「最近ファクタリングってよく聞くけど、どういう意味なの?」

「ファクタリングを利用したらすぐに現金が調達できるらしいけど本当?」

このような疑問は、ファクタリングの「売掛債権を買い取る」というサービスの意味を知ることで深く理解することができます。

ファクタリング(factoring)の言葉の意味

”factoring”という単語の派生元である”factor”には、動詞の意味として「…を因数分解する」がありますが、もうひとつ「〈債権を〉売却する」という意味もあります。

つまり”factoring”は、「〈債権を〉売却する」という意味の”factor”に、動名詞を表す接尾辞”-ing”が付いた動名詞で、「〈債権を〉売却すること」という意味で使われます。

債権はある人(債権者)が特定の相手(債務者)に対して、一定の行為(給付)をするよう要求できる権利をいいます。具体的にはお金の貸主が借主に対してお金の返還を請求する権利や、家の賃貸人が賃借人に対して家の引渡しを請求する権利、雇用者が被雇用者に対して労務を請求する権利などです。

ファクタリングにおける債権は、納入企業が営業活動によって販売・提供した商品やサービスの売掛金代金のうち、取引先から支払われていない代金を請求できる「売掛債権」を指しています。

「売掛債権を売買する」の意味

売掛債権を売買するの意味

売掛債権は取引先(売掛先)から支払われていない代金を請求できる権利ですが、ファクタリングではこの売掛債権を金融機関や専門業者が買い取り、手数料分を差し引いた買取代金を振り込みます。

なお、期日前の入金されていない金額のことを「売掛金」と言います。

「売掛債権を売買する」をもっと噛み砕いて説明すると、「翌月末に売掛先から入金される予定の300万円(債権)を、今すぐ270万円で買い取ってもらうこと」です。

債権300万円10%にあたる30万円がファクタリングの手数料で、債権を買い取った金融機関や専門業者の利益となります。

そもそも「売掛債権は売買できるのか?」という疑問がありますが、現行民法466条1項では「債権は譲渡できる」と規定されており、社会的・経済的に必要性が生じた場合に債権の譲渡が認められています。

ファクタリングは債権譲渡契約であり、金銭消費貸借契約である借入とはまったく異なる資金調達方法です。

ファクタリングという資金調達方法が必要とされる意味

資金調達方法が必要とされる意味

納入企業が商品やサービスを納品・提供し、売掛先が後で代金を支払う「掛取引」では、

  • 月末締め翌月末支払い
  • 月末締め翌々月末支払い

のいずれかの方法が一般的です。

たとえば「月末締め翌々月支払い」の掛取引で考えてみましょう。

納入企業が1月1日に商品を納品、問題がなければ納入企業は売掛先へ請求書を送り、翌々月末の3月31日に売掛金の入金が発生する流れになります。

売掛金の入金が最大で3ヶ月後の掛取引は「支払いが先、売掛金の入金は後」となるため、納入企業の資金繰りに大きな悪影響を及ぼします。

資金に余裕がない企業は、取引のある銀行等からの借入に頼らざるを得ません。それでも資金ショートに陥ることになれば、最悪の場合は黒字倒産になってしまいます。

そこで納入企業側には、請求書の支払いが実行される前(支払期日前)に売掛債権を金融機関や専門業者に売却、すぐに使える現金を調達したいというニーズが発生します。

このニーズこそが、ファクタリングが資金調達方法として必要とされる所以です。

日本でも2~3年ほど前から中小企業・小規模事業者の間にファクタリングが浸透しており、経産省も借入に代わる新たな資金調達方法としてファクタリングを推奨しています。

取引の流れからファクタリングの意味を解説

ファクタリングの意味01

ファクタリングの意味を取引の流れから解説します。

ファクタリングでは「納入企業(利用者)」「ファクタリング会社」「売掛先企業」という3社が契約の主体となります。

解説の便宜上、次のシチュエーションを仮定します。

  • 納入企業(零細)は240万円で仕入れ・製造した商品を300万円で売掛先企業に売却
  • 売掛金金は翌々月末支払い
  • 仕入代金の240万円は今月末支払い(売掛金金支払い日の30日前)

1.納入企業と売掛先の間に売掛債権が発生

納入企業が製造した商品を売掛先に納品、売掛先は納品された商品を検品し、問題がなければ納入企業は請求書を発行します。

請求書を発行した時点で、納入企業には300万円の売掛債権が発生したことになります。

これにより翌々月末に通常どおり売掛金が入金された場合、納入企業は売掛金300万円のうち、仕入代金・製造原価の240万円を差し引いた60万円を利益として得ることができます。

2.納入企業がファクタリング会社に見積りを依頼

売掛金は翌々月末に支払われますが、納入企業にはすでに240万円の仕入代金の支払い義務が発生しています。

売掛金の入金に先行して仕入代金を支払わらなければならないため、納入企業の財務状況によっては60日後の売掛金の入金まで資金繰りの悪化が懸念されます。

たとえば、売掛金の支払期日までに税金の支払いが発生して手元の資金が足りなくなった場合、金融機関から借入するなどして工面しなければなりません。

そこで納入企業の経営者や経営担当者は、ファクタリングによる資金調達方法を検討します。

中小企業や小規模事業者の売掛債権を買い取る専門業者(ファクタリング会社)に見積もりを依頼、もっとも条件の良い売却先を選別します。

3.納入企業がファクタリング会社に売掛債権の売却を申し込む

ファクタリングの意味02

ファクタリング会社は見積もりにあたって、

  • 売掛債権の金額
  • 売掛先の信用力
  • 支払期日までの日数
  • 納入企業と売掛先の取引関係

などを考慮して、買い取り可否とファクタリング手数料を決定します。

審査の結果、ファクタリング手数料は5%と見積もられ、ファクタリング会社は納入企業に対し「ファクタリング手数料5%285万円の買い取り」を提示します。

納入企業は支払期日まで待てば、

「240万円で仕入れ・製造した商品の売掛金300万円が満額支払われ、60万円の利益」

ファクタリングを利用すれば

「240万円で仕入れ・製造した商品の売掛金のうち285万円が早期に支払われ、45万円の利益」

の2つの条件から一方を選択して申し込みます。

納入企業がファクタリング会社に申し込めば、60日後に訪れる売掛金の支払期日前285万円の現金が指定の口座に振り込まれることになります。

ファクタリングを利用すれば支払期日を待たずに現金を調達できますが、必ず手数料分が差し引かれるため、手元に残る現金は少なくなってしまいます。

したがってファクタリングを利用する場合、納入企業は資金調達と併せて資金繰り改善策を実行する必要があります。

4.ファクタリング会社が売掛債権を買い取る

納入企業とファクタリング会社が契約を結ぶにあたって、売掛先が加わるか、加わらないかで取引のプロセスや手数料が大きく変わります。

売掛先が加われば「3社間ファクタリング」となり、手数料は低く抑えられますが、売掛債権の売却について売掛先の承諾が必要となります。

売掛先が加わらなければ「2社間ファクタリング」となり、手数料は高くなりますが、売掛債権の売却について売掛先の承諾が不要となり、最短即日で現金が振り込まれす。

納入企業は手数料や入金までの期間、売掛先との取引関係を考慮して、3社間か2社間かを選択します。

中小企業や小規模事業者の利用者からは、「売掛先との信用不安を招きたくない」という理由から2社間ファクタリングが選ばれる傾向にあります。

5.ファクタリング会社へ売掛金が支払われる

売掛金の支払期日を迎えたら、売掛金はすみやかにファクタリング会社に支払われます。

ここでも3社間ファクタリングと2社間ファクタリングでは、売掛金の支払いプロセスに違いがあります。

3社間ファクタリングは売掛先に売掛債権譲渡の承諾を得ることで、売掛金の入金先が納入企業の口座からファクタリング会社の口座に変わります。つまり、納入企業は売掛先に対して売掛金の回収を行う必要がありません。

一方の2社間ファクタリングは売掛先の承諾が不要な代わりに、納入企業は通常どおり売掛先に対して売掛金の回収を行い、1営業日以内にファクタリング会社に入金する必要があります。これを回収業務委託契約といいます。

ファクタリング手数料の意味

リスクに比例

ファクタリング会社は売掛先企業から売掛金が正常に支払われず、買取代金の支払い損になる「債務不履行リスク」を恐れています。

すなわち「手数料の高さ=債務不履行リスクの高さ」と言うことができます。

この観点こそが、ファクタリングの審査で売掛先企業の信用力や利用者と売掛先企業の取引状況が重視される所以なのです。

さらに、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングでは、前述のとおり手数料も異なります。双方の適正手数料率は次の通りです。

ファクタリング契約の種類 適正手数料率
3社間ファクタリング 売掛金の1~9%
2社間ファクタリング 売掛金の15~30%

なぜ2社間のほうが手数料が高めに設定されているのかというと、「売掛先企業の倒産リスク」に加え、「売掛先企業から入金された売掛金を利用者が使い込んでしまうリスク」が考慮されているからです。

2社間の場合は、通常どおり売掛先企業から利用者の口座に売掛金が入金されますが、このタイミングに税金や家賃等の引き落としが重なった場合、利用者は売掛金を一括で支払えなくなる可能性があります。

したがって、なるべくファクタリングの手数料を抑えたいと考えるのであれば、ファクタリング会社に対して債務不履行リスクが小さいということを証明しなければなりません。

ファクタリングの種類

ファクタリングの種類

取引の流れで紹介した3社間ファクタリング、2社間ファクタリングは「買取ファクタリング」というファクタリングサービスのひとつです。ここでは各ファクタリングサービスの種類について解説します。

一括ファクタリング

一般的なファクタリングサービスのことで、売掛債権が売買されます。契約主体の違いにより3社間ファクタリングと2社間ファクタリングの2種類に分けられます。

3社間ファクタリング

売掛債権の譲渡を売掛先企業に通知して、承諾を得てから契約する買取ファクタリングです。

売掛金はファクタリング会社が売掛先企業から直接回収するため、債権回収業務をファクタリング会社に負担してもらうことができ、さらにファクタリング会社の債務不履行リスクは低くなるため、手数料が低めに設定されます。

ただし、利用者側は

  • 売掛先企業から承諾を得る必要があるため現金を調達するまでに時間がかかる
  • 債権譲渡の事実を知られることで売掛先企業との関係が悪化する懸念がある

といったリスクも考慮する必要があります。

2社間ファクタリング

売掛債権の譲渡を売掛先企業に通知せず、ファクタリング会社と利用者の間で契約する買取ファクタリングです。

債権譲渡の事実は売掛先企業をはじめとする第三者に通知されないため、信用不安を招くリスクがありません。

ただし、売掛金は通常どおり利用者が回収してからファクタリング会社に支払う必要があり、ファクタリング会社の債務不履行リスクが高くなるため、手数料が高めに設定されます。

その代わり、あらかじめ必要書類をそろえてから申し込めば、最短即日で現金を調達できる可能性があります。

医療報酬ファクタリング

医療報酬ファクタリングとは、病院やクリニックなどの医療機関が保険支払機関に対して請求する医療報酬債権(医療費の7割)をファクタリング会社と売買する資金調達方法です。

債権の種類によって、次のようなファクタリングサービスに分類されます。

  • 診療報酬ファクタリング
  • 介護報酬ファクタリング
  • 調剤報酬ファクタリング

保険支払機関である国保や社保などは債務不履行リスクが極めて低いため、信用力の高さは言うまでもなく、ファクタリングの手数料も低めに設定されます。3社間ファクタリングで債権譲渡通知を受けたからといって、今後の医療報酬債権の請求が拒否されるといったこともあり得ません。

医療報酬ファクタリングを3社間で契約した場合、ファクタリング会社は医療報酬請求額の8割までを買取額面の対象としています。一方、2社間の契約では医療報酬債権を満額で買い取ってもらうことが可能です。

商品在庫ファクタリング

商品在庫ファクタリングとは、文字通り在庫商品をファクタリング会社に売却し、早期に現金を調達するファクタリングサービスです。

仕入先や納入先への通知・承諾は不要で、ファクタリング会社の担当者が利用会社に出向き、在庫商品の査定をしてその場で買い取ります。

作りすぎたり、仕入れすぎたりした商品在庫を事業資金に変えられるだけでなく、倉庫代や管理費などのコストを削減して資金繰りを改善することもできます。

買取対象となる商品在庫はファクタリング会社によって、アパレル、貴金属、宝石、電化製品、日用雑貨、食品など異なります。

また買取代金の振込は、商品引き取りの当日中、あるいは引き取り後2~3日中に行われることが多いようです。

保証ファクタリング

保証ファクタリングとは、売掛先が売掛金を支払う前に倒産してしまった場合に、ファクタリング会社が代わって売掛金を支払う「売掛債権の保証」サービスです。利用者はファクタリング会社に保証してもらう代わりに、保証料を支払います。

売掛金が入金されるまでのスパンが長い建設業界では、途中で発注元が倒産してしまうことも少なくないため、売掛債権を譲渡するよりも保有したまま保証だけしてもらうサービスに需要があります。

国際ファクタリング

国際ファクタリングとは、海外の事業者に商品を輸出する国内の輸出業者が海外のファクタリング会社と連携して、輸入業者の信用調査および支払いの保証、代金の仲介を行うファクタリング契約です。

海外の輸入業者によっては、商品代金を確実に支払ってくれるかどうか不透明な部分があります。そこで輸出業者が海外のファクタリング会社と連携し、代金回収を確実にするために、3社間で国際ファクタリングの契約を結びます。

国際ファクタリングが利用できる国は限られているため、事前にファクタリング会社のWebサイトなどで確認が必要です。

まとめ

売掛債権を売買するファクタリングについて、基本的な意味と資金調達までの仕組み、さまざまな種類のファクタリングサービスを解説しました。

一般的な中小企業・小規模事業者の方がファクタリングを利用する場合、多くは一括ファクタリングの「3社間」もしくは「2社間」のいずれかとなるでしょう。

ファクタリング会社によって対応している契約、買取手数料、入金までのスピードが異なりますので、複数の業者に見積もりを依頼し、自社の資金調達目的に合った売却先を選びましょう。