ものづくり補助金の利用を検討しているけれども、申請スケジュールがわからず悩んでいる方も多いでしょう。2024年のものづくり補助金は17次・18次締切分が公募されており、既に募集も開始しているため早めに手続きする必要があります。
今回は2024年のものづくり補助金スケジュールを、申請から採択後の流れも含めてまとめました。本記事を読めば、ものづくり補助金のスケジュールを把握して速やかに手続きを済ませられます。ものづくり補助金をスムーズに受け取り、自社事業の拡大を図りましょう。
専門家によるものづくり補助金の無料相談窓口
まずはじめに、ものづくり補助金の申請サポートを無料で相談できる法人向け窓口をご紹介します(※申請サポートを依頼する場合は有料となります)。補助金についてはさまざまな前提条件や申請前〜採択後の事業の進め方など抑えるべきポイントがいくつもございます。ものづくり補助金の申請をご検討の方はまずは専門家に相談してみるのが近道です。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、日本国内の中小企業・小規模事業者が取り組む商品・サービス開発を支援するための支援制度です。ものづくり補助金は新たな製品開発・生産性向上を目指す企業に対して、取り組みにかかる経費の一部を補助金として提供してくれます。
従来は一律1,000万円などの上限額を設定して支給していました。しかし、2022年以降は従業員数に応じて上限額を変動させて支給する方式に変更されています。
公募要件を満たして審査で採択されれば、補助金を受け取れます。ただし、指定された期間内に補助対象の事業を実施しないと返金を求められるため注意が必要です。
ものづくり補助金は採択された企業のみがもらえる
ものづくり補助金は、申請者の中から厳正な審査を経て採択された企業のみが受け取れます。ものづくり補助金の採択率は50%ほどで、申請した企業が全て補助金をもらえるわけではないため注意が必要です。
審査は書面・口頭の2種類が用意されており、企業の事業計画・製品開発の具体性など多角的に評価されます。直近の16次締切分ものづくり補助金の採択率は、以下の通りです。
【16次締切分ものづくり補助金における申請者・採択者数】
- 申請者数:5,608人
- 採択者数:2,738人
採択率は48.8%となっており、申請者の約半分が審査を通過しています。ものづくり補助金の審査を通過するためには、入念な申請書類の準備が必要です。
ものづくり補助金の手続きは電子申請で行う
ものづくり補助金の申請は、全て電子申請で行います。郵送・窓口での申請は受け付けていないため注意が必要です。
後述で詳しく解説しますが、デジタル庁が運営する「jGrants」と呼ばれる補助金の電子申請システムを利用します。「jGrants」はインターネットから申請でき、24時間365日いつでも手続きが可能です。「jGrants」の利用にはGビズIDと呼ばれるアカウントを取得する必要があるため、早めに手続きしておきましょう。
主に中小企業・個人事業主が対象
ものづくり補助金の対象は、主に中小企業・個人事業主です。中小企業・個人事業主は新たな製品開発・生産性向上に取り組む際、資金調達が大きな課題となるケースが多いためです。例えば、中小企業の場合は17次締切分のものづくり補助金で以下を対象要件として指定しています。
【対象となる中小企業者(組合関連以外)】
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(17次締切分)|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
小規模事業者・個人事業主に関しても、細かく対象要件が設定されています。詳しくは「ものづくり補助金総合サイト」で確認するか、まずは専門家に相談してみましょう。
2024年17・18次締切分のものづくり補助金(もの補助)スケジュール
2024年のものづくり補助金(もの補助)の申請スケジュールは、17次・18次の締切分が公開されています。17次・18次締切分の申請スケジュールは以下の通りです。
公募回 | 17次締切 | 18次締切 |
公募開始日 | 2023年12月27日(水) 17時 | 2024年1月31日(水) 17時 |
申請開始日 | 2024年2月13日(火) 17時 | 2024年3月11日(月) 17時 |
申請締切日 | 2024年3月1日(金) 17時 | 2024年3月27日(水) 17時 |
なお、ものづくり補助金は補助対象となる事業を実施してからの入金となります。補助対象事業の実施期間は、17次・18次締切分ともに2024年12月10日までです。補助事業実施期間内に発注・納入・検収・支払等の全手続きを完了し、実績報告書を提出しなければならないため注意しましょう。
ものづくり補助金の申請から採択後の流れ・スケジュール
ものづくり補助金の申請から採択後の流れ・スケジュールは、以下6つのステップで行います。
- 必要書類の準備
- jGrantsによる電子申請
- 採択結果は申請締切日から2か月後に発表
- 補助対象の事業は最大10か月間の間に行う
- 確定検査後から1か月で入金される
- 不採択でも再申請は可能
ものづくり補助金に申し込む際は、上記手順を参考に手続きを進めましょう。
①必要書類の準備
ものづくり補助金の申請には、事業計画・製品開発の詳細などを含む多くの書類が必要です。補助金の採択を決める重要な書類となるため、正確に記入しましょう。なお、17次締切分のものづくり補助金では、全事業者共通で以下の書類提出が必要です。
- 事業計画書
- 事業計画書算出根拠
- 決算書・確定申告書
- 従業員数の確認書類
- 労働者名簿
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(17次締切分)|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
必要書類の準備はかなりの手間・労力を必要とする作業なため、十分な時間を確保して早めに準備しましょう。
②jGrantsによる電子申請
ものづくり補助金の申請は、「jGrants」と呼ばれる電子申請システムを通じて行われます。「jGrants」の利用には、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。gBizIDの公式ホームページにアクセスして、アカウントを事前に作成しておきましょう。
アカウント作成後は、「jGrants」にログインして電子申請を行います。 申請TOP画面の「申請はこちら」をクリックし、表示された画面で指示された内容を入力します。具体的には、以下の情報の入力が必要です。
- 応募者のプロフィール
- 応募者の概要
- 事業内容
- 経費・資金調達内訳 など
上記の情報を入力後、用意した必要書類を電子ファイルで添付して申請します。
③採択結果は申請締切日から2か月後に発表
ものづくり補助金の採択結果は、申請締切日から約2か月後に発表されます。審査側が各企業の申請書類を詳細に審査し、補助金を受ける企業を選び出すために時間がかかるためです。なお、17次・18次締切分は以下の日程で採択結果が公表される予定です。
- 17次締切分:2024年5月中旬頃
- 18次締切分:2024年6月下旬頃
ものづくり補助金の採択結果は公式ホームページの「採択結果」で公表されます。メールでも直接採択結果が通知されるため、確認漏れがないようにしておきましょう。
④補助対象の事業は最大10か月間の間に行う
ものづくり補助金の採択を受けた企業は、補助対象となる事業を最大10か月間の間に行わなければなりません。定められた期間内に、発注・納入・検収・支払等の全手続きを完了させて実績報告書を提出する必要があります。
公募ごとに補助対象の事業を完了させる期間が異なるため、公募要領をよく確認しておきましょう。直近の17次・18次締切分に関しては、補助対象事業の実施期間がともに2024年12月10日までに設定されています。
⑤確定検査後から1か月で入金される
事業実績を報告した後は確定検査があり、問題がなければ1か月で入金されます。確定検査では、企業が申請した補助対象事業を計画通りに進めているかが確認されます。
ものづくり補助金は全ての工程を含めると、申請してから約1年入金されるのにかかるため注意が必要です。期間内は補助対象事業の経費を自腹で支払わなければならないため、事前に十分な資金を確保しておきましょう。
⑥不採択でも再申請は可能
ものづくり補助金の申請は競争が激しく、全ての企業が採択されるわけではありません。しかし、一度不採択となった企業でも内容を改善して再申請できます。
前回の申請での反省点を活かし、より良い事業計画を立ててアピールできれば補助金の採択につなげられます。不採択になった理由は、ものづくり補助金事務所に直接電話して口頭で確認が可能です。
ものづくり補助金は年4回に分けて募集される
ものづくり補助金は、年間を通じて4回に分けて募集が行われます。企業が自社の事業計画に合わせて申請のタイミングを選べるようにするための配慮です。2023年に実施されたものづくり補助金の公募スケジュールは以下の通りとなっています。
公募名 | 応募期間 |
13次締切 | 2022年11月 7日17時~
2022年12月22日17時 |
14次締切 | 2023年3月24日17時〜
2023年4月19日 17時 |
15次締切 | 2023年5月12日 17時~
2023年7月28日 17時 |
16次締切 | 2023年8月18日 17時~
2023年11月7日 17時 |
2024年に関しては17次・18次の2回分が公募されています。例年通りであれば、さらに2回公募がかけられる予定です。補助金申請のスケジュールはタイトであるため、申し込みを検討している方は随時ものづくり補助事業公式ホームページで最新情報をチェックしましょう。
また、応募を検討されている方は応募期間外でも専門家に相談しておくことで、公募が開始された際にスムーズに手続きに入ることができますので、専門家の無料相談窓口などを利用して事前に相談しておきましょう。
最新のものづくり補助金募集状況
最新のものづくり補助金募集状況としては、以下のように17次・18次締切分の2種類が公募されています。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(17次締切分)|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
2024年のものづくり補助金では17次締切が2024年1月31日に公開され、3月11日から電子申請の受け付けが開始されました。18次締切の公募要領も既に公開されており、17次の申請枠に加えて「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」が追加されています。ものづくり補助金は、年間を通じて複数回にわたり公募が行われます。最新の募集状況については、ものづくり補助金の公式ホームページで確認可能です。
2024年度ものづくり補助金の予算全体像|公開パンフ・チラシから紹介
2024年度のものづくり補助金予算の全体像は、公開パンフ・チラシから確認できます。以下が経済産業省が公表する2024年度ものづくり補助金の予算全体像です。
2024年度のものづくり補助金では、新たに「省力化 (オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」が追加されているのが特徴です。大幅な賃上げに取り組む事業者への支援には補助金額が上乗せされ、「省力化 (オーダーメイド)枠」では最大1億円の支援を受けられます。
なお、自社の事業が枠に該当するかは公開情報だけでは判断が難しい場合もあります。不安な方は、まずは専門家に相談してみましょう。
ものづくり補助金はいくらもらえる?補助上限・補助率を解説
ものづくり補助金は企業の規模・申請枠により、補助金額・補助率が異なります。補助金の上限額は、一部の申請枠では最大1億円に達するケースもあります。直近の17次・18次締切分で公表されている申請枠ごとの補助上限・補助率は以下の通りです。
省力化(オーダーメイド)枠 | 製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 | ||
通常類型 | 成長分野進出類型(DX・GX) | |||
補助上限 | 750万円~8,000万円 | 750万円~1,250万円 | 1,000万円〜2,500万円 | 3,000万円 |
補助率 | 1/2
※小規模・再生事業者2/3 ※1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 |
1/2
※小規模・再生事業者2/3 ※新型コロナ加速化特例2/3 |
2/3 | 1/2
※小規模2/3 |
補助率は、全ての枠で1/2〜2/3となっています。例えば、補助対象経費が2,000万円で補助率が1/2の場合の補助金額は1,000万円です。各申請枠には補助上限額が設定されており、上限を超える申請は認められません。
17・18次締切分ものづくり補助金の枠組み概要
ものづくり補助金の申請は年間を通じて複数回に分けて行われ、17・18次締切分に関しては各公募で異なる申請枠が設けられます。以下で、17次・18次ものづくり補助金の枠組みについて詳しく説明します。
17次は省力化(オーダーメイド)枠のみ応募可能
17次締切分のものづくり補助金では、「省力化(オーダーメイド枠)」のみが応募可能です。省力化(オーダーメイド)枠は、企業が自社の生産性を向上させるための取り組みを支援する補助金です。
具体的には、人手不足解消のためのAI・画像判別技術を用いた自動組立ロボットの開発・導入などが対象となります。なお、大幅な賃上げに取り組む事業者に対しては既存枠で設定されている補助上限に100万円~2,000万円が上乗せされます。
18次は合計3枠で公募される
一方、18次のものづくり補助金では合計3枠が公募されています。具体的には、省力化(オーダーメイド)枠に加えて以下2つの枠組みで申請が可能です。
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
「製品・サービス高付加価値化枠」は通常類型・成長分野進出類型(DX・GX)に分けられており、各類型で補助上限・補助率が異なるため注意が必要です。グローバル枠では海外事業を実施する事業者を対象に、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援します。
2024年度ものづくり補助金の変更点
2024年度のものづくり補助金では新たな申請枠が設けられ、より多くの企業が補助金を活用できるようになりました。以下に、主要な変更点について詳しく説明します。
- 省力化(オーダーメイド枠)が新設される
- 製品・サービス高付加価値化枠が追加される
- 大幅な賃上げに取り組む事業者への支援拡充
- 一部事業者へ口頭審査が実施される
申請枠によって補助金額などの条件が大きく異なるため、応募前にしっかり確認しておきましょう。
省力化(オーダーメイド)枠が新設される
2024年度のものづくり補助金では、「省力化(オーダーメイド枠)」が新たに設けられました。省力化(オーダーメイド)枠は、自社の生産性を向上させる取り組みを支援する制度です。
デジタル技術等を活用した専用設備の導入など、革新的な生産プロセス・サービス提供方法による効率化・高度化を図る取り組みを支援します。補助金額・補助率・対象経費は以下の通りです。
補助金額 | 従業員数5人以下 :100万円~750万円 従業員数6~20人 :100万円~1,500万円 従業員数21~50人 :100万円~3,000万円 従業員数51~99人 :100万円~5,000万円 従業員数100人以上:100万円~8,000万円 |
補助率 | 【中小企業】
補助金額が1,500万円までは1/2、1,500万円を超える部分は1/3 【小規模企業者・小規模事業者・再生事業者】 補助金額が1,500万円までは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 |
対象経費 | 機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
製品・サービス高付加価値化枠が追加される
2024年度のものづくり補助金では、「製品・サービス高付加価値化枠」も新たに追加されました。製品・サービス高付加価値化枠は革新的な製品・サービス開発の取り組みを支援する制度で、以下の2枠に分かれます。
類型 | 概要 |
通常類型 | 革新的な製品・サービス開発への取り組みに必要な設備・システム投資等を支援。 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 今後成長が見込まれる分野(DX・GX)での革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援。 |
革新的な製品・サービス開発とは、顧客への新たな価値提供を目的とした行為と定義されています。単に設備・システムを導入するにとどまり、製品・サービスの開発を伴わないケースは該当しないため注意が必要です。補助金額・補助率・対象経費は以下の通りです。
補助金額 | ■通常類型
従業員数5人以下:100万円~750万円 従業員数6~20人:100万円~1,000万円 従業員数21人以上:100万円~1,250万円 ■成長分野進出類型(DX・GX) 従業員数5人以下:100万円~1,000万円 従業員数6~20人:100万円~1,500万円 従業員数21人以上:100万円~2,500万円 |
補助率 | ■通常類型
【中小企業】 1/2 【小規模企業者・小規模事業者・再生事業者・新型コロナ回復加速化特例】 2/3 ■成長分野進出類型(DX・GX) 【中小企業・小規模企業者・小規模事業者・再生事業者】 2/3 |
対象経費 | 機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
大幅な賃上げに取り組む事業者への支援拡充
2024年度のものづくり補助金では、大幅な賃上げに取り組む事業者への支援が拡充されました。大幅な賃上げに取り組む事業者に対して、申請した枠の補助上限を従業員数に応じて引き上げてくれます。具体的な補助上限の引き上げ額は、以下の通りです。
従業員数 | 省力化(オーダーメイド)枠の補助上限引き上げ額 | 製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠の補助上限引き上げ額 |
5人以下 | 申請枠の上限から最大250万円 | 各申請枠・類型の上限から最大100万円 |
6人~20人 | 申請枠の上限から最大500万円 | 各申請枠・類型の上限から最大250万円 |
21~50人 | 申請枠の上限から最大1,000万円 | 各申請枠・類型の上限から最大1,000万円 |
51~99人 | 申請枠の上限から最大1,500万円 | 各申請枠・類型の上限から最大1,000万円 |
100人以上 | 申請枠の上限から最大2,000万円 | 各申請枠・類型の上限から最大1,000万円 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
ただし、指定された要件を満たせなかった場合は、補助金上乗せ分を全額返還しなければなりませんので注意しましょう。賃上げ支援を検討している場合は、要件を達成できるよう入念な計画が必要です。
一部事業者へ口頭審査が実施される
2024年度のものづくり補助金では、申請額が一定規模以上の事業者に対して口頭審査が実施されるようになりました。口頭審査は、書類審査だけでは判断しきれない企業の取り組み・意欲を評価する目的で実施されます。
主に申請された事業計画について、事業の適格性・革新性・優位性・実現可能性等の観点で審査されます。口頭審査はオンラインで実施され、1事業者15分程度の面談です。
過去のデータから見るものづくり補助金の採択傾向
ものづくり補助金の採択に関するデータは公表されており、分析すれば採択傾向を明らかにできます。以下に、主要な傾向について詳しく説明します。
- 申請者が増加すると採択者が減る
- 高額な申請ほど採択率は高い
- 加点要素が多いと採択率が増える
上記の傾向を参考に、事業計画など申請資料を入念に準備しましょう。
申請者が増加すると採択者が減る
ものづくり補助金の公式ホームページでは、以下のように過去の申請件数データが公表されています。
1次〜16次の申請件数・採択率の推移が上位のグラフで示されています。傾向として、ものづくり補助金の申請者が増加すると採択者の数は相対的に減少する傾向があります。
例えば、一番申請件数の少ない1次締切の公募では採択率が62.1%です。一方で、一番申請数の多い4次締切の公募では採択率が30.8%まで低下しています。
高額な申請ほど採択率は高い
高額な申請を行う企業ほど、採択率が高い傾向があります。下記は、申請金額と採択率の関係を表したグラフです。
申請額が250万円以下の場合は採択率が33.6%であるのに対し、1,000万円以上になると54.5%と1.6倍の開きがあります。ものづくり補助金は革新的な設備投資を推奨しており、申請額が大きい案件ほど高い評価を得られる可能性があるためです。しかし、申請金額が高いからといって必ずしも採択されるわけではなく事業計画の質・実現可能性も重要な評価基準となります。
加点要素が多いと採択率が増える
さらに、加点要素が多い申請ほど採択率が高くなる傾向にあります。以下は、加点項目と採択率の関係を示したグラフです。
ものづくり補助金では、審査時に特定の加点項目を定めています。上記のグラフでわかる通り、加点項目を満たす数が多いほど採択率も上がっています。加点項目は公募要領に記載されているため、申請前にチェックしておきましょう。
ものづくり補助金申請に必要な書類を作成するポイント
ものづくり補助金申請に必要な書類を作成するポイントとして、以下の4点が挙げられます。
- 事業の革新性をアピールする
- 加点要素を記載する
- 業界・専門用語を使わずわかりやすい内容に仕上げる
- 自力での作成が難しい場合は専門家への依頼もおすすめ
申請書類を作成する際は、上記ポイントを参考にしてください。
着実に申請したい方はこちらより専門家への依頼をご相談ください。
事業の革新性をアピールする
ものづくり補助金の申請書類では、事業の革新性を強くアピールするのが重要です。ものづくり補助金が革新的な製品開発・生産性向上を目指す企業の支援を目的としており、事業の革新性が重点的に評価されるためです。実際に公募要領では、技術面の評価として革新性の項目を挙げています。
製品やサービスの開発が革新的であるか、課題に対する解決の方法が明確で具体的かを評価します。既に世の中に普及している技術の導入や設備導入のみによって容易に達成でき、技術革新性が低い事業は、低い評価を受ける傾向があります。
事業計画を作成する際は、新技術を活用した革新性を前面にアピールするのが重要です。
加点要素を記載する
ものづくり補助金の申請書類では、加点要素を明確に記載するのが重要です。審査には加点項目が数多く設けられており、最大で6項目の加点申請を行えます。加点要素は、大きく以下の5種類に分かれます。
- 成長性加点
- 政策加点
- 災害等加点
- 賃上げ加点
- 女性活躍推進の取り組み加点
上記の加点要素を申請資料に盛り込めば、審査時にプラス評価を受けられて採択される可能性が高いです。加点項目によっては追加書類の提出を求められるため、公募要領を確認して抜け漏れがないよう準備しましょう。
業界・専門用語を使わずわかりやすい内容に仕上げる
ものづくり補助金の申請書類では、業界・専門用語を避けて一般の人でも理解できるようなわかりやすい内容に仕上げるのが重要です。審査員は、必ずしも自社の業界・製品に関して専門知識を持っているとは限りません。審査員が自社業界・製品に精通していなかった場合、専門用語を多用すると内容を正しく理解されない可能性があります。
わかりやすい表現を用いれば、事業計画・製品開発の具体性・実現可能性をより明確に示せます。事例・データなどの視覚的要素を用いて、企業の取り組みを具体的に描写するのも効果的です。
自力での作成が難しい場合は専門家への依頼もおすすめ
ものづくり補助金の申請書類作成は、事業計画・製品開発の詳細を正確に表現するための専門的な知識・スキルを必要とします。自力での作成が難しい場合は、行政書士など専門家への依頼もおすすめです。
専門家は補助金の申請書類作成経験が豊富で企業の取り組みを適切に表現し、採択率を高める方法を熟知しています。申請書類作成時のミスを避けるアドバイスを提供してくれるため、補助金の採択率を高めるための有効な手段となります。補助金申請が初めてで不安な方は、採択率を高めつつ申請の手間を軽減できる専門家へ依頼がおすすめです。
なお、ものづくり補助金の専門家探しには「補助金BiZアシスト」がおすすめです。「補助金BiZアシスト」では各種補助金の申請サポートを行っており、ものづくり補助金も対象となっています。
必要資料の準備から申請手続きまで全て代行してくれるため、資金調達に手間がかからず本業に集中しやすい点も魅力です。申請代行・サポート会社に依頼すれば、多くの補助金で採択率90%以上と高い実績も誇っています。ものづくり補助金を高い確率で受けたい方は「補助金BiZアシスト」を利用しましょう。
ものづくり補助金を活用して事業を拡大させよう
ものづくり補助金は、新製品開発・生産性向上を目指す企業を支援する制度です。2024年度では新たな申請枠が設けられ、より多くの企業が補助金を活用できるようになりました。
採択率を上げるためには、申請書類で事業の革新性をアピールして加点要素を明確に記載するなどポイントを押さえるのが重要です。自力での申請が難しい・不安がある場合は、専門家に相談できる「補助金Bizアシスト ものづくり補助金問い合わせ」の利用を検討してください。今回の記事で紹介したスケジュール・枠組みなどを参考に、ものづくり補助金を活用して自社事業を大きく拡大させましょう。
ものづくり補助金に申請する前に
ものづくり補助金に申請する前に、必ず専門家へ相談しておきましょう。補助金申請で着実に採択されるためには、一般には公開されていないノウハウや効率的な手順も必要になってきます。実際に申請サポートを依頼しない場合でも、まずは無料の範囲で専門家に相談することを強くおすすめします。
この記事を書いた専門家
藤田 春樹