多くの法人・個人事業主・フリーランスは、掛取引をつうじて売掛債権を取り扱います。売掛債権とは、商品・サービスを納入した代金を決済期日に売掛先へ請求できる権利です。
今回の記事では、売掛債権の概要・種類・管理方法・時効などをわかりやすくまとめました。さらに、売掛債権の回収方法や未回収時の対策についても解説します。
本記事を読めば、売掛債権の知識を深めつつ管理・回収・活用の方法を理解できます。売掛債権を上手に管理・活用して未回収トラブルを防ぎつつ、健全で継続的な事業運営を目指しましょう。
売掛債権とは?わかりやすく解説!
売掛債権とは、商品・サービスを納入した事業者が売掛先に代金を請求できる権利で、会計上は資産とみなされます。そのため、売掛債権を担保として融資を受けるABL(動産担保融資)や、譲渡して早期現金化するファクタリングを利用できます。
売掛債権の勘定科目は流動資産に分類され、さらに手形かどうかで以下のように分けられます。
勘定科目 | 概要 |
受取手形 | 手形として売掛債権を保有 |
電子記録債権 | でんさいとして売掛債権を保有 |
売掛金 | 手形・でんさい以外の形で売掛債権を保有 |
売掛債権には時効があり、5年が経過すると権利が消滅して請求できなくなるため注意が必要です。譲渡された売掛債権の場合、内容証明郵便の送付や6か月以内の支払督促などで時効を中断できます。
売掛債権の種類
以下の3種類の売掛債権について、それぞれわかりやすく解説します。
- 売掛金
- 受取手形
- でんさい(電子記録債権)
売掛債権の種類別の特徴を適切に理解し、スムーズな取引と回収を実現しましょう。
売掛金
売掛金とは手形以外で保有する売掛債権全般を指し、掛取引の勘定科目として利用されます。掛取引とは商品・サービスの納入時に代金を支払わず、決済期日にまとめて清算する取引です。
売掛金の清算方法は現金・クレジットカード払いなどもありますが、銀行振込を利用するケースがもっとも多いです。また、売掛債権を売却して資金調達できるファクタリングを利用すれば、決済期日前に早期現金化できます。
売掛金は手形のように証書が発行されるわけではないため、信用がないと成り立たない信用取引で用いられます。サービス業・製造業・運送業・情報通信業など、信用取引で売掛金が発生する業界は少なくありません。
会計上の勘定科目は売掛金で残高が増えたときは借方、減ったときは貸方にそれぞれ増減を記入します。
受取手形
手形として保有している売掛債権は、勘定科目上で受取手形に分類されます。売掛金と異なる点は、売掛先が発行した約束手形・為替手形などの証書を受け取る点です。約束手形・為替手形それぞれの違いを、以下の表にまとめました。
手形の種類 | 概要 |
約束手形 |
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為替手形 |
|
受取手形は設定された決済期日以降に、金融機関で額面の金額を受け取れます。また、手形割引では銀行・信用金庫・手形割引専門業者に手形を持ち込んで決済期日前に現金化が可能です。
なお、売上を手形で回収したときは、約束手形・為替手形の種類にかかわらずどちらも受取手形として計上しましょう。
でんさい(電子記録債権)
でんさいは電子記録債権の通称で、手形や銀行振込に代わる新たな決済手段として注目されている売掛債権の種類のひとつです。発生した場合は、借方の勘定科目である電子記録債権に計上する処理が必要となります。
手形決済によるデメリットを解消する目的で作られ、管理コスト・収入印紙代・郵送費などがかからないのが特徴です。また、パソコンなどのデバイス画面から管理ができるため、ペーパーレス化によって経理業務の負担を大幅に軽減できます。
でんさいは、全国銀行協会が設立したでんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)によって運営されています。でんさいを利用するには、全国の銀行・信用金庫などの金融機関窓口から申し込みを行いましょう。なお、利用するには納入企業・支払企業の両方がでんさいへ加入を求められるのがデメリットです。
手形割引やファクタリングと同様に、でんさいもでんさい割引によって決済期日前に現金化が可能です。
売掛債権の管理方法
売掛債権を管理する手順は、以下の流れのとおりです。
- 取引契約書を作成・保管
- 請求書を発行
- 決済期日を管理
- 消込作業を実施
売掛債権を管理するには、取引契約書の作成と適切な保管がもっとも大切です。契約書を作成しない口約束の取引やずさんな管理は、万が一のトラブル時に自分が不利になりかねません。
決済期日の数週間前には、売掛先に請求書が届くようにしましょう。決済期日直前では売掛先が対応できない可能性が高く、翌月以降に支払いがずれ込むリスクがあるからです。
売掛債権の決済期日管理を効率的に行うには、会計ソフトやエクセルを用いるのがおすすめです。また、決済期日の1週間前・3日前・前日などに売掛先にメールを送付し入金を促して未払いを防いでください。
もし決済期日に入金がないなら売掛先の状況を確認し、直接請求・内容証明郵便・支払督促など回収手段を検討する必要があります。
売掛債権の入金が無事に確認できたら、再請求などのミスをしないため速やかに消込作業を行いましょう。消込作業とは請求額と入金額を照合し、支払いずみ代金として記録する作業です。
売掛債権の回収方法
売掛債権の主な回収方法は、以下の3つのパターンになります。
- 現金での支払い
- 銀行振込
- 受取手形
現金での支払いは、納入企業と支払企業の距離が近い場合などに限られます。現金を持ち歩くと紛失するリスクもあるため、現在ではあまり利用されていない支払い方法です。
銀行振込はもっとも利用される支払い方法で、インターネットバンキングならパソコン・スマートフォンで行えます。数百円程度の手数料はかかるものの、ハードルが低く誰でも利用できる利便性の高い支払い方法です。
受取手形は確実性が高く、回収する納入企業側としてメリットの大きな支払い方法です。ただし、保管・郵送などの手間がかかり不便なため、手形取引ピーク時の1990年と比較すると9割ほど減少しました。
経済産業省は2026年に向けて、約束手形の利用廃止に向けた取り組みを行っています。さらに、代替案として経済産業省は、ペーパーレスで取引が完結するでんさいによる取引を推奨しています。
参考:経済産業省「2026年の約束手形の利用廃止」
売掛債権の時効とは
売掛債権の時効は、2020年の民法改正によって5年に統一されました。民法改正以前は職業別に短期消滅時効規定があり、時効がいつなのか知るためには専門的な知識が必要でした。
売掛債権の時効が過ぎると、権利が消滅して売掛先に代金を請求できませんので注意が必要です。ただし、債務者が売掛債権の一部を支払ったり承認したりすると、その時点から時効が更新されます。たとえば、決済期日から3年が過ぎた時点で売掛先が売掛債権の一部を支払うと、時効が更新されて再度5年からカウントされます。
ほかにも、期限までに訴訟・支払督促などを行えば時効を中断してリセットが可能です。
参考:J-Net21「民法改正によって変わる時効の規定を教えてください。」,司法書士法人黒川事務所「時効の中断(更新)についてわかりやすく解説」
決済期日を過ぎた売掛債権を回収する方法
決済期日を過ぎたにもかかわらず支払いがない場合に、売掛債権を回収する方法を解説します。
- 直接請求
- 内容証明郵便
- 支払督促
- 民事調停
- 訴訟
- 強制執行
売掛先と自分の状況を冷静に把握し、最適な回収方法を検討しましょう。
直接請求
売掛債権の決済期日を過ぎて未回収の場合、まずは売掛先に以下の方法で直接請求しましょう。
- 訪問
- 電話
- メール
- 再度、請求書を送付
直接請求は手間と費用がかからない方法ですが、居留守を使われたり返信がなかったりする恐れがあります。そのため、滞納が続いた場合にどういった手段を検討しているかメールや手紙で伝えましょう。訴訟や強制執行に至るリスクを示せば、売掛先が対応してくれる可能性が上がります。
なお、売掛先の事情を聞き取り支払いを延長するとしても、合意した内容について念書に記録してください。また、遅延損害金についても請求するかどうか検討する必要があります。
内容証明郵便
督促状・催告書などは、内容証明郵便として売掛先に送付しましょう。
内容証明郵便とは、郵便物の内容文書について証明するサービスです。郵便局の文書の謄本によって、いつどのような内容の文書が誰から誰に差し出されたのか証明できます。そのため、訴訟などに発展した場合に自分の意思表示・日付・請求内容などの立証方法として有効です。
ただし、内容証明郵便は文書の内容の正確性・正当性そのものを証明する仕組みではありません。たとえば、「100万円の売掛債権を請求した」という事実は証明できますが、金額が正確かどうかは別問題です。また、請求した内容について売掛先が無視したからといって、ただちに差し押さえができるわけではありません。
弁護士から内容証明郵便を送付すると、売掛先に法的措置がとられる可能性を提示できます。訴訟・支払督促に発展する可能性が高いと判断するなら、弁護士への相談を検討しましょう。
内容証明郵便を出す流れは、以下のとおりです。
- 売掛先に送付する文書を準備する
- 送付する文書の謄本2通を郵便局で取得する
- 差出人・受取人の住所氏名を記載した封筒を用意する
- 内容証明の加算料金を含む郵便料金を支払う
なお、日本郵便によれば念のために印鑑を持参してくださいとのことです。内容証明郵便にかかる料金は、以下のとおりです。
料金の種類 | 料金 |
一般書留の加算料金 | 435円 |
内容証明の加算料金 | 440円 |
25g以下の定形郵便物 | 84円 |
合計 | 959円 |
参考: 日本郵便株式会社「内容証明」
支払督促
直接請求・内容証明郵便で回収できなければ、支払督促の実施を検討しましょう。
支払督促とは売掛先に対し、自分が保有する売掛債権について簡易裁判所の書記官に支払督促を発令してもらう制度です。支払督促が発令したあと、仮執行宣言の申し立てをして強制執行が可能な状況を整えましょう。
支払督促を発令してから強制執行できる状況が整う流れは、以下のとおりです。
- 管轄の簡易裁判所に支払督促の申し立てを行う
- 申し立てに不備がなければ、支払督促が発行される
- 正式な支払督促文書が送付される。売掛先は仮執行宣言前に異議申し立てが可能
- 受領から2週間以内に異議がなければ、仮執行宣言の申し立てを行う
- 支払督促に仮執行宣言が添付されて発行される
- 仮執行宣言つきの支払督促が送付される。売掛先は仮執行後2週間以内の異議申し立てが可能
- 受領から2週間以内に異議がなければ支払督促が確定し、売掛先が支払いを行わない場合は強制執行の手続きができる
なお、売掛先から異議申し立てが行われた場合、訴訟に発展しますので注意が必要です。
参考:裁判所「支払督促手続の流れ」
民事調停
話し合いによって問題解決を図りたいなら、支払督促の前に民事調停を検討しましょう。
民事調停とは、裁判所に申し立てて裁判官1名・民間有識者2名からなる調停委員会のもとで話し合いをする方法です。調停委員会は当事者の言い分を聞いて歩み寄りを促し、双方の合意によってトラブル解決を図ります。
民事調停を活用するメリットは、以下のとおりです。
- 手続きが簡単で弁護士への依頼も不要
- スピーディーに解決を図れる
- 判決と同じ効果を持つ
- 費用が安い
民事調停は、金銭トラブルの金額によって500円~13万3,000円まで費用が異なります。また、民事朝廷は約1か月に1回のペースで開かれ、3か月で7割ほどの申し立てが解決しているので目安にしましょう。
民事調停で解決を図るための流れは、以下のとおりです。
- 民事調停を裁判所に申し立てる
- 調停期日を指定する
- 当事者双方を裁判所が呼びだす
- 調停期日に話し合いによって解決を図る
相手が出席しなかった場合、民事調停が不成立に終わります。不成立の場合、問題解決のために訴訟を行うのが一般的です。
また、どうしても当事者双方が折り合わないケースでは、裁判所が解決に必要な決定を行います。2週間以内に当事者から異議申し立てがなければ、民事調停が成立したのと同じ効果が生じます。
参考:裁判所「民事調停」,「手数料額早見表」,弁護士法人朝日中央綜合法律事務所「調停の知識5|民事調停の申立の手続等」
訴訟
民事調停が不成立だと、訴訟に移行して売掛債権の回収を試みるしかありません。
訴訟とは法廷で当事者双方の主張を聞いたり、証拠を調査したりしてトラブル解決を図る手続きです。訴訟・裁判はほぼ同義語で、「裁判をする」「訴訟を起こす」などは民事訴訟を指すケースが大半です。
訴訟で確定判決が下されれば、裁判所の権限によって強制執行の実施が可能となります。売掛債権回収のために訴訟を起こすメリットは、以下のとおりです。
- 必ず判決が下されるため白黒をつけられる
- 判決には強制執行力が認められるため、勝訴すれば売掛債権を回収できる可能性が高い
- 勝訴以外に和解するといった解決方法もある
売掛債権額が小さい場合は、費用と手間のかからない少額訴訟がおすすめです。少額訴訟とは60万円以下の金銭の支払いを求めて、簡易裁判所でスピーディーに問題解決を図る手段です。
少額訴訟は原則として1回の審理で、証拠の調査と口頭弁論を行って判決が下されます。一般的な訴訟は弁護士費用を入れて20万円~30万円ほどですが、少額訴訟なら申し立て費用は最大でも6,000円です。なお、少額訴訟は費用節約のため弁護士に依頼せず自分で行うケースも多く見られます。
強制執行
判決が出ても売掛先が売掛債権を支払わない場合、裁判所による強制執行が必要となります。
強制執行とは債務者が債務の支払いを滞納し続けた場合、裁判所が強制的に取り立てを行う手続きです。債権者は裁判所に強制執行を申し立て、債務者から差し押さえた資産で弁済してもらいます。判決が出てから強制執行まで、1か月~2か月がかかる点には留意しましょう。
債務者の資産である動産・不動産は、弁済のために裁判所が差し押さえて強制競売にかけます。なお、債務者に資産がゼロの場合、連帯保証人が代わりに債務を請求されます。しかし、売掛債権に連帯保証人がいるケースはほぼありません。
差し押さえるべき資産がないと、強制執行が空振りに終わって売掛債権は未回収となります。
参考:裁判所「民事執行手続」,「グリーン司法書士法人「強制執行で差し押さえるものがない場合の流れや注意点を詳しく解説」
売掛債権の流動化によって資金が調達できる2つの方法
売掛債権流動化の概要と、2つの資金調達方法についてそれぞれ解説します。
- 売掛債権流動化とは
- 売掛債権の譲渡・売却する「ファクタリング」
- 売掛債権を担保にする「ABL」
自分が保有している売掛債権をフルに活用し、資金を調達してキャッシュフローを改善しましょう。
売掛債権流動化とは
売掛債権流動化とは、売掛債権を活用して決済期日までに早期現金化する資金調達方法を指します。
売掛債権の早期現金化は、「資金繰り・キャッシュフローを改善できる」「急な支払いに慌てなくてすむ」などがメリットです。ただし、売掛債権流動化による資金調達は金利や手数料といった資金調達コストがかかります。
売掛債権流動化によるメリットと資金調達コストをバランスさせ、適切に活用して資金繰り改善や事業拡大を目指しましょう。
売掛債権の譲渡・売却する「ファクタリング」
ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料が差し引かれた代金を得られる仕組みです。決済期日より前に売掛債権を現金化できるため、資金繰りの改善や急な支払いへの対応が可能です。
また、ファクタリングは融資より審査スピードが速く、最短即日で資金調達できます。さらに、融資などほかの資金調達方法と比較して審査のハードルが低いのも大きなメリットです。
近年は日本でも中小企業・小規模事業者を中心に認知度が上がり、徐々に利用率も増えています。ファクタリングの世界的な団体であるFCIによれば、日本の利用総額の推移は以下のとおりです。
年度 | ファクタリングの利用総額(単位:100万ユーロ) |
2016年 | 49,466 |
2017年 | 37,284 |
2018年 | 49,348 |
2019年 | 49,466 |
2020年 | 51,225 |
2021年 | 58,666 |
2022年 | 57,277 |
これからも徐々に浸透する可能性の高いファクタリングをいち早く取り入れ、資金繰り改善に役立てましょう。
参考:FCI「Evolution of Global Factoring Volume (in Euro billions)」
売掛債権を担保にする「ABL」
ABL(Asset Based Lending)とは動産担保融資と訳され、売掛債権担保に融資が受けられる資金調達方法です。アメリカでは広く用いられている融資方法で、近年は中小企業庁を中心に日本国内での活用も推進されています。
ABLを利用すれば不動産を保有していない中小企業でも、従来は活用されていなかった売掛債権を担保に借入が可能です。ただし、ABLで融資を受けると売掛債権の状況や業績の報告といった義務を負います。
金利はビジネスローンより低い傾向が強いため、資金調達方法のひとつとして検討しましょう。
参考:中小企業庁「中小企業庁:売掛債権の利用促進について」
売掛債権の譲渡で資金調達するならファクタリングがおすすめ!
売掛債権を活用して手軽に資金調達ができる、ファクタリングの特徴について解説します。
- ファクタリングの契約形態
- ファクタリングの手数料相場
- ファクタリングのメリット・デメリット
急な支払い・売掛債権の回収遅れなどで手元資金が心許ないなら、ファクタリングの利用を検討しましょう。
ファクタリングの契約形態
ファクタリングには2社間ファクタリング・3社間ファクタリングという、2つの契約形態があります。2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの違いを、以下の表にまとめました。
ファクタリング形態 | 特徴 | メリット | デメリット |
2社間ファクタリング |
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3社間ファクタリング |
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とにかくスピーディーに資金調達がしたいなら2社間ファクタリング、手数料を抑えたいなら3社間ファクタリングがおすすめです。
ファクタリングの手数料相場
ファクタリングの手数料相場は、以下の表のとおりです。
ファクタリングの種類 | 手数料の相場 |
2社間ファクタリング(面談) | 10%~20% |
2社間ファクタリング(オンライン) | 2%~12% |
3社間ファクタリング | 1%~9% |
3社間ファクタリングは売掛債権の回収に利用者がかかわらず、売掛金の着服リスクが低いため手数料は安く設定されています。また、近年のオンラインファクタリングは人件費・賃料などの削減によりリーズナブルな手数料を実現しました。
手数料を抑えたいなら、3社間ファクタリングかオンラインファクタリングを利用しましょう。
ファクタリングのメリット・デメリット
ファクタリングを利用するメリットは、以下のとおりです。
- 最短数十分~即日で資金調達ができる
- 銀行融資・ビジネスローンなどより審査が柔軟でハードルが低い
- 負債にならないため、決算書に悪影響を及ぼさない
- 2社間ファクタリングなら売掛先や第三者に利用を知られない
ファクタリングは資金調達スピードが速いうえ、売掛先の信用力を重視するため利用者の経営状態が悪くても利用できます。また、売掛債権の譲渡であり借入ではないため負債が増えず、決算書に悪影響を及ぼしません。
2社間ファクタリングなら売掛先や第三者に利用を知られないため、信頼関係に傷がつく事態も避けられます。
一方、ファクタリングを利用するデメリットは以下のとおりです。
- 資金調達コストがほかの資金調達方法より割高傾向にある
- 売掛債権額の範囲内でしか資金調達できない
ファクタリングの手数料を融資などと比較するには、年利換算しなければなりません。手数料を年利換算するには、以下の式を用いてください。
12か月÷支払いサイト×手数料率=年利換算相当
たとえば、支払いサイトが2か月で手数料が7%だと年利換算で42%となります。
12か月÷2か月(支払いサイト)×7%(手数料率)=42%(年利換算相当)
なお、ファクタリングは売掛債権額の範囲内までしか資金調達できません。多額の資金を必要とするならファクタリングではなく、銀行融資・日本政策金融公庫・制度融資などを検討しましょう。
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売掛債権とは?と疑問を持っている人からよくある質問
売掛債権についてよくある質問を解説します。
- 売掛債権信託とはどんな仕組み?
- 「取引を停止した売掛債権の特例」について教えて
- 売掛債権・売掛金・売上債権・営業債権の違いとは?
細かな疑問でも前もって解消しておき、売掛債権の管理や活用をスムーズに進めましょう。
売掛債権信託とはどんな仕組み?
売掛債権信託とは一括ファクタリングと同じ仕組みで、金融機関が介在した手形に代わる決済システムです。たとえば、清水銀行の売掛債権一括信託サービスは以下の流れで行われます。
- 支払企業が納入企業の承諾を得て、金融機関と売掛債権一括信託サービスの契約を締結する
- 納入企業が商品・サービスを納入して売掛債権が発生し、支払企業に請求する
- 支払企業は金融機関に買掛債務のデータを引き渡し、納入企業の売掛債権譲渡を承諾する
- 納入企業は決済期日前でも、金融機関に売掛債権を譲渡して手数料を差し引かれた代金の受け取りが可能
- 決済期日前に売掛債権譲渡を行われなかった場合、決済期日に金融機関から納入企業に売掛金が入金される
- 支払企業は金融機関に買掛金を入金する
手形を利用せず決済を行うため、収入印紙代や手形の管理コストなどの削減が売掛債権信託では可能です。なお、売掛債権信託は一般的なファクタリングと異なり、支払企業が主導する点も大きな特徴です。
参考:清水銀行「売掛債権一括信託」
「取引を停止した売掛債権の特例」について教えて
「取引を停止した売掛債権の特例」とは、売掛債権が全額回収不能になった場合に認められる特例です。
「取引を停止した売掛債権の特例」が認められると、未回収の売掛債権を損金に計上できます。資産である売掛債権を損金に計上すると経費と同じ扱いになり、課税対象である所得を小さくして節税効果を得られます。
「取引を停止した売掛債権の特例」の適用要件は、以下のとおりです。
- 適用できるのは売掛債権のみ
- 取引停止から1年以上経過し、かつ担保などがない場合
- 売掛債権の総額が取り立て費用未満で、督促しても弁済がない場合
上記の1にあてはまっており、かつ2または3の場合に「取引を停止した売掛債権の特例」が適用されます。
参考:木原税理士法人「「取引を停止した売掛債権の特例」について」
売掛債権・売掛金・売上債権・営業債権の違いとは?
売掛債権・売上債権・営業債権はすべて同義で、商品・サービスを納入して代金をあとから請求できる権利です。なお、売掛金・受取手形・でんさいは売掛債権の種類であり、それぞれ早期現金化するときの方法が異なります。
売掛債権の管理を適切に行い未回収をゼロにしよう!
売掛債権とは商品・サービスを納入した事業者が、売掛先に代金を請求できる権利です。売掛債権には売掛金・手形・でんさいの3種類があり、それぞれ決済・管理の方法が異なります。
売掛債権を適切に管理しないと、トラブルに発展したり未回収になったりする恐れがあります。もし売掛債権が未回収になった場合、内容証明郵便・支払督促・民事調停・訴訟などの法的措置も検討しましょう。
なお、売掛債権を活用してファクタリングで資金調達すれば、キャッシュフローを改善できます。多くのファクタリング会社を比較・検討するなら、「ファクタリング会社の口コミ」がおすすめです。
売掛債権に対する知識を深め、管理・活用・回収を適切に行って持続的な事業運営を実現しましょう。