「マネーフォワードを導入したいけど、コストが気になる…」という悩みを抱える中小企業・個人事業主の方も多いでしょう。IT導入補助金を活用すれば、マネーフォワード会計・労務管理などのクラウドサービスをお得に導入できます。ただし、申請枠が通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)に限られるなど、マネーフォワードを導入する際は注意すべき点も多いです。
本記事では、マネーフォワードをIT導入補助金で導入する際の申請方法・注意点・導入事例までをわかりやすく解説します。本記事を読めば、IT導入補助金をスムーズに申請して経済的負担を抑えながらマネーフォワードを導入できます。IT導入補助金でマネーフォワードを導入し、自社業務のデジタル化を効率よく推し進めましょう。
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題に合ったITツールを導入する際に経費の一部を国が補助する制度です。IT導入補助金は業務効率化・生産性向上を目的としており、ソフトウェアの購入費やクラウド利用料、導入支援費用などが対象です。
また、インボイス制度対応・セキュリティ対策など特定の目的に応じた申請枠も設けられており、事業者の多様なニーズに対応しています。IT導入補助金の申請にはIT導入支援事業者と連携し、事務局に登録されたITツールの中から選定する必要があります。
IT導入補助金の対象事業者
IT導入補助金の対象となるのは、日本国内で事業を営む以下の条件を満たす中小企業・小規模事業者・個人事業主です。
【中小企業】
業種分類 | 資本金の上限 | 常時使用する従業員数の上限 |
製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業(ソフトウェア業・旅館業除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
ゴム製品製造業(タイヤ等を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
医療法人・社会福祉法人・学校法人など | ― | 300人以下または100人以下 |
【小規模事業者・個人事業主】
業種分類 | 常時使用する従業員数の上限 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業を含むサービス業 | 20人以下 |
製造業・その他の業種 | 20人以下 |
なお、大企業や一部の業種は対象外となる場合があるため、事前に申請枠の公募要領を確認しましょう。
IT導入補助金2025の申請スケジュール
IT導入補助金2025の申請は一次公募が2025年3月31日から開始され、各申請枠ごとに締切日が設定されています。IT導入補助金2025の一次公募における申請枠ごとの具体的な申請スケジュールは、以下のとおりです。
申請枠 | 締切日 | 交付決定日(予定) | 事業実施期間(予定) | 事業実績報告期限(予定) |
通常枠 | 2025年5月12日(月) | 2025年6月18日(水) | 交付決定日 ~ 2025年12月26日(金)17:00 | 2025年12月26日(金) |
インボイス枠(インボイス対応類型) | ||||
インボイス枠(電子取引類型) | ||||
セキュリティ対策推進枠 | ||||
複数社連携IT導入枠 | 2025年6月16日(月) | 2025年7月24日(木) | 交付決定日 ~ 2026年1月30日(金)17:00 | 2026年1月30日(金) |
通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠はすべて同じ申請スケジュールで進みますが、複数社連携IT導入枠のみ異なります。IT導入補助金の申請は締切日の17:00までに完了する必要があり、余裕を持ったスケジュールで進めなければなりません。
マネーフォワードの導入にIT導入補助金を利用すると導入費用を軽減できる
マネーフォワードの導入を検討している中小企業・小規模事業者にとって、IT導入補助金の活用は初期費用の大幅な軽減につながります。ソフトウェア購入費・クラウド利用料・導入支援費用などが補助対象で、補助率は通常枠で1/2以内、賃上げ条件を満たす場合は2/3以内です。
また、インボイス枠では小規模事業者が指定された機能を1つ以上保有するマネーフォワードを導入した場合、最大80%の補助を受けられます。IT導入補助金を活用すれば、マネーフォワードを低コストで導入できて企業のデジタル化を加速させられます。
マネーフォワードが補助対象のIT導入補助金の申請枠は2つ
マネーフォワードが補助対象のIT導入補助金の申請枠は、以下の2つです。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
上記の中から、導入するマネーフォワードのサービスが条件を満たせる申請枠を選びましょう。
通常枠
通常枠は業務効率化や生産性向上を目的としたITツールの導入を支援する枠で、補助率・補助額・対象経費などの条件は以下のとおりです。
補助額 | 5万円~450万円以下(申請額により区分あり) |
補助率 |
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補助対象経費 |
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プロセス要件 |
|
なお、上記表で記載のあるプロセスとはソフトウェアの機能を指しており、プロセス数によって補助上限額が変わる仕組みが採用されています。マネーフォワードは1プロセス以上のソフトウェアに該当するため、補助率は最大1/2、補助額は5万円以上450万円以下です。また、3か月以上「地域別最低賃金+50円以内」で雇用している従業員が全体の30%以上いる場合、補助率が2/3に引き上げられます。
補助対象経費は、ソフトウェアの購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費用(導入コンサルティング、設定費用など)が対象です。通常枠は、インボイス制度への対応を目的としない場合や導入費用が比較的低額な場合に適しています。
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス枠(インボイス対応類型)はインボイス制度への対応の支援を目的としており、補助率・補助額・対象経費などの条件は以下のとおりです。
補助額 |
|
補助率 | 2/3〜4/5
※ハードウェア購入費の補助率は1/2以内 |
補助対象経費 |
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機能要件 | 「会計」「受発注」「決済」のうち1機能以上(350万円の補助を受けるには2機能以上) |
マネーフォワードの導入においては、会計、受発注、決済のいずれかの機能を有するソフトウェアが対象となります。補助率は補助額50万円以下の場合は小規模事業者で最大4/5、中小企業で最大3/4となり、50万円超の場合は一律2/3です。
補助対象経費にはソフトウェアの購入費やクラウド利用料(最大2年分)、導入関連費用およびハードウェアの購入費が含まれます。インボイス枠は、インボイス制度への対応を目的とする場合や導入費用が高額な場合に適しています。
マネーフォワードでIT導入補助金の対象となるクラウドサービス
マネーフォワードでIT導入補助金の対象となるクラウドサービスとして、以下の3カテゴリーにわけて紹介します。
- 経理・確定申告関連のクラウドサービス
- 人事労務関連のクラウドサービス
- その他のクラウドサービス
上記の中から、自社の業務課題に合わせたマネーフォワードのクラウドサービスを導入しましょう。
経理・確定申告関連のクラウドサービス
マネーフォワードの経理・確定申告関連のクラウドサービスで、IT導入補助金の対象となるのは以下のとおりです。
サービス名 | 対象者 | サービス内容・特徴 | インボイス対応 |
マネーフォワード クラウド会計 | 法人・中小企業 | 会計帳簿の自動作成、仕訳の自動化など会計業務の効率化を支援するサービス | ○ |
マネーフォワード クラウド確定申告 | 個人事業主 | 確定申告書類の自動作成など確定申告業務の効率化を支援するサービス | ○ |
マネーフォワード クラウド請求書 | 法人・個人事業主 | 請求書の作成・送付、入金管理・売掛金管理など請求業務の効率化を支援するサービス | ○ |
マネーフォワード クラウド経費 | 法人・中小企業 | 経費申請・承認フロー作成、領収書のスマホ読み取りなど経費精算業務の効率化を支援するサービス | ○ |
マネーフォワード クラウド債務支払 | 法人・中小企業 | 支払予定管理・支払依頼のワークフロー作成など支払業務の効率化を支援するサービス | ○ |
マネーフォワード クラウドインボイス | 法人・中小企業 | インボイス制度対応の請求書発行などインボイス制度への対応を支援するサービス | ○ |
人事労務関連のクラウドサービス
マネーフォワードの人事労務関連のクラウドサービスでIT導入補助金の対象となるのは、以下のとおりです。
サービス名 | 対象者 | サービス内容・特徴 | インボイス対応 |
マネーフォワード クラウド給与 | 法人・中小企業 | 給与計算・賞与計算、法定三帳簿の作成など給与関連業務の効率化を支援するサービス | × |
マネーフォワード クラウド勤怠 | 法人・中小企業 | 勤怠打刻、残業・休暇申請、労働時間の自動集計、コンプライアンス強化機能を備えた勤怠管理サービス | × |
マネーフォワード クラウド年末調整 | 法人・中小企業 | 年末調整に必要な書類の収集・計算・提出をオンラインで完結できるサービス | × |
マネーフォワード クラウド人事管理 | 法人・中小企業 | 入退社手続き・人事異動管理・従業員情報の一元管理・他クラウドサービスとの連携など人事管理が可能なサービス | × |
マネーフォワード クラウド社会保険 | 法人・中小企業 | 社会保険・労働保険の手続き自動化など社会保険関連業務をサポートするサービス | × |
マネーフォワード クラウドマイナンバー | 法人・中小企業 | マイナンバーの収集・管理・廃棄までの一連の業務をクラウド上で安全に管理できるサービス | × |
その他のクラウドサービス
マネーフォワードのその他のクラウドサービスで、IT導入補助金の対象となるのは以下のとおりです。
サービス名 | 対象者 | サービス内容・特徴 | インボイス対応 |
マネーフォワード クラウド契約 | 法人・中小企業 | 契約書の作成から締結、管理までをオンラインで完結できるクラウド型契約管理サービス | × |
Manageboard(マネジボード) | 法人・中小企業 | 予算管理や経営分析を支援するクラウド型経営管理ツール | × |
STREAMED(ストリームド) | 会計事務所・法人・個人事業主 | 領収書や通帳などの紙証憑をスキャンするだけで、AIが自動で仕訳データを作成するクラウド型記帳代行サービス | ○ |
マネーフォワードをIT導入補助金で導入する際の事業者別シミュレーション
マネーフォワードをIT導入補助金で導入する際の事業者別シミュレーションとして、以下の3パターンを紹介します。
- 個人事業主がマネーフォワードを導入した場合
- 小規模事業者がマネーフォワードを導入した場合
- 中小企業がマネーフォワードを導入した場合
上記のシミュレーションを参考に、自社の予算にあった料金プランでマネーフォワードを導入しましょう。
個人事業主がマネーフォワードを導入した場合
個人事業主がマネーフォワードを導入する際に、最も利用されるのが「パーソナルプラン」です。パーソナルプランの年額は1万5,360円で、IT導入補助金で補助対象となる2年間のクラウド利用料は3万720円となります。
IT導入補助金の「インボイス対応類型」を活用すると、小規模事業者に該当する個人事業主は補助率4/5で申請が可能です。インボイス対応類型で申請して4/5の補助率で受給できた場合、補助額は2万4,576円となり、実質負担額は6,144円に抑えられます。
一方、通常枠で申請した場合の補助率は1/2で補助額は1万5,360円、実質負担額も1万5,360円となります。そのため、申請条件を満たしていれば、インボイス対応類型を活用すると導入費用の大幅な軽減が可能です。
参考:個人事業主・副業向け価格・料金プラン|マネーフォワード クラウド
小規模事業者がマネーフォワードを導入した場合
小規模事業者がマネーフォワードを導入する際には、「スモールビジネスプラン」が適しています。スモールビジネスプランの年額は3万5,760円で、IT導入補助金で補助対象となる2年間のクラウド利用料は7万1,520円です。
インボイス対応類型で申請した場合の補助率は4/5で補助額は5万7,216円となって実質負担額は1万4,304円となります。一方、通常枠で申請した場合の補助率は1/2で補助額は3万5,760円、実質負担額も3万5,760円です。
中小企業がマネーフォワードを導入した場合
中小企業がマネーフォワードを導入する際には、「ビジネスプラン」が適しています。ビジネスプランの年額は5万9,760円で、IT導入補助金で補助対象となる2年間のクラウド利用料は総額11万9,520円となります。
インボイス対応類型で申請した場合の補助率は3/4で補助額は8万9,640円、実質負担額は2万9,880円です。一方、通常枠で申請した場合の補助率は1/2で補助額は5万9,760円、実質負担額も5万9,760円となります。
マネーフォワードをIT導入補助金で導入した企業の事例
マネーフォワードをIT導入補助金で導入した企業の事例として、以下の2社を紹介します。
- 株式会社キュリカ
- 株式会社リバティー
上記の事例を参考に、IT導入補助金を活用してスムーズにマネーフォワードを導入しましょう。
株式会社キュリカ
株式会社キュリカは給与前払いサービスを提供するベンチャー企業で、上場を目指す中で基幹システムの独立と業務効率化が課題となっていました。そこで、IT導入補助金2020の特別枠(C類型-2)を活用してマネーフォワード クラウド会計Plusを導入します。
マネーフォワード クラウド会計Plusの導入により、管理部門の伝票起票・稟議申請が自宅から可能になりました。また、営業部門もスマートフォンからの経費精算が可能となり、テレワーク環境の整備に貢献しています。結果として、管理部門の人員を半減しつつ業務効率を維持してテレワーク率は管理部門で約50%、営業部門で約40%に達しました。
株式会社リバティー
株式会社リバティーは、宿泊施設向けの経営支援システムを開発・販売している会社です。事業の多角化と会社規模の拡大に伴い、今後の成長を加速させるために内部統制の強化が必要となりました。そこで、IT導入補助金を活用し、マネーフォワード クラウド会計からクラウド会計Plusへの移行を決定します。
マネーフォワード クラウド会計Plusは複式簿記に則った仕訳登録ができる点や複数人が同時にアクセスして業務を行える点が特徴です。そのため、マネーフォワード クラウド会計Plusは企業の成長にも耐えうるバックオフィス体制の構築に貢献してくれました。
また、クラウド型の会計システムであり、わかりやすいUI/UXも導入の決め手となりました。マネーフォワード クラウド会計Plusへの移行により、内部統制の強化だけでなく業務効率の向上やリモートワークへの対応も実現しています。
参考:事業の多角化に伴い会計システムをクラウド化。IT導入補助金の活用で内部統制強化も実現|マネーフォワードクラウド
マネーフォワードを導入する際のIT導入補助金の申請方法
マネーフォワードを導入する際のIT導入補助金の申請方法は、以下のとおりです。
- 公募概要を確認
- IT導入支援事業者・マネーフォワードのクラウドサービスを選択
- gBizIDプライムアカウントの取得
- 「SECURITY ACTION」の自己宣言・「IT戦略ナビwith」の実施
- 申請マイページの招待を受けて申請手続きを実施
- 選定したマネーフォワードクラウドサービスの契約・支払い
- 事業実績報告後に補助金が交付される
- 決められた期限までに事業実施効果報告を行う
上記の手順を参考に、IT導入補助金の申請をスムーズに進めましょう。
①公募概要を確認
まず、IT導入補助金の公式サイトで最新の公募要領を確認しましょう。公募要領には補助対象となる事業者の要件・補助対象経費・補助率・申請スケジュールなどが詳細に記載されています。
申請枠ごとに条件や必要な手続きが明記されているため、事前に情報を把握して自社および導入ツールが補助対象となるかを確認しておきましょう。申請書類の準備や手続きには時間がかかるため、申請期間・締切日を把握して余裕を持ったスケジュールで進めてください。
②IT導入支援事業者・マネーフォワードのクラウドサービスを選択
次に、IT導入補助金の対象となるマネーフォワードのクラウドサービスを選定します。マネーフォワードの公式サイトやIT導入補助金の「ITツール・IT導入支援事業者検索」ページで対象となるサービスを確認できます。
また、マネーフォワードのクラウドサービスだけに限らず、補助金申請はIT導入支援事業者との連携が必要です。「ITツール・IT導入支援事業者検索」で導入予定のマネーフォワードクラウドサービスを扱うIT導入支援事業者を選定しましょう。
③gBizIDプライムアカウントの取得
IT導入補助金の申請には、gBizIDプライムアカウントの取得が必要です。gBizIDは行政手続きの際に必要となる共通認証システムで、プライムアカウントは法人代表者・個人事業主が取得できます。gBizIDプライムアカウントの取得方法は、以下の2パターンがあります。
- gBizIDの公式サイトから申請書を作成し、印鑑証明書とともに郵送
- マイナンバーカードを利用したオンライン申請
郵送申請の場合、発行までに最短で1週間程度かかるため、早めに手続きを行いましょう。オンライン申請ではマイナンバーカードと対応するスマートフォンが必要となりますが、アカウントの即日発行が可能です。
④「SECURITY ACTION」の自己宣言・「IT戦略ナビwith」の実施
IT導入補助金の申請にあたり、情報セキュリティ対策の一環として「SECURITY ACTION」の自己宣言が求められます。IPAが推進する制度で、企業が自らのセキュリティ対策状況を自己評価して「1つ星」または「2つ星」のいずれかを選択して宣言します。申請時には宣言済みアカウントのIDが必要となるため、事前に手続きを済ませておきましょう。
また、「IT戦略ナビwith」は中小企業基盤整備機構が提供する企業のIT導入戦略を支援するオンラインツールです。「IT戦略ナビwith」を活用すれば、自社の経営課題や業務上の問題点を整理して最適なITツールの導入計画を立てられます。IT導入補助金では、「IT戦略ナビwith」を実施して作成された「IT戦略マップ」を申請時に添付すると審査での加点対象となります。
⑤申請マイページの招待を受けて申請手続きを実施
IT導入補助金の申請は、IT導入支援事業者からの「申請マイページ」への招待を受けて実施する必要があります。具体的には、以下の流れでIT導入補助金の申請手続きを進めましょう。
- 招待メールに記載されたURLから申請マイページを開設し、gBizIDプライムアカウントでログイン
- 企業情報や財務情報、導入予定のITツール情報などを入力後に必要書類を添付して申請を進める
- 申請内容の入力後はIT導入支援事業者が内容を確認し、必要に応じて修正・補足を行う
- 最終的に申請者が内容を確認し、宣誓を行って申請を完了させる
⑥選定したマネーフォワードクラウドサービスの契約・支払い
交付決定通知を受け取った後、選定したマネーフォワードクラウドサービスの契約・支払いを行います。交付決定前に契約・支払いを行った場合、補助金の対象外となる点に注意しなければなりません。
契約締結後は、導入支援事業者と連携してマネーフォワードクラウドサービスの導入や設定を進めましょう。なお、補助金は後払いとなるため、導入費用は一時的に自己負担となります。
⑦事業実績報告後に補助金が交付される
マネーフォワードの導入後、補助金を受け取るためには事業実績報告の提出が必要です。事業実績報告では導入したITツールの契約書・請求書・支払い証明書などを提出し、実際の導入内容と支出を証明します。
報告内容は事務局による「確定検査」を受け、適正と判断されれば補助金の交付が決定します。確定通知後、申請者が承認手続きを行って約1か月で指定口座に補助金が振り込まれる流れです。なお、報告内容に不備がある場合は補助金の交付が遅れる可能性があるため、記載内容に間違いがないかよく確認しましょう。
⑧決められた期限までに事業実施効果報告を行う
補助金の交付後も、ITツールの活用状況や効果を報告する「事業実施効果報告」が求められます。申請枠ごとに報告内容・期間が異なりますが、通常枠では交付申請の翌事業年度から3年間、毎年1回の報告が必要です。
通常枠では報告内容として売上高・従業員数・就業時間などの数値を含め、ITツール導入による効果を示します。報告は「申請マイページ」から行い、IT導入支援事業者の確認を経て事務局に提出されます。なお、期限内に報告を行わない場合は補助金の返還を求められる可能性があるため、注意が必要です。
マネーフォワードをIT導入補助金で導入する際の注意点
マネーフォワードをIT導入補助金で導入する際の注意点として、以下の2つがあげられます。
- マネーフォワードのサービスをすぐに導入できない
- 補助金が交付されるまでに時間がかかる
マネーフォワードをIT導入補助金で導入する際は、上記のポイントに注意しましょう。
マネーフォワードのサービスをすぐに導入できない
IT導入補助金を申請する際は、マネーフォワードのサービスをすぐに導入できない点に注意しましょう。IT導入補助金を申請した場合、マネーフォワードのサービスは交付決定通知を受け取った後に導入しなければなりません。
交付決定前に契約や支払いを行った場合、費用は補助対象外となるため注意が必要です。上記の理由から、マネーフォワードの導入を急ぎたい場合でも補助金の申請手続きと交付決定を待つ必要があります。
補助金が交付されるまでに時間がかかる
IT導入補助金を申請してから、補助金が交付されるまでに時間がかかる点にも注意が必要です。IT導入補助金の交付決定後にマネーフォワードを導入し、事業実績報告を提出した後に補助金が交付されます。
上記のプロセスには数か月を要するため、補助金の入金までに時間がかかる点を理解しておきましょう。そして、導入費用は補助金を受給するまでに一時的に自己負担しなければならず、必要な資金があるか確認しておく必要もあります。
マネーフォワードとIT導入補助金に関するよくある質問
マネーフォワードとIT導入補助金に関するよくある質問として、以下の7つを紹介します。
- マネーフォワードとIT導入補助金に関する問い合わせ窓口は?
- IT導入補助金は何回まで申請できる?
- IT導入補助金はいつ振り込まれる?
- freee製品はIT導入補助金の対象?
- IT導入補助金で個人事業主もマネーフォワードの会計ソフトを導入できる?
- IT導入補助金の会計処理はどのように行う?
- IT導入補助金はクラウド利用料も補助対象になる?
マネーフォワードとIT導入補助金に関して疑問点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
マネーフォワードとIT導入補助金に関する問い合わせ窓口は?
IT導入補助金に関する問い合わせは、以下の窓口で対応しています。
問い合わせ窓口 | IT導入補助金事務局コールセンター |
電話番号 | 0570-666-376(ナビダイヤル)
※IP電話等から:050-3133-3272 |
受付時間 | 平日9時30分〜17時30分(土日祝・年末年始を除く) |
公式サイト | https://IT-shien.smrj.go.jp/contact/ |
また、マネーフォワードのサービス内容や導入に関する詳細はマネーフォワードの公式サイトやIT導入支援事業者を通じて確認できます。
IT導入補助金は何回まで申請できる?
IT導入補助金の申請回数については、以下のような制限があります。
- 1つの中小企業・小規模事業者等あたり、各申請枠につき1回のみ申請可能
- 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠など異なる申請枠に対しては、それぞれ1回ずつ申請が可能
- 不採択となった場合や交付決定前に申請を取り下げた場合は、同一年度内でも再申請が可能
ただし、過去に交付決定を受けた事業者が同一の申請枠で再度申請する場合は、交付決定日から12か月以上経過している必要があります。
IT導入補助金はいつ振り込まれる?
IT導入補助金の入金時期は交付決定後、事業実績報告の提出後に事務局の確定検査を経て、約1か月で指定口座に振り込まれます。なお、IT導入補助金の申請から受給するまでの全体で考えると約4か月〜8か月かかるケースが多いです。
導入費用は一時的に自己負担となるため、マネーフォワードのクラウドサービスを導入しても十分な資金があるか事前に確認しておきましょう。また、報告内容に不備がある場合は補助金の交付が遅れる可能性があるため、記載内容に間違いがないよう十分に注意してください。
freee製品はIT導入補助金の対象?
freee製品もマネーフォワードと同様にクラウドサービスとして提供されており、多くがIT導入補助金の対象です。例えば、freee会計・freee人事労務などのクラウドサービスはIT導入補助金の対象ITツールとして登録されています。
IT導入補助金で個人事業主もマネーフォワードの会計ソフトを導入できる?
個人事業主も、IT導入補助金を活用してマネーフォワードの会計ソフトを導入できます。特に、マネーフォワードクラウド確定申告は、個人事業主向けのクラウド会計ソフトとして活用が可能です。具体的な機能としては、確定申告書類の自動作成や銀行・クレジットカードとの連携による自動仕訳機能など業務効率化に役立つものを備えています。
IT導入補助金の会計処理はどのように行う?
IT導入補助金を受給した場合、基本的に補助金は「国庫補助金受贈益」や「雑収入」として収益計上されます。なお、入金が決算期をまたぐ場合、決算時には「未収入金」として計上して入金時に「当座預金」への振替処理を行います。
また、IT導入補助金で取得した固定資産については「圧縮記帳」の利用が可能です。圧縮記帳とは補助金などの収入を得て固定資産を取得した際に取得価額を減額し、当該年度の課税所得を減少させ、税負担を軽減する会計処理の方法です。
圧縮記帳を適用する場合は補助金相当額を「固定資産圧縮損」として計上し、取得原価から控除します。ただし、圧縮記帳は将来的な減価償却費が減少するため、税負担が先送りされる点に留意が必要です。
IT導入補助金はクラウド利用料も補助対象になる?
IT導入補助金の通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)では、クラウドサービスの利用料も補助対象です。「通常枠」および「インボイス枠(インボイス対応類型)」では、クラウドサービスの利用料が最大2年分まで補助されます。
補助対象となるのは、会計ソフト・人事労務管理システム・営業支援ツールなど申請枠ごとに指定された要件を満たすクラウドサービスです。また、クラウドサービスの導入に伴う設定費用や保守サポート費用も補助対象となる場合があります。
IT導入補助金でマネーフォワードを導入して自社業務のデジタル化を促進しよう
マネーフォワードを導入する際は、IT導入補助金を活用すると導入費用の大幅な軽減が可能です。通常枠やインボイス枠を活用すれば、会計・労務・請求など多彩なクラウドサービスをお得に導入できます。
ただし、交付決定前のサービス契約・支払いは補助対象外となるため、導入支援事業者と連携して申請・実績報告・補助金受給までの流れを確認しましょう。IT導入補助金でマネーフォワードを導入し、自社業務のデジタル化を効率的に促進させてください。
なお、IT導入補助金を手間なく効率的に受給したい場合は「補助金Bizアシスト」の利用がおすすめです。各種補助金の申請から受給までを一貫してサポートするサービスで、採択率90%以上の実績をもつ専門家が担当してくれます。
資料準備・手続きを専門家がすべて行ってくれるため、手間をかけずにIT導入補助金を申請して受給確率を高められる点がメリットです。マネーフォワードを導入したいけれども申請手続きに時間をとれない事業者は、ぜひ「補助金Bizアシスト」の利用を検討してください。
この記事を書いた専門家
藤田 春樹