2018年10月から、銀行振込にモアタイムというシステムが導入されました。

これまで銀行振込は「平日15時まで」というのが当然でしたが、モアタイム導入以降、平日15時以降も振り込めるようになりました。

休日でも夜間でも即時振込ができるので、私たち銀行利用者の利便性がモアタイムによって向上したことは言うまでもありません。

また、モアタイム導入によりファクタリングが置かれた環境も変化しました。

モアタイムによってファクタリング利用者の利便性と選択肢は大幅に向上しましたが、デメリットが生じたのも事実です。

本記事では、モアタイム導入によるファクタリングへの影響について解説していきます。

 

モアタイムとは|銀行振込が24時間365日可能に

私たちが銀行で振込を行う際のシステムを「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」と言います。

全銀システムは、金融機関相互間の内国為替取引をオンライン処理するシステムとして、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が運営しています。

銀行間振込の根幹システムである全銀システムは、稼働を開始した1973年以来、40年間一度もオンライン取引を停止したことがない圧倒的な信頼を誇っていました。

しかし従来、全銀システムは銀行の営業時間に準拠して平日8:30〜15:30(コアタイム)しか稼働することができませんでした(15時半以降は翌営業日の振込予約となる)。

平日15時半以降や土日の稼働が課題とされてきましたが、この課題を解決するために登場した休日や夜間も稼働する新しいシステムがモアタイムシステムです。

2018年10月からモアタイムシステムが導入されたことによって、24時間365日振込に対応することが可能になりました。また、個人間取引を含む夜間・土日の取引も拡大しています。

「1,132行」の金融機関が参加

2022年4月時点で、モアタイムシステムには1,132行の銀行・信用金庫・信用組合等が参加しています。

モアタイムシステムが導入された2018年10月時点で、504行の金融機関しか参加していなかったことを鑑みれば、モアタイムシステムに参加する金融機関の数は約3年半で倍以上に増えたことになります。

今は、地方の非常に小さな信用組合のような金融機関でもモアタイムシステムに参加しているので、ほとんどの金融機関で24時間365日振込が可能になったと考えて問題ないでしょう。

多くの金融機関は、毎月1回程度のシステムメンテナンス時間を除いて、24時間365日の振込に対応しています。

休日でも夜間でもほぼ全ての金融機関で振込を受けられるようになったことから、利便性が非常に高まったのは間違いありません。

モアタイムに参加している銀行は、2022年4月時点で以下の通りです。

都市銀行 みずほ銀行 三井住友銀行 埼玉りそな銀行
三菱UFJ銀行 りそな銀行
(計5行)
地方銀行 北海道銀行 山梨中央銀行 山陰合同銀行
青森銀行 八十二銀行 中国銀行
みちのく銀行 北陸銀行 広島銀行
秋田銀行 富山銀行 山口銀行
北都銀行 北國銀行 阿波銀行
荘内銀行 福井銀行 百十四銀行
山形銀行 静岡銀行 伊予銀行
岩手銀行 スルガ銀行 四国銀行
東北銀行 清水銀行 福岡銀行
七十七銀行 大垣共立銀行 筑邦銀行
東邦銀行 十六銀行 佐賀銀行
群馬銀行 三十三銀行 十八親和銀行
足利銀行 百五銀行 肥後銀行
常陽銀行 滋賀銀行 大分銀行
筑波銀行 京都銀行 宮崎銀行
武蔵野銀行 関西みらい銀行 鹿児島銀行
千葉銀行 池田泉州銀行 琉球銀行
千葉興業銀行 南都銀行 沖縄銀行
きらぼし銀行 紀陽銀行 西日本シティ銀行
横浜銀行 但馬銀行 北九州銀行
第四北越銀行 鳥取銀行
(計62行)
第二地方銀行 北洋銀行 東京スター銀行 みなと銀行
きらやか銀行 神奈川銀行 島根銀行
北日本銀行 大光銀行 トマト銀行
仙台銀行 長野銀行 もみじ銀行
福島銀行 富山第一銀行 西京銀行
大東銀行 福邦銀行 徳島大正銀行
東和銀行 静岡中央銀行 香川銀行
栃木銀行 愛知銀行 愛媛銀行
京葉銀行 名古屋銀行 高知銀行
東日本銀行 中京銀行 福岡中央銀行
佐賀共栄銀行 豊和銀行 沖縄海邦銀行
長崎銀行 宮崎太陽銀行
熊本銀行 南日本銀行
(計37行)
信託銀行 三菱UFJ信託銀行 三井住友信託銀行
みずほ信託銀行 オリックス銀行
(計4行)
外国銀行 シティバンク、エヌエイ
その他銀行 PayPay銀行 auじぶん銀行 GMОあおぞらネット銀行
セブン銀行 イオン銀行 新生銀行
ソニー銀行 大和ネクスト銀行 SBJ銀行
楽天銀行 みんなの銀行 ゆうちょ銀行
住信SBIネット銀行 UI銀行
(計14行)
2022年4月時点

この他、信用金庫254行、信用組合140行、労働金庫14行、信用農業協同組合連合会・農業協同組合(農協)585行、信用漁業協同組合連合会・漁業協同組合16行が参加しています。

モアタイム導入によるファクタリングのメリット

モアタイムシステムが稼働したことによって、ファクタリングには以下の2点のメリットが生じました。

  • 当日入金の可能性が大幅に上昇
  • 複数の業者を時間をかけて選べる

至急お金が必要な人にとって、モアタイムシステムはメリットが非常に大きいと言えるでしょう。

また、これまで以上に利用者優位でファクタリング会社を決められるようになりました。

モアタイムシステム導入によるファクタリング会社のメリットについて詳しく解説していきます。

当日入金が大幅に拡大

モアタイム導入によって、申込日当日や審査通過当日に振込を受けられる可能性が非常に高くなったのは、ファクタリング利用者にとって大きなメリットです。

従来のファクタリングでは、銀行振込時間内である平日15時までに契約しないと当日中に入金を受けられませんでした。

しかし、モアタイム導入により平日15時以降も振込を受けることができます

ほとんどのファクタリング会社の営業時間が9:00〜19:00となっているので、この時間内に契約すれば当日中の振込を受けることが可能です。

モアタイムが導入されたことで、当日入金の可能性が高まり、ファクタリング利用者にとっては更なるスピードアップが期待できます。

モアタイム導入によって、以下のような大手ファクタリング会社でも15時以降の振込に対応してくれます。

  • OLTA(オルタ)
  • ビートレーディング
  • ベストファクター
  • WIT(ウィット)
  • 日本中小企業金融サポート機構
  • アクセルファクター
  • トップマネジメント

営業時間内であれば、これらのファクタリング会社は15時以降でも当日振込に対応してくれます。

納入企業にとっては、当日に入金してもらえる可能性が高くなったことはメリットです。

複数の業者を時間をかけて選べる

モアタイム導入により、ファクタリング利用者の選択肢が広がったというメリットも挙げられます。

これまでは、複数の業者で見積もりをとり「どの業者にしようか」と悩んでいると、15時前になってファクタリング会社から決まって言われるのが「今決めてくれれば当日中に振り込みます」というセリフでした。

ファクタリングを利用する人は、お金に困った事情を抱えており「できる限り早くお金が必要だ」と考えています。

そのため、ファクタリング会社から15時ギリギリに「今決めてくれれば今日振り込む」と言われてしまうと、よく考える余裕もなくその業者に決めてしまうリスクがありました。

しかし、モアタイム導入によって、ファクタリング会社のこの手の営業手法は通じなくなります。

モアタイム導入後は、ファクタリング会社の営業時間内であれば振込を受けられるので、利用者は以前よりも時間的な余裕を持ってファクタリング会社を選択できます。

ファクタリング会社は、手数料・サービス・対応・口コミなどあらゆる観点から複数の業者を比較するのがベストです。

モアタイム導入によって、以前よりも利用者側にファクタリング会社を選ぶ時間的余裕が与えられたというのは大きなメリットでしょう。

モアタイム導入によるファクタリングのデメリット

モアタイムシステム導入によるファクタリング利用者のデメリットはほとんどありません。

しかし「返済の遅れや言い訳が許されなくなった」という点だけはデメリットと言えるでしょう。

これは一体どのようなことなのか、詳しく見ていきましょう。

返済の遅れが許されなくなる

モアタイム導入によってファクタリング会社への返済の遅れが許されなくなったのは、ファクタリング利用者にとってデメリットと言えるかもしれません。

以前であれば「振込の手続きをしたけど15時半を過ぎてしまった。おそらく明日の朝には着金すると思う」などと言い訳して、その間急いで金策をするための時間を稼ぐことができました。

しかし、モアタイム導入により24時間365日振込可能になったことから「手続きはしたけど振込が間に合わなかった」という言い訳は通じなくなります。

これはファクタリングだけでなく、取引先への支払い・借入金返済・クレジットカードの支払い等あらゆる場面で同じです。

モアタイム導入後からは、より厳格な返済が求められるので、返済金は手元にしっかりと確保しておきましょう。

モアタイムとファクタリングに関してよくある質問

Q.モアタイムシステムはGWにも適用されますか?
A.モアタイムシステムがGWにも適用されるかどうかは、利用する銀行によって異なります。
GW中に即時振込が受けられるか不安な場合、まずは振込側の銀行の公式サイトをチェックしてみてください。
Q.モアタイムシステムは、本当に24時間振込に対応していますか?
A.モアタイムシステム導入済みなら、ほとんどの銀行が24時間の振込に対応しています(メンテナンス期間を除く)。
しかしながら、接続時間については金融機関が各々で設定できるため、必ずしも24時間対応であるとは言い切れません。
モアタイムシステムに参加している金融機関でも、中には24時間に対応しておらず、曜日によって接続時間が異なる銀行も存在すると把握しておきましょう。
Q.確実に24時間振込を受けることができますか?
A.ファクタリング会社の保有する銀行口座は、ほとんどの会社でモアタイムに参加しているものと考えられます。
ファクタリング利用者の口座もモアタイムに対応していれば、24時間365日ファクタリング会社からの振込を受けられるでしょう。
銀行のシステムメンテナンスの時間は振込を受けられないので、詳しくは取引している銀行へ確認するようにしてください。
Q.深夜に申し込んで深夜に振込を受けることはできるのでしょうか?
A.ファクタリング会社の対応によって左右されます。
ファクタリング会社が、深夜に審査から契約手続きまでを完結できるなら、深夜に振込を受けられるでしょう。
ただし、一般的なファクタリング会社は19時までしか営業していないので、基本的には深夜に申し込んでも翌営業日の振込になります。
とはいえ「えんナビ」のように24時間365日営業しているファクタリング会社であれば、深夜に申し込み、深夜に入金を受けることもできるでしょう。
Q.土日にお金が必要になったとき、ファクタリング会社は対応してくれますか?
A.ファクタリング会社の対応によります。
モアタイムによって365日振込可能であったとしても、ファクタリング会社が営業していなければ振込を受けることはできません。
ファクタリング会社が土日に営業してさえいれば、モアタイムによる休日振込を受けられます。
例えば「えんナビ」のような365日営業のファクタリング会社なら、土日に振込を受けることも可能です。
ただし、基本的にファクタリング会社は平日しか営業していないので、土日に申し込んでもモアタイムとは無関係に翌月曜の対応になるケースが一般的です。

今日中のファクタリングをご希望の方へ

モアタイム導入により、これまで平日の15時半までしか振込を受けられなかった全銀システムで、24時間365日の振込が可能になりました。

ファクタリングにおいても、ファクタリング会社の営業時間内までは振込を受けられるようになり、更なるスピーディーな対応が実現可能となりました。

また、利用者には、じっくりと検討したうえでファクタリング会社を選択できるというメリットも生じます。

ただし、24時間365日の振込が可能になったということは、利用者はこれまで以上に厳格な返済を求められるとも言い換えられます。

「振込手続きをしたけど時間内に間に合わなかった」という言い訳は通用しないので、返済は確実に期日通りに行うことを徹底してください。