「資金繰りに困った」「お金を借りたいけど、どこに相談していいか分からない」と資金繰りの相談先に頭を抱えている人も多いのではないでしょうか?

資金繰りを相談することができる機関は多数ありますが、それぞれ得意としている分野や、専門性や料金などが異なるので、資金繰りの相談先について把握しておくことは重要です。

「いざお金が足りない」となった時に、専門性の高い頼れる相談先を見つけることができるよう、資金繰りの相談先について詳しく解説していきます。

 

資金繰り相談ができる公的機関

資金繰り相談は国や地方自治体やその他の公的機関で積極的に行っています。

中小事業者が資金ショートによって倒産することがないよう、様々な機関で資金繰りの相談をすることが可能です。

主な相談先は以下の4つです。

  • 経済産業省|資金繰り相談特設サイト
  • 商工会議所・商工会
  • 各種業界団体
  • 市区町村役場の商工課

それぞれの相談窓口の特徴などについて詳しく解説していきます。

経済産業省|資金繰り相談特設サイト

経済産業省のホームページでは「資金繰り相談特設サイト」というページが設けられています。

このページは新型コロナウイルス感染対策資金に関する資金繰りの相談を受け付けるための専用サイトとして開設されたものです。

日本政策金融公庫・商工中金・信用保証協会といった政府系金融機関へ融資を相談する際には、このサイトを通して相談を促す目的で設立されています。

政府系金融機関の窓口の混雑緩和と感染予防が目的

政府系金融機関の「窓口混雑の緩和」と「感染予防」2つの目的で、「資金繰り相談特設サイト」から政府系金融機関の相談先を調べ、問い合わせることが可能です。

当ページでそれぞれの政府系金融機関の電話相談やインターネット申込を行うことができるようになっているので、まずはリモートで資金繰りの相談をしてみましょう。

商工会議所・商工会

地方自治体ごとに設置されている商工会議所や商工会でも資金繰りの相談をすることが可能です。

商工会議所とは地域の商工業の改善・発展を目的として、市など一定地区内の商工業者によって組織される公益経済団体で、行政と連携しています。

そのため、商工会議所には行政の補助金の情報や新しい融資制度など最先端の資金の情報が逐次入ってくるので、「資金繰りの相談をしたい」言った時に活用できます。

商工会議所の会員でなくても無料で相談することができるので、資金繰りに行き詰まった場合には気軽に相談してみましょう。

経営指導

商工会議所や商工会には経営指導員という専門家が常駐しています。

商工会議所へ相談することによって経営指導員の経営指導を受けることができ、専門的な知見から企業の資金繰り改善に対するアドバイスを受けることが可能です。

また、経営指導を受けると、経営指導員の経営指導を受けた事業者だけが借りることができる有利な融資制度「マル経融資」を借りることもできます。

各種業界団体

各種業界団体でも資金繰りの相談をすることができます。

日本には業種に応じた様々な業界団体が存在し、代表的なものとしては以下のような団体があります。

  • 日本建設業連合会
  • 全国建設業協会
  • 全国飲食業生活衛生同業組合連合会
  • 研削砥石工業会
  • 全日本美容業生活衛生同業組合連合会
  • 全国理容生活衛生同業組合連合会

この他にも業界団体は無数に存在し、そのような業界団体には、会員が受けることができる資金的な補助についての情報が入っていますし、資金繰りの相談ができる場合もあります。

市区町村役場の商工課

資金繰りの相談は市区町村役場の商工課でも対応しています。

商工課が対応しているのは主に以下の2点です。

  1. 制度融資の案内
  2. 補助金・助成金の案内

制度融資の案内

地方自治体は自治体の中小事業者のために特別な融資制度である制度融資を用意しています。

商工課へ相談に行くことによって、どのような条件でどんな制度融資を受けることができるのか、詳しく説明してもらうことができます。

また、担当者によっては、そのまま金融機関まで紹介してもらうことができる場合もあるので、相談から融資の申込までワンストップで手続き可能なケースもあります。

補助金・助成金の案内

自治体によっては地元の事業者に対して補助金や助成金を支給している場合もあります。

そのような自治体の商工課へ資金繰りの相談をすることによって、補助金や助成金の紹介を受けることができ、条件に合致した場合には申請手続きを行うことも可能です。

根本的に資金繰りを改善するソリューションは得られない

市区町村役場の商工課へ資金繰りの相談をすると、制度融資や補助金・助成金のような具体的な案内を受けることができます。

ただき、「企業の資金繰りをどのように改善するのか」という根本的な解決策を提示してもらうことは難しいかもしれません。

資金繰り相談ができる金融機関

資金繰りの相談は金融機関も積極的に行っています。

金融機関にとっては、資金繰りの相談から融資案件に繋がりますし、何よりも取引先の企業が資金ショートによって倒産してしまったら、金融機関の債権も不良債権化してしまいます。

相談できる金融機関としては以下の2つをあげることができます。

  • 日本政策金融公庫
  • 銀行・信用金庫

それぞれの金融機関の特徴について詳しく解説していきます。

日本政策金融公庫

国が100%出資をしている公的金融機関である日本政策金融公庫は「貸したら終わり」という単なる融資機関ではありません。

企業の資金繰りが改善するように、取引のある事業者に対しては定期的に経営指導なども行っています。

借入中は経営状態を管理する

日本政策金融公庫からお金を借りている間は、毎年日本政策金融公庫へ決算書や確定申告書を提出しなければなりません。

ここで、日本政策金融公庫は企業の税務分析などを行い、その都度専門的な観点から資金繰りや財務状況などに関するアドバイスを行っています。

借入企業が望もうが望むまいがお金を借りている間はずっとコンサルティングを受けることができるのがメリットです。

銀行・信用金庫

銀行と信用金庫も取引先に対する決算期ごとの経営分析を行っていますし、資金繰りに困った時には経営改善のサポートも行ってくれます。

決算期ごとに企業審査を行っている

銀行や信用金庫からお金を借りている企業は、決算が終わると決算書を金融機関へ提出しなければなりません。

金融機関は決算書を分析し、格付けを付けたり財務分析を行います。

ここで、企業は金融機関の専門家から「ここを改善した方がよい」などのアドバイスを受けることができます。

資金繰りが苦しくなった時には随時相談可能

金融機関は資金繰りが苦しくなった時にはいつでも相談することができます。

資金繰りが改善するように、返済条件の緩和(リスケジュール)を行うこともありますし、「経営改善計画書」を策定した上で追加融資によって資金繰りを改善してもらうことができる場合も可能です。

銀行や信用金庫は「取引先企業の資金繰りを支えて、企業経営を発展させる」という公共的使命を負っているので「資金繰りが苦しい」と相談すれば、随時何かしらの形で対応してもらうことができます。

その他の資金繰り相談ができる機関

この他にも資金繰りの相談ができる機関はいくつか存在します。

資金繰りの相談は様々な機関で可能ですが、一般的に以下の4つの機関が相談先として有名です。

それぞれの窓口の特徴などについて詳しく見ていきましょう。

税理士・会計士

顧問の税理士や会計士も資金繰りの相談に乗ってくれます。

こちら側から相談しなくても「資金繰りの状態が悪いから改善した方がよい」「〇〇の取引先への入金サイトを長くできないか」など提案してくれる場合もあります。

税理士や会計士本人が対応する事務所に相談

資金繰りについてどのように対応してくれるのかは、顧問の税理士事務所や会計士事務所によって異なります。

普段の対応が税理士や会計士本人ではなく、事務所の事務員だけという場合には、専門的なコンサルティングを受けることは難しくなるので、税理士・会計士本人が対応してくれる事務所を顧問先にしておくことで、税務申告等の手続きとコンサルティングを受けることができるでしょう。

コンサルティング会社

コンサルティング会社へ相談することによって、資金繰り改善のための経営改善プランを策定してもらうことができます。

コンサルティング会社は会計士などの資格をもった人が経営していることが多いので、税理士や会計士へ相談するよりも、より専門的かつ具体的なアプローチで資金繰り改善を図ることが可能です。

ただしコンサルティング会社は会社によって「能力」「出せる成果」「料金体系」「専門分野」などが大きく異なります。

資金繰り改善を得意としているか、料金は適正かということを事前にネットなどでリサーチして、優良なコンサルティング会社を事前に調べておきましょう。

一部のファクタリング会社

売掛債権を期日前に買い取るファクタリング会社の中には、コンサルティング業務も行っているファクタリング会社も多数存在します。

ビートレーディングやPMGのような店舗型の大手ファクタリング会社はファクタリング業務とともにコンサルティング業務も専門的に行っています。

そのため、ビートレーディングやPMGへファクタリングの相談をすると、企業の資金繰り全般に関して相談をすることが可能です。

クラウド型のファクタリング会社は資金繰りの相談はできませんが、大手の独立系ファクタリング会社の中には資金繰りの相談ができるファクタリング会社も多いので活用しましょう。

資金繰りコンサル

資金繰りコンサルとは、企業の資金繰りに関する課題解決を行うサポート機関で、コンサルティング会社や税理士事務所が営んでいます。

資金繰りコンサルの特徴は、単に資金繰り改善のための計画を立てるのではなく、金融機関からお金を借りるサポートをしてくれるという点です。

資金繰り表や、事業計画書の作成をサポートしてくれるので、自分で金融機関に対して融資手続をするよりも融資が成功する可能性が高くなるでしょう。

ただし、借入額の5%〜10%を成功報酬として支払う必要があります。

資金繰り相談先を選ぶ際の注意点

資金繰りの相談先を選ぶ際にはいくつか注意点があります。

  • 貸付を行う機関に相談する時は注意
  • 認定支援機関へ相談する
  • ノンバンクへ相談する時は登録金融機関か否か確認

相談先を選ぶ際には上記3点の注意点を頭に入れた上で選択するようにしてください。

資金繰りの相談先を選択する際の3つの注意点について詳しく見ていきましょう。

貸付を行う機関に相談する時は注意

資金繰りの相談をする際に、銀行や信用金庫などの融資を行う機関に相談する時には注意が必要です。

これらの機関は、融資を実行してお金を貸し付けるのが仕事ですので、資金繰り改善の方法として「追加融資を実行する」ということだけを改善策として提案される可能性があります。

他の機関へ相談すれば、融資を受けなくても資金繰りを改善する手段があったとしても、融資機関へ相談したことによって借りなくてもいいお金を借りることになり、結果的にはさらに資金繰りを悪化させてしまう可能性もあるので注意しましょう。

認定支援機関へ相談する

資金繰りの相談をする際には認定支援機関へ相談するようにしましょう。

認定支援機関とは、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な中小事業者の支援機関です。

具体的には、商工会や商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士などが認定支援機関として指定されています。

安全かどうか不透明な機関へ相談するよりも、国が指定した機関へ相談する方が安全です。

「資金繰りの相談をどこにしたらいいか分からない」という場合には、認定支援機関として国から認定を受けている機関へ相談するのが確実です。

なお、認定支援機関は中小企業庁ホームページの認定経営革新等支援機関で検索することができるので、お近くの認定支援機関を調べてみましょう。

ノンバンクへ相談する時は登録金融機関か否か確認

中小事業者はノンバンクからビジネスローンを借りることでも資金繰りを円滑にすることができます。

しかし、ノンバンクへ相談する時には、その業者が登録金融機関かどうかの確認が必要です。

ビジネスローンを融資する業者の中には、貸金業者として登録を行っていない無登録の違法業者も存在しています。

このような業者は利息制限法に定められた上限金利をはるかに超える法外な金利を設定し、返済に遅延した場合には苛烈な取り立てが行われることになります。

そのため、無登録の業者とは決して取引を行うべきではありません。

名前を耳にしたことがないような業者からお金を借りる場合には、当該業者が登録貸金業者かどうかの確認を必ず事前に行いましょう。

登録貸金業者は金融庁ホームページの登録貸金業者検索サービスで検索できるので、必ず確認するようにしましょう。

資金繰り相談に関するよくある質問

資金繰り相談にはお金がかかりますか?
金融機関や商工会議所や市区町村役場へ相談する場合には無料です。
一方、税理士、会計士、経営コンサルタント、資金繰りコンサルタントなどへ相談する場合には「1時間〇〇円」などの相談料が発生する場合があります。
専門家によって、相談料がかかる場合とかからない場合があるので、詳しくは事前に相談するようにしてください。
今は資金繰りに困っていないので相談先は不要でしょうか?
現在、資金繰りに困っていないとしても、自社の資金繰りや財務状況について客観的に相談できる機関を作っておいた方がよいでしょう。
もしかしたら、自社で資金繰りは問題ないと考えているだけで本当は資金繰りは悪化しているかもしれませんし、財務に関する知識については多くの経営者が詳しくはないので、どんな時でも専門家の意見を聞いた方がよいでしょう。
資金繰りに困っているいないに関わらず、自社の資金繰りや財務について客観的にチェックしてくれる相談先は常に作っておいた方が無難です。
資金繰り相談機関を通した方が審査通過率は上がりますか?
資金繰り相談機関を通した方が、審査に通過しやすい資金繰り表や事業計画書を作成してもらうことができます。
そのため、専門家へ相談した方が審査に通過できる可能性は高くなると考えた方がよいでしょう。

資金繰りの相談を検討されている方へ

資金繰りの専門家へ相談することによって以下のようなメリットがあります。

  • 資金調達がしやすくなる
  • 資金繰りを円滑化するための経営改善ができる
  • 自社の状態を客観的に知ることができる

自分の会社について客観的な目線でプロに確認してもらうことは非常に重要です。

資金繰り相談先としては以下のような機関があります。

  • 経済産業省|資金繰り相談特設サイト
  • 商工会議所・商工会
  • 各種業界団体
  • 市区町村役場の商工課
  • 金融機関
  • 税理士・会計士
  • コンサルタント
  • ファクタリング会社

どんなことを相談したいのかによって相談先は異なります。

資金繰りに行き詰まったら、自社のニーズに合った資金繰り相談窓口へ相談しましょう。