赤字決算・債務超過の企業の資金調達について解説します。

一般的に「連続赤字の企業は借入ができない」「債務超過の企業は借入ができない」などと言われます。

確かに、赤字決算や債務超過の企業は銀行借入が難しいことは間違いありません。

しかし、赤字や債務超過の時だからこそ、資金繰りが苦しく外部から資金調達をする必要性があるのが現実なのではないでしょうか?

どこからもお金を借りることができないと悩んでいる方も資金調達ができる可能性がある、赤字決算・債務超過時の資金調達方法について詳しく解説していきます。

 

赤字決算の会社で資金調達が難しい理由

赤字決算の会社で資金調達が難しい理由

赤字決算の会社は、ただ「赤字だから」という理由で資金調達が難しくなるわけではありません。

これまでは順調だったのに、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化し赤字に転落したなどの、一過性の赤字であればむしろ銀行は率先して援助してくれます。

銀行などから資金調達をすることが難しいのは赤字が続き「事業を継続しても難しい」と判断された場合です。

赤字決算の会社が資金調達することが難しい理由について詳しく解説していきます。

債務超過による資本損失の拡大

赤字になるとその損失分は、会社の自己資本から補わなければなりません。

赤字になっても自己資本の範囲内で赤字を賄うことができる体力のあるうちは大きな問題にはなりません。

しかし、自己資本がなくなって借金で赤字を賄うようになると、債務超過になってしまいます。

この状態から抜け出すことができない企業にいくらお金を貸しても、その会社は借金で会社を回しているだけになってしまいます。

一過性の赤字決算であれば問題なくお金を借りることができることができますが、債務超過を拡大している赤字の会社へ融資をすることはリスクが高いので資金調達が難しくなります。

3期連続営業赤字は本業継続の危機

3期連続など、連続して営業赤字となっている会社は、「本業を継続しても損失を拡大し赤字を増やすだけ」と判断されることが一般的です。

営業損益とは会社がモノやサービスを売って、原価や経費も考慮していくら儲けたのかを示す指標です。

新型コロナウイルス時のような一時的に社会的な不況になるタイミングであれば、赤字決算になることは問題ありません。

しかし、本業の儲けを示す営業損益が3期も連続して赤字になっている会社は「営業を継続すればするほど損失を拡大しているだけ」ということなります。

景気の影響などの社会的な原因で赤字になっているのではなく、事業そのものが利益の出ない体質になっているために赤字が継続していると判断されてしまうのです。

銀行借入の際に、銀行は「決算書3期分」を用意するように言いますが、これは過去3期分の営業利益の推移をチェックするためでもあります。

前期営業赤字というだけでは審査に通ることもありますが、3期連続営業赤字の会社は「これ以上の事業継続は難しい」と判断されるので融資を受けることが難しくなります。

債務超過の会社で資金調達が難しい理由

債務超過の会社で資金調達が難しい理由

債務超過とは、総資産の金額よりも負債の金額が上回り資本金がマイナスになっている状態です。

このような会社も銀行などからの資金調達が難しいと言われています。

債務超過の会社の資金調達が難しい理由は「債務超過を解消する見込みがないのであれば、融資が止まった時点で経営が回らなくなるから」です。

債務超過の会社の資金調達が難しい理由について詳しく見ていきましょう。

借入でその場しのぎ経営

債務超過とは、会社の総資産の金額よりも多くの借金を抱えている会社です。

この会社は借入によって会社を営業しているだけの状態ですので、基本的に銀行にとってリスクが高い会社と判断されます。

銀行借入の際に銀行が最も最初にチェックするのが資本金で、ここがマイナスになっている債務超過の会社は「融資をすることが難しい会社」と判断されることが一般的です。

経営指標の悪化

債務超過の会社は債務超過というだけで、借入審査に通過することが難しいのは間違いありません。

しかしリーマンショックや新型コロナウイルス感染拡大時のような、社会的な不況の際にはたったの1年で大きな赤字を計上し、その赤字を借金で賄ったことによって債務超過になってしまう会社もあるでしょう。

そのため、債務超過というだけで必ずしも融資を受けることができないわけではありません。

問題なのは、債務超過が解消する見込みがない会社です。

債務超過は黒字になれば利益の分だけ解消さるため、債務超過になっても「来期は黒字に転換できる」という見込みのある会社であれば銀行融資で資金調達することができる可能性はありますが、黒字転換できる見込みがない会社は融資を受けることが難しくなります。

融資の審査基準

つまり、連続して赤字決算が続いており、債務超過がどんどん拡大している会社は融資を受けることは非常に難しくなると考えておきましょう。

事業を継続しても赤字を生み出すだけで、その赤字を借金で埋めて債務超過を拡大し、黒字に転換できる合理的な見込みもない会社に対して融資をしたら、その借金は返済されない可能性が非常に高くなります。

どこかで融資が止まった時点で、その会社は破綻するでしょう。

赤字決算・債務超過が重なっている会社が銀行から資金調達をすることはほぼ不可能です。

このような会社は別の方法で資金調達することを考えましょう。

赤字でも、債務超過でも出来る資金調達方法

赤字決算・債務超過になってしまい、銀行から融資を断られてしまったら外部からの資金調達を諦めるしかないのでしょうか?そのようなことはありません。

赤字決算・債務超過でも以下の2つの方法であれば資金調達することができる可能性があります。

赤字決算・債務超過でも資金調達することができる可能性のある2つの方法のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

ビジネスローン

ビジネスローンは消費者金融などのノンバンクが取り扱う事業用の資金です。

ビジネスローンのメリットデメリットは以下のようになります。

メリット 赤字・債務超過でも借りることができる場合がある
最短即日融資
デメリット 決算書に記録され、銀行にバレると銀行評価が下がる
金利が高い
借入可能金額が少ない
返済原資がないと審査に通過できない
代表者がブラックの場合は審査に通らない

ビジネスローンは赤字や債務超過でも借りることができる可能性があるので、銀行の融資に落ちた多くの事業者が申し込みを行なっています。

そして、申込日当日に融資を受けることができる最短即日融資に対応しているので、急いでいる時には重宝します。

ただし、借入状況は決算書に記録されるので銀行にバレやすく、これによって銀行評価が下がる可能性も否定できません。

また、金利は15%〜18%と法定上限金利ギリギリで、借入可能金額も500万円程度までが限度です。

また、いかに審査に通過しやすいと言っても、決算書から明らかに返済原資がない場合や代表者がブラックの場合には審査に通過することが難しくなります。

ファクタリング

ファクタリングは企業が保有する売掛債権をファクターと呼ばれる会社へ売却して資金調達する方法です。

赤字決算・債務超過の企業でも資金調達することができる可能性があり、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット 売掛先の信用で資金調達できる
赤字決算・債務超過でも利用可能
最短即日資金化
売掛先や銀行へ秘密にできる
デメリット 手数料が高い

ファクタリングは手数料が高いものの、保有する売掛債権次第で赤字決算・債務超過の会社でも高い確率で資金調達できる可能性があるので、銀行から資金調達することができない会社には最適な資金調達方法だと言えます。

赤字決算・債務超過でもファクタリングが活用できる6つの理由

赤字決算・債務超過でもファクタリングが活用できる6つの理由

赤字決算・債務超過の企業はファクタリングでも資金調達が向いていると言えます。

その主な理由が以下の6つです。

  • 審査がゆるい
  • 最短即日資金化
  • 2社間契約
  • 決算書への影響
  • キャッシュ
  • 税金の滞納中でも利用できる

赤字決算・債務超過の企業でもファクタリングが向いていると言われる理由について詳しく解説していきます。

審査がゆるい

ファクタリングは赤字決算・債務超過でも審査に通過できる可能性があります。

ファクタリングで審査されるのは、売却する売掛債権の信用性、つまり「売掛債権が期日通りに支払われるかどうか」です。

そのため、売掛先が優良企業で支払いに問題ないと判断できるのであれば、自社の業況とは無関係に審査に通過することができます。

ファクタリングは自社ではなく売掛先企業の与信で審査を受けることができるので、赤字決算・債務超過で審査に通過することが難しい企業であっても審査に通過できる可能性があります。

最短即日資金化

ファクタリングは最短即日資金化に対応しているという点も、業況が悪く「すぐにでもお金が必要」な事業者に向いている理由です。

ファクタリングには自社とファクターだけで契約することができる2社間ファクタリングがありますが、2社間ファクタリングは申込日当日に資金化することができる業者が多数存在します。

赤字決算・債務超過の企業ほど、急いで資金が必要な状況に置かれているものです。

ファクタリングは最短即日資金化することができるので、この点でも急いで資金が必要な事業者には最適だと言えるでしょう。

2社間契約

2社間ファクタリングは自社とファクターだけで契約するので売掛先にファクタリングの事実を知られることはありません。

売掛債権期日になると売掛先は自社の口座に代金を振り込み、自社がファクターへスライドさせる形で決済が完了します。

売掛先に秘密で取引することができるので、売掛先から「資金繰りが苦しい」などと悪い目線で自社のことを評価されることはありません。

売掛先との今後の取引に影響することなく資金調達ができるというのもファクタリングの大きなメリットの1つと言えるでしょう。

決算書への影響

ファクタリングを利用して資金調達しても決算書が悪化することはありません。

ファクタリングは売掛金という資産を売却して現金という資産と交換しているだけで、貸借対照表は何も変わりがないからです。

借入金によって資金調達した場合には借りた分だけ負債が増えるので、決算書は悪化してしまいます。

また、決算書には「どこから借りたのか」ということも表記されるので、ビジネスローンを借りてしまうと銀行評価が下落する可能性もあります。

この点、ファクタリングは外部に対して利用したことが分からない仕組みになっているので、ファクタリングによって銀行評価が悪化するような心配はありません。

用途が自由

ファクタリングによって調達したお金は何に使っても問題ありません。

赤字決算・債務超過の企業は「借金の支払いに苦しんでいる」「借金を返済するお金がなくて資金調達を希望している」という人が多いのではないでしょうか?

銀行融資は基本的に借金返済のために利用することはできません。

しかし、ファクタリングで資金調達したお金は何に使用しても自由ですので、借金を返済するためのお金がない事業者の方がファクタリングで調達したお金を借金返済に利用しても全く問題はありません。

ファクタリングは使い道が自由という点も赤字決算・債務超過の事業者の方に向いている理由です。

税金の滞納中でも利用できる

ファクタリングは税金の滞納中でも利用できる会社が多数あります。銀行融資は税金を滞納してしまうと基本的に借入することができません。

信用保証協会などは税金を原資とした団体であるため、審査では必ず納税証明書の提出が要求されるためです。

そのため、税金を滞納している企業は銀行借入などをまず利用することができません。

一方、ファクタリングでは税金の支払状況などを確認しない会社も多いので、税金を滞納している事業者でも利用することができる可能性があります。

「税金を滞納してしまってどこからもお金を借りることができない」という事業者の方は、まずはファクタリングで資金調達したお金で税金を支払い、その後、金利の低い銀行融資を利用するなどの方法でファクタリングを活用することもできます。

赤字決算・債務超過でも利用できるおすすめファクター3選

赤字決算・債務超過でも審査に通過することができ、比較的低い手数料でファクタリングすることができるおすすめのファクターとしては以下の3社をあげることができます。

  • OLTA
  • ビートレーディング
  • ベストファクター

赤字決算・債務超過の企業におすすめのファクター3社の特徴について詳しく見ていきましょう。

OLTA

OLTAはクラウドファクタリングを提供している会社で、審査は基本的にAIが行います。

そのため、審査回答は24時間以内と非常に早く、人出がかからないので手数料も3%〜9%と非常に安価です。

2社間ファクタリング専門の会社でありながら10%を切る手数料が設定されるというのは大きなメリットです。

また、申込から契約まで完全非対面で行われ、すべての手続きがWEB上で完結するため、「近くにファクターの事務所がない」という地方の事業者の方も安心して利用することができます。

ビートレーディング

ビートレーディングは対応に対する評価が非常に高いファクターです。

ファクタリングだけなく、資金繰り全般の相談に乗ってくれるコンサルティング的な側面もある会社で多くの事業者から信頼を得ています。

手数料は3%〜18%と幅がありますが、基本的に新規で取引する事業者が2社間ファクタリングを希望する場合には10%以上のある程度高い手数料が設定されるものと考えておいた方がよいでしょう。

ただし、資金化までのスピードには定評があり、即日資金化を謳っておきなが電話も返信もない業者が多い中、ビートレーディングは高い確率で即日回答を行い、契約次第で即日資金化が可能です。

契約には面談が必須ですが、遠方の会社でも出張買取に応じてくれます。

ベストファクター

ベストファクターもビートレーディングと同じく対面型のファクターの中では最も評価が高いファクターの1つです。

手数料は2%〜20%と明記されており、やはり幅がありますが、2社間ファクタリングを新規で希望する場合には、10%以上の手数料になることは覚悟しておいた方がよいでしょう。

ただし、専門的な知識を持ったスタッフが丁寧に対応してくれる安心感には定評があります。

また、取引回数を重ねることによって手数料は下がっていく傾向があるので、長く付き合うのであればおすすめのファクターだと言えるでしょう。

赤字決算・債務超過の資金調達についてよくある質問

赤字決算・債務超過の企業は絶対に銀行から融資を受けることはできませんか?
赤字決算・債務超過の企業が絶対に融資を受けることができないわけではありません。
銀行が「今後は間違いなく黒字に転換する」と判断できるだけの計画や材料があれば融資を受けることは可能です。
ただし、よほどしっかりとした計画などがないと簡単に融資を受けることはできないでしょう。
赤字決算だけであれば資金調達に問題ありませんか?
債務超過になっていないのであれば、自社の体力の範囲内の赤字ということですので、銀行から融資を受けることができる可能性はあります。
しかし、何期も赤字が継続して「このままでは債務超過に陥ってしまう」というような場合には、やはり黒字化を図ることができるだけの経営改善計画がないと融資を受けることは難しくなってしまうでしょう。
債務超過だけであれば資金調達に問題ありませんか?
過去の赤字などによって債務超過に陥っており、今は黒字で少しずつ債務超過を解消しているという企業であれば資金調達には大きな問題はありません。
しっかりと利益を出せており、借金の返済と債務超過の解消が順調に進んでいるのであればその企業は銀行にとって応援したいと判断できる企業ですので、比較的簡単に銀行から融資を受けることができるでしょう。
ビジネスローンで資金調達するタイミングについて教えてください。
ビジネスローンを利用するタイミングは、より確実に即日資金調達を希望する場合です。ファクタリングも即日資金化に対応してはいますが、多くのファクターで契約に面談が必要になるので即日資金化できないケースも多々あります。
一方、ほとんどのビジネスローンは非対面で契約することができるので、より確実に即日資金調達することができます。
確実に当日もしくは翌日に資金を必要とする場合にはビジネスローンを利用するようにしましょう。
2社間ファクタリングであれば赤字決算・債務超過でも確実に審査に通過できますか?
確実とまでは言い切れませんが、高い確率で審査に通過することができます。
ファクタリングで重視されるのは売掛先の与信ですので、例えば売掛先が上場企業や官公庁のような支払いには全く問題のない企業である場合には、ファクターにとってはリスクがないのでほぼ確実に買取に応じてもらうことができるでしょう。
ただし、2社間ファクタリングは売掛債権の期日に自社の口座に代金が経由します。
あまりにも業況が悪い企業はこの代金を流用してしまうリスクがあるので審査に通過できないケースもあります。
より確実に資金調達したいのであれば、3社間ファクタリングを利用した方がよいでしょう。
赤字決算・債務超過ではファクタリングの手数料は上がりますか?
業況が悪い企業ほど手数料が上がる可能性があるので赤字決算・債務超過の企業は手数料が高くなってしまう可能性があります。
特に、2社間ファクタリングでは売掛債権の代金が一度自社に経由するので業況が悪い企業ほど代金を流用するリスクがあります。
このため、赤字決算・債務超過の企業は代金の流用リスクに備えるため、正常な企業よリも手数料が高くなってしまう可能性があります。
ただし、ファクターと取引を重ねて、ファクターからの信頼を獲得していけば、業況が悪い企業でも手数料は徐々に下がっていくでしょう。

まとめ

赤字決算・債務超過の企業は銀行借入によって資金調達するのが難しくなります。

赤字と債務超過が並行している会社は、事業をやればやるほど債務超過を拡大し、その損失を銀行からの借入金で埋めて、なんとか事業を継続しているだけの状態ですので、銀行融資が止まった段階で倒産してしまいます。

そのような会社に対して融資を行うことは銀行にとってリスクが高すぎます。

赤字・債務超過の会社は、売掛債権の与信だけで審査を受けることができるファクタリングで資金調達するのがよいでしょう。

手数料は高いですが、最短即日で赤字・債務超過の会社でも高い確率で資金調達が可能です。

借入によってどこからも資金調達することができないのであれば、ファクタリングという方法もあるということを頭に入れておきましょう。