売掛金を期日前にファクターへ売却し、早期資金化するファクタリング。
ファクタリングは、メリットとデメリットがはっきりと分かれています。
利用するのであれば、メリットだけを享受することができるタイミングで活用したいものです。
しかし、多くの人がファクタリングについて「売掛債権を早期資金化できる」というメリットしか理解していないのではないでしょうか?
しかし、ファクタリングのメリットはそれだけではありません。
手数料を払ってでも得るべきメリットはまだ他にも多数あります。
今回は、ファクタリングのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
メリットとデメリットをよく理解し、自社にとって最もメリットを得ることができるタイミングでファクタリングを活用することができるようになりましょう。
ファクタリング6つのメリット
ファクタリングのメリットは6つあります。
- 即日の資金調達
- 審査の柔軟性
- 回収リスクの排除
- 決算書悪化の防止
- 第3者への秘匿性
- バックオフィス業務の効率化
ファクタリングというと「売掛金を期日前に早期資金化する」ことだけだと思っている人が多いですが、実はファクタリングのメリットはそれだけではありません。
ファクタリングのメリットの全てを解説していきます。
即日の資金調達
ファクタリング1つ目のメリットは、最短即日で資金調達することができるスピードです。
銀行融資が申し込みからいくら早くても1週間はかかることを考えれば、急にお金が必要になった時や、銀行融資が下りてくるまでのつなぎ資金としてファクタリングを利用することができます。
審査の柔軟性
ファクタリング2つ目のメリットが審査の柔軟性です。
ファクタリングは自社の業業が悪く銀行の審査に通過することができない状況であっても審査に通過することができる可能性があります。
ファクタリング審査では自社の業況はそれほど重視されません。
ファクタリング審査で重視されるのは、債務者である売掛先企業の業況になります。
そのため、自社に信用がなくお金を借りることができない状況であっても、保有する売掛債権の債務者である売掛先企業の業況に問題なければ審査に通過でき、資金調達可能になることがあるのです。
売掛債権の回収リスクの排除
ファクタリングの特徴的なメリットが売掛金の回収リスクを排除することができるという点です。
ファクタリングは原則的に、売掛債権売却時に売掛債権の回収リスクも売却します。
このため、もしもファクタリング後に売掛先企業が倒産したとしても、自社にその責任は及びません。
売掛債権のデフォルトリスクはファクターが負ってくれますので、売掛債権につきものの回収リスクを完全に排除することができるのです。
決算書悪化の防止
ファクタリングは借入によって資金調達するよりも決算書の悪化を防ぐことができるというメリットもあります。
借入によって100万円調達した場合には、「借入金」という負債と、「現預金」という資産の両方が増えることになり、結果として貸借対照表は100万円大きくなってしまいます。
しかし、ファクタリングは「売掛金」という資産と、「現預金」という資産を交換しているだけですので、ファクタリングによって100万円を調達しても貸借対照表が大きくなることはありません。
今は、不要な資産も負債もできる限り持たない「貸借対照表のオフバランス化」が評価される時代ですので、借入によって資金調達するよろもファクタリングで資金調達した方が決算書に対する外部からの評価が高くなるのです。
第3者への秘匿性
2社間ファクタリングではファクタリングを行なったことは基本的に自社とファクターの間だけの秘密にすることができます。
2社間ファクタリングでは、売掛先の同意を得ずに行うことができるので売掛先にもファクタリングをしたことを秘密にできます。
ファクタリングを行なったことが売掛先にバレてしまうことによって「資金繰りが相当苦しいのかもしれない」などと悪く判断され、取引を切られてしまうかもしれません。
2社間ファクタリングは売掛先に秘密で行うことができるので、取引先との関係に亀裂が入るような心配はないでしょう。
また、ファクタリングは銀行や株主にも秘密にすることができます。
決算書上は売掛金と現金を交換しただけですので、借入の履歴などが決算書に記録される心配はありません。
ビジネスローンなどを利用したことを銀行へ知られると、銀行評価が下落することがありますが、ファクタリングは決算書に記録されないので銀行や投資家などに知られることがなく安心です。
バックオフィス業務の効率化
ファクタリングの隠れたメリットがバックオフィス業務の効率化です。
ファクタリングをすれば売掛金の管理などはファクターが行なってくれるので、これまで売掛金の管理に費やしてきた人員や時間などのコストの効率化を図ることができるでしょう。
また、ファクタリングに申し込むことによって売掛先企業が審査にかけられます。
売掛先企業が突然倒産しないように、多くの企業が四苦八苦しながら売掛先の与信管理を行なっているのではないでしょうか?
ファクタリングに申し込むことによって審査のプロであるファクタリング業者がプロの目線で売掛先を審査してくれます。
これまで自社で行なっていた与信管理をアウトソーシングすることができるのです。
ファクタリングは売掛金の回収事務や与信管理などの企業のバックオフィス業務を効率化することができるメリットもあります。
ファクタリング2つのデメリット
ファクタリングは基本的に高額な手数料さえ甘受することができればデメリットはあまりありません。
逆に言えば、高額な手数料が非常に大きなデメリットになってしまいます。
また、ただでさえ高額なファクタリングの手数料よりもさらに高額な手数料を設定する悪徳業者や闇金もファクタリング業者の中には混じっているので注意が必要です。
ファクタリングのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
高額な手数料
ファクタリングの最大で唯一と言ってもいいデメリットは高額な手数料です。
- 2社間ファクタリングの手数料相場は10%〜20%
- 3社間ファクタリングの手数料相場は5%〜10%
銀行から事業資金を借りた場合には2%前後の金利ですし、ノンバンクのビジネスローンでも1年間で15%〜20%程度です。
ファクタリングはたった1〜2ヶ月という短い期間資金調達するだけなのに、売掛債権の10%〜20%程度の手数料が取られてしまいます。
ここは借入と比較して非常に大きなデメリットと言えるでしょう。
確かにファクタリングをすれば最短即日で売掛債権を現金に換えることができます。
しかし、売掛債権の支払期日まで待つことができれば売掛金は満額受け取ることができるので、高額な手数料負担は長期的に見れば企業の資金繰りや収益も圧迫します。
やはり借入金よりも圧倒的に高額なファクタリングの手数料は資金繰り面でも収益面でも大きなデメリットと言えるでしょう。
悪徳業者の存在
ファクタリング業者の中には悪徳業者が混じっているという点も借入と比較した場合のデメリットということができるでしょう。
悪徳業者に引っかかってしまうと30%以上もの高額な手数料を設定されることがあります。
借入であれば銀行業や貸金業として国などに登録をしなければ営業することができません。
そのため、しっかりと確認すれば闇金からお金を借りてしまう心配はありません。
しかし、ファクタリングは国や地方自治体への登録や許認可が全く必要なく、どんな業者もファクタリング業務を営むことができるので、残念ながら闇金が混じっていたり、最初から高額な手数料を顧客から搾取することを目的としている悪徳業者も混在しています。
自分の責任で業者をしっかりと選定しないと、悪徳業者に騙されてしまうリスクがあるという点はファクタリングのデメリットと言えるでしょう。
ファクタリングのメリットが得られる5つのケース
ファクタリングには多くのメリットがありますが、手数料が高いのが難点です。
高い手数料を払ってでも、ファクタリングのメリットを得ることができるタイミングとして5つの状況を想定することができます。
- 即日資金が必要
- 銀行から融資受けられない
- 借入を銀行に知られたくない
- 新規取引先の与信を知りたい
- 節税を行いたい
それぞれ、ファクタリングがどのように活用できるの具体的に見ていきましょう。
即日資金が必要な場合
即日で資金が必要という場合には、法人の場合はファクタリングを利用するのが最も可能性の高い選択肢です。
ノンバンクのビジネスローンも即日融資に対応していますが、ノンバンクのビジネスローンは個人事業主向けのものが多くなっています。
法人の場合にはファクタリングの方が即日融資に対応しているので
「取引先から予定していた入金が遅れることになった」
「予定していた銀行融資が下りない」
「今日お金を用意しないと手形が不渡りになる」
などの緊急性が高い場合の資金繰りには最もファクタリングが対応できるでしょう。
銀行から融資を受けられない時
銀行から融資を受けることができない場合はファクタリングが活用できます。
大きな融資を予定している前や、先日融資を受けたばかりなどの場面や、赤字や債務超過の場合は銀行から融資を受けることが難しくなります。
前述したようにファクタリングであれば審査対象は売掛先になりますので、銀行融資を受けることができない状況下でも審査に通過できる可能性があるでしょう。
借入を銀行に知られたくない場合
銀行に他から資金調達をしたことを知られたくない場面でもファクタリングは有効です。
ファクタリングは決算書に記録が残らないためです。
銀行から融資を受けることができない場面ではノンバンクのビジネスローンも活用できますが、ノンバンクのビジネスローンを借りると決算書に記録が残るので、銀行や株主からの自社の評価がマイナスになる可能性もあります。
銀行や株主から「金利の高いノンバンクからお金を借りるということは経営が相当苦しい」とマイナス評価をされないためには、決算書に記録が残らないファクタリングを利用して資金調達することが有効です。
新規取引先の与信を知りたい時
ファクタリングは新規取引先の与信判断にも活用することができます。
企業にとって新規で取引を行う企業に対して「取引をしても安全な企業かどうか」という判断は非常に困難です。
もしかしたら、従前の取引先と支払いに関するトラブルを起こしたために自社との取引を希望している場合があります。
このような「海のものかも山のものかも分からない」という取引先の判断にファクタリングを活用することができます。
新規取引先の売掛債権をファクタリングに申し込むと、審査のプロであるファクターが新規取引先の審査を行なってくれます。
問題なく審査に通過できるようであれば、取引をしても問題ない取引先という判断ができますし、審査に通らないのであれば経営状況が危うい取引先であるので今後の取引は再検討しなければなりません。
このように、新規取引先の与信を知るためにもファクタリングは活用することができます。
節税をしたい時
利益が出ているタイミングで節税のためにファクタリングを活用することもできます。
ファクタリングの手数料は経費に算入することができるので、利益が出ているタイミングで税金対策をすることもできるためです。
利益が出ているタイミングでファクタリングを利用することで、節税効果を得ながら資金繰りの円滑化や、バックオフィス業務の効率化も行うことができます。
利益が出ているときはファクタリングは必要ないと思いがちですが、利益が出ている時こそ、ファクタリングの高い手数料を節税に寄与させながら、様々なメリットを得ることができるのです。
- 決算書が赤字でも審査に通りますか?
- ファクタリングは売掛先に対する審査が重視されるので赤字や債務超過で売掛先企業の業況に問題なければ審査に通過することができます。
- 2回目以降の取引では何かメリットがありますか?
- 2回目以降は初回よりも信頼度が増しているので手数料が安くなることが期待できます。また、自社の情報をすでにファクターが知っているので審査も早くなる可能性があります。
- 手数料が安くなることはありますか?
- ファクタリングの手数料は審査によって決定しますが、売掛先企業が優良企業の場合や、2回目以降の利用などの場合にはファクターのリスクが低くなるので手数料が低くなることがあります。
- 支払いは一括で行なわなければなりませんか?
- ファクタリングの支払いは売掛債権期日に一括で、分割は不可能です。
- 2社間ファクタリングなら絶対に売掛先にバレませんか?
- 期日通りにファクターに支払いをする限りはバレません。期日に遅れた場合にはファクターが売掛先へ問い合わせることもあるので秘密にすることができない場合もあります。
まとめ
ファクタリングのメリットとして以下のようなものがあります。
- 即日の資金調達
- 審査の柔軟性
- 回収リスクの排除
- 決算書の悪化の防止
- 第3者への秘匿性
- バックオフィス業務の効率化
上記のように、ファクタリングには早期資金化だけでなく様々なメリットがあります。
しかし、借入と比較して高額な手数料は大きなデメリットですし、悪徳業者の存在にも注意する必要があります。
最もファクタリングのメリットを受けることができるタイミングを理解し、できる限り効果的にファクタリングを活用するようにしましょう。