企業にとって資金繰り表の作成は非常に重要です。
資金繰りの管理は収益管理と同じく重要で、資金繰り管理ばかり行って収益管理を怠ってしまうと、「黒字なのに資金がない」という状態になってしまいます。
資金繰り管理を正確かつスピーディーに行うために、資金繰りには資金繰りソフトを活用するとよいでしょう。
資金繰り管理におすすめの資金繰りソフトについて詳しく解説していきます。
資金繰り表の重要性
資金繰りの管理は、収益の管理と同じくらいに重要です。
そして、資金繰り管理のためには資金繰り表の作成が非常に重要になります。
資金繰り管理のために資金繰り表の作成が重要になる理由として以下の3点をあげることができます。
- 入出金の予定を把握し将来の現金残高を予測し準備する
- 資金的な実績を振り返る
- 外部のステークホルダーへ説明するため
資金繰り管理の重要性について、まずは把握しておきましょう。
入出金の予定を把握し将来の現金残高を予測し準備する
資金繰り表の最も大きな役目の1つが、入出金予定を把握して、将来の現金の残高を正確に予測するということです。
「○月○日の残高は〇〇万円」とカレンダーのように正確に現金の残高を予測することによって、特定の日付の現金がいくらになるのかを予測できるようになります。
例えば、月末の現金残高を予測しておくことによって、月末の現金残高が不足するのか足りるのか、ということをあらかじめ知ることができるのです。
もしも、資金繰り表から「月末は現金が足りない」ということが分かるのであれば、外部からの資金調達を検討するなど、具体的な手当をすることが可能になります。
資金繰り表は、将来の予測を行い、急に資金が足りないということがないようにするために作成するものですので、将来の資金予測をするために資金繰り表を作成することは非常に重要です。
資金的な実績を振り返る
資金繰り表は、まず予測を立てて、実績を上書きしていきます。
つまり過去の実績を蓄積し、後から振り返ることができるものです。
過去の実績を振り返ることによって、「今年は資金の流出が多いのか少ないのか」「入金の遅れはないかどうか」「いつどんな支払いがあるのか」などということを比較できるようになっています。
現在の会社の状況が良いのか悪いのかを知るためには、過去の会社の状況と比較してみるのが最適です。
資金繰り表は、過去の実績を振り返るためにも有効に活用することができます。
外部のステークホルダーへ説明するため
外部の株主や債権者へ会社の状況を説明する際には、資金繰り表が必要になります。
貸借対照表や損益計算書からは、細かな資金の動きまでは知ることができないためです。
また、会社は赤字で倒産するのではなく、資金繰り悪化による資金ショートによって倒産するのですから、資金繰り表を確認することは、投資家や債権者にとっては自己の資産を守るために非常に重要になります。
特に銀行融資では、今は資金繰り表の提出は必須とされています。
審査の際には必ず資金繰り表の提出が求められるので、お金を借りる際に慌てて資金繰り表を作成するよりも、あらかじめ資金繰り表を作成しておいた方がスムーズに融資を受けることができます。
銀行などの外部の人間に自社のことを説明するために、資金繰り表は作成しておくようにしましょう。
資金繰りソフトが活用できる理由
資金繰り管理は自分で表のようなものを作成し、手書きでも行うことができます。
しかし、資金繰り管理には会計ソフトを利用することが最適です。
その理由として以下の2点を挙げることがでにます。
- 資金繰り表は定期的なメンテナンスが欠かせない
- 過去のデータが資金繰り表作成には重要
資金繰り管理に会計ソフトが適していると考えられている理由について詳しく解説していきます。
資金繰り表は定期的なメンテナンスが欠かせない
資金繰り表は、会社の入出金の予定を把握し将来の資金の残高を予測するものです。
あくまでも予測ですので、受注状況等によっては予測から大きく異なる状況が生じてしまう可能性もあります。
例えば、突然取引先からいつもの仕事とは別に大口の受注があった場合には、入金予定の金額が増えることになります。
また、受注が増加すれば仕入資金等も増えるので、資金の流出額も増えることになるでしょう。
資金繰り表の予測は通常の営業活動に基づく予測です。
「例年通り入金があれば」「例年通りの支払いの予定」という前提の基に資金繰り表は作成されますが、企業活動には良い意味でも悪い意味でもイレギュラーなことがたくさんあります。
資金繰り表はイレギュラーな事象が生じるたびに修正していかなければならないので、常にメンテナンスをしなければなりません。
手書きの資金繰り表では修正を加えることが非常に大変です。
記入済みの金額を消して、正しい金額を書き直すという作業が必要になるので作業に必要な時間と手間は膨大になります。
一方、資金繰りソフトを活用すれば修正は簡単です。
金額を入力すると、瞬時にして自動的に計算してくれるので定期的なメンテナンスが非常に簡単です。
資金繰りソフトは常に新しい情報を反映させなければならない資金繰り表作成を非常に便利に行うことができます。
過去のデータが資金繰り表作成には重要
資金繰り表を作成するためには過去の入出金データが非常に重要になります。
固定費の支払いは大抵が毎年同じ金額、同じ時期に支払いが生じるため、過去のデータを見ることで「いつ、どのくらいの支払いがある」といつことを漏れなく知ることができます。
記憶に頼っていると入出金予定に漏れが生じてしまうので、過去のデータを簡単に参照できる資金繰りソフトは非常に重宝します。
なお、資金繰りソフトによっては、過去の固定費の支払いをスケジュール化してくれるものもあるので、固定費の支払いを入力する手間さえかからないというのも大きなメリットです。
おすすめ資金繰り表作成ソフト4選
世の中に会計ソフトは山ほどあります。
しかし、資金繰りに適した会計ソフトの数はそれほど多くはありません。
資金繰りに適し、資金繰りを円滑にすることができる会計ソフトとしては以下の4つを挙げることができます。
- 弥生会計
- freee
- feliz
- 銀行さん
資金繰りに適した4つの会計ソフトの特徴などについて詳しく解説していきます。
弥生会計
弥生会計は会計ソフトの定番として業界でも最高クラスの売上を誇っています。
主な特徴として、用途に応じて3つのプランが存在することと、回収・支払予定を月別に一覧で表示されているという点です。
弥生会計の特徴について詳しく解説していきます。
回収・支払予定を月別に一覧表示
弥生会計は売掛金や買掛金の過去のデータを元にして、回収予定や支払予定を一覧で表示することができます。
これによって、「いつ」「どのような」支払いがあるのかについて、一目で分かるようになっていますので、今年の資金繰り管理も簡単に行うことができます。
また、定期的な入出金予定を事前に登録して、資金残高の推移を2カ月先まで予測することも可能です。
このような資金繰り管理に特化した充実した機能があるのが弥生会計の1つめの特徴になります。
用途に応じた3つのプラン
弥生会計では利用用途に応じた以下の3つのプランが用意されています。
プラン | サービス内容 | 料金 |
---|---|---|
セルフプラン | 会計ソフトの機能だけ利用できるプラン | 8,000円(税抜)/年 (初年度無料) |
ベーシックプラン | ソフト機能だけでなく業務相談もできる | 12,000円(税抜)/年 (初年度6,000円/年) |
トータルプラン | パソコントラブル・業務相談が加わる | 20,000円(税抜)/年 (初年度12,000円/年) |
それぞれのプランの違いはサポート体制だけですので、ソフトの内容はプランによって違いがあるわけではありません。
したがって、会計ソフトの機能だけを利用するのであればセルフプランで十分です。
年間たったの8,000円で利用することができるのは、弥生会計の大きなメリットだと言えるでしょう。
freee
freeeはクラウド会計ソフトとして圧倒的なシェアを誇っている会計ソフトです。
クラウド型ですので、インターネット環境がある場所であれば、どこでも利用することができます。
弥生会計と同じく安価で充実したサービスの提供を受けることができるという点が大きなメリットでしょう。
主な特徴について詳しく解説していきます。
クレカや銀行と連携して自動で記帳
freeeはクレジットカードの利用データや銀行口座の入出金データと連携させることができます。
これによって、クレジットカードでの支払いや、銀行口座からの引き落とし、銀行口座への入金などの情報を自動で仕訳を行い記帳を行うことが可能です。
自分でクレカの明細を確認し、仕訳して記帳するという手間が一切かかりません。
さらに、freee上で発行した請求書の内容を基にして自動的に記帳を行い、その記帳データから資金繰りのレポートを作成することができるなど、資金繰りのサポートも非常に充実しています。
資金繰り表作成のポイントである、定期的なメンテナンスを自然に行うことができるのがfreeeの大きな特徴だと言えるでしょう。
3つのコースの費用が安い
freeeも料金の異なる3つのプランが用意されています。
プラン | サービス内容 | 料金 |
---|---|---|
スタータープラン | 基本的な記帳機能 ファイル保存 月5枚まで 基本的な請求書機能 確定申告機能 |
月額払い 1,180円 (税抜) 年額払い 11,760円 (税抜) |
スタンダードプラン | スターター全機能 ファイル保存 月10GBまで 請求・支払効率化 定期請求・合算請求 入金管理・支払管理レポート 資金繰りレポート 消費税申告機能 農業所得の確定申告 |
月額払い 2,380円 (税抜) 年額払い 23,760円 (税抜) |
プレミアムプラン | スタンダード全機能 カスタム権限管理 仕訳承認 仮締め 部門階層 配賦計算 電子帳簿保存 経費精算 税務調査サポート補償 |
39,800円 (税抜) ※年額払いのみ |
このようにスタータープランでは基本的な記帳と請求書の作成しか行うことはできません。
資金繰り機能はスタンダードプラン以降のプランでないと利用することができないので、freeeで資金繰り管理を行いたい人は、スタンダードプランか、プレミアムプランへ加入するようにしましょう。
feliz
資金繰り管理だけを行いたいという人は、feliz(フェリス)がおすすめです。
feliz(フェリス)は月額たったの500円(税別)で利用することができる資金繰り管理専用のアプリです。
「収益管理は経理担当者が行っているから資金繰り管理だけは自分でやりたい」という人はfeliz(フェリス)を利用するとよいでしょう。
feliz(フェリス)の主な特徴などについて詳しく解説していきます。
データ入力するだけで様々なグラフが表示される
feliz(フェリス)は入力したデータをもとに営業収支・支出の割合・支出の推移などさまざまな指標をグラフ化し、視覚的にお金の流れを読み取ることができるようになっています。
また、売掛先ごとのお金の流れも表示できるので、取引先ごと回収状況や売掛債権残高を知ることができるので、取引先に対する資金繰りがプラスなのかマイナスなのかということを知ることが可能です。
入力間違いが起きにくい
また、feliz(フェリス)は会計ソフトに起こりがちな入力ミスがないようにするための配慮もかなり徹底しています。
日付を間違えないようにカレンダー表示から日付を入力したり、売掛や買掛は専用フォームで設定することによって買掛金と売掛金を間違えないように設計されているので便利です。
ユーザーフレンドリーなアプリとなっているため、「会計やコンピューターが苦手」という人でも、非常に簡単に資金繰り管理を行うことができます。
銀行さん
銀行さんは銀行の借入資料を作成することができる銀行と取引のある企業にとっては活用することができるツールです。
会計に対して「面倒だ」と感じている人も、入力しやすく設計することによって、抵抗なく間違いなく会計ソフトを利用することができます。
銀行さんの主な特徴は以下の通りです。
勘定科目が必要最低限で入力しやすい
銀行さんは入力がしやすく設計されているという点が大きな特徴です。
通常、会計ソフトの入力は様々な勘定科目を理解し、適切な勘定科目を使い分けて入力する必要があります。
しかし、銀行さんは、このような細かい勘定科目は一切排除して、「経費」「人件費」「支払利息」「その他」「税金・配当金」「設備資金」などと勘定科目を極力まで簡素化しています。
これだけの勘定科目であれば、会計に詳しくない人でも正しく入力することができるので抵抗なくソフトを利用することができます。
入力フォームの項目入力するだけで自動的に資金繰り表が作成される
そして、銀行さんの最大の特徴が資金繰り表の作成に特化しているという点です。
通常の会計ソフトでは資金繰り表の記入欄に金額を入力します。
しかし、銀行さんは入力フォームの項目に従って作業を進めるだけで自動的に資金繰り表が作成されます。
さらに、支出・入金のタイミングをもとに、資金繰りに問題がないかを自動的に判断してくれるので、会社の資金繰りを判断するための作業が大きく軽減されることになるでしょう。
資金繰りソフトに関してよくある質問
- 自分で作ったエクセルフォームで資金繰り管理をするのは問題でしょうか?
- 使いやすいのであれば、ご自身で作成したエクセルなどで資金繰り管理を行っても全く問題ありません。
計算式を入れており、メンテナンスを行った時に残高がすぐに修正できるのであればエクセルで作ったものでも全く問題なく利用することができます。
しかし、エクセルの場合には、過去の支払いや入金の実績が自動で表示されるわけでありません。
また、収益管理から自動で資金繰り表に反映されるわけではないので、この点だけは作業の手間になってしまうので注意しましょう。
- 無料の資金繰りソフトを利用することは問題ないでしょうか?
- 無料の資金繰りソフトとしてはエクセルフォームなどが有名です。
使いやすく設計されているので無料のエクセルソフトであれば、使っても問題はないでしょう。
また、この他にもフリーウェイ経理Liteなどの無料ソフトも存在し、機能には制限があるものの無料であることを鑑みれば十分に活用することができると言えます。
会計ソフトや資金繰りソフトは費用対効果などから判断し、自分が使いやすいと思うものを使うのが一番です。
無料ソフトなども含めて幅広くご自身にあったものを探してみるのがよいでしょう。
ソフト活用!資金繰り改善の提案
資金繰りは企業経営にとって収益管理以上に重要で、定期的なメンテナンスが必要で外部の利害関係者に資金繰り表の作成は資金繰りソフトを利用した方がよいでしょう。
資金繰りソフトは多数ありますが、使いやすいものとしては以下の4つを挙げることができます。
- 弥生会計
- freee
- feliz
- 銀行さん
資金繰りソフトはどれを利用しても問題ありませんが、できる限りこまめに使用し、管理できることが最も重要です。
資金繰り管理には、自分が最も使いやすい資金繰りソフトを有効活用しましょう。