今回はフリーローンの特徴や、個人事業主・フリーランスの方におすすめのビジネスフリーローンをご紹介します。
教育ローンやマイカーローンなど、資金の使い道が限られるローン商品を「目的別ローン」と呼ぶのに対し、フリーローンは基本的に使い道が自由です。
金融機関が提供するローン商品の中には、個人事業主の事業資金と生計費の両方に使えるものもあります。
事業資金の調達を検討されている方は、金利や使いみちなど自身のマネープランに合ったローン商品を選びましょう。
個人事業主でも借りられるおすすめローン10選
個人事業主の方が担保・保証人不要で借りられるローン商品をご紹介します。
各商品の概要を以下の表にまとめました。
ローン商品 | 融資額 | 金利(年) | 貸付方式 | 使いみち |
PayPay銀行 ビジネスローン(個人) |
10万円~500万円 | 2.8%~13.8% | 証書貸付 | 事業資金 |
東京信用金庫 WEBフリーローン |
30万円~500万円 | 2.95%~14.00% | 証書貸付 | 自由 |
横浜銀行 ビジネスフリーローン(個人) |
300万円まで | 6.3%~17.8% | 証書貸付 | 自由 |
関西みらい銀行 個人事業者向けフリーローン |
10万円~300万円 | 4.0%~13.5% | 証書貸付 | 事業資金 |
オリコ CREST for Biz |
10万円~300万円 | 6.0%~18.0% | 当座貸越 | 事業資金 |
オリックス VIPローンカード BUSINESS |
50万円~500万円 | 6.0%~17.8% | 当座貸越 | 事業資金 |
プロミス フリーキャッシング |
500万円まで | 4.5%~17.8% | 当座貸越 | 自由 |
アイフル 事業サポートプラン |
1万円~500万円 | 3.0%~18.0% | 当座貸越 | 事業資金 |
アコム ビジネスサポートカードローン |
1万円~300万円 | 12.0%~18.0% | 当座貸越 | 自由 |
日本政策金融公庫 担保を不要とする融資 |
4,800万円 | 2.06%~2.55% | 証書貸付 | 事業資金 |
「証書貸付」は一括借り入れ、「当座貸越」は限度額の範囲内で繰り返し利用可能な貸付方式です。
金利や融資額のほか、貸付方式などご参考になさってください。
PayPay銀行「ビジネスローン(個人事業主向け)」
金利(年率) | 2.8%~13.8% |
融資金額 | 10万円~500万円 |
返済期間 | 1年(自動更新) |
使い道 | 事業資金 |
貸付方式 | 当座貸越 |
PayPay銀行が会計ソフト大手「freee」と提携して提供するビジネスローンです。
来店は一切不要のWEB契約で、PayPay銀行にビジネス用口座があれば原則書類の提出も必要ありません。
また貸付方式は、カードローンのように限度額の範囲内で繰り返し利用可能な当座貸越です。
返済額は月々1万円~10万円と、事業の資金繰りに合わせて調整できます。
東京信用金庫「WEBフリーローン」
金利(年率) | 2.95%~14.00% |
融資金額 | 30万円以上500万円以内 |
返済期間 | 6ヵ月以上10年以内 |
使い道 | 自由 |
貸付方式 | 証書貸付 |
東京信用金庫は、本店所在地の東京都豊島区を含む8区および西東京市を営業区域とする信用金庫です。
「WEBフリーローン」は使い道が自由なので事業性資金はもちろん、消費性資金やおまとめにも利用できます。
利用条件は東京信用金庫に預金口座があり、営業地区内に居住または勤務していることです。
横浜銀行「ビジネスフリーローン(個人事業主向け)」
金利(年率) | 4.800%~14.500% |
融資金額 | 10万円以上500万円以下 |
返済期間 | 1年以上10年以内 |
使い道 | 事業資金 |
貸付方式 | 証書貸付 |
横浜銀行の個人事業主向けフリーローンは、神奈川県内および東京都町田市に住まいまたは事業所のある方を対象としています。
申し込みにあたって所得確認資料、見積書等の資金使途確認資料は不要です。審査結果は最短翌営業日(窓口営業日)に回答されます。
ただし、個人事業主向けでも使い道は事業性資金に限られ、消費性資金には使えません。
関西みらい銀行「個人事業者向けフリーローン」
金利(年率) | 4.0%~13.5% |
融資金額 | 10万円以上300万円以下 |
返済期間 | 6ヶ月以上7年以内 |
使い道 | 事業資金 |
貸付方式 | 証書貸付 |
関西みらい銀行の「個人事業者向けフリーローン」は、事業資金の運転資金や設備資金に利用できる商品です。
取扱店の営業区域内に居住または営業されている事業者の方が対象となっています。
融資金利は年4.0%~13.5%の固定金利、繰り上げ返済は全額・一部繰上返済とも可能です。
事業資金全般に利用できますが、法人への転貸資金は不可、使いみちは確認されます。
オリコ「CREST for Biz」
金利(年率) | 6.0%~18.0% |
融資金額 | 10万円~300万円 |
返済期間 | 1ヶ月~159ヶ月(1回~159回) |
使い道 | 事業資金 |
貸付方式 | 当座貸越 |
ORICOの「CREST for Biz(クレスト フォービズ)」は年会費無料の個人事業主専用カードです。
利用可能枠は最高300万円まで、利用可能枠に応じて金利が6.0%~18.0%で変動します。
たとえば、利用可能枠30万円で15.0%~18.0%、100万円で7.8%~15.0%です。
金利2.0%優遇キャンペーンも利用できます。
オリックス「VIPローンカード BUSINESS」
金利(年率) | 6.0%~17.8% |
融資金額 | 50万円~500万円 |
返済期間 | 1ヶ月~159ヶ月(1回~159回) |
使い道 | 事業資金 |
貸付方式 | 当座貸越 |
「VIPローンカードBUSINESS」は、ノンバンク系の大手オリックス・クレジットの法人・個人事業主向けカードローンです。
来店不要のWEB契約で、平日14:30までに契約同意の手続きが完了すれば、最短即日で借入できます。
返済方法は「新残高スライドリボルビング返済」と「元利込定額リボルビング返済」の2種類です。
前者は借入残高に応じて毎月の返済額が変わり、初回が最も高く以降は返済額が減っていきます。後者は借入残高にかかわらず毎月一定額を返済します。
プロミス「フリーキャッシング」
金利(年率) | 6.0%~17.8% |
融資金額 | 300万円まで |
返済期間 | 最長6年9ヶ月(1~80回) |
使い道 | 自由 |
貸付方式 | 当座貸越 |
プロミスの「フリーキャッシング」は、個人事業主の事業資金および生計費に使えるローン商品です。
利用限度額の範囲内なら出し入れ自由の当座貸越のため、必要なときに必要なだけ借りることができます。
さらに、パソコン・スマートフォンから24時間いつでも申込み、カード発行不要の場合は当日振込も可能です。
なお同社には「自営者カードローン」という商品もありますが、フリーキャッシングはWeb完結で提出書類も少なくて済みます。
アイフル「事業サポートプラン」
金利(年率) | 3.0%~18.0% |
融資金額 | 1万円~500万円 |
返済期間 | 最長10年(120回) |
使い道 | 事業資金 |
貸付方式 | 当座貸越 |
アイフルの「事業サポートプラン」は、個人事業主の事業資金に使えるローン商品です。
WEBから24時間365日いつでも申込み、最短で翌日には審査結果が通知されます。
融資金額は最大500万円まで、返済期間は最長10年と余裕を持った返済計画が立てられます。
ただし、銀行系のローンと比べて金利が高めに設定されていることに注意が必要です。
アコム「ビジネスサポートカードローン」
金利(年率) | 12.0%~18.0% |
融資金額 | 1万円~300万円 |
返済期間 | 最長10年(120回) |
使い道 | 自由 |
貸付方式 | 当座貸越 |
アコムの「ビジネスサポートカードローン」は、資金使途自由のローン商品です。
すでにアコムのカードローンを利用している場合でも、ビジネスサポートカードローンに切り替えができます。
また利用条件は業歴1年以上(確定申告1期以上)の個人事業主です。
金利が年12.0%~18.0%とやや高めに設定されていることに注意しましょう。
日本政策金融公庫「担保を不要とする融資」
金利(年率) | 6.0%~17.8% |
融資金額 | 4,800万円 |
返済期間 | 1ヶ月~159ヶ月(1回~159回) |
使い道 | 事業性資金 |
貸付方式 | 証書貸付 |
日本政策金融公庫「担保を不要とする融資」では、個人事業主は無担保・無保証人で融資を受けられます。
融資金額4,800万円・年率2.06%~2.55%と、銀行やノンバンクのローン商品と比べて破格の融資額・金利です。
ただし、税務申告を2期以上行っていること、所得税等を原則として完納していることが利用条件となっています。
また他金融機関のローンと違い、融資実行までに1ヶ月程度の期間を要します。
フリーローンとは
フリーローンとは、主に銀行が取り扱っている担保・保証人が不要の個人向けローン商品です。
個人の使途の範囲内で自由に使うことのできるローンですが、基本的に事業資金には使うことができません。
ただし、個人事業主向けの事業用・個人用のどちらにも使える「ビジネスフリーローン」という商品もあります。
フリーローンとビジネスフリーローン
フリーローンにはマイカーローンや教育ローンといった個人向け商品、事業資金に使える個人事業主向けの2種類があります。
単に「フリーローン」と言うときは個人向けのローンを指し、個人事業主向けのローンは「ビジネスフリーローン」と言ったりします。
個人の生計費に加え事業資金にも使えるビジネスフリーローンは、おもに地方銀行や信用金庫が取り扱うローン商品です。
メガバンクやネット銀行などでは取り扱いがありません。
フリーローンとカードローンの違い
フリーローンと同様に、使い道が自由なローン商品にカードローンがあります。
カードローンは銀行、信用金庫、信販会社、消費者金融会社など、さまざまな金融機関が発行しているカードです。
両者の大きな違いは貸付方式にあります。
フリーローンは初回に一括で借り入れ、その後は基本的に返済し続ける「証書貸付」です。
一方のカードローンは、極度額(枠)の範囲内であれば繰り返し借入・返済ができる「当座貸越」です。
フリーローンの特徴
フリーローンの特徴をカードローンと比較しながら解説していきます。
初回に一括借入れ
フリーローンは必要な金額を初回に一括で借り入れ、その後は基本的に返済し続けるだけです。
追加で借り入れたい場合は完済後に再度審査が必要となります。
この貸付形態を「証書貸付」といいます。
カードローンは極度額(枠)の範囲内であれば、繰り返し借入・返済ができます。
この貸付形態を「当座貸越」といいます。
比較的金利が低め
ローン商品 | 金利の相場(年率) |
フリーローン | 3.0~14.0% |
カードローン | 【銀行系】2.0~14.5%
【ノンバンク系】3.0~18.0% |
表を見て分かるとおり、フリーローンはカードローンよりも上限金利がやや低めに設定されています。
カードローンと違い、フリーローンは保証会社の保証付きで、なおかつ保証料は金融機関の負担(金利に組み込み)となっているからです。
返済期間が決められている
フリーローンは会社によって長さは異なりますが、「最長10年」というように完済までの返済期間が設けられています。
カードローンは限度額の範囲内で繰り返し借り入れ・返済ができるため、いつまでに返済を終えなければならないということがなく、返済期間はありません。
使い道が自由
生計費や住宅購入費、マイカー購入費、教育資金など個人の使い道を「消費性資金」、事業用の使い道を「事業性資金」と言います。
個人向けフリーローンは消費性資金のみ、個人事業主向けフリーローンは、消費性資金と事業性資金の両方に使えます。
カードローンは個人向けであれば消費性資金のみ、法人・個人事業主向けであれば基本的に事業資金にのみ使えます(消費性資金も可とする商品もあります)。
フリーローンは使い道が自由ですが、事前に「何に使用するのか」を申告しなければいけないケースもあります。
金融機関によっては見積書などの確認資料の提出が必要です。
担保・保証人が不要
フリーローン、カードローンともに小口融資が基本で貸し倒れリスクが低いため、基本的に担保・保証人ともに不要です。
ただし、銀行が発行するフリーローン、カードローンは保証会社による審査があります。
銀行側の自主規制により借入額が制限される
銀行のフリーローンは貸金業者のフリーローンとは異なり、総量規制の対象外です。
ただし、銀行側の自主規制により、申込者の年収の3分の1程度を上限として借入額が制限されます。
すでにカードローン等の借り入れがある方は、フリーローンをおまとめローンとして利用することも検討しましょう。
フリーローンに関するQ&A
フリーローンに関して、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。
- Q.証書貸付のフリーローンと当座貸越のカードローンはどのように使い分ければ良いですか?
- A.フリーローンはまとまった資金を一括で借入れできるため、仕入れ資金や設備の購入・補修などまとまった資金ニーズに向いたローン商品です。一方のカードローンは金利が高めであるため、短期間で返済の目処が立っている場合のつなぎ資金に向いています。借入枠を作っておけばいつでも借入ができるため、いざというときの備えとして契約しておくのもひとつの手です。
- Q.使い道が消費性資金に限られているフリーローンを事業用に使っても問題ありませんか?
- A.個人向けのフリーローンを事業用に使用することは、金融機関の規約で禁じられています。確定申告で事業用として処理してしまうと、銀行から「個人向けのローンを事業用に使用している」と判断され、一括返済請求が行われる場合があります。個人信用情報がブラックになってしまうことがあるため、事業用の資金は事業者向けのローンでまかなうようにしましょう。
- Q.フリーローンで借り入れたお金を一括で返済することはできますか?
- A.できません。多くのフリーローンは原則として、元利均等返済で毎月決まった金額を返済することになります。ただし、最大元金の50%までボーナス返済併用可とするローン商品もあります。
まとまった資金ニーズにはファクタリングもおすすめ
法人に比べて金融機関からの借り入れが難しい個人事業主に、地方銀行や信用金庫のフリーローンはおすすめの資金調達方法です。
一般的な銀行融資よりスピードが早く、本人確認書類のみで最大500万円まで借り入れできるため、まとまった資金ニーズがあるときに利用を検討しましょう。
一方、まとまった資金ニーズには回収前の売掛債権を活用したファクタリングもおすすめです。
申込者の返済能力や信用情報にかかわらず、売掛先企業の信用力で審査されます。
そのため、金融機関から借り入れができない方でも資金調達できる可能性があります。