ファクタリングの契約には、大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があります。

両者には、仕組み・手数料・入金までのスピードなどの違いがあり、一概にどちらの契約が優れているとは言えません。

ファクタリングで資金調達する際は、どちらの契約が自社にとってベストな選択となるか、多角的に検討することが重要です。

今回は2社間ファクタリングと3社間ファクタリング、両者の違いについて解説します。

 

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングとは?

ファクタリング説明図

2社間・3社間ファクタリングとは】

2社間ファクタリングとは、売掛先に知られることなく債権譲渡ができるサービス

3社間ファクタリングとは、売掛先の同意が得られなければ債権譲渡できないサービス

結論、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの大きな違いは、売掛先に対する秘匿性の有無です。

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶため、売掛先は契約に一切関与しません。

したがって「債権譲渡を売掛先に知られると、自社の経営が上手くいっていないことを勘繰られるのではないか?」という不安がある中小企業者でも、取引先との関係悪化を心配せずに利用できるサービスです。

3社間ファクタリングは、債権譲渡にあたって売掛先の同意が必須となり、資金調達までの時間も長引きます。その代わり、手数料が安く、債権回収の面でも2社間よりアドバンテージがあるサービスです。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングには、前章で述べた仕組みの違いのほか、以下6つの相違点があります。

  • 手数料相場の違い
  • 審査の可決率の違い
  • 入金までのスピードの違い
  • 債権回収の違い
  • 個人事業主の利用可否の違い
  • サービス提供会社の違い

各項目、詳しく解説しているので、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングどちらを利用すべきか悩んでいるなら、まずは目を通してみましょう。

手数料相場の違い

手数料の違い

【2社間・3社間】手数料相場の違い

2社間ファクタリングの手数料相場は、債権額面の10~20%

3社間ファクタリングの手数料相場は、債権額面の1~5%

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの手数料の違いは、すなわち、ファクタリング会社が負うリスクの大きさの違いに他なりません。

2社間の方が手数料が高いのは、ファクタリング会社が負う未回収リスクが、3社間に比べて高いからです。

ファクタリングは手形割引と違って、万が一、売掛先が支払不能に陥っても、自社に買い戻しの義務はなく、ファクタリング会社がリスクを負います(ノンリコース契約)。

売掛先が契約に関与しない2社間ファクタリングは、ファクタリング会社が直接売掛先から売掛金を回収しないため、いったん自社が売掛金を預かり、1営業日以内にファクタリング会社に支払わなければなりません。

しかし、自社が売掛金を別の用途に使い込んだり、自動引き落としされたりして、ファクタリング会社に支払うだけの金額を用意できなかった場合、この未回収リスクもファクタリング会社が負うことになるのです。

一方で、3社間ファクタリングの場合は、ファクタリング会社が売掛先から直接売掛金を回収するため、2社間ファクタリングのような未回収リスクは発生しません。

このように、ファクタリング会社が負うリスクの大きさの違いが、ファクタリングの手数料の設定に反映されているのです。

 

審査の可決率の違い

リスクに比例

【2社間・3社間】審査の可決率の違い

2社間ファクタリングは、審査の難易度が高い

3社間ファクタリングは、審査の難易度が低い

ファクタリングの審査に通るかどうかは、前述したリスクをファクタリング会社が許容できるかどうかにかかっています。

2社間ファクタリングは、ファクタリング会社が負うリスクが3社間に比べて大きいので、審査の難易度が高くなる傾向です。

反対に、3社間ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛先から直接売掛金を回収するため、2社間に比べて未回収リスクが低く、審査があまり厳しくありません。

ただし、売掛先が個人事業主であったり、倒産リスクが高いと判断されたりすれば、審査に通りにくくなります。

入金までのスピードの違い

【2社間・3社間】入金までのスピードの違い

2社間ファクタリングは、最短即日の資金調達が可能

3社間ファクタリングは、即日での資金調達が難しい

2社間ファクタリングは売掛先が関与しないため、審査に通過しさえすれば、すぐに資金調達が可能です。

一方で、3社間ファクタリングは、売掛先へ債権譲渡の通知および同意を得るプロセスが発生するため、即日の資金調達は難しくなります。

とくに売掛先が大手企業になると、2~3週間以上の時間を要する場合もあります。

初めて契約する場合も、売掛先に対して資金調達が必要な理由や、ファクタリング会社の実態など、さまざまな説明が必要となるでしょう。

即日の資金調達を希望する場合は、手数料こそ高くなりますが、売掛先の同意が不要な2社間ファクタリングをおすすめします。

債権回収の違い

【2社間・3社間】債権回収の違い

2社間ファクタリングは、集金業務委託契約を結び、自社がファクタリング会社に代わって回収する

3社間ファクタリングは、ファクタリング会社が直接売掛先から回収する

ファクタリングで売掛債権を資金化した後、売掛先から期日通りに支払われる売掛金は、ファクタリング会社に取得する権利があります。

2社間ファクタリングは売掛先が関与しないため、ファクタリング会社が直接売掛先から回収することはできません。

したがって、ファクタリング契約時に債権回収業務を利用者(自社)に委託する「集金業務委託契約」を結ぶのです。

これにより、自社は通常どおり売掛先から売掛金を回収し、1営業日以内にファクタリング会社に支払う義務が発生します。

対する3社間ファクタリングは、ファクタリング会社が直接売掛先から売掛金を回収します。

つまり、利用者は債権回収をファクタリング会社にアウトソーシング(外注)できるため、回収業務や債権管理のコストをカットして、資金繰りや経営の改善に注力できるのです。

個人事業主の利用可否の違い

個人事業主のファクタリング利用の可否

【2社間・3社間】個人事業主の利用可否の違い

2社間ファクタリングは、個人事業主が利用できない場合が多い

3社間ファクタリングは、個人事業主でも利用できる

ファクタリングは、個人事業主でも売掛債権があれば利用できます。

ただし「個人事業主は3社間ファクタリングのみ可」という利用条件を設けているファクタリング会社もあります。その理由は、債権譲渡登記という手続きが関係しているからです。

債権譲渡登記とは、ファクタリング会社が利用者から譲受した債権の権利を、第三者に対して主張できるようにする手続きのことです。

ちなみに、債権譲渡登記の費用は、債権個数により7,500〜10,000円(登録免許税)と、司法書士の報酬・概要証明書取得・郵送料などがかかります。

2社間ファクタリングは取引の性質上、売掛先が関与しません。債権譲渡登記をしておかないと、ファクタリング契約後にもかかわらず、売掛先が債権の権利を主張できてしまいます。

しかし、債権譲渡登記は法人のみに限定されているため、個人事業主では登記ができません。

これにより、多くのケースで個人事業主が2社間ファクタリングを利用できないのです。

一方で、3社間ファクタリングは売掛先の同意が得られれば、債権譲渡登記が不要なため、個人事業主でも利用できます。

サービス提供会社の違い

【2社間・3社間】サービス提供会社の違い

2社間ファクタリングは、中小の独立系ファクタリング会社が得意とするサービス

3社間ファクタリングは、大手の銀行系ファクタリング会社が得意とするサービス

ファクタリング会社には、大手銀行や地方銀行の系列・グループの「銀行系ファクタリング会社」と、どこにも属さない中小の「独立系ファクタリング会社」があります。

銀行系ファクタリング会社は、基本的に3社間のみを取り扱っており、信用力の高い売掛先の債権を買取対象としているため、利用条件が銀行融資並みのハードルの高さとなっています。

2社間ファクタリングは、中小企業者をメインの顧客とする独立系ファクタリング会社が得意なサービスです。

独立系ファクタリング会社は、銀行系と比べてリスクを許容できるため、ある程度柔軟な対応を可能としています。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのメリット・デメリット

ここまでで解説した2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いをもとに、それぞれのメリット・デメリットを以下にまとめました。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらを利用するか俯瞰的に判断する際に、ぜひ参考にしてみてください。

2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
メリット
  • 資金調達がスピーディー
  • 売掛先に知られない
  • 中小の独立系に強い
  • 手数料が低い
  • 審査があまり厳しくない
  • 大手の銀行系に強い
  • 売掛金の回収・取引などを一任できる
デメリット
  • 手数料が高い
  • 自社で売掛金を回収する
  • 審査が厳しい傾向にある
  • 資金調達に時間がかかる
  • 売掛先に知られる

各サービスの良し悪しを天秤にかけ、自社にとって損のない資金調達法を選択しましょう。

2社間・3社間ファクタリングに関するQ&A

2社間・3社間ファクタリングに関して、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。

Q.2社間と2者間の違いは何ですか?
2社間ファクタリングも2者間ファクタリングも、大きな違いはありません。本質的なサービス内容は同じです。
ただ、個人事業主がファクタリングサービスを利用する際には、法人や会社を意味する「2社間」ではなく、個人を表す「2者間」を用いる場合があります。
Q.2社間ファクタリング自体は違法ではないのですか?
2社間ファクタリングは、法務省により定められた法人の資金調達方法の一つであり、違法ではありません。
平成10年10月1日に実施された「債権譲渡登記制度」および、平成17年10月3日に施行された「法律の一部改定」によって、国が認める資金調達方法となりました。
この制度・法律の制定には、企業が資産を有効に運用してグロースするために、資金調達をさらに円滑化・多様化するという背景があります。
ただし、新しい資金調達方法であり、それを逆手に取った違法業者も一定数いるため、2社間ファクタリングを利用する際は慎重に選びましょう。
Q.2社間の利用を検討していますが、手数料を低くすることはできませんか?
A.信用力の高い売掛先の債権を売却すれば、ファクタリング会社が負う未回収リスクが低くなるため、手数料を抑えられます。また、対面式で契約を結ぶファクタリング会社であれば、交渉次第で手数料を下げてもらえる可能性があります。
Q.2社間ファクタリングを利用すれば、確実に即日の資金調達が可能ですか?
A.2社間ファクタリングであれば、必ず即日の資金調達が可能というわけではありません。即日の資金調達を希望するのであれば、ファクタリングの申込みと契約に必要な書類をあらかじめ揃えておくことが大前提です。そのうえで、最短即日の資金調達の実績があるファクタリング会社に買取を依頼しましょう。
Q.2社間ファクタリングの高い手数料は違法ではないのですか?
A.ファクタリング会社が手数料相応のリスクを負うという条件であれば、債権額面の10~20%の手数料も違法ではありません。2社間ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛先の貸し倒れリスクに加え、利用者からの未回収リスクも負うことになるため、手数料が高めに設定されています。
Q.個人事業主なのですが、2社間ファクタリングを利用することはできないのですか?
A.2社間ファクタリングに必須の債権譲渡登記は、法人のみに限定される手続きです。したがって、債権譲渡登記ができない個人事業主は、2社間ファクタリングが利用できません。ただし、ファクタリング会社の中には、利用者が相応の手数料を負担する代わりに、債権譲渡登記を行わない2社間ファクタリングを提供しているところもあります。
>>「個人事業主の利用可否」について詳しく見る

契約の違いを理解して自社にとってベストな選択を

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いについて、仕組みや手数料など、さまざまな要素から比較してみました。

両方とも一長一短があり、片方がもう片方より優れているというものではありません。

手数料の安さだけで3社間ファクタリングを選んだとしても、売掛先の信用不安を招いてしまっては本末転倒です。

どちらのファクタリング契約を選ぶかは、手数料の安さ・入金までのスピード・債権譲渡の秘匿性など、自社が何を重視し何を優先するか、多角的に判断しましょう。