売掛金買取サービス(ファクタリング)とは?
売掛金買取サービス(ファクタリング)は、企業が保有する売掛債権を専門業者に譲渡して支払い期日前に現金を手に入れる資金調達手段です。売掛金買取サービスは民法上の債権譲渡・売買に該当する取引で、売掛金から手数料を差し引いた金額を調達できます。通常の銀行融資とは異なり、借入ではなく資産の売却によって現金化するため、新たな負債は増加しません。
売掛金買取サービスの最大の特徴は、資金化までのスピードです。売掛金買取サービスの審査は簡易的で、2社間ファクタリングなら即日や1時間程度で入金が完了するケースもあります。また、売掛金の回収リスクが専門業者に移るため、経営者は未回収リスクを抑えつつ資金繰りに集中できます。
サービスの対象となる売掛金
売掛金買取サービスの対象となる売掛金とは、通常は商品・サービス提供後に発生し、一定期間後に入金される予定の債権です。上記の債権は売掛債権と呼ばれ、売掛金買取サービスを利用する場合は契約で約束された支払い期日前に専門業者が買取を行います。なお、専門業者が買取を行う売掛債権は確定債権・将来債権の2種類で、支払い期日を過ぎている不良債権は買取対象とはなりません。
銀行融資との違い
売掛金買取サービスと銀行融資との違いは、以下の通りです。
比較項目 |
売掛金買取サービス |
銀行融資 |
資金調達の性質 |
売掛債権の譲渡であり借入ではない |
借入による資金調達 |
審査の対象と難易度 |
売掛先の信用力・支払い期日が重視され、審査は比較的緩やか |
申し込み企業の財務状況・返済能力が重視され、審査は厳格 |
資金化のスピード |
最短即日入金も可能 |
書類作成・審査に数週間〜数ヶ月かかるケースもある |
調達可能な金額 |
売掛債権の額面が上限 |
数百万〜数十億円の調達が可能 |
コストの違い |
手数料2%〜20%程度が発生 |
年1%〜3%の利息が発生 |
会計・財務への影響 |
売掛金が減り、現金が増える |
借入により負債が増加し、自己資本比率などにも影響が出る |
売掛金買取サービスと銀行融資で最も大きく違う点は、資金調達の性質と資金化までのスピードです。ファクタリングは借入ではないため、信用情報に利用履歴が記載されず、将来的な融資枠にも悪影響を与えません。また、銀行融資は審査が厳格で入金まで数週間〜数か月かかるケースもありますが、ファクタリングは最短即日対応が可能です。
売掛金買取サービスの契約方式
売掛金買取サービスの契約方式には、以下の2種類があります。
各方式でメリット・デメリットが異なるため、自社の条件にあった契約方式を選びましょう。
2社間契約
2社間契約とは、利用者と専門業者の2者だけで締結する売掛金買取サービスの契約方式です。2社間契約では売掛先(取引先)に対する通知・承諾はないため、手続きが簡便で資金化までのスピードがはやい特徴があります。2社間契約では売掛債権を売却した後に利用者が債権を回収し、専門業者へ支払いを行う流れです。
2社間契約では売掛金の回収を利用者側に委ねるため、着服されるリスクがあり手数料が高めに設定されます。なお、売掛金買取サービスの2社間契約における手数料相場はおおよそ2%〜20%です。
逆に、メリットとしては売掛先にファクタリングの利用が知られず、資金繰りに関する懸念を抱かれずに資金調達できる点があげられます。2社間契約は申し込みから最短即日〜2営業日での資金化も可能なため、急いで資金を確保したい場合によく選ばれる方式です。
3社間契約
3社間契約は、利用者・専門業者・売掛先の3者が締結・承諾する売掛金買取サービスの契約方式です。3社間契約の売掛金買取サービスでは債権譲渡通知が必須で、売掛金は売掛先から直接専門業者へ支払われます。
専門業者が売掛先から直接売掛債権を回収できるため、利用者が売掛金を着服する心配がなく回収リスクは2社間よりも低くなります。よって、3社間契約は2社間契約と比較して手数料は低くなる傾向にあり、相場は1%〜9%程度です。
さらに、売掛金の未回収リスクが下がるため、2社間では審査落ちした場合でも3社間なら承認されるケースがあります。ただし、資金化には売掛先との調整が必要なため入金スピードは劣り、資金調達まで1〜2週間程度かかるケースも珍しくありません。3社間契約は資金化までに時間的余裕があり、かつ売掛先との信頼関係が十分にある場合には有用な方式です。
売掛金買取サービスを利用するメリット
売掛金買取サービスを利用するメリットとして、以下の5つがあげられます。
- 最短即日で資金を調達できる
- 負債が増えず財務面の評価を保ちやすい
- 保証人・担保が不要で手続きが簡単
- 赤字決算など経営状況が悪くても利用できる
- 個人事業主も利用できるサービスが多い
上記のメリットに魅力を感じる場合は、売掛金買取サービスの利用を検討しましょう。
最短即日で資金を調達できる
売掛金買取サービスの最大の魅力は、最短即日または数日で資金を調達できる点です。通常の銀行融資では事業計画書などの書類作成が必要で審査も厳格であり、入金までに数週間から数ヶ月かかるのが一般的です。
しかし、売掛金買取サービスでは健全な売掛債権を提出して審査を通過すれば、最短即日に入金される傾向にあります。特に、2社間契約を選べば手続きや審査も手間がかからず進み、最短数十分程度で資金を得られるサービスも存在します。
負債が増えず財務面の評価を保ちやすい
負債が増えず財務面の評価を保ちやすい点も、売掛金買取サービスを利用するメリットです。売掛金買取サービスは売掛債権を売却する仕組みであり、融資のような借入とは異なります。
そのため、売掛金買取サービスを利用しても貸借対照表上の負債は増加せず、財務面で悪影響を与えずに資金調達が可能です。負債が増えず自己資本比率やROAが改善される可能性があるため、金融機関からの評価が向上して将来的な融資へプラスになるケースがあります。
保証人・担保が不要で手続きが簡単
保証人・担保が不要で手続きが簡単である点も、売掛金買取サービスを利用するメリットです。通常融資を受ける際には担保提供や経営者の連帯保証が求められるケースが多く、手続きに多大な準備が伴います。
一方、売掛金買取サービスは売掛債権を譲渡する契約であり、債権自体が担保としての役割を果たします。そのため、担保・保証人は原則不要で申し込みから審査もスムーズに進み、手続きの負担が少なくなる点が魅力です。特に、保証人の確保が難しい場合や自社の資産を拘束したくない企業にとっては、大きな利点となります。
赤字決算など経営状況が悪くても利用できる
売掛金買取サービスは利用企業の経営状況が問われず、たとえ赤字決算であっても利用できる資金調達手段です。通常の銀行融資では返済が伴うため、利用企業の支払い能力を厳しく審査され、赤字決算・債務超過などがあると審査が通りにくくなります。
しかし、売掛金買取サービスの審査で重視されるのは売掛先の信用力であり、利用企業の財務状況は基本的に加味されません。そのため、赤字で税金滞納歴があるなど経営状況が悪かったとしても、取引相手が安定していれば審査を突破する可能性は高まります。さらに、売掛金買取サービスでは信用情報の照会も行われず、過去の融資延滞・ブラックリスト登録があっても影響が少ない点も強みです。
個人事業主も利用できるサービスが多い
昨今、売掛金買取サービスは法人だけでなく個人事業主・フリーランスにも広く提供されるようになっています。例えば、「必要書類は2点だけ」「最短10分~数時間で入金」「少額案件にも柔軟に対応」といった個人事業主向けの業者もあります。オンライン完結のサービスも増えていて、審査通過率が90%を超え、手数料1%〜と好条件で資金調達できる会社もあるほどです。
資金調達方法が限られる個人事業主にとって、少額かつ迅速に資金化できる売掛金買取サービスの利便性は大きなメリットです。ただし、売掛金買取サービスの業者選びや必要書類の整理など、資金調達前に準備をしっかり行う必要はあります。
売掛金買取サービスを利用するデメリット
売掛金買取サービスを利用するデメリットとして、以下の4つがあげられます。
- 融資よりも資金調達コストがかかる
- 過度な利用は逆に資金繰りを悪化させる
- 債権譲渡登記を求められるケースがある
- 売掛債権の金額までしか資金を調達できない
上記のデメリットに対しては、事前に対策を講じておきましょう。
融資よりも資金調達コストがかかる
売掛金買取サービスのデメリットは融資と比較して資金調達コストが高い点で、具体的な手数料・金利相場は以下の通りです。
資金調達方法 |
手数料・金利相場 |
売掛金買取サービス(2社間契約) |
2%〜20% |
売掛金買取サービス(3社間契約) |
1%〜9% |
銀行融資 |
1%~3% |
2社間方式では2%〜20%、3社間でも1%〜9%程度の手数料が必要であり、銀行融資の金利と比べて割高です。したがって、中長期での資金調達を考えている場合は低金利な融資とのコスト差がより顕著になる点に注意が必要です。また、売掛金買取サービスは金融業法・利息制限法の対象外であるため、業者によっては相場を超えた高額な手数料が請求されるリスクもあります。
過度な利用は逆に資金繰りを悪化させる
売掛金買取サービスは手軽さゆえ、複数回・長期的に繰り返し利用すると資金繰りを悪化させる恐れがあります。入金直前の売掛金を資金化すると同時に手数料が発生し、結果として受け取る資金が減額されて利益を圧迫するためです。手軽に現金化できる反面、売掛金買取サービスに依存するようになり、本質的な資金繰りの改善ができない危険があります。
金融庁も「高額な手数料を支払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性あり」と注意喚起しています。売掛金買取サービスを利用する際は、無駄なコストを削減するなどの本質的な資金繰り改善策も同時に進めましょう。
参考:ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁
債権譲渡登記を求められるケースがある
売掛金買取サービスでは、特に2社間契約の場合に債権譲渡登記を求められるケースがある点に注意が必要です。債権譲渡登記とは法務局に売掛債権を譲渡した事実を記録する仕組みで、専門業者は第三者に対する権利を主張できます。しかし、債権譲渡登記には7,000円〜15,000円ほどの費用がかかり、司法書士に依頼する場合はさらに高額になります。
さらに、登記された情報は誰でも閲覧可能で売掛先にファクタリング利用を知られてしまう可能性がある点にも注意が必要です。また、登記手続き自体に数日〜数週間かかるため、即日での資金化を行いたい場合には希望が叶わないリスクがあります。したがって、手続きの簡便さや資金調達スピードを重視する企業は、債権譲渡登記がない売掛金買取サービスを選びましょう。
売掛債権の金額までしか資金を調達できない
売掛金買取サービスでは、売掛債権の額面金額までしか調達できない点に注意しましょう。例えば、1,000万円の資金調達が必要な場合であっても100万円分の売掛債権しか持っていなければ希望の資金を得られません。
また、専門業者によっては売掛債権の上限・下限が設定されており、買取対応できる金額に制限を設けているケースもあります。したがって、大口の資金需要がある場合は売掛債権の範囲内ではカバーしきれず、他の資金調達手段との併用が必要です。
売掛金買取サービスの手数料
売掛金買取サービスの手数料は契約方式や手続き方法によって異なり、相場は以下の通りです。
売掛金買取サービスの種類 |
手数料の相場 |
2社間契約(面談) |
10%〜20% |
2社間契約(オンライン) |
2%〜12% |
3社間契約 |
1%〜9% |
ただし、上記の手数料はあくまで目安であり、債権の内容や売掛先の信用力によっては相場を超える額で設定されるケースもあります。また、債権譲渡登記費用・印紙代など手数料とは別に発生するコストも存在するため、契約時には総費用を必ず確認しましょう。
売掛金買取サービスがおすすめな企業の特徴
売掛金買取サービスがおすすめな企業の特徴として、以下の3つがあげられます。
- なるべくはやく資金を調達したい
- 融資審査に落ちて利用を断られた
- 売掛債権を多数保有していて回収不能となるリスクを懸念している
上記の特徴にあてはまる場合は、売掛金買取サービスを検討しましょう。
なるべくはやく資金を調達したい
売掛金買取サービスは、申し込みから最短即日で資金を得られる点が最大の魅力です。特に、2社間ファクタリングを活用すると売掛先への通知・同意を必要とせず、審査から入金までのスピードが非常に速いのが特徴です。
例えば、運送業・建設業などでは納品〜入金まで時間がかかるにも関わらず、燃料費・資材費・人件費などの支出は先行します。上記のように入金と支出のズレが続くと資金繰りが厳しくなるため、売掛金買取による迅速な資金化が重宝されます。「急な新規投資のために即資金が必要」といった状況では、融資と比べてスピーディーに対応できる売掛金買取サービスがおすすめです。
融資審査に落ちて利用を断られた
融資審査に落ちて利用を断られた企業も、売掛金買取サービスがおすすめです。銀行融資の審査では利用企業の財務状況・信用情報を厳しくチェックされ、経営状況が悪いと審査落ちしてしまいます。一方、売掛金買取サービスは売掛先の信用力を重視するため、赤字決算・債務超過などの場合でも利用が可能です。
また、個人事業主や創業直後の企業にとっては自己資本・業歴に関係なく利用が可能である点も大きなメリットとなります。「担保・保証人が用意できなかった」などの理由で融資が困難になった企業でも、売掛金買取サービスは有力な代替手段です。
売掛債権を多数保有していて回収不能となるリスクを懸念している
売掛債権を多数保有していて回収不能となるリスクを懸念している企業にも、売掛金買取サービスがおすすめです。売掛債権を多数抱えている事業者は、取引先の倒産や支払い遅延によって資金繰り面で大きな損失を受けます。売掛金買取サービスを活用すれば、売掛債権の回収リスクは専門業者に移転されるため、上記損失の回避が可能です。
特に、製造業・物流業・人材派遣業など支払いサイトが1か月〜3か月以上ある業種では債権回収の不確実性もより高まります。上記の業種では、売掛金買取サービスによって売掛債権を即資金化し、債務不履行リスクを軽減するとともに資金繰りを安定させられます。また、売掛金買取サービスを利用すれば、売掛債権の回収業務負担を軽減して本業に専念できる点も大きな利点です。
売掛金買取サービスをスムーズに活用するためのコツ
売掛金買取サービスをスムーズに活用するためのコツは、以下の2点です。
- 審査を通過しやすい債権を選んで申し込む
- 事前に必要書類を確認して準備しておく
売掛金買取サービスを利用する際は、上記のポイントを意識しましょう。
審査を通過しやすい債権を選んで申し込む
売掛金買取サービスを利用する際は、審査を通過しやすい債権を選んで申し込みましょう。売掛金買取サービスの審査で最重要視されるのは、売掛先の信用力と債権の健全性です。そのため、上場企業・大手企業・公的機関の売掛債権は支払い能力の観点から回収見込みが高く、審査通過率も非常に高くなります。
また、支払い期日が近い売掛債権ほど回収リスクが低いと判断されやすく、期日まで2カ月以内の請求書で申し込むと効果的です。なお、回収リスクの観点から3社間契約よりも2社間契約の方が審査基準は厳しくなる傾向があります。そのため、審査通過を優先したい場合は、売掛先の合意と協力を得て3社間契約を利用するのもおすすめです。
事前に必要書類を確認して準備しておく
売掛金買取サービスを利用する際は、事前に必要書類を確認して準備しておきましょう。必要書類は業者によって異なりますが、多くの専門業者では以下のような資料の提供を求められます。
資料の種類 |
必要な書類例 |
身分証明書・本人確認 |
運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど |
銀行口座情報 |
通帳コピーまたはオンラインバンキングの入出金明細(直近3ヶ月分が目安) |
売掛債権の証拠書類 |
請求書に加え、契約書・発注書・納品書・検収書などの補足書類が求められる場合もある |
営業実態を示す資料 |
- 法人は登記簿謄本・決算書・試算表
- 個人事業主は確定申告書・開業届など
|
公的支払い状況の証明 |
納税証明書や社会保険料の領収書など |
上記の書類は取得に時間を要するため、契約までの期間を逆算してはやめに準備しておくのが肝心です。また、「請求書と通帳の記録内容が一致しているか」「社名・金額に誤りがないか」なども事前にチェックしておきましょう。オンラインで手続きができる売掛金買取サービスを選ぶ場合は、PDF・画像で提出する準備も忘れずにしておいてください。
売掛金買取サービスを利用する際の注意点
売掛金買取サービスを利用する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 取引先の信用力などによってはサービスを利用できない
- ファクタリングには複数の種類がある点に気をつける
- 悪徳業者は絶対に利用しない
思わぬ損失を被るケースもあるため、上記のポイントを確認しながら売掛金買取サービスを利用してください。
取引先の信用力などによってはサービスを利用できない
売掛金買取サービスでは取引先の信用力などによってはサービスを利用できないケースがあるため、注意しましょう。売掛金買取サービスの審査は申し込み企業ではなく、売掛先の信用力が最重要視されます。そのため、資金繰りが悪化しているなど経営状況が悪い取引先の売掛債権は回収リスクが高いと判断され、買取を断られる可能性が大きいです。
また、売掛先が新規取引先や取引実績が浅いと信用力を判断しにくい観点から審査に通りにくくなります。さらに、支払い期日が長すぎる債権も回収リスクが高く判断されやすいため、審査通過は厳しくなる傾向です。したがって、売掛金買取サービスを利用する際は大企業や取引実績が長い企業など回収見込みの高い売掛債権を選びましょう。
売掛金買取サービスには複数の種類がある点に気をつける
売掛金買取サービスは一般的に買取ファクタリングを指しますが、それ以外にも複数の種類がある点に気をつけましょう。
ファクタリングの種類 |
概要 |
保証ファクタリング |
売掛債権の未回収リスクだけを保証する方式で現金化は目的としないサービス |
国際ファクタリング |
輸出に関連する売掛債権を、国内外の専門業者が保証・買取するサービス |
一括ファクタリング |
3社間契約により、支払企業主導で売掛債権の回収・決済を専門業者が一括代行するサービス |
特に、保証ファクタリング・国際ファクタリングは主に銀行が提供する売掛債権の保証を目的としたサービスです。買取ファクタリングのように自社が申し込みをしたタイミングで売掛債権を資金化できるわけではないため、注意しましょう。また、一括ファクタリングも売掛債権を支払い期日前に資金化できますが、取引先が主導して契約しなければならない点に注意が必要です。
悪徳業者は絶対に利用しない
売掛金買取サービスを提供する業者の中には違法な貸付を行う悪徳業者が存在するため、注意しましょう。特に、情報収集や問い合わせ段階で以下のような特徴が業者にみられた場合は、悪徳業者の可能性が高いです。
悪徳業者の特徴 |
内容の説明 |
事業所・固定電話・公式サイトがない |
「連絡先が携帯番号だけ」「事業所が実在しない」「公式Webサイトが存在しない」場合、信用できない業者の可能性がある |
見積りや契約内容が不明瞭 |
「見積りを出さず金額・手数料の明細が不透明」「契約書なしや金銭消費貸借契約の形式をとる」場合、違法な融資を装っている恐れがある |
著しく高い手数料設定 |
相場を大幅に超えて30%以上の手数料を請求するなどの場合、不当に利益を上乗せしている可能性が高い |
償還請求権・買戻請求特約がある |
債権が回収不能となると利用者に返済義務が発生する契約は、貸付契約の一種となり違法性がある |
分割返済や給与ファクタリングをすすめる |
分割返済可能な給与債権を対象とする「給与ファクタリング」は無登録の場合に違法な貸金とみなされる |
強引な取り立てや嫌がらせを行う |
電話・訪問による執拗な催促・恫喝、個人情報への言及など精神的な圧迫を行う |
業者とのコミュニケーションをとる中で上記の特徴がみられた場合、他の専門業者を検討しましょう。
売掛金買取サービスを選ぶ際にチェックすべきポイント
売掛金買取サービスを選ぶ際にチェックすべきポイントとして、以下があげられます。
- サービスの評判・口コミが良いか
- 手数料が適正な水準か
- 入金までにかかる日数はどれくらいか
- 債権譲渡登記の作業が発生するか
- サポート体制が充実しているか
上記のポイントを確認し、自社の条件にあった売掛金買取サービスを選びましょう。
サービスの評判・口コミが良いか
売掛金買取サービスを選ぶ際、SNS・Google Maps・レビューサイトを利用して評判・口コミが良いかを確認しましょう。多くの利用者が高評価をしていれば、サービス対応が丁寧でトラブルが少ない可能性が高いです。
ただし、あくまで利用者の主観に基づく見解であり、口コミだけを鵜呑みにしないようにしましょう。高評価でも自社の業態や取引規模に合うとは限らないため、相見積り・直接問い合わせでサービスの内容・対応を比較する必要があります。
手数料が適正な水準か
資金調達コストを抑えたいなら、売掛金買取サービスを選ぶ際に手数料が適正な水準かどうかも確認が必要です。手数料相場は2社間契約で売掛金額の2%〜20%、3社間契約で1%〜9%とされていますが、実際には業者ごとに幅があります。
例えば、オンラインで手続きが完結する売掛金買取サービスの場合、対面対応よりも人件費などのコストが大きく削減されます。削減されたコスト分を価格転嫁できるため、手数料が2%〜12%程度と通常の相場の中でも低めに設定されるケースが多いです。
なお、相場より大きく乖離した高額な手数料が設定されている場合は理由を確認し、相見積りで他社との比較も行いましょう。もし、他の専門業者と比較して著しく手数料が高い場合は、悪徳業者の可能性が高いです。
入金までにかかる日数はどれくらいか
急いで資金が必要な場合、入金までにかかる日数はどれくらいかを売掛金買取サービスを選ぶ際に必ず確認しましょう。売掛金買取サービスは基本的に資金調達できるスピードがはやいですが、業者・契約方式によって差があります。2社間契約では最短即日での入金に対応するケースが多いものの、銀行の振込対応などによっては翌営業日以降になる場合もあります。
また、3社間契約の場合は売掛先の同意が必要となり、審査後に1週間〜2週間かかるケースも多いです。即日入金を希望する場合は、「平日何時までの申し込みで即日入金が可能か」などの具体的な条件を確認しましょう。
債権譲渡登記の作業が発生するか
手間をできるだけ少なくしたいなら、売掛金買取サービスを申し込む際に債権譲渡登記の作業が発生するかも確認しましょう。売掛金買取サービスを利用する際、特に2社間契約では債権譲渡登記の手続きが求められる場合があります。
登記には登録免許税として通常7,500円〜1万5,000円がかかり、さらに司法書士に依頼すれば数万円~十数万円の報酬が発生します。また、法務局に登記されると売掛先に閲覧される可能性があり、企業間の信頼関係に影響を及ぼすリスクも考慮しなければなりません。
さらに、登記手続きには数日から数週間を要するため、即日での資金調達を希望する際には叶わない恐れもあります。そのため、契約前には「債権譲渡登記が必要かどうか」を確認した上で、費用・時間や取引先への影響を踏まえて慎重に判断しましょう。
サポート体制が充実しているか
売掛金買取サービスを選ぶ上では手続きのスムーズさやトラブル対応を考慮し、サポート体制の充実度が重要な判断のポイントです。大手・上場企業が運営する売掛金買取サービスは、資本力を活かした人的リソースの豊富さによって迅速で丁寧な対応が期待できます。例えば、日本中小企業金融サポート機構やビートレーディングのように、資金調達にあたって助言や他手段の提案も行う業者もあります。
また、24時間365日対応や地方拠点からのサポート体制が整った業者を選ぶと、急な資金ニーズやトラブル発生時にも安心です。契約前に「どの段階で誰が対応し、どのような支援が得られるか」を確認して疑問点を解消できる会社を選びましょう。
おすすめの売掛金買取サービス5選
おすすめの売掛金買取サービスとして、以下の5つを紹介します。
- ビートレーディング
- アクセルファクター
- QuQuMo(ククモ)
- ベストファクター
- OLTA(オルタ)
上記の中から、自社の条件にあった売掛金買取サービスを選びましょう。
ビートレーディング

種類 |
- 2社間契約
- 3社間契約
- 診療報酬ファクタリング
- 注文書ファクタリング
|
手数料 |
|
入金スピード |
最短2時間 |
買取可能額 |
下限・上限なし |
手続き方法 |
オンライン・LINE・訪問 |
公式サイト |
https://betrading.jp/ |
ビートレーディングは売掛金の即時資金化を希望する企業向けに、オンライン完結かつ最短2時間入金を実現する売掛金買取サービスです。累計取引7.1万社以上と豊富な実績を誇り、2社間・3社間・診療報酬・注文書など多様な契約方式・売掛債権に対応しています。
2社間は手数料4%〜12%、3社間は2%〜9%と低い水準に設定されており、入金スピードとコストのバランスに優れたサービスです。必要書類は請求書と通帳コピー2点のみで出張買取にも対応しており、手続きの手軽さと柔軟性を両立しています。
アクセルファクター

アクセルファクターは最短即日の入金と93%の高い審査通過率を強みに持つ、スピード重視の売掛金買取サービスです。2社間での手数料は3%〜10%、3社間で1%〜8%と低率の設定で30万円〜1億円まで幅広い買取額に対応しています。
必要書類は請求書・通帳・本人確認書類・決算書類のみで、手続きはオンライン完結な上に対面・郵送にも柔軟に対応しています。また、売掛金買取サービスだけでなく財務コンサルティング・助成金紹介など、財務面で多角的なサポートを受けられる点も大きな魅力です。
QuQuMo(ククモ)

QuQuMoはフリーランス・個人事業主にも使いやすい、オンライン完結型の売掛金買取サービスです。申し込み時の必要書類は請求書・通帳コピー・本人確認書類のみで、最短2時間での入金を実現しています。
手数料は低水準の1%〜14.8%で、2社間契約のみの設定ながら買取金額に上下限がなく少額案件も歓迎してくれます。また、クラウドサインでの契約締結となるため、セキュリティ体制も万全で情報漏えいの心配もなく安心して利用可能です。債権譲渡登記も不要であるため、取引先に知られずに資金化したい方へ特におすすめできるサービスです。
ベストファクター

ベストファクターは業界トップクラスの低手数料と高い審査通過率を誇り、手数料は2%〜と非常にリーズナブルです。審査通過率92.2%、即日振込実行率は約60%という実績を維持しており、多くの事業者で即座に資金を調達できています。
提出が求められるのは請求書・通帳・本人確認書類など基本的な必要書類のみで、オンライン・面談・郵送にも柔軟に対応が可能です。個人事業主や創業間もない法人でも利用可能で、継続利用による手数料の優遇制度や財務コンサル提供などサポートも充実しています。
OLTA(オルタ)

OLTA(オルタ)はAI審査によるオンライン完結型で、スピーディな資金調達を可能にする売掛金買取サービスです。OLTAの手数料は2%〜と低率で上限が9%と2社間契約の中でも低水準であるため、コストを抑えながら利用できます。AI審査導入により効率的な対応を実現し、申し込みから審査完了までは最短即日、入金は契約後即日または翌営業日とスピーディです。
必要書類は請求書・通帳・本人確認に加えて法人なら決算書、個人事業主なら確定申告書が必要ですが、すべてオンライン提出で完結します。口コミでは「対応が丁寧」「手数料が安い」と高い評価を受けており、特に個人事業主・フリーランスにとって利用しやすい点が好評です。
売掛金および売掛金買取サービスに関するよくある質問
売掛金および売掛金買取サービスに関するよくある質問として、以下の3つがあげられます。
- 売掛金と買掛金の違いは?
- 売掛金を回収した際の仕訳方法は?
- 売掛金回転期間とは?
売掛金および売掛金買取サービスに関して疑問点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
売掛金と買掛金の違いは?
売掛金は商品・サービスを提供して後日代金を受け取る権利で、買掛金は仕入代金などを後日支払う義務を表します。売掛金と買掛金の違いは、主に以下の通りです。
項目 |
売掛金 |
買掛金 |
定義 |
商品・サービスを提供し、後日代金を受け取る権利 |
商品・サービスを受け取り、後日代金を支払う義務 |
会計上の位置付け |
流動資産として計上 |
流動負債として計上 |
取引の立場 |
売り手側(代金を受け取る立場) |
買い手側(代金を支払う立場) |
仕訳時の処理 |
|
|
企業間取引における関係 |
販売側の資金回収の管理指標として重要 |
資金負担や債務管理の指標として重要 |
企業間取引では同じ取引が売り手には売掛金、買い手には買掛金として記録され、時には両者を相殺して精算する運用も行われます。
売掛金を回収した際の仕訳方法は?
売掛金を回収した際の勘定項目は「現金または普通預金・売掛金」で、1,000円を銀行振込で回収した場合は以下のように仕訳します。
借方 |
貸方 |
普通預金 1,000円 |
売掛金 1,000円 |
なお、現金での回収なら「現金/売掛金」となって借方に現金・預金、貸方に売掛金を記録します。
借方 |
貸方 |
現金 1,000円 |
売掛金 1,000円 |
また、売掛金が貸倒れした際には以下のように「貸倒損失/売掛金」「貸倒引当金/売掛金」と記載して回収不能分を処理します。
借方 |
貸方 |
貸倒損失 1,000円 |
売掛金 1,000円 |
売掛金回転期間とは?
売掛金回転期間は「売掛金がどの程度の期間で現金化されているか」を示す指標で、以下の計算式で算出できます。
- 売掛金回転期間(日数)=売掛金÷(年間売上高÷365)
売掛金回転期間が短いほど現金回収がスムーズで、資金繰りの健康度が高いと判断が可能です。逆に回転期間が長い場合は、取引先からの入金遅延が資金繰りを圧迫し、運転資金の負担が拡大しやすくなります。
売掛金買取サービスで必要な資金を迅速に確保しよう
売掛金買取サービスは、売掛金を資金化する手段として多くの中小企業・個人事業主に利用されています。売掛金買取サービスであれば最短即日での資金調達が可能で、赤字決算や融資審査落ちでも利用できる柔軟さが魅力です。
また、借入とは異なり負債が増えないため、財務の健全性を保ちながらキャッシュフローを改善できます。一方で、手数料や債権譲渡登記の有無、取引先の信用力など注意点も多いためサービス選びは慎重に行う必要があります。自社に合った契約方式や対応業者を見極め、売掛金買取サービスで必要な資金を迅速に確保しましょう。