中小企業や小規模事業者のホームページ作成にあたり、費用対効果の高い施策や選択肢に悩むケースが増えています。IT導入補助金2024を活用すれば、最大450万円の補助金を受けながら高機能なホームページの作成が可能です。
今回の記事では、IT導入補助金2024の概要・申請方法・補助対象となるITツール・必要書類をまとめました。さらに、「補助金申請の具体的な流れや注意点」「ホームページ制作に活用できるほかの補助金制度」も解説します。
本記事を読めば、自社に最適なITツールの選定方法や、スムーズな補助金申請のためのポイントを理解できます。補助金活用で業務効率化やDX推進に役立つホームページを作成し、生産性の向上と競争力の強化を実現しましょう。
IT導入補助金2024とは?わかりやすく解説
IT導入補助金2024は、中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的とした制度です。生産性向上のため、主に業務効率化・DX推進・セキュリティ対策・インボイス制度対応の機能を持つITツールの導入を支援しています。
- 業務効率化
- DX推進
- セキュリティ対策
- インボイス制度対応
補助率はインボイス枠(インボイス対応類型)が最大で4/5、補助額は通常枠の450万円が最大となっています。中小企業や小規模事業者が支援を受けられるIT導入補助金の類型は、以下のとおりです。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
IT導入補助金は事前に登録されたITツールを選び、IT導入支援事業者を通じて申請する必要があります。
IT導入補助金2024のチラシで概要を確認
IT導入補助金2024の概要を大まかに把握したいなら、令和6年9月版のチラシを確認するのがおすすめです。
IT導入補助金2024のチラシには、以下の内容が記載されています。
記載されている項目 | 内容 |
IT導入補助金で業務効率化・DX推進 |
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4つの枠で幅広く支援 |
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インボイス枠はハードウェアも対象 |
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複数社連携での導入 |
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セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト掲載サービスが対象 |
締切情報 |
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大まかな内容を把握したあとは、IT導入補助金2024公式サイトで公募要領を読んで申請するかどうかを検討しましょう。
詳細な内容はIT導入補助金2024公式サイトを確認
IT導入補助金の詳細情報はIT導入補助金2024公式サイトに掲載されていますので、申請の検討時に必ず確認しましょう。とくに、重要な点として補助金申請には、IT導入支援事業者とのパートナーシップが必須です。
IT導入支援事業者は、以下の申請作業を一貫してサポートします。
- ITツールの説明・導入・運用方法の相談などのサポート
- 補助金の交付申請
- 実績報告などの事務局への各種申請
- 手続きの取りまとめ
申請には「みらデジ経営チェック」で自社の経営課題を把握し、その後にITツールなどを選定する手順が必要です。また、申請枠によってさまざまな条件があるため、準備段階で必ず公式サイトの公募要領を十分に把握しましょう。
たとえば、通常枠で一定以上の補助額を受給するには、賃上げ目標の達成が必要です。もし未達成の場合は補助金の返還が求められる可能性があるため、どの申請枠を活用するかを慎重に検討しましょう。
ホームページの新規作成・リニューアル自体はIT導入補助金の対象外
IT導入補助金2024では、企業の情報を掲載する一般的なホームページの新規作成やリニューアルは補助対象外です。2024年度版のIT導入補助金は、生産性向上やインボイス制度対応を目的としています。そのため、単なる広報・宣伝目的のホームページ制作は制度の目的に合致しません。
2023年までは、「デジタル基盤導入枠」でECサイトやホームページ制作も対象でした。しかし、2024年からはデジタル基盤導入枠が廃止されてホームページ制作が対象外になりました。
ただし、「予約機能」「カスタマーサポート機能」などを含んだホームページの場合、ITツールそのものが補助対象となります。
一般的なホームページ作成で補助金を受けたい場合は、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金を検討しましょう。また、地方自治体によってはホームページ作成に利用できる補助金が実施されているところもあります。なお、ホームページのリニューアルについては、ほとんどの補助金制度で対象外です。
IT導入補助金を活用できるホームページとは?
IT導入補助金2024では、生産性向上やDX推進に役立つITツールを導入したホームページが補助対象となります。たとえば、以下の機能を持つITツールを導入したホームページが補助対象に該当します。
- 顧客管理システム(CRM)と連動し、顧客の行動をリアルタイムに把握できる
- ユーザー別に適した情報を提示できる
- 顧客の興味関心度でランク分けし、再訪問時に自動通知できる
- チャットボットで顧客対応ができる
ただし、登録されているITツールを導入する場合でも、IT導入支援事業者を通じた申請が必要です。また、2023年と異なり、2024年からはECサイト構築も補助対象外ですので注意しましょう。
IT導入補助金の対象企業
IT導入補助金の対象企業は、中小企業と小規模事業者です。
- 中小企業
- 小規模事業者
どちらにも厳密な定義があるため、公募要領を十分に確認して申請できるかどうかを検討しましょう。
中小企業
中小企業基本法に基づくIT導入補助金の対象企業について、業種別の対象企業基準は以下のとおりです。
業種分類 | 資本金または出資の総額の上限 | 従業員数の上限 |
製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(特定の製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
その他業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
医療法人・社会福祉法人 | - | 300人以下 |
学校法人 | - | 300人以下 |
商工会・都道府県連合会・商工会議所 | - | 100人以下 |
中小企業支援法に規定される団体 | 主たる業種に基づく従業員規模以下 | 主たる業種に基づく従業員規模以下 |
特別法律によって設立された組合または連合会 | 主たる業種に基づく従業員規模以下 | 主たる業種に基づく従業員規模以下 |
財団法人(一般・公益)・社団法人(一般・公益) | 主たる業種に基づく従業員規模以下 | 主たる業種に基づく従業員規模以下 |
特定非営利活動法人 | 主たる業種に基づく従業員規模以下 | 主たる業種に基づく従業員規模以下 |
なお、以下の条件を満たす企業は「みなし大企業」として補助金対象から除外される場合があります。
- 発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者
- 発行済株式の総数または出資価格の総額の3分の2以上を複数の大企業が所有している中小企業・小規模事業者
- 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業・小規模事業者
- 上記に該当する中小企業・小規模事業者の株式を保有している場合、その保有割合が上記に該当するかを基準に判断
自社が中小企業の定義に入っているかどうかを、申請前に必ず確認するようにしましょう。
小規模事業者
小規模事業者の業種別の定義は、以下のとおりです。
業種分類 | 定義 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 常時使用する従業員の数が5人以下の会社および個人事業主 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 常時使用する従業員の数が20人以下の会社および個人事業主 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数が20人以下の会社および個人事業主 |
2024年度のIT導入補助金では、小規模事業者への補助率が最大80%まで拡大され、より手厚い支援を受けられます。なお、小規模事業者としての申請でも、gBizIDプライムの取得やSECURITY ACTIONへの参加が必要です。
ホームページ制作に活用できるIT導入補助金の申請枠
ホームページ制作に活用できるIT導入補助金の申請枠は、通常枠とセキュリティ対策推進枠です。
- 通常枠
- セキュリティ対策推進枠
それぞれの枠の補助率・補助額を確認し、選定するITツールを検討してホームページ立ち上げの計画を立てましょう。
通常枠
IT導入補助金2024において、ホームページ制作に活用できる申請枠のひとつが通常枠です。ただし、単なる情報掲載や広報目的のホームページ制作は補助対象外となっているため注意しましょう。IT導入補助金2024の通常枠の補助率・補助額を、以下の表にまとめました。
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
補助額の範囲 | 5万円~150万円未満 | 150万円~450万円以下 |
条件 | 共通プロセスの内1種類以上の業務プロセスを含むソフトウェア | 共通プロセスや汎用プロセスを含む4種類以上のプロセスを保有するソフトウェア |
賃上げ目標 | なし | 必須 |
補助対象となるITツールは、以下の業務プロセスをひとつ以上含む必要があります。
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 供給・在庫・物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム
- その他業務固有のプロセス
通常枠の補助対象経費は、以下のとおりです。
補助対象経費 | 概要 |
ソフトウェア購入費 | ソフトウェアの導入にかかる費用 |
クラウド利用費 | クラウドサービスの利用料(最大2年分) |
導入関連費 | ITツールの設定・導入に関連する費用 |
なお、補助対象となる経費はあらかじめ公募要領で必ず確認しておきましょう。対象外経費が含まれている場合、申請が不適格となる可能性があります。また、150万円以上の申請では賃上げ目標の設定が必須であり、要件を満たしていないと補助の対象外となります。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、ホームページ制作とあわせてサイバーセキュリティ対策を強化する場合に活用できます。セキュリティ対策推進枠の補助率・補助額などを、以下の表にまとめました。
補助率 | 1/2以内 |
補助額の範囲 | 5万円~100万円(最大2年分) |
条件 | 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスを利用 |
賃上げ目標 | なし |
情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスが対象です。なお、掲載されているサービスのなかでも、IT導入補助金の対象ツールとして事前登録されている必要があります。
セキュリティ対策推進枠は、IT導入補助金の通常枠・インボイス枠などと同時申請が可能です。
ホームページに組み込めるIT導入補助金の補助対象ツール
ホームページに組み込めるIT導入補助金の補助対象ツールは、顧客管理システムや予約管理機能、カスタマーサポート機能などがあります。
- 顧客管理システム
- 予約管理機能
- カスタマーサポート機能
- MA(マーケティングオートメーション)
- セキュリティ対策
どのような機能をホームページに組み込むのかを検討し、自社に最適なITツールを選択しましょう。
顧客管理システム
顧客管理システム(CRM)は顧客情報を一元管理し、マーケティング活動に活用できる機能を持つツールです。単なる顧客情報の保存・表示機能だけでは補助対象外とされ、顧客育成や関係強化につながる機能が必要です。
顧客管理システムが備えている主な機能は、以下のようになります。
- 顧客の基本情報管理(氏名、住所、連絡先など)
- 商談・営業活動の進捗管理
- 問い合わせ履歴の管理
- メール配信・自動配信機能
- 外部サービスとの連携
- データ分析・レポート作成機能
IT導入補助金2024に登録されている代表的な顧客管理システムを、以下の表にまとめました。
顧客管理システム | 特徴 |
HubSpot CRM | 使いやすいインターフェースとコンタクト管理が特徴 |
Salesforce | 高度なカスタマイズ機能と豊富な連携オプションを提供 |
Marketo Engage | B2Bマーケティングに特化し、リード育成とオートメーションが強力 |
SATORI | 日本市場に最適化されたMAツール。直感的な操作性が魅力 |
BowNow | シンプルなUIとリード管理機能が特徴 |
なお、クラウド型やオンプレミス型を問わず、企業のニーズに合わせた導入形態を選択できるのもポイントです。顧客管理システムを導入すれば顧客データの一元管理により、対応履歴の把握や適切なタイミングでのアプローチが可能となります。
予約管理機能
予約管理システムは、IT導入補助金2024の通常枠で申請可能なITツールとして認められています。予約管理システムを導入するメリットは、以下のとおりです。
- 予約受付・管理のリアルタイム一元化
- 予約枠の柔軟な設定
- 複数店舗の一括管理
- キャンセル待ち機能
- 予約状況の可視化
- ダブルブッキング防止機能
IT導入補助金2024に登録されている主な予約管理機能を、以下の表にまとめました。
予約管理ツール | 特徴 |
RESERVA | 350以上の業種に対応。無料プランがあり低コストで導入可能 |
LEISUREVE | レジャー施設向けに特化した汎用予約管理システム |
STORES予約 | オールラウンドで使える予約管理システム。幅広い業種に対応 |
なお、単なる予約カレンダーの表示機能だけでは補助対象とはなりません。予約管理機能が、業務効率化やDX推進に寄与する機能を備えている必要があります。
カスタマーサポート機能
カスタマーサポート機能は通常枠で申請できるITツールのひとつで、主にチャットボットによる24時間自動応対や、ライブチャットでのリアルタイム顧客対応の機能を備えています。
- チャットボットによる24時間自動応対
- ライブチャットでのリアルタイム顧客対応
- アンケートフォームの設置と分析
- 顧客の状況に応じたカスタマイズ対応
- 問い合わせ内容の一元管理
IT導入補助金2024でカスタマーサポート機能が使えるITツールを、以下の表にまとめました。
カスタマーサポートツール | 特徴 |
Zendesk | オムニチャネル対応で、問い合わせを一元管理し、FAQや分析機能が充実 |
Freshdesk | 多言語対応のカスタマーサポートシステム。直感的なUIと自動化機能が魅力 |
HubSpotカスタマーサービス | 顧客情報の統合管理と自動化機能が特徴でCRMと連携しやすい |
Chatwork | シンプルなタスク管理とチャット機能。ビジネスコミュニケーションに最適 |
SATORI | 日本市場向けのMAツール。見込み顧客の育成とメールマーケティングが強力 |
なお、単なる問い合わせフォームだけでは補助対象とはなりませんので注意しましょう。カスタマーサポート機能は、顧客とのコミュニケーションを通じて関係性を強化し、顧客満足度の向上につながる機能が必要です。
MA(マーケティングオートメーション)
IT導入補助金2024において、MAツールは通常枠で申請可能な補助対象ツールです。MAツールは、顧客管理や販売支援のプロセス改善に寄与するものとして位置付けられています。MAツールの主な機能は、以下のとおりです。
- 見込み顧客(リード)情報の一元管理
- 顧客行動の追跡・分析
- メール配信の自動化
- スコアリング機能
- シナリオ作成機能
- キャンペーン管理機能
- Webサイトのユーザーの行動解析機能
2024年度の補助対象となる主要なMAツールを、以下の表にまとめました。
MAツール | 特徴 |
Zendesk | オムニチャネル対応で、問い合わせを一元管理し、FAQや分析機能が充実 |
Freshdesk | 多言語対応のカスタマーサポートシステム。直感的なUIと自動化機能が魅力 |
HubSpotカスタマーサービス | 顧客情報の統合管理と自動化機能が特徴でCRMと連携しやすい |
SATORI | 日本市場向けのMAツールで見込み顧客の育成とメールマーケティングが強力 |
補助金申請にあたっては、企業が抱える課題解決や生産性向上への具体的な活用計画が必要です。
セキュリティ対策
IT導入補助金2024のホームページ制作において、セキュリティ対策はセキュリティ対策推進枠で申請が可能です。補助対象となる主なセキュリティ対策を、以下の表にまとめました。
セキュリティ対策の機能分類 | 概要 |
予防機能 | アクセス制御やファイアウォールによる直接攻撃からの防御 |
検知機能 | 不正アクセスやウイルスの侵入を検知・通知 |
回復機能 | 問題発生後の原状復帰やバックアップ対応 |
セキュリティ対策推進枠で導入できるのは、IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載のツールのみです。また、IT導入支援事業者が提供するツールに限定されるため注意が必要です。
セキュリティ対策推進枠で導入できる主なセキュリティツールを、以下の表にまとめました。
セキュリティツール | 特徴 |
UTM(統合脅威管理)システム | 複数のセキュリティ機能を統合し、一元管理してコスト削減と運用負荷の軽減が可能 |
ファイアウォール機能 | 不正アクセスをブロックし、内部と外部ネットワーク間のデータ通信を監視・制御 |
Webフィルタリング機能 | 有害サイトへのアクセスを制限し、従業員による業務外のサイト利用を防止 |
アンチウイルス機能 | ウイルスの検出・駆除を行い、ネットワーク全体の安全性を確保 |
侵入検知/防止機能 | 不正なアクセスを検知・通知し、自動で攻撃をブロックしてセキュリティを強化 |
なお、セキュリティ対策推進枠は通常枠やインボイス枠と同時に申請できます。
IT導入補助金2024の対象ソフト・ITツール一覧
以前はIT導入補助金の対象ソフト・ITツール一覧が公式に掲載されていましたが、現在では検索ページのみとなっています。IT導入補助金2024に登録されているITツールを探すなら、「ITツール・IT導入支援事業者検索」から検索しましょう。
「ITツール・IT導入支援事業者検索」では、以下の項目で検索できます。
- ITツール名
- カテゴリー別検索
- 業種別検索
- 補助金申請枠別検索
- キーワード検索
- 価格帯での絞り込み
ITツールの情報として確認できる項目は、以下のとおりです。
- ツールの名称と提供事業者
- 対応業務プロセス数
- 補助金申請可能額
- 機能の詳細説明
- 導入実績
- デモ・資料請求の案内
なお、「価格は税抜き表示」「定期的に更新される」などの点に留意し、自社に適したITツールを探しましょう。
IT導入補助金2024の導入支援事業者一覧
IT導入補助金2024公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」からは、導入支援事業者の検索もできます。
IT導入支援事業者は、IT導入補助金事務局および外部審査委員会からの審査・採択により認定を受けた事業者です。中小企業・小規模事業者に対して、ITツールの導入支援や補助金申請のサポートをIT導入支援事業者が行います。
IT導入支援事業者の登録形態は、以下の2種類です。
登録形態 | 概要 | メリット | デメリット |
法人 | ひとつの法人が単独でITツール登録から事業実施まですべてを行う |
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コンソーシアム | 幹事社1社と構成員で形成される |
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導入するITツールが決まっているなら法人、複数の選択肢を検討・相談をしたいならコンソーシアムがおすすめです。
IT導入補助金でホームページを作成するときの注意点
IT導入補助金でホームページを作成するときの注意点は、単なるホームページは補助対象外となる点が最も重要です。
- 単なるホームページは補助対象外
- IT導入支援事業者を通じた申請が必要
- 交付決定前の契約・支払いは禁止
あらかじめ注意点を十分に理解し、スムーズにIT導入補助金を受給できるホームページを作成しましょう。
単なるホームページは補助対象外
2024年度のIT導入補助金において、単なる情報発信用のホームページ制作費用は補助対象外となっています。企業の情報を掲載するだけのホームページは、IT導入補助金の目的である生産性向上やインボイス制度対応に該当しないためです。
たとえば、以下のホームページはIT導入補助金2024の対象外です。
- いつアクセスしても同じ内容が表示される静的なホームページ
- 企業情報や商品情報を一方的に発信するだけのホームページ
- 単なるお問い合わせフォームのみを設置したホームページ
IT導入補助金に申請するには、主に以下のITツールと連携した機能実装が必要です。
- 顧客管理システム(CRM)と連動した顧客行動分析機能
- ユーザーごとにパーソナライズされたコンテンツを表示する機能
- チャットボットによる顧客対応機能
- 顧客の興味関心度によるランク分けや自動通知機能
ホームページ制作費用そのものではなく、導入するITツールの費用が補助対象となる点に留意しましょう。
IT導入支援事業者を通じた申請が必要
IT導入補助金でホームページを作成する場合、経済産業省が指定したIT導入支援事業者を通じての申請が求められます。IT導入支援事業者は、ITツールの導入・運用方法の相談・補助金の交付申請・実績報告などの手続きをサポートする専門家です。
IT導入支援事業者の選定では、以下の3点が重要です。
- 自社のニーズに合致したITツールを提供できるか
- 補助金申請の実績とノウハウが豊富か
- コミュニケーションがとりやすく、長期的なサポート体制が整っているか
IT導入支援事業者との連携が不十分な場合、「補助金申請がとおらない」「交付後の返還リスクが発生」などの可能性があります。申請後も3年程度の長期にわたって、IT導入支援事業者によるサポートが必要です。そのため、選定にはノウハウと実績を重視し、信頼できる導入支援事業者を選ぶのが大切です。
交付決定前の契約・支払いは禁止
交付決定通知を受ける前に、ITツールの契約・発注・納品・支払いなどをすると、補助金の交付を受けられません。また、事業の開始時には必ず「契約・発注」を最初に行う必要があり、ステップを踏まず納品・支払いをするのも禁止されています。
交付決定後は、以下の順序で事業を実施する必要があります。
- 契約・発注
- 納品
- 請求・支払い
なお、交付決定後の支払いから補助金受給まで1か月程度かかるため、資金繰りを事前に計画しておきましょう。たとえば、金融機関からの短期的なつなぎ融資や、ファクタリングが有力な選択肢となります。
IT導入補助金の通常枠・セキュリティ対策推進枠の申請スケジュール
通常枠・セキュリティ対策推進枠のどちらも、すでに今年最後の締め切り日を迎えています。
締切日 | 2024年10月15日(火)17:00 |
交付決定日 | 2024年11月22日(金)(予定) |
事業実施期間 | 交付決定~2025年1月16日(木)17:00(予定) |
事業実績報告期限 | 2025年1月16日(木)17:00(予定) |
なお、「2024年度予算で2025年の事務局募集」という事実から、IT導入補助金2025の実施はほぼ確定しています。スケジュールについてはまだ発表がありませんが、「IT導入補助金2024事業スケジュール」を参考にしましょう。
参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「令和6年度当初予算「サービス等生産性向上IT導入支援事業」に係る事務局の公募について | 調達・公募情報」
IT導入補助金に必要な書類
IT導入補助金2024の申請に必要な書類は、法人と個人事業主で異なります。IT導入補助金2024に申請するための法人の必要書類を、以下の表にまとめました。
必要書類 | 概要 |
履歴事項全部証明書 | 会社の基本情報や変更履歴を記載した証明書で、法人の登記事項の確認時に使用。主に登記や契約時に必要 |
法人税の納税証明書 | 法人税の納税状況を証明する書類で、融資や助成金申請時に必要となるケースが多い |
個人事業主の場合の必要書類は、以下のとおりです。
必要書類 | 概要 |
本人確認書類(運転免許証・住民票など) | 本人確認のための公的証明書で、銀行口座開設や各種契約時に使用 |
所得税の納税証明書 | 所得税の納税状況を証明する書類。融資や補助金申請の際に提出を求められる |
所得税確定申告書B | 個人事業主やフリーランスが提出する確定申告書で、所得税の申告に使用される書類 |
ITツール導入後の実績報告時に必要な書類は、以下のとおりです。
- IT導入支援事業者からの請求書・請求明細書
- 支払いを証明する書類(振込明細書など)
- 補助金振込口座の通帳(表紙と見開きページ)
- ITツールの利用を証明する画面キャプチャ
必要書類は、すべてIT導入補助金2024公式サイトの申請マイページから提出して手続きを行います。
IT導入補助金を活用したホームページ作成の申請・受給の流れ
IT導入補助金を活用したホームページ作成の申請・受給の流れは、公募要領を確認して施策を決定するところから始まります。
- 公募要領を確認して施策を決定
- ITツールを選定
- IT導入補助金支援事業者を決定
- 申請書類を準備
- 交付申請
- ITツールの発注・契約・支払い
- 事業実績報告
- 補助金の交付
あらかじめ流れを確認しておき、申請から受給までのトラブルを回避すれば円滑な交付を受けられます。
1.公募要領を確認して施策を決定
最初のステップとして、IT導入補助金2024公式サイトから公募要領を確認して施策を決定する作業は非常に重要です。公募要領は補助金申請に関する詳細なガイドラインで、主に以下の内容が記載されています。
- 補助対象となる経費
- 対象者の要件
- 申請手続きの流れ
- 提出書類の内容
とくに、補助対象となるITツールの種類・補助率・補助額の上限・各種条件を十分に確認しましょう。公募要領を十分に理解したら、自社の課題を分析してどのように解決するかという施策を立案します。また、「ホームページ作成の目的」「予算規模」「社内コンセンサスの醸成」「担当者の決定」なども、この段階で行いましょう。
2.ITツールを選定
自社の課題を解決できるITツールの選定を、「ITツール・IT導入支援事業者検索」から行いましょう。なお、通常枠を活用する場合、選定したITツールは以下の業務プロセスのいずれかを含む必要があります。
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 供給・在庫・物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・労務・教育訓練
この段階ではまだITツールを決定する必要はなく、数個程度の候補にまで絞っておけば十分です。
3.IT導入補助金支援事業者を決定
候補のITツールに対応している導入支援事業者を、「ITツール・IT導入支援事業者検索」から確認しましょう。
導入支援事業者には、法人・コンソーシアムという2つの登録形態があります。法人は自社で提供しているITツールの導入をサポートしてくれるため、知識やノウハウが豊富なのがメリットです。一方、コンソーシアムは複数のITツールを比較・相談できるため、候補を絞りきれない場合に向いています。
なお、導入支援事業者はIT導入補助金の申請実績が豊富で、採択率の高い事業者を選ぶのが重要です。長期的な付き合いが可能で、導入後のサポートも充実している事業者を選定しましょう。
4.申請書類を準備
申請書類は法人・個人事業主によって異なるため、自社に必要な書類を準備しましょう。以下の表を参考に準備しましょう。
事業形態 | 必要書類 |
法人 | 履歴事項全部証明書(申請日から3か月以内に発行)・法人税の納税証明書(その1またはその2の直近分) |
個人事業主 | 本人確認書類・所得税の納税証明書・所得税確定申告書B |
「履歴事項全部証明書は3か月以内発行のもの」「納税証明書は税務署窓口発行の直近分のみ有効」という点に注意しましょう。また、申請の事前準備として以下の取得・宣言・実施が必要です。
必要な事前準備 | 概要 |
gBizIDプライムアカウントの取得 | 複数の行政サービスをひとつのIDで管理できる認証システム。補助金申請や社会保険の手続きなどに必要 |
SECURITY ACTION宣言 | 中小企業の情報セキュリティ対策のための自己宣言制度。ひとつ星は基本的な対策、ふたつ星はさらに高度な対策を指す |
みらデジ経営チェックの実施 | 中小企業のデジタル化状況を自己診断するツール。経営改善やIT導入の参考として利用される |
必要書類や事前準備は、IT導入補助金2024の申請予定日の3週間~1か月前から行うのがおすすめです。なお、gBizIDプライムアカウントの取得の取得には2週間~3週間ほどかかりますので、早めの準備開始が推奨されます。
5.交付申請
交付申請には、必要書類の提出とともに「gBizIDプライムアカウント」「SECURITY ACTION」「みらデジ経営チェック」が必要です。
申請内容に不備があると差し戻しとなり、審査に時間がかかるため十分に確認してから提出しましょう。審査には通常1か月~2か月程度かかり、交付決定後にITツールの契約・発注が可能となります。
6.ITツールの発注・契約・支払い
IT導入補助金ではITツールの発注・契約・支払いは交付決定後に行う必要があり、交付決定前だと補助対象外となります。ITツールの契約時には、以下の点に気をつけましょう。
- 契約日の明記
- 契約内容と申請内容の整合性を確認
- 補助対象経費の内訳の明確な記載
- 支払い条件や納期の明確な設定
- 契約書の写しの保管
支払い方法は原則として銀行振込のみが認められ、現金取引やクレジットカード払いは不可です。分割払いの場合は事業実施の期間内に完済と、支払い証憑書類として振込明細書の保管が必要です。
7.事業実績報告
事業完了後30日以内、または事業実施期間完了日のいずれかの早い日までに実績報告が求められます。IT導入支援事業者と連携して、必要書類を漏れなく準備するのが重要です。事業実績報告の必要書類は、以下のとおりです。
- 事業実績報告書(所定のフォーマット)
- ITツールの契約書や発注書の写し
- 請求書および支払い証明(振込明細など)の写し
- ITツール導入後の利用実績がわかる画面キャプチャ
また、労働生産性向上に関する証明書類・従業員研修の実施記録・セキュリティ対策の実施証明を必要とする場合があります。
8.補助金の交付
補助金交付は事業実績報告の確定検査を経て、事務局から補助金額確定の承認通知が届いたあとに行われます。IT導入補助金2024の交付は、以下の流れで行われます。
- 事務局による確定検査の実施
- 補助金額確定の承認通知
- 申請者による申請マイページでの補助金額の確認と承認
- 指定口座への補助金入金
交付のタイミングは、「ITツールの導入期間」「事務局の対応」「事業実績報告の修正の有無」などによって左右されます。一般的に交付決定日から約4か月~8か月後となりますので、支払いから交付までの期間の資金計画は綿密に立てておきましょう。
ホームページ制作に利用できるそのほかの補助金制度
ホームページ制作に利用できるそのほかの補助金制度は、小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金などがあります。
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
- 業務改善助成金
- 事業再構築補助金
- 地方自治体による補助金
IT導入補助金2024より利用しやすく補助額が大きい補助金もありますので、まずは検討してみるのがおすすめです。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓などの取り組みを支援する制度で、ホームページ制作費用も補助対象となります。補助率は通常2/3で補助額は最大50万円ですが、インボイス対応事業者は補助上限額が50万円上乗せされます。
補助対象となるホームページ制作費用は、以下のとおりです。
- ホームページの新規制作費用
- 既存ホームページのリニューアル費用
- スマートフォン対応のための改修費用
- SEO対策費用
- ウェブサイトの多言語化対策費用
なお、単なる情報発信用のホームページ制作は補助対象外であり、販路開拓や売上向上に直結する機能の実装が必要です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金2024では、生産性向上やDXに役立つ革新的な製品・サービス開発の一環のホームページ制作が補助対象です。たとえば、ものづくり補助金で補助対象となるホームページ作成の一例は、以下のとおりです。
- 最新複合加工機の導入と連動した受発注システムの構築
- 国際基準に準拠した部品開発に伴うグローバル向けECサイトの構築
- 生産プロセスの効率化に寄与する業務システムとの連携
補助金額と補助率は申請枠によって異なるため、以下の表にまとめました。
申請枠 | 補助金額範囲 | 補助率 |
通常類型 | 750万円~1,250万円 | 1/2 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 1,000万円~2,500万円 | 2/3 |
なお、ものづくり補助金では、以下の条件をクリアする必要があります。
- 事業計画期間内で給与総額の年率平均1.5%以上増加
- 地域別最低賃金+30円以上の達成
業務改善助成金
業務改善助成金は中小企業・小規模事業者の生産性向上・賃金引き上げ支援制度で、設備投資などの費用の最大9割が助成されます。たとえば、生産性向上に役立つホームページ制作費用は補助対象となり、最大600万円の給付が受けられます。
補助対象となるホームページの具体例は、以下のとおりです。
- インターネット受注機能を備えたホームページ
- 顧客管理システムと連携したホームページ
- ECサイト機能を実装したホームページ
なお、給付を受けるには以下の条件をクリアする必要があります。
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である
- 解雇や賃金引き下げなどの交付対象外事由がない
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ホームページ制作を含む新規事業への取り組みを支援する制度です。単なる情報発信や広報目的ではなく、新分野への展開や業態転換の一環である点が求められます。事業再構築補助金の申請枠ごとの概要を、以下の表にまとめました。
申請枠 | 補助率 | 補助額 | 必要書類 |
成長分野進出枠 | 1/2 | 100万円~6,000万円 | 事業計画書・確認書・付加価値額要件の説明書・金融機関の確認書等 |
コロナ回復加速化枠 | 2/3 | 100万円~3,000万円 | 事業計画書・認定経営革新等支援機関の確認書 |
サプライチェーン強靱化枠 | 1/2 (中小企業者等), 1/3 (中堅企業等) | 1,000万円~5億円 | 事業計画書・研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書等 |
新しい事業に取り組むためのホームページが必要なら、事業再構築補助金への申請を検討しましょう。
地方自治体による補助金
地方自治体は地域の特性や課題に応じた独自の補助金制度を設けており、申請のハードルが低い場合が多いです。地方自治体による補助金は、地域経済の活性化や地元企業の支援を目的とした制度が充実しています。
たとえば、デジタル化支援としてDX推進補助金・ホームページ作成支援・ECサイト構築支援などが見られます。事業を展開している都道府県や市町村の公式サイトから、ホームページ作成に利用できる補助金がないかどうかを探してみましょう。
IT導入補助金でのホームページ制作に関するよくある質問
IT導入補助金でのホームページ制作に関するよくある質問は、パソコンの購入可否や個人事業主の利用可否です。
- IT導入補助金でパソコンは購入できる?
- 個人事業主もIT導入補助金を利用できるの?
あらかじめ疑問や不安を解消しておき、IT導入補助金を活用してホームページ制作費用を抑えましょう。
IT導入補助金でパソコンは購入できる?
IT導入補助金2024でパソコンを購入する場合は、インボイス枠(インボイス対応類型)で申請しましょう。インボイス枠(インボイス対応類型)の概要を、以下の表にまとめました。
補助率 | 3/4以内(小規模事業者は4/5以内) |
補助額の範囲 | ~350万円 |
条件 | インボイス制度に対応した受発注機能が必須 |
なお、パソコンに関しては補助上限額10万円、補助率1/2以内となります。パソコン単体での購入は対象外で、会計・受発注・決済のいずれかの機能を有するソフトウェアとセットで購入する必要があります。
パソコン以外に、タブレット・プリンター・スキャナー・複合機・POSレジ・券売機なども補助対象です。
個人事業主もIT導入補助金を利用できるの?
個人事業主でもIT導入補助金2024の申請は可能ですが、確定申告の実績がない場合は対象外です。IT導入補助金は個人事業主の採択実績も多く、通常枠の採択率で70%ほど、インボイス枠は平均採択率が90%を超えています。
IT導入補助金を活用して高機能なホームページを作成しよう!
IT導入補助金2024では、単なる情報掲載用のホームページは補助対象外となります。しかし、顧客管理やマーケティング機能などを組み込んだ、高機能なホームページであれば補助金の活用が可能です。
CRM・MA・カスタマーサポートなどのITツールと連携させれば、最大450万円の補助金を受けられる可能性があります。また、セキュリティ対策推進枠を併用すれば、より安全なホームページの構築も実現できます。
補助金の申請時には、IT導入支援事業者を通じた手続きや交付決定後の契約・支払いなどを十分に確認してください。IT導入補助金2024のポイントを押さえ、自社の業務効率化につながる高機能なホームページの制作を検討しましょう。
この記事を書いた専門家
高橋 聡
金融・ビジネス・ITなどを専門とするWebライターです。
「わかりやすい」「知りたい情報があった」「こんな情報知らなかった」と思っていただける記事作りを心がけています。
座右の銘は「楽するために努力する」。
なぜか、未だに楽はできていません。