デジタル技術の急速な進歩が加速するなか、中小企業・小規模事業者にもDX・GXへの対応が求められています。DX・GXの取り組みを加速させるため、設備投資・IT導入・試作開発などを支援するものづくり補助金に注目が集まっています。
とくに第18次ものづくり補助金では、DX・GXへの取り組みを支援する「成長分野進出類型(DX・GX)」が新設されました。
今回の記事では、ものづくり補助金のデジタル枠・成長分野進出類型(DX・GX)の概要や申請のポイントについて解説します。さらに、過去のものづくり補助金のDX・GX関連の採択事例もまとめました。
本記事を読めば成長分野進出類型(DX・GX)への理解が深まり、ものづくり補助金を有効活用するためのヒントが得られます。
DX・GXを通じて競争力強化や生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者は、ものづくり補助金の活用を検討しましょう。
ものづくり補助金のデジタル枠とは
ものづくり補助金のデジタル枠は、第18次の公募から成長分野進出類型(DX・GX)に再編されました。
ものづくり補助金のデジタル枠とは、DXに資する革新的な製品・サービス開発を支援する特別枠です。ほかにも、「デジタル技術を活用した生産プロセス改善」「生産性向上に必要な設備・システム投資」などにも活用できます。
補助上限額は従業員数に応じて750万円~1,250万円、補助率は2/3となっています。主な補助対象経費は、おおよそ以下のとおりです。
- 機械装置
- システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
デジタル枠の活用を検討しているのなら、成長分野進出類型(DX・GX)が今後は対応類型となります。
基本要件・追加要件
デジタル枠で採択されるためには、給与支給総額の増加・事業場内最低賃金の引き上げ・付加価値額の増加が求められます。事業計画期間に満たさなければならない基本要件は、以下の箇条書きのとおりです。
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
- 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる
地域別最低賃金とは、毎年10月に発表される都道府県別の法律で定められた最低時給です。たとえば、2024年3月時点でもっとも高いのは東京都の1,113円、一番低いのは岩手県の893円となっています。補助事業で雇用する人材について、地域別最低賃金+30円以上の水準を保たなければなりません。
ものづくり補助金における付加価値額とは、以下の式で計算されます。
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
付加価値額の増加によって地域経済への貢献や雇用の改善などを促すため、年平均3%以上の成長が求められます。
さらに、デジタル枠の追加要件として以下の項目を満たす必要があります。
- DXに資する革新的な製品・サービスの開発、又は、デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善に該当する
- 経済産業省のDX推進指標を活用した自己診断を実施し、その結果をIPAに提出する
- IPAの「SECURITYACTION」の宣言を行っている
- デジタル技術の活用方向性の公表状況や体制について記載して示す
単なるデジタル化にとどまるものは補助対象外となりますので、注意が必要です。
デジタル枠の採択率
第16次ものづくり補助金におけるデジタル枠の採択率は46.4%で、グリーン枠の39.1%よりはかなり高くなっています。ただし、第16次ものづくり補助金の通常枠の採択率である48.8%と比べるとやや低めです。
デジタル枠で不採択となった場合は通常枠で再審査されるため、実質的に2回の審査チャンスがあります。
参考:ものづくり補助金総合サイト「採択結果」
デジタル枠の採択事例
デジタル枠の採択事例を、以下の表にまとめました。
デジタル枠は2022年から開始したため、まだものづくり補助金の活用事例としては掲載されていません。そのため、プロコン補助金.comにおける採択事例を引用します。
業種 売上高 事業計画書の内容 事業戦略の説明 家電 896万円 鍵管理のクラウドサービスシステムの開発 当社の顧客である販売店や導入企業・個人などから、クラウドから遠隔で扉を制御、監視したい、当社のデバイスと他社のサービスを連携したいとの要望が多数あり、その要望に対応した業界初のクラウドサービスを開発し提供する。 インターネット 750万円 インディーズ音楽に特化したNFTマーケットプレイスを展開 インディーズ音楽に特化したNFTマーケットプレイスはなく、利便性やサービス提供に課題があった。今回、その課題を解決する業界初のNFTマーケットプレイスを提供することで、自社の業績向上とミュージシャンの新たな収益源として大きな効果が期待できる。 インターネット 750万円 「ユーザー・ゴルフ場・コーチの3者マッチング事業」を展開 現在、3つの事業のシステムを個別に運用しており、お互いに互換性もなく、シナジーも発揮できないといった課題がある。今回、この3つを一つのシステムに統合すると共に、業界初の「ユーザー・ゴルフ場・コーチの3者マッチング事業」を新規に展開する。 インターネット 750万円 メタバース内にNFTマーケットプレイス・レンタルPFを展開 現在、当社Web3.0のPFでは、NFTゲームを売買するには他社のNFTマーケットプライスに移動する、個人間での貸し出しが出来ないなどの課題がある。その課題を解決するため、業界初のメタバース内にNFTマーケットプレイス・レンタルPFを展開し、利用者の利便性を格段に向上させる。 インターネット 750万円 AIレコメンド機能を追加した新ライブコマース事業を推進 日本のライブコマース業界では、SNS性がたりておらず海外よりも4年~5年遅れている。この課題を解決するため、新たにAIレコメンド機能を追加したライブコマース事業を展開し、自社の業績を拡大させる。
引用:プロコン補助金.com「ものづくり補助金のデジタル枠の採択事例の紹介」
ものづくり補助金のデジタル枠の採択事例で目立つのは、以下のような事業です。
- IoTを活用した生産プロセスの効率化
- AIを用いた画像解析による品質管理の自動化
- デジタル技術を駆使した先進的な取り組み
事業にデジタル技術をどのように活用できるのか、採択事例をヒントに検討しましょう。
2024年の第18次ものづくり補助金から製品・サービス高付加価値化枠・成長分野進出類型(DX・GX)に再編
第18次ものづくり補助金でデジタル枠は、製品・サービス高付加価値化枠・成長分野進出類型(DX・GX)へ再編されました。成長分野進出類型(DX・GX)は、DX・GXに資する革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資を支援する仕組みです。
DXはAI・IoT・デジタル技術などを活用し、遠隔操作・自動制御などの機能を備えた製品・サービスの開発が対象となります。GXは、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発が対象です。グリーン成長戦略とは、2050年までに温室効果ガスの吸収・排出を均衡させるという目標を達成するための政策を指します。
補助金額の上限は従業員数に応じて設定され、補助率は中小企業が1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者が2/3です。3年~5年の事業計画期間内に一定の売上高目標の達成が、成長分野進出類型(DX・GX)の追加要件に設定されています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXとはデジタル技術で、「業務フロー改善」「新規ビジネスモデル創出」「企業風土の変革」などを実現するという概念です。
DX推進はあらゆる企業にとって、変化の激しい市場で競争優位性を維持するための重要なテーマです。DXは単なる変革ではなく、デジタル技術による破壊的な変革を意味する「デジタル・ディスラプション」とも定義されます。
GX(グリーントランスフォーメーション)とは
GXとは化石燃料から再生可能エネルギーに転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組みを指します。
近年、地球温暖化による気候変動問題などへの対策として、世界各国では温室効果ガスの排出量削減が喫緊の課題となっています。日本でも2050年までに、温室効果ガス排出量を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。
カーボンニュートラルを達成し脱炭素社会を実現するには、数多くの企業による協力が必要とされています。日本政府はカーボンニュートラルへの動きを経済成長の機会と捉え、温室効果ガス削減と産業競争力向上の両立を目指しています。
製品・サービス高付加価値化枠・成長分野進出類型(DX・GX)の公募概要
第18次ものづくり補助金から公募される「成長分野進出類型(DX・GX)」の概要を、以下のポイントに分けて解説します。
- 対象となる事業者
- 公募・申請スケジュール
- 第17次・第18次共通の基本要件
- 追加要件
- 補助上限額・補助率
- 補助対象経費
- 必要書類
- 申請手続きの流れ
- 加点・減点・審査項目
- 採択後の大まかな流れ
要点を適切に把握し、自社が成長分野進出類型(DX・GX)の申請をするかどうか検討しましょう。
参考・引用:ものづくり補助金総合サイト「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)1.1版」
対象となる事業者
第18次ものづくり補助金の対象事業者は、以下の表のとおりです。
対象事業者 | 定義・要件 |
中小企業者(組合関連以外) | 資本金または従業員数が業種ごとに定められた一定の基準以下の会社または個人事業主 |
中小企業者(組合・法人関連) | 中小企業など経営強化法第2条第1項に規定される、企業組合・協業組合・事業協同組合・商工組合など |
小規模企業者・小規模事業者 | 製造業その他・宿泊業・娯楽業:常勤従業員20人以下
商業・サービス業:常勤従業員5人以下 個人事業主 |
特定事業者の一部 | 資本金の額または出資の総額が10億円未満の会社など一定の要件を満たすもの |
特定非営利活動法人 | 広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う者のうち、常勤従業員数300人以下で一定の要件を満たすもの |
社会福祉法人 | 常勤従業員数300人以下の一定の要件を満たすもの |
自社がものづくり補助金の対象事業者かどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
公募・申請スケジュール
ものづくり補助金の公募・申請スケジュールは、以下のとおりです。
開始・締め切り | 日付 | 時刻 |
公募開始 | 2024年1月31日(水) | 17時~ |
電子申請の受付 | 2024年3月11日(月) | 17時~ |
申請の締め切り | 2024年3月27日(水) | ~17時 |
ただし、新潟県・富山県・石川県・福井県の4県は能登半島地震で被災した場合、5月9日(木)まで受付が延長されます。延長受付の電子申請は2024年4月1日(月)12時より開始され、「被災証明書・罹災証明書」などの添付が必須です。
第18次ものづくり補助金の採択発表は、2024年6月下旬ごろを予定しています。なお、2023年度の補正予算に基づく公募は第18次ものづくり補助金で終了です。次回の公募は2025年となりますので、それまでに事業計画を十分に練り上げましょう。
第17次・第18次共通の基本要件
事業計画期間におけるものづくり補助金第18次公募の基本要件は、以下のとおりです。
- 給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
- 事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準にする
- 事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる
被用者保険の適用拡大の対象企業が先だって任意適用に取り組む場合、給与支給総額の年平均成長率は1%以上に設定されます。
基本要件を達成できなかった場合、補助金の一部返還を求められるケースがあります。ただし、付加価値額が目標未達や天災など事業者に責任がない場合は返還を免除されます。
追加要件
製品・サービス高付加価値化枠の追加要件は、以下のとおりです。
(1)3~5年の事業計画期間内に、本補助事業で開発した新製品・サービスの売上高の合計額が企業全体の売上高の10%以上となることがわかる具体的な内容と根拠
(2)本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。
さらに、成長分野進出類型(DX・GX)を申請するには以下の追加要件を達成する必要があります。
(3)DX:DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
GX:グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発であること
※1DXに資する革新的な製品・サービスの開発とは、例えば、AI、IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等をいう。
※2グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは、令和3年6月18日付で策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野をいいます。分野毎に「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要となります。14分野のうちどの分野のどの課題の解決に資する取組であるかあらかじめご確認ください。
補助上限額・補助率
成長分野進出類型(DX・GX)の補助上限額・補助率は以下の表のとおりです。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 1,000万円 | 2/3 |
6~20人 | 1,500万円 | 2/3 |
21人以上 | 2,500万円 | 2/3 |
補助上限額は従業員数によって異なりますが、補助率はいずれも2/3で統一されているのが特徴です。中小企業、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者の区分なく、従業員数のみで補助上限額が決まります。
成長分野進出類型(DX・GX)の補助率は、ほかの類型と比較して高めに設定されています。高めに設定されているのは、DX・GXに資する革新的な製品・サービスの開発を推進するためです。
補助対象経費
ものづくり補助金の成長分野進出類型(DX・GX)における補助対象経費は、以下の表のとおりです。
補助対象経費 | 内容 | 上限額 |
機械装置・システム構築費 |
|
単価50万円以上の設備投資が必須 |
技術導入費 | 本事業の実施に必要な知的財産権などの導入に要する経費 | 補助対象経費総額の1/3 |
専門家経費 | 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費 | 補助対象経費総額の1/2 |
運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料などに要する経費 | - |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する経費 | - |
原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料および副資材の購入に要する経費 | - |
外注費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査などの一部を外注する場合の経費 | 補助対象経費総額の1/2 |
知的財産権など関連経費 | 新製品・サービスの事業化にあたって必要となる特許権などの知的財産権の取得に要する弁理士などの手続き代行費用・外国特許出願のための翻訳料など | 補助対象経費総額の1/3 |
どのような経費が補助対象として受給できるのか、あらかじめ申請前に確認しておきましょう。
必要書類
ものづくり補助金の申請に必要とされる書類は、以下の表のとおりです。
必須/任意 | 添付書類名 |
必須 | 事業計画書 |
必須 | 補助経費に関する誓約書 |
必須 | 賃金引き上げ計画の誓約書 |
必須 | 決算書など(直近2年間の貸借対照表・損益計算書など) |
必須 | 従業員数の確認資料(法人の場合は法人事業概況説明書の写し。個人事業主の場合は所得税申告書などの写し) |
必須 | 労働者名簿(応募申請時の従業員数が21名以上で、従業員数の確認資料の従業員数が20名以下の場合のみ) |
必須 | 応募申請時において再生事業者であると証明する書類(再生事業者のみ) |
必須 | 大幅な賃上げ計画書(大幅な賃上げを行う事業者のみ) |
必須 | 金融機関による確認書(金融機関より資金調達を行う事業者のみ) |
任意 | 審査における加点を希望する場合に必要な追加書類
|
必要書類のなかで、もっとも労力・時間がかかるのは事業計画書です。事業計画書の作成は専門の人材を配置し、社内の知見が不足している場合は外部の専門家からのアドバイスを受けるのも検討しましょう。
申請手続きの流れ
第18次ものづくり補助金の申請手続きの流れは、以下のとおりです。
- 電子申請:GビズIDアカウントを取得し電子申請システム「jGrants」から申請
- 公募申請期間を確認:対象となるものづくり補助金の公募申請期間を確認
- 申請書類の準備・提出:事業計画書や補助対象経費に関する誓約書などの必須書類と、経営革新計画承認書など任意の添付書類を「jGrants」でアップロード
- 審査:提出された申請内容について、事務局にて書面審査が実施される。一定の基準を超える申請については口頭審査も実施
- 採択結果通知:18次締め切り分の補助金交付候補者の採択発表は2024年6月下旬ごろを予定
- 交付申請~補助金交付:採択後、交付申請の手続きを経て、事務局で問題がなければ交付決定され補助事業を開始。事業完了後に実績報告を行い、補助金が交付される
あらかじめ流れを把握しておき、スムーズに申請を完了させて採択結果の発表を待ちましょう。
加点・減点・審査項目
ものづくり補助金成長分野進出類型(DX・GX)の審査項目は、以下のとおりです。
審査項目 | 概要 |
補助対象事業としての適格性 | 対象事業や申請要件などを満たしているか |
技術面 | 開発の革新性、課題解決方法の明確さ、優位性など |
事業化面 | 事業化方法の具体性、市場性、収益性・生産性の向上見込みなど |
政策面 | 地域経済への貢献、経済発展のための取り組みとしての意義 |
賃上げ面 | 大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性 |
ものづくり補助金成長分野進出類型(DX・GX)の加点項目は、以下の表のとおりです。
加点項目 | 概要 |
成長性加点 | 有効な経営革新計画の承認を得ている |
政策加点 | 創業・第二創業・パートナーシップ構築宣言・再生事業者・DX認定・サイバーセキュリティお助け隊サービス利用・健康経営優良法人認定・技術情報管理認定・J-Startup認定・新規輸出1万者支援プログラム登録・J-クレジット制度活用・GXリーグ参画・カーボンフットプリント算定など |
災害等加点 | 有効な事業継続力強化計画の認定を得ている |
賃上げ加点 | 給与支給総額や事業場内最低賃金の一定の引き上げ計画、被用者保険の任意適用拡大 |
女性活躍等推進加点 | えるぼし認定・くるみん認定を受けているなど |
なお、ものづくり補助金成長分野進出類型(DX・GX)には以下のような減点項目もあります。
- 過去3年間に類似の補助金の交付決定を1回受けている
- 2019年度以降のものづくり補助金で交付決定を受け、収益納付をしていない
それぞれの審査項目については、申請内容から総合的に評価が行われます。加点項目は事業者による申告が求められ、自動で加点されるわけではありませんので注意しましょう。
採択後の大まかな流れ
第18次ものづくり補助金の採択後の大まかな流れは、以下のとおりです。
- 交付申請手続き:補助金交付候補者に採択されたら電子申請システムから申請内容ファイルをダウンロードし、交付申請書を作成して提出
- 交付決定:提出された交付申請の内容を事務局で審査し、問題がなければ交付決定
- 補助事業の実施:交付決定後に補助事業を開始。事業実施期間は交付決定日から2024年12月10日まで
- 事業完了・実績報告:補助事業完了後、2024年12月10日までに補助事業実績報告書と必要書類を提出
- 補助金額の確定・請求:実績報告の内容を事務局で審査し、交付すべき補助金の額を確定。確定通知後、2025年1月31日までに補助金の請求手続きを実施
- 補助金の交付:請求内容に不備がなければ、補助金が交付
- 事業化状況報告:補助事業完了後5年間、各年度終了後60日以内に事業化状況・知的財産権などの報告をする
採択後は交付申請や実績報告などの手続きを適切に行いながら、スケジュールに沿って補助事業を実施していく必要があります。
ものづくり補助金をDX・GXへどう活用するか
ものづくり補助金をDX・GXに活用する方法として、以下のような取り組みが考えられます。
取り組み | 内容 |
IoTを活用した生産管理システムの導入 | 工場内の機械や設備にセンサーを取り付け、リアルタイムでデータを収集・分析して、生産性の向上や不具合の早期発見を実現 |
AI技術を用いた品質検査システムの開発 | AIを活用して製品の画像や音響データを分析し、高精度な品質検査の自動化によって不良品の発生を防止 |
3Dプリンターを用いた試作品製作の効率化 | 3Dプリンターの導入によって、試作品の製作にかかる時間とコストを大幅に削減して製品開発をスピードアップ |
VRやARを活用した製品設計・開発環境の構築 | 仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を用いて製品の設計や開発をデジタル空間で行い、開発期間の短縮や設計ミスの防止を目指す |
再生可能エネルギー設備の導入による脱炭素化 | 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー設備の導入によって、CO2排出量を削減して脱炭素化に貢献 |
高効率な空調設備やLED照明の導入による省エネ化 | 旧式の空調設備や照明をエネルギー効率の高い機器への更新によって、環境負荷の低減と光熱費の削減が実現 |
環境配慮型の製品開発・製造プロセスの確立 | リサイクル素材の活用・廃棄物の削減・有害物質の使用抑制など、環境に配慮した製品開発や製造プロセスを確立 |
ものづくり補助金でDX・GX関連の設備投資や技術開発を進めれば、生産性の向上・品質の改善などの効果が期待できます。自社の事業特性や課題にあわせて、最適な取り組みを検討しましょう。
ものづくり補助金のDX(デジタルトランスフォーメーション)活用事例9選
DXでものづくり補助金を活用した事例は、以下のとおりです。
- 道建コンサルタント株式会社 | レーザーシステム搭載ドローンによる高精度測量で効率化
- 大一プレス工業株式会社 | 多品種少量生産に対応するための社内IoT化に向けた設備投資
- 株式会社デジタリーフ | 画像解析技術を利用した盗難自動検知システムの開発
- 株式会社OZK | ドローン映像などの遠隔情報共有システムを活用したICT化推進
- 株式会社ハイテックシステム | 農水産業のIoT化を支援する多機能無線センサーシステムの開発
- 有限会社月島工作所 | 3次元CADおよび3Dプリンター導入で工数・コスト削減
- 網走ビール株式会社 | 地ビール製造充てんラインの無人化投資によるアジア圏など海外販売強化事業
- 株式会社マユミ精巧 | IoTを活用した24時間監視型福祉用具消耗品製造による経営の安定化
- 東洋エンジニア株式会社 | 先端ドローンによるDX型スマート一次産業
デジタル枠は2022年に開始したので、活用事例として掲載されるのは数年後となります。活用事例からヒントを得て、自社の新製品開発・ものづくり補助金の申請の糸口にしましょう。
道建コンサルタント株式会社 | レーザーシステム搭載ドローンによる高精度測量で効率化
道建コンサルタント株式会社は、1971年に測量・設計・施工管理会社として設立されました。現在では蓄積した技術を集約し、総合建設コンサルタントとして顧客の多様なニーズに対応し課題解決を提案・実現しています。
同社は国土交通省が推進する「アイ・コンストラクション」に対応するため、最新レーザーシステム搭載のドローンを導入しました。アイ・コンストラクションとは、国土交通省が推進する建設現場の生産性向上を目指す取り組みです。ドローン導入により従来の写真測量に比べ、3次元計測の精度と効率の大幅な向上が実現しました。
ドローン導入により、立木などの障害物の影響を受けない高精度な3次元計測が可能になりました。また、測量に必要な一連の作業時間が従来の約1/7に短縮されたのも大きな成果です。
ドローン導入は急斜面など危険な場所の事前測量や、短時間で高精度なデータの取得が求められる土木工事で威力を発揮しています。その結果、同業他社に対する優位性を高め、受注拡大と新規顧客開拓に成果を上げています。
同社は100年企業を目指し、いち早く新技術導入や新ビジネスモデル創出などクリエイティブな挑戦を続けていくそうです。
参考:ものづくり補助金総合サイト「レーザーシステム搭載ドローンによる高精度測量の実施と作業効率化」
大一プレス工業株式会社 | 多品種少量生産に対応するための社内IoT化に向けた設備投資
大一プレス工業株式会社は滋賀県栗東市に本社を置く、金属プレス加工と精密板金加工を主な事業とする企業です。
同社は多品種少量生産に対応するためものづくり補助金を活用し、曲げ工程に最新鋭設備を導入しました。薄板から厚板を高速・高精度で曲げられ、社内システムのサーバーと連携できるのが特長です。その結果、加工金型の選定・加工データの入力を自動で対応でき、曲げ工程の時間を従来の2/3以下に短縮できました。
現在では約1,100品種の生産に対応でき、電源機器・オフィス家具・食品機械など多様な業種の企業に製品を納入しています。
さらに、新規溶接・接合設備を導入し、現在主力の鉄・ステンレス以外にもアルミ・銅・チタンへの対応を進めているところです。くわえて、中国・アジア地域での食品機械の需要増加に対応するため、1,700品種の多品種生産体制の構築を目指しています。
参考:ものづくり補助金総合サイト「多様化する多品種少量生産に対応するための社内IoT化に向けた設備投資」
株式会社デジタリーフ | 画像解析技術を利用した盗難自動検知システムの開発
株式会社デジタリーフは2001年に設立され、各種業務管理システムやアプリケーションなどの受託開発を主な事業としています。
同社は画像解析技術を利用した、盗難自動検知システムを開発しました。監視カメラで撮影している画像の「色合いと変化の度合い」をリアルタイム解析し、特定の部位・領域のみの監視を可能にしました。また、カメラ本体のIoT対応で配線が必要なくなり設置の手軽になったのも大きな特徴です。量産を前提とした製品の標準化設計により、提供価格を従来品の1/5程度に抑えました。
本システムの提供価格は約20万円に抑えられ、具体的な引き合いも入ってきており事業化の段階に至っています。当初は盗難防止目的での開発だったそうですが、以下のような想定外の分野での相談が寄せられています。
- 火災検知
- 河川の増水検知による災害予兆の観測
- 工場における部材・在庫品の所在管理
新たなニーズや課題に対応するため次のバージョンを準備中であり、開発完了後に本格的なサービス展開を予定しています。また、既設のカメラに画像処理システムを後づけできるサービスの開発も検討中です。
参考:ものづくり補助金総合サイト「画像解析技術を利用した盗難自動検知システムの開発」
株式会社OZK | ドローン映像などの遠隔情報共有システムを活用したICT化推進
株式会社OZKは、山梨県甲斐市に本社を置く総合建設業の会社です。同社は主に山梨県を中心とした地域で、道路・橋梁・河川・ダムなどのさまざまな土木工事を請け負っています。
同社は、ドローン映像などの遠隔情報共有システム「Hec-Eye(ヘック・アイ)」を導入しました。さらに、3機の最新鋭ドローン「マトリス300RTK」「ファントム4RTK」「インスパイア2」もあわせて購入しました。システムとドローンの導入により、測量の大幅な時間短縮と業務の効率化を実現したそうです。
同社は中部横断自動車道やリニア中央新幹線の建設にも携わるなど、事業規模を拡大しています。今後は情報通信技術やDXに注力し、建設業界の最先端を行く存在を目指しているそうです。
また、若者や女性の活躍の場を広げ、社員一人ひとりが生き生きと働ける職場環境の構築にも力を入れる方針です。くわえて、人材不足と事業承継の問題を抱える全国の建設会社のサポートにも取り組んでいく計画を立てています。
参考:ものづくり補助金総合サイト「ドローン映像等の遠隔情報共有システムHec-Eye(ヘックアイ)を活用したICTの推進」
株式会社ハイテックシステム | 農水産業のIoT化を支援する多機能無線センサーシステムの開発
株式会社ハイテックシステムは、産業用各種計測・監視・制御システムのプログラム開発などを主な事業とする企業です。水力発電所の計測・監視・制御などを主な業務とし、データ収集・自動制御・遠隔監視技術を強みとしています。
同社はものづくり補助金を活用し、農水産業のIoT化を支援する多機能無線センサーシステムの開発に取り組みました。「LoRa変調方式」での通信が可能な多機能無線センサーシステムを開発し、2回の試作で大きな手応えを得たそうです。
既存の無線通信装置が300mほどの短い距離でしか利用できなかったのに対し、最大7kmのデータ通信に成功しました。開発されたセンサーを活用すれば、牧場や海洋など広いエリアやモバイルが接続できない場所での通信が可能となります。
同社は北海道を支える一次産業において、最新のIoTやICTと融合させたものづくりに積極的に取り組んでいます。今後も同社は、自然に恵まれた北海道から世界に向けてアイデアと技術の発信を目指し続けるとのことです。
参考:ものづくり補助金総合サイト「農水産業のIoT化を支援する多機能無線センサーシステムの開発」
有限会社月島工作所 | 3次元CADおよび3Dプリンター導入で工数・コスト削減
有限会社月島工作所は1964年2月に創業し、金属プレスを中心に産業用モータ部品を提供しています。多様化するニーズに対応するため金型製作事業部を併設し、金型メンテナンス・設計・製品生産まで一貫生産体制を目指しています。
同社は以下のニーズに応えるため、最新の3次元CADと3Dプリンターを導入しました。
- 顧客からの試作品製作依頼の増加
- 多品種小ロット製品の短納期化
- 複数工程のワンストップ化
3Dプリンター導入により、図面製作時間と試作品の製作時間の大幅な短縮を目指しました。さらに、3次元CADCAMシステムの導入により、従来外注に2週間かかっていた図面製作を自社で4日に短縮できました。製作した試作品は顧客から、外観・寸法とも試作部品として十分に試用できるとの高い評価を得ています。
同社は今後、介護ロボットやサービスロボットなどの異業種分野の試作モデル製作にも取り組んでいく予定です。
参考:ものづくり補助金総合サイト「3次元CAD及び3Dプリンタ導入による工数削減と低コスト、短納期化計画」
網走ビール株式会社 | 地ビール製造充てんラインの無人化投資によるアジア圏など海外販売強化事業
網走ビール株式会社は網走市南6条西2丁目に本社を置く、地ビールの製造・販売を主な事業とする企業です。原料や製法にこだわり、小規模ならではの個性で勝負するクラフトビールを製造しています。
同社はものづくり補助金を活用し、地ビール製造充てんラインの無人化投資によるアジア圏など海外販売強化事業に取り組みました。生産プロセスを改善するため、主力の瓶商品の製造工程で無人化・全自動化システムを導入しました。生産プロセス改善のために同社が導入した機器は、以下の3つです。
- 円筒型容器(瓶タイプ)に特化した「ラベル貼り機」
- 瓶洗浄から充てん、打栓を連続的に自動で行う「充てん機」
- HACCPやGMPに対応した計量・異物検査機「ウェイトチェッカー」
無人化・全自動化システムの導入により、1日あたりの生産量が3,000本から1万本に増加しました。同時に生産コストは78%削減され、売上高は3年後に20%増加を目指しています。また、雑菌や異物混入などのリスクのある工程の機械化により品質も向上しました。
さらに、加熱処理装置の導入により常温で保存・流通できるようになり、今後は欧米や南米への展開も考えています。また、貯蔵タンクの増設や今回の無人化・全自動化により、プライベートブランドの企画製造も進めています。
今後も地元にこだわった商品を企画し、網走のブランド化に貢献したいと考えているそうです。
参考:ものづくり補助金総合サイト「地ビール製造充てんラインの無人化投資によるアジア圏等海外販売強化事業」
株式会社マユミ精巧 | IoTを活用した24時間監視型福祉用具消耗品製造による経営の安定化
株式会社マユミ精巧は2009年11月に設立された、電気機械器具の設計・製造を行う会社です。
同社では、介護ロボット機器の自動ラップ式ポータブルトイレ「ラップポン」の組み立てを受注しています。ラップポンは排せつ後に自動でフィルムが密封される仕組みで、介護の負担を軽減する福祉器具として注目を集めています。
同社はラップポンの組み立て発注者から、このトイレに装着されるフィルムカセットの製造についての打診を受けました。フィルムカセットは消耗品であり、自社製造により継続的かつ安定的な売り上げにつながると同社は考えました。そこで、カセットにはめられるフィルムの加工装置の開発に着手し、製造ラインの構築へ取り組みはじめたそうです。
半年後にフィルムの折り込みとカットを自動で行う装置が完成し、フィルム加工製造ラインを導入しました。量産化のためには24時間稼働が必要と判断し、IoTを活用した監視システムも設置しています。装置は無人稼働が可能で省力化と人件費削減にもつながっており、安定した売り上げと利益を確保しているそうです。
今後もラップポンの需要増加が予想されるため、新規フィルム加工製造ラインの増設も含めた量産体制の整備を目指しています。また、特殊フィルムやビニールを使った使い捨て製品の受注にも事業を展開していく考えだそうです。
参考:ものづくり補助金総合サイト「IoTを活用した24時間監視型福祉用具消耗品製造による経営の安定化」
東洋エンジニア株式会社 | 先端ドローンによるDX型スマート一次産業
東洋エンジニア株式会社は1975年11月に創業し、電気設備などの設計・施工・管理を主な事業としています。2018年に滋賀県初のドローン事業を立ち上げ、販売・スクール運営・サポート、整備、再教習を提供しているのが同社の特徴です。
山間部での延線業務の効率化という電力業界の課題に対し、同社は最先端の国産ドローンを活用したサービスを提供しています。現場作業者の人員削減と作業効率アップによる時間短縮を実現するため、以下の4つのドローンを導入しました。
- 延線用ドローン「延助Ⅲ」
- 点検用ドローン「ASCLmini」
- 運搬ドローン「森飛」
- アシストスーツ「ACTIONmodel」
実証実験の結果、以下のような成果が認められました。
- ロープ設置作業の人員が3名から2名になった
- 所要時間が6時間から1時間に短縮
- 引張能力は要求最低能力を満たした
- 悪天候下でもウインチを用いて荷下ろし時の接触事故を回避
- 運搬作業の人員と時間の大幅な削減
- アシストスーツ着用による作業者の負荷軽減
- 作業全般のコスト低減
今回の実証実験で関係者の注目度が高まり、さまざまな受注が入っているそうです。今後も独創性を発揮してより競争力の高いサービスを提案し、ブランド力の強化を図っていきます。さらに、ドローンを活用した次世代型林業の実現により、持続可能な国産材の安定供給を目標にしています。
参考:ものづくり補助金総合サイト「滋賀から全国へ!先端ドローンによるDX型スマート1次産業への進化」
第18次ものづくり補助金の主な変更点
第17次・第18次ものづくり補助金で変更になった主な点は、以下のとおりです。
- 申請枠・名称の変更や再編
- 「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例」の拡充
- 加点・減点項目を変更
- 必要書類に金融機関の確認書を追加
- オンラインでの口頭審査の導入
- 2024年からものづくり補助金パンフレットが公開
変更点をあらかじめ確認し、ものづくり補助金の採択を目指して事業計画書の準備を進めましょう。
申請枠・名称の変更や再編
もっとも大きな変更点は、申請枠の新設と再編です。第16次・第18次ものづくり補助金の変更点について、以下の表にまとめました。
第16次ものづくり補助金 | 第18次ものづくり補助金 |
通常枠 | 製品・サービス高付加価値化枠
|
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | |
デジタル枠 | |
グリーン枠 | |
グローバル市場開拓枠 | グローバル枠 |
省力化(オーダーメイド)枠 |
デジタル枠の活用を考えていたのなら、第18次ものづくり補助金からは成長分野進出類型(DX・GX)に申請しましょう。
「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例」の拡充
「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例」の要件を満たした場合の引き上げ上限額を、以下の表にまとめました。
枠 | 従業員数 | 通常の上限額 | 引き上げ後の上限額 |
省力化(オーダーメイド)枠 | 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
6~20人 | 1,500万円 | 2,000万円 | |
21~50人 | 3,000万円 | 4,000万円 | |
51~99人 | 5,000万円 | 6,500万円 | |
100人以上 | 8,000万円 | 10,000万円 | |
|
5人以下 | 各枠・類型の上限 | +最大100万円 |
6人~20人 | 各枠・類型の上限 | +最大250万円 | |
21人以上 | 各枠・類型の上限 | +最大1,000万円 |
大幅な賃上げに取り組む事業者に対して、通常の補助上限額からさらに引き上げを行う特例措置が設けられています。省力化(オーダーメイド)枠では、従業員数に応じて通常の上限額から最大2,000万円まで引き上げられます。
製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠では、従業員数に応じて各枠・類型の上限に最大1,000万円まで上乗せされます。ただし、これらの特例措置を受けるには一定の要件を満たす必要があります。
「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例」を受けるための要件は、以下のとおりです。
- 給与支給総額の年平均成長率を6%以上増加
- 事業場内最低賃金を毎年50円以上引き上げる
- 具体的かつ詳細な賃上げ計画を提出
なお、事業計画期間内に上記のいずれかを達成できなかった場合、引き上げ額相当分の返還を求められます。大幅な賃上げに取り組む事業者に対しては手厚い支援が用意される一方、未達の場合のペナルティも設けられているのが特徴です。
加点・減点項目を変更
旧デジタル枠の「DX認定事業者」「サイバーセキュリティお助け隊サービス」が、ほかの類型でも加点項目となりました。また、「GXリーグ」や「カーボンフットプリント(CFP)」といった新たな加点項目が追加されています。
一方、減点項目として、過去に交付決定を受けながら収益納付をしていない事業者に関する記載がくわわりました。
必要書類に金融機関の確認書を追加
金融機関から資金調達を行う事業者については、金融機関による確認書を指定書式で提出する必要があります。
オンラインでの口頭審査の導入
第18次ものづくり補助金では、オンラインでの口頭審査が導入されました。
審査では事業計画の適格性・革新性・優位性・実現可能性が評価され、事業計画書に記載のない内容も質問される場合があります。審査はZoomなどを使ってオンラインで行われ、1事業者あたり15分程度の時間が割り当てられます。
審査対応者は申請事業者が1人で対応し、コンサルタントなど他者の同席は認められません。インターネット環境・Webカメラ・マイクなどの準備が必要で、指定日時に審査できない場合は辞退とみなされ不採択となります。
なお、パソコン内蔵のマイク・カメラは認められていますが、ヘッドセットは不可ですので注意しましょう。
2024年からものづくり補助金パンフレットが公開
2024年の第17次・第18次ものづくり補助金から、パンフレットが公開されました。
出典:ものづくり補助金総合サイト「ものづくり補助金パンフレット令和6年2月時点版」
ものづくり補助金に関する大枠を知りたいなら、公募要領ではなくパンフレットの方がわかりやすくまとめられています。ものづくり補助金の活用を検討しているなら、上記公式サイトからダウンロードして内容を確認しましょう。
ものづくり補助金製品・サービス高付加価値化枠・成長分野進出類型(DX・GX)に申請しよう!
ものづくり補助金の成長分野進出類型(DX・GX)は、主に以下の技術を活用した革新的な製品・サービス開発を支援する制度です。
- IoT
- AI
- ロボット
- 3Dプリンター
くわえて、再生可能エネルギー設備の導入など脱炭素化に資する取り組みでも交付を受けられます。補助上限額は従業員数に応じて1,000万円~2,500万円、補助率は一律2/3と手厚い支援内容となっています。
採択のためには基本要件と追加要件を満たす必要があり、加点項目への対応も重要です。ものづくり補助金の申請準備には手間・労力がかかりますが、補助金Bizアシストなら専門家からのサポートが受けられます。さらに、いまなら知識・ノウハウ・経験が豊富な専門家による無料相談を受付しています。
自社の強み・課題を整理したうえで先進的な取り組み事例も参考にしながら、競争力のある事業計画を練り上げていきましょう。事業計画書の作成や、そのほかの申請準備で迷ったときは補助金Bizアシストで相談するのがおすすめです。
この記事を書いた専門家
高橋 聡
金融・ビジネス・ITなどを専門とするWebライターです。
「わかりやすい」「知りたい情報があった」「こんな情報知らなかった」と思っていただける記事作りを心がけています。
座右の銘は「楽するために努力する」。
なぜか、未だに楽はできていません。