ファクタリングには審査があります。

銀行の審査などに落ちてしまった人は「ファクタリング審査だけは絶対に落ちるわけには行かない」と考えている人も多いはずです。

ファクタリング審査には重視されるポイントがあり、ポイントを押さえておくことで審査通過の可能性は非常に高くなります。

逆に、せっかく優良企業の売掛債権でも自社がファクタリング会社に信頼されないと審査に落とされてしまうこともあります。

この記事ではファクタリング審査の極意を解説します。

銀行融資の審査に落ちた人が申し込むことの多いファクタリング。企業の資金繰りのために絶対に審査に落ちないよう極意を押さえましょう。

 

審査で重視される4つの項目

利用会社・経営者の信頼性

ファクタリング審査で重視されるのは以下の4つの項目です。

  • 売掛先の信頼度
  • 入金までのサイクル
  • 売掛債権の金額
  • 利用会社・経営者の信頼性

自社および売掛先企業の信頼に加え、売掛債権そのものの期間や金額から売掛債権のリスクを判定して審査を行います。

ファクタリング審査で重視される4つのポイントを詳しく解説します。

売掛先の信頼度

ファクタリング審査では何を置いても売掛先企業の信頼度が重視されます。

ファクタリングは売掛債権の売却ですので、売掛先企業が期日通りに代金を支払うことができるかどうかがファクタリング会社にとって最も大切になるからです。

いくら自社の業況に問題がなかったとしても、売掛先企業が「支払能力がない」と判断されてしまったら審査に通過することは困難です。

反対に、自社の業況が非常に悪く銀行融資などを受けられなくても、売掛先企業の業況に問題がなければ審査に通過して資金調達できる可能性があります。

例えば売掛先が上場企業や官公庁であれば審査に通過できる可能性が高いですが、売掛先が業況の悪い小規模企業であれば審査に落ちてしまうことも珍しくありません。

ファクタリングにおいては、ファクタリング会社へ支払義務を負っている債務者は売掛先企業ですので、売掛先企業の業況が最優先されます。

入金までのサイクル

ファクタリングでは売掛債権の期日までの期間も非常に重要です。

期日までの期間が短ければ審査に通過できる可能性は高くなりますが、期日までの時間が長い場合には審査通過の可能性が下がってしまいます。

期日までの期間が短ければデフォルトするリスクは低いですが、期間が長くなればデフォルトするリスクが高くなってしまうからです。

私たちも「1ヶ月お金を貸して」と言われることと「3ヶ月お金を貸して」と言われるのでは、3ヶ月先の方が「ちゃんと返してくれるかどうか心配」と不安に感じるものなのではないでしょうか?

ファクタリング会社の審査も基本的にはこれと同じです。

具体的には期日までに60日以内の方が審査に通過しやすい傾向があります。

期日の異なる複数の売掛債権を持っているのであれば、期日の短い売掛債権をファクタリングした方が審査に通過しやすいでしょう。

売掛債権の金額

売掛債権の金額も重要です。

売掛先の業況が安定しているのであれば、金額の大きな売掛債権の方が審査に通過しやすく手数料も低くなる傾向があります。

例えば1,000万円の売掛債権を手数料5%でファクタリングした場合は50万円の手数料になりますが、100万円の売掛債権を手数料5%でファクタリングした場合には5万円の手数料にしかなりません。

ファクタリング会社とすれば同じ手間で多くの収入になる1,000万円のファクタリングを取り扱いたいと考えており、金額が大きくなれば審査に通過する可能性も上がります

また、金額が大きければ手数料を下げてもファクタリング会社は利益を確保することができるので、手数料が下がる傾向にあります

ファクタリングする売掛債権の金額の大きさもファクタリング審査では重要な要素です。

利用会社・経営者の信頼性

ファクタリングに申し込みをする会社と経営者の信頼性も審査では重要です。

特に2社間ファクタリングでは、売掛債権代金が売掛債権期日に自社を経由するので、自社や経営者に信頼がないと「流用するリスクがあるので審査に通過させることはできない」と判断されてしまうことがあります。

自社への信頼は決算書から判断され、経営者への信頼はヒアリングから判断されます。

ヒアリングでは、なぜお金が必要なのか、売掛先はどんな会社なのか、売掛先と付き合ってどの程度なのかという基本的な質問をされるのが一般的です。

ファクタリング会社はこのような会話の中から「経営者として信頼できる人柄かどうか」ということを審査しているため、質問には速やかに明瞭に答えるようにしてください。

回答が曖昧だった場合や、電話応対が悪いと「信頼できない」と判断されてしまう可能性があります。

ファクタリングの審査通過率はどのくらい?

一般的に「借入よりも審査が甘い」と言われているファクタリングですが、実際にはどのくらいの人が審査に通過しているのでしょうか?

多くのファクタリング会社が「審査通過率90%以上」などと謳っていますが実際に審査通過率はそれほど高くはないようです。

一般的な審査通過率と大手の通過率が高い理由について詳しく見ていきましょう。

一般的な審査通過率はそれほど高くない

ファクタリングの一般的な審査通過率は70%程度と言われており、それほど審査通過率は高くはありません。

地方のファクタリング会社や小規模なファクタリング会社では申込を行なっても無下に断られてしまうということはよくあります。

審査通過率が高いと考えられているファクタリングですが、実際にはそれほど審査通過率が高いわけではありません。

大手が90%以上を謳っている理由

大手のファクタリング会社は「買取率90%」なとと謳っていますが、大手がこれだけ高い審査通過率を維持できるのはなぜでしょうか?

大手ファクタリング会社は、売掛先や申込企業の与信に応じて掛け目を変更しており、リスクの高い企業に対しては非常に少ない掛け目でしか買取を行いません

例えば、100万円の売掛債権に掛け目10%で10万円分しかファクタリングしなくても、審査に通過したことは変わらないので、審査通過率は必然的に高くなります。

また、大手は2社間ファクタリングだけでなく3社間ファクタリングも取り扱っており、3社間ファクタリングの方が一般的に審査通過率が高いので、大手の審査通過率は高くなる傾向があります。

大手では売掛債権の100%を買い取ってもらうことができるわけではありませんが、一部だけであれば買取に応じてもらうことができるので、「少しだけでも現金を調達したい」と考える場合には大手ファクタリング会社に相談してみるのがよいでしょう。

ファクタリング審査に通らない3つの理由

納入企業や経営者が信頼できない

どんなに優良企業の売掛債権をファクタリングに申し込んだとしても、以下の3つに該当してしまった場合には審査に通過することはできません。

  • 売掛債権を証明する書類が足りない
  • 売掛先が法人ではなく個人
  • 納入企業や経営者が信頼できない

自社の対応の悪さや書類提出の不足によって、本来であれば審査に通過することができた可能性のある売掛債権も審査に通過できないこともあります。

審査に通過できなくなってしまうケースを理解して、より確実に審査に通過できるようになりましょう。

売掛債権を証明する書類が足りない

売掛債権の実在性や信憑性を証明するための書類が不足していると審査に通過できないことがります。

ファクタリングでは、売掛債権を証明するために請求書や発注書、納品書、過去の入金を確認するための通帳のコピーなどが必要です。

これらの書類から総合的に判断して、「この売掛債権は間違いなく実在し、期日通りに支払われる可能性が高いだろう」と解釈できれば審査に通過できます。

しかし、例えば証明資料を請求書しか用意できなかった場合は「売掛債権の実在性が怪しい」と判断されて審査に落ちてしまう可能性も高くなります。

申し込みでは、できる限り多くの売掛債権証明資料を提出するようにしましょう。

売掛先が法人ではなく個人

ファクタリングに申し込んだ売掛債権の売掛先が個人だった場合は、その時点で審査に通過することは難しくなります。

ファクタリングは法人に対する売掛債権しか買い取ってもらうことはできません

個人顧客相手の売掛債権は買取不可能ですので、売掛先がどんなにお金があっても個人の売掛債権の買取を申し込んだ時点で審査に通過することはできません。

例えば、個人宅へのリフォーム工事代金などはファクタリングすることは不可能です。

納入企業や経営者が信頼できない

納入企業である自社や、自社の経営者が信頼できない場合にも審査に通過することは難しくなります。

申込時に虚偽申込をしたり、ヒアリングの際に嘘をついたことがバレてしまうと「経営者として信頼できない」と判断されて審査に落ちてしまうこともあります。

ファクタリングは納入企業とファクタリング会社の信頼関係が非常に重要ですので、「経営者として信頼できない」と経営者や自社がネガティブに評価された場合には審査通過が難しくなるでしょう。

虚偽申し込みは絶対にせずに、ヒアリングも誠実に答えるようにしてください。

もちろん、請求書や発注書などの偽造は絶対にNGです。

ファクタリング審査通過についてよくある質問

3社間と2社間どちらが審査に通りやすいですか?
審査自体に通過しやすいのは3社間ファクタリングです。
3社間ファクタリングは自社に資金が経由しないので、売掛先の信用だけで審査に通過できるためです。
しかし3社間ファクタリングは売掛先の同意が必要になるので「同意を得ることができないので3社間を利用することができない」という理由で2社間ファクタリングを利用している人は多数存在します。
同意を得られるのであれば3社間ファクタリングの方が審査に通りやすいですが、同意を得られないのであれば2社間ファクタリングの方が利用しやすいといえます。
上場企業の売掛債権のファクタリングで審査に落ちることはありますか?
売掛先の与信の問題で審査に落ちることはほとんどないと思いますが、2社間ファクタリングで自社の業況や経営者の信用に著しく問題がある場合などは審査に落ちることはあります。
審査に絶対はありませんので、例え上場企業に対する売掛債権でも審査に落ちてしまう可能性はゼロではないと理解しておきましょう。
経営者としてファクタリング会社から信頼されるにはどうしたらよいでしょう?
面談やヒアリングで気持ちよく正直に話をするということが大前提です。
また、ファクタリング会社から依頼された書類はできる限り速やかに完璧な状態で揃えて提出しましょう。
さらに他社へ浮気するのではなく、1社と長く取引をするということも大切なポイントです
電話や面談でのヒアリングがない会社の方が審査には通りやすいのでしょうか?
一概にどちらが審査に通りやすいということはいえません。
面談やヒアリングがないファクタリング会社の審査では決算書などから数字から分かる部分しか会社の審査は行われません。
そのため、業況が悪い場合には審査に通過できないこともあります。
一方、ヒアリングがある場合には、業況が悪くても経営者として信頼されれば審査に通過できることがありますが、ファクタリング会社の担当者と相性が悪ければ「経営者として信頼できない」と判断されて審査に通過できないこともあります。
どちらがよいとは一概には言えないので、不安な方はどちらにも申し込んでみるのがよいでしょう。

まとめ

審査に通過する極意は「ファクタリング会社にとってリスクの低い売掛債権であること」です。

売掛先の信用だけでなく、納入企業の経営者個人の信用も重要になります。

また、金額の大きな債権・期間の短い債権はリスクが低いと判断される傾向があるのでファクタリング審査に通過しやすいと言えます。

審査に通過するにはコツがあるので、審査の極意をしっかりとマスターし、確実に資金調達できるようになりましょう。