手形取引の事務負担が煩わしくて、一括ファクタリングに興味のある経営者は少なくありません。一括ファクタリングは手形取引の事務負担を軽減しつつ、支払企業・納入企業ともにメリットの多い仕組みです。

今回の記事では、一括ファクタリングの仕組み・手数料相場・メリット・デメリットなどをまとめました。くわえて、一括ファクタリングを提供している金融機関も紹介します。

本記事を読めば、一括ファクタリングの導入によって受けられるメリットがわかります。一括ファクタリングを上手に活用し、事務作業負担の軽減やサプライチェーンとの関係強化を実現しましょう。

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一括ファクタリングとは

一括ファクタリングとは、支払企業が手形の代わりに利用する支払手段です。

通常の買取ファクタリングは、納入企業が資金調達のために売掛債権をファクタリング会社に売却するサービスです。一方、一括ファクタリングは支払企業が手形の代わりに一括ファクタリングで売掛債権を発行して金融機関の支払保証をつけるサービスです。

一括ファクタリングで支払われた債権を受け取った納入企業は、手形割引と同様にいつでも金融機関に支払いを求められます。

一括ファクタリングを利用する流れ

一括ファクタリングは、支払企業が金融機関に登録・契約した上で納入企業へ支払うという流れです。

支払企業が支払いを行い、納入企業が現金化するまでの流れは以下の通りです。

  1. 支払企業が一括ファクタリングへ登録・契約
  2. 納入企業が支払企業に商品やサービスを提供
  3. 納入企業が支払企業へ代金を請求して売掛債権が発生
  4. 納入企業が一括ファクタリングで支払企業へ売掛債権を譲渡
  5. 支払企業が一括ファクタリングでの売掛債権の譲渡に承諾
  6. 支払企業が一括ファクタリングシステムへ買掛金データを送信
  7. 金融機関が納入企業へ手数料を差し引いた売掛債権の買取金額を支払う
  8. 支払企業は請求書の支払期日通りに金融機関へ支払い

一括ファクタリングを利用して支払うと、納入企業は決済期日より早く売掛債権を現金化できます。

一括ファクタリングは支払企業発信で利用するサービス

一括ファクタリングは、支払企業が金融機関の一括ファクタリングに登録・契約しないと利用できません

納入企業の立場で一括ファクタリングを利用したいなら、支払企業に提案を持ちかけましょう。提案時に一括ファクタリングのメリットを提示できれば、検討してもらえる可能性があります

なお、支払企業は一括ファクタリングに登録・契約したあと、納入企業に一括ファクタリングの利用を承諾してもらう必要があります。導入前に仕組み・メリット・デメリットなどを説明し、十分に納入企業からの理解を得ましょう。

一括ファクタリングの手数料相場

一括ファクタリングの手数料相場は1%~5%程度で、ほかのファクタリングと比較するとリーズナブルです。なお、一括ファクタリングの手数料は支払企業ではなく、納入企業が支払う必要があります。

ほかの取引方法と手数料相場を比較する表は、以下の通りです。

ファクタリングの種類 手数料相場
一括ファクタリング 1%~5%
2社間ファクタリング(対面) 10%~20%
2社間ファクタリング(オンライン) 2%~12%
3社間ファクタリング 1%~9%
でんさい割引 1.5%~5.5%
銀行・信用金庫 2%~4.5%
手形割引専門業者 2.5%~15%

一括ファクタリングを提供する金融機関や、支払企業の信用力によって手数料は異なります。まずは金融機関に見積もりを依頼し、手数料を前もって確認してから契約しましょう。

支払企業が一括ファクタリングを利用する5つのメリット

支払企業が一括ファクタリングを利用するメリットは、以下の5つです。

  • 手形発行のコストがかからない
  • 手形発行業務の労力がかからない
  • 納入企業に支払いが保証できる
  • 分割払いも可能
  • サプライチェーンの強化

一括ファクタリング利用時の、支払企業の5つのメリットを詳しく解説します。

手形発行のコストがかからない

一括ファクタリングの利用によって、手形の発行にかかる収入印紙代が不要になります。収入印紙のコストは以下の表の通りです。

記載された契約金額 税額
10万円未満 非課税
10万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
300万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 2,000円
1,000万円超~2,000万円以下 4,000円
2,000万円超~3,000万円以下 6,000円
3,000万円超~5,000万円以下 10,000円
5,000万円超~1億円以下 20,000円
1億円超~2億円以下 40,000円
2億円超~3億円以下 60,000円
3億円超~5億円以下 100,000円
5億円超~10億円以下 150,000円
10億円超~ 200,000円

支払手段を手形から一括ファクタリングに変更し、コスト削減を図りましょう。

手形発行業務の労力がかからない

一括ファクタリングを支払企業が利用すると、手形発行業務の負担が軽減できます。手形発行で発生する事務手続きは、主に以下の4つです。

  1. 支払先の宛名・宛先の記入
  2. 請求されている金額の記入
  3. 収入印紙の貼り付け
  4. 郵送

取引先が多いほど手形発行業務の負担は増加し、ほかの仕事に割くリソースを圧迫します。一括ファクタリングで事務作業を軽減し、社内リソースの確保を目指しましょう。

納入企業に支払いが保証できる

一括ファクタリングを利用すると、納入企業は支払いを金融機関に保証してもらえます

売掛債権の回収義務は金融機関が負うため、納入企業は未回収リスクが非常に小さくなります。支払いが金融機関に保証されているので、支払企業は納入企業との取引で強いベネフィットの提示が可能です。つまり、一括ファクタリングの利用によって、支払企業に有利な契約・取引が成立しやすくなります。

また、一括ファクタリングの利用には金融機関の審査通過が必要なため、社会的な信用を得られます。一括ファクタリングを利用して、自社に有利な契約・取引がしやすい環境を実現しましょう。

分割払いも可能

一括ファクタリングとでんさいを掛け合わせた、でんさい一括ファクタリング(でん括)やでんさいなら分割払いが可能です。

でんさいとは、全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が取り扱う電子記録債権の略称です。でんさいネットには全国の金融機関が参加しており、金融機関と契約してでんさいを利用すると一括ファクタリングとほぼ同様のサービスが受けられます。

たとえば、納入企業は売掛債権の一部だけ現金化し、残りの売掛債権は決済期日に支払ってもらうといった利用方法も考えられます。手形割引は一部だけの現金化はできませんので、分割払いができるのは一括ファクタリング・でんさいの大きな特徴です。

サプライチェーンの強化

一括ファクタリングの利用は、サプライチェーンの強化につながります。サプライチェーンとは、自社に納入されるまでの一連の生産・流通プロセスを指します。

支払いを一括ファクタリングにすれば、納入企業は決済期日を待たずに売掛債権を現金化できます。売掛債権の早期現金化は納入企業の資金繰り・キャッシュフローの改善につながり、結果として経営・財務の強化が可能です。

自社のサプライチェーンを強化するため、賢く一括ファクタリングを活用しましょう。

納入企業が一括ファクタリングを利用する4つのメリット

納入企業も、一括ファクタリングによってさまざまなメリットが得られます

  • 売掛債権の早期現金化ができる
  • 財務内容の改善に役立つ
  • 手形管理にかかっていた負担がなくなる
  • 売掛債権の未回収リスクが軽減される

一括ファクタリング利用時の、納入企業側のメリットを詳しく解説します。

売掛債権の早期現金化ができる

一括ファクタリングで支払いを受ければ、納入企業は売掛債権を決済期日前に現金化できます

納入企業は請求書を発行し、発生した売掛債権を金融機関に譲渡した時点からいつでも現金化が可能です。そのため、支払いサイトが短縮されて資金繰り・キャッシュフローの改善が実現できます。

財務内容の改善に役立つ

一括ファクタリングは、納入企業の資金繰り・キャッシュフロー改善に役立ちます。請求書を発行して売掛債権が発生すれば、金融機関に譲渡して代金をいつでも受け取れるからです。

また、一括ファクタリングで支払いサイトを縮めるとオフバランス化も行えます。オフバランス化とは、企業が保有する資産・負債をバランスシートに計上しないファイナンス手法です。

オフバランス化を実現すると、計上される総資産額が減少してROA(総資産利益率)が上昇します。ROAとは経営資源の活用の効率性を表す指標で、投資家・金融機関が注目しています。

ROAが上昇すれば金融機関からの評価が上がり、融資が受けやすくなる点がメリットです。オフバランス化で企業価値を上昇させ、さらなる事業拡大を目指しましょう。

手形管理にかかっていた負担がなくなる

納入企業が一括ファクタリングを活用すると、手形管理にかかっていた負担軽減につながります

安全に手形取引するためには、与信管理・契約条件の調整・紛失事故の防止対策・手形取引に伴う事務作業といった労力が発生します。しかし、一括ファクタリングによって手形管理業務は不要になり、今まで割いていたリソースの確保が可能です。

手形管理にかかっていた負担をなくし、より効率的な業務体制を目指しましょう。

売掛債権の未回収リスクが軽減される

納入企業側にとって、一括ファクタリングの利用は売掛債権の未回収リスク軽減につながります。一括ファクタリングを利用できるのは、銀行を主とする金融機関の審査に通過した納入企業だけだからです。

また、ノンリコース契約の一括ファクタリングなら、未回収が発生しても納入企業に弁済義務はありません。万が一、支払企業が倒産してもすでに受け取った代金の返金は不要です。

なお、でんさいや手形割引は支払企業が不渡りを出した場合、返金を求められるケースがありますので注意しましょう。

支払企業が一括ファクタリングを利用する2つのデメリット

一括ファクタリングを利用する支払企業のデメリットは、以下の通りです。

  • 支払サイトが手形より短い
  • 納入企業が一括ファクタリングに登録する必要がある
  • 審査に通過しないと一括ファクタリングを利用できない

支払企業一括ファクタリングを利用するデメリットを、わかりやすく解説します。

支払サイトが手形より短い

一括ファクタリングの支払サイトは60日間が限度で、手形よりも短い点がデメリットです。一括ファクタリング・でんさい・手形の支払いサイトは、以下の比較表の通りです。

種類 設定できる支払いサイト
一括ファクタリング 最長60日
手形 最長120日
でんさい 最長10年間

手形取引から一括ファクタリングに切り替えると、支払いサイトが短くなってキャッシュフローが悪化する恐れがあります。資金繰り悪化の可能性を十分に検討し、余裕を持って一括ファクタリングを導入しましょう。

納入企業が一括ファクタリングに登録する必要がある

一括ファクタリングは、支払企業・納入企業ともに同じ金融機関と契約する必要があります。また、でんさいの場合も納入企業・支払企業ともにでんさいネットへの加入が必要です。

一方、手形であれば加入・契約の必要がなくすべての企業と取引できます。いまだ一括ファクタリングやでんさいは広く浸透していないため、利用が限られる点が大きなデメリットです。

審査に通過しないと一括ファクタリングを利用できない

一括ファクタリングは、支払企業が金融機関の審査に通過しないと利用できません。金融機関で審査されるのは、支払企業の経営状態・財務状況・信用力です。

審査基準は公開されておらず、一括ファクタリングを提供する金融機関によっても異なります。申し込みに必要な書類については、各金融機関の窓口に問い合わせましょう。

納入企業が一括ファクタリングを利用する3つのデメリット

納入企業が一括ファクタリングを利用するデメリットは、以下の通りです。

  • 納入企業発では利用できない
  • 支払企業と同じ金融機関との契約が必要
  • 納入企業は手数料を支払う必要がある

納入企業が一括ファクタリングを利用するデメリットを、わかりやすく解説します。

納入企業発では利用できない

納入企業は、一括ファクタリングに単独で申し込めません

もし一括ファクタリングでの支払いを受けたいなら、支払企業にメリットや仕組みを説明して利用を打診しましょう。ただし、一括ファクタリングは金融機関の審査があるため、支払企業が提案を受諾しても利用できるとは限りません。

資金繰り・キャッシュフローの問題を抱えているなら、買取ファクタリングの利用がおすすめです。

支払企業と同じ金融機関との契約が必要

一括ファクタリングは、支払企業・納入企業が同じ金融機関と契約する必要があります

納入企業に対して審査はありませんが、契約手続きなどにある程度の時間がかかる点もデメリットです。納入企業から一括ファクタリング導入を打診されたら、メリット・デメリットを十分に検討しましょう。

納入企業は手数料を支払う必要がある

一括ファクタリングを主導するのは支払企業ですが、納入企業は売掛債権を譲渡したときに手数料が必要です。

一括ファクタリングの手数料は1%~5%と、ほかのファクタリングサービスと比較してリーズナブルに設定されています。ただし、利益率の低い商品・サービスなどの場合はリーズナブルな手数料でも利益を圧迫します。

資金繰り・キャッシュフローをかえって悪化させないためにも、手数料と利益率を検討してから契約しましょう。

一括ファクタリングを提供しているおすすめの金融機関4選

一括ファクタリングを提供しているおすすめの金融機関4選を解説します。

  • 三井住友銀行
  • SMBCファイナンスサービス
  • 八十二銀行
  • 静岡銀行

メガバンク・地方銀行の中から、自社と取引先に最適な一括ファクタリングを選びましょう。

三井住友銀行

三井住友銀行の「でんさいファクタリング支払サービス」は、一括ファクタリングとでんさいを組み合わせた決済サービスです。手形管理業務の削減によって決済事務の負担を軽減し、納入企業は売掛債権が発生したら決済期日を待たずに現金化できます。

納入企業に対して新たな決済方法・資金調達手段を提供できるため、経営・財務の改善につながってサプライチェーン全体の関係強化も可能です。

納入企業はでんさいネットへ加入していなくても、でんさいファクタリング支払サービスを利用できます。また、三井住友銀行以外の金融口座への振り込みにも対応しています。

メガバンクである三井住友銀行が提供する一括ファクタリングで、決済事務の負担を軽減して社内リソースを確保しましょう。

SMBCファイナンスサービス

SMBCファイナンスサービスは、キャッシュレス決済戦略の中核を担う総合決済サービスを提供する企業です。三井住友カードが親会社であり、高い信頼性と実績を誇るため安心して利用できます。

SMBCファイナンスサービスが提供する一括ファクタリングは、支払企業への貸倒れリスクを軽減してスピーディーな資金調達が可能です。ただし、大口取引がメインとなっており1,000万円以下の売掛債権には対応していません。

大型の売掛債権がない中小企業は一括ファクタリングではなく、SMBCファイナンスサービスの提供するでんさいへの加入を検討しましょう。

八十二銀行

八十二銀行は、でんさいと一括ファクタリングを組み合わせた「でんさい一括ファクタリング」を提供しています。でんさい一括ファクタリングはNTTデータのシステムと連携した、八十二銀行の独自サービスです。

基本的なシステムはでんさいと同じで、手形割引にかかっていた決済事務の負担軽減が実現します。また、納入企業は決済期日前に売掛債権を現金化できるため、資金繰りやキャッシュフローの改善効果が見込めます。

長野県の地方銀行である八十二銀行の一括ファクタリングは、地元企業なら大きなメリットのあるサービスです。

静岡銀行

静岡銀行は1943年に、静岡三十五銀行と遠州銀行が合併して設立された地方銀行です。静岡県を地盤としており、自己資本比率が地方銀行の中ではトップクラスに高い点が特徴です。

また、システム投資に積極的で一括ファクタリングも提供しています。手形取引による決済事務の負担を軽減し、納入企業にとってはスピーディーな資金調達手段を提供します。

手形にかかる印紙代のコスト削減など、一括ファクタリングにはさまざまなメリットがあります。静岡を中心にビジネスを展開している企業は、静岡銀行の一括ファクタリングを導入してスマートな企業体質を実現しましょう。

一括ファクタリングと買取ファクタリングとの違い

買取ファクタリングと一括ファクタリングの違いは、以下の3つです。

  • 一括ファクタリングは支払企業発・買取ファクタリングは納入企業発
  • 買取ファクタリングの方が手数料は高い
  • 買取ファクタリングの2社間ファクタリングは同意が不要

一括ファクタリング・買取ファクタリングの違いを詳しく解説します。

一括ファクタリングは支払企業発・買取ファクタリングは納入企業発

一括ファクタリングは支払企業、買取ファクタリングは納入企業が主導です。一括ファクタリングは支払企業が金融機関に利用を申し込み、審査通過後に納入企業へ承諾・加入を求めます。

一方、買取ファクタリングは納入企業が売掛債権の売却をファクタリング会社に申し込む流れです。契約主体が異なる点が、一括ファクタリング・買取ファクタリングの大きな違いです。

買取ファクタリングの方が手数料は高い

一括ファクタリングより買取ファクタリングの方が、手数料は高くなります

一括ファクタリングは銀行を主とした金融機関が取り扱っているため、支払企業への審査基準が厳格です。一方、多くの買取ファクタリングは独立系ファクタリング会社が取り扱っており、銀行と比較すると審査基準は厳しくありません。

そのため、買取ファクタリングは一括ファクタリングより未回収リスクが大きく手数料が高くなります。一括ファクタリングと買取ファクタリングの手数料相場の違いは、以下の表の通りです。

ファクタリングの種類 手数料相場
一括ファクタリング 1%~5%
2社間ファクタリング(対面) 10%~20%
2社間ファクタリング(オンライン) 2%~12%
3社間ファクタリング 1%~9%

資金調達手段としてファクタリングを利用するなら、買取ファクタリングより一括ファクタリングの方が手数料が安くおすすめです。

買取ファクタリングの2社間ファクタリングは同意が不要

買取ファクタリングで一般的な2社間ファクタリングは、支払企業の同意が不要でスピーディーに資金調達できます

買取ファクタリングには、2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの2種類があります。2社間ファクタリングは利用者・契約者で締結する契約形態で、支払企業に知られずスピーディーに資金を得られるのがメリットです。一方、3社間ファクタリングより手数料が高くなるというデメリットがあります。

3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・支払企業で締結する契約形態です。支払企業からの承諾が必要で契約に時間がかかりますが、2社間ファクタリングに比べて手数料が安いのが特徴です。

一括ファクタリングは納入企業、3社間ファクタリングは支払企業の同意を必要としますが2社間ファクタリングでは不要です。同意が必要かどうかで、契約までの期間が変わってくる点を押さえておきましょう。

一括ファクタリングとでんさい(電子記録債権)の違い

一括ファクタリングとでんさいの違いは、以下の通りです。

種類 一括ファクタリング でんさい
納入企業の契約・加入先 支払企業の契約した金融機関 同じ金融機関である必要はない
償還請求権 なし あり

償還請求権とは支払企業が倒産したとき、期日前に現金化した売掛債権の代金を金融機関が納入企業に請求できる権利です。一括ファクタリングは弁済義務が生じませんが、でんさいでは現金化した売掛債権額の返金が求められます

それぞれの違いを十分に把握し、自社に適切なサービスを選択しましょう。

一括ファクタリングと手形取引の違い

一括ファクタリングと手形の違いは、以下の表の通りです。

種類 一括ファクタリング 手形
事務作業 少ない 多い
償還請求権 なし あり

一括ファクタリングは、手形のデメリットを解消するために発展したサービスです。そのため、手形割引と比較して事務負担が少なく償還請求権もありません。

なお、経済産業省によると2026年までに政府・産業界・金融界は手形利用廃止を目標としています。新たな決済手段として、ネット銀行の振り込みを含む現金での決済とでんさいの利用が推奨されています。

まだ手形で取引をしているなら、将来に向けてでんさい・一括ファクタリングの利用を検討しましょう。

一括ファクタリングのよくある質問

一括ファクタリングに関するよくある質問を解説します。

  • でんさいや一括ファクタリングに月額利用料はかかる?
  • 支払企業にでんさいや一括ファクタリングで支払って欲しいと依頼できる?
  • 一括ファクタリングはどの程度の時間で資金化できる?

前もって疑問を解消し、トラブルを回避して上手に一括ファクタリングを利用しましょう。

でんさいや一括ファクタリングに月額利用料はかかる?

どちらも月額利用料はかかりません。登録・契約は無料ですが、売掛債権の決済・譲渡時に手数料がかかります。

支払企業にでんさいや一括ファクタリングで支払って欲しいと依頼できる?

継続して長期にわたり取引しているなら、でんさい・一括ファクタリングの仕組みやメリットを提示した上で依頼してみましょう

支払企業側にとって、でんさい・一括ファクタリングでの支払いに手数料がかかるなどのデメリットはありません。お互いにとって有益だと判断されれば、でんさい・一括ファクタリングを導入してくれる可能性は高いです。

一括ファクタリングはどの程度の時間で資金化できる?

支払日の当日に資金化が可能です。ただし、金融機関によって対応時間が異なるので、前もって確認しておきましょう。

一括ファクタリングを活用して支払い業務を軽減しよう

一括ファクタリングとは、支払企業が手形の代わりに利用する支払い手段です。一般的な買取ファクタリングとは異なり、支払企業主導で申し込み・契約をする点が特徴です。

今回の記事では、一括ファクタリングのメリット・デメリットを支払企業・納入企業に分けて解説しました。くわえて、一括ファクタリングが利用できる金融機関や、手形・でんさいと・買取ファクタリングとの違いも紹介しました。

一括ファクタリングを利用すれば事務作業負担が減り、社内リソースの確保につながります。上手に一括ファクタリングを利用して、支払い業務の軽減とサプライチェーンの強化を行いましょう。