企業が資金調達をする際に、「どこに申し込んだらいいか分からない、」「審査に通過する自信がない」というのは珍しい話ではありません。
このような時に、資金繰りコンサルに相談することで、驚くほど簡単に融資を受けることができる場合があります。
ただし、資金繰りコンサルの利用には手数料をはじめとした注意点がいくかあります。
資金繰りコンサルの業務内容やメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
資金調達に悩みを抱えている事業者の方はぜひ参考にしてください。
資金繰りコンサルとは
資金繰りコンサルとは、資金繰りに対するプロです。
外部からの資金調達のサポート、企業の資金繰りの改善など資金繰りに関する様々な相談に乗ってくれます。
資金繰りコンサルの業務内容やどんな人が資金繰りコンサルを利用しているのか、詳しく解説していきます。
資金繰り調達や財務改善を行うプロ
資金繰りコンサルとは、企業の資金調達支援や財務改善を行う専門家です。
具体的には、企業が融資を受けやすくなるよう、銀行と交渉したり、銀行へ提出する事業計画書を融資を受けやすいように作成するなどの手続きを行なってくれます。
また、企業にとって最適な資金調達手段を、融資・補助金・助成金・ファクタリングなどの無数の選択肢から見つけてくれるのも資金繰りコンサルの大きな仕事の1つです。
さらに、企業の資金繰り表や決算書から企業の資金繰りの問題点を洗い出し、資金繰りを改善するための解決策を提案・実行してくれます。
元銀行員などが企業の支援を行う
資金繰りコンサルを運営しているのは元銀行員などであることが一般的です。
元銀行員は企業の決算書を無数に見てきたという実績があるだけでなく「融資を受けやすくするためにはどうすればよいのか」という審査担当者の目線を熟知しているため、資金繰りコンサルとして資金調達に成功する可能性が高くなります。
また、資金繰りコンサルの中には会計士や税理士が関わっていることも多く、専門家の視点で様々な専門的なアドバイスを受けることが可能です。
資金繰りコンサルの仕事
資金繰りコンサルの仕事は、資金繰りに関するすべてのことですが、主な業務内容は以下のような業務になります。
- 財務改善
- 資金調達
- リスケジュール
- 事業再生
資金繰りコンサルの具体的業務内容について詳しく理解しておきましょう。
財務改善
財務改善とは、企業の財務状況を改善することです。
例えば、不要な資産を売却して負債の返済に充てることで、借金が多く返済による資金繰りの悪化に悩まされていた企業の財務状態は改善します。
経営者自ら「経営に最適な財務状態はどのようなものか」ということを知ることは簡単ではありません。
そこで、資金繰りコンサルがプロの目線で企業の財務状態を分析し、改善を図ることができる方法の提案を受けることができます。
「売上はあるのに資金繰りは苦しい」というような場合に、相談してみるとよいでしょう。
資金調達
多くの事業者の方が資金繰りコンサルを最も多く利用する場面が資金調達です。
銀行などからお金を借りやすくするように、資金繰り表や事業計画書の作成を行なってくれます。
特に創業融資に関しては資金繰りコンサルが最も得意とするところです。
創業融資は何も実績がない企業が融資を受けるものであるため、事業計画書が融資の成否の全てを左右すると考えても過言ではありません。
素人の方が作っても「融資しても問題ない事業計画だ」とはなかなか判断してもらえませんが、専門家が作ることによって、銀行や日本政策金融公庫が納得できるような事業計画を策定することは可能です。
また、融資以外にも様々な資金調達チャネルを把握しているため、最適な資金調達手段の提案を受けることもできます。
「どこから資金調達していいか分からない」「審査に通過できるか分からない」
など、資金調達に不安を感じている場合には資金繰りコンサルへ相談するとよいでしょう。
リスケジュール
資金繰りコンサルはリスケジュールの支援も行ってくれます。
リスケジュールとは返済条件の緩和のことで、経営状態や資金繰りが悪く借入金の返済が苦しい時に、返済期限の延長や元金返済の据え置きを行うことで、毎月の返済額の軽減を図ることができます。
リスケジュールを銀行や日本政策金融公庫から認めてもらうためには、やはりリスケジュール後の事業計画や資金繰り表を策定して「リスケジュールを行えば返済可能」と判断される必要があります。
資金繰りコンサルはリスケジュールを成功しやすくする資金繰り表や事業計画書の策定を支援してくれるので、相談することによってリスケジュールが成功する可能性は高くなるでしょう。
返済が苦しい時にも資金繰りコンサルへ相談するとよいでしょう。
事業再生
資金繰りコンサルは事業再生の支援も行っています。
事業再生とや業績不振や債務超過等になっている企業の事業を再建し、経営の健全化を図ることです。
自社が「債務超過でどこからもお金を借りることができない」など、首が回らないような状況になってしまった場合でも、資金繰りコンサルに相談することで再生できる可能性があります。
資金繰りコンサルは資産の売却、任意整理、事業の一部譲渡、リストラなどのあらゆる手段を熟知しているため、「もはや再建不可能」と判断されるような経営が傾いた企業の再建も行うことができる場合があります。
資金繰りコンサルに依頼するメリット
資金繰りコンサルに資金繰りの相談を依頼するメリットとして以下のような点を挙げることができます。
- 資金調達の可能性が高くなる
- 企業の体質を改善できる
- 幅広いチャネルから資金調達できる
お金を借りやすくなるだけでなく、企業の資金繰りそのものを改善することができる可能性があるので、単に「お金を借りやすくなる」というだけではありません。
資金繰りコンサルの3つのメリットを詳しく解説していきます。
資金調達の可能性が高くなる
資金繰りコンサルに依頼した方が資金調達に成功する可能性は高くなるでしょう。
資金調達には銀行や日本政策金融公庫の審査担当者が「返済可能」「将来性がある」などと企業をポジティブに評価できる事業計画書や資金繰り表が欠かせません。
このような書類を素人が作ることは簡単ではありませんが、資金繰りコンサルは審査担当者にとってベストな書類を作成することができます。
審査担当者は「返済できるかどうか」という予測以上に、「上司を納得させ稟議に通過できるかどうか」という視点で審査を行うのが実際のところです。
元銀行員である資金繰りコンサルは、このような審査担当者の視点を熟知しているため、銀行内の稟議に通過しやすい書類を作成することができます。
税理士などにはない独自の視点で書類を作成できるので、資金繰りコンサルに相談すると資金調達しやすくなります。
企業の体質を改善できる
資金繰りコンサルは単に資金調達支援をするだけでなく、財務状態の改善も行ってくれます。
不要な資産や負債を指摘してメタボな財務状態をスリムにすることができるので、企業経営を根本的に立て直すことが可能です。
融資コンサルなども多数存在しますが、このような人は融資を受けやすくするだけ。資金繰りコンサルであれば、企業の財務状態を根本的に改善することができます。
幅広いチャネルから資金調達できる
資金繰りコンサルは様々な資金調達手段を熟知しています。
中小事業者が資金調達できる手段として主に以下のようなものがあります。
これらの中から、資金繰りコンサルは当該企業にとってベストだと思われる手段を提案し、資金調達支援を行なってくれます。
多くの経営者は資金調達手段として銀行融資などのメジャーな方法しか把握していないため、思ったような資金調達ができないこともあります。
しかし、資金繰りコンサルに相談すれば資金調達手段の分母が多いので資金調達に成功する可能性も自ずと高くなるでしょう。
資金繰りコンサルに依頼する際の注意点
資金繰りコンサルに資金繰り改善や資金調達を依頼する際には以下のような点に注意が必要です。
- 手数料が発生する
- 補助金などは詐欺も多いので注意
- 多数のコンサルが存在し信頼できる業者がわかりにくい
安心できる業者が限られるという点とコスト面では注意がです。
資金繰りコンサルへ業務を依頼する3つの注意点について詳しく解説していきます。
手数料が発生する
資金繰りコンサルに相談すると決して安くない手数料が発生してしまいます。
資金繰りコンサルの手数料は様々ですが、基本的には以下のような手数料が発生すると理解しておきましょう。
- 月額料金制のコンサル:15万円〜30万円/月
- 成功報酬のコンサル(資金調達):融資実行額の5%
- リスケジュール:リスケ期間の月額支払減少額の10%
特に融資に関する手数料は、自分で銀行や日本政策金融公庫へ相談して借入に成功すれば、1円も支払う必要がないものです。
そのため、最初から資金繰りコンサルへ相談するのではなく、最初の融資の相談は自分で銀行や日本政策金融公庫へ足を運び、融資を断られてしまったら資金繰りコンサルへ相談した方がよいかもしれません。
補助金などは詐欺も多いので注意
「補助金の獲得を支援します」と謳う業者へ依頼すると、結果的に自社が詐欺の加害者になってしまうこともあるので注意しましょう。
新型コロナウイルスの感染によって経営が悪化した企業を支援する「持続化給付金」では、コンサルを利用した詐欺が横行し、実際に多くの逮捕者も出ています。
補助金の獲得指南を行うコンサルには詐欺も少なくないので注意しましょう。
補助金の獲得はルールに則り、いくらコンサルが提案しても書類の偽造などは絶対に行わないようにして下さい。
多数のコンサルが存在し信頼できる業者がわかりにくい
今や資金繰りコンサルや資金調達のコンサルは無数に存在します。
民間会社から税理士事務所までコンサルを行なっており、どの業者が安全な業者かどうか分からないという人も多いのではないでしょうか?
コンサルによって資金調達の能力などは異なりますし、手数料も様々です。
どのコンサルが信頼できるという明確な指標もないので、資金繰りコンサルは会社選びが簡単ではありません。
利用の前にはインターネットから口コミや評判などを確認しなければならないので、業者選びが大変というのは注意点でしょう。
無料でコンサルをしてくれる事業者
資金繰りコンサルに相談をすることによって、確かに資金調達しやすくなり、資金繰りの改善を図ることができます。
しかし、資金繰りコンサルに依頼すると決して少なくない手数料が必要です。
無料で資金繰りに関するコンサルを受けることができる以下のような事業者も存在するので、最初はこれらの事業者へ相談してみるのがよいかもしれません。
- メインバンク
- 顧問税理士
- ファクタリング会社
無料で資金繰りのコンサルティングを受けることができる業者を紹介していきます。
メインバンク
メインバンクとして取引をしている銀行があるのであれば、銀行は銀行が取り扱う融資に限っては審査に通過しやすい資金繰り表や事業計画書を作成してくれます。
また、最近の銀行は国の認定支援機関の登録も行っているので補助金や助成金の獲得補助も無料で支援を受けることが可能です。
さらにリスケジュールや事業再生も銀行からお金を借りているのであれば無料でコンサルを受けることができるので、メインバンクを作成しておくことはメリットがあります。
顧問税理士
顧問税理士が付いている場合にも、顧問税理士が無料で資金調達に必要な事業計画書を作成してくれたり、銀行に話を通してくれる場合もあります。
また、自社でも利用できそうな助成金があるのであれば、助成金の情報も教えてくれます。
銀行が銀行内部の融資商品でしか資金調達することができないのに対して税理士は融資だけでない手段でも資金調達ができるのがメリットです。
また、決算の都度財務改善に寄与するアドバイスなどは普通に受けることができるので優良な税理士を顧問につければ資金繰りコンサルは必要ないケースがほとんどです。
ファクタリング会社
ファクタリング会社でも無料のコンサルを受けることが可能です。
ファクタリング会社の中には単に売掛債権を買い取るだけでなく、資金繰りや財務の相談など、資金繰り全般の相談をすることができる会社が多数あります。
ファクタリング会社の中にはファクタリング会社の付加価値を高めるためにコンサル機能を強化している会社が数多く存在し、無料で財務改善や補助金獲得の手続きを行なってくれる会社もあります。
対応はファクタリング会社によって異なりますが、独立系の大手の店舗型のファクタリング会社などは丁寧に相談に乗ってくれるところも多いので、その口コミなどから確認してみましょう。
資金繰りコンサルに関してよくある質問
- 税理士などに相談することとの違いを教えてください
- 税理士はあくまでも財務改善のアドバイスなどを行うことがメインです。
税理士の中には事業計画の策定など、直接的に資金調達を助けてくれる人もいるかもしれませんが、基本的には直接的な手助けはせず、あくまでもアドバイスまでです。
一方、資金繰りコンサルは直接的に資金調達の助けを行なってくれます。「お金を確実に調達したい」という場合は資金繰りコンサルに相談した方がよいでしょう。
- 資金繰りコンサルの手数料を下げる方法はありますか?
- 料金体系は事前に決まっていることが多いので、交渉しても手数料を下げることは難しいでしょう。
資金繰りコンサルの手数料は「資金調達額の○○%」と決まっているため、必要最小限の金額しか借りないことで結果的に手数料が低くなります。
コンサルが高額な借入を提案しても、資金調達するのは最小限の金額に留めるようにしましょう。
- 資金繰りコンサルを利用したことで銀行から逆に怪しまれてしまいました
- 銀行はコンサルが仲介することによって「怪しい案件」と判断するケースが少なくありません。
コンサルを名乗る業者の中には融資ゴロのような反社会的勢力も存在するためです。
そのため、コンサルはあまり前面に立てず、書類の作成などだけ依頼し、銀行との交渉や面談は自分1人で行った方がよいでしょう。
まとめ
資金調達コンサルとは、融資を受けやすくするための書類の作成やアドバイスなどの様々な補助を行ってくれる業者のことです。
融資の仲介だけでなく、財務改善、リスケジュール、事業再生なども相談することができ、コンサルを通した方が融資やリスケジュールの成功可能性も高くなりますが手数料が高いのがネックです。
銀行や税理士やファクタリング会社もコンサルを行ってくれるので、無料で相談できるこのような機関と取引があるのであれば、まずは相談してみましょう。