IT導入補助金の申請を行う際、「申請スケジュールはどのくらいの期間を設けられている?」などの疑問が生じてきます。IT導入補助金の公式サイトでもよくある質問と回答がまとめられていますが、PDF形式で作成されていて探しにくいところが難点です。
本記事ではIT導入補助金でよくある質問を35個にまとめ、疑問点を解消しやすいようジャンルごとに解説しています。本記事を読めば、IT導入補助金の疑問を解消して申請〜受給後の手続きをスムーズに進められます。IT導入補助金の疑問点を解消し、時間・手間をかけずに申請作業を進めて売上拡大などの重要な業務にリソースを割り当てましょう。
IT導入補助金の制度全般に関するよくある質問
IT導入補助金の制度全般に関するよくある質問として、以下の12個をピックアップしました。
- IT導入補助金とはどんな制度ですか?
- 申請枠はいくつありますか?
- 補助額・補助率はいくらですか?
- 2025年の申請スケジュールは決まっていますか?
- 2025年に制度内容で変更された点はありますか?
- 申請すれば必ず補助金が貰えますか?
- 個人事業主も申請できますか?
- 申請してからどのくらいで補助金が貰えますか?
- 他の補助金との併用は可能ですか?
- 過去にIT導入補助金を受給していても申請できますか?
- 不採択になった場合でも何度も申請できますか?
- IT導入補助金が使えないのはどのようなケースですか?
上記の質問と回答を参考に、IT導入補助金の申請作業をスムーズに進めましょう。
IT導入補助金とはどんな制度ですか?
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者が業務効率化・DX推進を目的にITツールを導入する際、費用の一部を国が補助する制度です。IT導入補助金を活用すれば、企業はIT導入の初期コストを抑えて業務の効率化・生産性向上を図れる点がメリットです。
対象となるのは事前に事務局の審査を受け、補助金公式サイトに登録されたITツールに限られます。補助対象経費には、ソフトウェア購入費・クラウド利用料・導入関連費などが含まれます。また、IT導入補助金の申請はIT導入支援事業者と連携して進める必要があり、ITツールも同じ業者から導入しなければなりません。
申請枠はいくつありますか?
IT導入補助金には、以下の5つの申請枠が設けられています。
申請枠 | 概要 |
通常枠 | 自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス制度対応のITツール導入を支援 |
インボイス枠(電子取引類型) | 発注者が受発注ソフトを導入し、受注者にアカウントを供与する取り組みを支援 |
セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティ対策のためのサービス導入を支援 |
複数社連携IT導入枠 | 複数の中小企業・小規模事業者等が連携したITツールの導入を支援 |
申請枠によって対象となるITツール・補助金額などが異なるため、自社の条件に合った枠を選んで申請しましょう。
補助額・補助率はいくらですか?
IT導入補助金では、以下のように申請枠ごとに補助額と補助率が異なります。
申請枠 | 補助額 | 補助率 |
通常枠 | 5万円~450万円 | 1/2以内
※賃上げ要件を満たすと2/3以内に引き上げ |
インボイス枠(インボイス対応類型) | 最大350万円 |
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インボイス枠(電子取引類型) | 最大350万円 |
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セキュリティ対策推進枠 | 5万円~150万円 |
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複数社連携IT導入枠 | 最大3,000万円 |
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参考:IT導入補助金2025
2025年の申請スケジュールは決まっていますか?
IT導入補助金2025の申請スケジュールは、2025年3月31日(月)から一次公募の交付申請の受付が開始されました。IT導入補助金2025の一次公募における申請枠ごとのスケジュールは、以下のとおりです。
申請枠 | 申請受付開始日 | 申請締切日 | 交付決定日(予定) | 事業実施期間 | 実績報告期限(予定) |
通常枠 | 2025年3月31日(月) | 2025年5月12日(月) | 2025年6月18日(水) | 交付決定日~2025年12月26日(金)17:00 | 2025年12月26日(金) |
インボイス枠(対応類型) | 2025年5月12日(月) | 2025年6月18日(水) | 交付決定日~2025年12月26日(金)17:00 | 2025年12月26日(金) | |
インボイス枠(電子取引類型) | 2025年5月12日(月) | 2025年6月18日(水) | 交付決定日~2025年12月26日(金)17:00 | 2025年12月26日(金) | |
セキュリティ対策推進枠 | 2025年5月12日(月) | 2025年6月18日(水) | 交付決定日~2025年12月26日(金)17:00 | 2025年12月26日(金) | |
複数社連携IT導入枠 | 2025年6月16日(月) | 2025年7月24日(木) | 交付決定日~2026年1月30日(金)17:00 | 2026年1月30日(金) |
なお、今後のスケジュールは随時更新されるため、公式サイトで最新情報を確認しておきましょう。
2025年に制度内容で変更された点はありますか?
IT導入補助金2025では、いくつかの重要な変更点があります。まず、通常枠において「地域別最低賃金+50円以内で3か月以上雇用している従業員が全体の30%以上の事業者」は、補助率が1/2から2/3に引き上げられました。
また、補助対象経費に「活用コンサルティング」が追加され、ITツール導入後の活用支援費用も補助対象となっています。さらに、以下3種類のソフトウェアが単独で申請可能となり、対象範囲が拡大されました。
- ビジネスアプリ作成ツール
- ワークフロー
- BI、分析・解析専門ツール
申請すれば必ず補助金が貰えますか?
IT導入補助金は申請すれば必ず交付されるわけではなく、審査を通過して採択される必要があります。なお、2024年度IT導入補助金の申請枠ごとの採択率は以下のとおりです。
申請枠 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
通常枠 | 25,140件 | 16,540件 | 65.79% |
インボイス対応類型 | 46,394件 | 33,438件 | 72.07% |
インボイス電子取引類型 | 1件 | 1件 | 100% |
セキュリティ対策推進枠 | 225件 | 192件 | 85.33% |
複数社連携IT導入枠 | 7件 | 4件 | 57.14% |
参考:交付決定事業者一覧および交付申請件数2024|IT導入補助金2025
申請件数の多い通常枠は約66%、インボイス対応類型では約72%の採択率であり、比較的多くの事業者が受給できています。ただし、年度末の追加公募では予算が限られており、採択率が低下する傾向があります。そのため、IT導入補助金を受給するためには早めの申請と要件をしっかりと確認した上での準備が重要です。
個人事業主も申請できますか?
IT導入補助金は個人事業主も申請可能な制度で、実際に多くの事業者が補助金を活用していて採択実績も豊富です。ただし、IT導入補助金の申請には開業後の事業実績が必要であり、確定申告書・所得税の納税証明書などの提出が求められます。そのため、開業したばかりで確定申告をまだしていないなど要件を満たさない個人事業主は申請できません。
申請してからどのくらいで補助金が貰えますか?
IT導入補助金の交付までの期間は、申請から約4か月〜7か月が目安となります。まず、交付申請を行い、審査を経て交付決定が下された後にITツールの導入を完了させて事業実績報告を提出します。
事業実績報告の内容が承認されると補助金額が確定し、約1か月後に事務局から指定口座に入金される流れです。ただし、申請内容・事業の進行状況によっては期間が前後する可能性がある点には注意しましょう。
他の補助金との併用は可能ですか?
IT導入補助金は原則として併用はできず、同一の事業内容・経費について複数の補助金の受け取りは認められていません。ただし、補助対象となる事業内容・経費が異なる場合は、他の補助金制度との併用が可能です。
例えば、IT導入補助金で会計ソフトの導入を行い、別の補助金で生産に必要な設備投資を行うなどのケースです。補助金制度の併用を検討する際は各補助金の要項を確認し、事業内容・経費が重複しないよう注意しましょう。補助金制度の併用に関して不明な点がある場合は、各補助金の事務局への問い合わせをおすすめします。
過去にIT導入補助金を受給していても申請できますか?
過去にIT導入補助金を受給した事業者でも、一定の条件を満たせば再申請が可能です。例えば、前回の交付決定日から12か月以上経過している場合や異なる申請枠での申請であれば、IT導入補助金の再申請が認められます。ただし、過去の採択状況によっては審査時に減点対象となるケースがあるため、最新の公募要領を確認してから申請しましょう。
不採択になった場合でも何度も申請できますか?
不採択となった場合でも次回以降の公募で再申請は可能ですが、同じ内容では審査落ちする可能性が高いため見直しが重要です。具体的には申請書類の不備を修正し、生産性向上の効果が明確に伝わるように改善する必要があります。また、必要書類の提出漏れ・記載ミスがないか第三者に確認してもらうなど、前回の不採択理由を分析して改善策を講じましょう。
IT導入補助金が使えないのはどのようなケースですか?
IT導入補助金が利用できないケースには、いくつかのパターンがあります。例えば、通常枠では以下のような補助対象外の事業者は、申請してもIT導入補助金を受給できません。
- 大企業の支配下にある中小企業等
- みなし同一法人に該当する企業
- IT導入支援事業者
- 経済産業省または中小機構から交付停止・指名停止を受けている者
- 風俗営業法に定める営業を行う者
- 暴力団など反社会的勢力に関係する者
- 過去1年以内に労働法令違反により送検された者
- 宗教法人
- 法人格のない任意団体(例:同窓会、PTA、サークル等)
- 他の補助金等において不正行為があった事業者
また、補助対象外のITツール・ハードウェアを導入する場合もIT導入補助金の対象外となります。例えば、交付決定前に購入した機器や中古品・リース契約・レンタル契約のハードウェアは対象外です。
さらに、導入するソフトウェアと関連性がないハードウェアや過剰なスペックの機器も補助対象外となります。IT導入補助金の申請前には導入予定のITツール・ハードウェアが補助対象となるか、事前に確認しておきましょう。
IT導入補助金の補助対象に関するよくある質問
IT導入補助金の補助対象に関するよくある質問として、以下の5つをピックアップして紹介します。
- どのような経費が補助対象となりますか?
- ホームページ制作にかかる費用は対象となりますか?
- パソコンの購入費用は対象となりますか?
- 対象となるソフトウェアの種類はどのようなものがありますか?
- リース料は補助対象となりますか?
補助対象となるITツール・費用に関して疑問がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
どのような経費が補助対象となりますか?
IT導入補助金2025では、通常枠・インボイス対応類型・セキュリティ対策推進枠で主に以下の経費が補助対象となります。
申請枠 | 補助対象経費 |
通常枠 |
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インボイス枠(インボイス対応類型) |
|
セキュリティ対策推進枠 |
|
参考:IT導入補助金2025
なお、インボイス対応類型ではパソコン・タブレット・プリンター・スキャナーなどのハードウェアの購入費用も補助対象です。ただし、ハードウェアは、インボイス制度に対応したソフトウェアとセットで導入する場合に限られます。また、補助対象となるのは事前に事務局へ登録されたITツールに限られます。
ホームページ制作にかかる費用は対象となりますか?
IT導入補助金2025では、ホームページ制作にかかる費用は補助対象外です。以前はECサイトの構築や業務効率化に資するホームページ制作が補助対象となっていましたが、制度の変更で2025年現在は対象外です。
なお、既存のホームページにITツールを導入する場合や業務効率化に直結する機能を追加する場合は、補助対象となる可能性があります。例えば、オンライン予約システム・顧客管理システムなど業務プロセスの改善に寄与する機能をホームページに導入するケースが該当します。純粋にホームページ制作で補助金を活用したい場合は、IT導入補助金以外の補助金制度を検討しましょう。
パソコンの購入費用は対象となりますか?
IT導入補助金2025でパソコンの購入費用が補助対象となるのは、インボイス対応類型に限られます。具体的には、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済などのソフトウェアとセットでパソコンを導入する場合の購入費用が補助対象です。
補助率は1/2以内で補助上限額は10万円であり、例えば10万円のパソコンを購入した場合の補助額は5万円となります。なお、パソコンはIT導入支援事業者から購入する必要があり、家電量販店・一般のECサイトで購入したものは補助対象外です。また、パソコンの購入のみでは補助対象とならず、必ず対応するソフトウェアとセットで申請する必要があります。
対象となるソフトウェアの種類はどのようなものがありますか?
IT導入補助金2025では、業務効率化・生産性向上を目的としたソフトウェアが補助対象となります。主なソフトウェアのカテゴリには、以下があげられます。
- 会計・財務・資産管理
- 受発注・在庫管理
- 顧客管理(CRM)
- 販売管理
- 給与・人事管理
- テレワーク支援ツール
また、オプション機能としてデータ連携ツール・セキュリティ対策ソフト・BIツール・ワークフロー管理ツールなども対象です。なお、上記のソフトウェアは事前に事務局に登録されたITツールである必要があります。
リース料は補助対象となりますか?
IT導入補助金2025では、リース契約によるソフトウェア・ハードウェアの導入費用は補助対象外となります。IT導入補助金の対象となるのは、購入費用・クラウドサービスの利用料・導入に伴うコンサルティング費用などです。リース契約がIT導入補助金の補助対象とならない理由は、所有権が移転せず補助金の趣旨に合致しないためです。
IT導入補助金の申請手続きに関するよくある質問
IT導入補助金の申請手続きに関するよくある質問として、以下の14個を紹介します。
- 申請から補助金を受給するまではどう進む?
- 申請する際に採択されやすくなるポイントはありますか?
- 複数店舗を運営する場合に各店舗での個別申請は可能ですか?
- 複数申請枠への同時申請は可能ですか?
- 申請手続きで提出した資料は修正できますか?
- 自社が該当する業種はどのように調べればよいですか?
- 複数の業種を営む場合はどれを記載すればよいですか?
- 賃金引き上げはどの時点を基準に考えるべきですか?
- 従業員を雇用していない場合に賃上げを表明するにはどうしたらよいですか?
- 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているソフトウェアはセキュリティ対策推進枠でしか申請できませんか?
- 申請に必要なGビズIDとは何ですか?
- 申請要件に指定されている「SECURITY ACTION」とは何ですか?
- 申請途中で予期せぬエラー・不備が発生したケースはありますか?
- 申請マイページにログインできない場合はどうすべきですか?
IT導入補助金の申請手続きで不明点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
申請から補助金を受給するまではどう進む?
IT導入補助金の申請から受給までの流れは、以下のステップで進行します。
- GビズIDプライムアカウントの取得と「SECURITY ACTION」の自己宣言を行う
- IT導入支援事業者と連携して自社の課題に合ったITツールを選定する
- IT導入支援事業者からの案内で申請マイページを開設し、必要情報・書類を入力・添付する
- 申請内容を最終確認して宣誓の上、事務局へ提出する
- 交付決定後、ITツールの導入を行って事業実績報告を提出する
- 報告内容が承認されると補助金が交付される
上記の一連のプロセスには数か月を要するため、計画的なスケジュール管理が重要です。
申請する際に採択されやすくなるポイントはありますか?
採択率を高めるためには、以下のポイントに留意しましょう。
- 自社の経営課題やデジタル化の進捗状況を適切に把握して事業計画を策定する
- 審査基準を把握して加点項目も満たした申請書類を作成する
- IT導入支援事業者の確認も受けながら申請書類の不備を防ぐ
- 導入するITツールが業務効率化や生産性向上に寄与する点を明確に示す
上記の対策を講じるとともに、IT導入補助金の申請を支援事業者を利用すれば採択される可能性が高まります。
複数店舗を運営する場合に各店舗での個別申請は可能ですか?
同一法人が複数の店舗を運営している場合、各店舗での個別申請はできません。IT導入補助金の申請は法人単位で行う必要があり、全店舗をまとめて申請する必要があります。ただし、フランチャイズチェーンなどで各店舗が別法人である場合は個別での申請も可能です。
なお、複数の中小企業・小規模事業者が連携して申請する「複数社連携IT導入枠」も用意されています。複数社連携IT導入枠では10以上の事業者が連携し、共同でITツールを導入する必要があります。
複数申請枠への同時申請は可能ですか?
IT導入補助金2025では、申請枠によって同時申請の可否が異なります。具体的には、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠については同時申請が可能です。ただし、インボイス対応類型と電子取引類型の両方を同時申請はできず、複数社連携IT導入枠は他の申請枠との併用ができないため注意が必要です。
申請手続きで提出した資料は修正できますか?
IT導入補助金の申請手続きにおいて、提出した資料の修正は原則としてできません。ただし、提出後に事務局から不備の指摘があった場合は、指定された期間内に修正・再提出が可能です。
申請マイページ上での修正手続きが必要となるため、指摘内容を確認して迅速に対応する必要があります。修正作業が多いほど補助金受給までの時間も長くなるため、申請書類は事前に十分な確認を行って提出しましょう。
自社が該当する業種はどのように調べればよいですか?
自社がIT導入補助金の対象業種か確認するには、政府統計ポータルサイト「e-Stat」で日本標準産業分類を参照する方法があります。また、IT導入補助金の公式サイトにある「申請対象者チェッカー」でも、組織形態・業種分類を入力して申請対象となるか確認できます。
複数の業種を営む場合はどれを記載すればよいですか?
複数の業種を営む事業者がIT導入補助金を申請する際には、主たる業種を選定して申請書に記載する必要があります。主たる業種の選定は、売上高・従業員数・事業の継続性などを総合的に考慮して判断します。
例えば、全体の売上高の75%以上を占める業種がある場合、該当業種を主たる業種として記載するケースが一般的です。また、申請書には日本標準産業分類に基づいた業種コードを記載する必要があります。業種コードの確認には総務省統計局が提供する「日本標準産業分類」を参照すると便利です。
賃金引き上げはどの時点を基準に考えるべきですか?
IT導入補助金の申請において賃金引き上げの基準時点は、申請者が選択する事業年度または暦年のいずれかとなります。具体的には、事業年度での比較を選択した場合は前年度の決算期末と比較して賃金の増加率を算出します。
一方、暦年を選択した場合は前年の12月31日と比較した賃金の増加率の算出が必要です。なお、賃金引き上げの表明には従業員への通知と同意が必要であり、表明書の提出が求められます。表明書には賃金引き上げの具体的な目標値・実施時期・従業員代表の署名などを記載する必要があります。
従業員を雇用していない場合に賃上げを表明するにはどうしたらよいですか?
従業員を雇用していない個人事業主がIT導入補助金の申請において賃上げを表明する場合、法人とは異なる手続きが必要です。まず、賃金引き上げ計画の表明書を作成し、申請者自身が署名して賃上げの表明を行う必要があります。
従業員代表の署名欄には、申請者自身の氏名を記載して提出すれば問題ありません。賃上げの実績確認時には、確定申告書の添付書類である青色申告決算書・収支内訳書などの提出を求められる場合もあります。
「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているソフトウェアはセキュリティ対策推進枠でしか申請できませんか?
「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているソフトウェアは、主にセキュリティ対策推進枠での申請が想定されています。セキュリティ対策推進枠では上記サービスの導入費用が補助対象となり、最大150万円までの補助金受給が可能です。
なお、他の申請枠で「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスを補助対象とする明確な記載はありません。そのため、セキュリティ対策推進枠以外で「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」のソフトウェアを導入できるかどうかは、IT導入支援事業者・事務局に確認しましょう。
申請に必要なGビズIDとは何ですか?
GビズIDはデジタル庁が運用する事業者向けの共通認証システムであり、各種行政サービスへのログインに使用されます。一度アカウントを取得すれば、補助金申請・社会保険手続きなど複数の行政手続きに共通のID・パスワードでアクセスが可能です。
IT導入補助金の申請にはGビズIDプライムの取得が必須となっており、代表者の本人確認を経てアカウントを作成します。取得には一定の手間・時間を要するため、申請を検討している場合は早めの手続きがおすすめです。
申請要件に指定されている「SECURITY ACTION」とは何ですか?
「SECURITY ACTION」は、中小企業が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です 。「SECURITY ACTION」の自己宣言には「★一つ星」と「★★二つ星」の2段階があり、IT導入補助金の申請ではいずれかを選択して宣言しなければなりません。なお、「★一つ星」と「★★二つ星」の概要は、以下のとおりです。
- 「★一つ星」:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン付録の「情報セキュリティ5か条」に取り組む
- 「★★二つ星」:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン付録の「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で自社の状況を把握し、「情報セキュリティ基本方針」を定めて外部に公開する
申請途中で予期せぬエラー・不備が発生したケースはありますか?
IT導入補助金の申請手続き中に、予期せぬエラー・不備が発生するケースはいくつか報告されています。例えば、申請マイページの操作中にエラーが報告されているため、使用ブラウザが推奨環境であるか確認しておきましょう。
Windows環境ではEdgeやChromeが推奨されており、PCの再起動により解消するケースも多いです。さらに、申請マイページの招待メールに記載されたURLの有効期限が切れていると、ログインできない場合があります。
招待メールのURLは72時間以内にアクセスする必要があるため、有効期限が切れた場合はIT導入支援事業者に再招待を依頼してください。上記の対処法を試しても解決しない場合は、IT導入補助金事務局のコールセンターに問い合わせましょう。
申請マイページにログインできない場合はどうすべきですか?
申請マイページにログインできない場合、まずは以下の点を確認してください。
申請マイページにログインできない場合に確認すべきポイント | 対処法 |
GビズIDの種類が「プライム」であるかどうか | GビズIDの公式サイトでプライムアカウントを取得する |
GビズIDの情報が変更されていないか | IT導入補助金事務局に連絡して現在のGビズIDを申請マイページと紐づけてもらう |
招待メールのURLの有効期限が切れていないか | IT導入支援事業者に再招待を依頼する |
上記のポイントを確認してもログインできない場合は、IT導入補助金事務局のコールセンターに問い合わせましょう。
IT導入補助金の申請後に関するよくある質問
IT導入補助金の申請後に関するよくある質問として、以下の4つをピックアップして紹介します。
- 採択可否はどのような方法で通知されますか?
- 事業実績報告では何を記載すべきですか?
- 申請後に辞退届を提出したい場合はどうすべきですか?
- 不正受給に関する調査はどのように実施されますか?
申請後の手続きに関して不明な点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
採択可否はどのような方法で通知されますか?
IT導入補助金の採択結果は、申請者が開設した「申請マイページ」を通じて通知されます。具体的には、交付申請の締切後に事務局による審査が行われて採択結果がマイページに掲載される流れです。また、採択された事業者の名称・法人番号・所在地が公式ホームページで公表されますが、審査内容・不採択の理由については開示されません。
事業実績報告では何を記載すべきですか?
事業実績報告は導入したITツールの実績を報告する手続きで、ツールの名称・導入日・導入先の情報・導入費用の内訳などの記載が必要です。また、事業実績報告提出時は納品書・請求書など導入したITツールが実際に稼働していると証明できる書類の添付を添付してください。
さらに、ITツール導入による効果・成果についても記載し、事業の目的達成状況を明確に示しましょう。報告内容に不備があると補助金の交付が遅れる可能性があるため、IT導入支援事業者と連携して正確かつ迅速な報告を心がけてください。
申請後に辞退届を提出したい場合はどうすべきですか?
交付申請後に辞退を希望する場合は「辞退届」が必要で、申請マイページからダウンロードして必要事項を記入し、事務局に提出します。ただし、交付決定後に辞退する場合は既に発生した費用について補助金の対象外となる可能性があるため、注意が必要です。また、辞退届の提出後は同一年度内に再申請ができない場合もあり、今後も申請を考えている場合は慎重に判断しましょう。
不正受給に関する調査はどのように実施されますか?
不正受給に関する調査は事務局が定期的に実施しており、Webフォームを用いた実態調査や現地確認を含む立入調査があります。上記の調査は交付規程に基づいて行われ、正当な理由なく拒否した場合には交付決定の取消や補助金の返還請求などの可能性があります。
IT導入補助金の問い合わせ窓口は目的ごとに異なる
IT導入補助金の問い合わせ窓口は、以下のように目的によって3つに分けられます。
- 公式サイトの掲載資料に関する質問は事務局窓口
- 対面での相談が希望の場合は商工会議所・各種相談窓口
- 申請手続きに関する質問はIT導入支援事業者
IT導入補助金で相談したい内容に合わせて、上記の問い合わせ窓口を使い分けましょう。
公式サイトの掲載資料に関する質問は事務局窓口
IT導入補助金に関する公式資料・制度概要・公募要領などに関する質問には、事務局のコールセンターが対応しています。事務局のコールセンターの電話番号などは、以下のとおりです。
電話番号 | 0570-666-376 |
IP電話 | 050-3133-3272 |
受付時間 | 平日9時30分~17時30分 |
申請期日前などは電話が混み合うケースがあるため、つながらない場合は時間をおいて再度かけ直しましょう。また、事務局の公式サイトには「よくあるご質問」・各種資料が掲載されており、事前に確認して問題を解決できる場合もあります。
対面での相談が希望の場合は商工会議所・各種相談窓口
IT導入補助金について対面での相談を希望する場合は、地域の商工会議所・各種相談窓口を利用できます。例えば、横浜商工会議所では「デジタル化相談窓口」を設けており、ITツールの選定や補助金の活用について専門家がサポートしています。
窓口の利用は無料で会員・非会員を問わず利用可能であり、事前に電話・ウェブサイトで予約を行うとスムーズに相談が可能です。また、東京商工会議所でも中小企業相談センターを通じて、IT導入に関する相談を受け付けています。各地域の商工会議所のウェブサイトを確認し、最寄りの相談窓口を利用してください。
申請手続きに関する質問はIT導入支援事業者
IT導入補助金の申請手続きやITツールの導入に関する具体的な質問は、IT導入支援事業者に相談するのが適切です。IT導入支援事業者は事務局に登録された専門の事業者で申請書類の作成やITツールの選定、導入支援などを行っています。
IT導入補助金の申請者は、IT導入支援事業者と連携して申請手続きを進める必要があります。事務局の公式サイトには登録されたIT導入支援事業者の一覧が掲載されており、地域や導入したいITツールの種類から検索が可能です。
IT導入補助金の疑問点を払拭して効率的に補助金を申請・受給しよう
IT導入補助金は中小企業・個人事業主のITツール導入を支援する制度で、申請枠・補助対象・手続き方法は多岐にわたります。そのため、IT導入補助金をスムーズに申請・受給するためには、IT導入支援事業者との連携を密に進める必要があります。また、IT導入補助金の採択率を上げるには、加点項目を満たした正確な書類作成が重要です。
IT導入補助金で不明な点がある場合は本記事の内容を参考にし、目的に応じて事務局・商工会議所・IT導入支援事業者に相談しましょう。本記事を通してIT導入補助金の疑問点を払拭し、効率的に補助金を申請・受給してください。
この記事を書いた専門家
藤田 春樹