「融資とファクタリングは何が違う?」

「融資とファクタリングはどのようなときに利用するのがいい?」

資金調達にはさまざまな方法がありますが、選択肢の一つとして融資やファクタリングが挙げられます。

資金調達を検討している方の中には、融資とファクタリングに関して、何がどう違うのかわからない方もいるのではないでしょうか。

銀行融資やファクタリングを利用する際は、それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握し、目的に応じて使い分けることが大切です。

この記事では、銀行融資とファクタリングの違いやそれぞれのメリット・デメリット、どのような状況に利用するのがいいのかを解説します。

融資とファクタリングのどちらの利用がいいか判断に迷っている方や、これから資金調達を検討している方は参考にしてください。

記事の目次 表示

ファクタリングとは?銀行融資とファクタリングの9つの違い

ファクタリングとは、自社の売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、手数料が引かれた分の資金を現金化するサービスです。

買取・保証・一括・国際・医療など、ファクタリングサービスの種類は多岐にわたります。

そんなファクタリングと銀行融資の9つの違いを、項目に分けて一覧にまとめました。

融資とファクタリングの違い
銀行融資 ファクタリング
審査対象 借り手の返済能力 売掛債権
資金調達できる金額 数百万~数億円程度 数十万円~1億円程度
資金調達までの期間 1週間~3ヶ月程度 即日~2週間程度
手数料・金利 1~4%程度(金利) 1~20%程度(手数料)
審査に通らない場合の理由 利用者の返済能力や信用性がないと判断される 売掛先の信用性がないと判断される
返済期間 1ヶ月~10年程度 10日~2ヶ月程度
返済方法 一括や分割など 一括返済
取引先への通知 なし 2社間ファクタリング:なし
3社間ファクタリング:あり
会計上の分類 負債 売掛金の減少と現金の増加

それぞれの項目の詳細を解説していきます。

審査対象

審査対象は、融資は借り手、ファクタリングは売掛先です。

融資の場合、銀行は利用者の返済能力を厳しく審査しますが、ファクタリングの場合は売掛先の信用が重視されます。

このため、自社の経営がうまくいっていないとき、資金繰りのために資金調達する場合は、ファクタリングが有効と言えるでしょう。

会社の経営者当人の個人信用情報がクリアでないと、審査が厳しい傾向にある銀行から融資を受けるのは現実的ではありません。

資金調達できる金額

調達できる資金の範囲は、融資は数百万~数十億円程度です。

銀行融資は財務状況や業績だけでなく、事業の成長性や業界の動向など、さまざまな面から審査されて融資金額が決まります。そのため、上記の金額はあくまでも目安としてご参照ください。

一方、ファクタリングは自社が保有している売掛金の範囲で資金調達できます。資金調達できる金額の目安は、数十万円~1億円程度です。

資金調達までの期間

資金調達には、融資だと1週間~3ヶ月程度、ファクタリングは即日~2週間程度の期間がかかります。

銀行融資は、新規の取引先よりも一度取引したことがあるほうが、融資までの期間が短くなるのが一般的です。

融資を受ける際の審査項目は、財務状況・資金の使用目的・返済の見通しなど多岐にわたるため、審査に時間を要します。

また、返済能力を示す材料として必要な資金繰り表や、借入資金の使用目的を説明するための事業計画表など、書類作成にも時間がかかるでしょう。

一方、ファクタリングは売掛債権の買い取りであるため、融資ほど審査に時間がかかりません。

利用者の信用性よりも、売掛先の返済能力が重視されるので、売掛債権の信用度が高いと判断されれば申込から最短即日で利用可能です。

手数料・金利

銀行融資の場合は金利や保証料がかかり、ファクタリングは手数料がかかります。

銀行融資の金利は、1~4%程度です。一方のファクタリング手数料は、2社間ファクタリングだと売掛金の10~20%程度、3社間ファクタリングだと売掛金の1~5%程度です。

銀行融資の金利は、法人の信用格付けや返済期間などによって異なります。信用格付けとは、銀行が融資を実行するかどうかを判断するための基準になるものです。

業績・決算書の内容・経営方針などから多面的に審査されて信用格付けが決まり、一般的に信用格付けの点数がいいと信用度が高いため、貸付金利が低くなります。

一方、貸付金利が低い銀行でも信用格付けの点数が低い場合、一般的に貸付金利は高くなります。

また、信用性が低い法人の場合は保証料を支払い、公的機関の信用保証協会に保証人になってもらわなければいけません。

信用保証協会の保証料率は、0.45~1.90%の9段階で設定されており、法人の経営状況によって異なります。

なお、担保や会計参与を設置している会社の場合、保証料率の割引が適用される場合があります。

審査に通らない理由

融資とファクタリングでは審査対象が異なるので、審査に通らない理由も異なります。

融資では申込者の返済能力や信用性が見られるので、経営状態が悪い場合や売上が上昇する見込みのない場合は審査に通りにくい傾向です。

対するファクタリングの場合は、売掛先の信用性に問題があると審査に通りにくく、サービスを利用できません。

例えば、売掛先企業の経営が赤字続きで経営状況が厳しい場合や、売掛金の回収までの期間が長い場合は売掛金の回収リスクが高まるため、信用性に問題があると考えられます。

売掛金の回収までの期間は、目安として2ヶ月以上であれば未回収リスクが高いと判断できます。

返済期間

銀行融資の返済期間は1ヶ月~10年程度、ファクタリングは10日~2ヶ月程度です。

銀行融資の返済期間は、借り入れの目的や借入金額によって異なるのが一般的です。

審査によって希望の返済期間にならない場合もあるため、返済のスケジュールが厳しい場合は銀行に交渉するのがいいかもしれません。

一方、ファクタリング会社への支払い期限は、売掛金の入金から10~20日以内に設定されているケースが多い傾向です。

ファクタリングに限りませんが、返済が遅れると法的措置を取られかねませんので、基本的には売掛金の入金と同時に早く返済すべきでしょう。

返済方法

銀行融資とファクタリングの返済方法を以下の表にまとめました。

銀行融資 一括返済
分割返済など
ファクタリング 2社間ファクタリング 回収した売掛金をファクタリング会社に返済する
3社間ファクタリング 売掛金が直接ファクタリング会社に支払われる

銀行融資の返済方法は一括や分割などの方法がありますが、ファクタリングの場合は期日までに一括で返済を完了させなければいけません。

ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、それぞれ返済方法が異なります。

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社で取引が完結するため、売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に返済する必要があります。

3社間ファクタリングは、売掛先の同意を得てファクタリングをする方法です。取引先からファクタリング会社に直接売掛金が支払われるため、返済の手間がかかりません

取引先への通知

銀行融資を受ける場合、融資を受けた事実を取引先に通知されることはありません

金融機関には「顧客との取引内容や取引で得た情報を第三者に提示しない」という守秘義務があるからです。

一方のファクタリングの場合、3社間ファクタリングを利用すると取引先に知られてしまいます

しかし、利用者とファクタリング会社のみの取引であり、取引先を仲介しない2社間ファクタリングであれば、取引先に通知が届く心配はありません

会計上の分類

会計上の処理は、融資の場合は「負債」ファクタリングは「売掛金の減少と現金の増加」という会計処理をします。

融資の場合、普通預金に借入金が入金されたときは、借方に「普通預金」貸方に「借入金」と仕訳します。

一方、ファクタリングを利用した際は、借方に「未収入金」貸方に「売掛金」という仕訳です。詳しい仕訳に関しては、記事後半で解説します

銀行で融資を受ける際の審査では、収益力・売上・株式資本比率・流動比率などの安定性を示す指標が見られます。

審査には、これらの指標以外にも負債項目が含まれるため、あまりに負債が多いと銀行からの印象はあまりよくありません

ファクタリングを利用しても会計処理は負債にならないので、負債を増やしたくないならファクタリングの利用がおすすめです。

銀行融資のメリット

銀行融資のメリットは、次の通りです。

  • 低コストで利用できる
  • 高額の資金を調達できる

それぞれの内容を解説します。

低コストで資金を借りられる

低コストで融資を受けられるのが、銀行融資の最大のメリットです。

融資を受ける場合は、金額が多くなればなるほど利息がかさみますが、低金利だとコストの負担を抑えて利用できます。

低コストで資金を借り入れたいときは、銀行融資を検討しましょう。

高額の資金を調達できる

銀行融資を利用すれば、一度に高額の資金を調達できます

企業の買収や新規事業の開始などを計画している場合は、多額の資金が必要になります。また、創業したばかりの企業は、人件費や設備投資などで多額の資金が必要になるケースがほとんどです。

事業の拡大時やスタートアップ時は、銀行融資を利用すればスムーズに計画が進むでしょう。

ただし、創業して間もない企業は実績が少ないため、銀行融資の審査に通らない可能性があります。

銀行融資の審査に通らない場合は、事業開始を計画している方や事業を開始して間もない企業を対象とした、日本政策金融公庫の創業融資を利用・検討するのも一つの方法です。

銀行融資のデメリット

銀行融資のデメリットは、次の通りです。

  • 融資実行までの時間が長い
  • 業績悪化時は利用しにくい

それぞれを具体的に解説します。

融資まで時間がかかる

銀行融資は、申込から融資実行まで時間がかかる点がデメリットです。

融資を利用するには、融資を申し込んでから納税証明書・事業計画表・決算書など、審査に必要な書類を提出したうえで担当者と融資面談をします。

返済能力や収益性などを厳しく審査され、信用されれば融資を受けられます。

融資は申込から融資実行までが長いので、すぐに資金が必要な場合はファクタリングを利用した方が効率的です。

自社の業績が悪い場合は利用しにくい

業績が悪いときこそ資金援助が必要ですが、業績が悪い場合は返済能力に疑問を持たれるため、銀行は融資を渋る傾向にあります。

業績が低下しているときに銀行融資を受けたい場合は、事業計画書を提出して今後の事業計画を説明し、返済が見込めると判断されれば、融資を受けられる可能性が高まります。

業績悪化の理由や、その対策として今後はどのような事業に力を入れ、そのためにどのような設備投資が必要なのかなどの計画を綿密に立てることが大切です。

また、事業計画書の内容に関して、事業の規模やこれまでの事業内容との一貫性も見られます。

そのため、計画に矛盾があったり実現不可能な数字を掲げたりしていた場合は、計画が疑問視され審査に通りにくいでしょう。

業績悪化時にまとまった資金が必要なときは、実現可能な事業計画書を提出して融資を申し込むか、ファクタリングの利用を検討しましょう。

ファクタリングのメリット

ファクタリングのメリットは、次の通りです。

  • ファクタリングを利用した事実を売掛先に知られずに済む(2社間ファクタリング)
  • 決算上の負債が増えない
  • 一時的な資金繰りを安定させられる

それぞれの内容を具体的に解説します。

2社間ファクタリングを利用すれば、売掛先に知られずに済む

取引先にファクタリングを利用した事実を知られると「業績が不振なのかもしれない」と思われ、今後の取引に悪影響を及ぼす可能性があります。

2社間ファクタリングでは、取引先にファクタリングを利用した事実が知られないため、取引先に悪い印象を持たれる心配はありません。

しかし、3社間ファクタリングの場合は取引先も交えた契約を結ぶため、ファクタリングの利用が知られてしまう点に注意しましょう。

決算上の負債が増えない

ファクタリングを利用すると、決算書上の負債が増えない点もメリットです。

決済上の負債が資産を上回る債務超過の状態になっていると、銀行からの融資を受けにくくなるため、負債をこれ以上増やしたくない場合はファクタリングの利用がおすすめです。

一時的な資金繰りを安定させられる

ファクタリングの利用は、一時的な資金繰りの悪化を改善できます

企業活動の中では、売上の減少やコストの増加などによって資金繰りが悪くなるときもあるでしょう。

資金が不足すると、取引先への代金支払いや従業員への給与支給など、さまざまな対応が困難になります。

しかし、ファクタリングを利用すれば目先の対応に追われることなく、売上を増加させたりコストを低下させたりするための戦略を練れます。

資金繰りが悪化している場合は銀行融資の審査に通過できない可能性が高いため、一時的な資金繰りを乗り越えるにはファクタリングの利用がおすすめです。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングのデメリットは、次の通りです。

  • 手数料がかかる
  • 取引先の信用がないとファクタリングを利用できない

それぞれの内容を解説します。

手数料が売掛金から差し引かれる

ファクタリングのデメリットには、手数料が高い点が挙げられます。

手数料の目安は、2社ファクタリングだと売掛金の10~20%程度、3社ファクタリングだと売掛金の1~5%程度です。

3社間の場合は、売掛先が直接ファクタリング会社へ売掛金を支払います。売掛金の未回収リスクが低くなるので、手数料は2社間ファクタリングよりも低いのが一般的です。

したがって、できるだけ手数料を抑えたい場合は3社間ファクタリングの方が好ましいと言えます。

ファクタリングの利用を理解してくれる取引先であれば、3社間ファクタリングの利用を検討しましょう。

取引先の業績が悪いとファクタリングを利用できない

取引先の業績が悪い場合は、ファクタリングを利用できない可能性があります。取引先が倒産して売掛金を回収できないと、ファクタリング会社が損害を被るためです。

自社の業績がよくても取引先(売掛先)の業績が悪いなら、ファクタリングの利用は厳しいでしょう。

銀行融資の利用が向いているケース

これまで解説してきた銀行融資の特徴やメリットから、銀行融資の利用が向いているケースを以下にまとめました。

  • 多額の資金が必要なとき
  • 低コストで資金調達したいとき
  • 資金調達まで時間があるとき

それぞれの内容を解説します。

多額の資金が必要なとき

設備投資・事業拡大期・起業などの局面では、多額の資金が必要になることがあります。

まとまった資金が必要なときは、一度に多額の資金を工面できる銀行融資の利用がおすすめです。

なお、融資の審査では事業計画書の提示が求められます。

「資金を計画的に有効活用できます」と説明できる場合は、多額の資金でも審査に通る可能性がありますが、計画性がない場合は審査に通過するのは厳しいでしょう。

低コストで資金調達したいとき

低コストで資金調達したい場合は、銀行融資の利用がおすすめです。

ファクタリングだと売掛金に対して1~20%程度の手数料がかかりますが、銀行融資は1~4%程度の利率で融資を受けられます。

銀行融資は低金利で融資を受けられるため、コスト面が心配な方は銀行融資を選択しましょう。

資金調達まで時間があるとき

資金調達までに時間に余裕がある場合は、銀行融資を検討しましょう。

銀行融資に必要な期間は、早くて1週間程度、遅くて3ヶ月程度です。

経営状態が苦しくなる前に運転資金を借りておきたい場合や、設備投資・事業拡大で先手を打ちたい場合など、スケジュールに余裕がある際は銀行融資がおすすめです。

ファクタリングの利用が向いているケース

ファクタリングは、以下のような場合に利用するのがおすすめです。

  • すぐに融資が必要なとき
  • 貸借対照表の負債を増やしたくないとき
  • バックオフィス業務を円滑にしたいとき
  • 融資審査に通過できないとき

それぞれの項目の詳細を確認していきましょう。

即日融資が必要なとき

ファクタリングは、申込から最短即日の融資が可能なので、すぐにまとまった資金が必要なときに有効です。

特に、オンラインで手続きが完了するファクタリングの場合は、すぐに入金してもらえるケースが多い傾向にあります。

「社用車が故障してすぐに修理が必要」「事業を始めたばかりで初期投資がかさむ」など、一時的ですぐに資金不足に対応したい場合は、ファクタリングの利用を検討しましょう。

貸借対照表の負債を増やしたくないとき

負債を抱えたくない場合は、ファクタリングを利用しましょう。

ファクタリングは「売掛金の減少と現金の増加」という会計処理をするので、貸借対照表の負債に計上されません。

例えば、100万円の融資を受けた場合と売掛債権を売却した際の仕訳は次の通りです。

【融資利用時の仕訳】

借方 貸方
普通預金 100万 借入金 100万

【ファクタリング利用時の仕訳】

・売上発生時の仕訳

借方 貸方
売掛金 100万 売上 100万

・ファクタリング契約時

借方 貸方
未収入金 100万 売掛金 100万

・ファクタリング会社から売掛金が譲渡され、手数料10万円を支払った際の仕訳

借方 貸方
普通預金 90万
売掛債権売却損 10万円
未収入金 100万

なお、ファクタリングを契約してすぐに売掛金がファクタリング会社から入金された場合は、次の仕訳をします。

借方 貸方
普通預金90万
売掛債権売却損10万円
売掛金100万

銀行融資の審査では貸借対照表を必ず確認するため、負債が増えると審査に通りにくくなります。

特に、貸借対照表の負債が資産を上回る債務超過になっている場合は、融資を受けるのが厳しいでしょう。

銀行融資の将来的な利用を視野に入れている、または現在銀行融資を利用していて負債を増やしたくない場合は、ファクタリングの利用がおすすめです。

バックオフィス業務を円滑にしたいとき

バックオフィス業務を円滑にしたいときには、ファクタリングの利用が有効です。

バックオフィス業務とは、事務や会計などの業務を指します。お金の管理や人事異動など、企業活動を円滑に進めるために必要な業務です。

売掛金の回収をファクタリング会社にアウトソーシングすれば、自社のバックオフィス業務の負担が軽くなるでしょう。

また、ファクタリング会社によっては、資金繰りの改善策を提案してくれる会社もあります。

コストの削減やヒューマンエラーの防止など、経営の効率化が実現すればバックオフィス業務がよりスムーズになるでしょう。

融資審査に通過できないとき

銀行の融資審査に通過できないときは、ファクタリングの利用がおすすめです。

ファクタリングは、売掛先の信頼性を重視しているため、自社が赤字でも売掛先が信用できると判断されれば利用できる可能性があります。

経営状態が悪いときでも利用できるファクタリングは、いざというときにも心強いでしょう。

銀行融資とファクタリングの違いに関してよくあるQ&A

売掛金担保融資とは何ですか?
売掛金担保融資とは、企業が保有する売掛金や商品在庫を担保にして、金融機関から融資を受けることです。

担保となる売掛債権は商品の販売だけでなく、診療報酬債権や工事請負代金債権など、サービスの提供によるものも含まれます。

売掛金担保融資では、保有している資産を活用して資金調達できるので、担保となる不動産を保有していない法人でも融資を受けられる可能性があります。

また、売掛金担保融資は売掛先への通知なしで利用できる点もメリットです。
ファクタリングによる資金が手渡しされるのは、偽装ファクタリングですか?
ファクタリングによって資金化された現金が、銀行振込ではなく手渡しされる場合、偽装ファクタリングである可能性が高いでしょう。

平成29年以降、度々被害が報告されている「偽装ファクタリング」では、高額な手数料を差し引いて利用者から売掛金を買い取り、未回収リスクを背負わない取引が行われています。

回収できない売掛債権に対しては、利用者に買戻し請求をするため、実際は高金利でお金を貸し付けているだけに過ぎません。

正規のファクタリング会社を装う「違法業者」は貸金業の登録をしていないので、事前に確認し、登録がない場合は利用を控えましょう。

償還請求権が付いていたり、小切手・手形を担保に入れさせたりするのも、偽装ファクタリングの特徴です。
融資とファクタリングの違いは何ですか?
融資は金融機関から資金を借り入れることです。一方のファクタリングは、売掛債権を売却することを言います。

融資を受ける場合は借り入れまでに1週間以上かかりますが、ファクタリングは最短即日で利用可能です。
ファクタリングは取り立てがやばいって本当ですか?
ファクタリングの取り立てに関して、一概に「やばい」とは言い切れません。

ただ、消費者金融やカード会社と異なり、ファクタリング会社には貸金業法が適用されないため、取り立ての自由度が高いのも事実です。

中には、早朝や深夜に電話をかけてきたり、会社の事務所に押しかけてきたりするなど、少々厳しい取り立てを行うファクタリング会社もあります。

とはいえ、一般的には支払状況の確認後、内容証明郵便の送付・支払督促・訴訟と、段階的かつ冷静に取り立てが行われるケースがほとんどです。
給料ファクタリングはおすすめですか?
給料ファクタリングは、金融庁が警告している違法性の高いファクタリングサービスなので、おすすめできません。

労働基準法第24条においても「賃金は必ず本人に直接支払わなければならない」と定められているため、利用しないようにしましょう。

上記のように、第三者を挟む給料ファクタリングは法に抵触する恐れがあるだけでなく、サービス提供者が違法業者の可能性もあるので、要注意です。

銀行融資とファクタリングの違いを知り、目的に応じて柔軟に使い分けることが大切

銀行融資は審査が厳しい半面、審査に通過すれば多額な資金を低金利で調達できます。

しかし、利用申込から融資実行まで長い期間が必要なので、すぐに資金が必要なときには向いていません。

一方、ファクタリングは売掛金があれば資金をすぐに調達できます。そのため、一時的な資金繰りの悪化にも対応できます。

銀行融資とファクタリングは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握し、利用目的に応じて柔軟に使い分けることが大切です。

銀行融資とファクタリングのメリット・デメリット
銀行融資 ファクタリング
メリット ・低コストで資金を用意できる
・高額の資金を調達できる
・2社間ファクタリングでは取引先にファクタリング実施の事実を知られない
・決算上の負債が増えない
デメリット ・手続きから融資の実行まで時間がかかる
・自社の業績が悪い場合は利用しにくい
・手数料が高め
・取引先の業績が悪い場合はファクタリングの利用ができない

銀行融資やファクタリングをうまく活用して、円滑に資金調達を行いましょう。

参考資料