国内の多くの企業や個人事業主は、DX推進やインボイス制度への対応に向けてITツールの導入を検討しています。現在、注目を集めているのが、IT導入補助金2025のインボイス枠を活用したiPad・タブレット・PCの購入支援制度です。
今回の記事では、IT導入補助金2025の基本的な仕組み・要件・注意点・申請の流れなどを詳しくまとめました。本記事を読めば、IT導入補助金2025を活用してIT環境を整備し、業務効率化を実現する具体的な道筋が見えてきます。
まずはIT導入補助金2025の制度概要から理解を深め、自社に最適なITツールの組み合わせと活用方法を検討しましょう。
IT導入補助金2025とは
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の労働生産性向上に向けて、ITツール導入費用の一部を補助する制度です。業務効率化・DXの推進・サイバーセキュリティ対策・インボイス制度への対応など、幅広い目的に活用できます。
経済産業省と独立行政法人中小企業基盤整備機構の監修で、TOPPAN株式会社がIT導入補助金事務局を運営しています。IT導入補助金2025では、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠など5つの申請枠が用意されているのが特徴です。補助対象経費には、ソフトウェア購入費・クラウド利用料にくわえ、新たに導入関連費も追加されました。
中小企業は1/2~2/3、小規模事業者は最大4/5の補助率で、補助上限額は最大450万円まで設定されています。IT導入補助金の活用で業務プロセスの改善や効率化を実現し、自社の競争力強化と持続的な成長を実現しましょう。
IT導入補助金2025の申請枠
IT導入補助金2025の申請枠を、以下の表にまとめました。
申請枠 | 目的 | 補助対象 | 補助率 | 補助金額 |
通常枠 | 中小企業・小規模事業者が制度変更に対応するため、生産性向上に資するITツールを単独で導入するための経費の一部を補助 |
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5万円~450万円 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | 生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者などを支援するとともに、インボイス制度への対応を推進 |
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~350万円 |
インボイス枠(電子取引類型) | 取引関係における発注者がインボイス制度対応のITツールを導入し、受注者である中小企業・小規模事業者などに無償で供与する場合の導入費用を補助 | インボイス制度に対応した受発注の機能を有するクラウド型のソフトウェア | 中小企業・小規模事業者など:2/3以内
その他の事業者など:1/2以内 |
~350万円 |
セキュリティ対策推進枠 | 中小企業・小規模事業者などのサイバーセキュリティ対策を強化し、サイバーインシデントを原因として事業継続が困難となるなどのリスクを低減 | サイバーセキュリティお助け隊サービス | 1/2以内(小規模事業者は2/3以内) | 5万円~150万円 |
複数社連携IT導入枠 | 複数の中小企業・小規模事業者などが連携してITツールを導入し、生産性向上を図る取組を支援 |
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3,000万円 |
IT導入補助金でのiPadやPCなどのハードウェア購入は、インボイス枠(インボイス対応類型)への申請が必要です。
参考:IT導入補助金2025「資料ダウンロード 」
IT導入補助金の対象企業
IT導入補助金の対象企業である中小企業・小規模事業者の定義について、以下の表にまとめました。
業種分類 | 定義 |
製造業(ゴム製品製造業を除く)・建設業・運輸業 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下または従業員100人以下 |
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 資本金5,000万円以下または従業員100人以下 |
小売業 | 資本金5,000万円以下または従業員50人以下 |
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ・チューブ製造業・工場用ベルト製造業を除く) | 資本金3億円以下または従業員900人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
旅館業 | 資本金5,000万円以下または従業員200人以下 |
その他の業種 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
医療法人・社会福祉法人 | 従業員300人以下 |
学校法人 | 従業員300人以下 |
商工会・都道府県商工会連合会・商工会議所 | 従業員100人以下 |
中小企業団体 | 主たる業種の従業員規模以下 |
特別法による組合・連合会 | 主たる業種の従業員規模以下 |
財団法人・社団法人(一般・公益) | 主たる業種の従業員規模以下 |
特定非営利活動法人 | 主たる業種の従業員規模以下 |
IT導入補助金2025の小規模事業者の定義は、以下のとおりです
業種分類 | 定義 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 従業員5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 従業員20人以下 |
製造業その他 | 従業員20人以下 |
あらかじめ自社がIT導入補助金2025の対象かどうか、公式サイトを通じて確認しておきましょう。
IT導入補助金2025によるiPad・タブレット・PC購入のポイント
IT導入補助金によるiPad・タブレット・PC購入のポイントは、以下のとおりです。
- インボイス枠(インボイス対応類型)で申請する
- ソフトウェアとの同時購入が求められる
- IT導入支援事業者から購入しなければならない
- 事前に事務局に登録された機器のみが対象となる
- 最大10万円まで補助を受けられる
IT導入補助金に採択されてハードウェアが購入できるよう、ポイントをあらかじめ確認しておきましょう。
インボイス枠(インボイス対応類型)で申請する
インボイス枠(インボイス対応類型)では、iPad・タブレット・PCの購入費用に対して最大10万円の補助を受けられます。また、iPad・タブレット・PCにくわえて、ソフトウェアの導入費用も最大350万円まで補助対象となります。
インボイス枠(インボイス対応類型)の補助率・補助額などについて、以下の表にまとめました。
申請枠 | インボイス枠(インボイス対応類型) |
補助対象 | 会計・受発注・決済のいずれかの機能を有するソフトウェア・オプション・ハードウェア |
補助率 |
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補助金額 | ~350万円 |
ソフトウェアとの同時購入が求められる
IT導入補助金でiPadなどを購入する場合、会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトウェアとの組み合わせが必須です。また、iPad・PCなどのハードウェアのみでの申請は対象外となるため、必ずソフトウェアと同時に購入する必要があります。
なお、iPad・PCなどのハードウェアは、ソフトウェアの利用に必要最低限の機器であると認められなければなりません。
IT導入支援事業者から購入しなければならない
IT導入補助金2025でiPad・PCを購入する場合、必ずIT導入支援事業者を通じて購入する必要があります。そのため、導入予定のソフトウェアと、希望する機器の両方を取り扱っているIT導入支援事業者を選定しましょう。
IT導入支援事業者とは、ITツールの説明・導入・相談などのサポートを担当し、補助金事業を円滑に進めるパートナーです。さらに、IT導入支援事業者は交付申請や実績報告など、事務局への提出書類のとりまとめも実施します。
IT導入支援事業者は、「ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む)」から検索できます。なお、2025年2月時点ではまだ準備中となっておりますので、低規定に確認するのがおすすめです。
IT導入支援事業者から購入するまでの流れは、以下のとおりです。
- IT導入支援事業者を選定
- gBizIDプライムを取得
- ソフトウェア・ハードウェアを決定して交付申請
- 交付決定を受領
- IT導入支援事業者と契約してハードウェアの支払い
- 補助金を受給
事前に事務局に登録された機器のみが対象となる
IT導入補助金で購入可能なiPad・タブレット・PCは、IT導入支援事業者が事務局に登録した機器に限定されます。
IT導入支援事業者はあらかじめ補助対象となる機器を事務局へ登録し、審査を経て承認を受けなければなりません。なお、iPad・PCなどの登録は、会計・受発注・決済のいずれかの機能を含むソフトウェアとあわせての導入のみが対象です。
補助金を活用するためIT導入支援事業者と相談しながら、自社の業務に最適な機器とソフトウェアの組み合わせを選定しましょう。
最大10万円まで補助を受けられる
IT導入補助金2025は、iPad・タブレット・PCの購入費用に対して補助率1/2で最大10万円の補助金を受けられます。
たとえば、17万円のMacBook Airを購入する場合、補助率1/2により8万5,000円の補助額となります。一方、25万円のPCの場合は補助の上限額が10万円のため、15万円が自己負担する金額です。
将来的な業務効率化を見据えて、自社の予算と必要なスペックを考慮しながら、最適な機器を選定しましょう。
IT導入補助金インボイス枠(インボイス対応類型)とは
iPadなどのハードウェアが購入できるIT導入補助金インボイス枠(インボイス対応類型)のポイントは、以下のとおりです。
- 対象事業者
- 必須要件
- 補助内容
- 補助対象経費
- 対象ソフト一覧
IT導入補助金インボイス枠(インボイス対応類型)の要件を慎重に確認し、自社に適しているかどうかを判断しましょう。
対象事業者
インボイス枠(インボイス対応類型)は、中小企業や小規模事業者のインボイス制度への対応を支援する制度です。
飲食・宿泊・卸売・小売・運輸・医療・介護・サービス・製造・建設など、幅広い分野の中小企業・小規模事業者が対象となります。業種ごとに資本金額と従業員数の上限が定められているため、以下の表で確認しましょう。
業種分類 | 定義 |
製造業(ゴム製品製造業を除く)・建設業・運輸業 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下または従業員100人以下 |
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 資本金5,000万円以下または従業員100人以下 |
小売業 | 資本金5,000万円以下または従業員50人以下 |
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ・チューブ製造業・工場用ベルト製造業を除く) | 資本金3億円以下または従業員900人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
旅館業 | 資本金5,000万円以下または従業員200人以下 |
その他の業種 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
医療法人・社会福祉法人 | 従業員300人以下 |
学校法人 | 従業員300人以下 |
「過去にIT導入補助金の交付を受けた」「ほかの枠で申請している」といった事業者も申請可能ですが、減点措置が適用されます。なお、過去のIT導入補助金交付決定から12か月以内の申請はできませんので注意してください。
減点措置や申請可能な要件については、公式サイト「IT導入補助金2025」から確認しておきましょう。
必須要件
インボイス枠(インボイス対応類型)の申請には、インボイスに対応した会計・受発注・決済分野のソフトウェアの導入が必須です。くわえて、以下の表のようにいくつかの必須要件がありますので、公式サイトであらかじめ確認しておきましょう。
要件 | 説明 |
事業者の要件 | 中小企業・小規模事業者等の定義を満たす |
ITの導入要件 | 会計・受発注・決済の機能を有するソフトウェア・オプション・ハードウェアを導入 |
インボイスの要件 | 適格請求書発行事業者の登録が必要 |
事業者登録 | 法人番号が指定され公表されている |
資料提出 | 指定期間内に所定の方法で提出 |
コンプライアンス | 反社会的勢力との関係がない |
事務局の判断 | 交付対象者として適当と判断される |
補助内容
インボイス枠(インボイス対応類型)の補助内容を、以下の表にまとめました。
補助率 |
|
補助金額 | ~350万円 |
ハードウェアについては、PC・タブレットなどは補助額10万円まで、レジ・券売機などは補助額20万円までが対象です。会計・受発注・決済のうち1機能の場合は補助額50万円以下、2機能以上の場合は補助額350万円以下の申請が可能です。
補助対象経費
インボイス枠(インボイス対応類型)の補助対象経費は、以下の表のとおりです。
経費区分 | 補助対象 | 補助率 | 補助対象経費 |
ITツール | ソフトウェア・オプション・役務 | 3/4(中小企業)
4/5以内(小規模事業者) |
ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費 |
PC・タブレット等 | PC・タブレット等 | 1/2以内 | ハードウェア購入費・導入関連費 |
レジ・券売機 | レジ・券売機 | 1/2以内 | ハードウェア購入費・導入関連費 |
補助対象となるハードウェアについて、以下の表にまとめました。
ハードウェア購入費の内訳 | 補助対象 |
PC・タブレットなど(10万円まで) | PC・タブレット・プリンター・スキャナ・複合機 |
レジ・券売機(20万円まで) | POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 |
なお、サブスクリプション形式の場合、ソフトウェアと保守費用は最大2年分まで補助対象となります。自社の業種や規模にあわせた補助金の活用を検討し、インボイス制度への円滑な対応を進めましょう。
対象ソフトウェア一覧
インボイス枠(インボイス対応類型)の対象ソフトウェア一覧は、「IT導入補助金2025対象ツール(ソフトウェア)一覧」から確認できます。IT導入補助金2025のインボイス枠(インボイス対応類型)で申請できる代表的なソフトウェアを、以下の表にまとめました。
ソフトウェア名 | ベンダー | 対象プロセス | 年間費用(税別) |
マネーフォワードクラウド ビジネス | マネーフォワード | 会計・受発注・決済 | 5万9,760円 |
PCA商魂DX | PCA | 会計・受発注・決済 | 15万円 |
弥生販売 21 | 弥生 | 会計・受発注・決済 | 12万円 |
勘定奉行クラウド | オービック | 会計・受発注・決済 | 10万円 |
ZAC | オロ | 会計・受発注・決済 | 20万円 |
なお、検索機能がある「ITツール・IT導入支援事業者検索」は2025年2月現在、準備中として公開されていません。IT導入補助金2025の第1回公募前には公開されるはずですので、定期的に確認しておくのがおすすめです。
IT導入補助金インボイス枠(インボイス対応類型)の注意点
IT導入補助金インボイス枠(インボイス対応類型)の注意点は、以下のとおりです。
- 導入ソフトウェアの利用に必要な機器・端末のみ対象
- 業務用途での使用が前提
- 市場価格から著しく偏った価格設定は不可
- 交付決定通知前のITツール購入や契約は補助対象外
インボイス枠(インボイス対応類型)申請時には、機器・用途・価格設定など、各注意点をあらかじめ把握しておきましょう。
導入ソフトウェアの利用に必要な機器・端末のみ対象
インボイス枠(インボイス対応類型)では、導入予定のソフトウェアを利用するために必要最低限の機器のみが補助対象です。ソフトウェアの動作に不必要な高額・特殊・高スペックの機器は、IT導入補助金2025の補助対象外となります。
補助対象となる機器は、IT導入支援事業者が事務局に事前登録したPC・iPad・スキャナなどのハードウェアのみです。そのため、家電量販店やオンラインショップで購入した場合は、補助金の対象外になるため注意しましょう。
業務用途での使用が前提
インボイス枠(インボイス対応類型)で導入したITツールや機器は、目的に沿って継続的に活用する必要があります。導入後も事務局が定めた期間に、インボイス制度への対応状況やITツールの活用状況を報告する義務が発生します。
そのため、IT導入補助金の申請にはIT導入支援事業者と協力し、課題解決につながる事業計画を策定しなければなりません。さらに、補助事業を実施したあとには、導入したITツールや機器の効果を含めた実績報告が求められます。
市場価格から著しく偏った価格設定は不可
インボイス枠(インボイス対応類型)では、導入するITツールの価格が相場から大きく外れている場合は補助対象外となります。くわえて、導入設定・マニュアル作成・導入研修などの料金も、ソフトウェアの価格と比較して著しく高額な場合は認められません。
なお、IT導入支援事業者は事務局に対してITツールの登録申請を行い、価格が適正かどうか審査を受けています。そのため、事務局に登録されたITツールは、市場価格に準じた適正な価格設定であると認められたものに限定されます。
交付決定通知前のITツール購入や契約は補助対象外
インボイス枠(インボイス対応類型)では、交付決定通知を受け取る前に購入・契約すると補助金が受給できません。交付申請を行い、事務局からの交付決定通知を受け取ったあとにITツールの発注・契約・支払いへと進みます。
交付決定通知後に発生した費用のみ対象となるため、導入予定のITツールの購入は必ず交付決定後に行いましょう。
iPad・タブレット・PC購入時の申請の流れ
iPad・タブレット・PC購入時のインボイス枠(インボイス対応類型)における申請の流れは、以下のとおりです。
- 申請前の準備
- IT導入支援事業者の選定
- ソフトウェアの選定
- 交付申請の実施
- 審査・採択
- 機器の購入・支払い
- 実績報告
補助金申請から機器導入までの各ステップを理解し、IT導入支援事業者と連携しながら適切な手順で申請を進めましょう。
1.申請前の準備
IT導入補助金でiPad・PCなどを購入するときには、制度の内容を正しく理解し、必要な準備を整える必要があります。
まず、複数の行政手続きができ、IT導入補助金の申請にも必要な「gBizIDプライム」アカウントを取得してください。gBizIDプライムアカウントはオンラインなら最短即日、郵送なら約1週間で発行されます。gBizIDプライムアカウントのオンラインでの発行手順は、以下のとおりです。
- スマートフォンにGビズIDアプリをインストール
- パソコンでGビズIDサイトから必要事項を入力
- 表示されたQRコードをアプリで読み取り
- アプリでマイナンバーカードを読み取り、申請内容に署名
- パソコンで申請内容を確認してパスワードを設定
gBizIDプライムアカウントは複数の行政手続きに利用できるため、早めに取得しておくのがおすすめです。
参考:デジタル庁「GビズID」
2.IT導入支援事業者の選定
導入予定のiPad・タブレット・PCを取り扱うIT導入支援事業者を、「ITツール・IT導入支援事業者検索」から探しましょう。
IT導入支援事業者の選定では、採択率の高さ・サポートの質・コミュニケーションコストなどを指標にするのがおすすめです。また、補助金制度への理解度や、申請から実績報告までの一連のプロセスを確実にサポートできる体制が整っているかを確認します。
自社の業務内容や目的にあわせた最適なIT導入支援事業者を選定し、円滑な補助金申請と機器導入を実現しましょう。
3.ソフトウェアの選定
インボイス対応するため、会計・受発注・決済の3つの機能から、自社の業務に最適なソフトウェアを選びましょう。選定時には自社の抱える課題や業務効率化の目標を明確にし、解決に貢献できるソフトウェアを選定する必要があります。
さらに、導入後の保守やメンテナンス体制も考慮に入れ、長期的な運用が可能かどうかも検討してください。また、選定したソフトウェアをiPadやPCで正常に動作させるため、推奨スペックや必要OSを事前に確認しましょう。
4.交付申請の実施
IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受け、必要な情報を入力して申請を実施しましょう。インボイス枠(インボイス対応類型)の申請時に必要な書類は、以下のとおりです。
- 交付申請書 ?
- 事業計画書 ?
- インボイス制度への対応状況に関する書類
- ITツールの継続的な活用を証明する書類
- 中小企業・小規模事業者などだと証明する書類
- そのほかに事務局が必要と認める書類
申請マイページでは基本情報や補助金申請に求められる情報の入力、必要書類の添付を順番に進めてください。個人事業主は本人確認書類・納税証明書・確定申告書の控え、法人は履歴事項全部証明書・納税証明書の提出が求められます。
もし申請内容に不備がある場合は差し戻しとなる可能性があるため、入力内容の確認を慎重に行いましょう。
5.審査・採択
IT導入補助金2025の申請後の審査では、事務局による書類確認や事業計画の妥当性のチェックが行われます。申請内容に不備がある場合は差し戻しとなる可能性があるため、入力内容の確認は慎重に行いましょう。
「導入予定のITツールと事業計画の整合性」「補助事業の実施能力」「加点項目の有無」などが、審査のポイントです。審査後の採択結果は事務局から通知され、採択された場合はメールで交付決定通知が送られてきます。
6.機器の購入・支払い
交付決定通知の受領後、IT導入支援事業者を通じてiPad・タブレット・PCの購入手続きを開始しましょう。なお、家電量販店やフリマアプリからの購入は補助対象外となるため、必ずIT導入支援事業者から購入する必要があります。
銀行振込かクレジットカード1回払いのみ認められており、そのほかの支払い方法では補助金を受けられません。また、IT導入補助金は後払い制度であり、購入時の費用は全額自己資金で支払う必要があります。
購入時の費用を賄う手段として考えられる資金調達方法を、以下の表にまとめました。
資金調達手段 | 概要 |
銀行融資 | 金融機関からの借入。低金利で借りられる場合が多いが、審査が必要 |
ビジネスローン | 事業者向けの無担保ローン。銀行融資より審査が早いが金利は高め |
クラウドファンディング | 事業者向けの資金調達プラットフォームを活用 |
ファクタリング | 売掛金を早期に資金化し、購入費用を確保 |
7.実績報告
iPad・タブレット・PCの購入後、実績報告でITツール導入後の事業内容を事務局へ報告する必要があります。
実績報告時には請求書・ソフトウェアの利用確認画面・ハードウェアの納品書など、複数の書類を提出しましょう。実績報告後に確定検査が行われ、事務局から補助事業者に対して確定内容の承認依頼が届きます。
確定内容の承認依頼を受けた補助事業者は、申請マイページから内容を確認してSMS承認手続きを行ってください。期日までに承認しない場合は交付決定を取り消される可能性があるため、メールが届き次第、速やかに対応しましょう。
補助金は確定後約1か月で入金され、その後も数値目標やITツールの継続的な活用状況の報告が求められます。規定に反した場合は補助金返還の対象となる可能性があるため、適切な報告体制を整える必要があります。
iPad・タブレット・PCが購入できるほかの補助金・助成金制度
iPad・タブレット・PCが購入できるほかの補助金・助成金制度は、以下のとおりです。
- 業務改善助成金
- テレワーク促進助成金(東京都)
- 多様な働き方推進事業費補助金(京都府)
- 札幌市働き方改革推進支援助成金(札幌市)
各地域や企業規模に応じた補助金・助成金制度の特徴や申請要件を確認し、自社に最適な支援制度を選択しましょう。
業務改善助成金
業務改善助成金では、特定要件に該当する特例事業者がiPad・タブレット・PCの購入費用の助成を受けられます。業務改善助成金の主な要件を、以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
生産量要件 | 直近3か月間の売上・生産量の平均値が前年・前々年・3年前の同期と比べて15%以上減少している企業が対象 |
物価高騰など要件 | 申請前3か月間のうち任意の1月の利益率が前年同期と比べて3%以上低下している企業が対象 |
業務改善助成金を受けるには、「事業場内の最低賃金を30円以上引き上げ」「生産性向上のための設備投資」などが必要です。なお、PCやタブレットの購入は新規導入に限定され、既存機器の買い替えは助成対象外となります。
参考:厚生労働省「業務改善助成金」
テレワーク促進助成金(東京都)
東京都のテレワーク促進助成金では、在宅勤務やモバイル勤務のためのPC・タブレット・iPadなどが助成対象となります。テレワーク促進助成金の助成率・上限額を、以下の表にまとめました。
企業規模 | 助成率 | 上限額 |
従業員30人以上999人以下 | 2分の1 | 250万円 |
従業員2人以上30人未満 | 3分の2 | 150万円 |
都内に本社または事業所をおく中小企業が対象で、テレワーク東京ルール実践企業宣言制度への登録が必要です。また、「テレワーク推進リーダー設置」表示のある宣言書がWebサイト上で発行されている必要があります。
10万円未満のPC・タブレット・スマートフォン・周辺機器などが、東京都のテレワーク促進助成金の対象となります。また、VPN環境構築の初期設定費用やPCのリース料金なども助成対象に含まれるのが大きな特徴です。
参考:東京しごと財団「テレワーク促進助成金(令和6年度)」
多様な働き方推進事業費補助金(京都府)
京都府の多様な働き方推進事業費補助金は、テレワークコースでiPad・タブレット・PCなどの導入費用が補助対象となります。
企業規模 | 補助率 | 補助上限額 |
中小企業 | 2分の1 | 50万円 |
小規模企業者 | 3分の2 | 50万円 |
複数事業者による共同実施 | 3分の2 | 100万円 |
京都府内に事業所のある中小企業が対象で、「子育て環境日本一に向けた職場づくり行動宣言」を行う必要があります。なお、みなし大企業や国・地方公共団体から出資を受けている企業は対象外となりますので留意しましょう。
業務効率化に向けたIT機器の導入とあわせて、「社内規則の整備」「テレワークに関する研修」などの実施も検討しましょう。
参考:京都府「多様な働き方推進事業費補助金」
札幌市働き方改革推進支援助成金(札幌市)
札幌市働き方改革テレワーク導入補助金は、在宅勤務に必要なiPad・タブレット・PCの購入費用が補助対象となります。くわえて、プリンターやWebカメラなどのパソコン周辺機器も補助の対象に含まれるのが大きな特徴です。
札幌市働き方改革推進支援助成金の申請枠・補助上限・補助率などを、以下の表にまとめました。
申請枠の種類 | 補助上限額 | 補助率 | 最低対象経費 |
通常申請枠 | 40万円 | 3分の2 | 15万円以上 |
専門家派遣枠 | 60万円 | 3分の2 | 15万円以上 |
札幌市内に事業所を持ち、常時雇用の従業員が100人以下の中小企業や個人事業主が札幌市働き方改革推進支援助成金の対象です。なお、専門家派遣枠を選択した場合、専門家によるコンサルティングを受けながらテレワーク導入を進める必要があります。
自社の規模や導入計画にあわせて札幌市働き方改革推進支援助成金の申請枠を選択し、業務効率化・生産性向上を目指しましょう。
IT導入補助金でiPadを購入するときによくある質問
IT導入補助金でiPadを購入するときによくある質問は、以下のとおりです。
- テレワークをしている個人がPCやiPadを購入できる助成金は?
- 個人事業主でもIT導入補助金でのiPad購入はできる?
IT導入補助金のiPad購入に関する疑問を解消し、自分の事業における申請要件を確認したうえで補助金活用を検討しましょう。
テレワークをしている個人事業主がPCやiPadを購入できる助成金は?
個人事業主のテレワーク導入に活用できる助成金は、以下の2つが代表的です。
- IT導入補助金のインボイス枠(インボイス対応類型)
- 東京都テレワーク促進助成金
個人事業主でもIT導入補助金でのiPad購入はできる?
個人事業主でも、IT導入補助金2025のインボイス枠(インボイス対応類型)を活用してiPadを購入できます。
IT導入補助金でiPadを購入して業務効率化を目指そう!
IT導入補助金2025は、中小企業や小規模事業者の労働生産性向上に向けてITツール導入費用の一部を補助する制度です。通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠など5つの申請枠があり、2025年には新たに導入関連費も追加されました。
インボイス枠では、iPadやPCの購入時に会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアとの組み合わせが必須です。事前に各要件を満たしているか確認し、IT導入支援事業者と連携しながら適切な順序で申請を進めてください。
申請要件を慎重に確認したうえで、業務効率化や生産性向上に向け、IT導入補助金2025の活用を目指しましょう。
この記事を書いた専門家
高橋 聡
金融・ビジネス・ITなどを専門とするWebライターです。
「わかりやすい」「知りたい情報があった」「こんな情報知らなかった」と思っていただける記事作りを心がけています。
座右の銘は「楽するために努力する」。
なぜか、未だに楽はできていません。