医療機関にとって医療報酬が入金になるまでの時間的ギャップは大きな経営課題です。
医療機関は手元に数ヶ月分の運転資金を用意していなければ資金ショートを起こしてしまう可能性もあります。
医療機関の資金繰りの悩みを改善することができるのが医療報酬ファクタリングです。
医療報酬ファクタリングなら、入金サイトの長い医療報酬債権を早期に資金化することができ、さらに手数料が低いのも魅力。
医療機関にとっての医療報酬ファクタリングの必要性と、医療報酬 ファクタリング を取り扱うファクタリング会社をご紹介していきます。
医療報酬ファクタリングとは?
医療報酬ファクタリングとは医療報酬債権を早期に資金化する方法です。
医療報酬は民間企業が扱う売掛債権よりもサイトの長い債権ですが、医療報酬ファクタリングであれば、支払いサイトを半分にすることができます。
医療機関の資金繰りを劇的に改善する医療報酬ファクタリングの概要をまずは詳しく解説します。
医療報酬債権を早期資金化
医療報酬ファクタリングとは、医療機関が保有している国保連や健康保険組合などへの医療報酬債権をファクタリングして早期に資金化する方法です。
医療費は自己負担分と保険適用分に分かれています。
例えば65歳未満であれば医療費の自己負担は原則3割。残りの7割は保険適用分です。
自己負担分は診療後に窓口で現金で支払うのが一般的ですが、保険適用分に関してはすぐに入金になるわけではなく、後から入金になります。
医療報酬ファクタリングとは、後から入金になる保険適用分の医療報酬をファクタリング(売掛債権の売却)によって早期資金化することです。
医療報酬は発生から入金まで最長3ヶ月
医療報酬は医療行為を行い医療報酬債権が発生してから入金まで最大3ヶ月かかります。
医療報酬債権は「請求が医療行為を行なった翌月中頃」「入金が請求月の翌月末」という流れで請求から入金まで行われます。
例えば8月1日に医療行為を行なったケースを考えてみましょう。
- 8/1:医療行為によって医療報酬債権発生
- 9/10頃:8月分の医療報酬を国保連等へ請求
- 10/22頃:8月請求分が入金
このように、8月頭に発生した医療報酬債権が入金になるのは10月末になり、最大で3ヶ月近くの時間がかかってしまうことになります。
手元に3ヶ月分の運転資金が必要になるということであり、医療機関の資金繰りは決して楽ではないと言えるでしょう。
医療報酬ファクタリングならサイトを半分にできる
医療報酬ファクタリングを利用すれば、最大3ヶ月の医療報酬の入金サイトを半分にすることができます。
医療報酬ファクタリングは国保連などへ請求を上げた後に申し込むことができ、例えば8月分の医療報酬をファクタリングする場合には以下の流れになります。
- 8/1:医療行為によって医療報酬債権発生
- 9/10頃:8月分の医療報酬を国保連等へ請求
- 9/11:医療報酬ファクタリングへ申し込み
- 9/16頃:ファクタリング会社から買取代金が入金
このように、医療報酬ファクタリングを利用することによって、最大3ヶ月だった入金サイトを約半分に短縮することができます。
医療報酬ファクタリングのメリット
医療報酬ファクタリングメリットは以下の4つです。
- 手数料が低い
- 審査通過率が高い
- 入金サイトを劇的に短縮できる
- 初回の利用は2ヶ月分の医療報酬が入金になることも
ファクタリングとしては非常に低い手数料で早期に売掛債権を資金化することができるのが医療報酬ファクタリングの強みです。
医療報酬ファクタリング4つのメリットを解説します。
手数料が低い
医療報酬ファクタリングは手数料が低いのが大きな特徴です。
審査によって手数料は決定しますが、基本的には2%以下の手数料が設定され、1%を切るような手数料が設定されることも珍しくありません。
医療報酬債権の債務者は国保連などの公的機関で、まずデフォルトする心配がないため、一般の買取ファクタリングよりも非常に低い手数料でファクタリングすることができます。
ファクタリングというと「手数料が高い」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、医療報酬ファクタリングであれば非常に安価な手数料で医療報酬債権を売却することができるのは大きなメリットです。
審査通過率が高い
医療報酬ファクタリングは審査通過率が非常に高いという特徴もあります。
ファクタリング審査で重視されるのは債務者の信用ですが、医療報酬ファクタリングにおける債務者は国保連などの公的機関で信用度は抜群です。
医療報酬債権の貸し倒れなどが起きる可能性は限りなくゼロに近いため、医療報酬ファクタリングは申し込みをすれば非常に高い確率で審査に通過することができます。
入金サイトを劇的に短縮できる
何と言っても医療報酬ファクタリング最大のメリットが入金サイトの短縮でしょう。
医療報酬債権は入金までの時間が最大3ヶ月近くかかってしまう入金サイトが非常に長い売掛債権です。
医療報酬ファクタリングを利用することによって、入金サイトを半分に短縮することができるので、手元の運転資金に不安を感じている医療機関の資金繰りに大きく寄与することになるでしょう。
資金力が脆弱な開業間もない医療機関の運転資金確保に医療債権ファクタリングは最適です。
初回の利用は2ヶ月分の医療報酬が入金になることも
初回に医療報酬ファクタリングを利用する時には2ヶ月分の医療報酬を手にすることができます。
例えば、10月15日に医療報酬ファクタリングを利用する場合には、この時点では8月分と9月分が未入金ですので、8月・9月の2ヶ月分の医療報酬をファクタリングによって調達することが可能です。
手元の運転資金に問題がなくても「どうしてもすぐにまとまったお金が欲しい」という時に医療報酬ファクタリングを活用することができます。
医療報酬ファクタリングのデメリット
医療報酬ファクタリングにはデメリットもあるので注意が必要です。
資金化までに時間がかかり、早期資金化は売掛債権の全額をできるわけではないという点です。
医療報酬ファクタリングのデメリットについても詳しく解説していきます。
早期資金化は8割のみ
医療報酬ファクタリングでは請求金額の8割しか資金化してもらうことができないのが一般的です。
医療報酬は請求した金額が満額入金になるとは限りません。
国保連や保険組合の審査の結果、請求額よりも減額されてしまうことがあるので、このような場合に備えて、ファクタリング当初は医療報酬債権の8割程度しか入金にならないのです。
残りの2割は審査を終えて金額確定後に入金になります。
そのため、医療報酬ファクタリングで早期資金化することができるのは、医療報酬債権金額の8割のみです。
資金化までに時間がかかる
医療報酬ファクタリングは申込日当日に入金になるわけではありません。
入金になるのは早くて3営業日程度先であり、長い場合には3週間程度の時間がかかってしまうファクタリング会社も存在します。
一般的な買取ファクタリングが申込日当日に資金化することができることと比較すると、医療報酬ファクタリングはファクタリングの中では入金までに時間がかかってしまうファクタリングだと言えるでしょう。
医療報酬ファクタリングを取り扱うファクタリング会社
医療報酬ファクタリングを利用したいけどどこに申し込んだらいいか分からないという人も多いのではないでしょうか?
医療報酬ファクタリングは数多くの企業が取り扱っていますが、その中でも口コミなどの評判が高いのは以下の7社です。
- GCM
- NSパートナーズ
- 三菱UFJリース
- ビートレーディング
- カイポケ
- トラストゲートウェイ
- 西日本ファクター
それぞれのファクタリング会社の特徴などについて解説していきます。
GCM
GCMは診療報酬・介護給付費等・自立支援給付費のファクタリングを専門に行う会社です。
GCMの医療報酬ファクタリングの特徴は以下の通り。
- 手数料:表示なし
- 買取上限額:上限なし
- 入金までの日数:最短3日
GCMは障害者自立支援給付費のファクタリングにも対応していますので、障害者自立支援機関を運営している施設もGCMで障害者自立支援給付費を早期資金化することが可能です。
また、契約は非対面で行うことができるので、忙しくてファクタリング会社の窓口まで訪問している時間がないという人も、確実に早期に契約手続を終えることが可能です。
エヌエスパートナーズ
エヌエスパートナーズも医療報酬や介護報酬のファクタリングを専門に扱っている会社です。
主な特徴としては以下のようなものがあります。
- 手数料:0.25~1.0%
- 買取上限額:上限なし
- 入金までの日数:2週間〜3週間
手数料が非常に低いのが特徴ですが、初回は入金までに3週間もかかってしまうこともあり、入金までにはどうしても時間がかかってしまいます。
エヌエスパートナーズは調剤報酬債権ファクタリングも取り扱っており、薬局もファクタリングによって早期資金化を図ることが可能です。
医療機関だけでなく、医療関係の債権を幅広く早期資金化することができるのが、エヌエスパートナーズの特徴です。
三菱UFJリース
メガバンクグループである三菱UFJグループの三菱UFJリースも医療報酬ファクタリングを取り扱っています。
三菱UFJリースのファクタリングの主な特徴は以下の通りです。
- 手数料:表示なし
- 買取上限額:上限なし
- 入金までの日数:5営業日程度
基本的には手数料や買取額は全て要相談となっており、あまりに高い手数料が適用されることはないでしょう。
なんと言ってもメガバンクグループのリース会社のファクタリングですので安心ですし、医療機器のリースなどど一緒に資金繰りの相談もすることができるのは魅力です。
「どこに申し込んでいいか分からない」という医療機関はまずは三菱UFJリースへ相談するとよいでしょう。
ビートレーディング
ビートレーディングは通常の買取ファクタリングを取り扱うファクタリング会社のトップランナーのうちの1社で、医療報酬ファクタリングの取り扱いも行なっています。
ビートレーディングの医療報酬ファクタリングには以下の特徴があります。
- 手数料:表示なし
- 買取上限額:上限なし
- 入金までの日数:2日
手数料については審査によって決定しますが、こちらもそれほど高額な手数料が設定される心配はないでしょう。
また入金までの日数が非常に早いというのもビートレーディングの特徴の1つです。
買取ファクタリングで即日買取のノウハウがあるビートレーディングは医療報酬ファクタリングについても最短2営業日で買取に応じています。
急いでお金が必要になる医療機関はビートレーディングが活用することができるでしょう。
カイポケ
カイポケは総合介護事業者で東証一部上場の安心できる企業です。
介護事業に特化した会社で介護報酬ファクタリングではトップクラスの企業ですが、医療報酬ファクタリングの取り扱いも行なっています。
主な特徴は以下の通りです。
- 手数料:0.8%
- 買取上限額:上限なし
- 入金までの日数:5日
ほとんどのファクタリング会社が手数料については表示されていないことに対して、カイポケは最初から0.8%と表記されており、さらに非常に低いというのは大きなメリットです。
また、入金までの日数も最短5営業日と早いので、できる限り低い手数料で早く現金が欲しいという人にカイポケは頼もしい存在だと言えるでしょう。
トラストゲートウェイ
福岡県で買取ファクタリングをメインでにしているトラストゲートウェイも医療報酬ファクタリングを取り扱っています。
トラストゲートウェイの医療報酬ファクタリングの概要は以下の通りです。
- 手数料:表記なし
- 買取上限額:上限なし
- 入金までの日数:最短即日
手数料に関しては詳細な表示はなく審査によって決定します。
ただし医療報酬債権という安全性を鑑みれば他社と比較してそれほど高い手数料が設定される心配はないでしょう。
2社間ファクタリングであれば入金までに最短即日で対応してくれるというのはトラストゲートウェイの大きな強みです。
西日本ファクター
西日本ファクターは福岡県に本社があるファクタリング会社です。
医療報酬債権の2社間ファクタリングと3社間ファクタリングを取り扱っており、急いでいる時には少し高めの手数料を支払って2社間ファクタリングを利用することも可能です。
主な特徴は以下の通りです。
- 手数料:表記なし
- 買取上限額:3,000万円
- 入金までの日数:最短1営業日
九州の人は最短1営業日でファクタリングが可能で、九州地方以外の人は資金化までに時間がかかってしまうようです。
九州の医療機関の方は西日本ファクターでファクタリングを検討するとよいかもしれません。
医療報酬ファクタリングに関してよくある質問
- 2社間ファクタリングは不可能ですか?
- 2社間ファクタリングでも医療報酬債権を買い取っているファクタリング会社は存在します。
この場合、入金までの時間は早いですが、ファクタリング会社が国保連などの公的機関から直接入金を受けることができるわけではないので手数料は比較的高くなってしまいます。
- 医療報酬ファクタリングで即日資金化することはできないのでしょうか?
- 一般の買取ファクタリングとして売却すれば即日資金化も可能です。ただしこの場合には医療報酬ファクタリングよりもかなり高い手数料を取られてしまうことになります。
- ファクタリング会社によって手数料に差があるのはなぜですか?
- リスクの許容度・運営コスト・経営方針などあらゆる点がファクタリング会社によって異なるためです。
あまり高いリスクを許容できないファクタリング会社であれば手数料は高くなりますし、店舗型のファクタリング会社の方が運営コストが高くなるのでクラウド型のファクタリング会社と比較して手数料は高くなります。
複合的な要素でファクタリング手数料は異なるので、心配な方は複数のファクタリング会社の見積もりを取得するとよいでしょう。
まとめ
医療報酬ファクタリングを利用すれば医療報酬の入金サイトを最長半分程度に縮めることができます。
医療報酬は医療行為が発生してから入金になるまで最長3ヶ月もかかってしまう、非常にサイトが長い売掛債権ですので、資金繰りに困窮している場合には医療報酬ファクタリングの利用を検討してください。