企業の新しい資金調達方法として、ファクタリングが定着しつつあります。

しかし「ファクタリングとは何かよく分からない」という経営者の方も実は多いのではないでしょうか?

ファクタリングは売掛債権の売却で、借入以外の方法として企業にとっては有効に活用することができます。

特に、審査の基準が融資とは全く異なるので、銀行の審査に通過できない場合や急いで資金が必要な場合には大いに重宝する方法です。

ファクタリングとはどんな資金調達方法なのか、審査基準やメリット・デメリットまで徹底的に解説していきます。

この記事を監修した専門家

安田 亮

神戸FAS合同会社

公認会計士・税理士・1級FP技能士の安田です。
大手監査法人と東証一部上場企業での勤務を経て独立開業しました。
企業の会計・税務の分野だけでなく、FP資格を活かして資産運用などのアドバイスも行なっています。

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[この記事へのコメント]

ファクタリングは資金繰り対策の有効な手段となります。
取引先に知られない方法もあり、社会的信用を毀損することなく利用することもできます。
コロナの影響で先行きも見えない状況です。このような資金繰り対策もご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

ファクタリングとは

ファクタリングとは

一般的に「ファクタリングとは、売掛金などの売掛債権を期日前に売却して資金化する方法」と考えられています。

しかし、ファクタリングは売掛債権の譲渡以外の形もあり、主な方法は以下の4つです。

  • 買取ファクタリング
  • 保証ファクタリング
  • 医療報酬ファクタリング
  • 国際ファクタリング

まずは、ファクタリングの4つの異なる形態について詳しく解説していきます。

買取ファクタリング

買取ファクタリングとは、売掛債権を期日前に売却して早期資金化をする通常のファクタリングです。

売掛金期日を待たなくても、買取ファクタリングを利用することによって早期に資金を調達することができます。

保証ファクタリング

保証ファクタリングとは、売掛債権の保証をファクターから受けることです。

保証ファクタリングを利用することによって、売掛債権が万が一デフォルトした場合でも、売掛債権の代金をファクターから受け取ることができ安心です。

保証ファクタリングは受注から入金までの時間が長い建設業や、支払能力が不透明な新規取引先との売掛債権に対して利用されることが多くなります。

保証ファクタリングでは、売掛債権の保証を受けることができるだけで早期に資金化することはできません。

医療報酬ファクタリング

医療報酬ファクタリングとは、医療報酬債権だけを専門にファクタリングするものです。

医療報酬は売上発生から医療報酬の入金までのサイトが最大3ヶ月近くかかります。

医療報酬ファクタリングを利用することによって、このサイトを1ヶ月半程度に縮めることができます。

資金的な体力がない開業当初の病院や介護施設で利用されるファクタリングです。

売掛先が国保連や健康保険組合などの公的期間でデフォルトリスクがないので、低い手数料でファクタリングすることができることも大きな特徴です。

国際ファクタリング

国際ファクタリングとは、貿易を行う企業の売掛債権をファクタリング会社が保証するものです。

従来の信用状でのやりとりは海外の銀行と書類のやりとりが伴うので、取引開始まで長い時間がかかってしまうのがデメリットでした。

しかし、国際ファクタリングでは、ファクターが海外のファクターと連携して与信調査などを行うので、取引開始までの時間を圧倒的に圧縮することができます。

貿易を行う企業にとっては国際ファクタリングを利用することによって、スムーズかつ安心して取引をすることができるようになります。

国際ファクタリングは、世界各国の銀行とその子会社のファクターが加盟している「Factors Chain International(FCI)」というネットワークに入っていないと利用することができません。

そのため、日本では銀行系の大手ファクターしか国際ファクタリングを利用することができません。

このようにファクタリングにはいくつも種類がありますが、ここからは一般的なファクタリングである買取ファクタリングについて詳しく解説していきます。

買取ファクタリングとは

買取ファクタリングとは、売掛債権を売却して期日前に資金化する方法です。

ローンではないので利息ではなく手数料がかかること、また売掛債権のデフォルトリスクもファクターに売却することができるという点に特徴があります。

買取ファクタリングの特徴について詳しく解説していきます。

手数料を支払って売掛債権を売却する

手数料の違い

ファクタリングには手数料がかかります。

2社間ファクタリンと3社間ファクタリングによって手数料相場はそれぞれ以下のように異なります。

  • 2社間ファクタリング:10%〜20%程度
  • 3社間ファクタリング:3%〜10%程度

ファクタリングの手数料は審査によって決定しますが、ファクタリングの手数料は銀行借入の利率よりもかなり高くなるという点だけは理解しておきましょう。

売掛債権のデフォルトリスクも売却する

ファクタリング最大の特徴が売掛債権のデフォルトリスクも売却するという点です。

売掛債権のデフォルトリスクとは、取引先の倒産などによって売掛債権が回収不能になった場合には、ファクターがその損失を負う(ノンリコース)というものです。

ここが売掛債権担保融資や手形割引との最も大きな違いで、ファクタリングによって売掛債権のデフォルトリスクを排除することができます。

なお、ファクタリングの手数料は売掛債権のデフォルトリスクに対するリスクプレミアムとして設定され、リスクの高い債権ほど手数料は高くなります。

契約当事者によって2種類のファクタリングがある

ファクタリングには「売掛先の企業が契約に加わるのかどうか」という違いによって、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという2つの種類があります。

ファクタリングを利用するにあたって2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いを理解しておくことは非常に重要です。

詳しく解説していきます。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングとはファクターと自社(納入企業)の2社だけで契約するファクタリングです。

売掛債権の期日になると売掛先から自社に振り込まれる代金を、自社がファクターへ支払います。

2社間ファクタリングには以下のような特徴があります。

  • 2社間だけで契約完了するので資金調達まで最短即日
  • 3社間より手数料が高い
  • 売掛先企業にファクタリングを知られない

2社間ファクタリングでは売掛先企業を交えず契約するので、最短即日で売掛先に秘密で取引することができます。

しかし2社間ファクタリングは売掛債権期日に売掛先から自社へ代金の入金があります。

そのため自社がファクターへ支払いをしなければなりません。

この際に自社が資金を流用するリスクがあるので、2社間ファクタリングは手数料が高くなってしまいます。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングはファクターと自社(納入企業)と売掛先(支払企業)の3者で契約するファクタリングです。

ファクタリングの前には事前に売掛先企業の同意が必要になり、ファクターと売掛先が支払期日や金額について事前に確認した上でファクタリングを行います。

売掛債権の期日になると売掛先企業が直接ファクターへ支払いを行います。

3社間ファクタリングには以下の特徴があります。

  • 売掛先の同意がないとファクタリングできない
  • 資金化までに1週間程度の時間がかかる
  • 手数料が低い

売掛先の同意が必要になるので、売掛先がファクタリングに同意しなければファクタリングできませんし、売掛先に秘密でファクタリングすることも不可能です。

また、売掛先とファクターとのやりとりに時間がかかるので、資金化までは1週間程度の時間が必要になります。

ただし、売掛債権の代金を売掛先が直接ファクターへ支払うので2社間よりもファクターのリスクが低くなり、手数料は2社間よりも低くなります。

買取ファクタリングの仕組み

買取ファクタリングの仕組みについて解説していきます。

基本的に買取ファクタリングでは以下の流れで入金から支払いまでが行われます。

  1. 売掛債権をファクターへ売却する
  2. ファクターは自社(納入企業へ)代金を入金
  3. 売掛債権期日に売掛先企業(支払企業)からファクターが回収

買取ファクタリングの仕組みについて詳しく見ていきましょう。

売掛債権をファクターへ売却する

売掛金などの売掛債権をファクターに売却します。

申し込みはインターネットから行うこともできますし、契約まで完全非対面で行うことができるファクターも多数存在します。

審査にかかる時間は2社間であれば最短即日3社間であれば1週間程度です。

ファクターは自社(納入企業へ)代金を入金

契約が完了すると、ファクターが自社へ売掛債権の代金から手数料を控除した金額を振り込みます。

これで、売掛債権の期日前でも企業は現金を受け取ることができます。

2社間ファクタリングであれば、最短で申込日当日には代金を受け取ることができます。

3社間ファクタリングではやはり1週間程度は見ておいた方がよいでしょう。

売掛債権期日に売掛先企業(支払企業)からファクターが回収

売掛債権の期日に売掛債権の代金をファクターが回収することで、ファクタリングの取引は完結します。

前述したように、2社間と3社間では売掛債権期日の回収方法が異なります。

2社間ファクタリングの回収方法

2社間ファクタリングでは、自社がファクターに代金を支払うこと回収を行います。

2社間ファクタリングでは売掛先に秘密でファクタリングをするので、売掛先はファクタリングをしたことを知らずに期日通りに代金を自社へ振り込みます。

自社は振り込まれた代金をファクターへスライドさせる形で支払います。

自社に資金が経由するというのが2社間ファクタリングの大きな特徴です。

この際に自社が資金をファクターへ払わずに流用するリスクが生じるので、2社間ファクタリングの手数料は3社間よりも高くなります。

3社間ファクタリングの回収方法

3社間ファクタリングは事前に売掛先の同意を得てファクタリングします。

そのため、売掛債権期日になると、売掛先がファクターへ直接代金の支払いを行います。

資金の支払いに自社が関与することはありません。

売掛先にファクタリングを秘密にすることはできまんが、自社に資金が経由しないので、ファクターにとっては2社間よりもリスクが低くなります。

その分、低い手数料でファクタリングできるのが3社間ファクタリングの特徴です。

ファクタリングの審査

ファクタリングの最も大きな特徴が審査です。

外部からの資金調達方法という点では銀行借入と同じですが、審査のポイントは融資とは全く異なります。

ファクタリングの審査基準について詳しく解説していきます。

売掛先企業の与信で審査を受けられる

3社間ファクタリングの審査

ファクタリング審査がローンと大きく異なる点は、売掛先企業の与信で審査を受けることができるという点です。

ファクタリングでは、ファクターへ支払いをするのは自社ではなく売掛先です。2社間ファクタリングでも、売掛先が間接的にファクターへ支払うということになります。

そのため審査では、売掛先が期日通りに支払いをすることができる企業かどうかという点が最も重視されます。

売掛先が優良企業や大企業であれば、支払いが履行される可能性が高いので審査に通過できる可能性がありますが、売掛先が小規模で業況が悪いのであれば審査に通過することはできません。

ローンでは自社の業況が主な審査のポイントですが、特に3社間ファクタリングの審査では自社の状況は重視されないという点で違いがあります。

売掛債権の期間も審査に影響する

売掛債権の期間も審査に大きく影響します。

  • 売掛債権の期間が短い:審査が緩い
  • 売掛債権の期間が長い:審査が厳しい

売掛債権の期間が短い方が、ファクターにとってはリスクが低いので審査に通過しやすくなります。

売掛債権の期間が長いとファクターのリスクが高くなるので審査に通過することは難しくなります。

売掛債権の期間が長い場合には、期日になるまでに支払企業の業況が大幅に悪化する可能性があるためです。

期間が長い売掛債権のファクタリングは審査に通ったとしても、手数料が高くなる可能性があります。

2社間ファクタリングでは自社の与信もチェックされる

2社間ファクタリングの審査

2社間ファクタリングでは、自社の与信もチェックされ、自社の与信が悪いと審査に通過することができないこともあります

2社間ファクタリングでは、売掛債権の期日に資金が自社を経由するので、あまりにも業況が悪い企業はファクターへ支払いをせずに資金を流用してしまう可能性があるからです。

そのため、今日にも明日にも資金ショートしそうなあまりにも業況が悪化した企業が2社間ファクタリングへ申し込みをしても審査に通過することができないこともあります。

一方、3社間ファクタリングでは資金が自社を経由しないので、自社の業況が悪くても審査に通過できる可能性は2社間ファクタリングよりも高くなります。

ファクタリングのメリット

ファクタリングのメリット

ファクタリングの主なメリットは以下の4つです。

  • 自社に信用がなくても資金調達できる
  • 最短即日で資金調達可能
  • 取引先に秘密で売掛債権を資金化できる(2社間ファクタリング)
  • 貸借対照表のオフバランス化を図ることができる

銀行から借りることができない企業でも、最短即日資金調達できるなどのメリットがあります。

ファクタリングのメリットについて詳しく見ていきましょう。

自社に信用がなくても資金調達できる

ファクタリングは自社に信用がなくても資金調達することができます。

ファクタリング審査で重視されるのは、自社ではなく売掛先企業の業況だからです。

そのため、自社の業況が悪く銀行融資を断られた場合でも、ファクタリング審査に通過して資金調達することができる可能性があります。

銀行融資を受けることができない場合でも、ファクタリングであれば外部からの資金調達ができる可能性があります。

最短即日で資金調達可能

ファクタリングは最短即日で資金調達をすることが可能です。

2社間ファクタリングは審査に時間がかからないため、申込日当日に振込を受けることができます。

企業が銀行からお金を借りる場合には、いくら早くても1週間程度の時間が必要になります。

銀行融資では急いでお金が必要な時でも間に合わない可能性は十分にありますが、ファクタリングであれば早急にお金が必要になった時も資金を確保することができるのは大きなメリットです。

取引先に秘密で売掛債権を資金化できる(2社間ファクタリング)

2社間ファクタリングであれば、取引先に秘密でファクタリングすることができます。

2社間ファクタリングはファクターと自社の2社間だけの契約ですので、ファクタリングしたことを取引先に秘密にすることが可能です。

ファクタリングについて理解のない取引先にファクタリングをしたことがバレてしまうと「経営状態が苦しいのかもしれない」、「今後、取引を継続していくことが危うい会社」などとネガティブな評価をされてしまう可能性があります。

2社間ファクタリングであれば、取引先に秘密でファクタリングができるので、ファクタリングしたことによって自社がネガティブに評価されることはありません。

貸借対照表のオフバランス化を図ることができる

ファクタリングは貸借対照表のオフバランス化ができます。

借入金によって資金調達すると、負債が増えるのでその分だけ貸借対照表の総資産額・総負債額が大きくなってしまいます。

しかし、ファクタリングは売掛金という資産と現預金という資産を交換しているだけですので、貸借対照表が大きくなることはありません。

今は不要な資産や負債をできる限り持たない経営が外部の銀行や投資家から評価される傾向にあります。

借入金によって資金調達するよりもファクタリングの方が決算書の見た目がよくなるので、外部からの評価が下落しにくいというメリットがあります。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングのデメリット

銀行から融資を受けることができない企業や、銀行融資を待っている時間がない企業にとっては確かにファクタリングはメリットの大きな資金調達方法です。

しかし、ファクタリングには以下の3点のメリットがあります。

  • 手数料が高い
  • 資金調達額が限られてしまう
  • 悪徳業者の存在

ファクタリングを利用するのであれば、デメリットについてもしっかりと理解しておく必要があります。

ファクタリングの3つのデメリットを解説します。

手数料が高い

ファクタリング最大のデメリットが手数料の高さです。

ファクタリングの手数料は2社間で10%〜20%、3社間でも3%〜10%程度です。

銀行から事業資金を借りた場合の金利は2%前後ですので、ファクタリングは借入よりも圧倒的に高くなってしまいます。

売掛債権期日まで保有していれば額面金額を丸々受け取ることができるのに対して、ファクタリングを利用するだけで20%近くも手数料が発生してしまうのは間違いなく大きなデメリットです。

手数料の高い2社間ファクタリングは本当に困った時だけ利用した方がよいでしょう。

資金調達額が限られてしまう

ファクタリングは調達することができる資金が限られているというのもデメリットです。

ファクタリングで調達することができる金額は売掛債権の範囲内で、絶対に売掛債権を超える金額を調達することはできません。

ローンであれば大きな金額を借りることもできますが、ファクタリングでは売掛債権金額が小さければ大きな金額を借りることは不可能です。

ローンと比較して調達できる金額が限られてしまうというのもファクタリングのデメリットと言えるでしょう。

悪徳業者の存在

ファクタリング業を営むためには、国や都道府県への登録や許認可が全く必要ありません。

そのため、ファクタリング会社の中には高額な手数料を設定する悪徳業者も混じっています。

悪徳業者は優良業者であれば低い手数料が設定されるようなリスクの低い債権も高額な手数料を設定する場合があります。

消費者金融のように、国への登録制ではないため、取引をしても問題ない安全な業者かどうかの明確な指標がないのがファクタリングのデメリットです。

悪徳業者を避けるために、名前の聞いたことがない業者と取引をする前には必ず複数の業者から見積もりを取るようにしてください。

ファクタリングに関するよくある質問

債務超過ですがファクタリングを利用することはできますか?
債務超過の企業でもファクタリングは利用することができる可能性があります。
ファクタリングは売掛先企業の信用が最も重視されます。
納入企業が債務超過や赤字でも、売掛先企業が支払いに問題ないと判断されれば審査に通過できる可能性があります。
ファクタリングをしたことが銀行にバレることはあるのでしょうか?
決算書に「ファクタリング手数料」などと計上した場合にはバレる可能性があります。そのため、「支払手数料」などと仕分けをしておいた方がよいでしょう。
ファクタリングの支払いを分割にすることはできますか?
分割での支払いは不可能です。支払いは一括払のみです。
2社間ファクタリングで売掛先にファクタリングを知られるタイミングはどのような時でしょう?
支払期日に遅れた場合です。ファクタリングによって売却した債権はファクターのものですので、支払期日に遅れてしまうと、ファクター回収するために売掛先企業へ連絡を入れることがあります。

ファクタリングで必要な書類を教えてください。
請求書、決算書、商業登記簿謄本などです。ファクターによって必要になる書類は異なるので、必要書類は事前にしっかりと確認しておきましょう。
請求書は必ず必要になるので、あらかじめ手元に用意しておきましょう。

まとめ

ファクタリングを利用することで、銀行からお金を借りることができない企業や、銀行融資を待っているだけの時間的な余裕がない企業も最短即日で資金調達をすることができます。

審査は売掛先企業に対して行われるので、ある程度安定した企業の売掛債権であれば資金調達できる可能性は高いでしょう。

さらに、2社間ファクタリングであれば売掛先に秘密で資金調達することができます。

メリットの多いファクタリングですが、高い手数料負担は確実に企業の収益を圧迫します。

本当に困った時に必要最小限の金額を利用するようにしてください。

また、悪徳業者も多いので、名前を知らない業者と取引をする前には、必ず複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。