「給料日前にお金がない」「急な葬儀で大きな出費が必要になった」などの緊急時に手元にお金がない時には、カードローンを利用する人が多いのではないでしょうか?

しかし、金利が高く一度借りてしまうと利息負担が大きいため、安易に利用すべきではありません。

カードローンを利用する前に、会社から給料の前払いができないか検討してみましょう。

「上司へ前払いの相談をすることが嫌」という方でも、「給料前払いサービス」を採用している会社であれば、上司に相談することなく給料の前払いができます。

給料の前払いの法的根拠や前借りとの違い、会社や上司に気兼ねなく前払いできる給料前払いサービスの概要などについて解説していきます。

大きく違う「前払い」と「前借り」の意味

給料日前に給料を受け取ることを「給料の前払い」ということもあれば、「給料の前借り」ということもあります。

多くの人が同じ意味として使っていることが多いようですが、実は両者の意味は正反対です。

まずは、給料の前払いと前借りの意味の違いについて詳しく理解していきましょう。

給料の前払いとは?

給料の前払いとは、働いた分の給料を給料日前に受け取ることです。

すでに働いた分で、まだ受け取っていない給料を給料日前に受け取ることを「前払い」と言います。

例えば月末締め翌月20日払いの会社に勤務していた人が給料の前払いを希望するケースを考えてみましょう。

  • 1/30:締め日
  • 2/10:給料を前払いで受け取り
  • 2/20:本来の給料日

2月10日に、会社に対して「2月20日に支払われる給料を前払いしてほしい」と依頼した場合、「2月20日に支払われる給料」とは1月1日〜1月31日までに働いた分ですので「すでに働いた分で、まだ受け取っていない給料」ということになります。

このような「締め日以降、給料日前」に受け取る給料を「給料の前払い」と言います。

給料の前借りとは?

一方、給料の前借りとは、まだ働いていない分の給料を受け取ることを言います。

例えば、月末締め翌月20日払いの会社に勤務していた人が給料の前借りを希望するケースを考えてみましょう。

  • 2/1:給料を前借りで受け取り(2月末締め3/20支払予定分)
  • 2/28:2月分給料締め日
  • 3/20:本来の給料日

2月1日に、会社に対して「3月20日に支払われる給料を前借りさせてほしい」と依頼した場合、「3月20日に支払われる給料」とは2月1日〜2月28日までに働いた分ですので、この従業員はまだ給料の対価である労働をしていません。

給料の前借りとは「将来の労働を条件として会社からお金を借りる行為」です。

なお、給料の前借りを行うことは会社が労働基準法違反に抵触するおそれがあります。

労働基準法違反の恐れ

働いていない分を対象とした給料の前借りを従業員へ行うことは会社にとって非常にリスクの高い行為です。
給料の前借りは労働基準法違反の罪に問われる可能性があります。
労働基準法第17条では「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。」と定められています。
給料の前借りとは「来月分の給料をすでに貸したから来月は無料で働け」ということですので、まさに労働することを条件に前貸の債権と賃金を相殺することです。

給料の前借りは法律違反のおそれがありますし、前借りした従業員が働かずに失踪しまう可能性もあるので、従業員からの給料の前借り要請には応じない方が無難です。

給料の前払いを会社に相談できる?

給料の前払いは会社に相談することができるのでしょうか?

前払いを受けるために正当な理由があるのであれば、前払いを請求することは可能です。

しかし、現実問題として、会社から前払いを受けることにはかなり高いハードルがあるのも事実です。

給料前払いの法的根拠や、前払いに立ちはだかるハードルについて解説していきます。

給料の前払いは法律で認められた行為

給料の前借りは法律で禁じられている行為です。

しかし、給料の前払いは法律でむしろ認められています。

労働基準法第25条では非常時の給料前払いについて以下のように定められています。

使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

参考:労働基準法第25条

病気や災害などでどうしても従業員にお金がなく請求があった場合は、給料日前であってもすでに働いた分の給料を支払わなければならないという決まりです。

単純に「遊ぶお金がない」という理由であれば、必ずしも前払いに応じる必要はないかもしれませんが、やむを得ない緊急時には前払いに応じなければなりませんし、断った場合には労働基準法違反に問われる可能性もあります。

緊急時には給料の前払いは法的には可能です。

前払いは合法だが社内での立場が悪化する

給料の前払いは法的に可能と言っても、実際には給料の前払いを会社に申請するのは難しい側面もあります。

いくら緊急時だからと言って、給料の前払いを申請すると、会社の人間から「非常時に備えて普段から貯蓄をしていないからだ」とか「数十万円程度の貯蓄もないのか」と評価される可能性は非常に高いと言えるでしょう。

このような評判が社内で立ってしまうと会社に居づらくなってしまったり、上司からの評価が下落して出世に響いてしまう可能性もあります。

そもそも、日本企業においては他人と異なることをする人間が忌避される傾向があるので、皆給料日に受け取っている給料を給料日前に受け取るというだけで白い目で見られてしまう可能性は非常に高いと言えるでしょう。

給料の前払いは法律で認められていると言っても現実的には難しいのが実情です。

大手企業での前払いは実務上不可能

会社の社長と親子や家族のような付き合いをしている中小企業であれば、給料の前払いを申請することもできるでしょう。

従業員が「困った」と相談すれば、社長や社長の奥さんは喜んで助けてくれるかもしれません。

しかし、大企業ではそうはいきません。

従業員の給料を計算して振り込んでいるのは、人事部や財務部で、人事部や財務部の人間は会社の規定に沿って給料を支払っているだけです。

そのため、人事や財務の人間に「給料の前払いをしてほしい」と言っても、現場の人間は判断できません。

前払いには部長や役員の決済が必要

ほとんどの会社で前払いを承認するのは部長や役員クラスになるでしょう。

大手企業は法律遵守ですので、従業員から前払いの申請があったら即刻却下ということはしませんが、前払いの申請が従業員から上がってきたら決済担当者へ稟議を回覧することになります。

これだけでかなり長い時間を要することになるので、大手企業における給料前払いは現実的ではありません。また、会社の役員などにも前払い申請が知られることになるのは会社員にとっては避けたいところです。

大手企業では従業員貸付金を利用した方が無難

大手企業には「従業員貸付金」などの制度が用意されているので、前払いを申請するのであれば社内の貸付制度などを利用した方がよいでしょう。

大手企業で前払いを申請する人はほとんどいないのが現実です。

会社に申し出不要の「給料前払いサービス」とは

いくら法律で認められていると言っても、会社には給料の前払いを言い出しにくいのが現実です。

そこで「給料前払いサービス」という会社の福利厚生制度を利用すれば、給料日前でも上司にお伺いを立てることなく給料の前払いができます。

給料前払いサービスには以下のような特徴があります。

  • 勤務先とサービス提供会社が提携したサービス
  • 従業員の福利厚生や人員確保のために行われる
  • 上司の承認が必要ない
  • 手数料は数%程度
  • 最短即日入金に対応したサービスも

勤務先と提携した従業員向けサービス

給料前払いサービスとは、会社と決済代行会社などのサービス提供会社が提携して導入するサービスです。

会社が従業員が給料の前払いを簡単に行うことができるようにシステムを導入します。

つまり、このサービスを導入している会社は従業員に対して「給料の前払いをぜひ利用してください」という意思表示をしているということで、従業員は会社に気兼ねすることなく前払いを利用することが可能です。

アプリやPCから給料の前払い申請ができる

給料前払いサービスでは、システムを会社の勤怠実績が連動しています。

仕事をすると、その分の給料が給料前払いサービスの画面に加算され、パソコンやスマホの画面から「既往労働分でまだ受け取っていない給料がいくらあるのか」ということが視覚的に確認できるようになっています。

従業員は、「既往労働分でまだ受け取っていない給料」の範囲内で、前払いしたい金額を入力して前払い申請を行うと、前払い金額が振り込み(サービスによってはコンビニATMから引き出し可能)を受けることができます。

余った給料は給料日に振り込まれる仕組みです。

従業員の福利厚生向上や人員確保に寄与する

給料前払いサービスをなぜ会社が導入するのかと言えば、従業員の福利厚生を充実させるためです。

今や、日本中で人手不足となっているので、働く人の満足度を向上させ、人員確保を図ることは企業の大きな課題となっています。

給料前払いサービスは、そのような人手不足のソリューションとして導入されるもので、「働いた分の給料が給料日前に簡単に受け取れる」という付加価値を会社に付けることによって人員を集めやすくすることができます。

実際に、給料前払いサービスを導入した企業の中には、求人にかかるコストが7分の1程度になったという所もあるようです。

前払いの際に上司の承認が必要ない

給料前払いサービスは、会社の勤怠実績とシステムが連動しています。

そのため、サービスのログイン画面やアプリには、「すでに働いた分の給料がいくらか」ということが表示され、従業員はその金額の範囲内で自由に前払い申請を行うことができます。

上司に「給料の前払いをお願いしたいんですが」などと相談する必要はありません。

システム上で前払い申請を行い、残った金額だけ給料日に振り込まれるということが自動で行われるので、むしろ上司は前払いをした事実さえ知らない可能性があります。

従業員は全く気兼ねすることなく前払い申請を行うことができるので若い人にとっては魅力的なサービスだと言えるでしょう。

手数料は数%程度と安価

給料前払いサービスはサービスによって手数料が異なります。

前払い申請の都度、数百円程度もしくは1.5%程度の手数料がかかるというのは一般的で、サービスによっては従業員負担がないものも存在します。

カードローンなどを借りるよりはコストがかなり安くなるというのも、従業員にとっては大きなメリットです。

最短即日入金に対応したサービスも

給料前払いサービスの中には、申請日当日に入金を受けることができるサービスも多数あります。

これまでは「緊急でお金が必要」という場合には、大手消費者金融のカードローンを利用するというのがオーソドックスな手段でした。

しかし、給料前払いサービスを導入している会社に勤務しておけば、数万円程度の緊急の資金繰りであれば、カードローンを利用する必要はありません。

非常に低いコストで最短即日で資金調達することができるので、ある意味「金利のかからないカードローンを持っている」と言っても過言ではないでしょう。

いざという時に備えて、大きな安心感があります。

給料前払いに関するよくある質問

給料の前払いを断られた場合は法的な手段に訴えるしかないですか?
健康・災害などの理由によって給料の前払いを請求したのにも関わらず、会社が前払いを拒否した場合には労働基準法違反になる可能性が高いでしょう。
しかし、裁判などの法的な手段で訴えると時間がかかるので、給料日まで待った方が確実に早くお金を受け取ることができるので現実的ではありません。
早く前払いを受けたい場合には労働基準監督署へ相談しましょう。
労働基準監督署へ相談し、労働基準監督署が「前払いをすべき」と判断した場合には、労働基準監督署から会社に対して「前払いに対応するように」という一報が入ります。
裁判などで請求するよりもこの方が早いので、まずは労基署へ相談するとよいでしょう。
カードローンと給料前払いサービスどちらを利用すべきでしょうか?
勤務先が給料前払いサービスに対応している場合には確実に給料前払いサービスの方がよいでしょう。
給料前払いサービスは最短即日資金化などカードローンが持っている長所を網羅しており手数料もわずかです。
給料前払いサービスが導入されている会社に勤務している人は給料前払いサービスを利用すべきです。
給料前払いサービスで利用できる枠が少なくなったからと言って、カードローンを利用するのは避けた方がよいでしょう。
カードローン利用によって返済金負担が増える上に、前払いを使ってしまったことによって給料日に受け取れる給料が少ないことから生活は苦しくなります。
給料前払いサービスとカードローンの併用は避けるようにしてください。
給料前払いサービスを導入しているかどうか採用面接で聞くのは問題ないですか?
特段大きな問題はありませんが、自分に対する好印象を与えたいのであれば、前払いに対応しているかどうかの質問を面接時にしない方が無難です。
「お金に困っているからレジのお金の管理を任せるのは心配」などとネガティブに判断されてしまう可能性もあります。
これから働こうとしている会社が給料前払いサービスに対応しているかどうかは、事前にネットなどで確認した方がよいでしょう。
給料前払いサービスを利用するとローンの審査で不利になるでしょうか?
一切不利になることはありません。
給料前払いサービスを利用しているかどうかは個人信用情報には全く記載されることがない情報だからです。
仮に給料の全てを前払いサービスで前払いしてしまったとしても、信用情報には反映されませんし、借入でもないので審査で申告する義務もありません。
給料前払いサービスを利用しても、全く問題なく審査を受けることはできますが、ローンを利用したあとは返済をして行かなければなりません。
返済金はしっかりと確保できるように計画的に借入をするようにしましょう。

給料前払いサービスをお考えの方へ

給料の前払いとは、すでに働いた労働の対価でまだ受け取っていない給料を給料日前に受け取ることです。

労働基準法で定められた労働者としての権利ですが、会社に言い出しにくいのが実情です。

給料前払いサービスを導入している会社であれば、上司や会社へお伺いを立てることなく、オンライン上で給料の前払いを申請でき、最短即日で前払い給料を受け取ることができます。

「急いでお金が必要」という時でもカードローンに頼ることなくお金を用意することができます。

人員確保のために給料前払いサービスを導入する会社は増えているので、「よくカードローンを利用している」という人は給料前払いサービスを導入している会社へ就職するとよいでしょう。

また、「給料ファクタリング」は違法行為ですので絶対に手を出してはいけません。