がある
  • 交付後のITツールの有償・無償での供与は原則不可

共通業務プロセスとは、業種を問わず多くの企業に共通する業務プロセスを指します。具体的には以下の5つのプロセスです。

プロセス名 主な機能例
顧客対応・販売支援 MA(マーケティングオートメーション)・SFA(セールスフォースオートメーション)・CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)・予約受付台帳・無人受付・チェックインシステム
決済・債権債務・資金回収 決済(POSレジ・券売機システム・多通貨対応)・発注・仕入管理・買掛・支払管理・受注・売上請求管理・売掛・回収管理・電子記録債権・手形管理・採算管理(売上分析・粗利管理)
供給・在庫・物流 取引条件管理(取引先・納入条件)・ロケーション管理・入出庫管理・棚卸管理・検品受入・在庫分析・在庫基準・納品管理・配送業者管理・配送計画
会計・財務・経営 予算統制・資金繰り計画・キャッシュマネジメント・仕訳・出納帳・総勘定元帳・財務諸表・固定資産管理・減価償却計算・経費精算・法定調書・税務申告書作成・管理会計・経営分析
総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム 勤怠管理・シフト作成・労務コンプライアンス対応・給与計算・社会保険手続き・年末調整・人事情報管理・人事評価・採用・異動・退職手続き・ストレスチェック・福利厚生管理・社内研修・eラーニング・電子契約・リーガルチェック・ISO管理・社内の情報システム・設備管理

補助額と補助率

通常枠の補助額・補助率などを、以下の表にまとめました

補助金申請額 補助率 プロセス数 賃上げ目標 補助対象
5万円~150万円未満 1/2以内 1以上 加点項目 ソフトウェア購入費および導入するソフトウェアに関連するオプション・役務の費用
150万円~450万円以下 1/2以内 4以上 必須要件 ソフトウェア購入費および導入するソフトウェアに関連するオプション・役務の費用

賃上げ目標は、通常枠以外では任意の加点項目として設定されています。しかし、通常枠で申請金額が150万円以上の場合には必須要件ですので注意が必要です。

賃上げ目標の要点 概要
給与支給総額の増加目標 年平均成長率1.5%以上。ただし、被用者保険の任意適用に取り組む場合は年平均成長率1.0%以上
事業場内最低賃金の引き上げ目標 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高く設定
未達成の場合の補助金返還 給与支給総額の増加目標が未達成の場合、補助金は全額返還。事業場内最低賃金の増加目標未達成の場合も同様
事業計画の策定と表明 賃金引き上げ計画を策定し、従業員に表明。表明していない場合、交付決定の取り消し
付加価値額の増加 付加価値額の年率増加率平均の半分を超える場合、補助金返還を求められないケースもある
加点項目 賃上げに取り組む姿勢が評価され、申請が有利

なお、付加価値額の計算式は以下のとおりです。

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

対象経費(ソフトウェア購入費・クラウド利用料など)

通常枠の対象経費のポイントは、以下の表のとおりです。

対象経費 内容 補助対象期間
ソフトウェア購入費
  • 本事業において導入するITツールのうち、ソフトウェアにかかる費用
  • サブスクリプション形式のクラウドツールも含む
サブスクリプション形式の場合、最大2年分
オプション 導入するソフトウェアに関連する機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ対策にかかる費用 -
役務
  • 導入設定
  • マニュアル作成
  • 導入研修
  • 保守サポート
  • ソフトウェア購入費と合わせて補助対象
  • 保守サポートは対象ソフトウェアの利用期間内で最大2年分
    ※オプションの保守費用は最大1年分

ただし、要件を満たしているのが前提であり、ソフトウェア購入を伴わないオプションや役務のみの申請は認められません。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度への対応を支援する枠です。制度対応に必要な会計・受発注・決済機能を有するITツールの導入費用を補助します。

インボイス枠(インボイス対応類型)の特徴は、以下のとおりです。

  • インボイス制度対応のため、通常枠より補助率が引き上げられている
  • 対象ITツールは、会計・受発注・決済機能のうち1種類以上を有している
  • ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)などが補助対象
  • 賃上げ目標は加点項目であり要件ではない

補助額と補助率

インボイス枠(インボイス対応類型)の補助額・補助率などを、以下の表にまとめました

補助項目 補助金申請額 補助率 補助対象
ITツール
  • 50万円以下
  • 50万円超~350万円
  • 50万円以下は 3/4以内 (小規模事業者は4/5)
  • 50万円超~350万円は2/3以内
ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・ハードウェア関連費・導入関連費
パソコン・タブレットなど ~10万円 1/2以内 ITツールの使用に資するもの
レジ・券売機など ~20万円 1/2以内 ITツールの使用に資するもの

IT導入補助金の補助額と補助率は、申請者の事業規模や申請するITツールの種類・金額によって変わってきます。インボイス枠(インボイス対応類型)を上手に活用して、業務効率化とコスト削減を実現しましょう。

対象ソフトウェア(会計・受発注・決済ソフトウェアなど)

対象となるITツールの機能要件は、以下のとおりです。

  • 会計・受発注・決済のうち、1機能以上を有している
  • インボイス制度に対応している
分類 具体例
会計ソフトウェア
  • 財務会計ソフトウェア
  • 管理会計ソフトウェア
  • 電子帳簿保存法対応ソフトウェアなど
受発注ソフトウェア
  • EDIシステム
  • 電子注文システム
  • 電子データ交換システムなど
決済ソフトウェア
  • 請求書・納品書発行システム
  • 電子決済システム
  • インボイス制度対応レジシステムなど

上記は一例であり、あげた機能を複合的に有するソフトウェアも補助対象となります。申請時は導入予定のITツールがインボイス制度に対応し、必要な機能要件を満たしているかを確認するのが重要です。

対象ハードウェア(パソコン・タブレットなど)

対象ハードウェアのポイントを、以下の表にまとめました

分類 内容 補助額・補助率 備考
パソコン・タブレットなど
  • パソコン
  • タブレット
  • プリンター
  • スキャナー
  • 複合機
  • 補助額:~10万円
  • 補助率:1/2以内
  • 対象ITツールの利用に必要最低限のもの
  • レジ以外の用途で使用するもの
レジ・券売機など
  • POSレジ
  • モバイルPOSレジ
  • 券売機
  • 補助額:~20万円
  • 補助率:1/2以内
  • 対象ITツールの「決済」機能に関連して使用するもの
  • POSレジなどの付属品(キャッシュドロワ・カスタマーディスプレイ・レシートプリンターなど)も対象

ハードウェアの補助対象となる条件は、以下のとおりです。

  • 対象ITツールの利用に必要不可欠
  • 対象ITツールと同時に購入する
  • 対象ITツールを提供するIT導入支援事業者から購入する
  • 市場価格と比して著しく高額ではない

インボイス枠(インボイス対応類型)を活用し、デジタル化とインボイス対応を同時に進めていきましょう。

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)は、インボイス制度に対応した受発注システムのクラウド利用費用を補助する枠です。受発注のデジタル化と、インボイス対応の一体的な推進がインボイス枠(電子取引類型)の目的です。

インボイス枠(電子取引類型)の主な特徴は、以下のようになります

  • 発注側の事業者が申請者となり、受注側の中小企業・小規模事業者などに対し、無償でシステムを利用させるのが要件
  • 補助対象経費は受注側のアカウントのうち、中小企業・小規模事業者に提供するクラウド利用費で最大2年分
  • 補助上限額は350万円で、下限額の設定はなし
  • 申請は1社につき1回のみ。ただし、通常枠などとの併願は可能

補助額と補助率

インボイス枠(電子取引類型)の補助額・補助率の内容は、以下の表のとおりです。

補助対象経費区分 補助率 補助額
クラウド利用費
  • 中小企業・小規模事業者など:2/3以内
  • そのほかの事業者など:1/2以内
350万円まで

クラウド利用費が補助対象となる電子取引類型ですが、補助金額の算出方法に特徴があります。受注側のアカウント総数のうち、中小企業・小規模事業者に供与するアカウント数の割合を乗じた額が補助対象経費となります。大企業への供与分は、補助金額に含まれませんので注意しましょう。

補助対象経費はクラウド利用費のみで、ソフトウェア購入費や導入関連費などは対象外となっています。また、補助はクラウド利用費の最大2年分までが対象であり、継続的な利用を促す趣旨があると考えられます。

適用要件と対象システム

インボイス枠(電子取引類型)の適用要件は、以下のとおりです。

  • 「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言ずみ
  • 取引先(中小企業・小規模事業者など)が適格請求書発行事業者の登録を受けている
  • 事業実施期間中および補助金交付後に、定期的な事業実施効果報告を行う
  • 導入したITツールのアカウントを取引先に無償で発行し、利用できる

SECURITY ACTION は、中小企業・小規模事業者が情報セキュリティ対策に取り組むと自己宣言する制度です。

インボイス枠(電子取引類型)対象システムのポイントを、以下の表にまとめました

ポイント 詳細
機能 インボイス制度に対応した受発注機能を有するクラウド型ソフトウェア
導入形態 発注側が導入し、受注側(中小企業・小規模事業者など)に無償でアカウントを発行するタイプ
効果 発注側と受注側の取引をデジタル化し、インボイス制度にも対応
利用料金 ソフトウェアの利用料金が交付申請時に設定されている
補助対象経費 受注側に供与するアカウント数の割合に応じたクラウド利用費のみ
対象外 リース・レンタル形式や無償のシステムは対象外

インボイス枠(電子取引類型)の活用には、発注側・受注側双方の協力が不可欠です。取引先との連携を深め、共にデジタル化を推進するよい機会としましょう。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、サイバーセキュリティ対策の強化を目的とした枠です。IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスの導入費用を補助します。

セキュリティ対策推進枠の特徴は、以下のとおりです。

  • IT導入支援事業者が提供し、事務局に事前登録されたセキュリティサービスが対象
  • SECURITY ACTIONの宣言が必要
  • 事業終了後、セキュリティ対策の実施状況を報告
  • サイバーインシデントによる事業リスクの低減が目的

補助額と補助率

セキュリティ対策推進枠の補助額・補助率は、以下のとおりです。

補助額 補助率
5万円~100万円 1/2以内

対象となるセキュリティ対策

セキュリティ対策推進枠は、IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されている以下のサービスが対象です。

  • 相談窓口サービス
  • 異常の監視サービス
  • 事案発生時の初動対応(駆けつけ支援など)
  • 簡易サイバー保険サービス

セキュリティ対策推進枠を活用し、安心・安全なデジタル化を進めましょう。

複数社連携IT導入枠

複数社連携IT導入枠は、複数の事業者が連携してIT導入を行う枠です。サプライチェーンや商業集積地の面的なデジタル化の推進を目的としています。

複数社連携IT導入枠の特徴は、以下のとおりです。

  • グループ構成員10社以上のまとまりである事業グループが対象
  • 基盤導入経費、消費動向など分析経費、取りまとめなどに要する経費が補助対象
  • 5%以上の労働生産性向上が必要
  • 地域へのデジタル化の波及・データ活用・地域課題解決などの取り組みが加点対象

補助額と補助率

複数社連携IT導入枠の補助額・補助率は、以下の表のとおりです。

種類 補助額 補助率
①インボイス対応類型の要件に属する経費 ~350万円 50万円以下:中小企業3/4・小規模事業者4/5

50万円超~350万円:2/3

②インボイス対応類型の要件に属さない複数社類型特有の経費 補助上限額は50万円×グループ構成員数 2/3以内
①+②の合算 最大3,000万円まで -
事務費・専門家費 (①+②)×10%×2/3

もしくは200万円のいずれか低い方

-

単独では難しいIT導入も、複数社で連携すれば実現可能になるケースがあります。同じ課題を持つ事業者と協力し、複数社連携IT導入枠への申請を検討してみましょう。

IT導入補助金を活用するメリット

IT導入補助金を活用するメリットは、以下のとおりです。

  • 業務のデジタル化で生産性向上
  • インボイス対応で取引先との連携強化
  • セキュリティ対策で企業の信頼性アップ

IT導入補助金を活用して自社のDX化を進め、業務効率アップや生産性向上を実現しましょう。

業務のデジタル化で生産性向上

IT導入補助金を利用してソフトウェアや機械設備を導入すれば、業務の効率化や売上向上など、さまざまな効果が期待できます。生産性の高まりは、中小企業・小規模事業者の事業成長にもつながるはずです。

具体的なメリットとしては、以下のようなものがあげられます

  • 非効率な業務プロセスの見直しとIT化による、労働時間の大幅削減と生産性の向上
  • 業務のマニュアル化・デジタル化による効率化と、人材確保への好影響
  • AIの活用などによるさらなる自動化と、一層の生産性向上

ただし、補助金の活用だけでなく、社内のIT人材の育成や外部専門家の支援なども組み合わせるのが大切です。まずは自社の課題とIT化の可能性を明確にし、最適なITツールを選定しましょう。

そして、IT導入支援事業者と連携しながら計画と運用方法を検討し、社内への浸透を図っていきましょう。導入後も継続的な業務改善を行い、生産性向上につなげていくのが重要です。

IT導入補助金を活用したデジタル化の取り組みは、人材確保や働き方改革など、ほかの経営課題の解決にも役立つはずです。

参考:中小企業庁「「IT導入補助金」を活用した業務効率化の取り組み事例

インボイス対応で取引先との連携強化

IT導入補助金のインボイス枠を活用し、インボイス対応で取引先との連携強化を図りましょう

IT導入補助金2024では、インボイス制度への対応を支援する「インボイス枠(インボイス対応類型)」が設けられました。制度対応に必要な会計ソフトウェア・受発注ソフトウェア・決済ソフトウェアの導入を通じ、生産性の向上を後押しします。

インボイス制度とは2023年10月からはじまった、適格請求書(インボイス)の受け取りを仕入税額控除の要件とする制度です。インボイスには従来の請求書にくわえ、登録番号・適用税率・税率ごとの消費税額などの記載が必要です。また、インボイスを発行するためには、インボイス発行事業者の登録申請が必要となります。

自社がインボイスを発行しないと、取引先が仕入税額控除を受けられず税負担が増加してしまいます。結果として、インボイス事業者でなければ取引関係の見直しにつながりかねません。

このような事態を避けるためにも、インボイス発行事業者の登録を検討する必要があります。IT導入補助金のインボイス枠を活用し、インボイス制度対応とデジタル化を同時に進めましょう。

セキュリティ対策で企業の信頼性アップ

セキュリティ対策推進枠を活用してセキュリティを強化し、自社の信頼性を向上させましょう

セキュリティ対策推進枠は、中小企業のセキュリティ対策を支援する制度です。サイバー攻撃などのリスクに備えるため、セキュリティ関連サービスの導入費用の一部を補助します。

近年、大企業だけでなく中小企業にもセキュリティ対策の強化が求められています。セキュリティ対策の重要性として、以下のようなポイントがあげられます

  • 社内情報の保護による企業の信頼性向上
  • 顧客のウイルス被害などの防止
  • 情報漏えいなどのセキュリティ事故の未然防止
  • ヒューマンエラーへの注意喚起
  • 多様な働き方の安全性を確保

中小企業では、予算やリソースの制約からセキュリティ対策が後回しにされがちです。しかし、サイバー攻撃は日々巧妙化しており、大企業に比べてセキュリティの脆弱な中小企業が狙われるケースも増えています。

セキュリティ対策を怠ると、機密情報の漏えいなどの重大な事態を招く恐れがあります。ひとたび被害に遭えば、金銭的な損失だけでなく、自社や取引先の事業にも大きな影響を及ぼしかねません。

IT導入補助金を活用してセキュリティ面の強化を図り、安心安全なデジタル化を実現していきましょう。

補助金は専門家に相談しましょう|ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、などすべてご相談できます。

IT導入補助金2024の対象となるITツール

IT導入補助金2024の対象となるITツールを、代表的な以下の2つの枠から紹介します。

  • 通常枠の対象ツール
  • インボイス枠の対象ツール

補助対象を十分に把握し、自社にとって必要なITツールの導入で生産性向上を目指しましょう。

通常枠の対象ツール

通常枠の対象ツールは、大きく以下の2つのジャンルに分かれます

  • 業務効率化ツール
  • テレワーク対応ツール

どのような目的でITツールを導入し、IT導入補助金を受けるのか十分に検討しましょう。

業務効率化ツール

業務効率化ツールの一例は、以下のとおりです。

ツール名 概要
The UNSO
  • TheUNSOは運送業の業務を劇的に改善する製品
  • シンプルなメニューと操作性のよさで、すぐに業績UPの効果を実感できる
  • 自社ドライバーだけでなく、契約ドライバーや運送組合の組合員の支払い管理にも対応
  • 赤帽などの運送組合にも最適
  • 導入後すぐに業務の改善効果が得られる即戦力
P-Manager 印刷業におけるさまざまな管理項目を一元管理して直感的な経営戦略をお手伝い
Form Magic 5 Server FormMagic5は、高速・高性能な自動組版機能により、会社全体の「増力化」と「省力化」を同時に実現
Medicom-HRf core
  • 電子カルテMedicom-HRfの医事機能のみを選択して利用できる製品
  • 機能をオプション化し、優先的に利用したいサービスを選択しやすいシンプルなプラン
  • レセプト作成・発行、患者登録、窓口会計・処方箋発行・レセプト返戻防止などの機能
  • 高度な専門知識や複雑な診療報酬計算を滑らかに実行
  • 医療機関の業務効率化を図れる
Fusion360
  • 低価格ながら従来のミッドレンジ3DCADと同レベルの機能
  • クラウド上でデータ管理できるCADCAMシステム
  • 単体の部品作成、組図作成のアセンブリ機能
  • 2D変換・2D図面機能
  • アニメーション作成、レンダリング、CAM機能、簡易CAE機能も含む
  • 多くの拡張子に対応
  • フリーデータの活用で効率化
  • 事前のモデル作成、アセンブリでの動き・干渉部確認、不具合対応
  • クラウドまたはインターネットを通じた非対面的意思疎通
  • ウェブ認証のライセンスで社内外での操作、テレワークの推進
Adobe Creative Cloud Adobeが開発したグラフィックデザイン・動画編集・Webデザインのソフトウェア

IT導入補助金公式サイトには、ほかにもさまざまなツールが数多く登録されています。公式サイトから目的のツールを検索し、対象となっているかどうか確認しましょう。

テレワーク対応ツール

テレワーク対応ツールの一例は、以下のとおりです。

ツール名 概要
SKYSEA Client View テレワーク Edition
  • IT資産の運用管理を支援
  • 情報システム部門が担うIT資産管理および運用傾向の把握に寄与
  • 従業員のテレワークでの利用も可能
クラウド型テレワーク支援ERP
  • 建設業・運送業・不動産業・製造業・小売業・士業・サービス業などの中小企業向けパッケージ
  • クラウドの技術&最新技術を活かしたシステム
  • 各社の独自のカスタマイズに柔軟に対応
  • 全社業務のテレワーク化、クラウド化による業務効率化
iQ35‐テレワークVer
  • 「iQ35-ProC」の基本機能にテレワーク機能を搭載したテレワーク専用モデル
  • 「製缶加工の見積もり業務の平準化」をコンセプトにしたクラウドソフトウェア
  • 図面と格闘していた難しい見積もりを、直感的な入力と自動計算により短時間で作成可能
eST-meets(オンライン会議システム)
  • インターネットを利用し、複数の参加者が音声や映像を共有
  • 会議やディスカッションを遠隔地からでも実施可能なツール
  • 出張の時間やコストの削減やコミュニケーションの円滑化を実現
Web会議・商談システム meet in
  • URLを作成するだけでWeb商談
  • 資料共有機能、会議の議事録機能など、ビジネスシーンで活躍する
Shachihata Cloud ビジネスチャット
  • 会社内のあらゆる業務をトピックごとに整理
  • メンバーとの迅速な情報共有を可能にするチャットツール
  • リアルタイムかつスムーズな情報共有で業務の効率化
  • スマートフォンアプリを用意し、さらなる情報共有の円滑化

自社の目的に最適なツールを、IT導入補助金公式サイトで検索して探しましょう。

インボイス枠の対象ツール

インボイス枠の対象ツールには、大別して以下の3つのジャンルがあります

  • インボイス対応会計ソフトウェア
  • インボイス対応受発注・決済ソフトウェア
  • インボイス対応類型と同時申請が可能なハードウェア

個人事業主がインボイス対応するときには、IT導入補助金の申請を検討しましょう。

インボイス対応会計ソフトウェア

インボイス対応会計ソフトウェアの一例は、以下のとおりです。

ツール名 概要
弥生会計24 会計業務に必要な機能をしっかりカバー。 売上実績No.1の定番会計ソフトウェア
マネーフォワード クラウド【パーソナルミニ】
  • 金融関連サービスとの連携で明細データを自動取得
  • 仕訳や申告書の簡単な作成
  • e-Taxにも対応の個人事業主向け確定申告ソフトウェア
勘定奉行i11 NETWORK Edition Type NP
  • 導入シェアNo.1の会計システム
  • 経理の基本業務から会計情報の活用まで対応
  • 元帳・試算表といった財務視点の帳票作成
  • 企業独自の視点を盛り込んだ会計レポートも簡単作成
SMILE V Air 会計モジュール
  • 財務会計から管理会計まで幅広く対応する会計システム
  • 多彩な入力支援機能でスピーディーで正確な伝票処理
  • 多彩な管理帳票の活用による多角的な分析とスピーディーな経営判断をサポート
freee会計
  • 新設法人や従業員1名から3名規模の企業向けクラウド会計ソフトウェア
  • オンラインバンキング明細の自動取得
  • 帳簿作成や入出金管理の自動化・効率化・帳票のデジタル保存
財務応援R4 Premium
  • 入力から決算書作成までワンストップ
  • 10部門以上の部門管理が可能
  • 中小規模法人におすすめの会計ソフトウェア

インボイス対応受発注・決済ソフトウェア

インボイス対応受発注・決済ソフトウェアの一例は、以下のとおりです。

ツール名 概要
The Kimono Lite
  • 直感的な着物専門店の業務管理実現ツール
  • 必要な管理項目をトータルサポート
  • 着物店専用ソフトウェアならではのきめ細かな機能
RAPID-M
  • 一度の製品名入力で自動検索システムを活用し、以降の作業にスムーズ対応
  • 発注側と受注側の業務を一括管理し事務作業をスピードアップ
弥生販売 24 ネットワーク
  • 販売管理・仕入れ・在庫管理をこれ1本で対応
  • ネットワークで複数のパソコンから同時入力が可能
取引上手くん9
  • 見積もり・受注・売上・請求・回収・発注・仕入れ・支払い・在庫管理業務を搭載した販売仕入在庫管理ソフトウェア
  • A4白紙への各種帳票出力で専用用紙不要
  • 資金繰りや期末の売掛・買掛管理を簡易化
SMILE V Air 販売モジュール?
  • 見積もりから入金、発注から支払い、在庫管理まで販売・購買業務の一気通貫管理が可能
  • 豊富な管理帳票や充実したデータ分析など、豊富な機能で業務の効率化を支援
POSシステム【poscube】
  • 汎用タブレットとパソコンで実現する高機能POS
  • 専用機と同レベルの機能をタブレット・パソコンで実現
  • 店舗オペレーションと事務作業の大幅な労働効率改善

インボイス対応類型と同時申請が可能なハードウェア

インボイス対応類型と同時申請が可能なハードウェアの条件・注意点を、以下の表にまとめました

ハードウェアの種類 条件・注意点
パソコン・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機
  • レジ以外の用途で使用する場合、ソフトウェアの購入先として選定したIT導入支援事業者からの購入に限る
  • プリンターやスキャナーは、文書の印刷やスキャン機能を主とする製品が対象
POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機
  • POSレジシステムをインストールするためのPOS専用機・パソコン・タブレット・券売機の費用が対象
  • POSレジの付属品(キャッシュドロワ・カスタマーディスプレイ・レシートプリンター・自動釣銭機・カードリーダ・バーコード・QRコードリーダ・Wi-Fiルータ・運搬費)も対象
すべてのハードウェア
  • 価格は経済合理性があり、市場価格を逸脱していない
  • 交付決定後でも、価格や用途などについて事務局が不適切と判断した場合は補助対象外となる可能性がある

インボイス対応類型と同時申請が可能なハードウェアを把握し、業務の効率化を実現しましょう。

参考:IT導入補助金公式サイト「ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む)

各業界でのIT導入補助金の活用事例

各業界でのIT導入補助金活用事例を4つ紹介します

  • 飲食業でのPOSシステム導入
  • 製造業での生産管理システム導入
  • 社内システムをペーパーレス化
  • ITツールを用いて廃棄物収集を業務効率化

実際の事例から、自社でどのようにIT導入補助金が活用できるのか検討しましょう。

飲食業でのPOSシステム導入

和歌山県和歌山市に拠点を置く杏亭グループは、お弁当屋と仕出し弁当屋をチェーン展開しています。杏亭グループは、以下のようなさまざまな課題を抱えていました

  • 副菜の食べ残しによるフードロス
  • コロナ禍による仕出し弁当の需要低下
  • 人手不足
  • 店頭での注文・会計処理の非効率性
  • 調理スタッフ不足による提供スピードの低下と品質のばらつき
  • 会計ミスや機会損失、
  • 原価率の高騰による利益率の低下

上記の課題を解決するため、IT導入補助金を活用して以下の3つを導入しました。

  • タッチパネル型レジシステム「テンポスエアー」
  • LINEの予約・注文システム
  • 急速冷却冷凍装置

上記のツールの導入により、以下のような効果が得られました。

  • 副菜の改善によるフードロスの削減
  • 会計担当者の調理への配置転換による提供スピードと品質の向上
  • 会計ミスの9割減少と客単価の2割上昇
  • オンライン注文の増加による店頭での待ち時間の減少
  • 食材ロスの3割~4割減少
  • 仕出し弁当の準備時間の大幅短縮

今後は在庫管理や仕入れ注文のデジタル化により、さらなる生産性向上と原価率の改善に向けて取り組んでいく予定です。

参考:中小企業生産性革命推進事業「セルフレジと急速冷凍機の導入で省人化。会計ミス9割減、客単価2割UP、食材ロス4割減【杏亭グループ】(和歌山県和歌山市)

製造業での生産管理システム導入

株式会社アズマは、家電の二次卸業・PB製品開発・家電開発・ECサイトといった事業を展開しています。

しかし、経理などの社内業務が手作業で以下のような問題を抱えていました

  • 経理の手間・労力がかかり細かなミスが多い
  • 正確に売上や利益を把握しづらい
  • 倉庫業務などの販売管理が非効率
  • ECサイトで受注した送り状が倉庫で出力できない
  • ECサイトで受注したデータが販売管理ソフトウェアに取り込めない
  • 販売データと会計データが連動しない

上記の課題を解決するために、「SMILE V 販売スタンダード」をクラウド型基幹業務システムとして導入しました。その結果、残業コストの削減により利益率が1%~2%改善し、販売管理費も年間1,000万円ほど削減できたのです。

また、事務作業や営業報告書の作成もすべて出先で可能になり、恒常化していた残業がなくなりました。手入力や手計算の手間が激減し、2日~3日かかっていた業務が1日で完了するようになったのです。

また、業務フロー変更への抵抗感はありましたが、IT導入支援事業者から操作方法を教えてもらうといった方法で対応しました。

参考:IT導入補助金公式サイト「株式会社アズマ/IT導入補助金2021活用事例

社内システムをペーパーレス化

計測検査株式会社では社内の紙文化が根強く、全従業員約140名の給与明細の配布作業などに多大な負担がかかっていました。もともと単純作業の効率化を検討していましたが、ITツールの導入コストの高さから二の足を踏んでいたのです。

計測検査株式会社はIT導入補助金の活用によって奉行クラウドシリーズを導入し、総務・人事業務のデジタル化を図りました。その結果、給与明細の配布作業などが不要になり、給与関連業務が効率化されました。給与明細のペーパーレス化も実現し、年末調整だけで年間560枚もの紙を削減できたのです

また、ITツールの導入により総務部は50%の出社率で業務可能となり、働き方改革を大きく前進させられました。さらに、人件費と郵送費などで年間60万円以上のコスト削減効果も確認されています。

IT導入補助金公式サイト「計測検査株式会社/IT導入補助金2020活用事例

ITツールを用いて廃棄物収集を業務効率化

株式会社ケイ・システムは、SDGs経営向けのシステム開発・販売や廃棄物の収集受託業務を行っています。しかし、廃棄物収集業務は煩雑で効率が低く、ペーパーレス化をできていない点も課題でした。オンプレミス型システムと紙ベースの管理では、テレワークができず事業継続の面でも喫緊の課題だったのです。

上記の課題を解決するために、株式会社ケイ・システムは「ルート配車システム」を導入しました。ルート配車システムの導入は、入力画面の操作性や機能性が業務にマッチしているのが決め手となったのです。

導入後は12種類の廃棄物の収集量を1画面で登録できるようになり、作業効率が飛躍的に向上しました。また、ペーパーレス化も実現し、作業時間は9時間から3時間と1/3に短縮されました。効率化によって本業にリソースを集中した結果、売上は1.7倍に増加したのです。

導入は「オペレーションにあわせた設定」「マスターデータの事前登録」などで2か月ほどかかり、たいへんな作業となりました。しかし、移行後はスムーズに業務が回り、効率化の恩恵を実感しているとのことです。

参考:IT導入補助金公式サイト「株式会社ケイ・システム/IT導入補助金2021活用事例

補助金は専門家に相談しましょう|ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、などすべてご相談できます。

IT導入補助金2024の申請方法の流れと注意点

IT導入補助金2024の申請方法の流れやポイントについて解説します。

  • 申請までの流れ
  • 申請における注意点

あらかじめ申請の流れやポイントを押さえて、スムーズにIT導入補助金の採択を実現しましょう。

申請までの流れ

IT導入補助金の申請までの流れは、以下のとおりです。

  1. 要件定義と制度理解
  2. ITツールとIT導入支援事業者の選定
  3. 申請書類の準備と提出

事前に流れを理解し、余裕を持ったスケジュールで申請を進めましょう。

要件定義と制度理解

まずは自社の現状を把握して問題点を明確にし、その問題点を解決するのに必要な要件を洗い出すのが重要です。次に、公募要領を熟読してIT導入補助金に対する理解を深めましょう。

そのうえで、IT導入補助金のどの枠が自社に活用できるのか社内で検討を進めてください。

ITツールとIT導入支援事業者の選定

事前に実施した要件定義に基づき、導入したいITツールを選定します。くわえて、導入したいITツールを登録しているIT導入支援事業者も選択してください。

なお、ITツールやIT導入支援事業者は、IT導入補助金の公式サイトより検索できます。

申請書類の準備と提出

IT導入補助金の申請には、gBizIDプライムアカウントが必要です。gBizIDとは、アカウント登録すれば複数の行政サービスにアクセスできる法人・個人事業主向けサービスです。あらかじめ「gBizID公式サイト」から、アカウント登録をすませておきましょう。

必要な書類を準備してスキャンし、gBizIDマイページからアップロードします。具体的に必要となる書類は、以下のとおりです。

事業形態 必要書類
法人
  • 履歴事項全部証明書
  • 法人税の納税証明書
個人事業主
  • 運転免許証・運転経歴証明書・住民票のどれかひとつ
  • 所得税の納税証明書
  • 所得税確定申告書B

IT導入補助金の場合、ITツールの持つ合計プロセス数と補助上限額を考慮に入れて申請を決定する必要があります。

補助金申請額 補助率 プロセス数 賃上げ目標 補助対象
5万円~150万円未満 1/2以内 1以上 加点項目 ソフトウェア購入費および導入するソフトウェアに関連するオプション・役務の費用
150万円~450万円以下 1/2以内 4以上 必須要件 ソフトウェア購入費および導入するソフトウェアに関連するオプション・役務の費用

IT導入補助金では、マイページから経営診断ツールへの財務情報の入力が求められます。従業員数や業種などの基本情報と直近期を含めた2期分の決算書類に基づき、必要事項を入力してください。

申請における注意点

IT導入補助金の申請における注意点は、以下のとおりです。

  • 交付決定前の導入は対象外
  • カスタマイズの制限
  • 過去の採択状況の確認

注意するポイントを事前に把握し、スムーズにIT導入補助金の申請手続きを進めましょう。

交付決定前の導入は対象外

IT導入補助金の申請が採択されたからといって、必ずしも補助金が交付されるわけではありません。補助金の交付には採択後に事業実績報告を提出し、確定検査を通過する必要があります。

以下のような事態に陥らないよう、注意しましょう

シナリオ 結果 対策
交付決定前からITツールの導入をはじめていたと判明した場合 補助金の交付は見送られる ITツールの導入は交付決定後に行うのが原則。申請前や審査中の導入は避ける
事業実績報告を失念し、報告期間内に提出がなかった場合 補助金の交付はない 事業実績報告の提出期限を念頭に置き、余裕を持って準備を進める。提出漏れがないようしっかりと管理する

IT導入補助金を確実に活用するには、申請のルールをよく理解し、適切な時期に適切な手続きを踏むのが大切です。交付決定前のITツールの導入は避け、事業実績報告は漏れなく提出するようにしましょう。

カスタマイズの制限

IT導入補助金(通常枠)の対象となるのは、以下の条件を満たすソフトウェアやサービスです。

  1. パッケージソフトウェア(CDなどの媒体で提供されるもの)
  2. クラウドサービス
  3. 汎用品である(オーダーメイドのカスタマイズは対象外)

自社の業務に合わせたカスタマイズを行った場合、そのカスタマイズ費用は全額自己負担となります。したがって、ITツールの選定では自社の要件に合う汎用品を探すのが重要です。

IT導入支援事業者と相談し、自社の要件を満たす汎用ソリューションを探して補助金の有効活用につなげましょう。どうしてもカスタマイズが必要な場合は、費用対効果を見極め自社での負担を考慮する必要があります。

補助金の制度をしっかりと理解し、カスタマイズの制限を踏まえたうえで、最適なITツールの選定を進めていきましょう。

過去の採択状況の確認

IT導入補助金は、過去に採択された事業者でも一定期間経過後であれば再申請が可能です。ただし、過去の採択内容によって、再申請が可能となるまでの期間が異なります。

  1. 過去にIT導入補助金で採択された事業者も、一定期間経過後は再申請可能
  2. 2022年・2023年のA類型・B類型・複数社連携IT導入類型は交付決定後、12か月以上経たないと申請不可
  3. 「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を含むITツールで2022年・2023年・2024年に交付決定や申請を行った場合、通常枠の申請は不可
  4. 再申請の可否は、採択された枠や導入するITツールの内容によって異なる

申請前にIT導入支援事業者とよく相談し、再申請の要件を満たしているか十分に確認するのが大切です。

IT導入補助金2024の採択のポイント

IT導入補助金2024の採択のポイントは、以下の3つです。

  • 矛盾の生じない申請内容にする
  • 加点項目を意識する
  • 自由記述の項目は必ず入力する

ポイントを十分に意識し、採択率をあげてIT導入補助金によるデジタル化を実現しましょう。

矛盾の生じない申請内容にする

IT導入補助金の審査を通過するには、導入予定のITツールが課題解決にどのように役立つのかを明示する必要があります。IT導入補助金を申請するときは、以下の点に注意しましょう。

  1. 自社の経営課題を明確に示す
  2. 導入するITツールがその課題解決にどのように効果的であるかを具体的に説明する
  3. 過去に採択された事業のITツール活用事例などを参考にする
  4. 自社の課題とITツールの機能を適切に関連付けて説明する

説得力を持って課題とツールの適切なマッチングを示せば、審査を通過する可能性は高くなります。

加点項目を意識する

IT導入補助金2024には加点項目が設定されており、要件を満たせば審査における加点を狙えます

通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)・インボイス枠(電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠には13個の加点項目が用意されています。

加点項目 通常枠 インボイス枠(インボイス対応類型) インボイス枠(電子取引類型) セキュリティ対策推進枠
地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画
地域未来牽引企業
クラウドを利用したITツール導入の検討
インボイス対応ITツール導入の検討
賃上げの事業計画の策定・従業員への表明・事業計画の達成
SECURITY ACTIONの「★★ 二つ星」の宣言を行っている
「みらデジ経営チェック」の実施
国の推進するセキュリティサービスを選定しているか
健康経営優良法人に認定されている
「地域DX促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けている事業
事業継続力強化計画の認定を取得している
介護職員など特定処遇改善加算
くるみん・えるぼし認定

上記の表の用語については、以下にまとめた解説を参考にしてください。

用語 解説
地域経済牽引事業計画 地域経済の活性化を目指す企業が実施する計画。地域資源を活用し、地域の特性を活かした事業展開を支援する
地域未来牽引企業 地域経済の中核を担い、将来的に地域の発展への貢献が期待される企業。経済産業省が選定
SECURITY ACTION 中小企業の情報セキュリティ対策を推進するための取り組み。IPAが実施する認定制度
みらデジ経営チェック デジタル技術を活用した経営の現状を評価するためのチェックツール。経済産業省が提供し、企業のデジタル化推進を支援する
健康経営優良法人 従業員の健康管理を経営的視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業に与えられる認定。健康経営の推進を図る
地域DX促進活動支援事業 地域のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するための経済産業省の支援事業。地域企業のデジタル技術導入を支援し、地域全体の競争力を高める。
事業継続力強化計画の認定 自然災害や事故などのリスクに備え、事業の継続を確保するための計画を策定し、認定を受ける制度。経済産業省が実施
くるみん・えるぼし認定 くるみんは子育てサポート企業、えるぼしは女性活躍推進企業に与えられる認定。どちらも厚生労働省が実施し、企業の働きやすさ向上を支援する

一方、複数社連携IT導入枠の加点項目は、以下の表のとおりです。

複数社連携IT導入枠 加点項目
複数社・地域の生産性向上のため、より新規性のある取り組み
本事業を通じて得られた知見やノウハウ、データマーケティングの手法などを地域で普及啓発し、地域の生産性の向上につなげる取り組み
本事業を通じて得られたデータを可能な範囲でオープン化し、地域の課題解決につなげていく取り組み
地域の自治体・金融機関・公共機関・ITベンダー・観光団体・医療・介護・福祉・教育・防災・防犯関係者などと連携し、地域課題の解決を目指す取り組み
既存のデジタル化の取り組みと合わせて本事業を行う

加点項目をひとつずつ丁寧に確認し、できる限り多くの項目をクリアできるようにしましょう。

参考:IT導入補助金公式サイト「加点項目

自由記述の項目は必ず入力する

IT導入補助金の申請では、一部の項目で自由記述が求められます

自由記入欄に記入する内容が直接、審査結果を大きく左右するわけではありません。しかし、審査員に与える印象を少しでもよくするため、具体的かつ簡潔に自社の特徴や強みを記入しましょう。

補助金は専門家に相談しましょう|ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、などすべてご相談できます。

IT導入補助金2024のスケジュール

IT導入補助金2024のスケジュールを、枠ごとに表にまとめました

通常枠

締切分 締切日 交付決定日 事業実施期間 事業実績報告期限
3次締切分 2024年5月20日 (月) 17:00 2024年6月26日 (水) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
4次締切分 2024年6月19日 (水) 17:00 2024年7月29日 (月) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
5次締切分 2024年7月19日 (金) 17:00 2024年8月30日 (金) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00

インボイス枠(インボイス対応類型)

締切分 締切日 交付決定日 事業実施期間 事業実績報告期限
5次締切分 2024年5月20日 (月) 17:00 2024年6月26日 (水) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
6次締切分 2024年6月3日 (月) 17:00 2024年7月8日 (月) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
7次締切分 2024年6月19日 (水) 17:00 2024年7月29日 (月) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
8次締切分 2024年7月3日 (水) 17:00 2024年8月8日 (木) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
9次締切分 2024年7月19日 (金) 17:00 2024年8月30日 (金) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00

インボイス枠(電子取引類型)

締切分 締切日 交付決定日 事業実施期間 事業実績報告期限
3次締切分 2024年5月20日 (月) 17:00 2024年6月26日 (水) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
4次締切分 2024年6月19日 (水) 17:00 2024年7月29日 (月) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
5次締切分 2024年7月19日 (金) 17:00 2024年8月30日 (金) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00

セキュリティ対策推進枠

締切分 締切日 交付決定日 事業実施期間 事業実績報告期限
3次締切分 2024年5月20日 (月) 17:00 2024年6月26日 (水) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
4次締切分 2024年6月19日 (水) 17:00 2024年7月29日 (月) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00
5次締切分 2024年7月19日 (金) 17:00 2024年8月30日 (金) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00

複数社連携IT導入枠

締切分 締切日 交付決定日 事業実施期間 事業実績報告期限
2次締切分 2024年6月19日 (水) 17:00 2024年7月29日 (月) (予定) 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 2024年11月29日 (金) 17:00

IT導入補助金の最新情報の入手方法

IT導入補助金の最新情報は、以下の方法で入手できます

確認方法 概要
IT導入補助金の公式サイトを定期的にチェックする URL:https://it-shien.smrj.go.jp/
IT導入補助金コールセンターに問い合わせる 電話番号:0570-666-376
IP電話から:050-3133-3272
問い合わせ時間:9:30~17:30(土日祝日を除く)

IT導入補助金に関する重要な情報は、公式サイトで随時更新されます。公募スケジュールの変更や公募要領の改定など重要な情報が更新されるため、定期的にアクセスしてチェックするのが大切です。

補助金は専門家に相談しましょう|ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、などすべてご相談できます。

IT導入補助金に関するよくある質問

IT導入補助金に関するよくある質問は、以下のとおりです。

  • 個人事業主でもIT導入補助金の申請は可能?
  • IT導入補助金でパソコン購入は対象になる?
  • IT導入補助金の対象となるソフトウェア一覧は?
  • IT導入補助金の効果報告はどのように行う?
  • IT導入補助金のリーフレットやチラシはどこで入手できる?
  • IT導入補助金を活用してECサイトの開設は可能?
  • IT導入補助金を利用して自社ホームページのリニューアルはできる?
  • IT導入補助金の申請は何回まで可能?
  • 農業分野でのIT導入補助金の活用事例は?

あらかじめ疑問を解消しておき、トラブルを回避してスムーズに申請を進めましょう。

個人事業主でもIT導入補助金の申請は可能?

IT導入補助金2024は、中小企業・小規模事業者を対象とした補助金制度ですが、個人事業主の方も申請が可能です。ただし、補助枠や類型によって補助額や補助対象が異なるため、申請のときはそれぞれの違いを十分に理解しておく必要があります。

IT導入補助金でパソコン購入は対象になる?

パソコン・ハードウェアが補助対象となるのは、インボイス枠(インボイス対応類型)・複数社連携IT導入枠のみです。

そのほかの補助枠では、ソフトウェアの導入費用のみが補助対象となります。

IT導入補助金の対象となるソフトウェア一覧は?

IT導入補助金の対象となるソフトウェアは、公式サイト内の「ITツール・IT導入支援事業者検索」ページで確認できます

このページでは、目的や業種、ITツールの分野などを指定して検索できるので、自社に適したソフトウェアを探すのに便利です。

IT導入補助金の効果報告はどのように行う?

IT導入補助金の交付を受けた事業者は一定期間、事業の実施効果を報告する必要があります。生産性向上に関する数値目標・給与支給総額・事業場内最低賃金などの情報を、定められた期間内に事務局に提出しなければなりません。

事業実施効果報告の対象期間と提出期間は、以下のとおりです。

年度 事業実施効果報告対象期間 事業実施効果報告期間
1年度目 2025年4月1日~2026年3月31日 2026年4月~2026年7月
2年度目 2026年4月1日~2027年3月31日 2027年4月~2027年7月
3年度目 2027年4月1日~2028年3月31日 2028年4月~2028年7月

報告内容に基づき、労働生産性の向上や賃上げ目標の達成状況などが評価されます。達成できなかった場合、補助金の一部または全額の返還を求められる可能性もあるので注意しましょう。

IT導入補助金のリーフレットやチラシはどこで入手できる?

2024年度IT導入補助金のチラシ・リーフレットは、まだ発行されていません。しかし、公式サイトの資料ダウンロードページから必要な資料を入手できます。

IT導入補助金を活用してECサイトの開設は可能?

オンラインショップ・ECサイトの開設は、IT導入補助金2024から対象外となっています。

IT導入補助金を利用して自社ホームページのリニューアルはできる?

自社ホームページの制作やリニューアルに関する費用も、IT導入補助金の補助対象外です。

IT導入補助金の申請は何回まで可能?

同一年度内に同じ申請枠・類型で、同一事業者が申請できるのは1回のみです。

ただし、年度や申請枠、申請事業者が異なる場合は、公表されている情報の範囲内では回数制限がありません。

農業分野でのIT導入補助金の活用事例は?

農業分野でIT導入補助金を活用した事例として、島根県で石見鴨を使ったアイガモ農法で知られる市原ファームの取り組みが紹介されています

市原ファームはコロナ禍の影響により、地方新聞社が厳選するお取り寄せ通販サイト「47CLUB」への出店を決断しました。ECサイトでの販売と地方新聞への広告掲載で、全国へ向けた石見鴨のPRを実現しました。販売データの分析にも取り組み、効果的なマーケティング活動につなげています。

参考:IT導入補助金公式サイト「市原ファーム/IT導入補助金2021活用事例

IT導入補助金を活用して業務効率アップ・生産性向上を目指そう!

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のITツール導入費用を国が一部補助する制度です。

2024年度は通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠などが用意され、それぞれ補助額や補助率が異なります。申請には要件や注意点があるため、IT導入支援事業者とよく相談し、スケジュールに余裕を持って進めましょう。過去の活用事例からは、業務効率化や生産性向上などの効果が確認されています。

なお、IT導入補助金の申請にサポートがほしいなら「補助金Bizアシスト」がおすすめです。無料で相談ができるうえ、専門家によるサポートでIT導入補助金の採択を受けやすくなります。

自社の課題を明確にし、IT導入補助金を有効活用してDX推進による業務効率化・生産性向上を実現しましょう

この記事を書いた専門家

高橋 聡

高橋 聡

金融・ビジネス・ITなどを専門とするWebライターです。

「わかりやすい」「知りたい情報があった」「こんな情報知らなかった」と思っていただける記事作りを心がけています。

座右の銘は「楽するために努力する」。
なぜか、未だに楽はできていません。

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