一般社団法人が利用できる資金調達方法7選と資金調達しづらい理由を解説！

「一般社団法人でも利用できる資金調達方法は？」

「一般社団法人は融資・貸付を受けづらいって本当？」

一般社団法人の資金調達方法に関して、悩みを抱えている方は多いでしょう。

一般社団法人は非営利法人であり、事業の成長性が見込めないため融資を断られるケースがほとんどです。しかし、一般社団法人でもファクタリング・基金制度・制度融資などを利用すれば資金調達が可能です。

この記事では、融資・貸付が受けづらい一般社団法人が資金調達する方法7選や資金調達しづらい理由を解説します。本記事を読めば、一般社団法人が資金調達しづらい理由がわかり、適切な資金調達方法を探しやすくなります。

一般社団法人でも利用できる資金調達方法から、自社の状態に合ったものを選び資金繰りを改善させましょう。

一般社団法人とは

一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般社団法人に関する法律」をベースにして設立される社団法人を指します。

一般社団法人は非営利法人であり、事業で得た利益を社員や株主などに分配できないといった制限が設けられています。社員に分配できないとはいえど、労働に見合った給料を出すのは問題ありません。

一般社団法人では、分配できない利益分は事業を継続するための資金として活用されるのが一般的です。

また、一般社団法人は「人が集まって設立される法人格」とされているため、1名では設立できません。株式会社などの法人格は1名でも設立できますが、一般社団法人は2名以上が必須である点も特徴です。

一般社団法人の区分

一般社団法人は、以下の2つに分けられます。

• 普通型一般社団法人
• 非営利型一般社団法人

「普通型」「非営利型」のどちらも一般社団法人の区分であり、非営利法人に該当します。

普通型・非営利型の一般社団法人の違いは、法人税に関する税制優遇の有無です。非営利型の一般社団法人は収益事業の所得のみが課税され、それ以外の会費や寄付金などの所得は法人税の課税が免除されます。

非営利型の一般社団法人と認められるには、一定の要件を満たしている必要があります。税務局から一定の要件を満たしていると認められれば、公益法人として扱われるため税制優遇が受けられます。

非営利型の一般社団法人と認められていても、要件に該当しなくなった場合は自動的に普通型へ切り替わる点に注意が必要です。

一般社団法人の活動資金はどこから出ているの？

一般社団法人の活動資金は、株式会社などの一般企業と同様に事業収入がほとんどです。

事業収入以外にも、社員・会員から集める入会金・会費に加えて、寄付金なども収入源です。

一般社団法人が資金調達しづらい理由

一般社団法人が資金調達しづらい理由は、一般社団法人が営利目的で事業活動を行っていないためです。

銀行などの金融機関は、企業に資金を貸し付けた際の利子で利益を得ています。そのため、金融機関は貸与した資金が返済される見通しがあるか、事業の成長に伴い融資額が増加するかなどが重要なポイントです。しかし、一般社団法人は事業の成長や利益の獲得を目的にしていないため、融資資金が返済されないリスクが高くなります。

金融機関側の立場に立ち、長期的な付き合いを前提として考えると、一般社団法人が資金調達しづらい理由がわかります。事業の収益性・成長性を考慮すると、一般社団法人より中小企業に融資する方が金融機関側のメリットが大きいのは一目瞭然です。

仮に融資審査に通過しても、返済リスクを懸念され融資金額の上限を低く設定される場合もあります。そのため、一般社団法人が資金調達する際には、運営状態に合った資金調達方法を十分に検討する必要があります。

一般社団法人の資金調達方法7選

一般社団法人の資金調達方法は、以下の7つです。

• 日本政策金融公庫
• 制度融資
• プロパー融資
• 補助金や助成金
• ファクタリング
• 基金制度
• 役員借入金

事業の成長性・収益性が懸念され、融資を受けづらい一般社団法人でも資金調達する方法があります。一般社団法人でも利用できる7つの資金調達方法を紹介するので、資金調達に悩んでいる方は利用を検討してみましょう。

日本政策金融公庫

一般社団法人の資金調達には、日本政策金融公庫の融資が利用できます。

日本政策金融公庫は、国からの出資を受けられる政府が運営する金融機関です。個人事業主や中小企業などの小規模事業の資金調達を支援する目的で運営されているため、比較的資金調達しやすいのが特徴です。

しかし、一般社団法人は日本政策金融公庫の融資でも資金調達しづらい可能性があります。日本政策金融公庫にある融資制度は、事業の成長を目的としたものが多く、一般社団法人の経営形態に合致しません。そのため、日本政策金融公庫の融資でも利用できる制度が少ないからです。

一般社団法人でも利用できる可能性がある日本政策金融公庫の融資は、以下の通りです。

• スタートアップ支援資金
• ソーシャルビジネス支援資金
• 漁業経営改善支援資金（経営改善）

上記の中でも特に利用しやすい融資制度は、ソーシャルビジネス支援資金です。ソーシャルビジネス支援資金では、以下のような事業を行っている方を対象にしています。

• 保育サービス事業
• 介護サービス事業
• 社会的課題の解決を目的とした事業

融資対象に該当する一般社団法人は、日本政策金融公庫で融資の利用を検討しましょう。詳しくは「日本政策金融公庫 ソーシャルビジネス支援資金」を参考にしてください。

制度融資

一般社団法人が利用できる資金調達方法として、制度融資があります。

制度融資とは、金融機関・信用保証協会・自治体の3者が協力して行っている融資です。信用保証協会の介入により融資審査の通過率が増加し、自治体が融資利用者の負担軽減の役割を担っています。そのため、信用力が低い会社などでも利用しやすくなっている点が特徴です。

しかし、一般社団法人を対象とした制度融資はほとんどないため、基本的に一般社団法人が利用できる制度融資はないと考えておきましょう。

一般社団法人が利用できる制度融資として、仙台市の「仙台市国家戦略特別区域一般社団法人等支援保証融資制度」があります。融資を利用するには、社会的課題の解決に取り組む一般社団法人・一般財団法人のみという制限があります。しかし、最大5,000万円・年1％の利率という好条件で融資の利用が可能です。

一般社団法人が利用できる制度融資は少ないですが、仙台市を筆頭に取り扱う自治体が増加する可能性もあります。今後の改善に期待しておきましょう。

プロパー融資

資金調達に困っている一般社団法人には、プロパー融資の利用をおすすめします。

プロパー融資とは、信用保証協会の保証などを介さずに、金融機関から直接融資を受ける方法です。信用保証協会を利用しないため、すべての責任を自分で背負う必要がありますが、融資限度額を柔軟に設定できます。

創業時や事業規模が小さい場合はプロパー融資を受けるのが難しくなるため、日本政策金融公庫などの利用が必要です。しかし、十分な事業規模・収益性・担保能力がある一般社団法人であれば利用できます。

補助金や助成金

資金調達が難しいとされる一般社団法人でも、補助金や助成金を活用して資金調達ができます。

一般社団法人が利用できる補助金や助成金の一部を、以下で紹介します。

補助金や助成金は返済の必要がないため、資金繰りの悪化に効果的な手段です。しかし、申請手続きや入金までに時間がかかるため、計画的に利用する必要があります。申請期限が設けられている場合もあるため、利用条件などとともにしっかり確認しておきましょう。

ファクタリング

一般社団法人が資金調達する方法として、ファクタリングの利用があります。

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却し本来の支払期日よりも早く売掛金を受け取る方法です。最短即日でファクタリングを行える場合もあり、急な資金不足にも対応できる点がメリットです。

一般社団法人は事業の成長性がなく融資審査に通過しづらいですが、ファクタリングであれば利用できる可能性は高くなります。売掛金を支払うのは売掛先であり、ファクタリング利用者の信用力は重要視されないためです。

ファクタリングを上手く使えば資金繰り改善に役立ちますが、多用すると手数料の影響で資金繰りの悪化につながる恐れもあります。ファクタリングは、一般社団法人が簡単に資金調達する方法として有用なため、適度に利用して資金調達を成功させましょう。

基金制度

一般社団法人が資金調達する際には、基金制度が利用できます。

基金制度とは、社員・社員以外の第三者などから活動にかかる資金を集める制度です。一般社団法人にとって基金制度は必須とされておらず、設置の有無は自由に決められます。

基金制度を利用するためには、一般社団法人の定款にその旨を定めておく必要があります。定款に基金制度について記載がない場合は、社員総会を開き特別決議を実施しなければなりません。

一般社団法人の基金制度では現金のみに限らず、不動産・動産などさまざまなものが基金として集められる点がメリットです。しかし、拠出された基金には返還義務があります。現金以外の基金にも返還義務があり、搬出時の価額に相当する現金の支払いが必要です。

基金の返還を求められた場合にすぐに返済が必要なわけではなく、基金制度を定める際に基金の返済タイミングを定められます。そのため、最長で一般社団法人が解散するまで返済期限の延長が可能であり、利息などの支払いは必要ありません。

基金制度は利用できる資金調達方法が少ない一般社団法人にとって有用な手段ですが、基金が集まるまでに時間がかかります。募集要項を定めたり、募集開始しても応募者が集まらなかったりするなど、さまざまな要因で資金調達が遅れる可能性があります。

基金制度は資金調達の遅れにより経営状況の悪化につながるリスクがあるため、ほかの資金調達方法と併用するのがおすすめです。

役員借入金

一般社団法人が資金調達する方法として、役員借入金があります。

役員借入金とは、役員の個人的な資金を会社に貸し付ける方法です。金融機関の融資などで融資を受けると、返済時に利息の支払いが追加されます。しかし、役員借入金の場合、貸し付ける役員が許可すれば無担保・無利子で資金調達が可能です。そのほか、返済期間も貸し付ける役員との相談で自由に決められる点も大きなメリットです。

役員借入金を利用する場合でも、会社としての負債に該当するため、取締役会で認められる必要があります。

役員借入金が可能な環境の一般社団法人は、活用を検討してみましょう。

一般社団法人の資金調達はファクタリングがおすすめ！

事業の成長性が見込めず資金調達がしづらい一般社団法人は、ファクタリングを利用するのがおすすめです。

ファクタリングとは、自社が所有している売掛債権を売却して資金調達をする方法です。売掛債権は、掛け取引の際における買掛先から支払いを受ける権利を指します。

金融機関などから融資を受ける場合、利用者の経営状況・経営方針が重要視されるため一般社団法人が利用しづらいのが現状です。しかし、ファクタリングは利用者よりも売掛先の信用力を重視しているため、一般社団法人でも利用しやすいのが特徴です。

ファクタリングで資金調達する際のメリット・デメリットを解説するので、資金調達時の参考にしてください。

ファクタリングで資金調達するメリット

ファクタリングで資金調達するメリットは、以下の3つです。

• 信用力がなくても利用しやすい
• 利息の支払いが不要
• 最短即日で資金調達が可能

ファクタリング会社は、買い取った売掛債権がしっかり支払われるかどうかを重要視しています。そのため、利用者よりも売掛先の信用力の高さが重要であり、信用力の低い一般社団法人でも利用しやすい点がメリットです。

ファクタリングは金融機関からの融資と異なり、返済する必要がないため利息の支払いが不要です。利息の支払いなどで資金繰りを悪化させる心配がないため、安心して利用できます。

また、多くのファクタリング会社で最短即日の振り込みを行っており、急に資金が必要になった場合でも対応が可能です。一般社団法人にとって多くのメリットがあるため、ファクタリングの利用を検討してみるのがおすすめです。

ファクタリングで資金調達するデメリット

ファクタリングで資金調達するデメリットは、以下の3つです。

• 手数料がかかる
• 取引先にファクタリングの利用がばれる
• 悪質なファクタリング会社もある

ファクタリングでは、売掛債権の支払期日よりも早く売掛金を受け取れますが、手数料が引かれる点に注意が必要です。高頻度でファクタリングを利用してしまうと、手数料が積み重なり資金繰りを悪化させる恐れがあります。

ファクタリングには、2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの2種類があります。2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社で利用できますが、3社間ファクタリングの場合は売掛先の許可が必要です。そのため、ファクタリングの利用が売掛先にばれて、資金繰りの悪化を疑われるリスクがあります。

また、ファクタリングは認知度があまり高くないため、無知な利用者を騙そうとする悪質な業者も存在します。ファクタリングを利用する際には、会社情報・口コミなどを確認してから利用しましょう。

一般社団法人の資金調達におすすめのファクタリング会社

一般社団法人が資金調達する際におすすめのファクタリング会社は、以下の3つです。

• ビートレーディング
• ベストファクター
• アクセルファクター

3つのファクタリング会社は、悪質な業者ではなく実績・口コミの豊富な優良業者です。それぞれの会社情報や特徴を紹介するので、ファクタリングを利用する際の参考にしてください。

ビートレーディング

ビートレーディングは、利用可能なファクタリングの種類が多い点やLINEで手続きが行える点が特徴です。2024年3月時点で5.8万社以上の企業と取引をし、累計買取額1,300億円を超える豊富な実績を持っています。

ビートレーディングでは、ファクタリングの申し込み時に必要になる書類は、以下の2点のみです。

• 売掛債権に関する資料（契約書・発注書・請求書など）
• 通帳のコピー（表紙付き2ヶ月分）

提出書類が少ないうえ手続き方法も複数の選択肢があるため、ファクタリングの利用に手間がかかりません。ビートレーディングを利用した方のリアルな口コミが気になる方は、ビートレーディングの口コミ・評判を参考にしてください。

ベストファクター

ベストファクターは、ファクタリングの手続きから入金までのスピードが最短1時間という特徴があります。買取下限が30万円・非対面時のみ上限が1,000万円の制約がありますが、ファクタリング手数料は2%～20%と良心的です。

また、ベストファクターは審査が柔軟なため、平均買取率92.2%と高い水準を誇ります。「簡易診断シミュレーター」などのサポートがあり、一般社団法人でも利用しやすい環境が整っているため検討してみましょう。

実際にベストファクターの口コミ・評判でも「対応スピードに満足」「手数料が安かった」など、高評価を得ていました。なるべく早く資金調達をしたいと考えている一般社団法人は、ベストファクターの利用がおすすめです。

アクセルファクター

アクセルファクターは、中古車販売・買取などを行っている東証一部上場企業「ネクステージ」のグループ会社です。上場企業のグループ会社であり信頼性が高いため、ファクタリングに不安を抱いている方におすすめです。

また、アクセルファクターは入金までのスピードが速く、利用者の半数以上が最短即日で利用できます。その日のうちに資金調達をしたい方は、アクセルファクターで手数料や振り込みまでの日数を見積もりしてみましょう。

アクセルファクターを利用した方の評価が知りたい場合は、アクセルファクターの口コミ・評判を参考にしてください。

一般社団法人の資金調達に関するよくある質問

一般社団法人の資金調達に関して、以下のよくある質問を3つ紹介します。

• 一般社団法人が出資による資金調達をしてもよい？
• 一般社団法人は銀行からの融資・貸付を受けづらい？
• 一般社団法人は信用保証協会の保証を受けられない？

あらかじめよくある質問を把握しておけば、一般社団法人の資金調達をスムーズに進められるので確認しておきましょう。

一般社団法人が出資による資金調達をしてもよい？

一般社団法人が出資を受けて資金を調達をするのは可能です。

しかし、基本的には一般社団法人を設立する際の資本金は不要であるため、出資による資金調達も必要ありません。一般社団法人が資金調達する場合、基金制度を使用するケースが多くなります。

一般社団法人は銀行からの融資・貸付を受けづらい？

一般社団法人は、銀行などの金融機関からの融資・貸付は受けづらくなります。

一般社団法人は非営利法人であるため、利益を目的として事業を成長させられません。事業の成長がなければ、利益を得られない可能性が高くなるため、返済されないリスクも増加します。

そのため、一般社団法人は金融機関からの融資・貸付を受けられる可能性が低くなります。

一般社団法人は信用保証協会の保証を受けられない？

一般社団法人は、信用保証協会の保証を受けられません。

非営利法人である一般社団法人は利益を上げられないため、信用保証協会から返済が滞る可能性を懸念されます。そのため、信用保証協会の保証を受けられず、金融機関の融資審査にも通過しづらい状況に陥ります。

一般社団法人の特徴を理解して資金調達方法を選ぼう！

一般社団法人は非営利法人であるため、事業の成長性が見込めず返済の踏み倒しリスクが高いと認識されがちです。そのため、信用保証協会の審査に通りづらく、金融機関から融資を受けられなくなるケースが多くあります。

一般社団法人の資金調達方法は融資を受ける以外にも、基金制度・ファクタリング・役員借入金などの方法もあります。基金制度・役員借入金は、返済期限の設定を調整しやすいため、融資などの資金調達よりも利用しやすいのでおすすめです。

返済できないリスクを抑えたい一般社団法人は、売掛債権を売却するファクタリングを利用するのも有効な手段です。現在の経営状況や必要な資金額等に応じて、適切な資金調達方法を選択しましょう。