個人事業主やフリーランスの方は「クライアントから入金がない」と人知れず悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

個人事業主やフリーランスにとっては、たった1つのクライアントであっても数少ないクライアントの1つで、中にはそのクライアントしか取引先がないという人もいるかもしれません。

そのようなクライアントから予定されていた入金がなければ生活や事業の継続に大きな支障をきたしてしまいます。

かと言って大切なクライアントに安易に督促するのもはばかられます。

このような時にはファクタリングが有効です。

ただし期日をすぎてしまった売掛債権のファクタリングは不可能ですので注意が必要です。

この期日では、クライアントから入金がない場合の対処法と、ファクタリングの注意点について解説していきます。

クライアントから入金がなくても資金繰りに困窮しないように対処法を理解しておきましょう。

 

クライアントから入金がない時に取るべき行動

クライアントから入金がない時に取るべき行動

クライアントから入金がない時には、本来的には以下のような法的な手続きによって回収を図ることができます。

  • 請求を出す
  • 催告書を送る
  • 支払督促をする
  • 少額訴訟を起こす

大切なクライアント相手に上記のような法的措置を取ることが現実的な手段であるとは思えません。

しかし、本来的には不良債権の回収は上記のような手続きで行うものです。

法的手段での売掛債権の回収手続きについて詳しく解説していきます。

請求を出す

クライアントから入金がない場合には、まずは請求を出すようにしましょう。

いきなり内容証明郵便の催告書などを送ると、クライアントからの心象は悪くなってしまいます。

クライアントに悪気はなく、ただ入金を忘れてしまっているだけかもしれません。

そのため、まずはクライアントにできる限り角が立たない形で請求を出すのがよいでしょう。

強硬な手段で請求するのは「このクライアントとはもう付き合いたくない」という覚悟がある場合のみとして、「今後も付き合いを継続したい」という場合には2度目3度目の請求だったとしても、できる限り角が立たないように一度目と同じ方法で請求するようにしましょう。

催告書を送る

通常の請求でクライアントが入金をしないのであれば、法的な手段によって請求することも検討していかなければなりません。

そのための1つ目の方法が催告書を送るという方法です。

催告書とは、督促状の次の段階で届く書類です。

法的には「支払いの催告を行なった」という事実があれば、時効期間を6か月延長させることができます。

確かに「催告をした」という客観的な証明のために、催告書は内容証明郵便で送られることが一般的です。

そのため、請求される側としても通常の請求や督促状よりも強い意味が込められていると感じますし、催告書には「期日までに支払わないのであれば法的手段に出る」などの旨が記載されていることが一般的です。

クライアントとの関係は催告書を送った時点で終わってしまうと考えた方がよいですが、通常の請求で支払いをしない場合には催告書によって督促するのが一般的な方法です。

支払督促をする

次の手段として支払督促という方法があります。

支払督促とは、債務者に対して金銭の支払等をするよう裁判所から督促してもらう方法です。

支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申し立てをしない場合には判決と同じ効果があり、債務者の財産を強制執行できるようになります。

金銭債権の未払いにはよく取られる方法で非常に安い費用で行うことができるので、催告書でもクライアントが支払いをしない場合には支払督促を行いましょう。

なお、支払督促を受け取った債務者が異議申し立てをした場合には、民事訴訟の手続きに入ります。

ただし料金を払っていないのはクライアントですので、裁判にはほとんど勝ち目はありません。

通常は、支払督促を受け取ったら代金を支払って和解の手続きになることが一般的です。

少額訴訟を起こす

60万円以下の金額であれば、1回の審理だけで裁判が終了する少額訴訟という裁判上の手続きになることもあります。

1回の審理で解決するので裁判でありながら時間や費用が嵩んでしまう心配はありません。

金額が60万円以下であれば少額訴訟で争うという方法もあります。

ここで相手が支払いに応じないのであればやはり財産の強制執行ができるようになります。

法的手段での回収方法

  • 催告書
  • 支払督促
  • 少額訴訟

法的な手段をとっても入金される保証はない

クライアントが支払いに応じない場合には、上記のような様々な手段によって回収を図ることができます。

しかし、法的な手段をとったとしても、クライアントが入金してくれる保証はありません。

クライアントは「払うお金はあるけど払わない」のではなく、「お金がないから払えない」というケースがほとんどだからです。

自社とすれば、クライアントと揉めたいのではなく、代金さえ支払ってくれればよいのですから、払えない相手に上記のような法的手段に出ることはお金も手間もかかるので得策とは言えません。

もっと賢い方法でクライアントからの入金がない問題を解決できる方法はないのでしょうか?

クライアントから入金がない時の資金繰りの対処法

クライアントから入金がなければ、個人事業主やフリーランスなどの小規模事業者は特に手元の資金が枯渇して運転に大きな支障をきたしてしまうことになりかねません。

このような場合には銀行借入かファクタリングのいずれかの方法で資金繰りを乗り越えるしかないでしょう。

それぞれの方法の資金調達までの時間や注意点について詳しく見ていきましょう。

銀行借入

クライアントから入金がなく、手元の運転資金に困窮している場合には、銀行借入によって運転資金を確保するという方法があります。

銀行借入の金利は2%前後と、非常に低金利であることが一般的です。

資金調達コストが非常に低いので少ない負担で必要な資金を調達することができます。

ただし、銀行からの借入は申し込みから入金になるまでに最短でも1週間程度、長い場合には2週間程度の時間がかかってしまうことも珍しくありません。

「いつも月末に入金になるクライアントからの入金がない。月末の支払いができない」などの急いで資金が必要な場合に銀行借入では間に合わない可能性があります。

ファクタリング

クライアントから入金がない場合にはファクタリングによって資金調達する方法もあります。

ファクタリングとは売掛債権をファクターに売却して資金化する方法です。

「クライアントから入金がない」ということは、まさに売掛債権を抱えているのですから、その売掛債権をファクタリングによって売却することですぐに必要な資金を手に入れることができます。

ファクタリングは自社の業況が悪くてもクライアントの業況に問題なければ審査に通過することができるので、自社の業況が悪い時の資金調達手段としてもファクタリングは有効な方法です。

クライアントから入金がない時にファクタリングが効果的な理由

クライアントから入金がない時にファクタリングが効果的な理由

クライアントから入金がない時にはファクタリングが非常に有効です。

ファクタリングが有効になるのはファクタリングには以下の3つの特徴があるためです。

  • 最短即日資金化
  • 売掛先に秘密で資金化可能
  • 売掛債権のデフォルトリスクも売却できる

それぞれの理由について詳しく解説していきます。

最短即日資金化

2社間ファクタリングは最短即日で資金化することができるのでクライアントからの入金がない場合には最適です。

「毎月入金になるタイミングに入金がなくて支払いができない」

という状況下でも最短即日で入金になるファクタリングであれば、当日中にお金を用意することができます。

突然、クライアントから入金がないことや、入金が遅れることがわかった時でも2社間ファクタリングなら必要な資金をすぐに用意することが可能です。

売掛先に秘密で資金化可能

2社間ファクタリングなら売掛先に秘密でファクタリングを行うことができます。

入金がないとは言え、規模の小さなフリーランスや個人事業主にとってクライアントは大切です。

クライアントにファクタリングしたことがバレてしまうと「自社が信用されていない」「資金繰りが苦しい」などとネガティブに判断されてしまうことがあり、クライアントとの関係性においては決していいことではありません。

2社間ファクタリングであれば、売掛先に秘密でファクタリングをすることができるので、ファクタリングを利用したとしてもクライアントとの関係性を壊すようなことはありません。

売掛債権のデフォルトリスクも売却できる

ファクタリングの大きな特徴として、売掛債権売却と同時に売掛債権のデフォルトリスクも売却することができるという点をあげることができます。

ファクタリングで売却した売掛債権が、売掛先の倒産や資金ショートによってデフォルトしたとしても自社には何も責任は及びません。

損失は全てファクターが負うことになります。

クライアントから入金がないというケースでは、クライアントの経営状態が危うくなり、未払いになっている可能性も否定できません。

ファクタリングによって売掛債権のデフォルトリスクを売却しておけば、クライアントが未払いのまま倒産した場合に損失を背負う必要が無くなります。

この点でも、クライアントからの入金がないときにはファクタリングが有効活用できる大きな理由と言えるでしょう。

クライアントから入金がない時のファクタリングの注意点

クライアントから入金がない時のファクタリングの注意点

クライアントから入金がない時にファクタリングを利用して資金調達を行う場合には以下の3点には十分に注意する必要があります。

  • 支払期日がすぎた売掛債権はファクタリングできない
  • 支払期日がすぎた場合は他の売掛債権を売却
  • 手数料が高い

大前提として、支払期日がすぎてしまった場合にはファクタリングすることができません。

そのため、他の売掛債権でファクタリングを行う必要あります。

また、そもそもファクタリングの手数料は高額になるという点にも注意が必要です。

クライアントから入金がない時に、ファクタリングで資金調達する場合の注意点について詳しく見ていきましょう。

支払期日がすぎた売掛債権はファクタリングできない

クライアントから入金がない場合に最も注意しなければならないのは、支払期日が過ぎた売掛債権はファクタリングすることができないという点でしょう。

「クライアントから入金がないなぁ」と考え、その売掛債権をファクタリングしようとした時に売掛債権の期日を過ぎていたらファクタリングをすることはできません。

入金がない売掛債権をファクタリングする時には、期日になる前にファクターに申し込みをする必要があります。

期日をすでに過ぎている売掛債権のファクタリングは不可能です。

支払期日がすぎた場合は他の売掛債権を売却

「クライアントから入金がなく、お金がない」という時に、当該クライアントの売掛債権期日が過ぎている場合にはその売掛債権をファクタリングすることは不可能です。

このような場合には、手持ちの売掛債権の中で期日を過ぎていない他のクライアントの売掛債権をファクタリングするようにしましょう。

この際に、すでに期日を過ぎているクライアントの売掛債権しか手元にないのであれば、残念ながらファクタリングによって資金調達することは不可能です。

手数料が高い

ファクタリングは手数料が高いのが大きなデメリットです。

手数料相場は2社間ファクタリングと3社間ファクタリングによって以下のように異なります。

  • 2社間ファクタリング:10%〜20%
  • 3社間ファクタリング:3%〜10%

期間が1ヶ月の売掛債権を手数料20%でファクタリングした場合には、年利に換算すると20%×12ヶ月=240%にもなってしまいます。

銀行から事業資金融資を受けた時の実に100倍程度の負担になってしまい、このコスト負担はやはりデメリットです。

ファクタリングの手数料は以下のポイントを押さえることで引き下げることができる可能性があります。

  • 優良企業の売掛債権を売却する
  • 期間の短い売掛債権を売却する
  • 3社間ファクタリングを利用する

これら3つの方法のいずれかで手数料が下がる可能性があります。

特に、毎月のように支払期日に遅れがちなクライアントに対しては「今後は回収代行業者を利用するから」と伝えて3社間ファクタリングに同意してもらう方法もありでしょう。

非常に便利ですが手数料負担が大きいのがファクタリングのデメリットです。

できる限り手数料負担を軽減する工夫をするようにしてください。

クライアントから入金がない時によくある質問

クライアントから入金がないと言うのは銀行借入の理由になりますか?
銀行借入には資金使途が必要になります。
クライアントから入金がないというのは銀行にとって健全な資金使途とは言えないので、審査に通過できないこともあります。
クライアントから入金がない状況を克服するために銀行からお金を借りたいのであれば、事前に当座貸越枠などを銀行に作成しておかないと借入をするのは難しいでしょう。
入金がない請求書の期日を延ばしてファクタリングすることはできませんか?
請求書は自社で発行するものですので、当初の支払期日を延ばしてファクターに提出することは可能です。
しかし、その行為は私文書偽造という犯罪行為ですので、ファクターにバレた場合に刑事告発される可能性もあります。
また、仮に偽造した請求書でファクタリングできたとしても、偽造した期日にはファクターにお金を支払わなければなりません。
そもそも入金に遅れているクライアントが偽造した期日になればお金を払ってくれる保証はありません。
期日に支払いをすることができなければ、ファクターに嘘がバレ、自社の財産を強制執行されてしまう可能性も十分にあります。
絶対に請求書を偽造してファクタリングすることはやめましょう。
入金がないクライアントとの取引は継続すべきでしょうか?
自社で判断するしかありません。
たまたま期日を忘れていた程度であれば取引を継続した方がよいのかもしれませんが、販売しても全く入金が行われないのであれば取引をすることによって自社の損失は大きくなってしまいます。
取引先の入金状況や取引の規模に応じて、入金がないクライアントとの取引継続は自社で慎重に判断するしかないでしょう。
入金がないクライアントへの回収事務をアウトソーシングしたいのですが
毎月のように入金に遅れるようなクライアントは恒常的に3社間ファクタリング契約を締結することでアウトソーシングすることができます。
毎月入金に遅れるクライアントに対して請求や督促を行うのは大変です。
3社間ファクタリングを利用すれば、ファクターがクライアントに対して請求を行ってくれるので、自社は請求事務から解放されます。
クライアントに対して「今後は決済代行サービスを利用することにした」などと伝えて3社間ファクタリングに同意を得ることができれば、入金に遅れがちなクライアントへの回収事務をアウトソーシングすることができるようになります。
ファクタリングした売掛債権期日にクライアントから入金がない場合はどうなりますか?
2社間ファクタリングの場合には、クライアントから入金がなくても自社がファクターに期日通りに支払う必要があります。
期日に支払うことができない場合には、2社間ファクタリングであってもファクターからクライアントへ請求が行われることもあります。
期日に遅れがちの売掛債権をファクタリングすることは自社にとってもリスクが高いので、ファクタリングする売掛債権は期日を守るクライアントに対するものの方がよいでしょう。

まとめ

クライアントから入金がない時の資金調達にはファクタリングを活用することができます。

ファクタリングには「最短即日資金調達」「売掛債権の回収リスクの排除」という大きな特徴があるので、突然クライアントからの入金がなくなった場合には最適です。

ただし、ファクタリングでは期日を過ぎてしまった売掛債権を売却することはできません。

クライアントから期日に入金がないからと言って、その売掛債権をそのまま売却することはできないので注意しましょう。

また請求書の期日を偽造する行為は犯罪行為ですので、期日を過ぎた売掛債権しか手元にないとしても絶対に請求を偽造してはいけません。