ファクタリングは、売掛債権を買い取って現金化する資金調達方法のひとつです。
早期の資金化が可能なサービスとして、多くの企業が利用するファクタリングですが、ファクタリングの詳しい仕組みや取引の流れ等がわからない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ファクタリングの意味や仕組みといった基本情報から、ファクタリングの種類等を解説していきます。
ファクタリング(factoring)の言葉の意味
”factoring”という単語の派生元である”factor”には、動詞の意味として「…を因数分解する」がありますが、もうひとつ「〈債権を〉売却する」の意味もあります。
つまり”factoring”は、「〈債権を〉売却する」を意味する”factor”に、動名詞を表す接尾辞”-ing”が付いた動名詞で、「〈債権を〉売却すること」の意味で使われます。
債権は、ある人(債権者)が特定の相手(債務者)に対して、一定の行為(給付)をするよう要求できる権利をいいます。
具体的にはお金の貸主が借主に対してお金の返還を請求する権利や、家の賃貸人が賃借人に対して家の引渡しを請求する権利、雇用者が被雇用者に対して労務を請求する権利などです。
ファクタリングにおける債権は、納入企業が営業活動によって販売・提供した商品やサービスの売掛金代金のうち、取引先から支払われていない代金を請求できる「売掛債権」を指しています。
ファクタリングの仕組み|「売掛債権を売買する」の意味
ファクタリングは、売掛債権を金融機関や専門業者に売却し、買取手数料分を差し引いた金額が入金される仕組みです。
売掛債権には「支払期日」があり、期日まで待てば売掛先から売掛金が入金されるのですが、通常売掛金の入金までには30~90日程の時間がかかってしまいます。
30~90日もかかっていては、その間に急遽資金が必要になる場面も発生するでしょう。
ファクタリングは、そのような急遽資金が必要な場面で活躍します。
ファクタリングを利用すると「翌月末に売掛先から入金される予定の300万円(債権)を、今すぐ270万円で買い取ってもらうこと」が可能となるのです。
この場合は、債権300万円の10%にあたる30万円がファクタリングの手数料で、債権を買い取った金融機関や専門業者の利益となります。
そもそも「売掛債権は売買できるのか?」という疑問がありますが、現行民法466条1項では「債権は譲渡できる」と規定されており、社会的・経済的に必要性が生じた場合に債権の譲渡が認められています。
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
ファクタリングは債権譲渡契約であり、金銭消費貸借契約である借入とはまったく異なる資金調達方法です。
したがって、信用状況や経営状況を理由に銀行から融資を断られている方でも、売掛債権があればファクタリングで資金調達できる可能性があります。
ファクタリングを利用しても、信用にはまったく影響がありません。
企業の資金調達は不動産を担保にした銀行融資が中心ですが、ファクタリングは売掛債権を使って資金を調達する手法です。
不動産などの資産が少ない中小企業でも、売掛債権があれば資金調達できるので、企業にとっては資金調達の選択肢が増えたといえるでしょう。
ファクタリングは融資ではなく債権売買ですので、利用したことで貴社の信用や将来の銀行融資の審査に影響を与えることはありません。
ファクタリングが必要とされる理由
ファクタリングは、企業の資金繰りの悪化を防止・改善するために利用されています。
まずは、どのような場面で企業の資金繰りが悪化するかを確認しましょう。
現在、企業間の売買では「掛取引」が主流です。掛取引とは、納入企業が商品やサービスを納品・提供し、売掛先が後日に代金を支払う取引をいいます。
掛取引では、以下のどちらかの支払方法が一般的です。
- 月末締め翌月末支払い
- 月末締め翌々月末支払い
たとえば「月末締め翌々月支払い」の掛取引で考えてみましょう。
納入企業が1月1日に商品を納品、問題がなければ納入企業は売掛先へ請求書を送り、翌々月末の3月31日に売掛金が入金されます。
しかし、入金が発生する3ヶ月間に商品納入にかかった費用の支払いや、新規案件の仕事にかかる人件費等の経費が発生するケースもあります。
このような場合、売掛金の入金が最大で3ヶ月後の掛取引は「支払いが先、売掛金の入金は後」となるため、納入企業の資金繰りに大きな悪影響を及ぼすのです。
資金に余裕がない企業は、取引のある銀行等からの借入に頼らざるを得ません。
それでも資金ショートに陥ることになれば、最悪の場合は黒字倒産になってしまいます。
そこで納入企業側には、請求書の支払いが実行される前(支払期日前)に売掛債権を金融機関や専門業者に売却、すぐに使える現金を調達したいというニーズが発生します。
このニーズこそが、ファクタリングが資金調達方法として必要とされる所以です。
ただし、ファクタリングを利用するにあたって審査が行われ、契約の際には手数料がかかります。
審査結果によっては売却する売掛債権の20%が手数料として差し引かれることもあるため、ファクタリング利用前に見積もりを依頼して、手数料に見合った効果が得られるかどうか比較検討しましょう。
ファクタリングは「すぐに使える現金を調達したい」という企業のニーズに応えるものですが、一定のコスト(手数料)が必要です。
コストに見合ったメリットが得られるかどうかを、ファクタリングを検討する際の判断基準としましょう。
売掛債権を買い取る「ファクタリング会社」は、売掛先の信用力や支払いまでの期間など、融資とは異なる独自の審査基準で買取可否や手数料を判断しています。まったく同じ債権であっても、どのファクタリング会社に売却するかによって手数料が異なるため、なるべく複数のファクタリング会社から見積もりを取るようにしましょう。
取引の流れからファクタリングの意味を解説
ファクタリングの意味を取引の流れから解説します。
ファクタリングでは「納入企業(利用者)」「ファクタリング会社」「売掛先企業」という3社が契約の主体となります。
解説の便宜上、次のシチュエーションを仮定します。
- 納入企業(零細)は240万円で仕入れ・製造した商品を300万円で売掛先企業に売却
- 売掛金は翌々月末支払い
- 仕入代金の240万円は今月末支払い(売掛金金支払い日の30日前)
ファクタリングでは「納入企業」「ファクタリング会社」「売掛先企業」の3社が契約の主体になりますが、売掛先企業からみれば関係のあるのは3社間ファクタリングのみです。納入先企業の債権譲渡を承認し、ファクタリング会社へ直接入金する必要があります。
2社間ファクタリングの方が手数料は高くなりますが、納入先企業へ配慮してこちらを選択する会社が過半を占めるのが現状です。
ファクタリングは経産省も利用を推奨する金融サービスである一方、中小企業での認知度はあまり高くありません。売掛先企業がファクタリングを知らない場合、他社に債権を売却するという行為に対して「債権を売却しなければならないほど、会社の資金繰りがひっ迫しているのか」というネガティブなイメージを持たれるおそれもあります。このような信用不安を招きたくない方が、売掛先が一切関与しない2社間ファクタリングを選択する傾向にあります。
1.納入企業と売掛先の間に売掛債権が発生
納入企業が製造した商品を売掛先に納品すると、売掛先は納品された商品を検品し、問題がなければ納入企業は請求書を発行します。
請求書を発行した時点で、納入企業には300万円の売掛債権が発生したことになります。
これにより翌々月末に通常どおり売掛金が入金された場合、納入企業は売掛金300万円のうち、仕入代金・製造原価の240万円を差し引いた60万円が利益です。
2.納入企業がファクタリング会社に見積りを依頼
売掛金は翌々月末に支払われますが、納入企業にはすでに240万円の仕入代金の支払い義務が発生しています。
売掛金の入金に先行して仕入代金を支払わらなければならないため、納入企業の財務状況によっては売掛金の入金まで資金繰りの悪化が懸念されます。
もしも、売掛金の支払期日までに突発的な支払いが発生して手元の資金が足りなくなった場合、金融機関から借入するなどして工面しなければなりません。
しかし、銀行からの借り入れは審査に2週間~1か月かかるうえに、信用によっては借りられない可能性もあります。
そこで納入企業の経営者や経営担当者は、ファクタリングによる資金調達方法を検討します。
中小企業や小規模事業者の売掛債権を買い取る専門業者(ファクタリング会社)に見積もりを依頼、もっとも条件の良い売却先を選別します。
3.納入企業がファクタリング会社に売掛債権の売却を申し込む
買取の相談を受けたファクタリング会社は、以下の点から見て買い取り可否とファクタリング手数料を決定します。
- 売掛債権の金額
- 売掛先の信用力
- 支払期日までの日数
- 納入企業と売掛先の取引関係
- 納入企業の信用力
審査の結果、ファクタリング手数料は5%と見積もられ、ファクタリング会社は納入企業に対し「ファクタリング手数料5%で285万円の買い取り」を提示します。
納入企業は支払期日まで待てば
「240万円で仕入れ・製造した商品の売掛金300万円が満額支払われ、60万円の利益」
ファクタリングを利用すれば
「240万円で仕入れ・製造した商品の売掛金のうち285万円が早期に支払われ、45万円の利益」
の2つの条件から一方を選択して申し込みます。
つまり、ファクタリング会社に申し込むと手元に残るお金は少なくなるものの、早期の資金調達が可能なため資金繰りの悪化を防げるのです。
4.ファクタリング会社が売掛債権を買い取る
納入企業とファクタリング会社が契約を結ぶにあたり売掛先が加わるか、加わらないかで取引のプロセスや手数料が大きく変わります。
対象 | 振込までの期間 | 適正手数料率 | |
---|---|---|---|
3社間ファクタリング | 納入企業・ファクタリング会社・売掛先 | 1~2週間(売掛先の承諾が必要) | 安い(約1~9%) |
2社間ファクタリング | 納入企業・ファクタリング会社 | 最短即日(売掛先の承諾が不要) | 高い(約15~30%) |
納入企業は手数料や代金振込までの期間、売掛先との取引関係を考慮して、3社間か2社間かを選択します。
中小企業や小規模事業者の利用者からは、「売掛先との信用不安を招きたくない」という理由から2社間ファクタリングが選ばれる傾向にあります。
5.ファクタリング会社へ売掛金が支払われる
売掛金の支払期日を迎えたら、売掛金はすみやかにファクタリング会社に支払われます。
ここでも3社間ファクタリングと2社間ファクタリングでは、売掛金の支払いプロセスに違いがあります。
支払いプロセス | |||
---|---|---|---|
3社間ファクタリング | 売掛先から直接ファクタリング会社へ支払う | ||
2社間ファクタリング | 納入企業が売掛金回収を行い、1営業日以内にファクタリング会社に入金 |
2社間ファクタリングは、売掛先の承諾が不要です。
しかし、納入企業は通常どおり売掛先に対して売掛金の回収を行い、1営業日以内にファクタリング会社に入金しなければなりません。
これを集金代行業務委託契約といいます。
ファクタリング手数料の意味
ファクタリング会社は売掛先企業から売掛金が正常に支払われず、買取代金の支払い損になる「債務不履行リスク」を恐れています。
すなわち「手数料の高さ=債務不履行リスクの高さ」となります。
この観点こそが、ファクタリングの審査で売掛先企業の信用力や、利用者と売掛先企業の取引状況が重視される所以です。
さらに、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングでは、前述のとおり手数料も異なります。双方の適正手数料率は次の通りです。
ファクタリング契約の種類 | 適正手数料率 |
---|---|
3社間ファクタリング | 売掛金の1~9% |
2社間ファクタリング | 売掛金の15~30% |
なぜ2社間のほうが手数料が高めに設定されているのかというと「売掛先企業の倒産リスク」に加え「売掛先企業から入金された売掛金を利用者が流用するリスク」が考慮されているからです。
2社間の場合は、通常どおり売掛先企業から利用者の口座に売掛金が入金されます。
しかし、このタイミングに税金や家賃等の引き落としが重なった場合、利用者は売掛金を一括で支払えなくなる可能性があります。
したがって、なるべくファクタリングの手数料を抑えたいと考えるのであれば、ファクタリング会社に対して債務不履行リスクが小さいことを証明しなければなりません。
債務不履行リスクが小さいことをファクタリング会社に証明するには、複数の売掛債権があれば信用度の高い方でファクタリングを利用する、継続利用する場合はファクタリング会社への送金をきっちり行う、などの方法があります。
手数料が高くなると会社収益への影響が大きくなるので、工夫してコスト削減を図りましょう。
加えて、ファクタリング利用者が債務超過や税金滞納中である場合は、使い込みリスクが高いと判断されてしまいます。売掛先企業から利用者の口座に売掛金が振り込まれた際、ファクタリング会社に送金する前に借入金の返済や税金の支払いに使い込まれるリスクが高いと考えられるからです。ファクタリングは債務超過や税金滞納中であっても利用できますが、ファクタリング会社はリスクに備えて手数料を高く設定する傾向にあります。
ファクタリングの種類
取引の流れで紹介した3社間ファクタリング、2社間ファクタリングは「買取ファクタリング」というファクタリングサービスのひとつです。ここでは各ファクタリングサービスの種類について解説します。
買取ファクタリング
一般的なファクタリングサービスのことで、売掛債権が売買されます。
契約主体の違いにより、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングの2種類に分けられます。
3社間ファクタリング
売掛債権の譲渡を売掛先企業に通知して、承諾を得てから契約する買取ファクタリングです。
売掛金はファクタリング会社が売掛先企業から直接回収するため、債権回収業務をファクタリング会社に負担してもらえます。
さらに、ファクタリング会社の債務不履行リスクは低くなるため、手数料が低めに設定されます。
ただし、利用者側は
- 売掛先企業から承諾を得る必要があるため現金を調達するまでに時間がかかる(数日~1週間程)
- 債権譲渡の事実を知られることで売掛先企業との関係が悪化する懸念がある
といったリスクも考慮する必要があります。
上記の特徴を踏まえると、3社間ファクタリングは売掛先企業との関係性がしっかりと築けている状態かつ、低コストでファクタリングしたい場面で利用すると良いでしょう。
2社間ファクタリング
売掛債権の譲渡を売掛先企業に通知せず、ファクタリング会社と利用者の間で契約する買取ファクタリングです。
債権譲渡の事実は売掛先企業をはじめとする第三者に通知されないため、信用不安を招くリスクがありません。
ただし、売掛金は通常どおり利用者が回収してからファクタリング会社に支払う必要があり、ファクタリング会社の債務不履行リスクが高くなるため、手数料が高めに設定されます。
その代わり、あらかじめ必要書類をそろえてから申し込めば、最短即日で現金を調達できる可能性があります。
上記の特徴を踏まえると、2社間ファクタリングは即日で資金調達が必要な場面や、ファクタリング利用を知られたくない売掛先企業との売掛債権を使いたい場面で利用すると良いでしょう。
医療報酬ファクタリング
医療報酬ファクタリングとは、病院やクリニックなどの医療機関が保険支払機関に対して請求する医療報酬債権(医療費の7割)をファクタリング会社と売買する資金調達方法です。
債権の種類によって、次のようなファクタリングサービスに分類されます。
- 診療報酬ファクタリング
- 介護報酬ファクタリング
- 調剤報酬ファクタリング
保険支払機関である国保や社保などは債務不履行リスクが極めて低いため、信用力の高さは言うまでもなく、ファクタリングの手数料も低めに設定されます。
3社間ファクタリングで債権譲渡通知を受けたからといって、今後の医療報酬債権の請求が拒否されるといったこともあり得ません。
医療報酬ファクタリングを3社間で契約した場合、ファクタリング会社は医療報酬請求額の8割までを買取額面の対象としています。
一方、2社間の契約では医療報酬債権を満額で買い取ってもらうことが可能です。
商品在庫ファクタリング
商品在庫ファクタリングとは、文字通り在庫商品をファクタリング会社に売却し、早期に現金を調達するファクタリングサービスです。
仕入先や納入先への通知・承諾は不要で、ファクタリング会社の担当者が利用会社に出向き、在庫商品の査定をしてその場で買い取ります。
作りすぎたり、仕入れすぎたりした商品在庫を事業資金に変えられるだけでなく、倉庫代や管理費などのコストを削減して資金繰り改善も可能です。
買取対象となる商品在庫は、アパレル、貴金属、宝石、電化製品、日用雑貨、食品など、ファクタリング会社によって異なります。
また、買取代金の振込は、商品引き取りの当日中、あるいは引き取り後2~3日中に行われることが多いようです。
保証ファクタリング
保証ファクタリングとは、売掛先が売掛金を支払う前に倒産してしまった場合に、ファクタリング会社が代わって売掛金を支払う「売掛債権の保証」サービスです。
利用者はファクタリング会社に保証してもらう代わりに、保証料を支払います。
売掛金が入金されるまでのスパンが長い建設業界では、途中で発注元が倒産してしまうことも少なくありません。
そのため、売掛債権を譲渡するよりも保有したまま保証だけしてもらうサービスに需要があります。
保証ファクタリングは、取引先の業績が振るわないときや、連鎖倒産になる可能性があるときに利用すると良いでしょう。
国際ファクタリング
国際ファクタリングとは、海外の事業者に商品を輸出する国内の輸出業者が海外のファクタリング会社と連携して、輸入業者の信用調査および支払いの保証、代金の仲介を行うファクタリング契約です。
海外の輸入業者によっては、商品代金を確実に支払ってくれるかどうか不透明な部分があります。
そこで、輸出業者が海外のファクタリング会社と連携して代金回収を確実にするために、3社間で国際ファクタリングの契約を結びます。
国際ファクタリングが利用できる国は限られているため、事前にファクタリング会社のWebサイトなどで確認が必要です。
一括ファクタリング
一括ファクタリングとは、従来の手形に替わる支払い方法です。
支払企業が手形を発行する替わりに、金融機関(銀行、ファクタリング会社)が提供する一括ファクタリングで売掛債権を発行、その債権に対して金融機関が支払保証を行います。
一括ファクタリングで支払われた債権を受け取った納入企業は、手形のようにいつでも金融機関に資金化を依頼することができます。
買取ファクタリングは納入企業が早期の資金調達を目的としたサービスでしたが、一括ファクタリングは納入企業の決済事務の合理化、省コスト化を目的としたサービスです。
現在は電子記録債権(でんさい)が登場したことにより、金融機関が独自で提供する一括ファクタリングシステムはでんさいに移行しています。
2社間、3社間ファクタリング以外のファクタリングは、会社によって取り扱いがなかったり慣れていないケースもあります。
細かな条件よりも、経験豊富で安心できるファクタリング会社を選ぶことをおすすめします。
買取ファクタリング、医療報酬債権ファクタリング以外のファクタリングサービスは、おもに銀行系やノンバンク系のファクタリング会社が得意とするサービスです。早期の資金調達を希望する方は、2社間・3社間ファクタリングの実績が豊富な独立系ファクタリング会社に依頼しましょう。
売掛債権をファクタリングする3つのメリット
売掛債権をファクタリングするメリットは以下の3つです。
- 売掛債権の支払期日を気にせず資金化できる
- 返金リスクがない
- 自社の信用に関係なく資金化できる
上記について、詳しく解説していきます。
売掛債権の支払期日を気にせず資金化できる
ファクタリングを利用することで、売掛債権の支払期日前の資金化が可能です。
通常、売掛債権は支払期日がくるまで現金化できません。
そのため、支払期日前に急いで現金が必要となったとしても売掛債権を資金に充てることはできず、最悪の場合黒字倒産になることも考えられます。
このように早急に現金が必要になったとき、ファクタリングを利用することで解決できます。
ファクタリングは支払期日に到達していない売掛債権を買い取り、最短即日で資金化してくれるので資金繰りに寄与するのです。
ファクタリングという資金調達方法の選択肢を持つことで、売掛債権の支払期日を気にせずに資金化できるのは大きなメリットといえるでしょう。
返金リスクがない
ファクタリングは、売掛債権売却後に売掛先が倒産等で支払い不能となっても、返金を求められることはありません。
ファクタリング会社は、売掛債権を買い取ったと同時に、売掛金が回収できないリスクまでまるごと買い取っています。
そのため、売掛債権を売却した後に売掛先の支払い能力がなくなった場合でも、自社が責任を問われることはありません。
上記の仕組みを、償還請求権のない契約(ノンリコース契約)といいます。
ファクタリング会社は基本的にはノンリコース契約で取引を行なうため、万が一の場合でも返金リスクがないのです。
自社の信用に関係なく資金化できる
ファクタリングに自社の信用は関係ありません。
融資であれば自社の信用を審査して返済能力があるかどうかを判断されますが、ファクタリングは売掛金の支払元である売掛先の支払い能力を審査します。
ファクタリング会社からすると、ファクタリング会社に利益が出ることが大切なので、確実に売掛金を支払える売掛先であるかどうかが重要です。
そのため「この売掛先なら確実に売掛金を支払える」と判断されたら、問題なく売掛債権の資金化が可能です。
また、ファクタリングは売掛債権の売買であり貸金業ではないため貸金業法の影響を受けません。
したがって、ファクタリングは自社の信用に関係なく、すでに銀行融資を受けている状態であっても利用できます。
売掛債権をファクタリングするデメリット
売掛債をファクタリングするデメリットは以下の通りです。
- 手数料がかかる
- 取引先の財務状況によっては利用できないこともある
- 売掛債権額が利用限度額である
上記について、詳しく解説していきます。
手数料がかかる
本来、支払期日まで待っていれば満額の売掛金を受け取れていたところ、ファクタリングを利用することで手数料を支払わなければなりません。
たとえば、1,000万円の売掛債権を保有していたとして、ファクタリング手数料に20%かかるとします。
売掛金の入金日まで待っていれば、1,000万円満額が振り込まれていたところ、ファクタリングを利用することで200万円分の買取手数料が取られ、手元に残るのは800万円となってしまいます。
ファクタリングの適正手数料率は、3社間契約なら1~9%、2社間契約なら15~30%と決して低くはありません。
非常に便利なファクタリングですが、手数料が発生することを踏まえ、利用シーンは慎重に考える必要があります。
取引先の財務状況によっては利用できないこともある
取引先の財務状況によっては資金化できないケースがあることもデメリットです。
ファクタリング会社は、確実に売掛金を回収するために自社よりも売掛先の審査を重視します。
そのため、たとえ自社の財務状況に問題がなくとも、売掛先の財務状況が良くない場合には買取を断られるケースもあります。
ファクタリングで確実な資金化を目指すなら、倒産リスクがない国や地方団体の売掛債権や、業績のいい大手企業の売掛債権を用意しておくと安心です。
売掛債権額が利用限度額である
ファクタリングは売掛債権を買い取って資金化するため、資金化できるのは売掛債権の金額以下となります。
さらに、売掛先の財務状況によっては手数料率も上がり、手元に入るお金が少なくなることも忘れてはなりません。
たとえば、1,000万円の売掛債権で1,200万円の資金調達がしたいといった交渉はできません。
上記の場合、売掛債権1,000万円から買取手数料を差し引いた額が調達限度額となります。
そのため、ファクタリングを利用する際には調達したい資金額以上の売掛債権を用意しましょう。
ファクタリングの利用を検討されている方へ
売掛債権を売買するファクタリングについて、基本的な意味と資金調達までの仕組み、さまざまな種類のファクタリングサービスを解説しました。
一般的な中小企業・小規模事業者の方がファクタリングを利用する場合、多くは買取ファクタリングの「3社間」もしくは「2社間」のいずれかとなるでしょう。
ファクタリング会社によって対応している契約、買取手数料、入金までのスピードが異なりますので、複数の業者に見積もりを依頼し、自社の資金調達目的に合った売却先を選びましょう。
ファクタリングの主な目的は、キャッシュフロー対策とリスク債権対策です。
ただし、キャッシュフロー対策としてファクタリングを活用するのは、あくまで深刻なキャッシュ不足になった場合の最終手段だと思っておきましょう。
ファクタリングの手数料が10%の場合、売上高利益率が20%・10%・5%と仮定すると、それぞれの利益は半減・なし・赤字となり、利益を大きく圧迫することがわかります。
目先のキャッシュフローが改善しても、長期的には利益が減少して資金不足が慢性化するリスクがあることを認識して活用を検討しましょう。