ファクタリングの手数料は借入よりも高いのが一般的で、その負担は決して軽くはありません。
「できれば、手数料を引き下げたい」と考えている人も多いのではないでしょうか?
ファクタリングの手数料は交渉によって引き下げることができます。
また、他社と比較することによって、手数料負担を軽減することも可能です。
この記事では、ファクタリングにおける手数料交渉と比較の重要性について解説していきます。
ファクタリングの手数料負担は膨大です。
少しでも手数料負担を軽減して、企業経営に負担をかけないうようにファクタリングを利用できるようになりましょう。
ファクタリングは手数料交渉が可能
ファクタリングの手数料交渉は可能です。
ファクタリングの手数料は債権の信頼度によって異なり、そしてファクターも競争に晒されているので、少しでも優良な債権を少ない手数料で買い取りたいと考えているため、交渉によっては手数料が下がることがあります。
自社の信頼が高ければ債権の信頼も高くなる
ファクタリングの手数料を決めるのは、売掛債権の信頼性です。
- 売掛債権の信頼性が高い:手数料が低くなる
- 売掛債権の信頼性が低い:手数料が高くなる
ファクタリングの手数料は債権の回収リスクに対するリスクプレミアムとして設定されています。
そのため、債権の信頼性が高ければファクターのリスクが低いので手数料も低くなり、債権の信頼性が低ければファクターのリスクが高いので手数料は高くなります。
債権の信頼性は
- 売掛先の業況
- 自社の業況や経営者の人間性
- などといった要素で決定します。
売掛先の業況に関しては、自社でどうにかできる問題ではありませんが、自社の業況や経営者の人間性の部分に関しては自社の努力でファクターによく見られるように改善できるポイントです。
つまり、ファクターから「この会社と経営者は信頼できる」と判断されれば手数料が下がる余地があるのです。
ファクタリングの手数料が売掛先の業況だけで決まるのであれば、交渉の余地はありません。
しかし、ファクタリングの手数料は自社の業況や経営者の人間性などによっても変わるので、交渉することによって手数料が下がる可能性があります。
競争に勝つために手数料を下げることもある
ファクターも競争に晒されています。
ファクター同士の競争に勝つために、ファクターが手数料を下がることもあるのです。
ファクタリング業務を営むためには、資格や登録が必要ありません。
どんな会社もファクターとして営業することができるので、今やファクタリング会社は無数に存在します。
ファクターも数多くのライバルとの競争に晒されているのです。
顧客へ高い手数料を提示して手数料交渉に応じないと、顧客が他のファクターへ流れてしまうかもしれません。
ファクタリングは売り手市場になりつつあるので、交渉することによって、案外簡単に手数料が下がることがあります。
ファクタリングの手数料交渉3つのポイント
ファクタリングの手数料を引き下げるためには、いくつかポイントがあります。
「早く資金が欲しい。しかし手数料は下げて欲しい」と自分たちの要求ばかり伝えていても、ファクターにとってメリットはありません。
納入企業もファクターにとって「手数料を下げてでも付き合いたい」と考えられるような企業である必要があります。
ファクターにとってメリットのある企業とは以下のような企業です。
- 納入企業との将来的な取引拡大が望めるか
- 借入での過去の返済実績に問題ない
- 営業実績がしっかりとしている企業
手数料を引き下げるためにはどのような企業であるべきなのか、どんな交渉をすべきなのかということについて、詳しく解説していきます。
納入企業との将来的な取引拡大が望めるか
ファクターにとって「この会社と将来的な取引拡大が望めるかどうか」ということは重要なポイントです。
ファクターは優良な企業とは長期に渡って長い付き合いをしたいと考えています。
ある程度規模が大きく業績もそこまで悪くない企業であれば、今後も「良いお客様」になってくれる可能性が高いですが、今にも資金ショート寸前の企業であれば、いつ倒産するか分からないのでファクターにとっては将来的な取引拡大は望めません。
つまり、手数料交渉が有利になる企業は、そこまで経営状態が悪化していない事業継続が見込まれる企業です。
ファクタリングで資金を供給したとしても、事業継続が難しい企業に対しては安易に手数料を引き下げるようなことはしません。
借入での過去の返済実績に問題ない
過去に銀行や消費者金融からお金を借りたことがあるという事業者の方は、その返済実績をアピールするということも大切です。
借入を過去にしっかりと返済できた、または現在も遅れなく返済中ということは「お金がなくても返済だけは期日通りにしっかりとする」ことの証明に間違いありません。
借入の返済に遅れる人はファクタリングの支払いに遅れる可能性もあります。
「支払いは期日通りにする」という証明のために過去の借入実績と返済実績をしっかりとアピールしましょう。
企業の実績をアピールできるか
企業の実績や中身などもしっかりとアピールしましょう。
ファクターに
- 何の仕事をしている会社か
- 外部からの評価はどの程度か
など、会社について理解してもらうことは非常に重要です。
会社の中身をファクターに知ってもらうために
- 会社案内
- 製品やサービスの広告
- ホームページ
- 会社特集された記事
など、客観的に自社が何をしているかが分かる資料を用意して、ファクターと交渉をしてみましょう。
2回目以降の継続契約は交渉の余地あり
初めて取引をするファクターとは、ファクターにとってメリットがある企業であれば手数料が引き下がる可能性があります。
しかし、2回目以降の取引では、前回までの取引でファクターから信用を獲得することができているので、手数料引き下げの交渉が納入企業有利に進みやすい傾向にあります。
ファクターも、「他の手数料が低いファクターへ顧客が取られてしまうのではないか」と危惧しているためです。
2回目以降の継続契約は手数料引き下げ交渉をしやすくなると言えるでしょう。
納入企業有利になりやすい
2回目以降の取引では、納入企業が有利な立場になります。
- 前回までの取引で納入企業は期日通りに支払うことを証明している
- 取引が継続することによってファクターにとって将来的に取引拡大が望める顧客になっている
このような理由から、2回目以降の取引では、納入企業が有利な立場になります。
2回目以降の取引ではファクターにとって、「ぜひとも取引を継続して欲しい顧客」になっているので、手数料交渉をしやすい状況にあると言えるでしょう。
他社に流れる前に自社で囲いたい
ファクターにとって優良な顧客が他社に流れることは、ファクターにとっては是が非でも避けなければならない事態です。
他社から低い手数料を提示されてしまったら、顧客は他のファクターに取られてしまうかもしれません。
そのため「他社より少しでも低い手数料を提示して顧客の流出を防ぐ」のが、ファクターの大切なミッションになります。
2回目以降の取引では「A社は〇〇%の手数料を提示してきた。御社は手数料を下げられませんか?」と交渉することによって、手数料が下がることがあります。
ファクターに交渉できるのは2%〜5%程度
手数料を引き下げると言っても、無限に手数料が下がるわけではありません。
結論的には2%〜5%の引き下げが限度でしょう。
ファクターも運営には経費がかかっているので、むやみに手数料を引き下げるということは不可能です。
ファクターも経費がかかっている
ファクタリング業務を営むにあたっては、ファクターも経費をかけて運営しています。
- 人件費
- 広告費
- その他の経費
などが発生します。
また、2社間ファクタリングの手数料の中には10万円程度の登記費用も含まれています。
ファクタリングの手数料は確かに借入よりは高くなりますが、手数料の全てがファクターの収益になるわけではなく、ファクターの儲け分が圧倒的に高いわけでもありません。
そのため、それほど大きく手数料の引き下げを期待することは難しいでしょう。
2%~5%の引き下げは可能
手数料を引き下げることができるとしても、それほど多くの手数料引き下げを期待するのは難しいでしょう。
基本的には1%〜2%程度、いくら高くても5%程度までしか引き下げることできないものと考えておきましょう。
手数料の中には経費や登記費用が含まれています。
また、ファクターはファクタリングの原資を銀行から借入によって資金調達している場合もあります。
ほぼ無利息の顧客からの預金で資金調達できる銀行と、利息を支払って資金調達しているファクターとでは資金調達コストが全く異なります。
ファクタリングには様々な経費がかかっているので、大きく手数料を引き下げることはできません。
しかし、1%でも引き下げることができるのに越したことはありませんので、手数料の引き下げについて積極的に交渉してみましょう
手数料交渉に有利な時期は月の半ば
手数料交渉に有利な時期があります。
基本的には繁忙期は外した方がよいでしょう。
申し込みが殺到している時期というのは、ファクターが審査に追われており、手数料を下げてまで審査に通すようなイレギュラーな対応をしなくても、十分にノルマや目標を達成することができるためです。
狙うのであれば申し込みが減少する閑散期です。
閑散期であれば人手が空いており時間をかけて審査に対応することができるので、十分交渉をする余裕がありますし、閑散期にもファクターはノルマや目標を抱えているので、「手数料を引き下げてでも買い取りたい」と考えるためです。
月末・月初は繁忙期
20日から月末にかけてはファクターが最も忙しい時期です。
月末の支払資金が不足している事業者の申し込みがファクターに殺到するのです。
そして、1日からの数日間も月末に次いで忙しい時期となっています。
月末に銀行融資の申し込みなどによって資金調達を試みた企業が資金調達に失敗して、月初になってファクタリングで資金調達するケースが多いのです。
このような繁忙期に手数料交渉をしても、ファクターは交渉の相談に乗っている時間もなく、十分な案件を抱えているので引き下げは難しくなります。
繁忙期に手数料の引き下げ交渉をすることは避けた方がよいでしょう。
10日〜20日が狙い目
手数料の引き下げ交渉をするのであれば、10日から20日が狙い目です。
この時期は月末からも月初からも離れているファクターにとっては最も閑散期です。
申し込みが少ないので手数料引き下げ交渉に応じられる人員的、時間的な余裕がありますし、ファクタリング案件が少ないので「手数料を下げてでも、買取をしたい」とファクターが考えることが多いのです。
月末月初は需要過多になりますが、10日から20日の閑散期は申し込みが減少し、供給過多になるので、手数料引き下げが成功しやすくなります。
手数料引き下げ交渉をするのであれば、このような時期を狙うのがよいでしょう。
相見積をとって交渉することの重要性
複数のファクターから相見積をとって交渉するということは手数料負担軽減のためには非常に重要です。
他社から見積もりを取ることによって、手数料を引き下げることができる可能性がありますし、交渉が不調に終わったのであれば他社に乗り換えてしまうことで手数料を下げることができます。
ファクタリングは1社だけに目を奪われるのではなく、他のファクターも含めて広い視野を持つことが大切です。
比較の結果他社に乗り換えるのもあり
他のファクターの見積もりを取ることによって、ファクターが手数料の引き下げに応じる可能性があります。
しかし、ファクターの方針によっては手数料の引き下げに応じてくれないこともあります。
このような場合には、より手数料が低いファクターへ乗り換えてしまうことも可能です。
相見積を取ることには2つの効果があります。
- これまで取引をしてきたファクターの手数料引き下げが成功する可能性がある
- 手数料の低いファクターへ乗り換えることができる
どちらになっても、納入企業にとっては手数料負担を軽減できるメリットがあり、相見積を取ることで納入企業に不利になることは一切ありません。
むしろファクターとの関係性で有利になることのほうが多いと言えます。
1社だけでなく複数の業者から見積もりを取り、手数料を比較することはとても大切です。
- 手数料引き下げに有利な金額はありますか?
- 金額が大きな売掛債権のファクタリングの方が手数料引き下げが上手くいく可能性は高くなります。金額が大きな売掛債権ほどファクターの収益が大きくなるのでファクターは積極的に買い取りたいと考えています。金額が大きな売掛債権を保有しているのであれば、積極的に交渉してみましょう。
- 自社の実績をアピールするためにどんな資料を持っていけばよいですか?
- 会社のホームページなどはもちろんですが、新聞やテレビや雑誌などに報道された資料があればそちらも持参しましょう。外部からの評価が分かる資料が最も大きな効果があります。
- 2社間ファクタリングと3社間ファクタリングはどちらの方が手数料が下がりやすいですか?
- 金額が大きな場合には2社間ファクタリングの方が下がりやすいと言えます。金額が大きな場合には手数料に占める登記費用の割合が小さくなるので、手数料は下げやすくなります。金額が小さな場合には手数料の多くを登記費用が占めてしますので手数料は下げにくくなります。また、3社間ファクタリングはそもそも手数料が低いので手数料を引き下げにくいと言えます。
- 手数料の上限や下限は決められていますか?
- ファクタリングは国の法律に則って商品設計などがされているわけではないので、手数料の上限や下限に明確なルールはなく、ファクターがそれぞれリスクを判定し、そのプレミアムとして手数料は決められています。悪徳業者はリスク以上の異常に高い手数料を設定することもあります。
まとめ
ファクタリングの手数料の引き下げ交渉を行うことは可能です。
ファクターにとってリスクの低い債権となるために
- 将来的に取引拡大が期待できること
- これまでの返済実績
- 会社の実績
などを積極的にアピールしましょう。
そして、手数料の引き下げ交渉には有利な時期があります。
ファクターが比較的閑散期に入る毎月10日から20日くらいに交渉するのがよいでしょう。
複数の業者から相見積を取ることは、納入企業の立場を優位にして交渉が成功しやすくなります。
ファクタリングの手数料交渉を有利にするためにはポイントがありますので、ポイントを抑えて積極的に手数料の引き下げ交渉をするようにしてください。