ファクタリングの契約時にはいくつかの必要書類を提出しなければなりません。

ファクタリングを利用する人の多くが「急いでお金が必要」という人が多いのではないでしょうか?

急いでお金が必要な場合には、ファクターへ提出する必要書類を事前に完璧に揃えておかないと、必要書類に不備があった場合には資金化が遅くなってしまいます。

ファクタリングで必要になる書類を解説していきます。

また、ファクタリング審査では必要書類から様々なことをチェックしています。

必要書類からどのようなことを審査しているのかを理解し、素早く確実に審査に通過できるようになりましょう。

 

ファクタリングに必要な6つの書類

ファクタリングに必要な6つの書類

ファクタリングで必要になる書類は主に以下の6つです。

  • 商業登記簿謄本
  • 印鑑証明書
  • 決算書や確定申告書
  • 売掛先企業との基本契約書
  • 個別の契約書・発注書・納品書・請求書
  • 過去の入金履歴が記帳された通帳の写し

これらの必要書類の中には必ず提出が必要になる書類と、あれば提出が必要になるものもあります。

それぞれの書類について、もう少し詳しく解説していきます。

商業登記簿謄本

法人は商業登記簿謄本を提出する必要があります。

商業登記簿謄本はいわば会社の身分証明書で、会社の所在などを証明するために必要になる書類です。

個人事業主の場合には運転免許証などの個人の身分証明書を提出しなければなりません。

なお、商業登記簿謄本は法務局で取得することができます。

印鑑証明書

印鑑証明書の提出も必要です。

ファクタリングでは実印で契約することが一般的ですので、実印を証明するための印鑑証明書の提出が必要です。

なお、法人の印鑑証明書は法務局個人の印鑑証明書は住民票のある市区町村役場で取得できます。

決算書や確定申告書

ファクタリングでは決算状況を確認する書類の提出も求められます。

法人の場合は決算書、個人の場合には確定申告書の提出が必要です。

何期分の決算書や確定申告書が必要になるのかは、ファクターによって異なります。

しかし銀行の事業資金融資では3年分の提出が求められるので、ファクタリングでも直近3年分の決算書や確定申告を用意しておけば問題ないでしょう。

なお、前回決算から半年以上経過してしまっている場合には、試算表の提出が求められる場合もあります。

また、開業から1年未満で決算書や確定申告書がない場合にも試算表を用意しておきましょう。

売掛先企業との基本契約書

売掛先企業と、契約開始時に提出した基本契約書の提出も求められます。

こちらは、基本契約書を締結した場合のみ必要で、基本契約を締結していない場合には提出する必要はありません。

個別の契約書・発注書・納品書・請求書

売掛先との個別の契約書、発注書、納品書、請求書など、売掛債権の明細や金額が分かる書類の提出が必要です。

こちらは基本契約書と異なり、必ず提出が必要になる書類です。

売掛先との取引で以下のことが分かる書類を用意しましょう。

  • 金額
  • 取引商品名
  • 取引日
  • 入金日

発注書や納品書など、1つの取引で複数の書類が発生している場合には、手元に全ての書類を用意しておいた方がよいでしょう。

過去の入金履歴が記帳された通帳の写し

売掛先企業と過去にも取引をしていた場合には、その入金の記録が記帳された通帳の写しを提出します。

複数回の入金があるのであれば、その入金の記録が残ったページ全ての写しをとった方がよいでしょう。

詳しくは後述しますが、期日通りに入金があったという記録が多ければ多いほど売掛先はファクターから信頼を得ることができ、ファクタリング審査に通過しやすくなります。

面倒でも、過去の入金実績が確認できるページをできる限り多く用意しておいた方がよいでしょう。

必要書類から何を確認するのか

必要書類から何を確認するのか

ファクタリングでの必要書類にはそれぞれ提出する意味があります。

そして、審査の大部分を提出した書類から行います。

ファクターは必要書類から以下のようなことを確認しています。

  • 会社の実態を確認するため
  • 実印を押印するため
  • 業況を審査するため
  • 受注の実態を確認するため
  • 売掛債権の実在を確認するため
  • 入金実態を確認するため

必要書類から審査することを詳しく見ていきましょう。

商業登記簿謄本から会社の実在を確認する

商業登記簿謄本から会社の実態を確認します。

商業登記簿謄本には以下の情報が記録されています。

  • 屋号
  • 本店住所
  • 目的
  • 資本金
  • 役員

などの会社の基本的な情報です。

これらの情報を確認するために、商業登記簿謄本は必ず必要になります。

いわば会社の本人確認を行うために必要な書類であり、商業登記簿謄本を提出することができない場合にはファクタリングすることはできません。

なお、商業登記簿謄本は最初の取引で提出すればよく、2回目以降の取引で毎回提出する必要はありません。

実印を押印する場合には印鑑証明書が必要

ファクタリングは実印での取引になります。

実印であることを証明するために、実印取引は必ず印鑑証明書の添付が必要になります。

実印を押印し印鑑証明書を添付することで契約は有効とされるのが一般的です。

ファクタリング契約はじめとして、実印を押印する場合には必ず印鑑証明書の添付が必要になることを理解しておきましょう。

ただし、実印であろうと三文判であろうと、契約の効力は実は変わりません。

実印を押印して、印鑑証明書を添付することによって「本人が押印した」ということを確認することができるので、重要な契約では実印と印鑑証明書が必要になります。

ファクタリングや銀行融資などの場面では実印と印鑑証明書が必要になると理解しておきましょう。

決算書で納入企業の業況を審査する

決算書や確定申告書から納入企業の業況を審査します。

ファクタリングは、売掛債権の債務者である支払企業の業況ばかりがフォーカスされがちです。

しかし、2社間ファクタリングにおいては売掛先の業況だけでなく、自社の業況も重視されます。

2社間ファクタリングでは売掛債権期日になると、売掛先が納入企業の口座へ代金を振り込み、納入企業(自社)がファクターへ送金をするので、自社の口座へ資金が経由することになります。

この際に納入企業の業況があまりにも悪いと資金流用するおそれがあるので、2社間ファクタリングでは決算書や確定申告書から自社の業況も審査しています。

借入ではないので、赤字や債務超過でも利用することはできますが、あまりにも資金繰りが悪く「今日にも明日にも資金ショートしてしまう」というような場合には審査に落ちてしまう場合もあります。

基本契約書で契約の有無や毎月の受注を知ることができる

売掛先との基本契約書をファクターへ提出することによって、売掛先との基本的な契約内容や継続的な取引の有無、毎月の受注数量や、取引する品名などをファクターが知ることができます。

基本契約に一定程度の毎月の受注があることが分かるのであれば、その会社はある程度の売り上げが今後も見込まれるということになります。

また、ファクターに対しては、売掛先の押印がある基本契約書を提示することによって、売掛債権が架空のものでないことを証明できます。

基本契約を締結してしない場合には提出することはできませんが、締結している場合には基本契約書をファクターへ提出することで審査において有利になるでしょう。

個別の契約書などで売掛債権の有無を確認する

個別の契約書や請求書をファクターへ提出することによって、売掛債権の証明になります。

こちらは必ず提出しなければファクタリング審査に通過することはできません。

売掛債権の実在性を証明するために「どの会社へいくらの売掛金がある」ということを示した請求書を提出することが一般的です。

請求書のほかに納品書がある場合には、請求書や契約書とともに提出しましょう。

書類は複数あった方が信ぴょう性が高くなります。

通帳から入金実態を確認する

売掛先からの入金履歴が記帳した通帳から「本当に過去に入金があったのか」ということを確認しています。

ファクタリングでは、架空の売掛債権を計上するのが非常に簡単です。

請求書や納品書を偽造すればよいだけだからです。

当然ながら、架空の売掛債権をファクタリングしてしまったらファクターの回収が危ぶまれてしまいます。

架空の売掛債権ではないことを確認するために、過去にその取引先から本当に入金があったかどうかということを確認しているのです。

もちろん、過去に取引したことがなく過去の入金実績がない売掛債権もファクタリングすることはできますが、過去に取引をしたことがあり、通帳から入金実態を確認することができる企業の方がファクタリング審査に通過しやすくなります。

必要書類の提出方法

ファクタリングの必要書類は、WEBか手渡しというのが基本です。

今は、様々な方法で必要書類を提出できるようになっています。

なお、申し込みの際には提出書類を確認しながら申込手続を行うようにしましょう。

ほとんどのファクターがWEBで提出できる

今やほとんどのファクターがWEBから必要書類の提出をすることができます。

必要書類はスマホで写真に撮り、専用のURLにアップロードするだけです。

わざわざスキャナなどを使用する必要はほとんどありません。

もちろんFAXでも提出することができます。

ファクタリングでは決算書等の書類が必要で、枚数が多くなることが多いので、必要書類の撮影や送信に漏れがないようにしましょう。

契約時面談が必要な場合は手渡しでOK

ファクターの中には契約時に面談が必要になる会社が多数あります。

このような会社へファクタリングの申し込みをする場合には書類は手渡しで問題ありません。

全ての書類をコピーして持参するようにしましょう。

申し込みは書類を確認しながら行う

ファクタリングの申し込みは書類を確認しながら行うようにしましょう。

ファクタリングの申込事項は商業登記簿謄本記載の基本的な情報や、決算書の具体的な数字などで普段から頭に入っていることが少ない情報ばかりです。

自社の情報を正確に入力しないと「虚偽申込」と判断され、審査に落とされてしまうこともありますし、間違いがあると審査では不利になります。

早く確実に審査に通過するためにも、ファクタリングの申込時には書類を見ながら正しい内容で申込をするようにしてください。

必要書類提出時の注意点

必要書類提出時の注意点

ファクタリングの必要書類を提出する際には以下の3点に注意する必要があります。

  • 土日に取得できない書類が多い
  • 必要書類が揃わないと契約できない
  • WEBでの提出は鮮明に

急いでお金が必要な時ほど、しっかりと準備をして丁寧に必要書類を提出する必要があります。

ファクタリングの必要書類提出時の注意点について詳しく解説していきます。

土日に取得できない書類が多い

ファクタリングの申し込みは土日祝日でも可能ですし、ファクターの中には休日に即日資金化に応じてくれる業者も存在します。

しかし、ファクタリング契約の際に必要になる公的書類は平日の役所が空いている時間しか取得することができないという点に注意しましょう。

個人の印鑑証明書はマイナンバーカードさえ持っていればコンビニで取得することができますが、それ以外の書類は市区町村役場や法務局が空いている平日しか取得できません。

土日に即日でファクタリングする場合には、書類を土日に揃えている状態でないとファクタリングすることは不可能です。

事前に用意しておくか、いざという時のために必要書類を一式手元に揃えておくとよいでしょう。

必要書類が揃わないと契約できない

ファクタリングは基本的に必要書類が揃っている状態でないと契約することはできません。

消費者金融のカードローンなどであれば、必要書類が揃っていなくても「後から提出すればよい」と融資に応じてくれることもありますが、ファクタリングは書類が揃わないと対応してもらうことは難しくなります。

申し込みの前にはあらかじめどのような書類が必要なのか確認し、書類を揃えた状態でファクターへ申し込みをするようにしてください。

なお、ファクターによっては審査の途中で必要書類の提出を求める場合もありますが、この場合も速やかに書類を用意しなければ審査には通過できません。

面倒でも、できるだけ早く書類を用意するようにしてください。

WEBでの提出は鮮明に

WEBで書類を提出する場合には、書類の内容が鮮明に映るように注意しましょう。

写真の写り方によっては、書類の中身が見えなくなってしまい、審査に支障が出る可能性もあります。

1枚1枚書類が鮮明に写っているか確認するようにしてください。

ファクタリングの必要書類に関してよくある質問

個人事業主で商業登記簿謄本がありません。問題ありませんか?
商業登記簿謄本は法人だけのものですので、個人事業主はそもそも商業登記簿謄本を提出することはできません。
個人事業主の方は運転免許証などが本人確認書類として提出を求められます。
また、営業許可が必要な業種の場合には、営業許可証などの提出を求められることもあるので、あらかじめ用意しておいた方がよいでしょう。
売掛先と基本契約書がありませんが審査に影響しますか?
基本契約書がない売掛先との売掛債権でもファクタリング可能です。
しかし、基本契約書があった方が、より審査で「架空の売掛債権ではない」と判断され有利になるので、できれば基本契約書を締結している取引先との売掛債権をファクタリングした方がよいでしょう。
代表者の印鑑証明書は必要ですか?
個人事業主の場合には必ず個人事業主本人の印鑑証明書の提出が必要になります。
また、法人の場合でも法人代表者の印鑑証明書の提出を求められるケースも多々あります。
対応はファクターによって異なるので、事前に「法人代表者の印鑑証明書は必要か」ということを確認しておいた方がよいでしょう。
創業1年未満で決算書類がありません。ファクタリング可能ですか?
創業1年未満の会社へファクタリングを扱うかどうかはファクターの対応によります。
ファクターによっては「決算書ができる前の創業1年未満の会社へのファクタリングは扱わない」という場合もありますし、創業間もない会社へ積極的にファクタリングしているファクターも多数存在します。
創業1年未満でファクタリングを利用したい場合には、まずは創業1年未満でも取り扱うを行なっているファクターを探すようにしましょう。
ネット銀行で通帳がないのですがどうすればよいでしょうか?
ネット銀行の場合には、売掛先から入金があった時の入出金明細を表示して印刷すれば問題ありません。
ログイン後の画面で簡単に表示することができるので、パソコン操作に慣れた人であればネット銀行の入出金明細を印刷する方が通帳のコピーよりも簡単です。
過去に入金がない売掛先は審査で不利になりますか?
過去に入金がなく初めての取引先の売掛債権でもファクタリングをすることは可能です。
しかし、「過去に入金があった」という客観的な証拠がないと、どうしても「架空債権かもしれない」という懸念を持たれてしまい、審査で不利になることもあります。
どちらかと言えば、過去に入金があり、その証明を通帳のコピーなどから行うことができる企業の方が審査には有利になります。
できる限り、過去に入金実績がある企業の売掛債権をファクタリングした方がよいでしょう。

まとめ

ファクタリングの申し込みには様々な必要書類があります。

ファクタリングでは架空債権でファクタリングを行うために、請求書の偽造などをする人が残念ながら存在します。

ファクタリングの必要書類では主に「売掛債権の実在性」を審査していると言っても過言ではありません。

偽造を防ぐために請求書の他にも基本契約書や入金履歴を確認できる通帳のコピーなどの提出を求められますし、1つの売掛債権に対して複数の証明書類があった方が審査には有利になります。

できる限りファクタリング審査に通過したいのであれば、「売掛債権の実在性」を証明することができる書類を複数提出可能な売掛債権を選んで申し込む方がよいでしょう。

また、必要書類の偽造は刑事罰が科せられることもあるので、絶対に行なってはなりません。