ものづくり補助金を検討しているけれども、制度内容を詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者を対象とした革新的な設備投資を支援する制度です。補助対象事業にかかる経費の一部を補助金として受け取れますが、申請には事業計画書の作成等多くの手続きが必要です。
今回は、ものづくり補助金に関して補助割合・対象経費・活用事例等をわかりやすく解説します。本記事を読めばものづくり補助金制度の概要を理解して、スムーズに申請手続きを行えます。ものづくり補助金を活用し、自社事業の売上を大きく拡大させましょう。
ものづくり補助金とは経済産業省中小企業庁が行う支援制度
ものづくり補助金は、経済産業省中小企業庁が提供する助成金の1つです。ものづくり補助金は、中小企業が新たな製品開発・生産性向上に取り組む際の負担軽減を目的としています。新技術の導入・設備投資等、ものづくりに関連するさまざまな活動が対象です。
補助金の額は事業規模・計画内容により異なりますが、対象となる経費の1/2〜2/3を補填する形で支給されます。ものづくり補助金を利用すれば、企業は初期投資を抑えつつ革新的な取り組みへの挑戦が可能となります。
ものづくりとは何か
ものづくりとは文字通り、人間の生活に使用される「製品=もの」をつくる行為を指します。単純作業で製造するのではなく、熟練の職人が高度な技術を用いてつくる行為を指すケースが多いです。
例えば、時計を製造する場合には各部品を加工・研磨して時間が狂わないよう高い技術力で作業に当たる必要があります。時計製造のように、高度な技術を必要とする作業がものづくりです。ものづくりは製造業に限らず、幅広い業種・職種で行われます。
ものづくり補助金の目的は「中小企業・小規模事業者の革新的投資の支援」
ものづくり補助金の主な目的は、中小企業・小規模事業者における革新的な投資の支援です。ものづくり補助金は、新しい技術・設備の導入など企業が競争力を維持して成長を遂げるために必要な投資を後押しします。
中小企業・小規模事業者は資金調達が困難であったり、リスクを取る余裕がなかったりするケースが多いです。しかし、ものづくり補助金を利用すれば自己資金に余裕がない事業者でも事業拡大のために大胆な挑戦を行えます。
結果として中小企業・小規模事業者が新たな価値を創出し、経済全体の活性化への寄与が期待されます。ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者の成長と日本経済の発展を支える重要な役割を果たす制度です。
ものづくり補助金のメリット
ものづくり補助金のメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- 今までできなかった高額な設備投資ができる
- 新規事業を展開して収益化できる
- 補助金は返済がいらない
- 事業計画をブラッシュアップできる
上記のメリットについて、以下でわかりやすく解説します。
今までできなかった高額な設備投資ができる
ものづくり補助金の大きなメリットは、今まで資金的な制約から手が出せなかった高額な設備投資が可能になる点です。新しい設備の導入は、生産性向上・新製品開発等で企業の競争力を高めるために不可欠な要素です。
しかし、新規設備導入にかかる初期投資は大きな負担となります。ものづくり補助金を利用すれば、初期投資の負担を軽減して事業者はより大胆な事業拡大を行えるのが魅力です。企業は最新の技術を取り入れ、競合との差別化等により市場での優位性確保が可能となります。
新規事業を展開して収益化できる
新規事業の展開・収益化が可能になる点も、ものづくり補助金の大きなメリットです。新規事業の開始は、新たな市場への参入・新製品開発等で企業の成長を促進する重要なステップです。
ものづくり補助金を活用すれば、必要な投資資金を確保して効率的に新規事業へ取り組めます。新規事業で順調に収益がでれば、さらなる投資・事業拡大を行って持続的な成長を続けるサイクルを生み出せる点も魅力です。ものづくり補助金は、企業の成長・収益化を支援する強力な支援策です。
補助金は返済がいらない
ものづくり補助金の大きなメリットは、返済が不要である点です。ものづくり補助金は借入とは異なり返済・利息の支払いが発生しないため、事業者の財務負担を大幅に軽減できます。
ものづくり補助金を活用すれば資金繰りを安定させやすく、事業を継続させやすい点がメリットです。得られた補助金を利用して大胆な投資を行い、新たなビジネスチャンスの追求もできます。
事業計画をブラッシュアップできる
ものづくり補助金を申請する過程で、事業計画のブラッシュアップができる点もメリットです。審査通過のためには、革新性をアピールする等の具体的で明確な事業計画が必要となります。
事業者は自社のビジネスモデル・戦略を見直し、より具体的な計画を立てる機会を得られる点がメリットです。補助金で採択されなかった場合も理由を直接聞けるため、事業計画の改善につなげられます。
ものづくり補助金の申請過程自体が、事業者に有益な経験となって事業の成功に寄与します。単に資金を得るだけでなく、事業全体を見直して強化する機会を得られる点は大きなメリットです。
ものづくり補助金の対象者
ものづくり補助金の対象者は、以下の5種類に分けられます。
- 中小企業者(組合関連以外)
- 中小企業者(組合・法人関連)
- 小規模企業者・小規模事業者(個人事業主を含む)
- 特定事業者の一部
- 特定非営利法人・社会福祉法人
上記の対象条件について、以下でわかりやすく解説します。
中小企業者(組合関連以外)
ものづくり補助金の対象者には、中小企業者が含まれます。具体的な対象は、以下表の通りです。
【対象となる中小企業者(組合関連以外)】
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
中小企業者の認定条件として、業種ごとに資本金・常勤従業員数の上限が異なります。自社が上記の条件に当てはまるか、申請前にしっかり確認しておきましょう。
中小企業者(組合・法人関連)
ものづくり補助金の対象者は、中小規模の組合・法人も含まれます。具体的な対象組合・法人は、以下表の通りです。
組織形態 |
企業組合 |
協業組合 |
事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会 |
商工組合、商工組合連合会 |
商店街振興組合、商店街振興組合連合会 |
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会 |
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会 |
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会 |
内航海運組合、内航海運組合連合会 |
技術研究組合【直接または間接の構成員の3分の2以上が中小企業者(組合関連以外)に該当するもの、企業組合、協業組合であるもの】 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
基本的に、中小企業等経営強化法第2条第1項に規定される組合等が該当します。上記以外の組合や財団・社団・医療法人、法人格のない任意団体は対象とならないため注意が必要です。
小規模企業者・小規模事業者(個人事業主を含む)
ものづくり補助金の対象者には、小規模企業者・小規模事業者も含まれます。具体的な対象条件は、以下表の通りです。
業種 | 常勤従業員数 |
製造業その他 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
商業・サービス業 | 5人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業の内、宿泊業・娯楽業 | 20人以下の会社及び個人事業主 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
常勤従業員数が製造業その他・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社・個人事業主が対象です。基本的に、小規模事業者の補助率は2/3です。しかし、採択後から交付決定までの間に上記の定義からはずれた場合は補助率が1/3~1/2になるため注意しましょう。特定非営利活動法人(NPO)は従業員が20人以下の場合、補助率が2/3となります。
特定事業者の一部
ものづくり補助金の対象者には、今まで紹介した以外の特定事業者も一部含まれます。具体的な対象事業者は以下表の通りです。
①下記表の内、資本金額・出資総額が10億円未満である会社・個人
業種 | 常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 | 500人 |
卸売業 | 400人 |
サービス業または小売業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
300人 |
その他の業種(上記以外) | 500人 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
② 以下表の対象条件を満たす組合・法人
組織形態 | 対象条件 |
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会 | 直接または間接の構成員の3分の2以上が、常時300人(卸売業を主たる事業とする事業者については、400人)以下の従業員を使用する者であって、資本金額・出資総額が10億円未満である。 |
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会 |
|
内航海運組合、内航海運組合連合会 | 直接または間接の構成員たる内航海運事業を営む者の 3 分の 2 以上が常時 500 人以下の従業員を使用する者であり、資本金額・出資総額が10億円未満である。 |
技術研究組合 | 直接または間接の構成員の3分の2以上が、以下の事業者のいずれかである。
|
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
特定非営利法人・社会福祉法人
特定非営利法人(NPO)・社会福祉法人も対象であり、具体的な条件は以下の通りです。
組織形態 | 対象条件 |
特定非営利活動法人 |
|
社会福祉法人 |
|
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
2024年度ものづくり補助金の公募要領・補助金額・補助割合
2024年度のものづくり補助金は、17次・18次締切分が公募されています。2024年度のものづくり補助金の公募要領・補助金額・補助割合は、以下の通りです。
基本要件 | 以下を満たす3〜5年の事業計画書の策定及び実行
|
|
補助対象経費 | 【共通】
【グローバル枠のみ】
|
|
補助上限額 | 省力化(オーダメイド)枠 | 750万円〜8,000万円 |
製品・サービス高付加価値化枠「通常類型」 | 750万円〜1,250万円 | |
製品・サービス高付加価値化枠「成長分野進出類型(DX・GX)」 | 1,000万円〜2,500万円 | |
グローバル枠 | 3,000万円 | |
補助率 | 省力化(オーダメイド)枠 | 中小企業:1/2
小規模・再生:2/3 ※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3 |
製品・サービス高付加価値化枠「通常類型」 | 中小企業:1/2
小規模・再生:2/3 新型コロナ回復加速化特例:2/3 |
|
製品・サービス高付加価値化枠「成長分野進出類型(DX・GX)」 | 2/3 | |
グローバル枠 | 中小企業:1/2
小規模:2/3 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
申請枠ごとに補助金額・補助率が異なるため、公募要領で細かく確認しておきましょう。上記表の各項目については、後述の見出しで詳細をわかりやすく解説します。
ものづくり補助金で採択を受けるのに必要な基本要件
ものづくり補助金で採択を受けるのに必要な基本要件として、以下の3つが挙げられます。
- 事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる
- 給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上増加させる
上記の基本要件について、以下の見出しでわかりやすく解説します。
事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる
ものづくり補助金を受ける基本要件の1つは、事業者全体における付加価値額の年平均成長率3%以上の増加です。付加価値額とは、企業が提供する製品・サービスの価値を示す指標です。公募要領によれば、以下の計算式で算出されます。
- 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
付加価値額の増加は、企業がより高品質な製品・サービスの提供ができている状態を表します。
給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
ものづくり補助金の採択要件には、給与支給総額の年平均成長率1.5%以上増加も挙げられています。給与支給総額とは、給料・賞与・役員報酬等の給与として支払われた金額の総計です。福利厚生費・退職金等は含まないため、算出する際には注意しましょう。
ただし、被用者保険の適用拡大対象となる中小企業が任意適用に取り組む場合は年平均成長率1%以上増加で要件を満たせます。被用者保険の任意適用とは、従業員規模51名~100名の企業が短時間労働者に厚生年金への加入を推奨する行為です。
事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上増加させる
最後の基本要件は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上増加させる取り組みです。事業場内最低賃金とは、補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金と公募要領で定められています。
企業が従業員に対して公正な賃金を支払い、労働を適切に評価しているかを確認するための要件です。企業が社会的責任を果たし、持続可能な成長を達成するための重要な基準となります。事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合、補助金額の返還が求められるため注意が必要です。
2024年度ものづくり補助金で利用できる3つの枠・2つの類型
2024年度ものづくり補助金で利用できる3つの枠・2つの類型は、以下の通りです。
- 省力化(オーダーメイド)枠
- 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型)
- グローバル枠
上記の枠・類型について、下記の見出しでわかりやすく解説します。
省力化(オーダーメイド)枠
省力化(オーダーメイド)枠は、企業が自社の生産性を向上させる投資を支援する申請枠です。具体的には、デジタル技術等を活用した新しい設備の導入・革新的な作業プロセスの効率化等が補助対象となります。
デジタル技術等を活用せず、単に機械装置を導入する事業については対象とはならないため注意しましょう。省力化(オーダーメイド)枠の補助金額・補助率・追加要件は、以下表の通りです。
項目 | 要件 |
補助金額 |
|
補助率 | 【中小企業】
【小規模企業者・小規模事業者・再生事業者】
|
基本要件に加えた追加要件 | 以下の全ての要件に該当するものであること。
|
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
従業員数ごとに補助金額・企業規模ごとに補助率が異なるため、申請時に記載を間違えないよう注意しましょう。追加要件として、事業計画内で具体的な数値を用いて労働生産性・投資回収年数を示す必要があります。
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型)
製品・サービス高付加価値化枠は、企業が製品・サービスの価値を高める投資を支援する枠組みです。製品・サービス高付加価値化枠は通常類型・成長分野進出類型の2枠に分けられており、概要は以下の通りとなります。
類型 | 概要 |
通常類型 | 革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援。 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援。 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
革新的な製品・サービス開発とは、顧客への新たな価値提供を目的に導入した設備・システムでの開発です。単純な設備・システム導入は対象とならず、同業種で既に普及している製品・サービスの開発も該当しないため注意しましょう。製品・サービス高付加価値化枠の補助金額・補助率・追加要件は、以下表の通りです。
項目 | 要件 |
補助金額 | 【通常類型】
【成長分野進出類型(DX・GX)】
|
補助率 | ■通常類型
【中小企業】 1/2 【小規模企業者・小規模事業者・再生事業者・新型コロナ回復加速化特例】 2/3 ■成長分野進出類型(DX・GX) 【中小企業・小規模企業者・小規模事業者・再生事業者】 2/3 |
基本要件に加えた追加要件 | 以下の全ての要件に該当するものであること。
【通常類型・成長分野進出類型(DX・GX)共通】
【成長分野進出類型(DX・GX)のみ】
※ DXに資する革新的な製品・サービスの開発とは、例えば、AI、IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等をいう。 ※ グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは、令和3年6月18日付で策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野が該当する。分野ごとに「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取り組みであることが必要。 |
新型コロナ回復加速化特例の要件
※通常類型のみ |
以下の全ての要件に該当するものであること。
※ 3及び4が未達の場合は、補助率引き上げ分について返還が必要。 ※ 本特例を受ける場合は、大幅賃上げにかかる補助上限額引き上げの特例の対象とはならない。 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
省力化(オーダーメイド)枠と同様に、従業員数ごとに補助金額・企業規模ごとに補助率が異なります。なお、製品・サービス高付加価値化枠は新型コロナ回復加速化特例での申請に対応しています。新型コロナ回復加速化特例で申請する場合は、上記要件を確認しておきましょう。
成長分野進出類型(DX・GX)の追加要件にあるグリーン成長戦略「実行計画」14分野は、以下の資料から確認できます。
参考:令和3年6月18日付「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(概要資料)
参考:令和3年6月18日付「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(本体資料)
グローバル枠
グローバル枠は、海外事業の実施に向けて国内の生産性向上を目指す設備・システム投資等の導入を支援する申請枠です。グローバル枠の補助金額・補助率・追加要件は、以下表の通りです。
項目 | 要件 |
補助金額 | 100万円~3,000万円 |
補助率 | 【中小企業】
1/2 【小規模企業者・小規模事業者】 2/3 |
基本要件に加えた追加要件 | (1)本事業にかかる資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出する必要がある。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はなく、任意の機関を利用可能。
(2)以下のいずれかの要件に該当するものであること。 (各事業要件) 1:海外への直接投資に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。(例:国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業) ・国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、または海外子会社(発行済株式の総数の半数以上または出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。一般管理費は含まない。事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定。)もしくは貸与する機械装置・システム構築費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。)に充てられること。 2:海外市場開拓(輸出)に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。(例:海外展開を目的とし、製品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取り組む事業) ・国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。 3:インバウンド対応に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。(例:製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、海外からのインバウンド需要を獲得する事業) ・国内に補助事業実施場所を有し、製品・サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。 4:海外企業との共同で行う事業であって、以下の全てを満たすこと。(例:外国法人との共同研究・共同事業開発により、新たに成果物を生み出す事業) ・国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の全部または一部が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外) (3)海外事業に関する実現可能性調査※を実施していること (4)社内に海外事業の専門人材を有することまたは海外事業に関する外部専門家と連携すること |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
グローバル枠は、補助金額に関して従業員数等による変動はありません。補助率に関しては、企業規模に応じて1/2〜2/3で変動があります。
グローバル枠で対象となる海外事業は、主に以下の4つが対象です。
- 海外への直接投資に関する事業
- 海外市場開拓(輸出)に関する事業
- インバウンド対応に関する事業
- 海外企業との共同で行う事業
上記の事業と認められるためには、公募要領で定められた要件をクリアする必要があります。上記表の「基本要件に加えた追加要件」に詳しい基準が記載されているため、申請前に確認しておきましょう。
2024年度ものづくり補助金の変更点・注目すべきポイント
2024年度ものづくり補助金の変更点・注目すべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 大幅な賃上げで補助上限額を引き上げる特例を設置
- 新型コロナ回復加速化特例が追加
- 口頭審査の実施
上記変更点・ポイントについて、以下の見出しでわかりやすく解説します。
大幅な賃上げで補助上限額を引き上げる特例を設置
2024年度のものづくり補助金では、大幅な賃上げに取り組む事業者に対して補助上限額が引き上げられる新たな特例が設けられました。賃金上昇によるコスト増を補うための措置で、企業がより積極的に賃上げへ取り組むのを奨励する特例です。具体的な申請枠ごとの引き上げ額は、以下の通りです。
従業員数 | 省力化(オーダーメイド)枠の補助上限引き上げ額 | 製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠の補助上限引き上げ額 |
5人以下 | 申請枠の上限から最大250万円 | 各申請枠・類型の上限から最大100万円 |
6人~20人 | 申請枠の上限から最大500万円 | 各申請枠・類型の上限から最大250万円 |
21~50人 | 申請枠の上限から最大1,000万円 | 各申請枠・類型の上限から最大1,000万円 |
51~99人 | 申請枠の上限から最大1,500万円 | 各申請枠・類型の上限から最大1,000万円 |
100人以上 | 申請枠の上限から最大2,000万円 | 各申請枠・類型の上限から最大1,000万円 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
従業員数に応じて補助上限額が引き上げられ、省力化(オーダーメイド)枠の場合は最大で1億円までの補助が可能となります。企業は人件費の増加を恐れずに、より良い労働環境の整備・人材の確保に取り組めるのがメリットです。
新型コロナ回復加速化特例が追加
新型コロナウイルスの影響を受けて事業に困難を抱える企業を支援するため、新型コロナ回復加速化特例が設けられました。新型コロナウイルスの影響で売上が減少した企業に対し、補助金の上限額を引き上げる措置です。新型コロナ回復加速化特例での申請は製品・サービス高付加価値化枠で認められており、以下の要件を満たす必要があります。
- 常時使用する従業員がいる
- 2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いる
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額が1.5%以上増加目標を達成している
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の水準を達成している
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
上記の特例により、企業は新型コロナウイルスの影響からの回復を加速させて事業の持続可能性を確保できます。
口頭審査の実施
2024年度のものづくり補助金では、一定の申請額以上の事業者に対して口頭審査が導入されています。書面だけでなく口頭でのプレゼンテーションを通じて、事業計画の詳細・企業の取り組みを評価する審査です。なお、口頭審査のスケジュールは公募要領で以下のように公表されています。
- 17次締切分:2024年4月1日(月)~2024年4月12日(金)
- 18次締切分:2024年4月24日(水)~2024年5月15日(水)
口頭審査はオンラインで、提出された事業計画について事業の適格性・革新性・優位性・実現可能性等の観点で審査されます。所要時間は15分ほどで、以下の機器・書類が必要となるため準備しておきましょう。
- 安定したインターネットに接続されたPC
- PC内蔵もしくは外付けのwebカメラ・マイク・スピーカー(イヤフォン・ヘッドセットは使用不可)
- 顔写真付きの身分証明書(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等)
2024年度ものづくり補助金の公募スケジュール
2024年度のものづくり補助金の公募スケジュールに関しては、現在17次・18次締切分が公開されています。具体的なスケジュールは、以下の通りです。
公募回 | 17次締切 | 18次締切 |
公募開始日 | 2023年12月27日(水) 17時 | 2024年1月31日(水) 17時 |
申請開始日 | 2024年2月13日(火) 17時 | 2024年3月11日(月) 17時 |
申請締切日 | 2024年3月1日(金) 17時 | 2024年3月27日(水) 17時 |
申請後は書面審査・口頭審査を経て、採択結果が通知される流れです。採択結果は以下のスケジュールで公表される予定となっています。
- 17次締切分:2024年5月中旬頃
- 18次締切分:2024年6月下旬頃
採択された事業者は交付申請を行い、事務局にて交付決定処理が行われます。交付申請から交付決定までの期間は申請内容によって異なりますが、標準的なスケジュールで約1か月です。
交付決定後より補助事業の開始が可能となります。補助事業の実施期間は、17次・18次締切分ともに2024年12月10日までです。
ただし、能登半島地震で被害を受けた事業者に対しては18次締切分に関して公募受付期間の延長措置が執られています。延長後の申請スケジュールは、以下の通りです。
- 2024年1月31日(水) から2024年5月9日(木)17:00まで
延長期間の電子申請受付は2024年4月1日(月)12:00より行われます。上記のスケジュールで申請するためには、罹災(被災)証明書等の被害を証明できる書類が必要です。
ものづくり補助金の応募期間は各回で2〜4か月
ものづくり補助金の応募期間は、各回で約2〜4か月となっています。応募期間とは公募開始から申請締切までの時間を指し、事業者が補助金の申請を行うための期間です。応募期間中に事業者は自社の事業計画を詳細に検討して必要な書類を準備し、電子申請を行う必要があります。
事務局は2〜4か月と事業者に十分な時間を提供しており、計画的に申請を進められるよう配慮しています。しかし、申請には多くの書類提出が必要であるため早めに準備を始めておきましょう。具体的なスケジュールは公募ごとに異なり、公募要領を確認して期間内に適切に申請を行うのが重要です。
また、応募期間は突然変更となるケースもあります。18次締切分では能登半島地震の被災者を対象に、公募受付期間の延長を行っています。常に最新のスケジュールをものづくり補助金公式ホームページでチェックしておきましょう。
ものづくり補助金の対象経費
ものづくり補助金の対象経費は、補助事業に必要な経費の中から特定の項目が指定されています。具体的には、以下の11区分が対象経費です。
対象経費 | 概要 |
機械装置・システム構築費 | ① 専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工
具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費 ② 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費 ③ ①もしくは②と一体で行う、改良・修繕または据付けに要する経費 |
技術導入費 | 本事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費 |
専門家経費 | 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費 |
運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する経費 |
原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費 |
外注費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費 |
知的財産権等関連経費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費 |
海外旅費 | 海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費 |
通訳・翻訳費 | 事業遂行に必要な通訳及び翻訳を依頼する場合に支払われる経費 |
広告宣伝・販売促進費 | 本事業で開発または提供する製品・サービスの海外展開に必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展等、ブランディング・プロモーションにかかる経費 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
上記の経費は公募要領に定められた条件に合致しなければならず、詳細な基準が設けられています。申請を行う際には経費ごとの認定基準を十分に理解した上で、書類を準備しましょう。
なお、「機械装置・システム構築費」は単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必須です。他にも以下の経費は補助額の上限が定められています。
経費の種類 | 補助上限額 |
技術導入費 | 補助対象経費総額(税抜き)の3分の1 |
専門家経費 | 補助対象経費総額(税抜き)の2分の1 |
外注費 | 補助対象経費総額(税抜き)の2分の1 |
知的財産権等関連経費 | 補助対象経費総額(税抜き)の3分の1 |
海外旅費 | 補助対象経費総額(税抜き)の5分の1 |
通訳・翻訳費 | 補助対象経費総額(税抜き)の5分の1 |
広告宣伝・販売促進費 | 補助対象経費総額(税抜き)の2分の1 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
上記経費の内「海外旅費」「通訳・翻訳費」「広告宣伝・販売促進費」は、グローバル枠の海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ認められています。
ものづくり補助金の流れ・申請手順
ものづくり補助金の流れ・申請手順は、以下の5つに分けられます。
- 公募要領の確認
- GビズIDプライムアカウントの作成
- 必要書類の準備
- 電子申請システムで手続き
- 審査実施・採択結果の通知
上記の手順について、以下の見出しでわかりやすく解説します。
公募要領の確認
ものづくり補助金の申請前に、公募要領を確認しましょう。公募要領には、補助金の対象事業・申請条件・採択基準等の詳細な情報が記載されています。
上記の情報を理解するのは、補助金の審査通過に向けて非常に重要です。特に審査基準を事前に確認して必要書類を作成すれば、採択される確率が高くなります。
公募要領は公募回ごとに公表され、通常はものづくり補助金公式ホームページで公開されます。公募要領で「補助金の対象となる事業」「必要な書類・手続き」等を把握して、準備を進めましょう。
GビズIDプライムアカウントの作成
ものづくり補助金の申請を行うためには、GビズIDプライムアカウントの作成が必要です。GビズIDは各種行政サービスを利用するためのIDであり、以下の3種類が用意されています。
- GビズIDプライムアカウント
- GビズIDメンバーアカウント
- GビズIDエントリーアカウント
上記の内、補助金の申請システム「jGrants」の利用にはGビズIDプライムアカウントが必要です。GビズIDプライムアカウントの作成はWebサイトから行え、必要な情報を入力して指定された手続きを完了させると即日で入手できます。郵送でのアカウント作成も可能ですが、発行まで1週間ほど時間がかかるため余裕を持って申請しましょう。
必要書類の準備
ものづくり補助金の申請を行うためには、提出書類の準備が必要です。具体的には、以下の書類提出が求められます。
【全事業者】
- 事業計画書
- 事業計画書算出根拠
- 補助経費に関する誓約書
- 決算書・確定申告書等
- 従業員数の確認書類
- 労働者名簿
【新型コロナ加速化特例に申請する事業者】
- 新型コロナ加速化特例に申請する事業者のみ
【大幅賃上げ特例申請事業者】
- 大幅な賃上げ計画書
【金融機関から借り入れを行う事業者】
- 金融機関による確認書
【加点申請事業者】
- 加点にかかるエビデンス
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
上記の通り、必要書類は申請内容により異なります。不備があれば審査を通過できない可能性があるため、必要書類を丁寧に準備して抜け漏れがないよう提出しましょう。
電子申請システムで手続き
ものづくり補助金の申請は、電子申請システム「jGrants」を通じて行われます。「jGrants」は、さまざまな補助金の申請から採択交付までの手続きをオンラインで行える便利なシステムです。事業者は、以下のステップでものづくり補助金を申請します。
- ものづくり補助金の申請ページにアクセスし、GビズIDプライムアカウントでログイン
- 申請TOP画面の「申請はこちら」をクリック
- 応募者の概要・事業内容・経費・資金調達内訳等を入力後、必要書類を添付
- 全項目が「作成済」となった後に各誓約に同意の上、「申請」ボタンをクリック
上記の手順後に、申請手続きが完了して審査へと移ります。申請内容に不備があった場合は、後日事務局から修正を依頼される場合があります。
審査実施・採択結果の通知
ものづくり補助金の申請が完了すると、次に行われるのが審査です。事務局による厳正な審査が行われ、申請内容が公募要領に記載の対象事業・対象者・申請要件等を満たすか確認されます。
審査の結果は、申請締切日から約2か月後に発表されます。公募ごとに採択結果の公表日は異なるため、事前に公募要領で確認しておきましょう。
採択された事業者には結果通知がメールで行われ、交付申請の手続きが行われます。交付申請後は指定された期間内に補助対象事業を実施し、実績報告書を提出した後に補助金が入金される流れです。
ものづくり補助金で採択されるためのコツ
ものづくり補助金で採択されるためのコツとして、以下の3つが挙げられます。
- 付加価値額・給与支給総額・地域内最低賃金の上乗せ待遇を記載する
- 審査基準を把握して提出書類に盛り込む
- 加点・減点要素を把握して対策する
上記のコツに関して、下記の見出しでわかりやすく解説します。
付加価値額・給与支給総額・地域内最低賃金の上乗せ待遇を記載する
ものづくり補助金の申請では、付加価値額・給与支給総額・地域内最低賃金の上乗せ待遇を明確に記載する必要があります。上記はものづくり補助金の基本要件となっており、審査において大きな採択可否の基準です。採択されるためには、以下の基準を満たす必要があります。
- 事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させる
- 給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上増加させる
事業計画書には上記の基準を満たせるよう、算出根拠を添えて数値を記載しましょう。事業計画は3年〜5年で達成できる内容を記載しなければなりません。よって、期間内に達成できる数値での算出が必要です。
審査基準を把握して提出書類に盛り込む
ものづくり補助金の申請では、審査基準を満たした提出書類を作成するのが重要です。審査基準は公募要領に記載されており、具体的には以下の通りです。
審査項目 | 概要 |
技術面 | 「製品・サービスの開発が革新的であるか」「課題に対する解決の方法が明確で具体的か」を評価。
既に世の中に普及している技術の導入・設備導入のみによって容易に達成でき、技術革新性が低い事業は低評価を受ける傾向がある。 |
事業化面 | 「事業化の方法スケジュール等が具体的か」「製品サービスの市場性があるか」「企業の収益性・生産性は向上するか」を評価。 |
政策面 | 地域経済への貢献・日本の経済発展のために国の経済政策として支援すべき取り組みかを評価。 |
大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性 |
|
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
上記の要素を提出書類に適切に盛り込めれば、自社の事業計画を強くアピールして補助金の採択に繋がる可能性を高められます。
加点・減点要素を把握して対策する
ものづくり補助金の申請では加点・減点要素を把握し、対策を行うのがポイントです。ものづくり補助金ホームページでも公表されていますが、加点要素を満たすほど採択率が上がる傾向にあります。加点要素は公募要領にて公表されており、具体的には以下の通りです。
- 成長性加点
- 政策加点
- 災害等加点
- 賃上げ加点
- 女性活躍等の推進の取り組み加点
上記の加点要素には細かく基準が設けられているため、気になる方は公募要領で詳細をチェックしましょう。一方で減点要素も公表されており、該当すると審査の通過確率が低くなってしまいます。具体的な減点要素は、以下の通りです。
- 応募締切日から過去3年間に、類似の補助金の交付決定を1回受けている場合
- 令和元年度補正予算ものづくり補助金以降に交付決定を受けている場合であって、収益納付をしていない事業者(十分な賃上げによって公益に相当程度貢献し、収益納付を免除された事業者を除く。)
ものづくり補助金を過去に交付された事業者は、審査に通りづらくなります。一度交付を受けて再度申請する場合は、評価が低くなる点に留意しておきましょう。
ものづくり補助金の申請は「補助金Bizアシスト」がおすすめ
ものづくり補助金の申請には「補助金Bizアシスト」の利用がおすすめです。「補助金Bizアシスト」は補助金を活用するための必要書類の準備、申請手続き等のさまざまな作業をサポートしてくれます。
「補助金Bizアシスト」を活用して専門家にものづくり補助金申請のサポートを依頼すれば、採択率の向上・申請効率のアップが期待できます。申請の無料相談も実施しており、いきなり費用を請求されないため安心して利用可能です。
補助金申請に関する手続き・準備が負担と感じる事業者は、ぜひ「補助金Bizアシスト」を利用しましょう。
ものづくり補助金を申請する際の注意点
ものづくり補助金を申請する際の注意点として、以下の4つが挙げられます。
- 「機械装置・システム構築費」は単価50万円以上の設備投資が必要
- 書類作成に必要な時間を確保する
- 申請してすぐに補助金を受け取れるわけではない
- 補助金受給後も状況報告が必要
上記の注意点に関して、下記でわかりやすく解説します。
「機械装置・システム構築費」は単価50万円以上の設備投資が必要
ものづくり補助金の「機械装置・システム構築費」については、単価50万円以上の設備投資が必要となります。単価50万円未満の設備投資では、補助金の対象とはならないため注意しましょう。「機械装置・システム構築費」として認められる費用は、以下の通りです。
対象経費 | 概要 |
機械装置・システム構築費 | ① 専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工
具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費 ② 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費 ③ ①もしくは②と一体で行う、改良・修繕または据付けに要する経費 |
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり・商業・サービス補助金事務局
機械装置・システムの購入はもちろん、レンタル・リースの費用も補助金対象として認められます。3社以上の中古品流通事業者から型式・年式が記載された相見積もりを取得している場合は、中古設備も対象です。
書類作成に必要な時間を確保する
書類作成に必要な時間を十分に確保しておきましょう。ものづくり補助金の申請には、事業計画書・決算書等多くの書類作成が伴います。事業者の事業計画・経営状況を詳細に示す書類であり、審査において採択可否を決める重要な役割を果たします。
書類作成は専門的な知識を必要とするため、必要であれば行政書士専門家の助けを借りましょう。行政書士であれば補助金の採択率を上げる事業計画書の書き方を、専門的な知見からアドバイスしてくれます。
申請してすぐに補助金を受け取れるわけではない
ものづくり補助金の申請を行ったとしても、すぐに補助金を受け取れるわけではありません。申請が完了した後、まずは審査が行われます。書面審査・口頭審査を経て、採択可否は申請締切日から約2か月後に発表される流れです。
採択された事業者には結果通知がなされ、交付申請の手続きが行われます。交付申請手続き終了後に補助対象事業を指定期間内で行い、完了報告を行ってから入金される流れです。
全期間を合わせると、申し込みから入金まで1年ほどかかります。入金があるまでは自己資金で補助対象事業を行わなければなりません。事前に他の資金調達方法等で、事業実施に必要な自己資金を確保しておきましょう。
補助金受給後も状況報告が必要
ものづくり補助金を受給した後も、定期的な状況報告が必要となります。補助金が適切に使用され、事業が計画通りに進行しているかを確認するためです。
補助金受給後は5年間、事業状況の報告を事務局に行わなければなりません。具体的には、「事業化状況・知的財産権等報告書」を事務局へ5年間で計6回提出します。報告を怠ると他の補助金に申請できなくなる可能性があるため、忘れずに書類を提出しましょう。
ものづくり補助金を活用した事例
ものづくり補助金を活用した事例として、ものづくり補助金ホームページで公開されている以下の3事例を紹介します。
- リサイクルファクトリー株式会社|自動包装機・移動機の導入による生産効率の向上と作業環境の改善
- コスモエンジニアリング株式会社|広告市場向け建造物正面図測量事業の新開発
- 株式会社山田事務所|山口県初インバウンド需要も見込める知育と健康がテーマの遊び場事業
上記の事例について、以降の見出しでわかりやすく解説します。
リサイクルファクトリー株式会社|自動包装機・移動機の導入による生産効率の向上と作業環境の改善
リサイクルファクトリー株式会社は、千葉市でリサイクル・廃棄物処理事業を営んでいます。廃石膏ボードの埋め立て処理が千葉市で禁止され、資源として再生処理を求められたのがものづくり補助金申請に至った背景です。廃石膏ボードの再生処理をスムーズに実施できる体制を求められていました。
ものづくり補助金を活用して自動包装機・移動機を導入し、従来手作業で行っていた作業を全て機械化しました。結果として、廃石膏ボードから生成される農業資材の生産量は1日当たり1.5tから24tに増量しています。
コスモエンジニアリング株式会社|広告市場向け建造物正面図測量事業の新開発
コスモエンジニアリング株式会社は、京都府で各種調査業務・測量・設計業を行っている会社です。コロナの影響でイベント関連の市場環境が変化し、屋外での測量業務を請け負うケースが増えてきました。しかし、既存の設備では新規注文を受け付けられず事業体制の変化が必要となった点がものづくり補助金申請のきっかけです。
ものづくり補助金を活用して高精度3Dレーザースキャナーを導入しました。今まで測量が困難であった屋外建造物正面図の測量精度を向上させ、新規ニーズへの対応が可能になっています。結果として、新たな受注確保・売上増加を達成できました。
株式会社山田事務所|山口県初インバウンド需要も見込める知育と健康がテーマの遊び場事業
株式会社山田事務所は、山口県で複合レジャー施設「くだまつ健康パーク」を運営している会社です。主要顧客層の高齢化から顧客の若返りが課題であり、新規獲得が必要となっていたのがものづくり補助金申請のきっかけです。
ものづくり補助金を活用して、今までターゲットにできていない乳幼児を持つ家族を対象とした最先端遊具を導入しました。結果としてオープン後2か月間は予約で埋まり、1か月当たり1,800人の新規顧客を獲得できています。
ものづくり補助金に関するよくある質問
ものづくり補助金に関するよくある質問として、以下2つを紹介します。
- 2024年のものづくり補助金のパンフレットは公開されている?
- ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いは?
上記質問への回答を、以下でわかりやすく解説します。
2024年のものづくり補助金のパンフレットは公開されている?
2024年のものづくり補助金パンフレットは、下記のように公開されています。
上記のパンフレットでは、ものづくり補助金の対象要件・支援枠等の概要が記されています。2024年度のものづくり補助金では、新たに「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値枠」を設けている点が特徴です。また、大幅な賃上げに取り組む事業者に対して各申請枠の補助金上限を引き上げる措置も行っています。
ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いは?
ものづくり補助金と事業再構築補助金は、異なる目的を持つ補助金です。ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資支援を目的としています。
一方、事業再構築補助金は新型コロナウイルスの流行によって打撃を受けている中小企業の再成長を促す目的の制度です。各々の補助金で異なる要件を設定しており、補助対象となる経費・補助率・補助金額も異なります。自社の状況・目的に応じて、適切な補助金を選択しましょう。
ものづくり補助金を活用して自社事業を拡大させよう
2024年度のものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者の革新的な製品開発・生産効率向上を支援します。公募要領を確認し、必要な書類を準備して電子システムから申請しましょう。自力で事業計画書の作成が難しい場合は、「補助金Bizアシスト」を活用してサポートを受けるのもおすすめです。
審査後は採択された事業者に補助金が入金されます。また、事業実施後も5年間は定期的な状況報告が必要です。今回の内容を参考にものづくり補助金を活用して、効率的に自社事業を拡大させましょう。
この記事を書いた専門家
藤田 春樹