「コロナによって倒産件数が増加」最近はこのような文言をニュースなどで耳にする機会が増えてきました。

しかし、倒産という言葉示す意味は明確な定義はなく、経済活動の継続が困難になった企業の様々な状態を示す総称にすぎません。

倒産を示す企業の状態とはどのような状態なのでしょうか?

また、倒産はなぜ起こり、倒産させないためにはどのような点に注意して経営すべきなのでしょうか?

この記事では企業の倒産について詳しく解説していきます。

倒産とは?

倒産という言葉には実は法的な根拠はありません。

法律上、倒産という言葉の定義はないので、実は営業が困難になった企業の状態をざっくりと示す言葉にすぎません。

倒産という言葉の意味について詳しく解説していきます。

法的な根拠のない言葉

倒産とは法的な根拠が特にない言葉です。

似たような言葉として破産という言葉がありますが、破産は資産と債務を全て採算する法的な手続きであるのに対して、破産には法的な根拠はなく、法律上「倒産」という言葉は存在しません。

経済活動の継続が困難になった状態

倒産には法的な根拠はなく、経済活動の継続が困難になった状態の総称として一般的に使われている言葉です。

例えば帝国データバンクは倒産について以下のように明記しています。

一般的には「企業経営が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」を指します。

参考:帝国テータバンク|倒産の定義

借金返済をすることができずに、事業の継続が困難になった会社を「倒産した」などと表現します。

企業倒産の6つ状態は

倒産という言葉には明確な定義はありませんが、一般的に「倒産」という言葉を企業に対して使う時には、企業が以下6つのうち、いずれかの状態に陥っている時です。

  • 会社更生法
  • 民事再生法
  • 破産
  • 特別清算
  • 銀行取引停止
  • 内整理

なお、倒産は会社を清算(消滅)させる「清算型」と、事業を継続しながら債務弁済する「再建型」に分けることができます。

  • 清算型:破産・特別清算・大部分の任意整理
  • 再建型:会社更生法・民事再生法

倒産とは具体的にどのような状態なのか、詳しく解説していきます。

会社更生法

会社更生法とは経済的に行き詰まり事業継続が困難な株式会社を再建させる手続きです。

具体的には、裁判所が選任した更生管財人の下で、債権者等の利害関係者の同意を得た上で更生計画を策定し、会社の再建を図ります。

会社更生法の元での会社再建には以下の特徴あります。

  • 利用できるのは株式会社だけ
  • 取締役の変更などの組織変更が容易になる
  • 元の経営者の経営権はなくなる
  • 終了までに時間がかかる
  • 費用が高額

裁判所が選任した管財人が強い権利を持ち会社を再建し、現経営者は会社に残ることができません。

また、既存の株主は権利を失うので、従業員の雇用は守れたとしても、会社としてはほとんど別の形になると考えた方がよいでしょう。

民事再生法

民事再生も企業の再生を行う裁判手続です。

経済的に行き詰まった企業を現経営者の主導のもとで、債権者等の利害関係者の多数の同意の下に再生計画を策定し、会社の再建を図ります。

民事再生には以下の3つの方法があります。

自力再建型 会社の事業から得られるであろう収益から債務を弁済し自力で再建を図る方法
スポンサー型 スポンサーを探し資金援助を受けて、その資金で再建を図る方法
清算型 営業譲渡などによって営業の全部または一部を受け皿となる会社に移管し
旧会社は清算する方法。
債務の弁済は譲渡代金から行う。

民事再生のポイントとしては以下の通りです。

  • 再建をしながら事業継続が可能
  • 元の経営者に経営権が残る
  • 債務免除益が課税されることがある
  • 法人も個人も申立可能
  • 株主の権利は維持される

会社経営者としては自分に経営権が残る民事再生の方がメリットがあります。

そのため、ほとんどの会社が会社更生法ではなく民事再生法による再生を裁判所へ申し立てています。

会社更生法と民事再生法の大きな違い

民事再生では株主と経営者の権利はそのもの維持することができる

破産

破産とは、裁判所の許可を得て会社の資産と債務を全て清算し、法人を消滅させる手続きです。

裁判所へ申し立てを行い、裁判所の許可が下りたら裁判所から選任された破産管財人が会社の資産と債務を清算することで、会社の借金はなくなり、会社もなくなります。

個人における自己破産の会社版と考えておけばよいでしょう。

ただし、代表者などが会社の債務の連帯保証人となっていた場合には、破産をすると代表者へ返済義務が生じてしまうという点に注意する必要があります。

特別清算

特別清算とは、基本的に破産と同じく裁判所の許可を得て会社の清算を行う手続きです。

特別清算には、債権者(債権額)の2/3以上の同意を得る協定型と、全員の同意を得る和解型があり、いずれの方法も事前に債権者の同意を得て行うので、破産に比べて手続きが簡易で清算に時間もかかりません

また、「破産」という言葉が持つ悪いイメージを清算の場合には持たれないというのも大きなメリットでしょう。

ただし、特別清算を利用することができるのは株式会社のみで、そのほかの法人は利用できません。

また、特別清算が認められるためには「債権者集会に出席した議決権者の過半数の同意」と「議決権者の議決権の総額の2/3以上以上の議決権を有する者の同意」が必要です。

これらの同意を得ることができない場合には、時間をお金をかけて破産を選択するしかありません。

銀行取引停止

銀行取引停止とは「不渡処分」や「取引停止処分」とも呼ばれ、手形交換所の規則に基づく制裁処分のことをさします。

半年のうちに2回の手形や小切手の不渡りを出すと銀行取引停止処分というペナルティが課せられることになり、取引停止処分日から2年間は手形交換所に参加している金融機関との当座勘定や貸出の取引が停止されてしまいます。

当該金融機関からお金を借りている企業は、融資金の一括返済を求められるので、倒産に至ってしまう中小企業が大多数です。

そのため「銀行取引停止処分になった」という企業は、一般的に「倒産した」と判断されます

内整理

内整理とは、企業が支払不能または債務超過などの理由で借入金を弁済することができない状態になった時に、法的手続きをとらずに債権者と話し合いを行なって債務減免などの手段で内々に整理を行うことを指します。

簡単にいえば任意整理によって債務の整理を行なった状態ですが、この時点で事業を継続していれば倒産にはカウントされません。

法的な手段を取らずに内々で整理を行い、さらに事業を停止していた場合のみ、帝国データバンクや東京商工リサーチによって倒産にカウントされます。

倒産の原因

倒産は企業経営が困難になると行なってしまいます。

そして、具体的には以下のいずれかに該当してしまうと、法的な倒産もしくは実質的な倒産という状態になってしまいます。

  • 収益の悪化による債務超過
  • 借入過多による資金ショート
  • 手形・小切手の不渡り

倒産に至ってしまう3つの原因について詳しく解説していきます。

収益の悪化による債務超過

収益が悪化し、毎年赤字を計上していると、その分の赤字を自己資本で穴埋めします。

さらに赤字が続くと自己資本からの穴埋め分だけではお金が足りなくなるので、借金をして、借金の金額が自己資本を上回ってしまうと債務超過となってしまいます。

このような会社は借金で会社を回しているだけですので、営業を継続すればするほど借金が膨れ上がり、やがては倒産に至ってしまいます。

銀行もこのような事情はわかっているので、赤字を解消することができない企業への融資はどこかのタイミングでストップします。

融資がストップした段階で支払いができずに倒産することになります。

借入過多による資金ショート

借入金が増えすぎて、返済するための資金が足りずに資金ショートを起こしてしまうことも倒産の原因です。

資金ショートを起こし、借金を返済することができないと銀行や一括返済を求めます。

一括返済することができないと強制執行になることもあり、強制執行になると倒産となります。

借入過多は赤字によって運転資金の借入過多となっているケースと、過剰な設備投資によって設備資金の借入過多となっているケースに分かれます。

いずれにせよ、自社のキャッシュフローを超える返済金を抱えると資金繰りに困窮して資金ショートとなってしまう可能性があります。

手形・小切手の不渡り

手形や小切手が半年の間で2回の不渡りになると銀行取引停止処分となり、ほとんど企業が倒産になります。

また1回の不渡りでも企業名は公表され、この時点で銀行は融資金の一括返済を求め、返済できない企業は倒産に至ってしまいます。

つまり1回でも手形・小切手の不渡りを出すと企業は倒産に至ってしまいます。

手形の期日はしっかりと把握しておくとともに、お金が足りないのであれば借入金やファクタリングを利用して期日にしっかりと資金を確保するようにしましょう。

会社を倒産させないために注意すべきこと

会社を倒産に至らせないためには以下の3つの点に注意する必要があります。

  • 収益の管理を厳格にする
  • 資金繰りに管理を徹底する
  • 安易に借入をしない

いずれも日常の企業経営の中で注意できることです。

企業経営を安泰に継続していための3つのポイントを詳しく解説します。

収益の管理を厳格にする

赤字の継続によって債務超過にならないためには収益の管理を厳格に行う必要があります。

収益の管理を厳格に行うためには、売上の拡大と固定費の削減という2つの方法をあげることができます。

売上の拡大

営業活動をしっかりと行なって販路の拡大を行うことで、利益が大きくなります。

特にコロナ禍においては販路の変更は中小企業に課せられた大きなテーマの1つです。

必要であれば持続化補助金などを活用して販路の拡大への努力をしていきましょう。

固定費の削減

売上の拡大は一朝一夕にできるものではありません。

しかし、経費の削減は比較的すぐにできる経営改善です。

特に家賃・人件費などの固定費を削減することによって売上が減少した月においても収益を出しやすくなります。

事務所家賃が高いのであれば家賃の低い事務所へ引っ越したり、経営者の給料である役員報酬を削減するなど、固定費で削減できる部分がないかを再検討しましょう。

資金繰りの管理を徹底する

資金繰りの管理を徹底することは倒産を防ぐために収益管理と同じくらいに重要です。

  • 入金サイトの短縮
  • 支払サイトの延長
  • ファクタリングの活用

これら3つの方法で、企業の資金繰りは改善するので、資金ショートから倒産になってしまう可能性が低くなります。

資金繰りを改善するための3つの方法について詳しく解説します。

入金サイトの短縮

入金サイトの短縮をすることができれば、手元に残る資金が潤沢になります。

例えば2ヶ月先に入金になる取引先に対して、「支払いを1ヶ月先にしてくれ」と交渉し、成功することができれば手元には1ヶ月早く資金を確保することができます。

取引先をリストアップし、取引先の中に交渉できる会社があるかどうかを検討しましょう。

また、新規で取引を行う取引先とは、できる限り短いサイトになるように交渉してください。

さらに、毎月の取引回数が少ない取引先に対しては現金での支払いを求めるというのも有効な手段だと言えるでしょう。

支払サイトの延長

入金サイトとは逆に支払いサイトを長くするというのも有効な手段だといえます。

支払いサイトとは買掛金が発生してから支払期日までの時間です。

例えば「1ヶ月先に支払いをする」ということが決まっている取引先に対する支払いを「2ヶ月先に支払い」と契約を変更することができれば、資金の流出は1ヶ月分遅くなるので手元に残る資金は多くなります。

やはり、仕入先をリストアップして、交渉することができる取引先がないかどうかを確認するようにしましょう。

ファクタリングの活用

ファクタリングを活用することでも資金繰りは改善します。

ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社へ売却して資金化する方法です。

売掛債権は期日になるまで資金化することができない資産です。

売掛債権を多く保有している企業ほど資金繰りは苦しくなりますが、ファクタリングを有効活用することによって、売掛債権のサイトが長くても資金繰りを円滑にすることができます

安易に借入をしない

安易に借入金に頼らないということも非常に重要です。

もちろん、受注が増大した時など、本当に必要な時には借入金に頼るべきですが、実際には必要もないのに銀行員に頭を下げられてお金を借りてしまっている企業が非常に多いというのが実情ではないでしょうか?

銀行はお金を貸し付けるのが仕事ですので、多くの企業が必要もないお金を銀行から頼まれて借りています。

このような借入をしてしまうと、必要もない用途にお金を使ってしまうことが多く、気づいた時には資金繰りが苦しくなってしまいます。

借入は本当に必要な時だけとして、安易に借金を作らないように徹底してください。

倒産についてよくある質問

倒産と破産の違いを教えてください
倒産には法的な定義はありませんが、破産は資産と債務を清算して会社を消滅させる裁判上の手続きです。
倒産には、会社更生や民事再生などの再建型も存在しますが、破産をすると会社が消滅するのでその会社は絶対に存続することはできません。
倒産が企業経営が継続不可能な総称を指すのに対して、破産は法的な特定の手続きです。
倒産した会社は絶対に再建できませんか?
会社更生法や民事再生法が適用されればその法人格は消滅することなく企業を存続させることができます。また、銀行取引停止や内整理の場合にも会社が再建できることもあります。
一方、破産や特別清算になってしまうと法人格は無くなるので再建は不可能です。
一概の倒産になると再建不可能というわけでなく、どのような形で倒産するかによって企業が再建できるかどうかは異なります。
倒産した会社を買収するメリットは何でしょうか?
倒産した会社を買収するメリットは様々です。倒産した企業の財務体質に問題があったとしても、その企業が貴重な技術や特許を持っているということはよくあります。また、その企業が培ってきた販路を欲する企業も存在するでしょう。
企業は倒産したら何も価値がないかと言えば、そのようなことは全くありません。
倒産した企業でも他の企業から見れば大いなる価値を持っていることはあるので、倒産しても粘りつよくスポンサーを探してみるとよいでしょう。

まとめ

倒産とは企業が債務超過などによって債務が返済不可能になり企業経営の継続が困難になる状況で、法的な根拠がある言葉ではありません。

一般的に、倒産という時には以下の6つの状態のいずれかに該当します。

  • 会社更生法
  • 民事再生法
  • 破産
  • 特別清算
  • 銀行取引停止
  • 内整理

これらどの状況になっても従前通りの企業経営の存続は難しくなります。

倒産に至らないために、収益管理、資金繰り管理を徹底するとともに不要な借入をしないよう、注意してください。