取引先から入金がない場合、ファクタリングを利用すれば、問題を円滑に解決できる場合があります。

「入金がないなら取り立てに行けばいいのでは?」と安易に考える人もいるかもしれません。

しかし、人付き合いがベースにある日本の商慣習の中では、入金がないからと言って、しつこく取り立てをしたり、法的な手段によって解決を図ることは必ずしも企業にとってプラスになることではありません。

継続的に仕事をくれるような取引先との関係を壊したくないと考える人もいるでしょう。

たとえ、本来なら相手に非がある場合であっても、今後の関係を考えるなら上手に落としどころを探った方がプラスになるかもしれません。

そこで、取引先との関係を円滑に維持しながら、入金がないことによる資金不足を解決するためにはどうすれば良いか考えましょう。

1つの答えになるのが、ファクタリングを用いて早期に売掛金を現金化することです。

そこでこの記事では、取引先の入金がない場合のファクタリングの活用法を解説します。

取引先との関係を壊さないように、自社の資金不足を補うことができるという意味で有益な手段であるため、いざという時のために活用できるようにしておきましょう。

 

取引先から入金がない3つの理由

取引先から入金がない3つの理由

取引先から入金がない理由として、一般的に考えられるのは以下の3つです。

  • 請求漏れがある
  • 取引先の経営危機
  • 取引先が入金を忘れた

入金がない理由がこの3つのうちどれに当てはまるかによって、自社がとるべき対応は異なります。

理由ごとの対処法も交えながら、詳しく見ていきましょう。

自社側に請求漏れがある

「いつもは月末に取引先から入金があるのに、今月は入金がない」ーこのような事態が起きたら、まずは自社に不備がないかどうか確認しましょう。

もしかしたら、自社が取引先に対して請求を出していない可能性も考えられます。

自社に請求漏れという落ち度があるのにも関わらず、一方的に「取引先が支払いをしてこない」と決め付けてしまうことは大変失礼な行為です。

伝え方次第では、取引先の担当者を激高させてしまい、今後の付き合いにも大きな影響が及ぶことが考えられます。

しかも、請求がない時に「今月請求がないけど」などと言ってくれる気の利いた取引先ばかりではありません。

多くの取引先は自分から請求しないと、支払いをしてくれないものです。

そのため、まずは自社が取引先に対して請求を出したかどうか確認してみましょう。

そして、請求漏れがわかった場合はとにかく早く請求書を発行し、相手に交付するのが重要です。現在の民法では、債権の消滅時効について、次のように定められています。

民法

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

引用元:民法

つまり、取引発生から5年間経過後に取引先が時効を援用してきた場合、売掛金が請求できない可能性も出てきます。

時効の援用とは「時効が成立したので払いません」と伝えることです。厳密には、以下の手続きを踏んで行われます。

  1. 時効が完成しているかどうかの確認
  2. 時効援用通知書の作成
  3. 時効援用通知書を配達証明付き内容証明郵便によって債権者に送る

実際のところ、5年間も売掛金を回収せずに放置するのは社内の管理体制に著しい不備でもない限り考えにくいです。しかし、請求漏れを放置していると、時効が成立し回収できなくなる可能性もあることは認識しておきましょう。

取引先が入金を忘れている

取引先が入金を忘れたことによって、入金がないというケースも少なくありません。

このようなケースは、取引先が経営者1人しか従業員がいない場合などに起こりがちです。

詳しくは後述しますが、このような場合には「今月、代金いただいてましたっけ?うちの会社では確認できなかったのですが」など、できる限り角が立たないような柔らかい言い方で督促しましょう。

単に過失で忘れていただけだったら、「ああ、ごめんなさい。うっかりしてました!」と慌てて支払いをしてくれるのも珍しくないです。

取引先の資金繰り悪化や経営危機

取引先の資金繰りが悪化するなどの経営危機に陥っていることが原因で支払いがないこともあります。

このケースで入金がない場合には、早めに何かしらの対策を打たなければなりません

例えば、以下の行動が対策として考えられます。

  • ファクタリングを利用する
  • ビジネスローンを利用して追加借り入れをする
  • 自社が利用している金融機関の担当者や弁護士と連携し、追加融資を受けるとともに請求や差し押さえなどの法的手段を講じる準備をする

そのまま倒産してしまったら未払いの代金を回収することは著しく困難になり、結果的に自社の資金繰りも悪化して連鎖倒産してしまう可能性もあるためです。

取引先から入金がない場合に督促するのは、心情的なハードルが高いかもしれません。

伝え方次第では、取引先との関係が終わってしまう可能性もあるためです。

しかし、早めに督促を行い、取引先が入金できない理由を把握しておくほうが、長い目でみて会社の経営にとってプラスになります。

取引先が倒産してしまってからでは、ファクタリングも利用できない上に、少額訴訟や通常訴訟を起こしても未回収の売掛金を取り返せる可能性が一気に低くなるためです。

心情的に踏み切りづらい部分はあるかもしれませんが、少なくとも「なぜ入金がないのか」ということは早めに把握しておくようにしましょう。

商取引の時効は5年!時効に注意

商取引の時効は5年!時効に注意

商取引の時効は5年になっています。

長期間取引先から入金がない場合には時効に注意しなければなりません。

また、時効はただ5年が経過すれば成立するのではなく、時効を中断させることなく時効の援用(時効が成立したので代金は払いませんと宣言すること)をすることによって時効が成立します。

つまり、時効を中断させることができれば未払いから5年経過しようとも時効は成立しません。

時効を中断させる条件としては以下のようなものがあります。

  • 請求
  • 差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分
  • 債務の承認

裁判によって請求したり、催告書を内容証明で送付することによって時効は中断します。

ただし催告は6ヶ月間しか中断しないので、その間に他の手続きによって時効を完全に中断させる必要があります。

また、財産の差し押さえを行った時、取引先が「債務(未払いの代金)があることを承認した時」に時効は中断します。

債務の承認とは、こちら側が督促したものに対して「もうすこし待ってください」「分割で払います」などの債務があることを理解しているだけでも承認したことになります。

必ず督促の会話を録音しておくとか、メールやLINEでのやり取りを証拠として残しておくようにしましょう。

商取引の時効は、5年という非常に短い期間で時効が成立してしまいます。

入金がない場合には早めに対処して、時効を成立させないようにしましょう。

取引先から入金がない場合の3つの対処法

取引先から入金がない場合の3つの対処法

取引先から入金がない場合には法的手段によって解決することができる場合もあります。

しかし大切な取引先に対して数日から数週間入金がないからと言っていきなり法的手段に出るのはあまりおすすめできません。

もしかしたら、取引先の経理担当者が単純に入金を忘れていただけの可能性もあるためです。

取引先から入金がない場合には以下の順番で対処していきましょう。

  1. やんわり督促する
  2. 催告書を出す
  3. 法的手段をとる

最初は柔らかく、そして次第に厳しく督促を行なっていくのです。

順を追って未入金の売掛金の回収方法を解説していきます。

①やんわり督促をする

まずは取引先が単純に入金を忘れているケースを想定しなければなりません。

納品時などに会社が普通に動いている状態を確認したのであれば、単純に取引先が忘れている可能性が高いため、そのような会社に強い口調で督促をすると、今後の取引継続に悪影響になってしまうためです。

できる限り柔らかい口調で督促をするか、翌月の請求書に未入金分を加算して、黙って渡すなど、督促方法はできるだけ角が立たないように配慮しましょう。

次の納品時に切り出すのがベター

最も角が立たない方法は、納品時に「先月分、まだいただいてないんで、またお願いします。うちも苦しくて」などと一言付け加えてから納品する方法です。

この方法であれば角がそれほど立ちませんし、やはり顔を見て言われてしまうと「早く払ってあげないと悪いな」と思ってしまうものです。

同様に「あれ、先月分ってお支払いいただいていましたっけ?」ととぼけるのも1つの手段です。

ただし、次の納品をすることには、リスクもあります。

本当に経営状態が悪い場合には、不良債権の金額がさらに広がってしまうおそれがあるのです。

相手が経営危機に陥っていないかどうかは、ある程度検討してから次の納品をすることは忘れないようにしましょう。

②催告書を出す

やんわり督促したり、電話や督促状などによっても入金がない場合にはすこし強めの督促を行いましょう。

具体的には催告書という書類を内容証明郵便によって送付することです。

催告書の雛形はネットからいくつも見つけることができます。

また、催告書は時効の中断にも有効です。

催告書を送ることによって、時効を6ヶ月間中断させることができるので「このままでは時効が成立してしまう」という時には催告書を送付するようにして下さい。

ただし、取引先に内容証明郵便を送るということは、その取引先とは今後商売をすることが難しくなるということです。

一般的に内容証明郵便は「法的措置の一歩手前」と多くの人が判断するためです。まだ、取引の継続を希望する場合には催告書は送らない方が無難でしょう。

未払いによってすでに取引を行なっていない取引先に対して督促する場合や「この取引先とは今後取引しない」という場合に限って催告書を送付するようにして下さい。

また、内容証明郵便を出すにあたっては、細かい決まりが沢山あるので注意しましょう。

すべての郵便局から出せるわけではない

内容証明郵便は、集配郵便局および日本郵便が指定した郵便局でしか扱ってもらえません。事前に、事務所や自宅の近隣の郵便局が対応しているかを確認しておきましょう。

用意するもの

内容証明郵便を出す際は、以下のものを事前に用意しましょう。

  • 内容文書(受取人に送る文書のこと)
  • 内容文書の謄本(写し)2通
  • 差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒
  • 内容証明の加算料金を含む郵便料金
  • 差出人の印鑑

なお、内容証明を発送する際は「基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金(1枚目は440円、2枚目以降は260円)」がかかります。

文字数・行数が決まっているので注意

内容証明郵便では、内容文書およびその謄本を用意しなくてはいけません。

用紙の大きさや記載用具は不問となっているため、内容文書を作成し、コピーすれば問題なく謄本として利用できます。

ただし、謄本に関しては文字数・行数の制限があるので注意しましょう。

区別 字数・行数の制限
縦書きの場合 ・1行20字以内、1枚26行以内
横書きの場合 ・1行20字以内、1枚26行以内
・1行13字以内、1枚40行以内
・1行26字以内、1枚20行以内

引用元:郵便局「内容証明 ご利用の条件等」

その他の事項についても、かなり細かい決まりがあるので、事前に郵便局のWebサイトで確認しましょう。

e内容証明を使うのもアリ

「郵便局に行く時間ももったいない」という場合は、郵便局が提供しているe内容証明(電子内容証明)を使うのも1つの手段です。

簡単にいうと、インターネットを通じて内容証明を24時間発送できるサービスを指します。

以下の画像にもあるように、あらかじめWord形式で作成した内容証明文書をインターネット上にアップロードすれば、あとは郵便局が印刷・照合・封入作業をして相手方に届けてくれます。

引用元:郵便局「e内容証明(電子内容証明)」

内容証明関連料金を含めた利用料金はクレジットカードで支払えるので、いつでもどこでも内容証明郵便を送ることが可能です。こういう方法もある、と覚えておくと何かと役に立つでしょう。

③法的手段を考える

催告書によっても支払いがない場合には法的な手段によって督促しましょう。

一般的に利用される法的手段が支払督促少額訴訟です。

支払督促

支払督促とは簡易裁判所に申立を行い、簡易裁判所から債務者に対して「未払いの代金を支払って下さい」という督促をしてもらうことです。

裁判所から請求されることによって精神的な圧力を感じることだけが支払督促の効果ではありません。

債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申し立てを行わないと、財産の仮執行を行うことができます。

そしてそれでも支払いの意思を示さない場合には強制執行を行うことができます。

異議申し立てを行うということは裁判になるということです。

代金未払いには正当性がないので、裁判をしてもまず勝ち目はありませんし、強制執行も避けたいと思うのが普通です。

そのため、支払督促を行うことで入金を受けることができる可能性は高いと言えるでしょう。

少額訴訟

少額訴訟とは60万円以下の金銭の支払い請求に対して行われる簡易な裁判制度です。

取引先から入金がない金額が60万円以下であれば少額訴訟を利用できます。

訴訟というと面倒なイメージがありますが、少額訴訟であれば審理は1日で終了し、費用もかかりません。

時効を停止させることもできますので、未払いが少額の場合には解決するための有効な手段です。

通常訴訟

未払いになっている金額が60万円を超えていたり、少額訴訟で話がまとまらなかったりした場合は、通常の民事訴訟(一般的な裁判)に移行します。未払いになっている金額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に対して訴訟を起こす流れです。

なお、訴訟を起こすにあたっては、以下の書類等が必要になります。弁護士とも話し合いをしながら、抜け・漏れがないように用意しましょう。

  • 訴状の正本及び副本
  • 印鑑(法人の場合は代表者印)
  • 手数料および郵便切手
  • 証拠書類の写し
  • 原告および被告の法人登記事項全部証明書(履歴事項証明書)

取引先が倒産してからでは遅い!不安な債権はファクタリングを

取引先が倒産してからでは遅い!不安な債権はファクタリングを

いくら法的な措置を行なって督促をしたとしても取引先が倒産してしまったら法的手段によっても回収することはできません。

また、取引先からの入金遅れによって自社の資金不足が生じてしまった場合には、法的な手段をとっている時間的な余裕もありません。

このような場合にはファタリングで解決することができる場合があります。

取引先から入金がない場合にファクタリングがどのように解決することができるのか、詳しく見ていきましょう。

ファクタリングなら取引先の回収リスクを回避できる

ファクタリングは売掛債権の回収リスクも一緒に売却する行為です。

もしも取引先がこのまま代金を支払わないまま倒産したとしても、ファクタリングであれば、その損失はファクターが背負ってくれるので、自社が損失を負うことはありません。

売掛債権の未入金があると「このまま入金がないかもしれない」というデフォルトリスクにさらされることになりますが、ファクタリングであればデフォルトリスクを回避することができるので、企業経営のリスク軽減には非常に有効です。

自社の金欠時にも対応できる

また、取引先から突然「大変申し訳ないですが、今月末予定していた支払いを来週へと変更させていただけないでしょうか?」などと言われた場合、自社としても予定していた入金がなければ仕入れ先に代金を支払うことも、従業員へ給料を払うこともできなくなってしまいます。

このような時にも、2社間ファクタリングであれば申込日当日に売掛債権を資金化することができます

取引先から入金がないことによって、突然資金繰りに困窮した場合にも、ファクタリングで解決できます。

銀行融資は1週間程度の時間がかかるので、急ぎの場合にはファクタリングが有効です。

取引先に秘密で資金調達できる

ファクタリングは取引先に秘密で資金調達することもできます。

2社間ファクタリングにおいては、取引先の同意なくして売掛債権の売却を行うことが可能だからです。

ファクタリングをしたことが取引先に知られてしまうと「そんなにウチが信用できないのか」とか「売掛金の入金を待てないほど資金繰りが苦しいのか」などとネガティブに判断されてしまい、今後の取引先との関係に悪影響を及ぼすことがあります。

この点、2社間ファクタリングであれば取引先に知られることなく、入金されない売掛債権を売却して資金化することができるので、取引先との関係を壊すことなく、入金されない時の資金繰りのピンチを乗り越えることができるのです。

借入金ではないので負債が増えない

ファクタリングはあくまで「売掛債権の専門業者への売却」です。銀行やノンバンクから受ける融資とは違い、借入金ではないため、負債も増えません。極論すれば、ファクタリングを利用した回数が多くても、貸借対照表上の負債の額は増えないため、銀行やノンバンクからの融資の審査に影響しづらいのです。

自社の信用力に不安がある場合でも利用できる

また、ファクタリングは自社の信用力に不安がある場合でも利用できる資金調達手段です。ファクターはあくまで「売却しようとしている売掛債権が後々回収できるか」を審査において重視します。そのため、一般的な融資とは違い、自社の信用力(支払能力)ではなく、取引先の信用力がチェックされていると考えましょう。

 

なぜ、取引先から入金がないのを放置してはいけないのか?

そもそも、なぜ取引先からの入金がないのを放置してはいけないのか、考えてみましょう。答えは簡単です。「自分たちも巻き込まれて資金繰りがショートし、会社が倒産する可能性もあるから」です。

資金が潤沢にある大企業でもない限りは、たとえ1つの取引先からの入金が期限通りに行われないだけでも、重大な影響が及びます。

「そのうち何とかなるだろう」と放置してしまうと、自社の資金繰りまで悪化し、気が付いたら不渡りを出して倒産の憂き目に遭いかねません。

仮に、取引先から入金がなかったとしても、早い段階で気づいて督促をしたり、ファクタリングを利用したりすれば、資金繰りが大幅に悪化することは考えにくいです。

取引先の支払能力が乏しい場合はファクタリングが使えない

既に触れたように、取引先から入金がなく、連絡をしても対応してもらえそうにない場合は、ファクタリングを利用することが解決策になり得ます。売掛債権の売却である以上、融資のように自社の支払能力が問われるわけではありません。

しかし、注意したいのはファクタリングを使うべきタイミングです。

ファクター(ファクタリング会社)が行うことを一言でまとめると「企業から売掛債権を買い取って手数料を差し引いた分を渡し、後日買い取った売掛債権の回収をすること」です。

そのため「回収できる可能性が高い」と判断される売掛債権でないと、買い取ってもらえない可能性もあります。本来の入金日に入金がなされず、未入金の状態が長く続く時点で、取引先の支払能力には重大な疑義が生じているはずです。

取引先の支払能力に重大な疑義が生じている以上、ファクターも慎重に審査を進めざるを得ません。

未入金の状態が長く続いていた債権だった場合、ファクターから買取を断られることも十分に考えられます。

できるかぎり、未入金の状態が長く続いていない段階から、取引先の動向を見極めつつ、ファクタリングの利用も検討しておきましょう。

取引先から入金がない時には2社間と3社間どちらを使うべき?

取引先から入金がない時には2社間と3社間どちらを使うべき?

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。

2社間ファクタリングは売掛先に秘密で債権を売却することができますが、手数料は高くなります。

一方、3社間ファクタリングは売掛先の同意が必要になるため売掛先にファクタリングをしたことを知られてしまいますが手数料は2社間よりもやすくなります。

2社間、3社間のどちらを選択するのかは自社が取引先と今後どんな関係を望むのかによって決めた方がよいでしょう。

取引先との関係継続を望むなら2社間がベター

取引先との関係の継続を望むのであれば2社間ファクタリングがベターです。

2社間ファクタリングは取引先の同意が不要で売掛債権を売却することができるので、取引先に「売掛金を売却した」ということを知られる心配がありません。

また、取引先が自社に売掛金代金を入金したら、自社がファクターに対して料金を支払うので、取引先はいつも通りに売掛金代金を支払うだけです。

2社間ファクタリングであれば取引先はファクタリングをしたことを知ることはありませんので、取引先との関係をこれまで通りに維持したいのであれば、2社間ファクタリングを選択した方が無難です。

ただし2社間ファクタリングは手数料が高いので十分に注意しましょう。

取引先との関係継続を望まないなら3社間の方が低コスト

一方、「入金がされない取引先とは今後取引をしたくない」と考えるケースもあるでしょう。

このような場合には2社間ファクタリングではなく、3社間ファクタリングの方が手数料を低く抑えることができます。

3社間ファクタリングは取引先の同意が必要になるので、必ず取引先にファクタリングをしたことがバレるようになっています。

このため、取引先に知られても良いという場合に限って利用すべき方法です。

もしかしたら、ファクタリングを利用したことを知っても関係が切れない取引先もいるかもしれないので、3社間を利用したことで必ずしも関係が切れるとまでは言えません。

「うちも資金繰りがちょっと厳しかったので」と言って納得してもらえる担当者なら、そこまで深刻な事態にはならないでしょう。

しかし「ファクタリングを使ってでも資金を早期に回収したかったのか」と不信感を覚える担当者も一定数います。

最悪の事態を想定して、取引が終わってもよいという取引先に対して3社間ファクタリングを利用するようにしましょう。

なお、具体的な手数料については、後述します。

手数料の安さを重視するなら3社間ファクタリング

ファクタリングを利用する際は手数料がかかります。手数料の安さを重視するなら、3社間ファクタリングのほうが適しているでしょう。

2社間の場合は10~30%

2社間ファクタリングの場合、手数料は売掛金の10~30%に設定されているのが一般的です。後述する3社間に比べるとやや高めですが、理由にも触れておきましょう。

2社間ファクタリングの場合、以下の流れで取引が進みます。

  1. ファクタリングを利用する会社(以下、利用者)が、ファクターに売掛債権を売却する
  2. ファクターは売掛債権の額から手数料を差し引いた金額を利用者に渡す
  3. 売掛債権の本来の入金日を迎えたら、取引先から利用者に入金される
  4. 利用者は入金された額をファクターに送金する

しかし、実際は利用者が取引先から入金された額をファクターに送金せず、別の支払いに充てる可能性もゼロではありません。この場合、ファクターが売掛債権相当額を回収できなくなります。

つまり、ファクターがリスクを負うことになるため、その対価として手数料がやや高めに設定されていると考えましょう。

3社間の場合は1~9%

3社間ファクタリングの場合、手数料は売掛金の1~9%に設定されているのが一般的です。先ほどの2社間ファクタリングの場合と同様、流れを見てみましょう。

  1. ファクタリングを利用する会社(以下、利用者)が、あらかじめ取引先に売掛債権を譲渡する旨を伝える
  2. 利用者がファクターに売掛債権を売却する
  3. ファクターは売掛債権の額から手数料を差し引いた金額を利用者に渡す
  4. 本来の入金日を迎えたら、取引先からファクターに売掛債権相当額を送金する

2社間ファクタリングの場合とは違い、取引先からファクターに直接送金される仕組みです。取引先の支払能力に問題がない限りは、ファクターが負う未回収のリスクは低くなります。

そのため、手数料も2社間ファクタリングの場合に比べるとやや安めに設定されていると考えましょう。

取引先から入金がない場合のファクタリングに関するよくある質問

経営悪化している売掛先の債権もファクタリングで買い取ってもらうことはできますか?
ファクターの審査で「あまりにも経営状態が悪い」という売掛先の売掛債権は買い取ってもらうことが難しくなります。ただし、ファクターによって審査基準は異なるので、1社に断られたら別のファクターに申し込んでみることでもしかしたら買い取ってもらうことができるかもしれません。
その程度入金が遅れたらファクタリングを検討すべきでしょうか?
支払期日を過ぎた売掛債権をファクタリングすることは非常に困難になるので、期日が到来する前にはファクタリングに申し込むようにしてください。
入金に遅れることが多い売掛先に対する上手なファクタリング利用法を教えてください。
入金に遅れることが多い売掛先には、「今後は3社間ファクタリングを利用する」と伝え、同意を取得してしまいましょう。こうすれば毎月その会社とは3社間ファクタリングを利用することができるので、自社の資金繰りは安定します。

まとめ

取引先から入金がない場合には法的措置によって回収できる場合があります。

しかし、自社にとっても大切な取引先に対して法的措置を行なってしまえば、取引先との関係継続は難しくなってしまいます。

もしかしたら、取引先が入金を忘れているだけという、悪意がないケースも考えられるためです。

取引先からの入金がないという問題を円滑に解決するためには、ファクタリングが有効に活用できます

2社間ファクタリングであれば取引先に秘密で売掛債権を資金化でき、最短即日資金化にも対応しているので、取引先との信頼関係を壊すことなく、必要資金を調達することができます。

取引先との関係を維持したい場合には2社間、取引先との関係継続を必ずしも望まない場合には3社間を利用するなど、取引先との今後の関係性を考え、最適な方法でファクタリングを活用するようにして下さい。