売掛債権を売却して早期に資金調達を行うファクタリング。
ファクタリングは銀行から借りられない時の代用と思っている人も多いのではないでしょうか?
資金調達方法としての有効性ばかりがクローズアップされていますが、ファクタリングの効果はそれだけではありません。
ファクタリングは効果的に利用することで、企業運営円滑にしたり節税効果を発揮することもあるのです。
ファクタリングの効果を7つご紹介します。
資金調達手段としてだけでなく、ファクタリングの様々な効果を企業経営に生かせるようになりましょう。
ファクタリングの7つの効果
ファクタリングには以下の7つの効果があります。
- 急な資金繰りに対応
- 有力な担保や保証人がいなくても資金調達可能
- 銀行融資が断られた時にも資金繰りできる
- バランスシートのオフバランス化に寄与
- 債権回収リスクの排除
- バック業務オフィスの効率化
- 節税効果
資金調達手段としての効果があるのはもちろん、企業経営の円滑化を図ることができる効果もあります。
それぞれの効果について詳しく解説していきます。
急な資金繰りに対応
ファクタリングは急な資金繰りに対応できるという効果があります。
2社間ファクタリングでは最短即日で資金調達ができるためです。
銀行融資では、お金を借りることができるまでいくら早くても1週間程度の時間がかかるので「今日、明日中にはお金が必要」という緊急時には対応することができません。
しかし、ファクタリングであれば即日資金化に対応しているので、急に資金が必要になった時に効果を発揮します。
有力な担保や保証人がいなくても資金調達可能
ファクタリングでは、担保や保証人は必要ありません。
売掛先の与信さえ良好であれば審査に通過できるからです。
銀行融資では、しばしば担保や保証人を要求されることがあるので、担保や保証人を用意することができない企業は借入が難しくなってしまいます。
しかし、ファクタリングであれば担保や保証人が用意できない事業主でも、優良な売掛債権さえあれば資金調達できるのです。
銀行融資が断られた時にも資金調達できる
ファクタリングは銀行融資が断られてしまった場合でも資金調達することができる可能性があります。
ファクタリングの審査対象は自社ではなく、売掛先企業になるからです。
債務超過や連続赤字企業などは、銀行融資を受けることが非常に厳しくなります。
しかし、ファクタリングでは、売掛先の信用に問題さえなければ審査に通過することができるので、赤字や債務超過で銀行やビジネスローンの審査に通過することができない事業者でも、ファクタリングで資金調達できるのです。
バランスシートのオフバランス化に寄与
ファクタリングはバランスシートのオフバランス化を図ることができます。
ファクタリングは売掛金という資産を売却し、現金という資産と交換しているだけです。
借入金によって資金調達をすると、現金という資産と借入金という負債の両方が増えて、バランスシートは借りた分だけ大きくなってしまいます。
しかし、資産と資産の交換であるファクタリングは資金調達してもバランスシートが大きくなることはありません。
これを、バランスシートのオフバランス化と言います。
今は不要な資産を持たずに負債も少なくして、できる限り必要最小限の資産で利益の最大化を図ることができている企業が評価される時代です。
ファクタリングによってバランスシートのオフバランス化ができれば、金融機関や投資家などの外部からの評価が向上するという効果も期待できます。
債権回収リスクを排除できる
ファクタリングの大きなメリットが債権回収リスクを排除することができるという点です。
ファクタリングは基本的にノンリコースで行われます。
ノンリコースとは、ファクタリングによって売却した売掛債権がデフォルトしても、自社には責任が及ばずに、ファクターが責任を負うという取引です。
つまり、ファクタリングした後に売掛債権が期日通りに支払われず、仮に売掛先企業が倒産したとしても、自社には責任は生じません。
企業は常に売掛先企業の倒産や経営悪化のリスクに晒されています。
しかし、ファクタリングを利用すれば、売掛先企業の回収リスクを完全に排除して、より前向きな企業経営ができるようになるでしょう。
ただし、悪徳業者の中には高い手数料を設定しながら、ノンリコースではない場合もあるので、この点だけには注意が必要になります。
バックオフィス業務を効率化できる
経理や債権管理など、営業などの表に立たない業務をバックオフィス業務と言います。
ファクタリングはバックオフィス業務の効率化を図ることができる効果もあるのです。
ファクタリングによって売掛債権を売却してしまえば、自社が売掛先に督促に行ったり、集金をしたりする手間はなくなります。
売掛金の管理は取引先ごとの残高を計算して請求を行い、入金を確認し、未入金であれば取り立てを行うなど、とにかく管理が大変です。
売掛債権をファクタリングしてしまえば、このような手間をかける必要はありませんので、バックオフィス業務の効率化によって浮いた経営資源を営業などの収益分野へ注力することができるようになります。
また、売掛先の与信管理も企業にとっては重要なバックオフィス業務です。
売掛先が突然倒産しないように、企業は継続的に売掛先の業況に変化がないかどうかをチェックしておかなければなりません。
ファクタリングを利用してしまえば、与信管理は審査のプロが行ってくれます。
ファクタリングはバックオフィス業務のうち与信管理も効率化できる効果もあるのです。
節税効果を期待できる
ファクタリングは節税効果もあります。
ファクタリングは手数料負担が大きいため、手数料は経費算入することができます。
経費分だけ利益を圧縮することができるので、その分の税金は節税することができるのです。
利益が出ている時は、資金繰りも充実しているためファクタリングは必要ないようにも思えます。
しかし、利益が出ている時こそバックオフィス業務の効率化を図るためにファクタリングを利用すれば、節税効果を得ることもできるのです。
ファクタリング3つの注意点
企業経営に寄与する効果が7つもあるファクタリングですが、デメリットや注意点がないわけでわはありません。
ファクタリングには以下のデメリットがあります。
- 高額な手数料負担
- 分割の支払いはできない
- 調達額は売掛債権の範囲内
プラスの効果ばかり考えて、これらの注意点を理解しておかないと、むしろ企業経営を圧迫する可能性もあります。
ファクタリングの注意点についてもしっかりと理解しておきましょう。
手数料負担が高額になる
ファクタリングは手数料負担が高額です。
ファクタリングはファクターに売掛債権の回収リスクを売却するので、そのリスクプレミアムとして、借入よりも手数料が高くなってしまい、一般的には20%前後の手数料が必要になります。
100万円ファクタリングしても20万円もの手数料がかかるということですので、たった数週間分の資金を確保するためのコストとしては膨大です。
ファクタリングをせずに、売掛金の支払期日まで待つことができれば必要ないコストですので、ファクタリングをする前には「本当にファクタリングをしてまで必要な資金かどうか」ということをよく検討をする必要があります。
また、ファクタリングは期日前に早期資金化することができるので短期的には資金繰りは改善します。
しかし、長期的には手数料の分だけ資金繰りは圧迫されますので、高い手数料を支払って毎月のようにファクタリングすることはおすすめできません。
バックオフィス業務の効率化などのために恒常的にファクタリングを利用したいのであれば、できる限り手数料が安い業者を探すか、手数料交渉を行うようにしましょう。
分割の支払いはできない
ファクタリングは売掛債権を売却することです。
ファクターは売掛金期日になると、売掛債権代金全額を一括で受け取る権利を買い取っています。
2社間ファクタリングでは、売掛先から入金になった代金を自社がファクターへ支払わなければなりません。
この際に分割で支払うことは不可能で、ファクターへの支払いは一括のみです。
ファクタリングは借入とは異なり、分割で支払うということができません。
分割支払いができれば、手元に調達したお金が残っている期間は資金繰りは円滑になりますが、分割支払いができないファクタリングで資金繰りが円滑になるのはあくまでも短期間だけになります。
調達額は売掛債権の範囲内
ファクタリングで調達することができる金額は売掛債権の範囲内のみです。
ファクタリングは売掛債権の売却で、ファクターが金額以上に高い金額で売掛債権を買い取ってくれることはあり得ません。
そのため、高額な資金をファクタリングで調達しようと思っても、売掛債権の金額が少額であれば、必要資金を調達することができないこともあります。
借入ではないので、自社の売掛債権という資産以上の金額をファクタリングで調達することは不可能です。
ファクタリングの便益が最大化される3つタイミング
ファクタリングを適切に活用するにはベストなタイミングがあります。
ファクタリングには多くの効果がありますが、やはり手数料負担は大きくなってしまうことなどのデメリットがあります。
「すぐに資金化できて簡単だから」と安易な理由でファクタリングを多用してしまったら手数料負担が大きく収益を圧迫し、結果的に「ファクタリングをしない方がよかった」ということにもなりかねません。
そこで、手数料を払ってでもメリットがある、ファクタリングにベストなタイミングを3つご紹介しましょう。
- 手元資金が足りない時
- 黒字で節税を図りたい時
- 与信管理が不安な時
それぞれ具体的にはどのようなタイミングなのか、詳しく解説しています。
手元資金が足りない時
手元資金が足りない時で、銀行融資が間に合わない時や銀行からお金を借りることができない場合にはファクタリングが効果的です。
2社間ファクタリングは最短即日資金化にも対応しているためです。
手数料が高いため、あまりにも多用することはおすすめできませんが、「お金がなければ倒産してしまう」というタイミングではファクタリングで緊急の資金を調達することができます。
「今日どうしてもお金が必要」
「銀行融資が出るまでのつなぎの資金が必要」
という場合には闇金などに手を出すことに比べれば、ファクタリングの方がよほど効果的で健全な資金調達手段と言えます。
緊急でお金が必要な場合で、倒産を免れたい時にはファクタリングを活用しましょう。
黒字で節税を図りたい時
黒字の時に節税をしたい場合にはファクタリングを利用するとよいでしょう。
手数料分は費用化して節税することができますし、ファクタリングによってバックオフィス業務の効率化を測ることができるなどの資金繰り以外のメリットもあります。
また、バランスシートをオフバランス化することもできるので、多少なりともファクタリングで外部からの評価の向上も期待できるでしょう。
決算期前などの節税を検討しなければならないタイミングでファクタリングを利用すると、ファクタリングの資金調達面以外のメリットも享受できるので効果的にファクタリングを活用することができます。
与信管理が不安な時
ファクタリングの隠れたメリットが売掛先の与信管理をアウトソーシングできるという点です。
ファクタリングを行うことで、審査のプロが売掛先を審査します。
自社が審査するよりもより正確な審査を行うので、初めて取引を行う売掛先の売掛債権をファクタリングすると売掛先が信用できる取引先かどうかということを知ることができるのです。
初めて取引をする取引先が「安心して取引ができる企業かどうか分からない」ということはよくあることです。
このような時に、一般的には企業が与信管理をしても正確な審査をすることはできません。
初めて取引先をする企業が「しっかりとお金を払うことができる企業かどうか心配」という場合には、手数料を払ってでも初回だけファクタリングを利用することに大きなメリットがあると言えます。
- ファクタリング審査に必要な書類を教えてください。
- 必ず必要な書類は「身分証明書」「請求書」「取引通帳の写し」などです。ファクターによってはこの他にも書類を要求することもありますので、事前に必要書類について確認しておくのがよいでしょう。
- 創業1年目で決算書がありません。ファクタリングは可能ですか?
- 可能です。売掛先の与信で審査を受けることができるファクタリングに創業年数はあまり関係ありません。創業1年目でも優良な売掛債権さえ持っていれば十分にファクタリングを利用することができます。
- 他社で断られた債権の売却を他のファクターに依頼することはできるのでしょうか?
- 審査基準はファクターによって異なりますので、他のファクターに相談すれば他社から断られた債権でもファクタリングできる可能性はあります。
- まずはファクターへ相談してみましょう。ただし、期日を過ぎた売掛債権を売却することはほぼ不可能です。
まとめ
ファクタリングには早期資金化することができるだけでなく、バックオフィス業務の効率化やバランスシートの改善、節税などの様々な効果があります。
ただし、手数料が高いのでプラスの効果だけを目的として闇雲にファクタリングを多用することはあまりおすすめできません。
ファクタリングの効果を最大限発揮できるタイミングは限られていますので、恒常的に利用するのではなく、本当にファクタリングが必要なタイミングでこそ高い手数料を払ってでもファクタリングを実行する意味があります。
「手数料を払ってでも得たい効果があるかどうか」を慎重に検討し、ファクタリングを利用しましょう。