ファクタリングと債権譲渡の違いについて、よくわからない人が多いのではないでしょうか。ファクタリングは資金調達、債権譲渡は売掛金の回収や不良債権処理を目的としている点が大きな違いです。

今回の記事では、ファクタリングと債権譲渡の概要・違い・利用の流れなどについてまとめました。くわえて、ファクタリングで債権譲渡登記を行う場合のメリット・デメリットも解説します。

本記事を読めばファクタリングと債権譲渡の違いが理解でき、状況にあわせて適切に使い分けられます。それぞれの特徴を把握し、資金繰りの改善や売掛金の回収を目指しましょう。

ファクタリングとは?

ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料が差し引かれた代金を受け取る資金調達方法です。ファクタリングは売掛債権の売買契約であり、債権譲渡の一種でもあります。

ファクタリングのメリットは、以下のとおりです。

  • 最短数十分~即日と資金調達スピードが速い
  • 売掛債権の売買であるため、負債が増加せず決算表・信用情報に影響がない
  • 経営状態・財務状況が悪くても、売掛先の信用力次第で資金調達できる可能性がある
  • 売掛先が倒産し、売掛金が未回収になっても弁済リスクがない

一方、ファクタリングのデメリットは以下のようになります。

  • 手数料が必要
  • 売掛債権額以上の資金調達はできない
  • 売掛先の信用力によっては審査通過が困難

2つの契約形態と債権譲渡通知

ファクタリングの契約形態は、2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの2つです。2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの違いや特徴は、以下の表のとおりです。

ファクタリング形態 特徴 メリット デメリット
2社間ファクタリング
  • 利用者・ファクタリング会社で契約を締結
  • 売掛金を利用者が回収し、ファクタリング会社に入金
  • 最短即日で資金調達できる
  • 売掛先に利用を知られない
  • 3社間ファクタリングに比べて手数料が高い
3社間ファクタリング
  • 利用者・ファクタリング会社・売掛先で契約を締結
  • 契約締結後に債権譲渡通知を売掛先に送付
  • 売掛先が直接ファクタリング会社に入金
  • 2社間ファクタリングに比べて手数料が安い
  • 資金調達に1週間ほどかかる
  • 売掛先の承諾が必要

2社間ファクタリングとは、利用者・ファクタリング会社で締結するファクタリング契約です。利用者から売掛債権を譲渡されたファクタリング会社が、基本的には売掛金の回収義務を負います。しかし、債務者である売掛先には通知していないため通常の売掛金の回収は利用者が行い、そのあとにファクタリング会社へ入金します。

一方、3社間ファクタリングは利用者・ファクタリング会社・売掛先で締結するファクタリング契約です。契約後に売掛先は債権譲渡通知を受け取り、売掛金の入金を直接ファクタリング会社に行います

ファクタリングの手数料相場

ファクタリングの手数料相場は、以下のとおりです。

ファクタリングの種類 手数料の相場
2社間ファクタリング(面談) 10%~20%
2社間ファクタリング(オンライン) 2%~12%
3社間ファクタリング 1%~9%

ファクタリングの具体的な手数料は、審査後にファクタリング会社から通知されます。少しでも手数料を抑えたいなら、以下の3つの方法を検討しましょう。

  • オンラインファクタリング・3社間ファクタリングを利用
  • 相見積もりを取って手数料の安いファクタリング会社を選択
  • 信用力の低い個人事業主・フリーランスは、手数料上限の低いファクタリング会社を探す

2020年の民法改正と債権譲渡禁止特約

2020年に民法が改正され、債権譲渡禁止特約のついた売掛債権でもファクタリング可能となりました

債権譲渡禁止特約(譲渡制限特約)とは、債権者が第三者に債権を譲渡するのを禁じる条項です。債権譲渡禁止特約がついた売掛債権は、2020年までファクタリングで取り扱えませんでした。

しかし、民法改正により466条で以下のように定められました。

第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。

(後略)

引用元:e-Gov法令検索

民法改正後の466条2項では、「債権譲渡禁止特約がついていても、債権の譲渡は妨げられない」と規定されています。債権譲渡が妨げられないと解される箇所を、以下に引用します。

2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

引用元:e-Gov法令検索

一方、466条3項では「債務者が債権譲渡を知らなかった場合、第三者である債権者への支払いを拒める」とも書かれています。債務者が支払いを拒めると解される箇所は、以下のとおりです。

3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。

引用元:e-Gov法令検索

整理すると、債権譲渡禁止特約がついていても債権譲渡できますが、通知されていなければ債務者は支払いを拒めます。したがって、以下の2種類のファクタリングが債権譲渡禁止特約つきでも可能となりました。

  1. 2社間ファクタリングで売掛先に知られずファクタリングする
  2. 3社間ファクタリングで売掛先に説明をして了解を取る

理論上は、2社間ファクタリング・3社間ファクタリングどちらも可能です。なぜなら、2社間ファクタリングではもとの債権者である利用者が売掛金を回収してファクタリング会社に入金するからです。

ただし、ファクタリング会社によって債権譲渡禁止特約がついた売掛債権の取り扱いは異なります。債権譲渡禁止特約がついた売掛債権をファクタリングしたいなら、事前にファクタリング会社へ問い合わせて確認を取りましょう。

参照:経済産業省「債権法改正により資金調達が円滑になります

債権譲渡とは?

債権譲渡とは、自分の売掛先である債務者が保有している第三者の債権を譲渡してもらう行為です。債権を譲渡してもらうと、その第三者からお金を回収する権利が得られます。

一般的には企業が債権を回収する方法として用いられますが、ほかにもファクタリング・不良債権処理などがあります。ファクタリング以外で債権譲渡の主な目的である弁済・不良債権処理について、それぞれわかりやすく解説します。

支払い手段としての債権譲渡

債権譲渡は、債務者が買掛金などを支払えないときの代替手段として利用されます。他方、債権者にとっては売掛金などの回収手段となります。支払い手段としての債権譲渡の流れは、以下のとおりです。

  1. B社はA社に100万円の買掛債務(買掛金)がある
  2. B社は売掛先のC社に100万円の売掛債権(売掛金)がある
  3. B社はA社への支払いとして、第三者であるC社の売掛債権を譲渡する
  4. A社は100万円の売掛金をC社から回収する

4が完了した時点でのそれぞれの状況は、以下のようになります。

  • A社:B社の代わりにC社から100万円の売掛金を回収
  • B社:C社への売掛債権100万円とA社への買掛債務100万円が相殺される
  • 第三者であるC社:B社ではなくA社に買掛金100万円を支払う

上記の例では、債権譲渡されたA社は無事に売掛金を回収でき、B社はキャッシュフローを毀損せず支払いをすませられました。

なお、債権譲渡を行う場合は以下の点に注意が必要です。

  • 債権の二重譲渡や架空債権・回収ずみ債権
  • 第三者債権の与信状況
  • 債権の時効の確認

支払い手段として譲渡する債権の例

支払い手段として債権譲渡を利用する場合の代表的な例は、以下の2つです。

  • 手形の裏書譲渡
  • でんさい譲渡

手形は掛取引で支払いに利用される証書で、受取人が決済期日以降に金融機関に持っていくと額面の金額が受け取れます。

手形の裏書譲渡とは、手形の受取人が裏面に名前を押印して第三者に譲渡する行為です。手形の裏書譲渡に回数制限はなく、裏書きすれば次々と譲渡ができます。買掛金と同額の手形を裏書譲渡し、支払いが行われるケースが一般的です。

でんさい(電子記録債権)とはでんさいネットが取り扱う債権で、以下の点が手形と異なります。

  • 印紙税がかからない
  • 振り出し作業・郵送作業が不要
  • ペーパーレス化により盗難・紛失のリスクがない

手形と同様にでんさいも、支払い手段としての債権譲渡が行えます。ただし、譲渡手続きの時点で譲渡人・譲受人ともにでんさいへ加入している必要があります

不良債権処理のための債権譲渡

不良債権を処理する場合に、債権回収会社(サービサー)に債権譲渡するケースも考えられます

不良債権とは、経営破綻・業績不振などで期限内に回収できる見込みがなくなった債権です。債権回収会社とは、金融機関・企業などから委託を受けて特定金銭債権の管理・回収を行う、法務大臣の許可を受けた専門業者です。

以前は弁護士法により、弁護士以外が債権回収業務を行うのは禁じられていました。しかし、1999年の「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」施行により債権回収会社の設立が可能になりました。

ただし、不良債権を債権回収会社に譲渡しても額面の2%~3%ほどにしかなりません。たとえば、100万円の不良債権を債権回収会社に譲渡しても2万円~3万円程度の買取額になります。

ファクタリングと債権譲渡の主な違い

ファクタリングと債権譲渡の主な違いについて解説します。

  • 資金調達とそれ以外の目的
  • 対象となる債権の範囲
  • 契約形態の種類
  • 手数料の有無
  • 受け取れる金額

それぞれの違いについてしっかりと押さえ、適切な方法を用いて債権譲渡を行いましょう。

資金調達とそれ以外の目的

ファクタリングと債権譲渡の目的の違いは、以下のとおりです。

種類 目的
ファクタリング
  • 資金調達
  • 支払いサイトの短縮
債権譲渡
  • 売掛金などの回収(債権者)
  • 買掛金などの支払い(債務者)
  • 不良債権処理

たとえば、ファクタリングでは支払いサイト90日を短縮して最短即日で現金化できます。調達した資金は、設備投資・運転資金・債務の返済などさまざまな用途に使われます。くわえて、ファクタリングはキャッシュフロー改善につながるのが特徴です。

一方、債権譲渡は譲渡人からすると買掛金の支払いが目的であり、キャッシュフローの改善や設備への投資には用いられません。なお、譲受人側からすれば売掛金の回収が主な目的です。

また、不良債権処理も損切りとしての役割が大きく、資金調達目的ではありません。

対象となる債権の範囲

対象となる債権の範囲も、ファクタリングと債権譲渡では大きく異なります。ファクタリングで取り扱うのは売掛債権だけであるのに対し、債権譲渡の対象は以下のとおりです。

  • 消費者ローン債権
  • その他の貸付債権
  • 売掛債権
  • 割賦販売代金債権
  • 運送料債権
  • リース債権
  • クレジット債権
  • 不動産賃料債権
  • その他の賃料債権
  • 診療報酬債権
  • その他の報酬債権
  • 入居保証金債権
  • 工事請負代金債権
  • その他の債権

参照:法務省「債権譲渡登記制度のご案内

契約形態の種類

ファクタリングと債権譲渡は、契約形態についてもやや違いがあります

種類 契約形態
ファクタリング
  • 2社間ファクタリング
  • 3社間ファクタリング
債権譲渡
  • 3者間契約が必須

債権譲渡よりもファクタリングの方が、柔軟な契約が可能で選択肢が多いのが特徴です。

手数料の有無

ファクタリングは手数料が必要ですが、債権譲渡は無料のケースもあり費用面で有利です。ファクタリングの手数料相場は、以下のとおりです。

ファクタリングの種類 手数料の相場
2社間ファクタリング(面談) 10%~20%
2社間ファクタリング(オンライン) 2%~12%
3社間ファクタリング 1%~9%

ファクタリング手数料は年利換算で数十パーセント以上になるケースも多いので、コストを抑えるなら債権譲渡を選択しましょう。

受け取れる金額

ファクタリングは手数料が差し引かれた代金を確実に受け取れますが、債権譲渡は回収に失敗する場合があります。回収に失敗すると不良債権化し、額面の代金を受け取れる可能性がほぼゼロとなります。

そのため、譲渡される債権の債務者を事前に与信調査し、回収できる可能性がどの程度か見極めるのが大切です。なお、2017年の民法改正により債権の時効は種類を問わず以下の2種類になりました

  • 権利を行使できるのを知った日から5年間
  • 権利を行使できる日から10年間

参照:法務省「民法(債権法)改正

債権譲渡の実際の流れ

債権譲渡の実際の流れは以下のようになります

  1. 債権譲渡契約を締結
  2. 対抗要件の具備

契約書を作成し、債権の譲渡人と譲受人が同意して債権譲渡契約を締結します。債権譲渡契約書を作成するなら、弁護士に依頼するかテンプレートを使用しましょう。テンプレートを使うなら、デイライト法律事務所「債権譲渡契約書」がおすすめです。

債権譲渡契約が完了したら、第三債務者・第三者への対抗要件の具備が必要です。対抗要件とは、わかりやすく言い換えると「権利を主張するための条件」となります。譲渡人・譲受人で交わされた債権譲渡契約の内容を周知し、事実として明らかにするのが対抗要件の具備です。

対抗要件の具備には、以下の3種類の方法があります

対抗要件の具備対象 方法
第三債務者 債権譲渡した事実を承諾してもらう
第三債務者・第三者 債権譲渡契約の内容を内容証明で郵送
第三者 債権譲渡登記

ファクタリングを利用するときの流れ

ファクタリングを利用するときの流れは、以下のとおりです。

  1. 利用するファクタリング会社に申し込む
  2. 必要書類を提出して審査を受け、見積もりが出される
  3. 3社間ファクタリングの場合、売掛先にファクタリングを利用する承諾を得る
  4. 見積もり内容に合意したらファクタリング契約を締結する
  5. ファクタリング会社から利用者に売掛債権の代金が入金される
  6. 2社間ファクタリングの場合、決済期日に利用者が売掛金を回収してファクタリング会社に入金する

なお、3社間ファクタリングは売掛先が売掛金を直接ファクタリング会社に入金するため、利用者が回収する必要はありません

オンラインファクタリングだと、申し込む前に会員登録が求められるファクタリングサービスもあります。利用する流れについて細かい違いがあるため、候補となるファクタリングサービスの公式サイトで確認しておきましょう。

ファクタリングでも行われる債権譲渡登記とは?

債権譲渡登記とは法人の債権譲渡について公的に登記を行い、第三者への対抗要件を具備するための制度です。債権譲渡登記を行えるのは法人に限定されており、個人事業主・フリーランスは利用できません。

なお、「第三者への対抗要件」とは当事者間で成立した権利関係をほかの人に主張するための法律要件です。たとえば、債権譲渡登記をしていれば二重譲渡によって損害を被るリスクがなくなります。

そのため、ファクタリング会社では二重譲渡リスクの予防に債権譲渡登記が行われます。ただし、債権譲渡登記のために必要な7,500円の費用は別途、利用者に請求されるのが一般的です。

利用者からすれば債権譲渡登記は、追加費用が発生するだけで大きなメリットはありません。その結果、最近では債権譲渡登記を必要としない2社間ファクタリングも数多く登場しています。

ファクタリングで債権譲渡登記を行うメリット・デメリット

ファクタリングで債権譲渡登記を行うメリット・デメリットを解説します。

有り体に言えば、債権譲渡登記が必要なファクタリングは利用者にとってあまりメリットがありません。メリット・デメリットを理解し、必要なら債権譲渡登記が求められないファクタリングサービスを利用しましょう。

メリット1.売掛先にファクタリングの利用を知られない

債権譲渡登記を行えば、売掛先に利用が知られない2社間ファクタリングでの契約ができます

3社間ファクタリングは売掛先の承諾を得るため、二重譲渡の可能性がほぼなく債権譲渡登記は必要ありません。債権譲渡登記が求められるのは、売掛債権の実在が利用者の書類でしか確認できない2社間ファクタリングにおいてです

2社間ファクタリングは売掛先に通知されないため、ほぼ利用を知られる心配はありません。ファクタリングの利用を知られないなら、財務状況の悪化などを懸念されて取引に影響が出る心配も不要です。

ただし、最近は債権譲渡登記が不要なファクタリングサービスが数多く登場しています。たとえば、大半のオンラインファクタリングでは債権譲渡登記費用や手続きが不要で、スピーディーな資金調達が可能です。

デメリット1.別途7,500円の登記費用がかかる

債権譲渡登記にかかる7,500円の費用を別途、利用者に請求するのが一般的です。そのため、債権譲渡登記が必要なファクタリングサービスは資金調達コストが高くなります。

とくに小口の売掛債権をファクタリングしたい場合、7,500円の資金調達コストの増加は大きなダメージです。ファクタリングする売掛債権額によっては、債権譲渡登記が必要ないファクタリングサービスを選択しましょう。

デメリット2.登記は誰でも閲覧が可能

債権譲渡登記や2社間ファクタリングは売掛先に通知されませんが、登記は誰でもオンラインで閲覧可能です。そのため、可能性は高くありませんが売掛先が登記を閲覧していれば、ファクタリングの利用を知られる恐れがあります。

確実にファクタリングの利用を売掛先に知られたくないなら、債権譲渡登記が不要なファクタリングサービスを利用してください。オンラインで個人事業主・フリーランスが利用できるファクタリングサービスは、債権譲渡登記が求められないケースが多いです。

また、公式サイトの「利用の流れ」から債権譲渡登記の有無をあらかじめ確認しておきましょう。

デメリット3.法人しか債権譲渡登記は利用できない

債権譲渡登記は法人しか利用できず、個人事業主・フリーランスは対象外です。そのため、債権譲渡登記が必要なファクタリング会社は個人事業主・フリーランスが利用できません。

なお、現在は多くのファクタリング会社が個人事業主・フリーランスに対応しています。フリーランス・個人事業主が資金調達を目指すなら、債権譲渡登記なしのファクタリングサービスを選択しましょう。

ファクタリングの債権譲渡登記に関してよくある質問

ファクタリングの債権譲渡登記に関してよくある質問を解説します。

  • ファクタリングの債権譲渡通知とは?
  • ファクタリングの債務者の承諾って何?
  • 売掛債権の譲渡担保の概要が知りたい

あらかじめ疑問を解消しておき、スムーズにファクタリング契約して資金調達を実現しましょう。

ファクタリングの債権譲渡通知とは?

ファクタリングの債権譲渡通知とは、3社間ファクタリングで行われる債務者への通知です。一般的には債権譲渡通知書を債務者に発送し、売掛債権の債権者が利用者からファクタリング会社に移行した旨を通知します。

債権譲渡通知を行えば、第三債務者への対抗要件が具備されて二重譲渡・支払い拒否などのリスクがなくなります。

ファクタリングの債務者の承諾って何?

利用者とファクタリング会社で債権譲渡された事実を、売掛先に承諾してもらうと3社間ファクタリングが成立します。売掛先の承諾があるかどうかの違いを、以下の表にまとめました

売掛先の承諾の有無 承諾による違い
承諾あり
  • 3社間ファクタリングが成立する
  • 売掛先は直接ファクタリング会社に売掛金を支払う
承諾なし
  • 2社間ファクタリングになる
  • ファクタリング会社は売掛先から取り立てできない
  • 利用者が売掛先から売掛金の支払いを受けてファクタリング会社に入金する

承諾を得ていない場合、ファクタリング会社は保有している売掛債権の請求を売掛先に行えません。なぜなら、債権者の移行の承諾をしておらず売掛先は利用者に売掛金を支払うと主張できるからです。

そのため、2社間ファクタリングでは利用者が売掛先から売掛金を回収し、ファクタリング会社に入金する流れになります。なお、売掛先の支払いが遅れて売掛金が未回収の場合、債権譲渡通知書を送ってファクタリング会社が直接回収します。

売掛債権の譲渡担保の概要が知りたい

売掛債権の譲渡担保とは売掛金を決済期日までに支払いできない場合、売掛先の保有している債権を担保にする取引です。たとえば、以下のような流れで売掛債権の譲渡担保は行われます。

  1. A社がB社のサービス・商品を納入して100万円の売掛債権が発生する
  2. B社は経営状態が悪く決済期日に支払いの困難が予想されるため、保有するC社の売掛債権100万円を担保にする
  3. 決済期日にB社から売掛金が回収できなかった場合、A社はC社の売掛金100万円を直接回収する

もちろん、B社が売掛金100万円を支払えた場合、A社はC社の売掛債権の譲渡を求められません。

なお、売掛債権の譲渡担保はしばしばABL(売掛債権担保融資)と間違えられます。しかし、ABLは売掛債権を担保とした金融機関からの貸付であり債権譲渡ではありませんので、混同しないようにしましょう

ファクタリングと債権譲渡の違いを理解し上手に活用しよう!

ファクタリングとは債権譲渡の一種であり、利用者がファクタリング会社に売掛債権を売却して資金調達する仕組みです。ファクタリングは主に資金調達目的であるのに対し、債権譲渡は売掛金の回収や不良債権の処理に利用されます。

今回の記事では、ファクタリングと債権譲渡の概要・違い・流れについて解説しました。それぞれ特徴が異なるため、目的や状況によって適切に使い分ける必要があります。

ファクタリングと債権譲渡の違いを十分に把握し、円滑な資金繰りを実現するために最適な方法を選択しましょう。