ファクタリングの1つである、保証ファクタリングについて解説します。

ファクタリングというと「売掛債権の早期資金化」とだけ理解している人も多いのではないでしょうか?

しかし、ファクタリングには「売掛債権のデフォルトリスクを排除する」という効果もあります。

このデフォルトリスクの排除の効果だけを得ることができるファクタリングを保証ファクタリングと言います。

保証ファクタリングを利用することによって、新規開拓が容易になったり、売掛債権の管理コスト削減できるなどの様々なメリットがあります。

ファクタリングでの資金調達を希望しない人でも、保証ファクタリングは会社経営に寄与します。

保証ファクタリングの概要やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

保証ファクタリングで、前向きな企業経営ができるようになりましょう。

保証ファクタリングとは

保証ファクタリングの流れ

保証ファクタリングとは、ファクターに売掛債権の保証をしてもらうことです。

売掛債権の期日前に早期資金化することができる買取ファクタリングとは異なり、保証ファクタリングは債権のデフォルトリスクの保証だけを受けるファクタリングです。

保証ファクタリングの概要について解説していきます。

売掛債権のデフォルトをファクターが保証する

保証ファクタリングとは、売掛債権のデフォルトリスクをファクターが保証するファクタリングです。

売掛債権は、期日前に売掛先が倒産してしまうことによってデフォルト(回収不能)してしまうことがあり、その場合には企業に大きな損失をもたらします。

しかし、売掛債権に対して保証ファクタリングを利用しておけば、もしも売掛先が倒産して債権がデフォルトしたとしても、売掛債権金額をファクターから受け取ることができます。

売掛債権のデフォルトによって、自社も資金繰りが悪化して連鎖倒産に陥ってしまうということは珍しくありませんが、保証ファクタリングを利用することによって売掛先のデフォルトを気にせず企業経営ができるようになります。

保証料をファクターに支払う

保証ファクタリングでは保証を受けるためにファクターへ保証料を支払う必要があります。

保証料は売掛先のリスクによって判定され、売掛先の業況が良いのであれば保証料は低くなりますし、売掛先の業況にリスクがあるのであれば保証料は高くなってしまいます。

また、売掛先のリスクがあまりにも大きい場合には、保証を断られてしまうこともあります。

一般的に、買取ファクタリングよりコストは低いものの、安くて2%程度、高い場合には10%近くの保証料がかかってしまうこともあります。

保証ファクタリングでは早期資金調達はできない

冒頭述べたように、保証ファクタリングでは早期の資金調達はできません。

あくまでも売掛債権に保証を得ることができるだけです。

そのため、保証ファクタリングの保証を受けた売掛債権が入金になるのは、売掛債権の期日で、期日前に資金化することはできません。

  • 期日前に資金化したいのであれば買取ファクタリング
  • 売掛債権の回収リスクを排除したいのであれば保証ファクタリング

というように、買取ファクタリングと保証ファクタリングは別物であると考えて、上手に使い分けるようにしましょう。

保証ファクタリングと取引信用保険の違い

保証ファクタリングと取引信用保険の違い

売掛債権を保証するものとして、取引信用保険という保険もあります。

保証ファクタリングも取引信用保険、売掛債権の保証を受けることができるという点では同じですが、以下の4点で違いがあります。

  • 引受会社が異なる
  • 手数料が異なる
  • 保証対象が異なる
  • 保証金額が異なる

保証ファクタリングと取引信用保険の違いについて詳しく解説していきます。

引受会社が異なる

保証ファクタリングも取引信用保険も売掛債権の保証を得ることができるものですが、引受会社が異なります。

取引信用保険は損害保険会社の保険商品であるのに対して、保証ファクタリングはファクタリング会社の商品です。

「損害保険会社の方が信用できるでは?」と考える人も多いようですが、保証ファクタリングは主にメガバンク傘下の大手ファクターが提供していることが多いので、取引信用保険も保証ファクタリングも安心して取引することができるという点では同じです。

買取ファクタリングには悪徳業者が混じっていますが、保証ファクタリングでは悪徳業者はほぼ存在しません。

手数料が異なる

取引信用保険と保証ファクタリングでは、手数料(保険料)が異なります。

取引信用保険の保険料は、会社が保有している売掛債権全体の3%程度であることが一般的です。

一方、保証ファクタリングの保証料は保証を受ける売掛債権の個別のリスクに応じて設定されます。

保険料(保証料)率は、取引信用保険の方が低くなるのが一般的です。

ただし、保険料(保証料)そのものは、保証ファクタリングよりも取引信用保険の方が高くなります。

この理由については詳しく後述していきます。

保証対象が異なる

取引信用保険と保証ファクタリングでは、保証する対象が異なります。

ここが、取引信用保険と保証ファクタリングの最も大きな違いです。

取引信用保険とは、会社が所有している売掛債権全部に対して保証を行うものです。

一方、保証ファクタリングは個別の売掛債権を保証します。

包括保証である取引信用保険は、全ての売掛債権に対して保険料が発生するので結果的に保険料は保証ファクタリングよりも高くなります。

一方、個別保証である保証ファクタリングは、特定の売掛債権だけを保証するので、保証料率が高くなったとしても保証料は取引信用保険よりは低くなります。

多くの会社が包括保証よりも個別保証を求めています。

取引先のすべてにデフォルトリスクがあることは少なく、保証を受ける必要があるリスクの高い債権は少ないためです。

このため、取引信用保険を利用している企業は非常に限られており、ほとんどの会社が取引信用保険ではなく保証ファクタリングを利用しています。

保証金額が異なる

取引信用保険と保証ファクタリングでは、保証金額も異なります。

取引信用保険で保証を受けることができるのは、売掛債権金額の80%~90%程度で売掛債権金額すべてに対して保証を受けることができるわけではありません。

一方、保証ファクタリングは保証を受けた売掛債権の額面金額の100%の保証を受けることができます。

取引信用保険では、保険に加入しても売掛債権の10%〜20%程度のデフォルトリスクは残ってしまいますが、保証ファクタリングでは保証を受ければ売掛債権のデフォルトリスクは全く残りません。

保証ファクタリングの審査

保証ファクタリングには審査があり、審査によって保証料が決定し、場合によっては保証ファクタリングの引受を断られてしまうこともあります。

また、保証ファクタリングに申し込むことができるのは、売掛債権発生後になるという点に注意が必要です。

保証ファクタリングの審査のポイントについて詳しく解説していきます。

売掛先の与信のみ

3社間ファクタリングの審査

保証ファクタリングで審査の対象になるのは、売掛先企業の与信状況のみです。

買取ファクタリングのように、自社の与信は審査の対象にはなりません。

ファクターとすれば、売掛先がデフォルトした場合に保証の義務があるので、「売掛先のデフォルトリスクはどのくらいか」ということを審査すれば十分で、自社の与信はファクターのリスクとは全く関係がないためです。

売掛先が優良企業や倒産のリスクが低いと判断できる企業であれば審査に通過することができますし、保証をしても高い確率でデフォルトすると判断されるような業況が非常に悪い企業の場合には保証ファクタリングの審査には通過できないこともあります。

自社の与信ではなく、売掛先の与信が保証ファクタリングにおいては審査されます。

申込は契約後

保証ファクタリングは売掛先と契約した後でないと申込をすることができません。

売掛債権に対して保証をするのが保証ファクタリングですので、売掛債権が発生した後でないと保証を受けることができないのは当然です。

しかし、保証を受けることができるのが契約後ということは、すでに発生した売掛債権の保証を断られてしまうリスクもあるということです。

ファクターが「この会社は倒産のリスクがあるから保証できない」と判断した会社の売掛債権を保有しているのですから、保証ファクタリングのかわりに何らかの資金的な手当をしておく必要があります。

保証を受けることができた会社とのみ取引をすれば、会社に全くリスクなく取引をすることができますが、保証ファクタリングな取引成立後でないと保証を得られないという点に留意しておきましょう。

保証ファクタリングの4つのメリット

保証ファクタリングの4つのメリット

保証ファクタリングには以下の4つのメリットがあります。

  • 売掛先の管理コストがなくなる
  • 売掛先のデフォルトの心配がない
  • 工期の長い仕事も受けられる
  • 新規取引先を安心して開拓できる

保証ファクタリングのメリットを上手に活用することによって、企業経営は前向きに売上拡大に走ることができるようになります。

保証ファクタリング4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

売掛先の管理コストがなくなる

保証ファクタリングを利用することによって売掛先の管理コストが不要になります。

ほとんどの企業経営者の方は売掛先が突然倒産しないように、売掛先の管理を行なっているのではないでしょうか?

例えば取引先の業況を知るために、入金状況や受注状況に変化がないかなどを見極めたり、銀行や他の取引先の業況を確認している企業も多いのではないでしょうか?

このような管理を行うだけで時間も人手も必要になりますし、時間や人手をかけたとしても精度の高い管理ができるとは限りません。

保証ファクタリングを利用すれば、審査のプロであるファクターが審査をしてくれます。

自社で管理するのは、信頼できるデフォルトリスクがない取引先だけになるので、売掛債権の管理コストは不要になります。

管理に割いていた時間や人手を売上拡大などに向けることができるので、保証ファクタリングを利用することによって企業経営は前向きになります。

売掛先のデフォルトの心配がない

保証ファクタリングを利用することで、売掛先のデフォルトリスクがなくなります。

売掛債権のデフォルトを気にすることなく経営ができるので、手元に余計な資金を持つ必要がなくなりますし、貸倒引当金を計上する必要もなくなります。

保証ファクタリングを利用することで得られる「代金を100%回収できる」という安心感は、人手の面でも資金繰りの面でも企業経営を前向きなものとすることができるでしょう。

工期の長い仕事も受けられる

保証ファクタリングは建設業界で多く利用される方法です。

国は建設業界に対してファクタリングの利用を推奨しており、手数料の補助を受けることができる制度もあります。

建設業界は売上発生から売上金の全てが入金になるまでに時間がかかってしまう業種です。

通常、売上の100%が入金になるのは、工事完了後となるからです。

着工から工事完了まで1年以上かかることもよくあり、その期間で元請け先が倒産してしまう可能性があります。

工期が長いということは、それだけデフォルトリスクがあるということですが、保証ファクタリングを利用することでデフォルトリスクを排除できます。

デフォルトリスクがなくなれば工期の長い仕事も安心して売れられるようになるので、保証ファクタリングは工期の長い仕事や支払いサイトが長い取引先からの仕事を受ける場合も大いにメリットがあります。

新規取引先を安心して開拓できる

保証ファクタリングを利用することによって新規取引先との取引も安心です。

新規取引先との取引は「安全な会社なのか分からない」と不安に感じる経営者の方がほとんどではないでしょうか?

これまで何も取引実勢がないので、海のものとも山のものとも分かりません。

このような場合に保証ファクタリングを利用できます。

保証ファクタリングで新規取引先への売掛債権の保証を得ておけば、万が一新規取引先がデフォルトした場合も自社には何もリスクはありません。

新規取引先が期日通りに代金を払ったのであれば、「信頼できる企業」と判断して2回目以降には保証ファクタリングを利用しないこともできます。

保証ファクタリングを取引を開始するのが不安な新規取引先に対して利用することで、デフォルトリスクを気にすることなく新規取引先を開拓することができるようになります。

保証ファクタリング2つのデメリット

保証ファクタリング2つのデメリット

保証ファクタリングにはデメリットがあります。

  • 取引先によっては手数料が高くなる
  • 急に保証を受けられなくなる取引先も存在する

保証ファクタリングは取引先の業況などを審査しますので、取引先によって負担しなければならないコストが変わったり、取引先との契約成立後の急に保証を受けることができなくなってしまうなどのデメリットも存在します。

保証ファクタリング2つのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

取引先によっては保証料が高くなる

保証ファクタリングの保証料は個別の売掛債権のリスクに応じて決定します。

保証ファクタリングを依頼した取引先の業況が良好であれば保証料は低くなりますが、保証ファクタリングを依頼した企業の業況が悪い場合には保証料高くなるので、実際に申込を行ってからでないとどれだけの保証料が必要になるのかは分かりません。

また一般的には保証を受けたい、リスクの高いと思われる売掛債権ほど手数料が高くなる傾向があるので保証ファクタリングの保証料は総じて決して低くはありません。

保証を受けるためにはそれなりの支出を覚悟しておく必要があります。

急に保証を受けられなくなる取引先も存在する

保証ファクタリングは売掛先の業況に応じて審査の結果が異なります。

ファクターは売掛債権のデフォルトリスクに応じて保証の諾否や手数料を決定し、企業の業況は日々変化するものです。

そのため、前回までは保証を得られていた企業が、突然保証を断られてしまうケースは少なくありません。

「前回同様保証ファクタリングを利用するから、多少景気が悪そうだけど大丈夫だろう」とタカを括って取引をしても、場合によっては保証を断られてしまうことがあります。

そして、ファクターが保証を断ったということは取引先の業況が悪化しているということです。

当たり前のように保証ファクタリングが利用できると考えて、取引先の与信状況をチェックしなかった結果として大きな損失を負ってしまうこともあります。

取引先の業況が悪化すれば、保証を断られてしまうというリスクは頭に入れておくようにしましょう。

保証ファクタリングについてよくある質問

個人事業主でも保証ファクタリングは利用できますか?
個人事業主には保証ファクタリングは行わないと決めているファクターは存在しません。
そのため、理論上は個人事業主でも保証ファクタリングは可能です。
ただし、保証ファクタリングはメガバンク傘下の大手ファクターが取り扱っていることが多く、このようなファクターは数千万円規模の売掛債権の保証や買取がメインですので、売掛債権の規模が小さいと相手にしてもらえない可能性があります。
少ない金額の売掛債権の保証を受けたい場合にはまずは相談してみましょう。
保証ファクタリングの保証料の引き下げ交渉はできますか?
保証ファクタリングの保証料は売掛先の与信によって決定するため、売掛先の信用が以前より向上した場合のみ保証料が下がる可能性があります。
保証料が下がるのは、売掛先の信用が向上した時でそこには自社は関与することができません。
そのため自社の努力で保証料を下げるのは難しいと考えた方がよいでしょう。
保証ファクタリングの審査はどのくらいの時間がかかりますか
保証ファクタリングの審査は1週間程度見ておきましょう。保証ファクタリングの審査は東京商工リサーチや帝国データバンクなどの情報から売掛先の与信を判断する程度でそれほど複雑ではありません。
しかし、銀行系の大手ファクターは稟議に時間がかかるプロセスになっていますので、申込から審査結果が出るまでに1週間程度の時間がかかるものと考えておいた方がよいでしょう。
保証ファクタリングの審査に落ちた場合の対処法を教えてください
保証ファクタリングの審査に落ちたということは、売掛先の与信状況が非常に悪いということです。
売掛先が倒産したり、当該取引先の売掛債権がデフォルトするリスクも考慮して、一定の資金調達をしておく必要があります。
取引先がデフォルトするリスクを知ることはできるので、例え審査に落ちたとしても保証ファクタリングに申し込みをすることには一定の効果はあります。
取引信用保険にメリットはありますか?
会社の売掛債権全体に保険を掛けることができる取引信用保険は「個別の売掛債権ではなく全体の保証を得たい」という場合にはメリットがあります。
また個別保証の保証ファクタリングは、その都度ファクターに保証ファクタリングの申し込みをしなければなりませんが、取引信用保険ではそのような手間はありません。
保有する売掛債権全体の保証を受けたい場合や、ファクターに申し込む手間を省きたい場合などには、取引信用保険の方が保証ファクタリングよりもメリットはあります。

まとめ

保証ファクタリングとは、売掛債権のデフォルトリスクをファクターに保証してもらうもので、売掛債権を早期資金化するものではありません。

保証ファクタリングを利用すれば売掛債権がデフォルトした場合でも代金をファクターが保証してくれるので安心です。

デフォルトリスクが高いサイトが長い売掛債権や、新規取引先の売掛債権に対して保証ファクタリングを利用すると効果的です。

ただし、保証を得るためには一定の保証料がかかり、保証料は売掛先の業況の変化に応じて異なります。

また「保証を得られもの」と考えて取引を始めても、審査に落ちてしまい保証を得ることができないケースもあります。

保証ファクタリングを利用している場合でも、売掛先の与信状況について一定の注意を払うことは忘れないようにしましょう。