「資金繰り表をエクセルで作っているが、使い勝手が悪い」
このように、資金繰り表の作成を効率化したいと考える経営者の方は多いのではないでしょうか。
エクセルで作る資金繰り表は項目を自由に変更できるのが便利ですが、一方で以下のような使い勝手の悪さを感じる方もいるかもしれません。
- 複雑な計算式を利用している場合、関数の確認や修復に時間がかかる
- 作成者にしかわからないような仕様になってしまう
効率的に資金繰りを管理したい方は、資金繰りシステムを利用するのがおすすめです。
この記事では、資金繰りシステムの概要や利用するメリット、おすすめの資金管理システムについて解説します。
資金繰りとは?簡単に解説
資金繰りとは、資金の収入と支出を管理し、過不足を把握して調整することです。
資金とは、現金・普通預金・当座預金など、事業活動の中ですぐに支払いにあてられるお金のことです。
資金繰りが悪化すると、資金ショートによって黒字倒産を招くリスクが高まります。資金繰りを管理して資金の流れを把握できれば、資金が不足する前に対策を講じられます。
つまり、事業を継続していくために必要なのが資金繰り管理というわけです。
資金繰りシステムとは?
資金繰りシステムとは、資金繰りを管理するシステムのことです。資金繰りシステムは大きく分けて、会計ソフトに付随しているものと、資金繰りに特化したシステムがあります。
会計ソフトに資金繰り表の機能が付いている場合は、余計なコストをかけないで資金繰り表を作成できるでしょう。
しかし、会計は「過去の実績の記録」を目的としているのに対し、資金繰り管理は「未来のお金の流れを予測する」ことが目的です。つまり、そもそもの目的が異なるのです。
そのため、会計ソフトに付いている資金繰り表を使っている方の中には「使い勝手が悪い」と感じている方もいるかもしれません。
また、会計ソフトに付随している資金繰り表の作成機能は、簿記や仕分の知識がないと扱いにくい場合もあるでしょう。
それに対して、資金繰り管理に特化したシステムは、簿記や仕訳の知識を必要とせずに操作できるものが多い特徴があります。
会計ソフトに付随している資金繰り表に不便を感じている場合は、資金繰りに特化したシステムがおすすめです。
資金繰りシステムを利用するメリット
資金繰りシステムを使うことには、次の3つのメリットがあります。
- 資金繰り管理の属人化を防ぐ
- いつでも複数人で資金繰りを管理できる
- 効率的に資金繰りを管理できる
それぞれを詳しく解説します。
資金繰り管理の属人化を防げる
エクセルでの資金繰り管理には、項目を自由に設定できるほか、コストがかからないなどのメリットがあります。
しかし、場合によっては複雑な関数を使っていたり、独自のルールを定めていたりすることもあるでしょう。
そのため、エクセルで作る資金繰り表は「作成者しか操作できないし理解できない」というように、属人化しやすい側面があります。
その点、資金繰りシステムなら、次のような方法で属人化を防げます。
- 入力画面がシンプルで誰でも扱える
- 資金不足になる時期や金額を知らせてくれる
- 口座ごとの残高を一覧で比較できる
- 入力内容に関して「未確定」や「確定」のステータス管理ができる
- グラフでデータを可視化できる
資金繰りシステムは、誰でも扱いやすい仕様になっているのが特徴です。エクセルだと不便に感じていたことが、資金繰りシステムなら解消できる可能性もあるでしょう。
クラウド型ならどこでも複数人で資金繰り表を確認できる
クラウド型の資金繰りシステムなら、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも資金繰り表を確認できます。
外出先でも、パソコン・スマホ・タブレットなどで資金繰り表を確認できますし、ほかの従業員や社長との共有も便利になるでしょう。
効率的に資金繰りを管理できる
資金繰りシステムを利用すれば、資金繰り管理の効率性や精度の向上が期待できます。
エクセルで作る資金繰り表では、次のような管理上のデメリットを感じることもあるのではないでしょうか。
- 関数を利用していると、行の追加や削除をすると数式が反映しない
- 関数が正しく反映されているかの確認作業が必要
- 関数が壊れたときの修復作業に時間がかかる
- 入力や修正に手間がかかる
その点、資金繰りシステムを利用すれば、関数が壊れることを気にせずに済みます。
また、項目ごとに一括で修正できたり、毎月の定期的な収支を自動的に反映させたりなど、入力の手間を省略できるものもあります。
結果的に入力ミスの削減にもつながるので、大幅な効率化を図れるでしょう。
資金繰りシステムの選び方
資金繰りシステムを選ぶ際は、主に次の3点に注目してください。
- 機能・操作性や料金
- サポート体制
- クラウド型かインストール型か
それぞれを解説します。
機能・操作性や料金
資金繰りシステムを選ぶ上で一番重視すべきなのは、機能性・操作性と料金です。
機能性や操作性は製品によって差があるため、実際に利用してみないとわかりません。そのため、無料おためし期間が設けられている場合は、実際に利用してみるのがおすすめです。
複数の資金繰りシステムを利用してみて、使い勝手や料金を比較してみてください。
サポート体制
資金繰りシステムを運用していくのが心配な方は、サポート体制が手厚い資金管理システムを利用しましょう。
資金繰りシステムを初めて利用する場合、導入時や運用時にさまざまな疑問が浮かぶものです。
疑問点を質問した際に、迅速かつ丁寧に対応してくれる製品を選ぶという観点も、資金繰りシステムを選ぶ判断基準として大切な要素です。
無料おためし期間がある製品の場合は、その期間に疑問点を聞いてみるのがいいでしょう。質問への対応に着目してみてください。
また、対応している連絡方法もあわせて確認しておきましょう。連絡方法には、電話・メール・チャットなどがあります。
文章に残してあとから見返したい場合はチャットやメール、直接会話したい場合は電話が便利です。
クラウド型・インストール型
資金繰りシステムには、クラウド型とインストール型のものがあります。
クラウド型は、月払いや年払いなどの継続課金制です。インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも利用できます。外出先でも資金繰り表を確認したい場合は、クラウド型が便利でしょう。
また、クラウド型ならインストール作業が不要ですぐに利用できます。さらに、インターネットを通してアップデートが自動的に行われるので、導入時の手間を省けるのはもちろん、時間も短縮できます。
対するインストール型は、買い切り型の製品です。そのため、インストールしたパソコンでしか資金繰りシステムを使えません。アップデートは手動で行う必要があり、有料の可能性もあります。
おすすめの資金繰りシステム5選
最後に、おすすめの資金繰りシステムを5つご紹介します。
ここで紹介する資金繰りシステムは、すべて資金繰りに特化したクラウド型の製品です。
- Milestone(マイルストーン)
- 社長の管理会計クラウド
- 社長の安心
- Gurinosuke
- feliz(フェリス)
それぞれの資金繰りシステムの概要や特徴を解説します。
Milestone(マイルストーン)|社内の資金繰り管理に特化している
Milestone(マイルストーン)の概要は、次のとおりです。
商品名 | Milestone |
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販売会社 | 株式会社HIFAS |
料金 | 月額料金:1,925円(税込) 年額料金:19,250円(税込) |
ユーザー数 | 2名までは月額料金に含む (3名以上は1名あたり月額税込550円) |
クラウド型・インストール型 | クラウド型 |
公式サイトURL | Milestoneホームページ |
Milestone(マイルストーン)の特徴
- 社内の資金繰り管理に特化した仕様になっている
- 複数の事業所の資金繰りを管理できる
- 「残高調整機能」がある
- 外部提出用の資金繰り表を出力できる
Milestone(マイルストーン)がおすすめの人
- お金の管理に苦手意識がある人
- 細かい入出金は管理しきれない人
- 複数の事業所の資金繰りを管理したい人
Milestoneは、デザインがかわいらしく、トップページで資金不足のタイミングをお知らせしてくれる機能があります。誰でも操作しやすい仕様なので、お金の管理に苦手意識がある方でも扱いやすいでしょう。
また、複数の事業所の資金繰りを管理できるため、フランチャイズビジネスを展開している会社にもおすすめです。
細かいお金の入出金を管理できなくても、Milestoneには直近の実残高を反映した資金繰り表を作成できる「残高調整機能」があります。
これにより、すべての入出金を追えなくても、実際の残高に合わせた資金繰り表の作成が可能です。この残高調整機能は特許を取得しているため、Milestone以外の資金繰りシステムでは利用できません。
FAQ・チャット・メールでサポートを受け付けており、1ヶ月の無料おためし期間もあるので、実際に操作して機能性や操作性を確かめてみてはいかがでしょうか。
社長の管理会計クラウド|タブレットでも使いやすい設計
社長の管理会計クラウドの概要は、次のとおりです。
商品名 | 社長の管理会計クラウド |
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販売会社 | 株式会社unlimited |
料金 | 月額料金:5,500円(税込) |
ユーザー数 | 3名 |
クラウド型・インストール型 | クラウド型 |
公式サイトURL | 社長の管理会計クラウドホームページ |
社長の管理会計クラウドの特徴
- タブレットでも使いやすい仕様
- 残高をグラフで表示できる
- 同会社の「粗利管理クラウド」を併用すれば、売上と原価が自動で表示される
- データは日々自動的にバックアップされる
- 実績残高との差がある場合は理由をメモできる
社長の管理会計クラウドがおすすめの人
- 外出が多くタブレットで資金繰りの管理をしたい人
- 電話でのサポートを受けたい人
- 粗利管理システムの導入も検討している人
社長の管理会計クラウドは、パソコンだけでなくタブレットでも操作しやすい仕様になっています。自動で残高のグラフが表示されるので、資金繰り表の推移を一目で確認できます。
暗号技術により通信データを暗号化しているため、セキュリティに関して心配な方でも安心です。サポートや問い合わせは、電話・メール・チャットにて対応しています。
30日無料おためし期間があるので、気になる方は実際に試してみてください。
社長の安心|3カ月の無料おためし期間がある
社長の安心の概要は、次のとおりです。
商品名 | 社長の安心 |
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販売会社 | 株式会社ソフタス |
料金 | 月額料金:8,250円(税込) 年額料金:88,000円(税込) |
ユーザー数 | 5名(ユーザーの追加は不可) |
クラウド型・インストール型 | クラウド型 |
公式サイトURL | 社長の安心ホームページ |
社長の安心の特徴
- 複数の銀行口座残高を一覧で表示できる
- 入力のひな形をテンプレート化できる
- シミュレーション機能がある
- 外部提出用の資金繰り表を出力できる
- 有償で技術者による初期導入支援や教育サービスが受けられる
社長の安心がおすすめの人
- 無料おためし期間で慎重に判断したい人
- 銀行が求める形式で資金繰り表を出力したい人
社長の安心は、複数の銀行口座残高を一覧で確認できます。そのため、口座間の資金移動や借入時期の目安を把握するのに役立つでしょう。
また、定期的に発生する支払いや売上などをテンプレート登録しておけるので、入力作業の効率化を図れます。
無料おためし期間が3カ月と、ほかの資金繰りシステムと比較しても長いのが特徴です。機能性や操作性などをじっくり判断してください。
Gurinosuke|プレミアムプランならユーザー数無制限
Gurinosukeの概要は、次のとおりです。
商品名 | Gurinosuke |
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販売会社 | 合同会社オンザウェイ |
料金 | フリープラン:無料 プレミアムプラン:月額1,650円(税込) |
ユーザー数 | フリープラン:1名 プレミアムプラン:無制限 |
クラウド型・インストール型 | クラウド型 |
公式サイトURL | Gurinosukeホームページ |
Gurinosukeの特徴
- フリープランでも資金繰り表作成機能が使える
- 弥生会計のCSVデータの取り込みが可能
- ユーザー数が無制限
- 外部提出用の資金繰り表を出力できる
- シミュレーション機能がある
Gurinosukeがおすすめの人
- 多くのユーザーが利用する場合
- 会計ソフトに弥生会計を利用している人
Gurinosukeは、資金繰り表・支払予定管理・現金出納帳を作成できます。シンプルで使いやすい仕様になっているので、これまで資金繰り表を作成したことがない方でも利用しやすいでしょう。
フリープランの場合は、データを3カ月間保存できます。一方のプレミアムプランでは、3年間ものデータを保存できます。資金繰り表の項目も自由に作成できるため、より柔軟な資金繰り表の作成が可能です。
疑問点を質問したい場合は、問い合わせフォームより質問できます。
フリープランに申し込むと、14日間無料でプレミアムプランの機能が使えます。気になる方はプレミアムプランの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
feliz(フェリス)|コスパの良さを求めたい方におすすめ
feliz(フェリス)の概要は、次のとおりです。
商品名 | feliz(フェリス) |
---|---|
販売会社 | タクト情報システムズ株式会社 |
料金 | 月額料金:1,000円(税込) 年額料金:10,000円(税込) |
ユーザー数 | - |
クラウド型・インストール型 | クラウド型 |
公式サイトURL | feliz(フェリス)ホームページ |
feliz(フェリス)の特徴
- 月額料金が安い
- 科目ごとにグラフで比較できる
- 5口座まで口座別に残高を管理できる
- シミュレーション機能がある
- 外部提出用の資金繰り表を出力できる
feliz(フェリス)がおすすめの人
- 低コストで資金繰りを管理したい人
- 複数の口座を管理したい人
feliz(フェリス)は、資金繰りを管理できるアプリです。科目ごとにグラフで比較できる機能が付いているので、季節変動による影響の分析に役立ちます。
また、社内や銀行の予定を登録できるカレンダー機能があります。「休日に支払い予定を入れる」というようなミスを軽減するのに役立つでしょう。
SSLをもちいて通信データを暗号化しているため、セキュリティ対策に関しても安心です。
疑問点がある場合は、feliz(フェリス)ホームページの問い合わせフォームより連絡できます。無料おためし期間が39日間あるので、気になる方は試してみてはいかがでしょうか。
資金繰りシステムに関してよくあるQ&A
- 会計ソフトに付いている資金繰り表作成機能でもいい?
- 会計ソフトに付随している資金繰り表作成機能でも、資金繰りは問題なく管理できるでしょう。ただ、会計と資金繰りの管理はそもそもの目的が異なります。会計ソフトに付いている資金繰り表を使う場合は簿記や仕分の知識がないと扱いにくいシーンもあり「使い勝手が悪い」と感じる方もいるかもしれません。このため、会計ソフトの資金繰り表作成機能よりも、比較的誰でも扱いやすく、資金繰りに特化したシステムを利用するほうがおすすめです。
- Aprecciaとはどんな資金繰りシステム?
- テクマトリックス株式会社が提供する「Apreccia(アプレシア)」は、市場系業務管理システムです。金融機関や証券会社など、幅広い業界が導入しています。特定の用途に特化した「市場性貸出管理システム」や「資金繰り管理システム」も提供しているので、資金管理システムの導入を検討しているなら、ぜひあわせてチェックしてみてください。
効率性と精度の向上が期待できる資金繰りシステムで資金繰り管理を円滑に
資金繰り表はエクセルで管理する方法もありますが、効率性・属人化の防止・精度の向上など、多角的に見ると資金繰りシステムを導入したほうが便利でしょう。
記事でご紹介した資金繰りシステムは、どれも「基本的な資金繰り表の作成機能がある」という点では共通していますが、料金と付随する機能や操作性が異なります。
実際に使ってみないとわからない面もあるので、無料おためし期間がある場合は積極的に利用し、機能性や操作性を確認してみてください。
効率的に資金繰りを管理できる資金繰りシステムを利用して、安全な事業活動に役立てましょう。