ファクタリングは、入金前の売掛債権(売掛金)を現金化して、早期の資金調達をサポートするサービスです。
融資とは異なる「借りない」資金調達ですので、売掛先(取引先、クライアント)からの売上入金が遅い場合や、一時的なつなぎ資金が必要な場合に役立ちます。
そのファクタリングで売掛債権を現金化するプロセスには、面談が必要となる「対面のファクタリング」と、面談不要ですべての手続きがオンラインで完結する「非対面のファクタリング」とがあります。
これらのプロセスにはどのような違いあり、より確実に資金調達をするためにはどちらを選ばべば良いのでしょうか?
今回はファクタリングで売掛債権(売掛金)を現金化するプロセスを、「対面」と「非対面」に分けて解説します。
以下の記事では、対面および非対面のプロセスで分けた優良ファクタリング会社のランキングを紹介しています。
こちらも併せてご参照ください。
対面で売掛債権(売掛金)を現金化するプロセス
利用者とファクタリング会社の担当者が契約を結ぶにあたり、面談が実施される形式を「対面」と呼びます。基本的に初回のみ面談必須で、2回め以降は郵送・FAX・メールなど非対面での契約が可能です。
仮見積もり・申し込み
申込みの前に、まずは自社の資金ニーズに合ったファクタリング会社を選びます。
ほとんどのファクタリング会社はホームページや電話にて「無料見積もり」を受け付けているので、売掛債権がいくらで売却できそうか確認しましょう。
なるべく複数のファクタリング会社で見積もりをして、買取額やサービス内容に納得がいくファクタリング会社に申込みます。
申し込みはファクタリング会社のホームページの「申し込みフォーム」、もしくは電話で依頼します。
売掛先に債権譲渡の承諾を得る(3社間ファクタリングの場合)
3社間ファクタリングを利用する場合、利用者が売掛先に債権譲渡の事実を通知したうえで、債権譲渡承諾書へ署名捺印もらわなければなりません。
ファクタリング会社によっては、債権譲渡の承諾を得るプロセスのサポートをしてくれるところもあります。
売掛先が上場企業や国・自治体の機関といった大きい組織であるほど、承諾を得るプロセスに時間がかかってしまいます。
資金調達のスピードを重視する場合は、売掛先から承諾を得るプロセスが省略可能な2社間ファクタリングがおすすめです。
必要書類の提出
ファクタリングの契約に必要な書類を提出します。
提出は郵送・FAX・メール、もしくは来店か出張で直接手渡す方法もあります。
必要書類はおおむね以下のとおりです。
- 本人確認書類(免許証、パスポートなど)
- 銀行通帳のコピー(WEB通帳も可)
- 請求書(売掛債権が存在する証明)
- 見積書・基本契約書など(売掛先との取引の事実の証明)
- 債権譲渡承諾書(3社間の場合)
面談・本見積もり・契約
対面形式では書類による審査に加え、面談によって自社の経営状況や経営者のパーソナリティーがヒアリングされます。
ファクタリング会社の担当者は、経営者が自社の資金繰りをしっかり把握しているか、誠実に事業に取り組んでいるかなどを重視しています。面談の結果いかんによっては、買取額がアップしたり、ファクタリング以外の資金調達方法を提案されたりします。
また財務コンサルティングや事業再生サポートなど、ファクタリング利用者に無償の付帯サービスを提供しているファクタリング会社は、面談でヒアリングした自社の経営課題に沿ったソリューションを提案してくれるでしょう。
面談終了後、利用者とファクタリング会社との間で債権譲渡契約を結びます。
集金業務委託契約(2社間ファクタリングの場合)
債権は譲り受けた者に回収の義務が発生しますが、2社間ファクタリングではファクタリング会社に代わって自社が売掛先から回収します。そのための契約が集金代行業務契約です。
債権譲渡登記(2社間ファクタリングの場合)
債権譲渡登記とは、債権がだれからだれに対し、いつ譲渡されたものかを公的に証明する手続きを指します。
売掛先の承諾を得ずに契約を結ぶ2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社は「二重譲渡の防止」と「焦げ付きへの対抗要件」を目的として、債権譲渡登記を行います。
さらに、債権譲渡登記は法務局で概要記録事項証明書の交付請求をすれば、誰でも閲覧ができます。売掛先や取引銀行が、概要記録事項証明書の交付請求をして債権譲渡の事実を知ることがないとも限りません。
ファクタリングの利用を徹底的に秘密にしたい場合は、債権譲渡登記を留保してくれるファクタリング会社に依頼しましょう。
代金の振込
ファクタリングの契約締結後、指定した口座に売掛債権の買取代金が振り込まれます。
2社間ファクタリングであれば申し込みをしたその日のうちに代金が振り込まれる可能性があります。
債権の回収・弁済(2社間ファクタリングの場合)
2社間ファクタリングを利用した場合、集金業務委託契約に従って利用者が売掛先から債権を回収します。
回収した債権はすみやかにファクタリング会社に弁済しなければなりません。
前のプロセスである債権譲渡登記は、利用者が本来ファクタリング会社へ弁済すべき売上金を使い込んでしまった場合に備えるものです(焦げ付きへの対抗要件)。
非対面で売掛債権(売掛金)を現金化するプロセス
面談が不要で、なおかつすべての手続きがオンライン上で完結するファクタリングを「非対面」と呼びます。
形式としては2社間ファクタリングであり、売掛先の承諾や債権譲渡登記などは不要です。
WEB面談などが実施される場合もありますが、ファクタリング会社の担当者と対面することはありません。
アカウント登録
OLTA(オルタ)やFREENANCE(フリーナンス)といったオンライン完結型のファクタリングサービスでは、申し込みの前にサービスへのアカウント登録が必要です。
簡単な事前審査後、アカウント登録時に代表者の本人確認書類を提出します。登録は無料で、アカウント維持費などもかかりません。
なお、事前のアカウント登録を必要としないファクタリングサービスもあります。
仮見積もり・申し込み
申込みの前に、自社の資金ニーズに合ったファクタリング会社を選びます。
ホームページの「無料見積もり」を利用して、売掛債権がいくらで売却できそうか確認しましょう。
なるべく複数のファクタリング会社で見積もりをして、買取額やサービス内容に納得がいくファクタリング会社に申込みます。
申し込みはファクタリング会社のホームページの「申し込みフォーム」、もしくは電話で依頼します。
必要書類の提出
ファクタリングの契約に必要な書類をメール添付、もしくは書類のアップロードフォームから提出します。
非対面で提出が必要な書類はおおむね以下のとおりです。
- 昨年度の決算書一式(貸借対照表、損益計算書、勘定科目明細)
- 発注書や契約書(取引のエビデンス)
- 入出金明細(直近3ヶ月~7ヶ月分)
- 売却予定の請求書
審査・本見積もり
提出された書類の情報に基づき、買取可否が審査されます。
見積り結果は24時間以内にメール等で通知されます。見積もりに納得できない場合は、ここで断ることもできます。
代金の振込
ファクタリングの契約締結後、指定した口座に売掛債権の買取代金が振り込まれます。
多くの非対面のファクタリングでは、申し込みをしたその日のうちに振込を確認できます。
債権の回収・弁済
非対面のファクタリングは2社間ファクタリングの仕組みと同じですので、売掛先から債権を回収したらすみやかにファクタリング会社に弁済します。
対面プロセスのファクタリングのメリット・デメリット
対面プロセスのファクタリングのメリット・デメリットをご紹介します。
面談で買取額等の交渉ができる|メリット
対面プロセスで必須の面談では、担当者が提出書類だけでは判断できない以下の要素についてチェックしています。
- 事業が成長過程である
- 融資・出資・上場など売掛金以外の資金流入予定がある
- 経営者が誠実である
- 経営者が自社の財務状況を把握している
- 面談の時間を守る
- ファクタリングの利用金額に妥当性がある
- 単発の利用で資金繰りが好転する
面談でこれらの要素がプラス評価となれば、審査通過率アップや買取額アップなどに期待できます。
自社の経営課題に沿ったサポートが受けられる|メリット
対面プロセスのファクタリング会社の多くが、ファクタリング利用者に対して無償の経営コンサルティングや事業再生サポートを提供しています。
具体的な支援内容は、たとえば新たな資金調達先の紹介、銀行リスケの交渉サポート、バックオフィス業務代行などです。
面談のときに自社の資金繰り状況や経営状況について相談すると、経営課題に沿ったサポートが受けられるでしょう。
来店もしくは出張の時間を要する|デメリット
面談を実施するときには、利用者がファクタリング会社の店舗に来店するか、もしくはファクタリング会社の担当者に出張してもらうかのどちらかが必要です。
申し込みをするファクタリング会社が遠方であれば、移動に要する時間がかかるため、最短即日の資金調達が難しくなります。また、来店や出張にかかる交通費は利用者が負担する必要があります。
非対面プロセスのファクタリングのメリット
非対面プロセスのファクタリングのメリットをご紹介します。なお、非対面プロセスに特筆すべきデメリットはありません。
すべての手続きがオンラインで完結する|メリット
非対面プロセスのファクタリングは、すべての手続きがオンラインで完結します。
自宅や事務所にいながらにして、スマホ・パソコンから申し込み~代金振込まで進めることができます。
もちろん、来店や出張にかかる時間および費用を考慮する必要がありません。
対面よりも2社間の手数料が低め|メリット
非対面は対面よりも手続きが簡素化されています。したがって、ファクタリング会社の人件費や出張費などのコストがかからず、2社間であっても3社間並みに低い手数料で利用できます。
即日資金調達の確実性が高い|メリット
非対面プロセスのファクタリングはAI審査を採用しており、審査結果は24時間以内に判明します。また出張にかかる時間、面談にかかる時間がカットされるため、申し込みをしたその日のうちに資金調達が可能です。
ファクタリングのプロセスに関するQ&A
ファクタリングのプロセスに関して、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。
- Q.個人事業主は対面ファクタリング、非対面ファクタリングのどちらも利用できますか?
- A.個人事業主の利用を可とするかどうかは、ファクタリング会社の利用条件によります。「法人のみ利用可(個人事業主は利用不可)」とするところもあれば、「個人事業主は3社間のみ利用可」、「個人事業主は2社間・3社間のどちらも利用可」とするところもあります。
- Q.債権譲渡の事実が売掛先に知られると、具体的にどのようなデメリットが考えられますか?
- A.債権を他社に売却するという行為は、売掛先から「あの会社は資金繰りが厳しいのではないか?」といったネガティブなイメージを持たれる懸念があります。場合によっては自社が近々倒産するのではないかと思われてしまい、取引数を減らされたり、取引を断られたりするなどのリスクも考えられます。債権譲渡にネガティブなイメージを持たれたくない方には、自社とファクタリング会社の2社間だけで契約を結ぶ2社間ファクタリングがおすすめです
- Q.ファクタリングのプロセスにおいて、債権譲渡登記は必須ですか?
- A.2社間ファクタリングを契約する場合、原則として債権譲渡登記は必須です。ただし、ファクタリング会社によっては手数料を引き上げる代わりに、債権譲渡登記を留保してくれるところもあります。
- >>「債権譲渡登記」について詳しく見る
対面・非対面それぞれのプロセスを把握した上で利用を
ファクタリングのプロセスについて、対面と非対面に分けて解説しました。
スピードや手数料といった資金調達の条件を優先する場合は、プロセスが簡略化されている「非対面」がおすすめです。一方、資金調達のみならず自社の資金繰りを改善したい場合や、ファクタリングよりも確実性の高いソリューションの提案を受けたい場合は「対面」がおすすめです。
自社の資金ニーズや経営課題に合ったファクタリングのプロセス、およびファクタリング会社を選びましょう。
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