「今日中に税金を支払わないと滞納になってしまう……」
「明日までに準備金を揃えておかないと、大型受注に対応できない!」
中小企業の経営者や個人事業主は、常に資金繰りに頭を悩ませるものです。
ときには、24時間以内に資金を調達しないといけない状況になることもあるでしょう。
即日で資金が必要になったとき、ぜひ検討したいのが期日前の売掛債権を売却して資金を得るファクタリングです。
ファクタリングは融資と違い、赤字決算や税金滞納であっても、回収前の売掛債権があれば、最短即日でまとまった資金を調達することができます。
今回は「今日中に資金が必要!」という経営者の方に、ファクタリングで最短即日の資金調達を実現するポイントや、即日資金化の注意点を解説します。
ファクタリングは条件付きで即日の資金調達が可能
一般的な商取引(掛取引、信用取引)では、先に商品・サービスを納入し「月末締めの翌月末払い」や「月末締めの翌々月末払い」で代金を受け取る仕組みとなっています。
このときに発生する「後から代金を請求できる権利」を、売掛債権と言いいます。
ファクタリングは、回収前の売掛債権をファクタリング会社が買い取り、期日前に資金化するサービスです。
通常であれば1~2ヶ月先に入金される売掛金ですが、ファクタリングを利用すれば、最短即日で資金化ができます。
ただし、ファクタリングで今日中の資金化を実現するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
ファクタリングで今日中の資金化を実現するコツ
ファクタリングで申し込みをしたその日のうちに現金を受け取るには、以下の条件をクリアすることが重要です。
- 2社間ファクタリングを選ぶ
- 即日資金化の実績がある業者を選ぶ
- 必要書類を揃えておく
- 非対面のファクタリング会社を選ぶ
- 信用力の高い売掛先の債権を譲渡する
2社間ファクタリングを選ぶ
ファクタリングは、契約主体の異なる「3社間ファクタリング」と「2社間ファクタリング」の2種類に分けられます。
2種類のファクタリング契約
3社間ファクタリング・・・利用者、ファクタリング会社、売掛先の3社間で契約を結ぶファクタリング
2社間ファクタリング・・・利用者、ファクタリング会社の2社間で契約を結ぶファクタリング
今日中に現金を受け取るには、2社間ファクタリングを選択することが最低条件です。
3社間ファクタリングでは、売掛債権を譲渡することを売掛先へ通知し、同意を得なければなりません。
そのため、即日資金化は難しく、数日~1週間程の入金待ちの期間が発生してしまいます。
一方で、2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の2社間の取引であるため、売掛先(取引先)は一切関与しません。
売掛先に債権譲渡の事実を通知し、同意を得るプロセスが省略されるため、利用者とファクタリング会社の間で契約が締結された時点で売掛債権を資金化できます。
即日資金化の実績がある業者を選ぶ
即日資金化を狙うなら、実績のある独立系ファクタリング会社を選びましょう。
ファクタリング会社の中には、即日の資金化が可能なところもあれば、入金までに1週間ほどの時間がかかるところもあります。
たとえば、メガバンク系列のファクタリング会社は、日々多数の企業からファクタリングの依頼があり、審査もプロパー融資並み厳格さであるため、即日資金化はきわめて難しくなります。
一方で、独立系ファクタリング会社は、一刻も早い資金調達を必要とする中小企業や個人事業主をメインの顧客としているため、即日資金化の実績が豊富です。
今日中の資金調達を望むのであれば、独立系ファクタリング会社に申し込みましょう。
必要書類を揃えておく
ファクタリングの申し込み、契約にはいくつかの書類が必要となります。
なかには市町村役場や法務局で発行してもらう書類もあるため、あらかじめ取得しておくようにしましょう。
ファクタリングに必要な書類は、以下のとおりです。
申し込み時 |
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契約時 |
|
必要書類はファクタリング会社によって異なるため、申し込みの前に確認しておきましょう。
また、どうしても揃えられない書類があれば、事前にファクタリング会社に相談することで、融通を利かせてもらえる場合があります。
非対面のファクタリング会社を選ぶ
最短即日かつ対面契約の手間を省くのであれば、オンライン完結型の非対面のファクタリング会社を選びましょう。
ファクタリング会社によっては、契約の際に来社面談が必要な場合があります。
自社の近隣にファクタリング会社があればまだしも、遠方の場合は移動だけで貴重な時間を使うことになります。
非対面の場合は、債権の買取金額アップや手数料の交渉こそできませんが、いつでも・どこでも申し込みができ、今日中に資金化できる確率も高くなります。
信用力の高い売掛先の債権を譲渡する
売掛債権の信用力が高ければ高いほど、審査にかかる時間が減り最短即日で資金化できる可能性が高まります。
売掛先の信用力は、ファクタリングの買取可否と買取額を大きく左右する要素です。
たとえば、売掛先が上場企業であったり、国の機関であったりした場合、倒産による貸し倒れリスクがきわめて低いため、ファクタリング会社も債権を安心して買い取ることができます。
一方で、信用力に乏しい売掛先の債権は、買取自体を断られる可能性があるため、今日中の資金化が難しくなります。
今日中に売掛債権を資金化するなら、経営状態が良く、信用力の高い売掛先の債権を売却しましょう。
申し込みから完了までの流れ
実際にファクタリングを申し込んでから契約完了までの流れは以下の通りです。
ここでは、即日資金化を想定し2社間ファクタリングの流れを解説しています。
- ファクタリング会社に申し込む(電話・メール等)
- 必要書類をもとに面談・審査
- 契約
- 買取手数料を差し引いた金額が入金される
- 売掛金支払期日に、売掛先から売掛金を回収する
- ファクタリング会社へ入金する
即日資金化をするには、不備のない必要書類と、信用力の高い売掛債権を用意することが大前提です。
上記が揃うことで、面談・審査時間が短縮され、即日の資金化が可能となります。
また、2社間ファクタリングは資金を受け取って終わりではありません。
売掛先から売掛金を回収したら、ファクタリング会社が指定する期日までに入金するまでが契約となるため、期日に遅れないように回収作業・入金を行いましょう。
ファクタリングで即日資金化の注意点
ファクタリングで今日中の資金調達を実現するにあたって、以下の点に注意が必要です。
- 即日資金化を売りにした違法業者の存在
- 2社間ファクタリングは手数料が高め
即日資金化を売りにした違法業者の存在
ファクタリング会社の中には、「即日資金化」をうたって偽装ファクタリングを行う違法な業者も存在します。
偽装ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってあたかもファクタリング契約を結んだように見せかけ、その実態は業者側が何のリスクも追わない高利の貸付です。
違法業者の手口は多岐にわたります。
たとえば、即日資金化する代わりに法外な手数料を要求したり、ファクタリングに見せかけて高利な貸付契約を行ったりといったケースがあります。
こうした違法業者と取引をしてしまうと、長きにわたる金銭の請求や、悪質な取り立ての被害を受けることになります。
違法な業者は、早急な資金繰りに追われて適切な判断ができない事業者がターゲットです。
複数の業者から見積りを取るなどして急ぎの場面でも業者選びは丁寧に行い、不当な取引をしないようにくれぐれも注意しましょう。
2社間ファクタリングは手数料が高め
今日中の資金調達を実現するなら、2社間ファクタリングの利用がマストです。
ただし、2社間ファクタリングは買取額面に対して10~20%が手数料の相場となっており、調達コストは比較的高めです。
ファクタリングの手数料率の許容範囲は、売却する売掛債権の粗利益率や営業利益率が判断基準となります。
もしファクタリングの手数料が、譲渡する売掛債権の粗利益率と同じか、あるいはそれを上回る場合、儲けのほとんどを手数料に持っていかれるため、利用者はファクタリングに依存する体質かつ業績悪化から抜け出せなくなってしまいます。
2社間ファクタリングの手数料を少しでも下げるには、信用力の高い売掛債権を用意することがポイントです。
手数料は、ファクタリング会社が負うリスクに比例して設定されます。
たとえば売掛債権が国や地方団体の債権であれば、倒産等によって売掛金を回収できないリスクがないため手数料は下がります。
一方で、設立したての法人や業績が下がっている会社の債権では、売掛金を回収できないリスクが高まるため手数料は高くなります。
そのため、ファクタリング会社にとってリスクの少ない債権を用意し、交渉することで手数料を下げられる可能性が高くなるのです。
「即日資金化」を謳う違法業者の見分け方
ファクタリング会社の中には、早急な資金繰りに追われる事業者をターゲットに「即日資金化」の謳い文句で、偽装ファクタリングを行おうとする違法な業者も存在します。
違法業者と取引しないためには、以下のポイントに注意して見極めましょう。
- 契約書の内容を確認する
- 会社情報を確認する
- 売掛債権の売買となっているか
契約書の内容を確認する
契約前に必ず契約書の有無と、内容を確認しましょう。
優良なファクタリング会社であれば、契約内容を明記した契約書が作成され、内容の説明や読み合わせも行われます。
しかし、違法業者は取引内容を残さないために契約書を作成しない場合や、作成しても後からごまかせるように不明瞭な内容である場合が多いです。
また、契約内容について質問してもあいまいに答えられたり、利用者の疑問が解消されないまま押印を求められたりといった対応をされたら、高確率で違法な業者であるといえます。
具体的に契約書で確認するポイントは以下のとおりです。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
償還請求権 | 償還請求権のない契約であるか |
債権譲渡通知 | 2社間:売掛先への通知なし
3社間:売掛先への通知あり |
債権譲渡登記 | 2社間:登記が行われるケースもある
3社間:通知しているため、登記なし |
手数料 | 相場から大きく離れていないか、その他不要な諸費用がかかっていないか |
担保の有無 | ファクタリングは担保不要 |
報告義務 | 売掛先に不穏な動きがあった場合の報告義務があるか |
損害賠償・違約金 | どのようなケースで損害賠償・違約金が発生するのか |
契約期間・解除 | ファクタリングの契約期間はいつまでか、更新方法はどのようなものか |
どれほど至急で資金化したい場合であっても、契約内容は必ず確認し、納得できるまでは絶対に押印しないようにしましょう。
会社情報を確認する
ファクタリングを申し込む前に、必ず会社情報を見て実在する業者かどうかを確認しましょう。
会社情報を調べる代表的な方法は、法人番号の検索です。
法人番号は、国税庁の「法人番号公表サイト」にて簡単に検索ができます。
上記サイトにて、会社名を検索すると法人番号・所在地・変更履歴が閲覧できるため、実在する会社かどうかを見極めることが可能です。
会社名を検索して実在していないようであれば、違法業者である可能性が極めて高いため、取引をしないようにしましょう。
また、登記を調べたり、口コミサイトから評判を確認したりするのも会社情報を確認する有効な手段です。
違法業者は、警察の目を逃れるために所在地や会社名を転々と変えることが多くあります。
そのため、会社の沿革や代表者名が明記されていなかったり固定電話がなかったりと、明らかに会社情報が充実していないケースが見られます。
「即日資金化」の謳い文句に惑わされて会社情報を確認しないまま取引を開始してしまうと、取り返しのつかない状況に陥る可能性があるため、どれほど至急な状況であっても必ず会社情報を確認するようにしましょう。
売掛債権の売買となっているか
担保や保証人を要求されたり、償還請求権ありの契約と言われたりしたら、その業者と取引はしないようにしましょう。
ファクタリングは売掛債権の売買であり、貸金業には当たらないため、担保・保証人は不要です。
担保・保証人を要求される場合は、ファクタリングに見せかけて違法な貸付を行おうとする可能性が高いといえます。
償還請求権とは、売掛先が倒産等により売掛金を支払えなかった場合に、利用者にその金額を請求できる権利です。
つまり、万が一売掛先が売掛金を支払えなかった場合、利用者がその全責任を負わなければなりません。
ファクタリングは売掛債権の売買であるため、売掛金を回収できなかった場合のリスクもファクタリング会社へ譲渡します。
優良な会社であれば、償還請求権なしの契約を行うことが基本です。
償還請求権ありの契約を求められた場合は、違法な業者である可能性が非常に高いため、取引しないようにしてください。
今日中の資金化に関するQ&A
ファクタリングで今日中に資金化するにあたって、抑えておきたいポイントをQ&Aにまとめました。
- Q.2社間ファクタリングで手数料を抑えるためのポイントを教えて下さい。
- A.請求書や見積書を提出すること、売掛先との良好で継続的な取引を証明することを前提として、時間に余裕があればファクタリング会社の担当者と手数料の交渉を試みましょう。ファクタリング会社の中には経営者の人柄を重視するところもあり、ファクタリングで調達した資金を使って経営改善や事業再生について具体的に説明できれば、手数料を下げてもらえる可能性があります。
- Q.債務超過や税金の滞納等があっても、今日中に資金化はできますか?
- A.債務超過や税金滞納は、売掛債権の買取可否や手数料、資金化スピードを左右する要素ではありません。ファクタリングの審査では、売掛先の信用力や入金日までの日数のほうを重視します。
- Q.1,000万円を超える売掛債権も、今日中に資金化が可能ですか?
- A.ファクタリング会社には、即日の資金化が可能な限度額が決まっています。たとえば、資本金1,000万円のファクタリング会社に「1億円の売掛債権を最短即日で資金化してほしい」と依頼するのは無理があります。ファクタリング会社にそれだけの準備金が無いからです。銀行系列ではない中小のファクタリング会社は、1,000万円までの売掛債権であれば即日資金化が可能ですが、念のため、申し込み予定のファクタリング会社に確認しましょう。
- Q.ファクタリング以外で今日中に資金調達できる方法はありますか?
- A.ファクタリング以外で即日資金調達をする方法は「ビジネスローン」「カードローン」「手形割引」「知人から借りる」があげられます。ビジネスローンとカードローンは融資であり、返済が長引くことや信用情報に悪影響を及ぼすことが懸念されます。手形割引も、手形を担保とした融資です。さらに手形割引は償還請求権ありの契約となるため、もしも不渡りとなった場合は利用会社が責任を負わなければなりません。知人から借りる場合は、関係が崩れないようにさまざまな配慮が必要となるでしょう。これらの特徴を考慮して資金調達方法を選びましょう。
今日中に資金が必要なときも業者選びは慎重に
ファクタリングで売掛債権を活用して、今日中に資金調達を実現するポイントは以下のとおりです。
- 2社間ファクタリングを選ぶ
- 即日資金化の実績がある業者を選ぶ
- 必要書類を揃えておく
- 非対面のファクタリング会社を選ぶ
- 信用力の高い売掛先の債権を譲渡する
5つのポイントを押さえた上で、優良なファクタリング会社を選べば、最短即日かつ無理のない手数料で資金調達ができるでしょう。
ファクタリングを利用するにあたって最も注意すべきは、資金繰り悪化の焦りから、悪質な業者と取引をしてしまうことです。
実際に、偽装ファクタリングによる被害は跡を絶たず、金融庁も注意を呼びかけています。
今日中に資金調達が必要な場面でも、安心して取引ができる優良ファクタリング業者を選びましょう。