経営を行う中で、黒字倒産という言葉を聞いた経験がある方も多いでしょう。黒字倒産とは利益が黒字でありながらも、資金繰りの悪化などで倒産に至ってしまう現象です。黒字倒産を防ぐためには、売上を上げるだけでなく売掛金の回収を早めるなど資金繰りに着目して施策を実行する必要があります。

今回は黒字倒産について、起きる原因・割合・事例・対策などをまとめました。本記事を読めば黒字倒産の概要について理解し、未然に防ぐための施策をスムーズに実行できます。黒字倒産を未然に防ぎ、設備・人材投資の拡大などに創出した利益を有効活用しましょう。

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黒字倒産とは?わかりやすく解説

黒字倒産とは帳簿上で利益が出ているにもかかわらず、資金繰りなどの問題で倒産に至ってしまう事態を指します。表面的には黒字決算をしていても、内部では極めて深刻な問題を抱えている可能性があるのが黒字倒産の特徴です。

一般的に、企業経営では収支が黒字であれば健全であると考えられがちです。しかし、黒字倒産の場合は売上が上がっているものの、売掛金の回収が滞っているなど見えにくい財務上の課題を抱えているケースがあります。

表面的な業績は良好でも、内部の資金繰り・債務状況が悪化すると資金が枯渇して倒産に追い込まれます。経営者は利益のみに着目せず、資産・負債の状況を把握して注意深く経営状況を分析するのが重要です。

黒字倒産に関わるキャッシュフローとは

キャッシュフローとは、企業の現金の流れを表す指標です。上場企業は、企業全体の現金の流れを示す「キャッシュ・フロー計算書」の作成・開示が義務づけられています。

黒字倒産に陥りがちな企業は表面的に黒字決算を続けていても、実際にはキャッシュが不足して資金繰りに窮しているケースが多いです。例えば、売上は好調でも売掛債権の回収遅延・過剰な設備投資などで資金が枯渇しているケースがあります。

企業が保有する現金が枯渇している状態が黒字倒産の根本原因であり、キャッシュフローの管理が重要です。経営者は常にキャッシュフローを注視し、資金繰りの健全性を確認する必要があります。

黒字倒産に陥る企業の割合

東京商工リサーチの「倒産企業の財務データ分析」調査によれば、2022年1月12月に倒産した企業のうち62.9%が赤字決算でした。37.1%は黒字決算となっており、約4割の企業が黒字倒産しています。

よって、多くの企業が帳簿上での利益を出していながらも資金繰りなどの関係で倒産しているのがわかります。特に、ベンチャー・スタートアップ企業では成長に伴う設備投資・人件費の増加などでキャッシュフローが悪化しやすい傾向です。安定的な経営を維持するためにも、経営者は高い意識を持って資金状況の管理に取り組む必要があります。

黒字倒産はなぜ起こる?その理由・原因とは?

黒字倒産が起こる理由として、以下の4つが挙げられます。

  • 資金繰りが厳しい
  • 多額の負債がある
  • 後継者が見つからない
  • 人手不足

上記の原因に対しては、日頃から適切な対策を講じておきましょう。

資金繰りが厳しい

黒字倒産の最も大きな原因の1つが、企業の資金繰りの悪化です。たとえ売上・収益が好調であっても資金が枯渇してしまえば、いつ倒産してもおかしくない状態に陥ります。

資金の枯渇は売掛金の回収が遅れたり、過剰な設備投資で資金が逼迫したりするなどが問題の根源です。資金繰りが悪化すれば取引先への支払いが滞るなど企業の信用失墜を招き、取引自体が成り立たなくなり倒産します。

多額の負債がある

黒字倒産には、多額の負債も大きく関与しています。表面的には黒字を出し続けていても、債務の累積によって資金が枯渇し返済不能に陥り倒産する流れです。

過剰な設備投資・M&A・事業の多角化などで借入を重ねた場合、予想よりも返済額が多くなるケースがあります。多額の負債がある状態では利益の大部分が返済に充てられ、資金繰りの悪化を招きます。

後継者が見つからない

黒字倒産の背景には、経営の承継問題も隠されているケースもあります。創業者が高齢化し、後継者不在のまま事業の継続が難しくなるケースです。

後継者がスムーズに決まらない場合、経営の安定性が失われがちです。リーダーシップの欠如・経営判断の遅れなどから、業績の低下など経営の悪化も招きます。後継者がなかなか見つからない企業では、事業継続不能による黒字倒産のリスクが高まるのはもちろん、意思決定にも大きな悪影響をもたらします。

人手不足

近年、深刻化する人手不足も黒字倒産の原因です。人材確保が困難になれば生産性・サービス水準の低下を招き、事業の継続が困難となります。

上記の状況下で経営者は人材の確保・生産性向上への投資などに追われ、結果として資金繰りが悪化して倒産に至るケースもあります。人手不足への対策は、黒字倒産を防ぐ上でも重要なポイントです。

黒字倒産が発生する仕組み

黒字倒産の背景にあるのは、収支が黒字でも資金繰りが悪化していく状況です。例えば、売上は増加しているものの売掛金の回収が遅れたり、過剰な設備投資があったりすると現金が手元に残りにくくなります。

上記の状態が続けば取引先への支払いが滞り、事業を継続できません。多額の負債があれば返済に追われ、利益の大部分が消えていくなど悪循環に陥ります。

黒字倒産に至る背景には、経営者の意識の問題も指摘されます。業績の数字ばかりに目を奪われ、資金繰りの管理が疎かになるのが原因です。

安定的な経営には売上・収支だけでなく、適切な資金繰り管理を行うのが何より重要です。資金状況を適切に管理できれば、黒字倒産を未然に防げます。

黒字倒産した有名企業・会社の事例

実際に黒字倒産をした有名企業・会社の事例として、以下の2社が挙げられます。

  • アーバン・コーポレーション
  • 江守グループホールディングス

上記事例を参考に、黒字倒産を未然に防ぐ対策を施しましょう。

アーバン・コーポレーション

アーバン・コーポレーションは、1990年創業で急成長を遂げた土地開発を行う企業でした。首都圏を中心に大規模な分譲マンション開発を手掛け、業績も順調で黒字経営だと認識されていた企業です。

しかし、実際には不動産市況が悪化する中で、用地仕入を好調時と同様のペースで継続していました。結果として過剰在庫となり、2008年に経営破綻へと至ってしまいます。資金繰りが悪化し、金融機関からの借入で経営を続けていましたが、負債が膨らみ続けて最終的に支払いが滞り倒産となりました。

表面的には黒字を維持していたアーバン・コーポレーションでしたが、内部では深刻な資金繰り悪化に直面していました。アーバン・コーポレーションの事例は、黒字倒産の典型的な事例として知られています。

江守グループホールディングス

江守グループホールディングスは福井市に拠点を置く化学品・合成樹脂などを扱う卸売商社でした。東証1部(現東証プライム市場)に上場する成長著しい企業でしたが、2015年に経営破綻に追い込まれます。

江守グループホールディングスが黒字倒産に至った原因は、売掛債権の未回収分が多額に渡ったためです。中国での取引規模を拡大するなか、大口取引先の販売代金が回収不能となって一気にキャッシュフローが悪化しました。

また、2015年に中国の現地法人における不正取引が発覚し、約234億円の債務超過へと転じました。結果として事業継続が困難となり、同年の4月に民事再生法を適用して事実上の倒産に至ったという経緯です。

黒字倒産しやすい業種は建設業・不動産経営

黒字倒産は企業にとって極めて深刻な事態ですが、特に建設業・不動産経営の企業で多くの事例が見られます。まず、建設業は大型の設備投資が必要な業界です。工事受注が好調であれば一見して黒字経営を続けていると見なされがちですが、実際には資金繰りが逼迫しているケースがよくあります。

請負契約を締結して工事を行うため、建物が完成しない限り報酬を受け取れないためです。工事には多くの資材・人件費も必要になり、経費負担が重荷となって企業の資金繰りを悪化させます。

また、不動産経営では購入した不動産を耐用年数分で減価償却として経費計上します。しかし、耐用年数を過ぎると不動産の購入金額を減価償却として経費計上できません。ローンで不動産を購入した場合は元金返済額を経費計上できないため、キャッシュフローが悪化して倒産に追い込まれます。

黒字倒産を回避するための対策

黒字倒産を回避するための対策として、以下の6つが挙げられます。

  • キャッシュフローを把握する
  • 資金繰り計画に余裕を持たせる
  • 売掛金回収は早く買掛金の支払期日は遅くする
  • 過剰在庫をなくす
  • 常に資金調達できる体制を整える
  • M&Aを活用する

上記対策を講じて、黒字倒産を未然に防ぎましょう。

キャッシュフローを把握する

黒字倒産の根本的な原因は、企業の資金繰りの悪化にあります。まずは自社のキャッシュフローを正確に把握し、現金の流れを詳細に分析するのが重要です。

以下のような現金の流出入を把握すれば、資金が枯渇しそうなタイミングなど資金繰りの問題を発見しやすくなります。

  • 売上債権の回収状況
  • 設備投資
  • 借入返済

問題点を把握できれば、資金が枯渇しそうなタイミングで資金調達を行うなど改善策を早期に実行できる点がメリットです。経営者はキャッシュフロー計算書を作成し、資金の流れを注視する必要があります。

資金繰り計画に余裕を持たせる

資金繰りは余裕を持たせて計画を立てましょう。企業の資金繰りに余裕がなければ、予期せぬ多額の出費が発生した際に対応できなくなります。

特に売掛・買掛取引を行っている場合は、実際の現金状況と帳簿上の損益が一致しないケースも多いです。キャッシュフローが常にプラスとなるよう、売掛債権の回収期日早期化など資金繰りに余裕を持たせるアクションが重要です。資金繰り計画を立てる際は、経常収支・前月と次月の繰越金額を明確にして入出金が常にプラスの状態となるよう管理しましょう。

売掛金回収は早く買掛金の支払期日は遅くする

黒字倒産を防ぐためには、売掛金回収は早く買掛金の支払期日は遅くしましょう。黒字倒産は、売掛金の回収遅延などによる資金繰りの悪化が多くの原因です。売掛金の回収期間を短縮して買掛金の支払期日を可能な限り伸ばせば、手元資金を確保して黒字倒産を防ぎやすくなります。

具体的には、割引販売など取引先へのメリットを提示して売掛金回収期日を早めるよう交渉しましょう。買掛金に関しては、ある程度まとまった数量を購入する代わりに支払期日を延ばしてもらうなどのやり方があります。いずれにせよ、取引先へのメリットを提示して期日交渉を行うのがおすすめです。

過剰在庫をなくす

黒字倒産を防ぐためには、過剰在庫をなくしましょう。在庫が過剰になれば管理コストが増加する上に販売で得られる利益も少なくなるため、結果として企業の資金繰りを悪化させます。

そのため、経営者は在庫水準を適切に管理して過剰在庫を解消するのが重要です。具体的には、販売動向を正確に把握して需要予測を行い、必要最小限の在庫を保持できるようにする必要があります。

また、セール企画の実施など在庫の回転率を高めるための施策も有効です。過剰在庫を解消すればキャッシュフローを改善して、黒字倒産のリスクを下げられます。

常に資金調達できる体制を整える

企業が黒字倒産に陥らないためには、いつでも必要な資金を調達できる体制を整えておくのが重要です。例えば、すぐに融資を受けられるように日頃から金融機関との関係を構築しておくなどのやり方が挙げられます。融資を断られたときのために、複数の金融機関と取引して相談できる体制を整えておくのも大切です。

ファクタリングなど他の資金調達方法をすぐに実施できる体制を整えておけば、必要なタイミングで資金を確保しやすくなります。上記のように、常に資金調達の選択肢を複数用意して資金繰りの悪化を防げるように準備しておきましょう。

M&Aを活用する

黒字倒産を回避する方策の1つとして、M&Aの活用も考えられます。M&Aとは、企業の買収・合併です。M&Aを通じて他企業と合併もしくは買収を受ければ、相手先企業の資本を活用して黒字倒産を回避できる可能性があります。

M&Aは資金難を改善できるだけでなく、後継者が見つからない問題も解決可能です。ただし、M&Aを行う際は相手企業の実態を十分に把握した上で慎重に検討・実行するのが重要となります。

黒字倒産が起こる予兆をチェックするポイント

黒字倒産が起こる予兆をチェックするポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • 資金繰り表で営業・経常収支を確認する
  • 貸借対照表で財産・債権・債務状況を確認する
  • 損益計算書で利益状況を確認する

上記のポイントを確認して、適切な対策を講じましょう。

資金繰り表で営業・経常収支を確認する

まず、資金繰り表を作成しましょう。資金繰り表とは企業の現金の出入りを項目ごとに可視化した資料です。資金繰り表を作成すれば現在の資金状況を数値として明確にでき、現金の保有状況に余力があるかを確認できます。

資金繰り表で最初に確認すべき点は、営業・経常収支です。特に営業収支がプラスであっても経常収支がマイナスの場合、資金繰りが厳しくなって黒字倒産に陥る可能性があります。経常収支がマイナスとなっている場合は、コスト削減・資金調達など早急な改善策が必要です。

資金繰り表を詳細に分析し、売掛金の回収状況・設備投資など現金の流出入状況を把握しておきましょう。資金繰り表は月ごとに作成して資金の増減を確認するのが一般的です。

貸借対照表で財産・債権・債務状況を確認する

次に注目すべきなのが、貸借対照表です。貸借対照表とは企業の持つ財産・債権・債務の状況を可視化した資料で、財務状況を正確に把握できます。

貸借対照表で黒字倒産のリスクを確認するためには、純資産の項目に記載がある自己資本比率をチェックしましょう。自己資本比率とは、企業の資産全体における自己資産の割合です。

自己資本比率が高いほど返済義務がない資金を多く保有しており、借入金超過による倒産のリスクが低いと判断できます。自己資本比率は、以下の計算式で算出可能です。

  • 自己資本比率=純資産÷(純資産+負債)×100

自己資本比率の高い・低いに明確な基準はありませんが、中小企業庁の令和4年中小企業実態基本調査報告では全産業の平均が40.13%です。上記の数値を上回る場合は、黒字倒産するリスクは低いと考えられます。

損益計算書で利益状況を確認する

損益計算書上の利益の推移も確認しましょう。損益計算書とは、一定期間の収益・費用をまとめた書類です。

黒字倒産は売上が増えていても支出が大きい場合に起きやすく、営業・経常利益が出ていないケースが多いです。損益計算書をチェックして営業・経常利益が出ていない・マイナスの場合は、早急に改善が必要となります。

黒字倒産を回避するために知っておきたい「実質資金」

黒字倒産を回避するためには、企業の資金繰り状況を的確に把握する必要があります。そのために、単なる収支の黒字・赤字だけでなく企業の「実質資金」にも注目する必要があります。実質資金とは自社の現預金から借入金を引いた金額で、自己資金とも呼ばれます。

  • 実質資金=現預金ー借入金

たとえ現預金が多くても返済義務のある借入金が多い場合は、会社が自由に使えるお金が少なく倒産しやすくなります。よって、実質資金をいかに増やせるかが黒字倒産を防ぐ上で重要です。以下では、実質資金が増減する理由について詳しく解説します。

実質資金が増減する理由①収益が増減する

実質資金は黒字では増加して赤字では減少するため、企業収益の増減に大きく左右されます。

ただし、収益の増加・実質資金の増加が必ずしも比例するわけではありません。例えば、売上債権の回収が滞れば、収益は上がっていても現金が手元に残らないため実質資金は増加しないケースがあります。

実質資金が増減する理由②固定性資金が増減する

次に、固定性資金の変動が実質資金に影響を及ぼします。固定性資金とは、設備投資・長期借入金の返済などに使われる資金です。

固定性資金が増加すれば、設備投資・借入金返済などの支出が増えるため実質資金が減少します。一方で、固定性資金が減少すれば実質資金が増加します。

過剰な設備投資・多額の借入などは企業の実質資金を減らしてしまうため、注意が必要です。経営者は固定性資金の適正水準を常に意識して、資金配分の最適化を図る必要があります。

実質資金が増減する理由③運転資金が増減する

最後に、運転資金の変動も実質資金に大きな影響を与えます。運転資金とは、原材料の購入・従業員の給与など日々の事業活動に使われる資金です。運転資金は以下の計算式で算出できます。

  • 運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

売掛債権・商品在庫が増加すれば運転資金も増えて、企業の実質資金は減少します。逆に買掛金などの仕入債務が増えれば運転資金が減り、実質資金は増加する形です。

黒字倒産する会社と赤字でも潰れない会社の違い

倒産してしまう大きな要因は、黒字・赤字に限らず手元資金が枯渇する点です。見かけ上では黒字経営を続けていても、内部の資金繰りが悪化しているのが黒字倒産する会社の特徴になります。過剰な設備投資・売掛金回収の遅れなどにより現金の流れが滞り、資金不足でいつ倒産してもおかしくない状態に陥ってしまうのが問題です。

一方、赤字でも潰れない会社は表面的な収支が赤字であっても、強固な財務基盤・資金調達力を持っている場合が多いのが特徴です。例えば、親会社からの資金的な支援・自己資本比率の高さにより、一時的な赤字でも手元資金を枯渇させず事業を継続できます。

上記のように企業の経営実態を判断する際は、単なる収支の良し悪しだけでなく資金繰りの状況など財務健全性の総合的な評価が必要です。経営者は表面的な収支に惑わされず、財務体質を含めて企業の本質的な経営状況を見極める必要があります。

黒字倒産したその後はどうなる?

企業が黒字倒産に陥った場合、倒産には以下4つの選択肢があります。

  • 破産
  • 特別清算
  • 民事再生
  • 会社更生

上記のうち、破産・特別清算を利用した場合は会社を清算して廃業する必要があります。帝国データバンクの調査によれば、2023年の倒産における破産・特別清算の割合は97.3%と非常に高い割合です。多くの企業が破産・特別清算による倒産を選択しています。

一方で、民事再生・会社更生を選んだ場合は再生計画をもとに事業運営を継続して再建を図ります。基本的に中小企業の場合は会社更生が適用されないため、民事再生を利用するのが廃業を防ぐ唯一の方法です。

ただし、民事再生を利用しても必ず事業を継続できるとは限りません。民事再生の場合は外部企業が対象企業の株を買う形で資金の援助を受ける必要があります。もし株を買ってくれる企業が見つからない場合は、廃業の形になるため注意が必要です。

黒字倒産を回避するにはファクタリングがおすすめ

企業が黒字倒産に陥るリスクを低減するには、ファクタリングの活用が有効な手段となります。ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して資金化する方法です。

黒字倒産の多くは、売掛債権の回収遅延による資金繰りの悪化が原因となっています。ファクタリングを活用すれば売掛債権の回収期日を待たずに現金化できるため、手元資金を確保しやすいのがメリットです。

具体的には売上債権をファクタリング会社に譲渡して、手数料が差し引かれた金額を即座に受け取れます。申し込みから最短即日の入金に対応するファクタリング会社もあり、直近の支払いに充てる原資がない場合などにすぐ資金調達が可能です。

即時の資金調達によって企業は運転資金を確保できるため、一時的な収支の悪化・資金繰りの悪化を避けやすくなります。また、ファクタリングは借入金のように返済義務もないため、経営を安定させやすい点も特徴です。資金繰りに悩んでいる場合は、ファクタリングを利用しましょう。

なお、ファクタリング会社探しには「ファクタリング会社の口コミ」の利用がおすすめです。掲載数が209件と日本最大級であり、インターネットで広告宣伝されていない企業の情報も収集できます。

多くの選択肢から比較できるため、自分に合ったファクタリング会社を見つけやすい点が魅力です。運営が独自調査した取材レポートも掲載しており、ファクタリング会社を判断する材料を多く集めやすいメリットもあります。ファクタリング会社探しに悩む場合は「ファクタリング会社の口コミ」を利用しましょう。

黒字倒産の回避におすすめなファクタリング会社5選

黒字倒産の回避におすすめなファクタリング会社として、以下の5選を紹介します。

  • ビートレーディング
  • QuQuMo
  • 日本中小企業金融サポート機構
  • アクセルファクター
  • 黒字倒産レスキュー隊

上記の中から、希望条件に合ったファクタリング会社を選びましょう。

ビートレーディング

種類
  • 2社間ファクタリング
  • 3社間ファクタリング
  • 診療報酬買取ファクタリング
  • 注文書買取ファクタリング
買取可能額 下限・上限なし
手数料 2社間ファクタリング:4%~12%

3社間ファクタリング:2%~9%

入金スピード 最短2時間
手続き方法 オンライン・LINE
公式サイト https://betrading.jp/

ビートレーディングは豊富な取引実績があるファクタリング会社です。取引社数は5.8万社にのぼり、累計買取額は1,300億円となっています。幅広い業種・業界への支援実績があるため、顧客のニーズへ柔軟に対応してくれる点が魅力です。

申し込みから最短2時間で入金される資金調達スピードも特徴です。直近の支払いが間に合わないなど急な資金需要にも問題なく応えられます。

申し込み時の提出書類は、売掛金入金が確認できる通帳のコピー・請求書など売掛債権に関する資料の2点のみです。手続きの準備に時間がかからず、資金調達の手間が少ない点も魅力です。詳しいサービス内容を知りたい場合は「ビートレーディングの口コミ」をチェックしてください。

QuQuMo

種類 2社間ファクタリング
手数料 1%~14.8%
入金スピード 最短2時間
買取可能額 下限・上限なし
手続き方法 オンライン
公式サイト https://ququmo.net/

QuQuMoはオンライン完結型のファクタリングサービスを提供する会社です。スマホ・PCからインターネット上で申し込み~契約・入金を完結できるため、場所に縛られず簡単に手続きできます。

QuQuMoは買取可能額に上限がない点も特徴です。新規設備投資など高額な費用がかかる場合も、十分な金額を資金調達できます。

電子契約サービスのクラウドサインを利用している特徴もあります。弁護士ドットコムが監修しているため、あらゆる不測の事態にも対応できる万全のセキュリティ体制を整えている点も魅力です。実際にサービスを利用した人の感想を知りたい場合は「QuQuMoの口コミ」を確認しましょう。

日本中小企業金融サポート機構

種類
  • 2社間ファクタリング
  • 3社間ファクタリング
手数料 1.5%~10%
入金スピード 最短即日
買取可能額 上限・下限なし
手続き方法 オンライン・電話・郵送
公式サイト https://chushokigyo-support.or.jp/

日本中小企業金融サポート機構は一般社団法人として、ファクタリングサービスを提供しています。非営利団体であるため過度な営利追求を行っておらず、手数料は1.5%~と低水準で利用できる点が特徴です。

日本中小企業金融サポート機構は「経営革新等支援機関」に認定されています。経営革新等支援機関とは、税務・金融・企業財務に関する専門的知識・支援実績があるのを認定する制度です。ファクタリング以外にもM&A・補助金申請など幅広い支援を行ってくれます。

ホームページには「即日調達診断」機能が備わっており、簡単な質問に答えて調達可能な金額をすぐに判断できます。持っている売掛債権でどのくらいの資金が調達できるか知りたい方にもおすすめです。実際のサービス利用手順を知りたい方は「日本中小企業金融サポート機構の口コミ」をチェックしましょう。

アクセルファクター

種類
  • 2社間ファクタリング
  • 3社間ファクタリング
手数料
  • 2社間:3%~10%
  • 3社間:1%~8%
入金スピード 最短即日
買取可能額 30万円~1億円
手続き方法 対面・オンライン・郵送
公式サイト https://accelfacter.co.jp/

アクセルファクターは少額の資金調達に対応しているファクタリング会社です。買取可能額は30万円から対応しており、日々の事業支出の足しにするなど高額な資金調達が必要ない場合でも問題なく利用できます。

早期申し込み割引を採用している点も特徴です。入金希望日よりも申し込み日が早い場合は、日数に応じて以下の手数料割引を受けられます。

  • 入金希望日より30日以上前に申し込みした場合:手数料を1%割引
  • 入金希望日より60日以上前に申し込みした場合:手数料を2%割引

なるべく手数料を抑えて多くの資金を調達したい場合は、アクセルファクターがおすすめです。他社との比較情報を知りたい方は「アクセルファクターの口コミ」を確認しましょう。

黒字倒産レスキュー隊

種類
  • 2社間ファクタリング
  • 3社間ファクタリング
手数料 要問い合わせ
入金スピード 要問い合わせ
買取可能額 要問い合わせ
手続き方法 オンライン・LINE
公式サイト https://www.kuroji-rescue.com/

黒字倒産レスキュー隊は、個人事業主・建設業・運送業を主な対象としたファクタリング会社です。ホームページから必要な情報を入力して無料で見積もり依頼できるため、いくら調達できるか知りたいだけの方も安心して利用できます。

必要書類提出後に最短1時間~2時間で査定が終わり、比較的早く資金調達できる点も特徴です。LINEでの財務相談にも対応しており、資金調達が本当に必要かなど疑問点がある場合も気軽に相談して不安を払拭できます。

黒字倒産を回避して事業投資を拡大させよう

表面的な収支が良好であっても、資金繰りの悪化などが原因で倒産してしまう現象が黒字倒産です。黒字倒産の原因は、資金繰りの悪化・多額の負債などの財務上の課題が挙げられます。売上は伸びているものの資金が枯渇していて、いつ倒産してもおかしくない状況にあるのが特徴です。

特に建設業などの売上の入金に時間がかかる業界では、黒字倒産のリスクが高まります。黒字倒産を回避するためにはキャッシュフローの把握・資金調達の実施など、財務の改善に目を向けるのが重要です。表面的な売上・利益だけに着目せず、財務の健全性を見極めて適切な対策を講じるのが黒字倒産を防ぐカギとなります。