ファクタリングは手数料を支払って売掛債権を早期資金化することです。

そして、手数料負担は高い場合では30%を超えるなど、手数料負担は決して軽いものではありません。

「できる限り手数料は抑えたい」経営者であれば誰もがそう考えるはずです。

手数料を構成する要素はいくつかあり

どんな債権を売却するか

どのファクターに申し込むか

どのような形のファクタリングを実施するか

によってファクタリングの手数料を安くすることができますし、逆に高くなってしまうこともあります。

今回は、ファクタリングの手数料を安くするポイントを解説します。

ファクタリングは高額な手数料がネックですが、できる限り手数料負担を抑えて、資金繰りの円滑化を図ることができるようになりましょう。

この記事を監修した専門家

安田 亮

神戸FAS合同会社

公認会計士・税理士・1級FP技能士の安田です。
大手監査法人と東証一部上場企業での勤務を経て独立開業しました。
企業の会計・税務の分野だけでなく、FP資格を活かして資産運用などのアドバイスも行なっています。

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[この記事へのコメント]

ファクタリング手数料の相場は、売掛先の信用力に反比例して決まります。
ファクタリングを利用する場合、信用力の高い相手先への債権から優先的に利用するのが良いと言えます。
先行きの見えない中で、いつ資金繰りが苦しくなるか分かりません。
早めの資金繰り対策を行ないましょう。

ファクタリング手数料を構成する5つの要素

手数料の違い

ファクタリングの手数料はただファクターが闇雲に設定しているわけではありません。

基本的には相場は以下のように決まっています。

  • 2社間ファクタリング:10%〜20%
  • 3社間ファクタリング:5%〜10%

そして手数料の中には印紙代や登記費用などの固定費が含まれており、手数料の内訳は以下のようになっています。

登記費用 収入印紙代 ファクターの利益や広告費
2社間ファクタリング 8万円 2万円 登記費用や印紙代以外の部分
3社間ファクタリング なし 数百円 登記費用や印紙代以外の部分

ファクタリングの手数料が売却する売掛債権や業者によって異なるのは、登記費用や印紙代などの固定費以外の部分で違いが生じるためです。

そして、ファクターの設定する手数料は以下のような要素によって決定しています。

  1. 売掛先の与信
  2. 自社の与信
  3. 売掛債権の規模
  4. ファクターの経営方針
  5. 2社間か3社間か

手数料を決定するこれらの要素について、もう少し詳しく解説していきましょう。

売掛先の与信

ファクタリングの手数料に最も大きく関係するのがこの点です。

売掛先の経営状態が良好であれば、ファクターが顧客から買い取った債権は「回収可能性が高いからリスクが低い」と判断できますし、売掛先の規模が小さく経営状態が不良であれば「デフォルトするリスクもあり、リスクが高い」と判断されます。

自社の与信

一見関係ないようにも感じる自社の与信ですが、資金が自社を経由する2社間ファクタリングでは自社の与信も重要になります。

自社の経営状態が悪ければ、売掛金期日になって売掛先から代金が入金になった時に、ファクターへ支払わずに他のことに流用してしまうか持ち逃げしてしまう可能性があるためです。

確かに借入よりも自社の与信は重視されませんが、2社間ファクタリングではあまりにも自社の与信に問題があると審査に落ちてしまうこともあると理解しておきましょう。

売掛債権の規模

売掛債権の規模も手数料には影響します。

簡単に言えば、「金額の高い売掛金を売却すれば手数料率は低くなり、金額が低い売掛金を売却した場合には手数料が高くなる」傾向があるのです。

これは、ファクターの取り分が大きく影響しています。

金額の高い売掛金はファクターの取り分が大きくなるので手数料率が低くなる傾向があります。

ファクターの経営方針

単純にファクターの方針によっても手数料が異なることもあります。

「高いリスクをとって高い手数料をとる」という会社であれば手数料は高くなる傾向にありますし、クラウドファクタリングなどコストをかけない経営を実現することができている会社は手数料が低くなる傾向があります。

2社間か3社間か

ファクタリングを2社間ファクタリングで行うのか、3社間ファクタリングで行うのかによっても手数料は異なります。

前述したように、2社間ファクタリングの方が固定費がかかるので手数料が高くなり、さらに2社間ファクタリングの方がファクターのリスクが大きくなるので手数料はどの分高くなります。

ファクタリング手数料を安く抑える5つのポイント

ファクタリング手数料を安く抑える5つのポイント

ファクタリング手数料を構成する5つの要素を元に、今度は具体的にどのようにして手数料を安く抑えるか、そのポイントを見て行きましょう。

主なポイントは以下の5つです。

  • 信用の高い債権を売却して手数料を安く抑える
  • 自社の信用を向上させて手数料を安く抑える
  • 手数料の低いファクターに申し込む
  • 金額の大きな債権を売却して手数料を安く抑える
  • 3社間ファクタリングを選択して手数料を安く抑える

ファクタリングの手数料をできる限り低く抑える5つの方法について詳しく解説していきます。

信用の高い債権を売却して手数料を安く抑える

ファクタリングではファクターが売掛債権を回収できるかどうかについて大きな影響を及ぼすのは、売掛先企業です。

売掛先企業が期日通りに代金を支払えば、ファクターも回収できる可能性が高くなりますし、そうでない場合にはリスクが高くなるので、リスクに見合った高額な手数料を設定することになります。

売掛先企業が優良企業や官公庁であれば手数料は安くなる

売掛先が優良企業や官公庁であれば、売掛金がデフォルトするリスクは低いと言えます。

たとえば官公庁が「売掛金期日になったけど、資金が足りなくてお金を支払うことができない」などの状況は絶対に考えられません。

また、内部留保が何億円もあるような大企業でも同じです。

ファクタリングを行う債権がこのような会社への債権であれば、ファクターのリスクが低いので手数料を大きく下げることができるでしょう。

反対に売掛先企業が中小企業などの規模が小さかったり、業況が悪ければ手数料は高くなってしまいます。

規模が小さい企業は業況が不安定で、急に資金繰りが悪化する可能性がありますし、業況が悪い企業は資金ショートして倒産するリスクを抱えているためです。

複数社の売掛債権を持っている時には、できる限り規模が大きく業況が良好な企業の売掛債権を先にファクタリングした方が手数料を安くすることができます

自社の信用を向上させて手数料を安く抑える

2社間ファクタリングでは、売掛先が売掛金期日に自社に支払った代金を、自社がファクターへ送金します。

自社へ資金が経由するので、ファクターにとっては自社による代金の使い込みや持ち逃げのリスクがあります。

そのため、2社間ファクタリングでは自社の与信も審査されることになり、自社のリスクによって手数料が変動することになります。

自社の資金繰りが良好であれば手数料は安くなる

自社に現金預金などの資産がある程度あり、資金繰りに問題がない状態であれば「売掛金を持ち逃げや流用するリスクが低い」と判断されて手数料は安くなります

逆に、資金繰りが非常に苦しい状態で、ファクタリングを行なっても資金ショートの可能性がある場合には、「リスクが高い」と判断されて高い手数料が設定されるかファクタリングに応じてもらうことが難しくなります。

2回目以降の取引であれば手数料は安くなる

ファクタリングにおいても通常の企業間取引と同じように、取引を重ねれば重ねるほどファクターからの信用が厚くなり「期日にはしっかりと支払いをする企業」という評価を得ることができます。

そのため、2回目以降の取引であれば手数料が安くなる傾向にあります。

2回目、3回目と取引を継続しても手数料が下がらない業者は優良業者とは言えないので、他の業者との取引を検討した方がよいかもしれません。

手数料の低いファクターに申し込む

手数料は純粋にファクターの方針によっても変化します。

クラウド型のコストをかけない方針のファクターであれば手数料はやすくなりますし、優良なファクターも手数料が低くなります。

一方、「顧客から多くの手数料をとってやろう」という悪徳業者とファクタリングしてしまうと手数料は高くなり、自社も売掛先も優良企業なのに高額な手数料を負担させられることもあります。

クラウド型のファクターは手数料が安くなる

最近は、オンライン完結型のクラウドファクタリングという形態のファクタリングも登場しています。

このような業者は審査はコンピューターによるスコアリングシステムで行い、人件費等のコストがかからないので、高額な手数料を取らなくてもファクターに利益が出せるように設計されています。

「手数料を安くしたい」という人は、クラウド型のファクターと取引をしてもよいかもしれません

優良ファクターは手数料が安くなる

クラウド型でなくても、優良なファクターは手数料がそれほど高くありません。

口コミなどから評判が高いファクターへ申し込みを行うのがよいでしょう。

悪徳業者は手数料が高くなる

ファクターの中には悪徳業者も混じっています。

ファクタリングは国などの公的機関へ登録も許認可も必要ないので、残念ながらリスク以上の高い手数料を設定する業者も存在するのです。

このような業者と取引をしてしまうと、優良企業の売掛債権であるにも関わらず30%以上の手数料を設定されることもあります。

信頼できる業者が見つかるまでは複数社から見積もりを取るなど、業者選びは慎重に行う必要があります

金額の大きな債権を売却して手数料を安く抑える

あまり関係のないように思えますが、売掛債権の規模によっても手数料は変動します。

売却する売掛債権が高額であれば、たとえ低い手数料率であってもファクターが得られる収入は大きくなり、逆に売掛債権の金額が小さければ手数料率を高くしないとファクターが得られる手数料は少なくなってしまいます。

売掛債権の金額が大きくなれば手数料は安くなる

売掛債権の金額が大きくなれば手数料は安くなります。

たとえば、1億円の売掛債権を手数料5%でファクタリングしても、ファクターには500万円の利益が発生します。

諸費用で10万円かかったとしても490万円の利益が生まれます。

売掛債権の金額が大きくなれば、例え手数料率を低くしてもファクターには十分な利益が生まれるので手数料は安くなるのです。

逆に売掛債権の金額が小さければ手数料は高くならざるを得ません。

例えば100万円の売掛債権を10%でファクタリングした場合の手数料は10万円です。

2社間ファクタリングの場合、固定費だけで10万円近くかかるのでこれではファクターの利益がありません。

固定費を埋めるために金額が小さい場合には手数料はどうしても高くなってしまうのです。

金額の異なる売掛債権を持っているのであれば、金額が大きな売掛債権をファクタリングした方が手数料負担は安くなる傾向があります。

3社間ファクタリングを選択して手数料を安く抑える

ファクタリングの形態が2社間か3社間かによっても手数料は異なります。

3社間は直接売掛先が支払いを行うので、リスクが低いのと同時に債権譲渡登記は不要で固定費がかからないためです。

2社間ファクタリングは手数料が高くなる

2社間ファクタリンはどうしても手数料が高くなってしまいます。

主な原因として以下の2つを挙げることができます。

  • 2社間ファクタリングでは債権譲渡登記が必要になり固定費が高い
  • 自社を資金が経由する2社間ファクタリングはファクターにとってリスクが高い

債権譲渡登記とは、債権譲渡を公示するための登記です。

どういうことかと言えば、債権譲渡を行なったことを登記することによって、納入企業が譲渡済の債権を他へ二重譲渡した場合「これはすでにウチが譲渡を受けた債権だ」と主張するためのものです。

売掛債権には形がなく、2社間ファクタリングでは売掛先の同意も不要であるため二重譲渡のリスクがつきものです。

二重譲渡を防ぐために2社間ファクタリングでは債権譲渡登記が不可欠で、この登記のために10万円程度の費用が必要になります。

さらに、2社間ファクタリングでは自社が資金を使い込んだり持ち逃げするリスクも加わるので、そのリスクプレミアムとして、どうしても手数料が高くなってしまうのです。

3社間ファクタリングは手数料が安くなる

3社間ファクタリングは2社間と比較して手数料が安くなります。

3社間ファクタリングは売掛先企業の同意を得て行うファクタリングですので債権譲渡登記は不要です。

さらに売掛先が直接ファクターへ支払いをするので2社間ファクタリングのように納入企業が代金を持ち逃げしてしまうような心配もありません。

債権譲渡登記による固定費がない上に2社間ファクタリングと比較してリスクも少ないので、「ファクタリングを売掛先に知られても問題ない」という人は3社間ファクタリングを選択しておいた方が手数料を安く抑えることができます

ファクタリング手数料に関するよくある質問

他社でファクタリングを利用している会社は別の会社でファクタリングできますか?
すでに他社に売却した債権と異なる債権を売却するのであればファクタリングすることは可能です。すでに売却した債権を他社に売却することは二重譲渡に当たりますので絶対にしてはいけません。
債権譲渡登記は2社間ファクタリングで必ず必要になりますか?
原則的には必要になりますが、ファクターから信頼を得ている企業であれば不要な場合もあります。まずはファクターへ相談してみましょう。
すでに支払期日をすぎている債権を買い取ってもらうことはできますか?
期日を過ぎている債権をファクタリングすることは原則不可能です。ただし、ファクターによっては高額な手数料を支払うことで買い取ってもらえるケースはゼロではありません。まずは相談してみましょう。

手数料の他にも延滞利息や税金を請求されました。
ファクタリングには税金はかかりませんし、ファクタリング手数料には延滞利息や事務手数料も含まれています。
手数料以外の費用を請求する業者は悪徳業者の可能性が非常に高いので取引を行なってはなりません。

まとめ

ファクタリングの手数料は様々な要素から決まっています。

ファクタリングする債権や業者の選び方などによって手数料を安くすることはできます。

ファクタリングが便利で資金繰りに寄与するものであることは間違いありませんが、高い手数料によって収益を圧迫することも間違いありません。

できる限り手数料を抑え、収益にできる限り負担をかけないように活用しましょう