新型コロナウイルス感染拡大による影響から倒産・廃業・閉店する飲食店が相次いでいます。

帝国データバンクの調査によると、2020年1~11月の飲食店の倒産件数は736件となっており、過去最多を更新。今後さらに増える見込みとなっています。

このような状況だからこそ「資金繰りが非常に厳しい」という飲食店経営者の方も多数いらっしゃるのではないでしょうか?

飲食店の資金繰りを改善する方法と資金調達時の注意点について解説していきます。

飲食店の資金繰りを改善する5つの方法

飲食店の資金繰りを改善するためには以下の5つの方法があります。

  • 資金繰り表を作成し支出のスケジュールを把握する
  • 仕入れ先への支払いサイトを長くする
  • 固定費をできる限り抑える
  • 損益分岐点を把握する
  • 売上を増やす努力をする

基本的には資金繰りと損益の管理をしっかりと行うしかありません。

飲食店の資金繰りを改善するための5つの方法について詳しく見ていきましょう。

資金繰り表を作成し支出のスケジュールを把握する

飲食店で重要なことは予測の資金繰り表の作成です。

「いつ」「いくら」資金が流出していくのかというスケジュールさえ把握することができればその支払日までにいくらお金が必要なのかということを知ることができます。

すると「毎日、いくらずつ貯めればいいのか」ということを逆算することができるので、お金を使いすぎてしまう心配はありません。

飲食店は必ず毎日資金繰り管理を行なっていくようにして下さい。

仕入先への支払いサイトを長くする

交渉できるのであれば、仕入先へ「支払サイトを延ばせないか」ということを交渉してみましょう。

例えば、月末締め、翌月末払いの仕入先の支払サイトを翌々月末払いとすることで手元には1ヶ月分の資金を確保することができます。

仕入先の中でサイトの延長を交渉できる企業があるのであれば交渉してみましょう。

また、新規取引先と交渉する際には必ず自社に有利な支払サイトとなるように契約を締結しましょう。

固定費をできる限り抑える

固定費をできる限り抑え、毎月の現金の流出を最小限にしましょう。

売上が季節や景気によって変動しやすい飲食店は固定費が大きければ売上減少時の資金繰りは苦しくなります。

コロナ禍においても、ダメージの大きな店舗は固定費の大きな店舗です。

日々の資金繰りを楽にするためにも緊急時に備えるためにも固定費の削減は非常に重要になります。

圧縮することができる固定費としては以下のような費用をあげることができます。

  • 人件費の圧縮
  • 居抜き物件を借りる
  • 広告費をかけすぎない
  • 自己物件で開業する

それぞれの固定費の具体的な圧縮方法について詳しく解説していきます。

人件費の圧縮|忙しい時だけ人を雇う

人件費はできる限り圧縮して、店舗が暇な時に従業員を働かせない努力をすることが重要です。

正社員などを雇うのではなく、Timee(タイミー)などのアプリを活用して、忙しい時だけ人を雇う仕組みを構築するとよいでしょう。

友人や知人など、忙しい時だけバイトに入ってもらうことができる人を日頃から確保しておく努力をしましょう。

普段は経営者本人と奥さんだけで経営すれば人件費の心配をする必要はありません。

居抜き物件を借りる

開業時にはできる限り設備投資をしないで済む居抜き物件を借りましょう。

居ぬき物件とは前のテナントが使っていた内装との設備をそのまま利用することができる物件です。

居ぬき物件は不動産屋に「居抜き物件はないか」と相談することによって探してもらうことができます。

 優良居ぬき物件を見極める方法、あるいはこんなのはNG

居抜き物件を借りることによって、開業のためのリフォームをすることなく、必要最小限の投資で飲食店を開業することができます。

ただし、前の内装をそのまま使うので使い勝手が悪かったり、汚れている場合もあるので、契約前にしっかりと内装をチェックする必要があります。

例えば、以前のテナントの店名が記載されている壁紙が使われている場合などは居抜き物件として利用することはできません。

開業時の多額の借金はリスクが高い

開業資金で多額の借金をしてしまうと、開業後は借金返済の分だけ資金繰りは苦しくなります。

それどころか万が一飲食店が失敗した場合に借金を抱えることになり、場合によっては自己破産に至ってしまう可能性があります。

あまりにもリスクが高いので、開業時にはできる限り投資をせずに済む、居抜き物件を借りるようにして下さい。

広告費をかけすぎない

開業直後は店舗を知ってもらうために、ある程度の広告費をかけることはやむを得ません。

広告には次のような方法があります。

  • チラシのポスティングや折り込み
  • 駅前などでフライヤーや割引券の配布
  • グルメサイトなどの活用
  • フリーペーパーなどに広告掲載

開業前の広告は店舗を認知してもらうことができるメリットがあります。

しかし開業してからもずっと広告費をかけることは金銭的なリスクが大きくなります。

飲食店を成功させるには、いかにリピーターを増やすのかだと言われています。

広告費をかければ確かに新規顧客は増えるかもしれませんが、リピーターにならなければそれほど意味はありません。

「広告費は新しいリピーターを獲得するためのもの」と考え、広告によってリピーターが増えないのであれば広告費をかけすぎることは再検討する必要があります。

ぐるナビや食べログなどのサービスを利用することは継続的に大きな固定費になってしまうので、できる限りこのような固定費をかけない店舗経営を心掛けるべきでしょう。

広告による新規顧客の獲得と、接客などによって顧客満足度を高めてリピーターを獲得することの両立を図っていきましょう。

自己物件で開業する

家賃は店舗経営の中で非常に大きな負担です。

飲食店は家賃と人件費がかからないのであれば、失敗する可能性は非常に低いと言われています。

地方都市などで、古い建屋で老夫婦だけで経営している店舗が、それほど客が入っていないのに、いつまでも潰れないのは家賃と人件費がかかからないためです。

例えば、1日の売上がたったの5,000円でも30日の収入は15万円。そこに年金が加われば十分な収入になるので、そのような飲食店は長続きするのです。

それだけ飲食店にとっては家賃は大きなネックです。

そのため、できれば家賃がかからない自己物件での開業を検討しましょう。

地方に実家があるのであれば、実家を少し改造して開業するなどして、できる限り家賃がかからない方法で開業するようにしてください。

指標から損益分岐点や課題を把握

「いくらまで販売したら赤字にならないのか」という損益分岐点を把握しましょう。

損益分岐点は以下のように計算します。

損益分岐点 = 固定費 ÷ (1 – (変動費 ÷ 売上高))

これによって、赤字にならない最低限の売上高を知ることができます。

損益分岐点に売上が届かないのであれば、売上を上げる、固定費を下げる、変動費率を下げる、いずれかの方法で損益分岐点をクリアしなければなりません。

固定費・変動費を下げる方法は具体的に以下のようになります。

  • 固定費を削減する方法:人件費を下げる、家賃の引き下げ交渉をする
  • 変動費を削減する方法:材料のクオリティを落とし変動比率を下げる、水道光熱費を節約する

また、損益分岐点売上高は日頃から常に頭に入れておき「最低限、店舗経営に必要な売上はいくらなのか」

ということをあらかじめ把握して経営をすることも重要です。

売上を増やす努力をする

最終的に飲食店において資金繰りを改善する最良の方法は売上を増やすということです。

顧客満足度を引き上げ、リピーターを増やし、リピーターが新たなお客を連れてくるという好循環を作りましょう。

飲食店の売上拡大の方策として、SNSや広告ツールなどが喧伝されますが、基本的に飲食店の売上を拡大するための魔法の杖はありません。

美味しい料理を提供するのはもちろん、広告やSNSなどによって1人でも多くの新規顧客を獲得し、来てくれた顧客に対して誠心誠意接してリピーターになってもらう努力をすることが大切です。

味、サービス等、基本的な部分を徹底して、地道に売上の拡大を図っていきましょう。

飲食店の資金調達時の注意点

最後に飲食店が外部から資金調達する際の注意点について解説します。

資金繰りが苦しい飲食店の大部分が赤字であるということに鑑みて、以下の5点には注意する必要があります。

  • 銀行からの運転資金融資を当てにしない
  • 個人ローンに手を出さない
  • 手元に3ヶ月分の運転資金は保有しておく
  • 傷口が大きくなる前に見切りをつけることも検討する
  • クレジットカード残高はファクタリングが利用可能

飲食店が資金調達する際に考慮すべき5つの注意点について詳しく解説していきます。

銀行からの運転資金融資を当てにしない

飲食店は銀行からの運転資金が借りにくい業種です。

運転資金とは、基本的に売上の発生から入金までの資金ギャップを埋めるための資金です。

基本的に現金商売である飲食店には資金ギャップは生じないので、銀行とすれば「飲食店に運転資金は必要ない」という考えになります。

そのため、飲食店は銀行から運転資金を借りることが困難です。

そもそも、いくら資金繰りが苦しいからといって、飲食店が運転資金を銀行から借りてしまえば返済金によってさらに資金繰りは苦しくなり悪循環となってしまいます。

飲食店は運転資金を借りにくいですが、そもそも運転資金の借入に頼るべきではありません。

毎月の運転資金がいくらになるのかを常に把握して、手元には月末支払いに困らないだけの現金を確保しておきましょう。

個人ローンに手を出さない

銀行から運転資金融資を借りることができないからと言って、銀行カードローンや消費者金融カードローンなどの個人ローンに手を出すことは絶対にやめましょう。

これらのローンであれば、確かに簡単にお金を借りることができるかもしれません。

しかし、金利が高いので資金繰りはさらに苦しくなることは明白です。

銀行などからの運転資金融資を頼るべきではない飲食店が、個人向けローンにはさらに頼るべきではありません。

どうしても運転資金が足りないのであれば、個人ローンに手を出すのではなく、休日や夜間にバイトするなど、別の方法で資金調達する方法を考えましょう。

手元に3ヶ月分の運転資金は保有しておく

飲食店が「資金繰りに心配ない」と判断できる目安は、手元に3ヶ月分以上の運転資金の確保ができている状態です。

3ヶ月分の運転資金があれば、急な景気悪化によって売上が激減しても、融資と絡めて持ち堪えることができるでしょう。

コロナ禍のように飲食店は突然急激な売上減少に直面するリスクの高い業種だと言えるので、手元に3ヶ月分の運転資金は常に確保しておくことを心がけてください。

傷口が大きくなる前に見切りをつけることも検討する

毎月のように資金繰りに困っているのであれば、傷口が大きくなる前に、店の継続に見切りを付けることも大切です。

飲食店の70%が開業から3年以内には閉店すると言われています。

それだけ飲食店経営は厳しく、継続していくことができる飲食店はごく僅かです。

赤字が続けば続くほど借金が膨らんでいく一方です。

黒字化する見込みがないのであれば、店舗を閉鎖するという選択肢もどこかのタイミングで真剣に考えるべきでしょう。

クレジットカード残高はファクタリングが利用可能

なお、飲食店も資金繰りのためにファクタリングを活用することができます。

クレジットカードなどのキャッシュレス決済の売上は紛れもなく売掛債権です。

これらの売掛債権を入金期日の前にファクタリングによって早期資金化することができます。

また、キャッシュレス決済による売掛債権は、債務者が大手カード会社や決済代行会社です。

ファクタリング会社にとっては極めてリスクの低い債務者ですので、審査に通りやすく、手数料も低くなるでしょう。

キャッシュレス決済による売上が大きく「資金繰りが苦しい」という飲食店の方はファクタリングの利用も検討してみましょう。

飲食店の資金繰り改善をお考えの方へ

飲食店は基本的に赤字になっているために資金繰りが厳しくなります。

日々の資金繰り管理を徹底するとともに、収益管理もしっかりと行いましょう。

具体的に資金繰りを改善する方法として以下のような方法があります。

  • 資金繰り表を作成し支出のスケジュールを把握する
  • 仕入れ先への支払いサイトを長くする
  • 固定費をできる限り抑える
  • 損益分岐点を把握する
  • 売上を増やす努力をする

この中にはすぐにできる方法もあるので実績してください。

飲食店は運転資金を融資に頼るべきではありません。

売上拡大の努力をするとともに、どうしても損益分岐点を超えることができないのであれば、バイトなどで資金調達することを考え、安易に借入に頼ることだけは絶対にやめましょう。