ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を専門業者に買い取ってもらうことで、早期に資金繰りを改善できる資金調達方法です。

しかし、日本ではまだまだ認知度が高いとは言えず、ファクタリングを利用したことのない企業経営者や個人事業主にとっては、法律に違反している悪質業者と取引してしまわないか、不安に思われることもあるでしょう。

ファクタリングを取り巻くさまざまな法律のひとつに弁護士法があり、「ファクタリングは債権回収会社(サービサー)ではないため、弁護士法に違反するのではないか?」と疑問視する声も一部で聞かれます。

今回はファクタリングを弁護士法やサービサー法と照らし合わせ、サービサーとの違いやその正当性について解説します。

ファクタリングとサービサー(債権回収業)

売掛金の買取を行う2つの業者

まず、債権回収とは、商品やサービスの代金、貸したお金などの債権を債務者から回収することを指します。

本来であれば、債権回収はお金を請求する権利を持つ債権者が行いますが、弁護士または専門会社に委託することもできます。

債権回収を業とする専門会社を、サービサー(債権回収会社)と言います。

ファクタリングは債権回収の一種とされていますが、ファクタリングを業とするファクタリング会社と、債権回収会社は、似て非なる事業形態の会社です。

次章からは、債権回収という業務について、ファクタリング会社と債権回収会社での違いを解説します。

ファクタリング会社の債権回収方法

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社が買い取り、売掛金の入金日前に早期現金化する資金調達サービスです。

ファクタリング会社は、買い取った売掛債権の金額から手数料を差し引いた金額を、売掛債権を売却した会社に支払います。

売掛金の回収方法は、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングでそれぞれ異なります。

3社間ファクタリングでの債権回収

3社間ファクタリングは、納入企業、ファクタリング会社、売掛先の3社間で契約が結ばれるファクタリング取引です。

売掛先への債権譲渡の通知および承諾が必要で、なおかつ売掛金はファクタリング会社が直接売掛先から回収します。

ファクタリング会社が直接売掛先から回収するため、手数料は1~5%と低めに設定されています。

2社間ファクタリングでの債権回収

2社間ファクタリングは、納入企業とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶファクタリング取引です。

3社間ファクタリングと異なり、売掛先はファクタリング取引に一切関与しません。

売掛金の回収は、通常どおり納入企業が行い、1営業日以内に回収した売掛金をファクタリング会社に入金します。

ファクタリング会社にとっては、売掛金を回収した納入企業が、ファクタリング会社に支払わずにそのまま使い込んでしまったり、納入企業の口座から別の支払いで自動引き落としされたりして、売掛金を回収できないリスクがあるため、2社間ファクタリングの手数料は、3社間ファクタリングよりも高めに設定されるのが一般的です。

しかし、2社間ファクタリングであれば、売掛先への通知や承諾が不要となります。

売掛先に債権譲渡の事実を知られたくない企業は、手数料が高くても2社間ファクタリングを利用するというケースが少なくありません。

サービサーの債権回収方法

サービサー(債権回収会社)とは、債権管理回収を専門に行う業者のことをいいます。

サービサーが誕生した経緯

サービサーは、法務大臣の認可を得て債権回収を行っています。

以前は、弁護士以外が債権管理回収業務を行うことは弁護士法により禁じられていましたが、1998年10月16日に「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が制定されたことにより、サービサーも債権管理回収業務を行えるようになりました。

サービサー法は不良債権を処理することで、経済をより活性化させる目的で設置された法律です。

法務大臣より認可を受けるには、資本金5億円以上の株式会社であること、暴力団員等の関与がないこと、取締役に1名以上の弁護士を置いていることなどの条件があります。

現在、サービサーの多くは、ノンバンクや銀行といった金融関係を母体に設立されています。

サービサーが取り扱うことのできる債権の種類

サービサーとは

サービサーは、金融機関などから債権回収業務の委託を受けたり、その債権を譲り受けたりして、管理回収を行っています。

サービサー法では、サービサーは「特定金銭債権の管理及び回収を行うことができる」と規定しています。

特定金銭債権とは以下のものが挙げられます。

  • 金融機関等(金融機関の連合会、政府系機関、保険会社、貸金業者、政令で定めるものを含む。)の有する貸付債権
  • 金融機関等の有していた貸付債権
  • リース・クレジット契約に基づいて生じる金銭債権
  • いわゆるファクタリング業者が有する金銭債権(その業務として買い取ったものに限る。)
  • 法的倒産手続(破産開始の決定など)中の者が有する金銭債権

参考:債権管理回収業に関する特別措置法の概要

サービサーのなかには債権回収業務以外にも、プライマリー(正常債権)の各種ローン、証券化案件、資産流動化案件の取り扱い、事業再生業務など、個別に法務大臣の許可を受けて、債権回収に関わる様々なサービスを提供しています。

ファクタリングが弁護士法違反と指摘される理由

ファクタリングが弁護士法に関係する理由

ファクタリング会社はサービサーのように法務大臣の認可を受けなくとも、ファクタリングを行うことができます。

しかし、ファクタリングは債権回収業務にあたり、法務大臣の認可を受けていないファクタリング会社は弁護士法に違反するのではないかと疑問視する声もあります。

弁護士法第72条では、報酬目的で債権回収などの法律事務を行ったり、非弁護士との提携したりすることを禁じているからです。

さらに、弁護士法第73条では、一般的な債権譲渡は認めているものの、商業目的での債権の買いとり、訴訟や交渉を業務として行うことを禁じています。

弁護士法の72条、73条に照らし合わせると、債権回収業務を業としているサービサーや、ファクタリング会社は成立しないことになります。

サービサー法によりファクタリングは違法ではない

弁護士以外に債権回収ができる業者

弁護士法のみを債権回収の法的根拠とすると、サービサーもファクタリング会社も、法律違反となってしまいます。

しかし、「債権回収業務に関する特別措置法(サービサー法)」では、法務大臣の認定を受けた会社(サービサー等)は、支払い期日を過ぎた特定金銭債権の管理および回収を行うことができると規定されています。

この規定により、サービサーは特定金銭債権を回収できるようになっているのです。

一方のファクタリングは、サービサー法に規定されている特定金銭債権は買い取れませんが、債権が回収できないリスクを負担するという条件のもとであれば、売掛債権に限り、回収および管理業務を行うことが可能としています。

ファクタリングを「売掛債権が不良債権化する前に、事業者から買い取ることで資金供給をする」という業と捉えれば、特別措置法の理念でもある経済発展を促すための機能を果たしていることになります。

したがって、ファクタリング会社が取り扱う債権が売掛債権に限られるのであれば、弁護士法違反とはならないのです。

ファクタリングとサービサーに関するQ&A

ファクタリングとサービサー、または弁護士法やサービサー法について、よくある質問への回答をQ&A形式でまとめました。

Q.支払期日を過ぎた売掛債権を資金化するなら、ファクタリングとサービサーのどちらを利用すれば良いでしょうか?
A.ファクタリングは支払期日を過ぎた不良債権を買い取ることができないため、サービサーを利用しましょう。
Q.売掛債権を不良債権化させないためには、どのような対処法がありますか?
A.売掛先からの期日通りの支払いが不可能であるとわかっているのであれば、督促や法的措置を取るよりもファクタリングで早期に資金化することをおすすめします。サービサーは不良債権を買い取るため、本来の金額より割安で債権を買い取ります。
Q.サービサーは個人の債権も回収してくれますか?
A.サービサーは、個人の貸し借りで発生した債権を回収できません。サービサーが管理・回収できる債権は、サービサー法で定められた特定金銭債権のみです。ただし、例外として、破産申立を行った場合に限り、破産管財人等を通じて取り扱いが可能となります。
>>「特定金銭債権」について詳しく見る

 

ファクタリングを利用するときは悪質業者に注意

ファクタリングはサービサー法に照らし合わせ、適切に債権回収を行うのであれば、違法行為ではありません。

むしろ、経済産業省は借入に代わる新たな資金調達方法として活用を推奨しています。

緊急時の資金調達や資金繰り改善は、サービサーよりもファクタリングが得意とするところです。

目先の資金繰りは問題なかったとしても、万が一のときにファクタリングで資金調達ができるよう、普段から理解を深めておきましょう。
一方で、有利な条件を提示しておきながら、債権回収を装って高利で貸付をする、手数料相応のリスクを追わないといった悪質な業者の存在も看過できません。

このような弁護士法に違反している業者を利用すると、利用者自身も違法行為に問われてしまう可能性があります。

悪質業者を避け、優良業者と取引ができるように、ファクタリング会社の手数料相場や取引実績を確認するようにしましょう。